JP5528650B2 - 書籍等の落下防止構造及び落下防止シートと棚板 - Google Patents

書籍等の落下防止構造及び落下防止シートと棚板 Download PDF

Info

Publication number
JP5528650B2
JP5528650B2 JP2001273585A JP2001273585A JP5528650B2 JP 5528650 B2 JP5528650 B2 JP 5528650B2 JP 2001273585 A JP2001273585 A JP 2001273585A JP 2001273585 A JP2001273585 A JP 2001273585A JP 5528650 B2 JP5528650 B2 JP 5528650B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fall prevention
layer
sheet
shelf
shelf board
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2001273585A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003079461A (ja
JP2003079461A5 (ja
Inventor
道正 秦名
Original Assignee
道正 秦名
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 道正 秦名 filed Critical 道正 秦名
Priority to JP2001273585A priority Critical patent/JP5528650B2/ja
Publication of JP2003079461A publication Critical patent/JP2003079461A/ja
Publication of JP2003079461A5 publication Critical patent/JP2003079461A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5528650B2 publication Critical patent/JP5528650B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)

Description

【発明が属する技術分野】
本発明は、地震等の揺れに対し、棚に収納された書籍等に類似する収納物の落下を防止する落下防止構造及び棚板等における落下防止構造に関する。詳しくは、背板または壁のある棚等で、移動落下が一方向の収納形態に適用する落下防止手段である。
【従来の技術】
従来、地震や事故等による外力、移動体内の揺れで棚や家具が揺れると、棚や家具上の本が降るように落下する。この棚の収納物の落下を防止する手段として、次のような手段が提案されている。古くからゴムなどの弾性材が摩擦を発生することが知られている。このことから、この中から高摩擦係数の物性を持つ素材をシート状にした落下防止シートがある。このシートを収納物の下に敷くことで、揺れによる滑り移動を防止する敷物として用いる。この落下防止シートは、次のような材質が採用されている。可塑剤で軟化させた樹脂やエラストマーとしては、塩化ビニール系、ポリオレフィン系、アクリル系、ポリウレタン系、スチレン系からなるものがある。そして、ゴムシートとして天然ゴムや合成ゴム、特殊ゴムからなるものがある。これらの材料をシート状にしたり、基材の表面に塗布等の手段で表出させて落下防止シートとする。同様に、本棚や移動棚などの収納棚の棚板表面に、これら摩擦材を塗布等の手段で高摩擦層を設けて落下防止する手段がある。
これら落下防止シートは、収納物の設置面(収納物の底面と棚面が接する面)の全面に敷設することが、最も効果的であると考えられている。そして、設置面全面に摩擦による摩擦力を発生させ、滑りを阻止する構造が好ましいものと考えられている。このため、シートは設置主要面の広さにできる限り合せて敷設される。また、提供するシートの形態がテープ状の帯であっても、これを並べて敷き詰めることを推奨している。全面敷設以外では、摩擦材を高機能化して外周および端部に設けた棚として実開昭55−089344号、敷物の端部に摩擦材を設けた棚用シートとして特開2000−41770号公報が提案されている。
次に構造的なものとして、棚面に突起物を固定する手段や棚の入り口下部に棒や板、紐を橋渡しする手段が実施されている。この突起物や棒等が収納物の滑り移動を止めて、落下を防止する。たとえば、実開昭58−044942号、特開平8−308656号、特開平10−071039号公報が挙げられる。しかし、この手段は、棚の意匠や出し入れに影響を与えることで、普及させることに課題が多い。例えば、本屋や文具店でこのような構造にした場合、商品への傷付けや取出しの不便などで販売に悪影響を与える。また、一般家庭でもインテリアへの影響から好まれない。見場や出し入れの便利さの方を重視する状況では、被害に遭った後に実施する傾向にある。また、書籍本の固定手段では、粘着剤系は汚れたり紙をむしり取るため、使用が敬遠されている。現在、書籍本に細工しない手段では、この2つのタイプ(摩擦阻止と構造的阻止)の落下防止手段が実施されている。
【発明が解決しようとする課題】
収納物の落下防止機能は、収納物の下に敷設する手段が、インテリアや手軽さから最も受け入れられ易い。また、本などの紙質の収納物は、粘着質固定剤では困難であるため、この手段がよく適用される。この手段を実施する場合は、棚面のほぼ全面を敷き詰めるか、棚板表面が高摩擦面となっているものを選択する。しかし、この全面を処理することは、コスト面から次のような問題が生じる。
摩擦材であるゴム素材を耐候性や接触汚染などで総合的に評価すると、シリコーン系ゴムなどの高機能材で実施することが好ましい。しかし、これらの樹脂は高価であるため、常にコストの問題が発生する。全面処理では、その量から発生するコストで高機能化を図ることが困難となる。そして、この高価格化が普及の妨げとなる。
次に、高摩擦材の素材は、安価な塩化ビニール樹脂を筆頭に、環境へ悪影響を与える素材が多い。また、廃棄処理も極めて困難である。このことから、コストとは別に素材使用量をできる限り少なくして実施したい。
本発明の課題は、主に摩擦材の量を少なくすることである。しかし、防災対策では設置等の利便性が、その普及に重要な意味を持つ。少なくすることで、設置に手間がかかる構造や製造コストが過大になることでは解決しない。現実的には、容易にかつ安価に実施できる落下防止手段が求められる。地震のような長期に亘る防災では、確実でも普及定着しなければ意味がない。
本発明は、主に本(書籍)に類似する収納物の落下防止シート及び棚板等の構造を開発する。そして、落下防止機能は、揺れ及び収納物の特徴を有効に利用して、低コスト化と高機能化を図る。
【課題を解決するための手段】
背板のある本棚では一方向から収納し、この一方向から収納物が落下する。当然のことであるが、摩擦で解決する手段では、この特徴を有効に利用されていない。この摩擦利用手段として、全面に敷設するのではなく、落下側のみに敷設又は処理したことが、本発明の主な特徴である。この手段は単に少なくしただけでなく、位置を設定することで地震等の揺れの性質を有効に活用できる仕組みがある。
本発明は、移動落下が一方向の収納形態で、収納物の下に摩擦による落下防止の滑り止めするシートを敷設する落下防止構造において、収納物と滑り止めするシートの関係は次の条件(A)〜(C);
(A)滑り止めするシートは、表面が高摩擦層、裏面が高摩擦層または粘着層からなるシートである。
(B)該シートは、収納物と収納物設置面が接している間に敷設する。
(C)該シートを敷設する範囲は、収納物の重心より落下方向側のみである。
を満たす落下防止構造である。この高摩擦層の摩擦係数は静摩擦係数で評価する。静摩擦係数1.0に相当する防滑能力は、加速度が980galである。そして、震度7は400gal以上に相当する揺れである。このことから、理論的に静摩擦係数は400/980=0.41以上が必要となる。しかし、収納状態から摩擦が発生する条件は悪くなる。これを考慮して、対上質紙(印刷用紙A)で0.6以上の静摩擦係数を有するものを本発明の高摩擦層とする。
この摩擦で滑り止めするシートである落下防止シートの幅は、対象の収納物との関係から決定されるものであるため、度量的に定義できない。図2は、収納物と落下防止シート幅の関係図の例である。この図は収納棚を側面から見た図である。収納物が棚面と接する部分の奥行き方向の寸法を、奥行き設置長さDとすると、落下防止シートの幅WはD/2以下とする。W=D/2である。本発明は書籍等に類似する収納物を対象とするため、奥行き設置長さの1/2は重心の位置となる。現実的かつ好ましい幅は3〜5cmである。但し、これは理想的な摩擦特性の利用を前提とした設定であり、条件により幅は広くなる。逆に、防滑が高機能になれば、幅は狭くできる。
前記の落下防止構造のシートであって、シートの幅が5mm以上の帯状のシートが、本発明の落下防止構造の落下防止シートである。
次は、落下防止機能のある棚板における落下防止構造である。前記防止手段は、高摩擦を有するシートからなる滑り止めを棚板面上で実施される。この落下防止機能を面や層として、棚板面に固着又は定着させる棚板が構成できる。本発明は、移動落下が一方向の収納形態の棚に備える棚板で、収納物の下に落下防止用の滑り止め層を配設した棚板における落下防止構造において、棚板は次の条件(A)〜(D);
(A)棚板の棚面の収納物を置く面は、収納物の出し入れ方向で分割した静摩擦係数の異なる層を2層以上配設する。
(B)層は、静摩擦係数の大きい層を滑り止め層とし、隣接する静摩擦係数の小さい層を滑り止め層に対する非滑り止め層とする。
(C)滑り止め層と非滑り止め層の位置関係は、滑り止め層を出し入れ側とする。
(D)該隣接する各層の静摩擦係数の差は0.2以上である。
棚板と落下防止する対象収納物の関係は次の条件(E)〜(F);
(E)棚板の該滑り止め層またはその一部の層は、対象収納物と棚面が接している間に配設している。
(F)棚板の該滑り止め層またはその一部の層は、対象収納物の重心より出し入れ側の範囲である対象収納物面に当接している。
を満たす棚板における落下防止構造である。
この棚板は収納物を置いて収納する家具の上面も該当する。設定された摩擦係数差は、揺れエネルギーを落下防止の力として作用させる。常に揺れる移動体内の棚などに有効である。
布帛と紙の裁断面とは相性が良く、例えば極細繊維からなる布帛面に本を立てると滑りが防止できる。軽い本では、一般のゴムよりも極細繊維の方が防滑効果があり、耐候性も優れる。この防滑効果を本発明の落下防止構造の高摩擦層の表面に利用する。この適用は書籍に限るものである。シートの表面の高摩擦層が、表面が1.0デニ−ル以下の極細繊維を主体とする布帛(起毛布は除く)の層である。この落下防止構造が書籍用落下防止構造である。
また、極細繊維を主体とする布帛は、滑り止め層を配設した棚板の滑り止め層に利用できる。棚板の滑り止め層が、表面が1.0デニ−ル以下の極細繊維を主体とする布帛(起毛布は除く)からなる滑り止め層で配設されている棚板における落下防止構造である。この棚板は書籍用棚板である。
【作用】
次に、本発明の作用を説明する。図8は、収納物と揺れとの関係図である。この図は本棚4の棚板3に収納物5(書籍本)を立てた状態である。この状態で矢印の方向の揺れが作用すると、収納物5と棚板面3aとの間に摩擦が生じ、この摩擦力は収納物5を重心Gを中心にして回転させようとする。この力は、揺れ方向では異なる作用をして、一方は押付け一方は引き上げる力となる。この力により、一定に作用していた荷重分力は、荷重分力Nxと荷重分力Nyに差が生じる。この差は重心Gが高いほど大きくなる。しかし、ある高さになると収納物5は転倒する。書籍等に類似するような縦横比率のものは、大きな地震でもこの方向では転倒することはなく、滑り移動を防止する対策で落下を防止する。逆に、書籍を横に倒して置くような重心Gが低い収納物は、この差が小さい。
このように、収納物5の荷重は、揺れに対しては均一な荷重分力とはならない。滑りを防止する摩擦力は、荷重と摩擦係数の積であるため、荷重の大きい面で作用させるほうが効果的である。図9は、揺れと落下防止シートの関係図である。本発明では、この作用関係から落下防止シート1を出し入れ側(落下方向側)に敷設した。この状態で図(イ)のように揺れが作用すると、荷重分力Nxと落下防止シート1の静摩擦係数の積による摩擦力で滑りを制止する。荷重分力Nyがゼロになるような揺れであれば、全面に敷設したことと同じ結果を得る。このことは、収納物5が棚板3から落下するような揺れになるほど、この作用の効果が現れる。
次に、地震の横揺れは、横方向に繰り返して揺れる。この繰り返しの方向は、図(イ)の方向と逆方向の図(ロ)の方向である。この逆方向の揺れが作用した状態が、図(ロ)の状態である。この状態では、作用する摩擦力が収納物5を重心Gを中心にして逆回転させようとする。この作用は、揺れ速度に応じて荷重分力Nyを急激に増加させる。荷重分力Ny側には落下防止シート1がないため、通常の摩擦力が発生する。しかし、この摩擦力では滑りを阻止することはできない。(落下防止シートがない状態では、落下するものとして説明している。)このため、収納物5は本棚4の奥へ移動する。この図(イ)と図(ロ)の揺れを繰り返すと、収納物5は常に奥へ移動しようする。この移動エネルギーは揺れエネルギーを消費するもので、本棚4には緩衝作用として働く。そして、本棚4の重心は壁側に移動する。理想は、図(イ)の状態で収納物5が落下しない程度に滑り、図(ロ)の状態で奥に戻ることを繰り返すと多くのエネルギーを吸収する。重心Gが低い収納物でも揺れを繰り返していると、除々に摩擦係数の小さい方へ移動していく。
落下防止シート1を逆(奥側)に敷設すると、出し入れ側に移動して落下する。従来の帯状の落下防止シートを奥側に敷設すると、敷設しない時よりかえって落下しやすくなる。また、全面を高摩擦にすると、単に摩擦による摩擦力で強制的に滑りを止めるだけである。この摩擦力が不足していれば、さらに高い高摩擦シートが要求される。そして、本棚は多少なりとも落下方向に傾斜するため、収納物は揺れの繰り返しで、高摩擦面上で落下方向へ移動しやすい。さらに、本作用の本棚4への緩衝作用は発生しない。
本発明は、単に落下防止シートを節約する手段ではなく、このような作用の根拠がある。そして、滑り防止を効果的に作用させて、全面敷設に匹敵する機能が得られる。このように、本発明の収納物下で摩擦面を偏在させる効果は、収納物の重心を基準にして設定できる。これにより、この収納物では高摩擦シートの幅は収納物の奥行き設置長さの1/2以下が条件となる。現実には、収納物の大きさはいろいろなものが混在して収納され、収納物の基準が定まらない。しかし、幅が1/2を超えると著しく機能が低下するものではないので、最も大きい収納物を基準に設計すればよい。また、棚板に滑り止め層を配設する場合は、棚板幅の1/2を滑り止め層とすることでよい。但し、机などでよく実施されている高摩擦材や枠で周囲の縁取りし、落下を阻止する手段がある。しかし、この手段は、収納物の移動時の加速度や反動で阻止部を突破される。本発明は、この手段とは異なり、常に摩擦の大きい面の上に収納物が載るように各摩擦面を設定する。
このように、本落下防止手段の落下防止構造は、奥側の摩擦作用を省くことで地震等の揺れの挙動を制御して、地震エネルギーを防止手段に利用することが可能である。この特徴はコストの低減と機能向上を両立させる。本発明は、利用環境に合わせ、摩擦シートの特性と収納物の特徴を考慮して、落下防止シートや棚板等を構成する。
書籍等に類似するような縦横比率のものは、書籍以外にも多く存在する。例えば、ビデオケース、CDケース、タワーケース型コンピュータ、ダンボール、電化製品、小物家具、瓶類などがある。但し、設置面の狭いコンピュータディスプレイなどは転倒する。電化製品では、部分的に足などに滑り止めが施してある。本発明の作用原理では、この滑り止めの後部を機能させないことである。しかし、地震の揺れは前後とは限らない。このため、書籍のような横移動が阻止できる集合的収納形態で適用できる。ビデオデッキなどの重心が低く設置面積の広いものは、後部配線による支持で落下が防止され、後部の滑り止めを省くものがある。コストに余裕のある価格帯のものや落下防止の滑り止め対策は、4点支持が実施されていることから、本作用の根拠に基づくものではないように思われる。
【実施例】
次に、本発明の実施例を説明する。
図1は、本発明の落下防止シートを敷設した状態の斜視図である。これは、本発明の基本的な敷設形態である。この収納物5は本である。落下防止シート1は、シリコーンゴムを厚さ0.5mmのシートに成形して4cmの帯状に裁断した表面が高摩擦層、裏面が高摩擦層のシートである。物性は、硬度が30(JIS−A)、引張り強さが10MPa、伸びが400%である。シート表面は鏡面状にして密着性による摩擦特性を改善する。この落下防止シート1は、本である収納物5の重心より出し入れ側に敷設する。落下防止シート1は、収納物5と棚板3に挟まれた状態で、粘着剤等による接着はしていない。この落下防止シート1は、シリコーンゴムシートをテープ状(粘着剤は無し)の形態で需用者に提供する。
このように、本のような複数のものを立てて並べる集合体では、落下防止シート1に粘着剤等の定着機能は不用である。1冊の本を出し入れする場合、他の本がシートを押さえているため落下防止シート1は移動しない。これは、本のような収納物の特徴である。本実施例で採用したシリコーンゴムは、耐候性が良く圧縮永久歪みが小さい特性があり、落下防止シート1の信頼性を向上させる。本発明では、シートの量を少なくすることが可能であるため、高価で高機能の素材を採用できる。高機能であれば、さらに幅を狭くすることが可能である。表面が高摩擦層、裏面が接着層の落下防止シート1を棚板3に固着した場合、高摩擦層が高機能であれば5mm程度まで狭くすることが可能である。
落下防止シート1の材質は、機能的には既に高摩擦材として利用されている天然ゴム、ブチルゴム、ポリブタジエンゴムなどの汎用ゴム、ニトリルゴムなどの特殊ゴム、熱可塑性エラストマー、軟質合成樹脂が採用できる。防災に関する用品では、長期に亘る機能維持が性能に求められる。ゴムでは、耐候性や圧縮永久歪みが性能を左右する重要な項目となる。耐候性の問題は、主に酸化等による摩擦係数の低下や軟化による収納物の汚染が発生することである。これを考慮すると、ゴムはシリコーンゴム、アクリルゴム、ポリウレタンゴム、エチレンプロピレン共重合ゴムが好ましい。
次に、合成樹脂系では、熱可塑性エラストマーや軟質化合成樹脂の高摩擦物性を示すものが各種採用できる。熱可塑性エラストマーは、スチレン系、スチレン・ブタジエン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系などがある。耐久性、耐摩耗性、低圧縮永久歪み特性などが優れ、物性が安定している。軟質化合成樹脂は、軟質アクリル樹脂、軟質塩化ビニル樹脂、軟質ポリオレフィン系樹脂などがある。塩化ビニル系はダイオキシンや環境ホルモンの疑いが強く好ましくない。これらの中から静摩擦係数値に適合するものを選択して採用する。
他の落下防止シート1の素材として、各種の高摩擦布帛が採用できる。これらは防滑を目的に開発された繊維又は布帛構造で構成された布帛である。例えば、ゴム的性質を有するエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタアクリル酸メチル共重合体などを表出させた、繊維や糸で構成された高摩擦布帛が近年提案されている。また、一般の繊維からなる布帛をゴムや軟質樹脂で表面処理した高摩擦布帛がある。このゴムや軟質樹脂は、ポリウレタンゴムなどの前記のゴムや軟質樹脂を表面処理可能な形態に調製したものを採用している。これらの高摩擦布帛の中から、本発明に適したシート形態にして採用する。
次に、前記の本発明の形態を棚板における落下防止構造に実施した例である。図3は、本発明の棚板の斜視図である。一般に採用されている普通の棚板3に、落下防止シートと同機能を有する滑り止め層2を配設した構造である。滑り止め層2以外が非滑り止め層2aとなり、静摩擦係数は非滑り止め層2aより滑り止め層2を大きく設定する。この棚板は滑り止め層2を配設した側を出し入れ側として棚を構成する。滑り止め層2は、基材がポリウレタンゴムのアクリル系粘着テープを採用し、ポリウレタンゴム面を滑り止めに活用する。これを図のように貼り付けた構造である。粘着テープの粘着力は低粘着を採用する。この棚板は均一な大きさの本を収納物と想定して構成している。
次に、滑り止め層を塗装で実施した例である。図4は、1/2を滑り止め層とした棚板の斜視図である。棚板3は、製造過程で普通のアクリル系塗料で塗装する。その後、棚面の幅の1/2を床などの滑り止めに使用するポリウレタンゴム塗料を塗装する。ポリウレタンゴム塗料を塗装した面が滑り止め層2となる。アクリル系塗料で塗装した面が非滑り止め層2aとなる。この塗装手段は、塗装形状、広さ、厚みが、自由に選択設計できる。また、意匠化してインテリアの一部に利用できる。
塗装手段では、他に各種ゴム系塗料やコーティング剤が採用できる。シリコーン系ではダウコーニング社製のNo.92−009のディスパージョンコーティングが優れた機能を示す。また、この素材をフィルム状に塗膜成形して、落下防止シートとしても採用できる。この手段に用いる床などの防滑技術は確立され、その塗料は容易に入手が可能である。これにより、極めて安価に高品質の落下防止効果を有する棚板を製作できる。また、この塗装手段は、塗装を塗り分けるだけで機能が利用できる。この構造を各種棚の免震構造と併用することで、落下防止を確実にできる。
次は、摩擦係数に差を設けることで本作用を発生させる実施例である。収納物の設置面を収納物の出し入れ方向で異なる摩擦係数の面に分割し、その静摩擦係数の差が0.2以上に設定する。図5は、摩擦係数に差のある棚板の斜視図である。静摩擦係数は、出し入れ側の面を大きくして高摩擦面6aとする。奥側の面は、小さくして低摩擦面7aとする。この摩擦差の設定は、素材の表面物性による手段、表面処理剤による手段、表面粗さで処理する手段、表面の形状の抵抗を利用する手段、これらを組合せる手段で実施できる。このような静摩擦係数に差のある面に本を横に置いて、本が落下しない程度に揺らしていると、本は低摩擦面側に移動していく。この移動は差があれば発生し、0.2以下でも作用する。この実施例では2列で実施したが、2列以上を異なる摩擦係数面にして、除々に奥側を小さくしていく手段でも実施できる。虹のように静摩擦係数が変化する棚板面である。これらの棚の作用は、常に揺れている自動車、船、鉄道車両などの移動体内の収納や運搬台車の棚板に適している。移動体内の棚面や物の設置面に設定すると、物が落下する確率が小さくなる。この手段は、収納ラックなどの網棚にも、線材表面の摩擦係数処理で容易に実施できる。
次は、極細繊維を高摩擦材とした実施例である。図6は、片面が極細繊維である落下防止シートの断面図である。極細繊維層1aの極細繊維の布帛は、鐘紡(株)製のグッドール(登録商標)を採用した。この布帛は超極細繊維からなる編布で、表出した繊維は一方向に配列した状態に編まれている。この繊維配列方向と滑り方向を直行させて敷設することで、落下方向の防滑を強くでき、横移動の方を容易する。裏面は、軟質アクリル樹脂をコーティングして高摩擦面層1bとした構造である。この構造は足マットなどによく採用される。裏面は、ポリウレタンゴムコーティングしてもよい。本シート構造は、漫画本や雑誌などに最適な落下防止シートとなる。この落下防止シートは、耐候性に優れ、汚れたら洗濯して使用する。他の極細繊維の布帛として、例えば織編布では、鐘紡(株)製のザヴィーナ(登録商標)、東レ(株)製のトレシーミラクルクロス(商標)などがある。3次元交絡している不織布では、長繊維からなる旭化成(株)製のシャレリア(商標)、日本バイリーン(株)製のデンキトール(商標)などがある。但し、表層繊維が拘束されていない起毛布は除く。
棚板では、片面が粘着剤層を有する極細繊維の布帛帯を、粘着剤で本落下防止構造の要所に貼り付ける。この形態の帯は、既に工業用清掃布帛として市販されている。この清掃布帛を滑り止め層とする要所に貼り付けるだけで、容易に本発明の書籍用棚板が構成できる。
次は、摩擦係数を小さくする表面処理剤と摩擦係数を大きくする表面処理剤からなる、落下防止の実施例である。本実施例は、棚板などに皮膜又は層を形成して静摩擦係数を変化させ、この摩擦係数の差で本作用を発生させるための手段である。摩擦係数を変化させる表面処理剤は、これを目的とするもの以外にも多くが存在する。表面処理すれば、処理面の摩擦係数は必ず変化する。本実施例は、この異なる表面処理剤で、既存の棚や家具の収納物の設置面を、手軽に表面処理して摩擦係数の差を生じさせる。表面処理剤を選定する場合、落下防止を考慮していない一般の家具や製品に採用されている棚板の、その塗装面と汎用樹脂面が基準となる。これらの静摩擦係数は、0.3程度を中心に各種存在する。この静摩擦係数を基準として表面処理剤を選定して構成する。対象処理面の摩擦係数が明確であれば、それを基準とする。
小さくする表面処理剤は、フッ素系を筆頭にシリコーン系とパラフィン系などの、主に低摩擦を示すレジン系の皮膜を定着させるコーティング剤である。これで処理した面は、前記棚板実施例では非滑り止め層に該当する。大きくする表面処理剤は、ポリウレタン系、塩化ビニル系、アクリル系、ポリビニルアルコール系などの、ゴムや軟質樹脂を定着させるコーティング剤である。これで処理した面は、前記棚板実施例では滑り止め層に該当する。定着は、溶剤を揮発させたり湿気などで架橋反応させたりして、主体とした成分を面に定着させる。これらの表面処理剤から、処理面の静摩擦係数の差が、できる限り大きくなるものを選択する。
図7は、表面処理剤で表面処理した棚板の斜視図である。棚板3の中心部(対象収納物の重心を基準とし、重心より出し入れ側が高摩擦処理面6bとなるように境界を設定)にマスキングテープを貼り、先に奥側を車のワックスに用いられているフッ素系コーティング剤で表面処理する。この処理した面が低摩擦処理面7bとなる。その後、出し入れ側を湿気硬化型ポリウレタンゴムコーティング剤で表面処理する。この処理した面が高摩擦処理面6bとなる。棚板3の設置面の静摩擦係数は、出し入れ側を大きく奥側を小さくすることで本発明の作用が働き、落下防止機能を有する棚板が得られる。表面処理剤の多くは透明であるため、多少の艶の変化が発生するのみで、外観には影響を与えない。
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では次のような効果がある。
(イ)摩擦材の量を少なくすることができるため、コストを低減できる。また、落下防止の機能はゴム材等の物性に大きく左右される。量を減らすことで高価な優れた素材が採用でき、高機能の落下防止シートを提供できる。これにより、落下防止シートの信頼性が増し、かつ安価に提供できる。
(ロ)高摩擦面と低摩擦面に分けることで、揺れを利用して収納物を奥に移動させるメカニズムが利用できる。この作用は落下の確率を低下させ、収納物の移動による棚の転倒を回避する。この手段は容易にかつ多くの方法で実施でき、各種家具や移動体の内装に活用できる。
(ハ)滑り防止を効果的に作用させる手段は、シート面を少なくして露出防止を可能にする。これにより、容易に隠すことができインテリア等の見場が改善できる。コーティング手段では外観に影響を与えない。これにより、落下防止策の普及が容易になる。
(ニ)非摩擦面を設けることで、これを利用して収納物の出し入れが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の落下防止シートを敷設した状態の斜視図。
【図2】
収納物と落下防止シート幅の関係図。
【図3】
本発明の棚板の斜視図。
【図4】
1/2を滑り止め層とした棚板の斜視図。
【図5】
摩擦係数に差のある棚板の斜視図。
【図6】
片面が極細繊維である落下防止シートの断面図。
【図7】
表面処理剤で表面処理した棚板の斜視図。
【図8】
収納物と揺れとの関係図。
【図9】
揺れと落下防止シートの関係図。

【符号の説明】
1 落下防止シート
1a 極細繊維層
1b 高摩擦面層
2 滑り止め層
2a 非滑り止め層
3 棚板
3a 棚板面
4 棚
5 収納物
6a 高摩擦面
6b 高摩擦処理面
7a 低摩擦面
7b 低摩擦処理面

Claims (5)

  1. 移動落下が一方向の収納形態で、収納物の下に摩擦による落下防止の滑り止めするシートを敷設する落下防止構造において、収納物と滑り止めするシートの関係は次の条件(A)〜(C);
    (A)滑り止めするシートは、表面が高摩擦層、裏面が高摩擦層または粘着層からなるシートである。
    (B)該シートは、収納物と収納物設置面が接している間に敷設する。
    (C)該シートを敷設する範囲は、収納物の重心より落下方向側のみである。
    を満たすことを特徴とする落下防止構造。
  2. シートの幅が5mm以上の帯状のシートであることを特徴とする請求項1の落下防止構造。
  3. シートの表面高摩擦層が、表面が1.0デニ−ル以下の極細繊維を主体とする布帛(起毛布は除く)の層であり、落下防止構造が書籍用落下防止構造であることを特徴とする請求項1の落下防止構造。
  4. 移動落下が一方向の収納形態の棚に備える棚板で、収納物の下に落下防止用の滑り止め層を配設した棚板における落下防止構造において、棚板は次の条件(A)〜(D);
    (A)棚板の棚面の収納物を置く面は、収納物の出し入れ方向で分割した静摩擦係数の異なる層を2層以上配設する。
    (B)層は、静摩擦係数の大きい層を滑り止め層とし、隣接する静摩擦係数の小さい層を滑り止め層に対する非滑り止め層とする。
    (C)滑り止め層と非滑り止め層の位置関係は、滑り止め層を出し入れ側とする。
    (D)該隣接する各層の静摩擦係数の差は0.2以上である。
    棚板と落下防止する対象収納物の関係は次の条件(E)〜(F);
    (E)棚板の該滑り止め層またはその一部の層は、対象収納物と棚面が接している間に配設している。
    (F)棚板の該滑り止め層またはその一部の層は、対象収納物の重心より出し入れ側の範囲である対象収納物面に当接している。
    を満たすことを特徴とする棚板における落下防止構造
  5. 滑り止め層が、表面が1.0デニ−ル以下の極細繊維を主体とする布帛(起毛布は除く)からなる滑り止め層であり、棚板が書籍用棚板であること特徴とする請求項4の棚板における落下防止構造
JP2001273585A 2001-09-10 2001-09-10 書籍等の落下防止構造及び落下防止シートと棚板 Expired - Fee Related JP5528650B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001273585A JP5528650B2 (ja) 2001-09-10 2001-09-10 書籍等の落下防止構造及び落下防止シートと棚板

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001273585A JP5528650B2 (ja) 2001-09-10 2001-09-10 書籍等の落下防止構造及び落下防止シートと棚板

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2003079461A JP2003079461A (ja) 2003-03-18
JP2003079461A5 JP2003079461A5 (ja) 2008-10-30
JP5528650B2 true JP5528650B2 (ja) 2014-06-25

Family

ID=19098779

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001273585A Expired - Fee Related JP5528650B2 (ja) 2001-09-10 2001-09-10 書籍等の落下防止構造及び落下防止シートと棚板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5528650B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008301980A (ja) * 2007-06-07 2008-12-18 House Tec:Kk 収容物の落下防止構造及び滑止シート
JP5154180B2 (ja) * 2007-09-26 2013-02-27 株式会社セイバン 鞄用滑り止め部材
JP2009142485A (ja) * 2007-12-14 2009-07-02 Seiban:Kk 鞄用肩ベルト
WO2010116711A1 (ja) * 2009-04-09 2010-10-14 金剛株式会社 収納棚
JP5951940B2 (ja) * 2011-06-15 2016-07-13 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 棚上物品落下防止用粘着テープ、該粘着テープの使用方法及び該粘着テープを有する本棚

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60163051U (ja) * 1984-04-06 1985-10-29 光陽興業株式会社 本棚
JPS63189064U (ja) * 1987-05-28 1988-12-05
JP3004835U (ja) * 1994-01-21 1994-11-29 シーダム株式会社 書類綴りの滑り止め用シート
JP4151809B2 (ja) * 1998-06-23 2008-09-17 河淳株式会社 商品陳列ユニット
JP2000041770A (ja) * 1998-07-31 2000-02-15 Dia Corporation:Kk 棚用シート

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003079461A (ja) 2003-03-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0760840B1 (en) Repositionable articles having a microstructured surface, kits for producing same, and methods of use
JP5528650B2 (ja) 書籍等の落下防止構造及び落下防止シートと棚板
US20080111047A1 (en) Rigid mouse pad
JP2005041205A5 (ja)
CA2410457A1 (en) Biodegradable coated substrates
ATE333987T1 (de) Elastischer fussbodenbelag mit textileinlage
JP2005524116A5 (ja)
JP5011895B2 (ja) 防滑性を有する透明合成樹脂シート
JP3111513U (ja) 滑り止めマット
CN208791542U (zh) 一种防静电亚克力保护膜
JP2009039374A (ja) 粘着性マット及び粘着性吸盤付き支持具
CN211155039U (zh) 一种置物防滑垫
JP4200807B2 (ja) 化粧材
US20050145589A1 (en) Magnetic fast extendable tray for displaying
JP3006175U (ja) マウスパッド
CN212650697U (zh) 一种墙上收纳装置
JP2001329415A (ja) ポケット収納物脱落防止具
JP4588988B2 (ja) レンズシート及びそれを備えた透過型スクリーン
JP2023154316A (ja) パレット移動防止具及びパレット移動防止方法
JP3226193U (ja) 多層構造のマウスパッド
CN216473024U (zh) 一种高强度防静电聚酯薄膜
KR100347490B1 (ko) 현미경조직표면을갖는재부착가능한제품,이의제조용키트및사용방법
JP3176502U (ja) 布帛を用いた装飾材
JP3127282U (ja) 転倒防止用シート
JP2005267306A (ja) マウスパッド

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080908

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080908

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110112

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110208

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110406

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111101

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111226

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120904

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121031

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130903

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131028

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140325

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140416

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5528650

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees