JP5528821B2 - 弁体の取付構造 - Google Patents

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Description

本発明は、車両に搭載する自動変速機が備える制御ボディに対してソレノイドバルブなどの弁体を取り付けるための弁体の取付構造に関する。
自動変速機には、変速制御用のライン圧や変速時のクラッチ圧を制御するため、ソレノイドバルブ(弁体)が使用されている。ソレノイドバルブは、自動変速機が備える油圧制御回路を内蔵した制御ボディの表面に取り付けられている。従来、ソレノイドバルブを制御ボディに取り付ける方式として、特許文献1に示すように、櫛歯型(いわゆるギロチン状)の固定片(ブラケット)でソレノイドバルブを固定する方式と、特許文献2に示すように、ソレノイドバルブに差し込んだピンで固定する方式とがある。櫛歯型の固定片で固定する方式は、ソレノイドバルブの外周の三面に設けたスリット状の切込溝に対して、固定片に形成したコ字状の凹部を嵌め込むようになっている。一方、ピンで固定する方式は、ソレノイドバルブの外周の一面に設けた直線状の挿入溝と制御ボディの挿入穴との位置を合わせ、挿入溝に差し込んだピンをボディの挿入穴に挿入固定するようになっている。
特開2002−156063号公報 特開2007−187292号公報
特許文献1に示す櫛歯型の固定片で固定する方式では、固定片を設置する際、ソレノイドバルブの切込溝と固定片の凹部との位置合わせ(向き合わせ)を行う必要がある。この位置合わせは、制御ボディの装着穴に挿入したソレノイドバルブを回転させて行う。そして、一の固定片で複数のソレノイドバルブを取り付ける際、全てのソレノイドバルブの位置合わせを一度に行う必要がある。そのため、ソレノイドバルブの取り付けに手間と時間がかかる要因となる。特に、一の固定片で取り付けるソレノイドバルブの数が増えると、上記の位置合わせの作業が煩雑になり、ソレノイドバルブの組み付けに要する手間と時間が大幅に増加する。
また、上記の櫛歯状の固定片は、プレス加工で製造された部品であるため、ボルトのフランジ面を含めて一定の板厚になっている。そのため、本来必要でない板厚を有している箇所もある。また、強度保持のための形状や、ボルトで留めるためのフランジ面など、櫛歯状の固定片で固定する箇所は、複雑な形状になっている。これらにより、制御ボディの重量増や構造の複雑化につながる懸念がある。
また、上記の櫛歯状の固定片は、ソレノイドバルブに被せて取り付け、上面側からボルトを締結して固定する。そのため、ソレノイドバルブ及び固定片よりも高い位置にボルトの頭部が突出した状態となる。これにより、制御ボディの厚さ寸法が大きくなるという問題がある。
一方、ソレノイドバルブをピンで固定する方式では、複数のソレノイドバルブを取り付ける場合、各ソレノイドバルブに対応するピンと、ピン抜止用のステイと、該ステイを固定するボルトが必要となる。そのため、取付構造に必要な部品点数が多くなり、構造が煩雑になる。また、各ソレノイドバルブに対して、ピンを差し込む作業と、ピンの抜け止めステイをセットする作業と、ボルト締めを行う作業とが必要であるため、ソレノイドバルブの取り付けに必要な工数が多い。また、ボルトの座面加工や、ボルト穴(タップ)の加工、ピン穴の加工など、必要な部品加工が多い。
また、上記の櫛歯型の固定片で固定する方式と、ピンで固定する方式とに共通の問題として、部品の固定・抜止専用のボルトが必要となり、部品点数が多くなるという点がある。また、ボルト穴加工、ボス部の加工など、部品加工の工程が多くなるという問題もある。
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単な構造で部品点数を増加させず、かつ取付工程を簡素化しながらも、ボディに対する抜け止め及び回り止めを施した状態での弁体の取り付けが行える取付構造を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明にかかる弁体の取付構造は、取付面(11)を有するボディ(10)と、ボディ(10)の取付面(11)上で該取付面(11)に沿う向きに開口する挿入部(13)と、挿入部(13)に対して軸方向に挿入されて該挿入部(13)に回転可能に収容される柱形状の弁体(30)と、取付面(11)上で挿入部(13)に対する弁体(30)の挿入方向に対して交差する方向に延びるスリット部(15)と、弁体(30)の外周面(31)に形成した切込溝(35)と、挿入部(13)に収容された弁体(30)を係止するための長尺状の係止部材(20)と、を備え、弁体(30)を挿入部(13)に挿入した状態で、該弁体(30)を回転させて切込溝(35)をスリット部(15)側に向けて、スリット部(15)に差し込んだ係止部材(20)を切込溝(35)に係合させることで、挿入部(13)に収容した弁体(30)の抜け止め及び回り止めを施すように構成したことを特徴とする。
また、この取付構造では、取付面(11)上には、複数の弁体(30)それぞれを挿入させる複数の挿入部(13)が並べて配置されており、スリット部(15)は、複数の挿入部(13)に対応する位置に跨って延びており、複数の弁体(30)それぞれの切込溝(35)がスリット部(15)側を向くように複数の弁体(30)それぞれを順に回転させて向きを揃えながら、スリット部(15)に差し込んだ係止部材(20)を切込溝(35)に係合させることで、一の係止部材(20)で複数の弁体(30)の抜け止め及び回り止めがなされるようにするとよい。
本発明にかかる弁体の取付構造によれば、挿入部に挿入した弁体を回転させることで、切込溝をスリット部側に向けて、スリット部に差し込んだ係止部材を切込溝に係合させることで、挿入部に収容した弁体の抜け止め及び回り止めを行うように構成した。これにより、ボディに対する弁体の取り付けにボルトなどの締結具を使用せずに済むので、部品点数の少ない簡単な取付構造でありながら、取付面に対して抜け止め及び回り留めを施した状態で弁体を取り付けることが可能となる。また、弁体の取り付けにボルトなどの締結具を用いないので、弁体を取り付けたボディの高さ(厚さ)寸法を低く抑えることができる。したがって、ボディの外形寸法の小型化を図ることができる。
従来の櫛歯状の固定片を用いる取付方式では、部品点数が少ない反面、複数の弁体の向きを一度に揃えて弁体を固定する必要があり、作業の煩雑化を招いていた。また、ピンを用いる取付方式では、複数の弁体それぞれを別個の作業で固定できるので、個々の弁体の組付作業性は良いが、部品点数の増加及び組立工程の煩雑化を招いていた。これらに対して、本発明にかかる取付構造では、部品点数を少なく抑えて、かつ、複数の弁体それぞれを順に回転させながら組み付けることができるので、構成の簡素化と組付性の向上との両方を実現することができる。
つまり、本発明にかかる取付構造では、長尺状の係止部材をスリット部に差し込みながら各弁体の切込溝に順に係合させて、弁体の抜け止め及び回り止めを行うので、取り付ける弁体の数が増えても組付作業が行い易い。また、一の係止部材で複数の弁体の抜け止め及び回り止めが行えるので、部品点数が少なくて済み、製造コストを削減できる。また、ボディ及び弁体に必要な加工が少なくて済み、加工コスト及び手間の低減を図ることができる。さらに、スリット部及びそれに差し込んで設置する係止部材は、例えば直線状に形成するなど比較的単純な形状で済むので、その点においても、部品の加工コストを低く抑えることができる。
また、上記の弁体の取付構造では、切込溝(35)の少なくとも一方の端部には、該切込溝(35)を掘り下げて面取りしてなる面取部(36)を設けるとよい。これによれば、弁体の向きをある程度合わせるだけで、ステイを切込溝に差し込むことができる。そして、ステイを切込溝に深く差し込むに連れて、弁体が回転して切込溝がスリット部側を向くようになる。したがって、係止部材を切込溝に係合させる作業が行い易くなるので、弁体の取付作業の効率をより向上させることができる。
また、上記の弁体の取付構造では、係止部材(20)は、その長手方向に沿って異なる幅寸法(H1,H2)の部分を有しており、かつ、複数の弁体(30)が備える切込溝(35)を互いに異なる深さ寸法(L1,L2)に設定することで、スリット部(15)とそれに対向する複数の切込溝(35)それぞれとの間の寸法を係止部材(20)の幅寸法(H1,H2)に対応させるとよい。これによれば、種類の異なる弁体を一の取付面上に取り付ける場合、係止部材の幅寸法の違いによって弁体の取り付け箇所を区別できるようになるので、弁体の誤組み付けを効果的に防止できるようになる。
また、上記の弁体の取付構造では、係止部材(20)には、該係止部材(20)をスリット部(15)に差し込んだ状態で弁体(30)に当接する当接部(21)が設けられており、当接部(21)が弁体(30)に当接することで、係止部材(20)がスリット部(15)から抜ける方向へ移動することが規制されるようにしてよい。あるいは、ボディ(10)に取り付けた他の部品(17,18)を備え、当該他の部品(17,18)をスリット部(15)に差し込んだ係止部材(20)に当接させることで、係止部材(20)がスリット部(15)から抜ける方向へ移動することが規制されるように構成してよい。これらによれば、簡単な構成で、スリット部に差し込んだ係止部材の抜け方向への移動を規制できるので、係止部材による弁体の抜け止め及び回り止めを維持することができる。
また、上記の弁体の取付構造では、ボディ(10)が車両に搭載された状態で、取付面(11)が縦向きになり、かつ、スリット部(15)が上下方向に延びるように設置され、係止部材(20)は、スリット部(15)に対して上方から下方に向けて差し込まれて設置されるようにしてよい。これによれば、係止部材をスリット部に差し込んで弁体の切込溝に係合させる作業が行い易くなる。したがって、弁体の取付作業の効率をより向上させることができる。また、スリット部に差し込んで設置した係止部材に対して、抜け止めを行う構造を別途に設けなくても、スリット部から係止部材が抜けることを防止できるようになる。
なお、上記の括弧内の符号は、後述する実施形態における対応する構成要素の符号を本発明の一例として示したものである。
本発明にかかる弁体の取付構造によれば、簡単な構造で部品点数を増加させず、かつ取付工程を簡素化しながらも、ボディに対する抜け止め及び回り止めを施した状態での弁体の取り付けが行えるようになる。
本発明の一実施形態にかかる弁体の取付構造を用いてソレノイドバルブを取り付けた制御ボディを示す概略斜視図である。 ソレノイドバルブを取り付けた制御ボディを示す図で、(a)は、制御ボディの取付面を示す平面図、(b)は、(a)のA−A矢視断面図である。 制御ボディに取り付けたソレノイドバルブを示す図で、(a)は、挿入穴に収容したソレノイドバルブを示す横断面図、(b)は、(a)のB−B矢視断面図である。 取付面に締結したボルトでステイの抜け止めを行う状態を示す図である。 本発明の第2実施形態にかかる取付構造を示す図で、切込溝の端部を面取りしてなる面取部の構成例を示す図である。 本発明の第3実施形態にかかる取付構造を示す図で、ステイの長手方向の途中で幅寸法を異ならせた構成例を示す図である。 本発明の第4実施形態にかかる取付構造を示す図で、取付面上に設置したカバーでステイの抜け止めを行う場合を示す図である。 本発明の第5実施形態にかかる取付構造を示す図で、ステイに設けた爪片でステイの抜け止めを行う構成例を示す図である。 本発明の第6実施形態にかかる取付構造を示す図で、車両に設置した状態での制御ボディを示す図である。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1及び図2は、本発明にかかる弁体の取付構造の一実施形態を示す図で、図1は、ソレノイドバルブ(弁体)30を取り付けた制御ボディ10を示す概略の斜視図である。また、図2(a)は、ソレノイドバルブ30を取り付けた制御ボディ10の取付面11を示す平面図であり、(b)は、(a)のA−A矢視の概略断面図である。また、図3は、ソレノイドバルブ30の取付状態を示す図で、(a)は、取付面11の挿入穴13に収容したソレノイドバルブ30を示す部分概略側面図(一部断面図)であり、(b)は、(a)のB−B矢視断面図である。なお、断面図では、ソレノイドバルブ30の内部構造は図示を省略している。本実施形態の取付構造は、車両用の自動変速機が備える油圧制御回路を有する制御ボディ10にソレノイドバルブ30を取り付けるための取付構造である。
制御ボディ10は、変速制御用の油圧制御回路を内蔵したハウジングであり、外形が薄型の直方体状の箱型に形成されている。制御ボディ10の外側の一面(図1では上面)は、ソレノイドバルブ30を取り付ける取付面11になっている。取付面11には、半円筒型に形成された装着部12が設けられている。装着部12は、取付面11上に複数個(図では3個)が設置されている。複数個の装着部12は、ソレノイドバルブ30の挿入方向に対して直交する横方向に沿って並べて設置されている。各装着部12内には、ソレノイドバルブ30を挿入するための挿入穴(挿入部)13が形成されている。挿入穴13は、その軸方向が取付面11と平行に延びる円筒状の貫通穴として形成されており、ソレノイドバルブ30の回転を許容した状態で、該ソレノイドバルブ30の一部を挿入させるようになっている。なお、以下の説明では、単に挿入方向というときは、挿入穴13へのソレノイドバルブ30の挿入方向を示すものとする。
ソレノイドバルブ30は、図2(a)に示すように、互いに同軸上に設けたスプール弁部30aと電磁アクチュエータ部30bとを備えて構成されている。スプール弁部30aは、円筒状に形成されたスリーブ31と該スリーブ31に収容された図示しないスプールとを備えている。電磁アクチュエータ部30bは、スリーブ31の軸方向の端部に連接された円柱状の外形を有している。
そして、制御ボディ10の取付面11には、細溝状のスリット部15が設けられている。スリット部15は、挿入穴13の一端の近傍に配置されており、3個の挿入穴13に対応する位置に跨って延びている。スリット部15は、図1及び図2に示すように、挿入方向に対して直交する方向に延びる直線状の細溝として形成されており、図3(a)に示すように、断面が略コ字状に形成されている。また、図2に示すように、スリット部15の先端15aは、立壁16で塞がれた状態になっており、後端15bは、取付面11の端辺の位置で開放されている。
一方、ソレノイドバルブ30のスリーブ31には、直線状の切込溝35が形成されている。切込溝35は、図3(b)に示すように、円筒面状のスリーブ31の外周を直線状に切り込んだ形状であり、スリーブ31の外周に一本のみが形成されている。切込溝35の断面は、図3(a)に示すように、スリット部15の断面と対称な略コ字状に形成されている。
そして、制御ボディ10のスリット部15に差し込んで設置するステイ(係止部材)20が設けられている。ステイ20は、図1及び図2に示すように、合成樹脂製の成型品などからなる直線状の細板であって、図3(a)に示すように、スリット部15の断面と切込溝35の断面とに沿う略長方形の断面形状を有している。ステイ20の長さ寸法は、その全体がスリット部15に収容されるように、スリット部15の長手方向の寸法よりも若干短い寸法に形成されている。なお、図2(b)に示すようにように、ステイ20は、その先端20aの角部を切り取った形状にするとよい。このようにすれば、ステイ20をソレノイドバルブ30の切込溝35に対して係合させ易くなる。
上記構成の取付構造でソレノイドバルブ30を制御ボディ10に取り付ける手順を説明する。まず、取付面11上の挿入穴13にソレノイドバルブ30のスプール弁部30aを挿入する。これには、図1に示す挿入方向にスプール弁部30aを挿入して、スリーブ31の先端を挿入穴13の一端から若干突出させた状態で設置する。各装着部12に対して各ソレノイドバルブ30を同様の状態で設置する。このとき、各ソレノイドバルブ30のスリーブ31が取付面11上のスリット部15の真上に位置している。その後、スリット部15の後端15bからステイ20を差し込む。そして、挿入穴13に収容されているソレノイドバルブ30を回転させて、切込溝35をスリット部15側に向ける。この状態で、スリット部15内のステイ20をソレノイドバルブ30の下側(取付面11側)に通すことで、ステイ20を切込溝35に差し込んで係合させる。ステイ20を各ソレノイドバルブ30の下側に通す際、上記の手順でソレノイドバルブ30を回転させて切込溝35をスリット部15側に向ける作業を繰り返して行い、ステイ20を各ソレノイドバルブ30の切込溝35に係合させてゆく。これにより、ステイ20が3個のソレノイドバルブ30の切込溝35に係合して、各挿入穴13に挿入された各ソレノイドバルブ30の抜け止め及び回転止めがなされる。
図4は、本実施形態にかかる取付構造の構成例を示す図で、図2(a)のA−A矢視に対応する断面図である。同図に示すように、取付面11に締結したボルト17によって、スリット部15に差し込んだステイ20の抜け止めを行うとよい。すなわち、この場合、スリット部15に差し込んだステイ20の先端20aを立壁16に当接させた状態で、スリット部15の後端15b近傍の取付面11上にボルト17を締結する。ボルト17は、詳細な図示は省略するが、必ずしもステイ20の抜け止めを行うための専用部品である必要はなく、制御ボディ10同士の締結を行う締結具や、他の部品(電気デバイスなど)を取付面11に固定するための固定具を用いるとよい。このボルト17によって、スリット部15に差し込んだステイ20の後端20bが押えられた状態になるようにする。これにより、スリット部15に差し込んだステイ20が抜けることを防止できる。
以上説明したように、本実施形態の取付構造では、制御ボディ10の取付面11に沿う向きにソレノイドバルブ30を挿入させる挿入穴13と、取付面11上でソレノイドバルブ30の挿入方向に対して交差する方向に延びるスリット部15と、ソレノイドバルブ30のスリーブ31に形成した切込溝35と、制御ボディ10に対してソレノイドバルブ30を係止するための長尺状のステイ20とを備え、ソレノイドバルブ30を挿入穴13に挿入した状態で、該ソレノイドバルブ30を回転させて切込溝35をスリット部15側に向けて、スリット部15に差し込んだステイ20をソレノイドバルブ30の切込溝35に係合させることで、挿入穴13に挿入したソレノイドバルブ30の抜け止め及び回り止めを施すように構成している。
そして、取付面11上には、複数のソレノイドバルブ30それぞれを挿入させる複数の挿入穴13が並べて配置されており、スリット部15は、複数の挿入穴13に対応する位置に跨って延びており、複数のソレノイドバルブ30それぞれの切込溝35がスリット部15側を向くように、複数のソレノイドバルブ30それぞれを順に回転させて向きを揃えながら切込溝35にステイ20を係合させることで、一のステイ20で複数のソレノイドバルブ30の抜け止め及び回り止めを行うように構成している。
この取付構造によれば、制御ボディ10に対するソレノイドバルブ30の取り付けにボルトなどの締結具を使用せずに済むので、部品点数の少ない簡単な取付構造でありながら、抜け止め及び回り留めを施した状態でのソレノイドバルブ30の取り付けが簡単に行えるようになる。また、ソレノイドバルブ30の取り付けにボルトなどの締結具を用いないので、ソレノイドバルブ30を取り付けた制御ボディ10の高さ(厚さ)寸法を低く抑えることができる。すなわち、この取付構造では、ソレノイドバルブ30の下側(取付面11側)にステイ20を配置するため、従来の櫛歯状の固定片を用いる取付方式やピンを用いる取付方式と比較して、取付構造の取付面11からの高さ寸法を低く抑えることができる。
また、従来の櫛歯状の固定片を用いる取付方式では、部品点数が少ない反面、複数のソレノイドバルブの向きを一度に揃えて固定する必要があり、作業の煩雑化を招いていた。また、従来のピンを用いる取付方式では、複数のソレノイドバルブそれぞれを別個の作業で固定できるので、個々のソレノイドバルブの組付作業性は良いが、部品点数の増加及び取付工程の煩雑化を招いていた。これに対して、本実施形態の取付構造では、部品点数を少なく抑えて、かつ、複数のソレノイドバルブ30それぞれを順に取り付けることができるので、構成の簡素化と取付性の向上との両方を実現できる。
つまり、本実施形態の取付構造では、長尺状のステイ20をスリット部15に差し込みながら複数のソレノイドバルブ30の切込溝35に対して順に係合させることで、ソレノイドバルブ30の抜け止め及び回り止めを行うので、取り付けるソレノイドバルブ30の数が増えても組付作業が行い易い。また、一のステイ20で複数のソレノイドバルブ30の抜け止め及び回り止めが行えるので、部品点数が少なくて済み、製造コストを削減できる。また、制御ボディ10及びソレノイドバルブ30に必要な加工が少なくて済み、加工コスト及び手間の低減を図ることができる。さらに、スリット部15に差し込んで設置するステイ20は、本実施形態のような直線棒状に形成するなど、比較的単純な形状で済むので、その点においても部品の加工コストを低く抑えることができる。
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態の説明及び対応する図面においては、第1実施形態と同一又は相当する構成部分には同一の符号を付し、以下ではその部分の詳細な説明は省略する。また、以下で説明する事項以外の事項については、第1実施形態と同じである。この点は、他の実施形態においても同様である。
図5は、本発明の第2実施形態にかかる取付構造を示す図で、図2(a)のA−A矢視に対応する断面を示す図である。本実施形態では、ソレノイドバルブ30の切込溝35の両端に面取部36を設けている。面取部36は、切込溝35の端部を他の部分よりも深く掘り下げて面取りした構成である。このような面取部36を設けていれば、ステイ20の先端20aが切込溝35に差し込まれて係合する際、切込溝35がスリット部15に対して完全に平行でなく、若干角度を有している場合でも、面取部36によって、切込溝35とスリット部15との隙間が広く開いた状態になる。したがって、ソレノイドバルブ30の向きをある程度合わせるだけで、ステイ20を切込溝35に差し込むことができる。そして、ステイ20を切込溝35に深く差し込むに連れて、ソレノイドバルブ30が回転して切込溝35がスリット部15側を向くようになる。したがって、切込溝35にステイ20を差し込んで設置する作業が行い易くなり、ソレノイドバルブ30の取付作業の効率をより向上させることができる。なお、図5では、面取部36を切込溝35の両端に設けた場合を示したが、面取部36は、切込溝35の一方の端部のみに設けてもよい。
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図6は、本発明の第3実施形態にかかる取付構造を示す図で、図2(a)のA−A矢視に対応する断面を示す図である。本実施形態の取付構造では、ステイ20の幅寸法(高さ寸法)を長手方向の途中でH1からH2(H1>H2)に異ならせている。加えて、複数のソレノイドバルブ30が備える切込溝35の深さ寸法を互いに異ならせている。すなわち、図に示す3個のソレノイドバルブ30のうち、2個のソレノイドバルブ30の切込溝35は、その深さ寸法がL1であるのに対して、1個のソレノイドバルブ30の切込溝35は、その深さ寸法がL2(L1>L2)になっている。これにより、スリット部15とそれに向き合う複数の切込溝35それぞれとの間の寸法をステイ20の各部の幅寸法に対応させている。
上記のように構成したことで、ステイ20の長手方向に並べて設置する複数のソレノイドバルブ30は、対応するステイ20の幅寸法に適合した深さ寸法の切込溝35を有するものでなければ装着できない。これにより、種類の異なる複数のソレノイドバルブ30を一の取付面11に取り付ける場合、ステイ20の幅寸法の違いによって種類の異なるソレノイドバルブ30の取付箇所を区別できるようになる。したがって、ソレノイドバルブ30の誤組み付けを効果的に防止できる。
〔第4実施形態〕
次に、本発明の第4実施形態について説明する。図7は、本発明の第4実施形態にかかる取付構造を示す図で、図2(a)のA−A矢視に対応する断面を示す図である。本実施形態の取付構造では、第1実施形態の取付構造が備えるボルト17(図4参照)に代えて、取付面11上に設置したカバー18によって、スリット部15に差し込んだステイ20の抜け止めを行うように構成している。カバー18は、側壁18aと上壁18bを有し、取付面11側に開口する容器状に形成されており、取付面11上のソレノイドバルブ30に被せて設置されるものである。
ここでは、スリット部15に差し込んだステイ20の先端20aを立壁16に当接させた状態で、取付面11にカバー18を被せて設置する。カバー18は、取付面11にボルト19の締結などで固定する。このカバー18の側壁18aをスリット部15に差し込んだステイ20の後端20bに当接させるようにする。これにより、スリット部15からステイ20が抜けることを防止できる。
本実施形態では、制御ボディ10の取付面11に取り付けたカバー18を備え、このカバー18をスリット部15と切込溝35との間に差し込んだステイ20に当接させることで、ステイ20が抜け方向へ移動することを規制するようにしている。これによれば、部品点数を少なく抑えた簡単な構成で、スリット部15に差し込んだステイ20の抜け方向への移動を規制できる。したがって、ステイ20によるソレノイドバルブ30の抜け止め及び回転止めを維持することができる。
〔第5実施形態〕
次に、本発明の第5実施形態について説明する。図8は、第5実施形態にかかる取付構造を示す図で、(a)は、図2(a)のA−A矢視に対応する断面を示す図、(b)は、(a)のC部分拡大図である。本実施形態の取付構造では、ステイ20の先端20aに設けたソレノイドバルブ30に当接する爪片(当接部)21を備えている。爪片21は、ステイ20の先端20a近傍の上面20cから突出して、ステイ20の後端20b側に向かって斜め上方に延びる細片状に形成されている。爪片21は、根元部分が若干の弾性を有してステイ20に連結されている。これにより、爪片21が前方から押え込まれると、該爪片21がステイ20の上面20cと平行になる一方、押え込む力が解除されると、爪片21がステイ20の上面20cから離間して斜め上方に延びるように構成されている。したがって、スリット部15に差し込んだステイ20をソレノイドバルブ30の切込溝35に係合させる際には、爪片21がステイ20の上面20cと平行に畳まれた状態になるので、ステイ20の差し込みの邪魔にならずに済む。その一方で、爪片21が切込溝35を越えると、畳まれていた爪片21が弾性でステイ20の上面20cから離間する。こうして、図8に示すように、爪片21の先端がソレノイドバルブ30のスリーブ31に対向した状態になる。したがって、ステイ20が抜ける方向(後側)に移動しようとすると、爪片21がソレノイドバルブ30のスリーブ31に当接してその移動が規制される。これにより、スリット部15に差し込んだステイ20が抜けることを防止できる。
このように、図8に示す構成例では、爪片(当接部)21がソレノイドバルブ30に当接することで、スリット部15に差し込んだステイ20が抜け方向へ移動することが規制される。したがって、簡単な構成で、ステイ20の抜け方向への移動を規制することができるので、ステイ20によるソレノイドバルブ30の抜け止め及び回転止めを維持することができる。なお、爪片21は、ステイ20と一体に形成されていてもよいし、ステイ20と別部品で構成したものをステイ20の先端20aに取り付けてもよい。
〔第6実施形態〕
次に、本発明の第6実施形態について説明する。図9は、第6実施形態にかかる取付構造を示す図で、制御ボディ10を車両に設置した状態(制御ボディ10を取り付けた変速機を車両に搭載した状態)を示す図である。第6実施形態の取付構造では、制御ボディ10は、車両に搭載された状態で、装着部12を設けた取付面11が縦向きになり、かつ、スリット部15が上下方向に延びるように設置されている。スリット部15は上側の後端15bが開かれており、下側の先端15aが立壁16で塞がれている。そして、ステイ20は、上下方向に延びるスリット部15に対して、上方から下方に向かって差し込まれるようになっている。
本実施形態では、スリット部15に対して、ステイ20を上方から下方に向かって差し込んで設置するので、ステイ20をスリット部15に差し込んで切込溝35に係合させる作業が行い易くなる。したがって、ソレノイドバルブ30の取付作業の効率をより向上させることができる。また、スリット部15に差し込んだステイ20に対して、抜け止めを行う別途の構造を設けなくても、ステイ20はその自重によってスリット部15内に設置された状態を維持できる。したがって、スリット部15からステイ20が抜けることを防止できる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、本発明にかかる弁体の取付構造として、油圧制御回路を有する制御ボディにソレノイドバルブを取り付ける構造を示したが、本発明にかかるボディは、上記の制御ボディに限らず、それに該にも例えば、自動変速機自体のボディや他の装置のボディなどであってもよい。また、本発明にかかる弁体は、上記のソレノイドバルブには限定されず、他の構造の弁体であってもよい。
10 制御ボディ(ボディ)
11 取付面
12 装着部
13 挿入穴(挿入部)
15 スリット部
15a 先端
15b 後端
16 立壁
17 ボルト(他の部材)
18 カバー(他の部材)
19 ボルト
20 ステイ(係止部材)
20a 先端
20b 後端
20c 上面
21 爪片(当接部)
30 ソレノイドバルブ(弁体)
31 スリーブ(外周面)
35 切込溝
36 面取部

Claims (5)

  1. 取付面を有するボディと、
    前記ボディの前記取付面上で該取付面に沿う向きに開口する挿入部と、
    前記挿入部に対して軸方向に挿入されて該挿入部に回転可能に収容される柱形状の弁体と、
    前記取付面上で前記挿入部に対する前記弁体の挿入方向に対して交差する方向に延びるスリット部と、
    前記弁体の外周面に形成した切込溝と、
    前記挿入部に収容された前記弁体を係止するための長尺状の係止部材と、を備え、
    前記切込溝の少なくとも一方の端部には、該切込溝を掘り下げて面取りしてなる面取部が設けられており、
    前記弁体を前記挿入部に挿入した状態で、該弁体を回転させて前記切込溝を前記スリット部側に向けて、前記スリット部に差し込んだ前記係止部材を前記切込溝に係合させることで、前記挿入部に収容した前記弁体の抜け止め及び回り止めを施すように構成した
    ことを特徴とする弁体の取付構造。
  2. 取付面を有するボディと、
    前記ボディの前記取付面上で該取付面に沿う向きに開口する挿入部と、
    前記挿入部に対して軸方向に挿入されて該挿入部に回転可能に収容される柱形状の弁体と、
    前記取付面上で前記挿入部に対する前記弁体の挿入方向に対して交差する方向に延びるスリット部と、
    前記弁体の外周面に形成した切込溝と、
    前記挿入部に収容された前記弁体を係止するための長尺状の係止部材と、を備え、
    前記取付面上には、複数の前記弁体それぞれを挿入させる複数の前記挿入部が並べて配置されており、
    前記スリット部は、前記複数の挿入部に対応する位置に跨って延びており、
    複数の前記弁体それぞれの前記切込溝が前記スリット部側を向くように前記複数の弁体それぞれを順に回転させて向きを揃えながら、前記スリット部に差し込んだ前記係止部材を前記切込溝に係合させることで、一の前記係止部材で複数の前記弁体の抜け止め及び回り止めがなされるように構成し、
    前記係止部材は、その長手方向に沿って異なる幅寸法の部分を有しており、かつ、複数の前記弁体が備える前記切込溝を互いに異なる深さ寸法に設定することで、前記スリット部とそれに対向する複数の前記切込溝それぞれとの間の寸法を前記係止部材の幅寸法に対応させた
    ことを特徴とする弁体の取付構造。
  3. 前記係止部材には、該係止部材を前記スリット部に差し込んだ状態で前記弁体に当接する当接部が設けられており、
    前記当接部が前記弁体に当接することで、前記係止部材が前記スリット部から抜ける方向へ移動することが規制される
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の弁体の取付構造。
  4. 前記ボディに取り付けた他の部品を備え、
    前記他の部品を前記スリット部に差し込んだ前記係止部材に当接させることで、前記係止部材が前記スリット部から抜ける方向へ移動することが規制されるように構成した
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の弁体の取付構造。
  5. 前記ボディが車両に搭載された状態で、前記取付面が縦向きになり、かつ、前記スリット部が上下方向に延びるように設置され、
    前記係止部材は、前記スリット部に対して上方から下方に向けて差し込まれて設置される
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の弁体の取付構造。
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