JP5533421B2 - ターボ圧縮機 - Google Patents
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Description
特許文献3は、軸流圧縮機に関するものであり、インペラが位置するケーシングに周方向に延びるスリットを設け、このスリット内で気体を循環させるものである。
特許文献4は、軸流圧縮機に関するものであり、インペラが位置するケーシングに設置されたスリットから気体を抽気してインペラの上流側に気体を循環させるものである。
また、上述した従来のケーシングトリートメントでは、抽気が常時行われるため、最大流量側では効率が悪化するおそれがある。
該軸流圧縮機の下流側に同軸に配置され前記軸心を中心に回転する遠心インペラを有する遠心圧縮機と、
前記軸流圧縮機の動翼列と遠心圧縮機の遠心インペラを囲みその内側に気体の流路を構成するケーシングと、
前記動翼列の上流側と下流側のケーシング内面を直接連通する循環流路と、を備え、
前記循環流路の上流端は、前記遠心インペラより上流側であって、静圧が動翼列及び遠心インペラの位置より高い位置に設定されている、ことを特徴とするターボ圧縮機が提供される。
前記循環流路の上流端は、前記静翼列の位置である。
その結果、実際に流入する気体流量が減少した場合でも、抽気流量に相当する分、圧縮機インペラへと流入する見かけの流量が増加もしくは維持されるため、効率を悪化させることなく小流量側へ作動域を拡大することができる。
図1は、本発明の第1実施形態によるターボ圧縮機の全体構成図である。
この図において、本発明の第1実施形態によるターボ圧縮機10は、軸流圧縮機12、遠心圧縮機14、ケーシング16、循環流路18、及び流路開閉装置20を備える。
本発明の第1実施形態によるターボ圧縮機10は、例えば空気を圧縮する過給機用の圧縮機であるが、本発明はこれに限定されず、その他の圧縮機であってもよい。
軸流圧縮機12と遠心圧縮機14の回転軸(図示せず)は、同一でも別軸でもよい。別軸の場合、それぞれの回転速度は、同一でも相違してもよい。
気体1は、例えば空気であるが、その他の気体(排気ガス、窒素ガス、等)であってもよい。
流路15は、ケーシング16の内面16aと動翼列12aが取り付けられたロータ13との間、及びケーシング16の内面16aと遠心インペラ14aの翼部が取り付けられたコーン部17との間の空間である。流路15の断面形状は、ドーナツ形状(中空円形)である。
循環流路18の上流端18aは、動翼列12aの下流側に位置するケーシング内面に開口しており、循環流路18の下流端18bは、動翼列12aの上流側に位置するケーシング内面に開口している。上流端18aと下流端18bを結ぶ循環流路18の中間部分18cはケーシング16の内面16aより外側に設けられている。
また、中間部分18cの軸心Z−Zに直交する断面形状は、上流端18aから下流端18bまでの圧力損失を低くできる限りで任意であり、1又は複数の円形、矩形、円弧形状、その他であってもよい。
この例において、流路開閉装置20は、循環流路18の中間部分18cにおいて軸方向に移動可能な弁部材20aと、弁部材20aを軸方向に移動させるアクチュエータ20bとからなる。アクチュエータ20bは、弁部材20aを下流端18bへの分岐位置(全閉位置)と分岐位置より外側(全開位置)とのいずれかに位置決めするようになっている。
この図において、横軸は遠心インペラ14aの下流端を基準とする軸方向位置、縦軸は回転中心(Z−Z軸)からの半径方向距離と入口側圧力を基準とする静圧比である。
図中のターボ圧縮機10は、回転中心(Z−Z軸)の上半分を示している。
また、ターボ圧縮機10の上部に示す曲線は、循環流路18がない場合のターボ圧縮機10の各部に対応する静圧比である。
さらに、図中のA1,A2,A3,A4は、それぞれ動翼列12aの上流側、動翼列12aの位置、静翼列12bの位置、及び遠心インペラ14aの上流側における静圧を示している。なおこの静圧分布図は、所定の条件におけるシミュレーション結果である。
すなわち図2の例において、循環流路18の上流端18aは、A3に相当する静翼列18bの位置に設定されている。
この図において、横軸は流量、縦軸は圧力比と効率である。また、図中の実線は、循環流路(すなわちケーシングトリートメント)がない場合、破線は循環流路がある場合である。
さらに、図中のB1は最大回転速度における特性、B2は最小回転速度における特性、B3はその中間速度における特性、B4はサージラインを示している。すなわち、循環流路がない場合、従来のターボ圧縮機はB1,B2,B4で囲まれる領域が作動領域であることを模式的に示している。
しかし、上述したように従来の抽気位置は、軸流圧縮機の上流側との差圧が低いため、抽気流量が少なく、小流量側作動域への移動が少ない。
また、従来のケーシングトリートメントでは、抽気が常時行われるため、抽気流量に相当する分、圧縮できる最大流量が減少する場合がある。
この図において、図中の実線は循環流路18が全閉の場合、破線は循環流路18が全開の場合である。全閉の場合、図3の従来例の循環流路(すなわちケーシングトリートメント)がない場合と一致する。
なお、図3と同様に、図中のB1は最大回転速度における特性、B2は最小回転速度における特性、B3はその中間速度における特性、B4はサージラインを示している。すなわち、循環流路がない場合、本発明の第1実施形態によるターボ圧縮機10はB1,B2,B4で囲まれる領域が作動領域であることを模式的に示している。
この場合、本発明の第1実施形態では、図2に示したように、循環流路18の上流端18a(抽気位置)が、静圧が動翼列12a及び遠心インペラ14aの位置より高い位置(A3)に設定されているので、軸流圧縮機12の上流側(A1)との差圧が大きいため、大量の気体を抽気することができる。
その結果、本発明の第1実施形態では、小流量側へ作動域を拡大することができる。
従って、流路開閉装置20を必要に応じて作動させることにより、圧縮できる最大流量を維持したまま、小流量側へ作動域を拡大できる。
折線Cの折曲がり位置C1における効率は、図3と図4の比較から、図4の方が高いことがわかる。
これに対し、本発明の第1実施形態では、循環流路を流れる気体の流量が多く、圧縮機インペラへと流入する見かけの流量を増加させることが可能となり、効率がほとんど低下しないものと考えられる。
その結果、見かけ上の流量が増加し、圧縮機の作動域全体が小流量側へシフトする。さらに循環流路18を流路開閉装置20によって制御することにより、広範囲で作動可能なターボ圧縮機10が実現可能となる。
図5は、本発明の第2実施形態によるターボ圧縮機の全体構成図である。
この図において、第2実施形態のターボ圧縮機10は、軸流圧縮機12、遠心圧縮機14、ケーシング16、循環流路18、及び循環量制御装置20を備える。
以下において、主に、上述した第1実施形態によるターボ圧縮機10を異なる点(構成や作用など)について、第2実施形態によるターボ圧縮機10を説明する。
以下において、第2実施形態によるターボ圧縮機10について説明しない点(構成や作用など)は、上述の第1実施形態と同じである。
循環流路18の上流端18aは、動翼列12aの下流側に位置するケーシング内面16aに開口しており、循環流路18の下流端18bは、動翼列12aの上流側に位置するケーシング内面16aに開口している。上流端18aと下流端18bを結ぶ循環流路18の中間部分18cはケーシング16の内面16aより外側に設けられている。
図5、図6に示すように、循環流路18の中間部分18cの少なくとも一部は、その外面19a及び内面19bが軸心Z−Z上の点Oを中心とする球面形状になっている。この例において、外面19aは点Oを中心とする半径R1の球面の一部であり、内面19bは点Oを中心とする半径R2の球面の一部である。
この例において、循環量制御装置20は、前記球面形状の外面19a及び内面19bに沿って円弧状に延びる複数のベーン20aと、Z−Z上の点Oを通る揺動軸21を中心に複数のベーン20aを揺動させるアクチュエータ20bとからなる。なお、各ベーン20aは、軸心Z−Zと平行な方向においても、当該方向と直交する方向においても、前記球面形状の外面19a及び内面19bに沿って延びる。従って、各ベーン20aにおいて、外面19aと対向する面、および内面19bと対向する面は、それぞれ球面の一部を構成する。
複数のベーン20aの揺動は、同期するのが好ましい。また、この同期を達成するために、複数の揺動軸21を同期させる同期機構を用いるのが好ましい。また各揺動軸21をそれぞれ別のアクチュエータ20bで同期させてもよい。
従って、この構成により、循環流路18の流量を全閉から全開まで制御することができる。
なお、本発明は、この構成に限定されず、循環流路18の流量を連続的に制御できればよい。
このスワールの方向は、圧縮機の回転方向と同じ順スワールでも、圧縮機の回転方向と逆向きの逆スワールでもよい。また、このスワールにより、動翼列12aに流入する気体全体のスワールを制御し、効率を高めてもよい。
すなわち図2の例において、循環流路18の上流端18aは、A3に相当する静翼列12bの位置に設定されている。
この図において、図中の太い実線は循環流路18が全閉の場合、破線は循環流路18が全開の場合である。全閉の場合、図3の従来例の循環流路(すなわちケーシングトリートメント)がない場合と一致する。また、細い実線は、全閉と全開の中間位置、すなわち循環流路18を流れる流量が最大と最小の中間流量の場合である。
この場合、本発明の第2実施形態では、図2に示したように、循環流路18の上流端18a(抽気位置)が、静圧が動翼列12a及び遠心インペラ14aの位置より高い位置(A3)に設定されているので、軸流圧縮機12の上流側(A1)との差圧が大きいため、大量の気体を抽気することができる。
その結果、本発明の第2実施形態では、小流量側へ作動域を拡大することができる。
従って、循環量制御装置20により循環流路18の流量を制御することにより、圧縮できる最大流量を維持したまま、効率を悪化させることなく小流量側へ作動域を拡大できる。
折線Cの折曲がり位置C1における効率は、図3と図7の比較から、図7の方が高いことがわかる。
これに対し、本発明の第2実施形態では、循環流路を流れる気体の流量が多く、圧縮機インペラへと流入する見かけの流量を増加させることが可能となり、効率がほとんど低下しないものと考えられる。
その結果、見かけ上の流量が増加し、圧縮機の作動域全体が小流量側へシフトする。さらに循環流路18の流量を循環量制御装置20によって連続的に制御することにより、広範囲で作動可能なターボ圧縮機10が実現可能となる。
10 ターボ圧縮機、12 軸流圧縮機、
12a 動翼列、12b 静翼列、13 ロータ、
14 遠心圧縮機、14a 遠心インペラ、
15 流路、16 ケーシング、16a 内面、
17 コーン部、18 循環流路、
18a 上流端、18b 下流端、18c 中間部分、
20 流路開閉装置、循環量制御装置 20a 弁部材、ベーン、20b アクチュエータ
Claims (4)
- 軸心を中心に回転する動翼列を有する軸流圧縮機と、
該軸流圧縮機の下流側に同軸に配置され前記軸心を中心に回転する遠心インペラを有する遠心圧縮機と、
前記軸流圧縮機の動翼列と遠心圧縮機の遠心インペラを囲みその内側に気体の流路を構成するケーシングと、
前記動翼列の上流側と下流側のケーシング内面を直接連通する循環流路と、を備え、
前記循環流路の上流端は、前記遠心インペラより上流側であって、静圧が動翼列及び遠心インペラの位置より高い位置に設定されている、ことを特徴とするターボ圧縮機。 - 前記軸流圧縮機は前記動翼列の下流側に回転しない静翼列を有しており、
前記循環流路の上流端は、前記静翼列の位置である、ことを特徴とする請求項1に記載のターボ圧縮機。 - 前記循環流路を全開又は全閉に択一的に切換可能な流路開閉装置を備える、ことを特徴とする請求項1または2に記載のターボ圧縮機。
- 前記循環流路を流れる気体の流量を連続的に制御可能な循環量制御装置を備える、ことを特徴とする請求項1または2に記載のターボ圧縮機。
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