JP5523811B2 - ソフトスイッチング降圧チョッパおよび電力供給システム - Google Patents
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Description
このような技術趨勢に応じて、電池駆動電車に適用できるような、大容量で、急速充電が可能な高エネルギー密度の二次電池が開発・実用化されつつある。また、このような電池駆動電車搭載の二次電池に対して効果的な充電管理を行う充電制御装置が求められている。
ここに、充電制御装置は、電池駆動電車に搭載され、直流架線電圧を降圧して(たとえば、DC1500Vから電池電圧のDC600V程度まで降圧する)、二次電池の充電を行う装置であり、電池駆動電車の適切な運用を行うために必要とされる。充電制御装置には、直流入力電圧(架線電圧;以下直流電源と称す)を降圧するための降圧チョッパが組み込まれる。
図10において、直流電源Eに、スイッチSW、リアクトルL、負荷Rが直列接続され、直列接続された直流電源EとスイッチSWに対して環流ダイオードDfが並列に接続されている。また、負荷RにはコンデンサCが並列接続されている。スイッチSWはオン/オフを高速で周期的に繰り返す。
コンデンサCは、負荷Rに印加される直流電圧を平滑化するものである。ダイオードDfは、スイッチSWがオフしたときにリアクトルLに蓄えられたエネルギーを放出するバイパス用ダイオードである。
パワー半導体デバイスを用いたDC−DCコンバータ等の電力変換装置については、高周波スイッチング技術の導入に伴って、小型軽量化、高電力密度化、低騒音化、高速応答化、波形の高品質化、の要求に向けた技術開発が注目を浴びている。
しかし、高周波スイッチング半導体電力変換装置を応用する分野において、パワー半導体デバイスのスイッチング損失やスナバ回路での損失の増加に伴う電力変換効率の低下、急峻なスイッチ部の電圧変化に伴う対地高周波漏れ電流やスイッチングサージに伴う電磁ノイズの発生などの実用上の問題が顕在化している。
これから、ハードスイッチングでは、IGBTなどパワー半導体デバイスの電圧/電流のピークストレスの増大と、電磁ノイズの発生が問題になる。
図12から分かるように、パワー半導体デバイスは、ターンオン時とターンオフ時の過渡状態において、スイッチの電圧と電流に重なりが生じて、スイッチング損失が発生する。このスイッチング損失は熱となるので、パワー半導体デバイスを冷却するための放熱系が大きくかつ重くなるという問題がある。このスイッチング損失は、スイッチング周波数の高周波化とともに増大するため、電力変換装置の変換効率の低下を招くことになる。
開示されたDC−DCコンバータは、部分共振回路の機能により、第1の主スイッチのゼロ電圧スイッチング(ZVS)を可能とし、ソフトスイッチングを実現する。ただし、直列に接続された2つの主スイッチを交互に異なるタイミングでオン/オフさせたり、タイミングを計るため直流リアクトルに実際に流れる電流を測定するセンサと共振リアクトルに実際に流れる電流を測定するセンサを必要としたりするため、制御回路が複雑になることが避けられない。
しかし、従来のソフトスイッチング降圧チョッパでは、ソフトスイッチングを実現する制御回路が複雑になり、十分な経済性を有するものとならなかった。
さらに、より簡単なゲート駆動回路で的確に管理できるソフトスイッチング方式の充電制御装置を備えた、電池駆動電車の二次電池に対する電力供給システムを提供することである。
本部分共振スイッチ回路要素は、第1端子と第2端子の間に、第1スイッチと共振リアクトルと第2スイッチを直列に接続し、第1ダイオードのアノードを第2スイッチと共振リアクトルの接続点に、第1ダイオードのカソードを第1端子に接続し、第2ダイオードのアノードを第2端子に、第2ダイオードのカソードを第1スイッチと共振リアクトルの接続点に接続し、共振コンデンサを第1端子と第2端子の間に接続して、構成される。
なお、第1スイッチと第2スイッチは、同等の特性を有するパワー半導体デバイスを用いて、主スイッチに印加される電圧を二分して負担させることにより耐電圧特性に対する要求を緩和させることができる。特に大電流を扱う回路では、耐電圧特性に対する要求性能が低いと、パワー半導体デバイスの選択を容易にし、しかもオン電圧の低いパワー半導体デバイスを採用することができ、コストを低減することに繋がり、有利である。
すなわち、本発明のソフトスイッチング降圧チョッパは、正極入力端子と、接地入力端子と、正極入力端子に第1端子を接続した本発明の部分共振スイッチ回路要素と、カソードを部分共振スイッチ回路要素の第2端子に接続しアノードを接地入力端子に接続したダイオードと、一端を部分共振スイッチ回路要素の第2端子に接続した共振リアクトルと、共振リアクトルの他端を接続する正極出力端子と、接地入力端子と接続した接地出力端子と、部分共振スイッチ回路要素を駆動するゲート駆動信号を生成する制御回路を備えて、正極入力端子と接地入力端子を介して入力する直流電力の電圧を低減して正極出力端子と接地出力端子を介して出力する。
さらに、降圧チョッパの環流ダイオードについても、ターンオン時にゼロ電圧スイッチングを達成し、ターンオフ時にゼロ電流スイッチングを達成して、スイッチング損失を低減することができる。
本発明の降圧チョッパにおけるスイッチのゲート駆動回路は同じタイミングであることから簡単になり、小型化かつ軽量化することができる。
また、本発明の時分割制御動作による多相多重化をしたソフトスイッチング降圧チョッパは、回路素子の数は増えても1相当たりの出力電流が小さくなるので、合成して形成される合成出力電流におけるリップル率が激減して直流リアクトルや平滑コンデンサの小型軽量化が達成でき、降圧チョッパの重量軽減にも有効である。なお、多相多重化により回路的には複雑にみえるが、本発明の部分共振回路ではゲート駆動信号が単純なため、制御回路のコストが大きく増大することはない。
直流電源装置に加えてDC−DCコンバータも地上に設置して、降圧した直流電力を電池駆動電車に供給するようにすることができる。
また、直流電源装置は地上に設置されるが、DC−DCコンバータを電池駆動電車に搭載して、電池駆動電車上において直流電力を降圧するようにしてもよい。
図1は、本発明の1実施形態に係るソフトスイッチング用部分共振スイッチ回路要素の回路図である。
図1に示す通り、本実施形態のソフトスイッチング用の部分共振スイッチ回路要素1は、第1端子T1と第2端子T2の間に、第1スイッチQ1と、第2スイッチQ2と、第1ダイオードD1と、第2ダイオードD2と、共振リアクトルLrと、共振コンデンサCrとを備えた共振スイッチである。
本実施形態の部分共振スイッチ回路要素1では、一つのゲート駆動信号により、第1スイッチQ1と第2スイッチQ2を同じタイミングでオンオフする。
また、同時に、第2ダイオードD2と共振リアクトルLrと第1ダイオードD1を通って第2端子T2から第1端子T1に流れる電流により共振リアクトルLrと共振コンデンサCrに基づいた部分共振が発生する直列共振回路が形成される。ただし、共振リアクトルLrの電流は第1ダイオードD1と第2ダイオードD2の向きで規制されるので、共振リアクトルLrの電流は反転して流れることはない。
また、第1スイッチQ1と第2スイッチQ2が同時にオンになっているときにも、共振リアクトルLrの電流は、第1スイッチQ1と第2スイッチの電流の向きで規制されるので、逆に第2スイッチQ2から第1スイッチQ1に向けて流れることはない。
本発明の部分共振スイッチ回路要素は、パワー半導体デバイスとダイオードと直流リアクトルを備えて構成される各種直流チョッパにおいて、パワー半導体デバイスに代替して組み込むことにより、直流チョッパにおける主スイッチのソフトスイッチングを実現させることができる。
降圧チョッパ3は、部分共振スイッチ回路要素Sの高頻度のオンオフ動作のみにより、直流電源Ed(たとえばDC1500Vなど所定の直流電源電圧)からDC600Vなど低い異なる直流電圧に変換して、二次電池Ebなどに供給する直流チョッパである。なお、本実施形態において、直流電源Edは、降圧チョッパ3の外に設けられて、たとえば架線あるいは電線・ケーブルなどを介して直流電源電圧を降圧チョッパ3に供給する。
本実施形態の降圧チョッパ3は、図1に示した部分共振スイッチ回路要素1を組み込んだもので、部分共振スイッチ回路要素1のゲート駆動信号を生成する制御回路2が付属している。
部分共振スイッチ回路要素1の第1端子T1を直流電源Edに繋がる接続点T4に接続し、第2端子T2を直流リアクトルLoとの接続点T3に接続する。
図4は、図3に示した本実施形態の降圧チョッパ3がオンオフ動作する間における各回路素子の電圧あるいは電流の時間的変化を説明する動作原理波形図である。図4は、横軸を時間軸として、オンオフ動作1周期にわたり降圧チョッパ3の主要な回路素子における電圧または電流の波形変化を表している。
負荷電流環流モード(モード0)では、図5(a)に示すように、部分共振スイッチ回路要素1の第1スイッチQ1と第2スイッチQ2がオフになっていて、直流電源Edからの電力供給がなく、負荷電流は環流ダイオードDoを通じて環流する。
一方、第1スイッチQ1と第2スイッチQ2には共振コンデンサCrが並列接続されているため、第1スイッチQ1と第2スイッチQ2の端子間電圧すなわちスイッチ電圧v(Q1)およびv(Q2)は緩やかに上昇する。
なお、ターンオフをすると、同時に部分共振スイッチ回路要素1の共振リアクトルLrと共振コンデンサCrによる部分共振が始まり、共振コンデンサCrを部分共振モード(モード2)とは逆の方向に充電しながら、共振リアクトルLrを流れる電流が緩やかに減少する。
時刻t6からは、回生電流を伴わず直流電源Edからの電力供給がなく、負荷電流は環流ダイオードDoを通じて環流する図5(a)に示す負荷電流環流モード(モード0)となる。
各単位降圧チョッパ3a,3b,3cは、1サイクルを3等分した位相関係でオンオフされる。出力電流は各相の和となるので、平均値は相数倍の3倍となり、リップル周波数も3倍となり、リップルの絶対値は互いに打ち消す効果を生じて極めて小さくなる。また最大リップル率は、相数の2乗に逆比例して急速に減少し、三相では1/9になる。これにより、リップルが小さくなり電力の品質が向上する。
なお、本実施形態の三相多重方式降圧チョッパ5に使用される単位降圧チョッパ3は、部分共振スイッチ回路要素1に用いられる2つのパワー半導体デバイスを1つのゲート駆動信号で同時に制御すればよく、しかも、モード遷移にも余分なセンサを必要としないので、降圧チョッパを多相多重化しても、制御回路は位相シフト制御によりシンプルで経済的である。
これに対して、図6(b)に示した三相多重方式降圧チョッパ5'は、一括コンデンサ方式を採用して、各単位降圧チョッパ3a',3b',3c'に平滑コンデンサを配置する代わりに、単位降圧チョッパ3a',3b',3c'を並列接続した出力端子に相応の容量を持つ平滑コンデンサCo'を配置するようにしたものである。平滑コンデンサCo'は、一括したものを1個設ければシンプルで済み、製作および保全管理が容易である。
電力供給装置本体36aに設けられるDC−DCコンバータは、図3に示した本発明に係るソフトスイッチング式の降圧チョッパ3を用いたDC−DCコンバータや、図6に示したソフトスイッチング式の降圧チョッパ3を用いた多相多重方式のDC−DCコンバータである。
電池駆動電車6は、充電ステーション以外の場所では,パンタグラフを降ろして走行し、充電ステーションでパンタグラフを上昇させて充電ポスト31に接触させ、電池駆動電車6に搭載した二次電池の充電を行う。
なお、充電ポスト31は、架線に限らず、軌条あるいはソケットなどを介して電力供給するものであっても良い。
本実施形態の電力供給システムの充電ステーションには、本発明に係るソフトスイッチング降圧チョッパを用いて構成されたDC−DCコンバータ35が設備されている。DC−DCコンバータ35は、地上変電設備など、直流電源からたとえばDC1500Vなど所定の直流電源電圧を入力して、車載の二次電池に適合するたとえばDC600Vなど低い異なる直流電圧に変換して、充電ポスト31に供給する。
電池駆動電車6は、ニッケル水素電池などを使った二次電池11、可変電圧可変周波数制御を行うVVVFインバータ12、車両走行用の誘導電動機13などをそれぞれ搭載している。
フィルタコンデンサ17がVVVFインバータ12と並列に接続されて、フィルタリアクトル9と共にローパスフィルタを構成している。VVVFインバータ12の出力端子には、車輪15を駆動するための誘導電動機13が接続されている。
CVCFインバータ(SIV)18の出力端子には、空調装置、車内照明装置、ブレーキ用コンプレッサなど、補機の負荷19が接続されている。
電池駆動電車6の力行時は、二次電池11からの直流電力がVVVFインバータ12に供給され、運転指令台からの指令速度に応じた周波数、電圧の三相交流電力に変換して、誘導電動機13を駆動する。
電池駆動電車6が駅に停車している間でも補機の運転が必要である場合には、CVCFインバータ(SIV)18が二次電池11から必要な電力を受けて補機に供給する。
電池駆動電車6は、充電ステーションに停車中に二次電池11に充電して、つぎの充電ステーションまで走行できる電力を蓄電する。
したがって、軌道に沿って敷設される信号線やレールを伝播する鉄道信号系に及ぼす悪影響が抑制され、電磁ノイズに対する対策を簡易なものとすることができる。
そこで、図9においては、図8に記載の要素と同じ機能を有する要素については同じ参照番号を付すことで説明を簡約化している。
したがって、DC−DCコンバータ21自体が小型軽量であるばかりでなく、コンバータが稼働する際のスイッチング損失が少なく高効率であり、冷却が簡単である。また、電磁ノイズが少ないので、ノイズの遮蔽が容易である。このため、電池駆動電車6に、DC−DCコンバータ21を搭載しても、車両重量が過大にならず、走行負荷に対応する二次電池容量も過大にならない。
2 制御回路
3,3a,3b,3c,3a',3b',3c' 降圧チョッパ
4 制御回路
5,5' 三相多重方式降圧チョッパ
6,6a 電池駆動電車
7,7a 高速度遮断器
8,8a 電磁接触器
9,9a フィルタリアクトル
11 二次電池
12 VVVFインバータ
13 誘導電動機
14 パンタグラフ
15 車輪
17,17a フィルタコンデンサ
18 CVCFインバータ(SIV)
19 負荷
21 DC−DCコンバータ(車載)
31 充電ポスト
32 レール
35 DC−DCコンバータ(地上設置)
36 電力供給装置
36a 電力供給装置本体
Claims (6)
- 第1端子と第2端子の間に、第1ダイオードと、第2ダイオードと、リアクトルと、コンデンサと、オンオフ制御が可能なパワー半導体デバイスである第1スイッチ及び第2スイッチとを備えた共振スイッチであって、
前記第1端子と前記第2端子の間に、前記第1スイッチと前記リアクトルと前記第2スイッチを直列に接続し、
前記第1ダイオードのアノードを前記第2スイッチと前記リアクトルの接続点に、前記第1ダイオードのカソードを前記第1端子に接続し、
前記第2ダイオードのアノードを前記第2端子に、前記第2ダイオードのカソードを前記第1スイッチと前記リアクトルの接続点に接続し、
前記コンデンサを前記第1端子と前記第2端子の間に接続して、
構成されるソフトスイッチング用の共振スイッチ。 - 正極入力端子と、接地入力端子と、前記正極入力端子に前記第1端子を接続した請求項1記載の共振スイッチと、カソードを該共振スイッチの前記第2端子に接続しアノードを前記接地入力端子に接続したダイオードと、一端を前記共振スイッチの第2端子に接続した直流リアクトルと、該直流リアクトルの他端を接続する正極出力端子と、前記接地入力端子と接続した接地出力端子と、該共振スイッチを駆動するゲート駆動信号を生成する制御回路を備えて、前記正極入力端子と前記接地入力端子を介して入力する直流電力の電圧を低減して前記正極出力端子と前記接地出力端子を介して出力する、ソフトスイッチング降圧チョッパ。
- 正極入力端子と、接地入力端子と、前記正極入力端子に前記第1端子を接続した請求項1記載の共振スイッチと、カソードを該共振スイッチの前記第2端子に接続しアノードを前記接地入力端子に接続したダイオードと、一端を前記共振スイッチの第2端子に接続した直流リアクトルと、該直流リアクトルの他端を接続する正極出力端子と、前記接地入力端子と接続した接地出力端子とを備えた降圧チョッパ回路モジュールを複数並列に接続し、各降圧チョッパ回路モジュールの前記共振スイッチを時分割制御により駆動するゲート駆動信号を生成する制御回路を備えて、前記正極入力端子と接地入力端子を介して入力する直流電力の電圧を低減して前記正極出力端子と前記接地出力端子を介して出力する、ソフトスイッチング降圧チョッパ。
- 直流電力を供給する直流電源と、請求項2または3記載のソフトスイッチング降圧チョッパを用いて構成したDC−DCコンバータと、電池駆動電車に搭載した二次電池とを備え、前記直流電源から供給される直流電力を、前記DC−DCコンバータに入力して降圧し、前記二次電池を該降圧した直流電力で充電する、電池駆動電車の電力供給システム。
- 前記直流電源と前記DC−DCコンバータは地上に設置される、請求項4記載の電池駆動電車の電力供給システム。
- 前記直流電源は地上に設置され、前記DC−DCコンバータは前記電池駆動電車に搭載される、請求項4記載の電池駆動電車の電力供給システム。
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