JP5524738B2 - 調整用鉤部材の製造方法 - Google Patents

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本発明は、ズボンやスカートなどの衣類において、主として腰周りの打合わせ部分に取り付けられている係止具に取り付け得るものであって、特に伸縮性を有し、ウエストのサイズを調整するために用いる鉤部材の製造方法に関するものである。
従来、ズボンやスカートのウエストサイズ調整のための部材として、例えば、特許文献1や特許文献2に見られるような技術があった。
これらの調整用鉤部材でもウエストサイズを調整できるが、摺動レールを備えており、さらに、スプリングやガイドなどの多くの部材から形成されている。
しかし、これらの調整用鉤部材はできるだけ簡単な構造となっていることが好ましく、また、絶えず打合わせ部分に取り付けられるものであるため、できるだけ簡単な構造で、生産コストも安くできるものであることが好ましい。一方、取り付け時に衣類の打合わせ部分が大きく膨らむものであっては、体裁が悪いので、好ましくない。
このような要望に応えることができるようにするために、本出願人は特許文献3に示す調整用鉤部材を提案している。
特開2001−87010号公報
特開2002−17409号公報
特開2004−33526号公報
本出願人が提案した調整用鉤部材は、その本体としてシリコーン樹脂片を使用することにより、従来の場合には不可能であった縫い付けが不要で、ズボンやスカートなどどのような衣類にも即時に使用可能であるが、本調整用鉤部材の受片に衣類の打ち合わせ部分に取り付けられているフック部材を係入させたとき、両者の係合状態が外れる可能性があって改良すべき点を有していた。
本発明は、シリコーン樹脂片に一部が埋入されている受片と留金片とがシリコーン樹脂片から外れない調整用鉤部材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明による製造方法においては、受片と留金片とにそれぞれ左右一対の脚片を形成しておき、各脚片をシリコーン樹脂片へ差込んだ後前記シリコーン樹脂片の面に沿わせて折曲し、しかる後、少なくとも折曲された各脚片の周辺をHTVシリコーンで塞ぎ、さらに、その上から液状のRTVシリコーンを流し込んで各脚片を前記シリコーン樹脂片に埋入し、前記受片と留金片とを前記シリコーン樹脂片に固着させる。
この製造方法によれば、受片と留金片とが2種類のシリコーンでシリコーン樹脂片に固定されるから、シリコーン樹脂片から妄りに外れることがない。また、見映えも良い。さらに、シリコーン樹脂片の片面に備えられている受片に衣類に取り付けられている係止具のフック部材を係入し、シリコーン樹脂片の他の面に備えられている留金片を前記係止具のアイ部材に掛合させることにより、シリコーン樹脂片がアイ部材とフック部材の相反する方向から引っ張られることになるが、受片と留金片の腹部がシリコーン樹脂片に埋入・固定されているため、このような引っ張り応力にも十分耐え得る。
シリコーン樹脂片に左右一対の脚片を差し込み得る孔が形成されている。このような孔が形成されていると、前記シリコーン樹脂片に左右一対の脚片を装着しやすく、また、シリコーン樹脂片に装着した受片と留金片の安定性も良い。
各脚片をシリコーン樹脂片の窪みに嵌入させ得る基板に係合させて折曲することが好ましい。このようにした場合には、シリコーン樹脂片に装着した受片と留金片の安定性がさらに良くなるので、受片と留金片とが2種類のシリコーンでシリコーン樹脂片に一層強固に固定されることになる。したがって、受片と留金片とがシリコーン樹脂片から妄りに離脱することがない。
請求項記載の発明によれば、受片と留金片とが2種類のシリコーンでシリコーン樹脂片に固定され、シリコーン樹脂片から外れないものとすることができる。また、見映えも良い。さらに、受片と留金片の腹部がシリコーン樹脂片に埋入・固定されているため、シリコーン樹脂片がアイ部材とフック部材の相反する方向から引っ張られる応力にも十分耐え得る。
請求項記載の発明によれば、シリコーン樹脂片に左右一対の脚片を装着しやすく、また、シリコーン樹脂片に装着した受片と留金片の安定性も良い調整用鉤部材を製造することができる。
請求項記載の発明によれば、受片と留金片とがシリコーン樹脂片から妄りに離脱することがない調整用鉤部材を製造することができる。
本発明による製造方法により得られた調整用鉤部材の一例を示す斜視図で、(a)は片方から見た場合を、(b)は(a)の状態から調整用鉤部材を裏返して見た場合を示す。 図1に示すものとは異なる変形例を示す斜視図で、(a)は片方から見た場合を、(b)は(a)の状態から調整用鉤部材を裏返して見た場合を示す。 シリコーン樹脂片の一部を拡大して示す平面図で、(a)は片方から見た場合を、(b)は(a)の状態から調整用鉤部材を裏返して見た場合を示す。 シリコーン樹脂片に装着される受片と、この受片に形成されている左右一対の脚片を係合させ得る基板とを示す拡大斜視図である。 図4に示す受片と基板をシリコーン樹脂片に装着する状況を、工程順に示す拡大断面図である。 シリコーン樹脂片に装着される留金片と、この留金片に形成されている左右一対の脚片を係合させ得る基板とを示す拡大斜視図である。 図6に示す留金片と基板をシリコーン樹脂片に装着する状況を、工程順に示す拡大断面図である。 衣類の一つであるズボンの打合わせ部分に、フック部材とアイ部材とからなる係止具を取り付けた状態を示す斜視図である。 図8に示す係止具に本発明による製造方法により得られた調整用鉤部材を取り付けた状態を示す正面図である。 本発明による製造方法により得られた調整用鉤部材の受片に、衣類の一つであるズボンの打合わせ部分に取り付けられている係止具のフック部材を係入し、本発明による製造方法により得られた調整用鉤部材を前記係止具に取り付けた状態を示す断面図である。
本発明による製造方法により得られた調整用鉤部材の一例を、図面に基いて詳細に説明する。本発明による製造方法により得られた調整用鉤部材は、図8に示すズボンBやスカートのような衣類の打合わせ部分に取り付けられているフック部材Cとアイ部材Dとからなる係止具に取り付け得るものであり、後述するように、前記フック部材Cを係入させ得る受片2と前記アイ部材Dに掛合させ得る留金片3とを備えている。
図1に、本発明による製造方法により得られた調整用鉤部材Aの一例を示す。また、図2に、図1に示すものとは異なる変形例の調整用鉤部材A’を示す。図1に示す調整用鉤部材Aと図2に示す調整用鉤部材A’とが基本的に異なるところは、シリコーン樹脂片1の長さであって、それ以外のところは全く同一である。そして、図1(a)、図2(a)には、2つの調整用鉤部材A,A’を片方から見た状態を、図1(b)、図2(b)には、図1(a)、図2(a)の状態から2つの調整用鉤部材A、A’を裏返して見た状態を示す。
図1(a)、(b)及び図2(a)、(b)に示すように、シリコーン樹脂片1は両端が広幅であって、その間である中央部分が図面符号4で示すように幅方向において他の部分より細くなっている。そして、図1(a)、図2(a)の右側に示すように、一方の広幅部分1aの片面には、側方から見てコ字状であって前記フック部材Cを係入させ得る受片2が取り付けられている。
また、図1(b)、図2(b)の左側に示すように、図1(a)、図2(a)の状態からシリコーン樹脂片1を裏返したもう一方の広幅部分1bの片面には、前記アイ部材Dに掛合させ得る留金片3が取り付けられている。
このように、受片2と留金片3とは、シリコーン樹脂片1の両端である広幅部分1a,1bの反対側の面に、それぞれ取り付けられている。
前記フック部材Cとアイ部材Dとは、図8に示すようにズボンBの打合わせ部分や、図示はしないがスカートのような衣類の打合わせ部に取り付けられ、ウエストを固定するためのものである。ズボンBやスカートを着用するときには、腰周りをウエストサイズよりも広く開放する方が着用し易いから、その状態で着用し、着用後、フック部材Cをアイ部材Dに掛合させることにより、腰に固定できる。
ズボンBやスカートなどの衣類に取り付けられているこの係止具に、ここに例示する調整用鉤部材A,A’を取り付けることにより、ウエストサイズを容易に調整できる。
ズボンを例に挙げて説明すると、ズボンBの打合せ部分に取り付けられているフック部材Cをアイ部材Dに掛合させた場合のウエストの長さでは、ズボンBがはけなくなることがある。例えば、着用時今までより肥えていた場合や、食事後でウエストサイズが大きくなる場合があり、このような場合にズボンBの打合せ部分における係止具の掛合位置を調整することができれば、極めて都合が良い。
この場合に用いると便利な調整用鉤部材が、一例として、図1においてAで、図2においてA’で示してある。ここに例示されている調整用鉤部材A,A’の主体はシリコーン樹脂片1である。このシリコーン樹脂片1は反発弾性が極めて良好で、耐候性にも優れている他、電気絶縁性などにも優れており、さらに、薄くても引っ張り強度を備えているという特性を備えている。
したがって、図9に示すように、このシリコーン樹脂片1に取り付けられている留金片3をズボンBの打合せ部分のアイ部材Dに掛合させるとともに、シリコーン樹脂片1に取り付けられている受片2にズボンBの打合せ部分のフック部材Cを係入すると、留金片3と受片2との間でシリコーン樹脂片1が伸縮するから、係止具の掛合位置を異ならしめてウエスト調整した場合と同様の効果がある。また、シリコーン樹脂片1を伸縮させることができるから、必要な分だけの伸縮効果が得られる。
そして、前記受片2に対峙させてシリコーン樹脂片1にすべり止め用の突起5が形成されている。
この場合には、前記フック部材Cを受片2に係入したとき、図10に示すように、前記突起5が前記フック部材Cを押えるので、フック部材Cから本調整用鉤部材A,A’が外れにくい。
ここでは、図1(a)、図2(a)に示すように、前記受片2へのフック部材Cの係入方向に、すべり止め用の突起5,5を複数形成した場合を例示する。
このようにした場合には、複数の突起5,5が長さ方向の複数個所において前記フック部材Cを押えるので、ズボンBの打合わせ部分に取り付けられているフック部材Cから本調整用鉤部材A,A’がより外れにくくなる。
シリコーン樹脂片1の両端の広幅部分1a,1b間である中央部分は、図面符号4で示すように幅方向において他の部分より細くなっている。
このようになっていると、シリコーン樹脂片1の屈曲性が増すため、本調整用鉤部材A,A’をズボンやスカートの打合わせ部分にあるフック部材Cとアイ部材Dに取り付けたとき、ウエストに沿いやすく、しかも、フィットしやすいので、両者の係合状態がより外れにくくなる。
次に、本調整用鉤部材A,A’には受片2と留金片3とが取り付けられているが、これらの部材のシリコーン樹脂片1への取り付け方、すなわち、本調整用鉤部材A,A’の製造方法について、詳細に説明する。
なお、シリコーン樹脂片1の受片2を取り付けるべき付近には、成型という手法により前記受片2に対峙するように、すべり止め用の突起5があらかじめ形成されている。
前記受片2と前記留金片3には、図4、図6の下側に示すように、それぞれ左右一対の脚片2a,2a、3a,3aを形成しておき、各脚片2a,2a、3a,3aを図5(a)、図7(a)に示すように、シリコーン樹脂片1へ差込んだ後、図5(b)、図7(b)に示すように、前記シリコーン樹脂片1の面に沿わせて折曲する。
しかる後、少なくとも折曲された各脚片2a,2a、3a,3aの周辺を、図5(c)、図7(c)に示すように、HTVシリコーン6で塞ぎ、さらに、図5(d)、図7(d)に示すように、その上から液状のRTVシリコーン7を流し込んで各脚片2a,2a、3a,3aを前記シリコーン樹脂片1に埋入し、前記受片2と留金片3とを前記シリコーン樹脂片1に固着させる。
この製造方法によれば、受片2と留金片3とがHTVシリコーン6とRTVシリコーン7の2種類のシリコーンでシリコーン樹脂片1に固定されるから、シリコーン樹脂片1から妄りに外れることがない。また、見映えも良い。さらに、シリコーン樹脂片1の片面に備えられている受片2にズボンBに取り付けられているフック部材Cを係入し、シリコーン樹脂片1の他の面に備えられている留金片3をアイ部材Dに掛合させることにより、シリコーン樹脂片1がアイ部材Dとフック部材Cの相反する方向から引っ張られることになるが、受片2と留金片3の腹部がシリコーン樹脂片1に埋入・固定されているため、このような引っ張り応力にも十分耐え得る。
HTVシリコーンは高粘度コンパウンドからできており、加硫剤(触媒)を配合することによって加熱硬化する樹脂である。
一方、RTVシリコーンは液状のもので、型に流し込んで室温で硬化させることができる樹脂である。急速に硬化させるには、加熱すれば良い。
ここには、図3(a)、(b)に示すように、シリコーン樹脂片1の両端の広幅部分1a,1bに左右一対の脚片2a,2a、3a,3aを差し込み得る孔1c,1cがそれぞれ形成された場合を例示する。このような孔1c,1cが形成されていると、前記シリコーン樹脂片1に左右一対の脚片2a,2a、3a,3aを装着しやすく、また、シリコーン樹脂片1に装着した受片2と留金片3の安定性も良い。
また、ここには、図4、図6の上側に示すように、前記各脚片2a,2a、3a,3aをシリコーン樹脂片1の窪み1d(図3(b)参照)に嵌入させ得る基板2b,3b(図4、図6の上側に示す)に係合させて折曲する場合を例示する。このようにした場合には、シリコーン樹脂片1に装着した受片2と留金片3の安定性がさらに良くなるので、受片2と留金片3とがHTVシリコーン6とRTVシリコーン7の2種類のシリコーンでシリコーン樹脂片1に一層強固に固定されることになる。したがって、受片2と留金片3とがシリコーン樹脂片1から妄りに離脱することがない。
図4に示すように、受片2用の基板2bには左右に切欠2c,2cが形成してあって、両切欠2c,2c部分に左右一対の脚片2a,2aを差込んで折曲するようにしてある。また、図6に示すように、留金片3用の基板3bには左右に孔3c,3cが形成してあって、2つの孔3c,3c部分に左右一対の脚片3a,3aを差込んで折曲するようにしてある。
このようにすると、シリコーン樹脂片1に装着した受片2と留金片3の安定性がさらに一層良くなるので、受片2と留金片3とがHTVシリコーン6とRTVシリコーン7の2種類のシリコーンでシリコーン樹脂片1にさらに一層強固に固定される。
シリコーン樹脂片1の両端の広幅部分1a,1bに形成されている左右一対の孔1c,1cや基板2b,3bに形成されている切欠2c,2c、孔3c,3cは、シリコーン樹脂片1に形成されている前記窪み1dに流し込んだHTVシリコーン6で塞がれ、このシリコーンの硬化とともに受片2及び留金片3がシリコーン樹脂片1に固着され、さらに、その上から流し込まれた液状のRTVシリコーン7の硬化により、シリコーン樹脂片1にさらに一層強固に固定されることになる。
なお、図5(c)では、解りやすくするために、基板2bに形成されている切欠2c,2cにHTVシリコーン6が流れ込んでいない状態で示してある。
1…シリコーン樹脂片、1a,1b…広幅部分、1c…孔、1d…窪み、2…受片、2a…脚片、2b…基板、2c…切欠、3…留金片、3a…脚片、3b…基板、3c…孔、5…突起、6…HTVシリコーン、7…RTVシリコーン、A,A’…調整用鉤部材、B…ズボン、C…フック部材、D…アイ部材。

Claims (3)

  1. 受片と留金片とにそれぞれ左右一対の脚片を形成しておき、各脚片をシリコーン樹脂片へ差込んだ後前記シリコーン樹脂片の面に沿わせて折曲し、しかる後、少なくとも折曲された各脚片の周辺をHTVシリコーンで塞ぎ、さらに、その上から液状のRTVシリコーンを流し込んで各脚片を前記シリコーン樹脂片に埋入し、受片と留金片とを前記シリコーン樹脂片に固着させることを特徴とする調整用鉤部材の製造方法。
  2. シリコーン樹脂片に左右一対の脚片を差し込み得る孔が形成されていることを特徴とする請求項記載の調整用鉤部材の製造方法。
  3. 各脚片をシリコーン樹脂片の窪みに嵌入させ得る基板に係合させて折曲することを特徴とする請求項記載の調整用鉤部材の製造方法。
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