JP5526412B2 - 保冷容器 - Google Patents
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Description
このような保冷容器として、容器本体(身)の下部に内外を連通する排水口(排水用丸孔)を形成した耐水性段ボール箱を用いるもの(例えば、特許文献1参照。)、容器本体の側壁の下部に内外を連通する排水口(排水用丸孔)を形成した発泡合成樹脂製容器を用いるとともに排水口を塞ぐ栓体を備えたもの(例えば、特許文献2及び3参照。)、容器本体の側壁下部と底板に跨った開口部を設けた発泡合成樹脂製容器を用いるとともに前記開口部を塞ぐ開閉蓋部を備えたもの(例えば、特許文献4参照。)等がある。
また、特許文献2及び3の保冷容器では、止水用の栓体により排水口を塞いで融水等の容器外への随時流出を防いでいるが、その構造上、栓体には容器の側壁外面から突出している部分が存在するため、作業者の接触又は保冷容器同士の接触等の原因により、栓体が離脱して不必要な開栓が起きる場合があるとともに栓体を紛失してしまう場合もある。
特許文献4の保冷容器は、このような特徴を有するものではあるが、容器本体の側壁下部と底板に跨った開口部を塞ぐ開閉蓋部を容器本体に取り付けるための嵌合構造が比較的複雑なものとなっており、すなわち開口部及び開閉蓋部の形状が比較的複雑であることから形状設計及び成形が難しいことや開閉蓋部を着脱しにくい場合があるため、このような観点からは改良の余地がある。
その上、特許文献4のような保冷容器の構成と比較して、排水口が容器本体の底板に跨るものではなく、隣接する両側壁が交差する角部を含んで前記両側壁間に跨るものであることから、排水口に栓体を取り付けた状態で排水口の開口の下側の壁により栓体が受け止められて保持される。
よって、栓体を保持するための比較的複雑な嵌合構造が不要になり、栓体を保持するための嵌合構造をなくすか、あるいは嵌合構造を設ける場合でも簡単な形状のものにすることができ、排水口を塞ぐ栓体を、容器本体の外側から容器本体に差し込んで取り付けることができるとともに、容器本体から引き抜いて又は容器本体の内側から押し出して外側へ取り外すことができることから、排水口及び栓体の形状が簡素になるため、形状設計及び成形が容易であるとともに、栓体の着脱が容易になる。
その上さらに、両側壁間に跨る栓体と容器本体との接触面積が大きいため、容器本体に取り付けた後に栓体が離脱しにくく、排水口の封止状態を保持しやすい。
その上、隣接する両側壁が交差する角部の下部まわりに排水口及び栓体を設けていることから積み重ね強度の低下が少ないため、容器内に重い収容物を収納し、さらに多段に積み重ねる場合においても、強度面の信頼性が高い。
このような構成によれば、前記効果に加え、容器本体が矩形箱状であり、栓体を抜き挿しする方向が平面視長辺側の側壁面と略平行な方向であり、かつ、平面視短辺側の側壁から離れる方向又は前記側壁に近づく方向であるため、矩形箱状の保冷容器の平面視長辺側の側壁面同士を合わせるように並設して積み重ねた状態でも、止水状態とするための栓体の取り付け及び止水状態を解除して排水するための栓体の取り外しを行うことができる。
ここで、保冷容器1は、軽量であるとともに断熱性に優れた発泡合成樹脂製であり、発泡合成樹脂としては、例えば、発泡ポリスチレン系樹脂、発泡ポリエチレン系樹脂、発泡ポリプロピレン系樹脂等の発泡ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン変性発泡ポリエチレン等のポリスチレン変性発泡ポリオレフィン系樹脂、硬質発泡ウレタン系樹脂等を用いることができる。これらの中でも、主にコスト面から発泡ポリスチレンが好ましく、発泡ポリスチレンを使用した場合においては、その発泡倍率は20倍〜70倍程度が好ましい。
また、他方の短辺B側の側壁7には、その左右に排水口9,9が形成されており、これらの排水口9,9は、隣接する両側壁4,7及び5,7が交差する角部C,Cを含んで両側壁4,7及び5,7間に跨り容器内外を連通するように、角部C,Cの下部まわりに形成された開口である。
さらに、排水口9,9には、これらの前記形状の開口を塞ぐ栓体10,10が着脱可能に装着されており、これらの栓体10,10は、前記開口を埋めるように、その外形が前記開口まわりの容器本体2の外形に繋がる形状であるため、容器本体2の側壁(両側壁4,7及び5,7)外面から突出している部分が存在しない。
ここで、矩形箱状の保冷容器1において排水口9,9を設ける位置については、平面視矩形の短辺(平面視短辺)B側の側壁7の左右の角部C,Cに設けるのが、栓体10,10の着脱の作業性を考慮すると、より好ましい実施態様である。
なお、排水口9の数は、2個に限定されるものではなく、1個又は3個以上であってもよい。
図3(b)に示すように、排水口9は、角部Cの略正面から見て略二等辺三角形状であり、その斜辺に対応する側壁4側の上傾斜面9A及び側壁7側の上傾斜面9B、底辺に対応する側壁4側の下水平面9C及び側壁7側の下水平面9D、並びに、角部Cの略正面から見て略二等辺三角形状に下水平面9C,9Dから上方へ突出し図3(a)に示すように外方へ行くにしたがって高くなる、側壁4側の下傾斜面9E及び側壁7側の下傾斜面9Fにより区画される。
また、栓体10は、排水口を形成する上傾斜面9A,9Bに当接する上傾斜面10A,10B、排水口を形成する下水平面9C,9Dに当接する下水平面10C,10D、並びに、下傾斜面9E,9Fに当接する下傾斜面10E,10Fを有しているため、排水口9の開口を埋める形状であり、図1のように排水口9を塞ぐように装着した状態では、上述のとおり、その外形が前記開口まわりの容器本体2の外形に繋がる形状となっている。
また、図2に示すように、上記取り外し方向(上傾斜方向F)と逆方向である内側斜め下方向(下傾斜方向)Eへ栓体10を差し込むことにより、容器本体2に取り付けることができ、図1に示す栓体10の取り付けが完了した状態では、図3に示す容器本体2の側壁4,7の上傾斜面9A,9B、下水平面9C,9D及び下傾斜面9E,9Fには、これらに対応する栓体10の上傾斜面10A,10B、下水平面10C,10D及び下傾斜面10E,10Fがそれぞれ当接した状態で位置決めされ、上述のとおり栓体10の外形が排水口9まわりの容器本体2の外形に繋がる形状となっている。
なお、栓体10,10については、発泡合成樹脂製ではなく、例えばゴム等の異種素材としてもよく、そのようにすればコストは上昇するが水封性が向上するため水漏れ防止効果が高くなる。
また、排水口9,9を角部C,Cの下部で容器本体2の底面になるべく近い低位置に形成することにより、容器本体2内に注入された氷が融けた融水等の排出をより効果的に行うことができる。
さらにまた、排水口9,9からの少量の水分の滲みだしであっても嫌うような用途では、排水口9,9から水分を排出して栓体10,10を装着した後に、容器本体2の外面の栓体10,10との境界線の周囲を粘着テープ等により塞ぐことにより、排水口9,9からの水分の漏れ防止を確実に行うことができる。
このような排水口9及び栓体10の形態であっても、栓体10が、排水口9の開口を埋めるように、その外形が前記開口まわりの容器本体2の外形に繋がる形状のものであるとともに、容器本体2に対して栓体10を外側から差し込んで取り付けることができるとともに、容器本体2から栓体10を外側へ引き抜くことにより又は容器本体2の内側から栓体10を外側へ押し出すことにより、容器本体2から栓体10を外側へ取り外すことができる。
そして、図5に示す排水口9及び栓体10の形態では、栓体10の取り外し方向が上傾斜方向F(図4参照。)に限定されず、水平方向にも取り外すことができ、同様に、栓体10の取り付けも下傾斜方向Eから水平方向の間で行うことができる。
図6の排水口9は、側壁4,5側の上傾斜面9A、下水平面9C及び下傾斜面9E並びに側壁7側の下水平面9D及び下傾斜面9Fは図3の形態と同一であり、側壁7側の上傾斜面9Gは側壁7の外面から垂直に離間する方向へ行くにしたがって上方へ傾斜する傾斜面であり、傾斜面9Gの側壁7の外面との交線は水平となっており、上傾斜面9Gの側壁7の内側端と下水平面9Dの側壁7の内側端とが垂直面9Hに繋がっている。
また、栓体10についても、図3の栓体10と異なる形態として、上傾斜面9Gに当接する上傾斜面10G及び垂直面9Hに当接する垂直面10Hが形成されている。
図7は、図6と同様に平面視短辺B側の側壁7側から栓体10を着脱可能な構成例を示しており、図6の形態とは、排水口9の側壁7の外面から垂直に離間する方向へ行くにしたがって上方へ傾斜する下傾斜面9I及び栓体10の下傾斜面9Iに当接する下傾斜面10Iが異なる。
なお、図6(a)及び図7(a)における左右の栓体10,10は、図2のような同一形状ではなく、左右対称形状となっている。
その上、特許文献4のような保冷容器の構成と比較して、排水口9が容器本体2の底板8に跨るものではなく、隣接する両側壁4,7又は5,7が交差する角部Cを含んで前記両側壁間に跨るものであることから、排水口9に栓体10を取り付けた状態で排水口9の開口の下側の壁(例えば、図5の下水平面9C,9D参照。)により栓体10が受け止められて保持される。
その上さらに、両側壁4,7又は5,7間に跨る栓体10と容器本体2との接触面積が大きいため、容器本体2に取り付けた後に栓体10が離脱しにくく、排水口9の封止状態を保持しやすい。
その上、隣接する両側壁4,7又は5,7が交差する角部Cの下部まわりに排水口9及び栓体10を設けていることから積み重ね強度の低下が少ないため、容器本体2内に重い収容物を収納し、さらに多段に積み重ねる場合においても、強度面の信頼性が高い。
さらに、図6及び図7のような矩形箱状の容器本体2に対して栓体10を外側から平面視長辺A側の側壁4,5面と略平行に平面視短辺B側の側壁7に近づく方向(例えば下傾斜方向G)へ差し込んで取り付けることができるとともに、容器本体2から栓体10を外側へ平面視長辺A側の側壁4,5面と略平行に平面視短辺B側の側壁7から離れる方向(例えば上傾斜方向H)に引き抜くことにより又は容器本体2の内側から栓体10を前記側壁7から離れる方向に押し出すことにより、容器本体2から前記栓体10を外側へ取り外すことができる構成によれば、矩形箱状の保冷容器1,1の平面視長辺A側の側壁4,5面同士を合わせるように並設して積み重ねた状態でも、止水状態とするための栓体10,10,…の取り付け及び止水状態を解除して排水するための栓体10,10,…の取り外しを行うことができる。
また、排水口9及び栓体10は、図1〜図7に示した形状に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された要件を充足する全ての形状を含むものである。
B 平面視短辺
C 隣接する両側壁が交差する角部
E 下傾斜方向
F 上傾斜方向
G 平面視長辺側の側壁面と略平行に平面視短辺側の側壁に近づく下傾斜方向
H 平面視長辺側の側壁面と略平行に平面視短辺側の側壁から離れる上傾斜方向
1 保冷容器
2 容器本体
2A 上端縁
2B 嵌合凸部
2C 開口部
2D 凹条
3 蓋体
4,5 平面視長辺側の側壁
6,7 平面視短辺側の側壁
8 底板
9 排水口
9A,9B 上傾斜面
9C,9D 下水平面
9E,9F 下傾斜面
9G 上傾斜面
9H 垂直面
9I 下傾斜面
10 栓体
10A,10B 上傾斜面
10C,10D 下水平面
10E,10F 下傾斜面
10G 上傾斜面
10H 垂直面
10I 下傾斜面
11 閉止片
11A 凸条
Claims (2)
- 内外を連通する排水口及び該排水口を塞ぐ栓体を備えた、被保冷物を収容する容器本体及び蓋体とからなる発泡合成樹脂製の保冷容器であって、
前記排水口が、前記容器本体における隣接する両側壁が交差する角部を含んで前記両側壁間に跨り容器内外を連通するように、前記角部の下部まわりに形成された開口であり、
前記栓体が、前記開口を埋めるように、その外形が前記開口まわりの前記容器本体の外形に繋がる形状のものであり、
前記容器本体に対して前記栓体を外側から下傾斜方向へ差し込んで取り付けることができるとともに、前記容器本体から前記栓体を外側へ上傾斜方向に引き抜くことにより又は前記容器本体の内側から前記栓体を外側へ上傾斜方向に押し出すことにより、前記容器本体から前記栓体を外側へ取り外すことができるように前記排水口及び栓体を形成してなる特徴とする保冷容器。 - 前記容器本体が矩形箱状であり、この容器本体に対して前記栓体を外側から平面視長辺側の側壁面と略平行に平面視短辺側の側壁に近づく方向へ差し込んで取り付けることができるとともに、前記容器本体から前記栓体を外側へ平面視長辺側の側壁面と略平行に平面視短辺側の側壁から離れる方向に引き抜くことにより又は前記容器本体の内側から前記栓体を外側へ平面視長辺側の側壁面と略平行に平面視短辺側の側壁から離れる方向に押し出すことにより、前記容器本体から前記栓体を外側へ取り外すことができるように前記排水口及び栓体を形成してなる請求項1記載の保冷容器。
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