JP5534710B2 - 情報通信機械室における給電システム及びその給電制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ICT装置と空調装置系統とを有する情報通信機械室(データセンター)における給電システムに係り、特に、高発熱ICT装置を収容するデータセンターの給電システムとして好適な、情報通信機械室における給電システムに関する。
従来、データセンターにおける電力供給品質(信頼度)の設計に関しては、ICT装置系統については、無停電電源設備(UPS)及び非常用エンジン発電機によるバックアップ、空調装置系統については非常用エンジン発電機のみによるバックアップが一般的であった。
しかしながら近年、社会のIT化の進展に伴い、情報通信機器・装置(以下、ICT装置と総称)の高速化、大容量化、高密度化が急速に進み、発熱密度が高い場合には急激にラック内の温度上昇が発生する。図6は、ICT装置が設置された部屋において、空調機停止時のラック上段部の温度上昇を測定した結果を示す図であり、例えば発熱密度4.0kW/m2の場合、数分で温度上昇が約30℃に達する。このため、従来のバックアップ方式では、停電時等、商用電源が遮断した場合に、エンジン始動から空調機再起動するまでの間に許容限界温度を超えてしまい、サービス停止を招いてしまう問題が発生している。
このため、空調装置系統についてもUPSによるバックアップを行うシステムが提案され(例えば特許文献1)、既に実用化されている。図10は、このような給電システム100を示し、空調装置系統102の圧縮機102a、送風機102bについては、商用電源101から無停電電源設備(UPS)103を経由して供給される交流は、機内で一旦、直流変換(AC/DC)されてからインバータにより交流変換(DC/AC)されて、電力供給される。また、制御装置102cについては、機内で直流化(AC/DC)後に降圧(DC/DC)される。一方、ICT装置系統104に対しては、UPS105を経由して供給される交流は、装置内で直流変換(AC/DC)後に降圧(DC/DC)される。
特開2005−269811号公報
このように給電システム100においては、空調装置系統とICT装置系統で給電形態が異なるため、複雑な変換工程が必要となり、変換ロスも大きくなるという問題がある。また、系統ごとに供給電圧が異なるため、バッテリーを相互に融通し合うシステムを構築することが困難であり、給電品質(信頼度)を均一化できないという問題もある。
本発明はこのような課題を解決するためのものであって、ICT装置系統と空調装置系統の給電品質(信頼度)を一致させ、サービス品質、空調品質を担保する技術を提供する。
また、非常時におけるバッテリーの有効利用を図るとともに、可能な限りICT装置の稼働時間を延長させる技術を提供する。
本発明は以下の内容をその要旨とする。すなわち、本発明に係る情報通信機械室における給電システム、
(1)ICT装置系統と空調装置系統に電力供給する情報通信機械室における給電システムであって、電源から供給される交流電力を直流電力に整流する整流手段と、該整流手段の下流側に、ICT装置系統及び空調装置系統をバックアップする非常用バッテリーと、を備え、該非常用バッテリーは、該ICT装置系統及び該空調装置系統にそれぞれ配設され、かつ、いずれか一方のバッテリーから他方のバッテリー側の系統に、相互に給電可能に構成したことを特徴とする。
本発明において、「ICT装置」とは、サーバ、ストレージ、ルータ等の情報通信機器・装置を含む概念である。
図7,8は、それぞれ空調装置系統及びICT装置系統に関して、本発明と従来給電システムの構成を比較した図である。本発明によれば、両系統ともに直流給電としたため、従来システムで必要であったUPS内のDC/AC変換手段、及び、空調装置内のAC/DC変換手段(同図網掛け部分)が不要となる。従って、その分、変換ロスの減少を図ることができる。
(2)上記(1)の発明において、前記ICT装置系統及び前記空調装置系統が、単一の前記非常用バッテリーを共用するように構成したことを特徴とする。
(3)上記各発明において、前記整流手段は、前記ICT装置系統及び前記空調装置系統に、同一電圧の直流電力を供給可能に構成して成ることを特徴とする。
両系統の電圧が異なる場合、バッテリー間の電力融通を可能にするためには、図9に例示するように、系統別にAC/DC変換手段を持ち、かつ、バッテリー切り替えの際の電圧昇降装置が必要となる。
これに対して、両系統の電圧を同一とすることにより、後述の実施形態における図1乃至4に示すように、AC/DC変換手段が共用でき、また、電圧昇降装置も不要となる。
(4)上記各発明において、前記空調装置系統は、圧縮機と、送風機と、制御部と、を含み、かつ、該圧縮機及び該送風機には、逆変換手段を介して直流から交流に変換した電力を供給し、該制御部及び前記ICT装置系統には、降圧手段を介して降圧した直流電力を供給する、ように構成したことを特徴とする。
また、本発明に係る情報通信機械室における給電制御方法は、
(5)上記(2)又は(4)の給電システムにおいて、バッテリー給電時において、いずれか一方のバッテリーが完全放電したときは、他方のバッテリー側から当該完全放電したバッテリー側の系統に給電して、両系統の運転可能時間を合わせることを特徴とする。
本発明によれば、ICT装置系統と空調装置系統をともに直流給電方式としたため、従来の交流給電方式と比較して変換手段の数を減らすことができる。これにより、変換ロスを削減でき、省エネルギー化できる。また、イニシャルコストの低減も可能となる。
また、同一電圧の直流で給電する発明にあっては、空調装置系統をバッテリバックアップするシステムにおいて、同一電源からICT装置と空調装置の双方に電源供給できる。これにより、ICT装置と空調装置の給電信頼度を同レベルにすることができる。すなわち、停電時にバッテリー放電によりICT装置と空調装置を運転している場合、ICT装置または空調装置のどちらか一方のバッテリーだけが完全放電してしまうような事態を回避することができる。
また、バッテリーを共用する発明にあっては、バッテリー設置台数を最小限にすることができ、イニシャルコストの低減が可能となる。
第一の実施形態に係る給電システム1の構成を示す図である。 給電システム1の通常時における給電形態を示す図である。 給電システム1のバッテリー給電時における給電形態を示す図である。 同上のバッテリー5b完全放電時における給電形態を示す図である。 第二の実施形態に係る給電システム20の構成を示す図である。 空調機停止時における発熱密度別ラック上段部の温度上昇状況を示す図である。 空調装置系統に関する、従来システムと本発明によるシステムの構成の比較を示す図である。 ICT装置系統に関する、従来システムと本発明によるシステムの構成の比較を示す図である。 空調装置系統とICT装置系統の供給電圧が異なる場合のシステム構成例を示す図である。 従来の給電システム100の構成を示す図である。
以下、本発明の各実施形態について、図1乃至5を参照してさらに詳細に説明する。重複説明を避けるため、各図において同一構成には同一符号を用いている。なお、本発明の範囲は特許請求の範囲記載のものであって、以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。
(第一の実施形態)
図1を参照して、給電システム1の電力供給系統は、商用電源2a、非常用エンジン発電機2bにより交流(例えば200V)を供給する交流電源部2と、
交流を直流(例えば380V)に整流する整流手段(ダイオード)4と、整流手段4の下流側に空調装置系統7及びICT装置系統8と、整流手段4の下流側に各系統のバックアップ用バッテリー5a、5bと、各バッテリーからの給電経路を切り替えるための切替スイッチ(SW)6a〜6cと、切替制御のための制御部6と、を主要構成として備えている。なお、図示を省略するが、バッテリー5a、6aには、通常時には充電を行い、非常時には無瞬断でバッテリー給電に切り替える機構が付設されている。
空調装置系統7は、圧縮機7a、送風機7b、制御装置7cを主要構成として備えている。このうち、圧縮機7a、送風機7bについては、整流手段4により直流化された電力が、逆変換手段(インバータ)7d、7eにより交流に変換され、さらに周波数制御されて機器に供給される。また、制御装置7cについては、降圧手段(コンバータ)7fにより降圧されて電力供給される。一方、ICT装置系統8については、降圧手段8bによりICT装置8aに対応する電圧に降圧される。
給電システム1は以上のように構成されており、次に、図2乃至4を参照して、給電システム1の通常時(商用電源通電時)及び非常時(商用電源遮断時)における給電制御について説明する。なお、以下の電源切り替え制御は、制御部6による指令により行われる。
<通常時>
図2に示すように、SW6a、6bは無瞬断でバッテリー給電に切り替えるため閉に、SW6cは開状態にある。商用電源2aから供給される交流電力が整流手段4でAC/DC変換(整流)され、空調装置系統7及びICT装置系統8に供給される。そして、各系統内で個別にDC/AC変換又はDC/DCされて、各装置に供給される。
<非常時>
次に、停電等の非常時においては、図3に示すように無瞬断でバッテリー給電に切り替えられる。その後、エンジン発電機2bが起動した後は、発電機2bからの給電に切り替えられる。
発電機2bが正常に起動しない場合には、バッテリー給電が継続される。その状態で、例えばICT装置系統8側のバッテリー5bが完全放電したときは、SW6b開、SW6a、6c閉に切り替えられる(図4)。これにより、両系統ともにバッテリー5aから給電されることになる。同様に、空調装置系統7側のバッテリー5aが完全放電したときは、両系統ともにバッテリー5bから給電されることになる。
このような給電方式により、両系統の給電品質を同一レベルに合わせることができる。
なお本実施形態では、空調装置系統7及びICT装置系統8が、共通の交流電源部2(商用電源2a、非常用エンジン発電機2b)から分岐する例を示したが、それぞれ別の交流電源から電力供給を受ける形態とすることもできる。
また、空調装置系統7とICT装置系統8への給電電圧を同一とする例を示したが、異なる給電電圧とする形態としてもよい。但し、その場合には図9に示すように、系統ごとにAC/DC変換手段を備えるとともに、バッテリー出力部に電圧調整装置を付設する必要がある。
(第二の実施形態)
次に、図5を参照して、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態に係る給電システム20の構成が上述の給電システム1と異なる点は、系統ごとにバッテリーを備えているのではなく、両系統共用のバッテリー21を備えていることである。また、バッテリー共用のため、給電切替SW類は不要としている。
次に、給電システム20の通常時及び非常時における給電制御については、以下の通りである。通常時の給電制御は上述の実施形態と同様である。また、停電時等においては、バッテリー給電に切り替えられ、直流給電される。エンジン発電機2b稼動後は発電機からの交流給電に切り替えられる。
エンジン起動がうまくいかない場合、バッテリー給電が継続されるが、単一のバッテリー5aからの給電であるため、両系統とも同時に運転停止することになる。このようにして、信頼度を合わせることができる。
本発明は、情報通信機械室(データセンタ)のみならず、ICT装置と空調装置及び電力供給設備を備えた施設等の給電システムとして広く適用可能である。
1、20・・・・給電システム
2・・・・交流電源部
2a・・・商用電源
2b・・・非常用エンジン発電機
4・・・・整流手段
5a、5b、21・・・・バックアップ用バッテリー
7・・・・空調装置系統
7a・・・圧縮機
7b・・・送風機
7c・・・制御装置
7d、7e・・・逆変換手段(インバータ)
7f、8b・・・降圧手段(コンバータ)
8・・・・ICT装置系統

Claims (4)

  1. ICT装置系統と空調装置系統に電力供給する情報通信機械室における給電システムであって、
    電源から供給される交流電力を直流電力に整流する整流手段と、
    該整流手段の下流側に、ICT装置系統及び空調装置系統、及び、両系統をバックアップする非常用バッテリーと、を備え、
    該空調装置系統は、圧縮機と、送風機と、制御部と、を含み、
    該圧縮機及び該送風機には、逆変換手段を介して直流から交流に変換した電力を供給し、
    該制御部及び該ICT装置系統には、降圧手段を介して降圧した直流電力を供給する、ように構成し、
    該非常用バッテリーは、該ICT装置系統及び該空調装置系統にそれぞれ配設され、
    いずれか一方のバッテリーから他方のバッテリー側の系統に、相互に給電可能に構成したことを特徴とする情報通信機械室における給電システム。
  2. 請求項1において、
    「該非常用バッテリーは、該ICT装置系統及び該空調装置系統にそれぞれ配設され、かつ、いずれか一方のバッテリーから他方のバッテリー側の系統に、相互に給電可能に構成」に替えて、
    「該非常用バッテリーは単一であり、かつ、該ICT装置系統及び該空調装置系統に給電可能に構成」であることを特徴とする情報通信機械室における給電システム。
  3. 前記整流手段は、前記ICT装置系統及び前記空調装置系統に、同一電圧の直流電力を供給可能に構成して成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の情報通信機械室における給電システム。
  4. 請求項1又は3に記載の情報通信機械室における給電システムにおいて、
    バッテリー給電時において、いずれか一方のバッテリーが完全放電したときは、他方のバッテリー側から当該完全放電したバッテリー側の系統に給電して、両系統の運転可能時間を合わせることを特徴とする情報通信機械室における給電制御方法。
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