JP5523811B2 - ソフトスイッチング降圧チョッパおよび電力供給システム - Google Patents

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Description

本発明は、ソフトスイッチング方式による降圧チョッパに関し、さらに二次電池などの蓄電装置に適用される電力供給システムに関する。
現在、地方路線など架線のない架線レス区間で運行するディーゼル車は、CO排出量削減の要請などにより、近い将来、二次電池を搭載して電動機で運転される電池駆動電車に取って代わられる可能性が高いと考えられている。電池駆動電車は、二次電池を搭載し、運行区間の適所に設けた充電ステーションで二次電池を充電して、架線レス区間を二次電池からの電気エネルギーを使って電動機により運行する。架線レス区間と架線区間が混在する路線では、架線区間で走行中に架線から二次電池を充電して、架線レス区間を二次電池に蓄電したエネルギーで運行するようにすることもできる。
このような技術趨勢に応じて、電池駆動電車に適用できるような、大容量で、急速充電が可能な高エネルギー密度の二次電池が開発・実用化されつつある。また、このような電池駆動電車搭載の二次電池に対して効果的な充電管理を行う充電制御装置が求められている。
最近の電池駆動電車の電力供給システムでは、充電ステーションにおける地上設置式蓄電装置、及び電車搭載の蓄電装置として、新しい構造を有する大容量のニッケル水素電池が利用されている。
ここに、充電制御装置は、電池駆動電車に搭載され、直流架線電圧を降圧して(たとえば、DC1500Vから電池電圧のDC600V程度まで降圧する)、二次電池の充電を行う装置であり、電池駆動電車の適切な運用を行うために必要とされる。充電制御装置には、直流入力電圧(架線電圧;以下直流電源と称す)を降圧するための降圧チョッパが組み込まれる。
図10は、基本的な降圧チョッパの回路図である。
図10において、直流電源Eに、スイッチSW、リアクトルL、負荷Rが直列接続され、直列接続された直流電源EとスイッチSWに対して環流ダイオードDfが並列に接続されている。また、負荷RにはコンデンサCが並列接続されている。スイッチSWはオン/オフを高速で周期的に繰り返す。
コンデンサCは、負荷Rに印加される直流電圧を平滑化するものである。ダイオードDfは、スイッチSWがオフしたときにリアクトルLに蓄えられたエネルギーを放出するバイパス用ダイオードである。
スイッチSWは、極めて高速かつ周期的に動作させる必要があるので、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、IGCT(Integrated Gate Commutated Thyristor)、IEGT(Injection Enhanced Gate Transistor)、ESBT(Emitter Switched Bipolar Transistor)などのパワー半導体デバイスが用いられる。
パワー半導体デバイスを用いたDC−DCコンバータ等の電力変換装置については、高周波スイッチング技術の導入に伴って、小型軽量化、高電力密度化、低騒音化、高速応答化、波形の高品質化、の要求に向けた技術開発が注目を浴びている。
しかし、高周波スイッチング半導体電力変換装置を応用する分野において、パワー半導体デバイスのスイッチング損失やスナバ回路での損失の増加に伴う電力変換効率の低下、急峻なスイッチ部の電圧変化に伴う対地高周波漏れ電流やスイッチングサージに伴う電磁ノイズの発生などの実用上の問題が顕在化している。
電池駆動電車に搭載する二次電池用の充電制御装置は、高周波スイッチング電力変換回路を使用する。パワー半導体デバイスのオン/オフ時に発生する電磁ノイズが大きいため、列車検知装置、踏切制御子、自動列車停止装置など、鉄道信号系に悪影響を及ぼすおそれがある。電磁ノイズに対しては、装置へのフィルタやシールド材の追加により、信号系への影響を抑制できるが、これらは車両を重量化する。
図11は、IGBTにおいて、ハードスイッチング・ターンオン時に発生するサージを例示する電圧・電流波形である。対象とした回路は、昇圧チョッパ回路で、スナバ回路を持たないハードスイッチング動作時の波形である。横軸の1目盛が500nsで、縦軸にパワー半導体デバイスの電圧を1目盛100V、電流を1目盛10Aで表示した波形例である。
図11の電圧波形と電流波形から、ハードスイッチング動作時ではスイッチング過渡時に急峻なdv/dt及びdi/dtと、急峻なdi/dtと寄生インダクタンスによる電圧サージと、急峻なdv/dtと寄生キャパシタンスによる電流サージとが発生することが分かる。
このように、ハードスイッチングでは、スイッチングサージに起因する伝導性ノイズや放射性ノイズが発生する。伝導性ノイズは一部が出力端子に、他の一部は直流電源側に逆流して、周辺の電子機器に障害を引き起こす。また、放射性ノイズは周辺機器の誤動作などの悪影響を引き起こす。
これから、ハードスイッチングでは、IGBTなどパワー半導体デバイスの電圧/電流のピークストレスの増大と、電磁ノイズの発生が問題になる。
また、図12は、一般的なハードスイッチング時の電圧・電流波形である。波形は、降圧チョッパのデバイス電圧vCEとデバイス電流iの変化を示す。Eは電源電圧、Iは負荷電流を表す。
図12から分かるように、パワー半導体デバイスは、ターンオン時とターンオフ時の過渡状態において、スイッチの電圧と電流に重なりが生じて、スイッチング損失が発生する。このスイッチング損失は熱となるので、パワー半導体デバイスを冷却するための放熱系が大きくかつ重くなるという問題がある。このスイッチング損失は、スイッチング周波数の高周波化とともに増大するため、電力変換装置の変換効率の低下を招くことになる。
上記のような、スイッチング周波数の高周波化に伴う問題とスイッチング損失を抑制するための効果的な解決法として、スイッチング電力変換回路をアクティブ補助共振スナバ回路によりLC部分共振状態で動作させることで、スイッチ端子間がゼロ電圧状態においてスイッチングを行うゼロ電圧スイッチング(ZVS)あるいはゼロ電流状態においてスイッチングを行うゼロ電流スイッチング(ZCS)あるいはこれらのハイブリッドとなるZVZCSといったソフトスイッチング電力変換回路技術が注目されている。
特許文献1には、ソフトスイッチング技術によりスイッチング損失を減少させ、スイッチング周波数を高周波化して、直流リアクトルなどの部品を小型化した、低コストで高効率な部分共振型のDC−DCコンバータが開示されている。
開示されたDC−DCコンバータは、部分共振回路の機能により、第1の主スイッチのゼロ電圧スイッチング(ZVS)を可能とし、ソフトスイッチングを実現する。ただし、直列に接続された2つの主スイッチを交互に異なるタイミングでオン/オフさせたり、タイミングを計るため直流リアクトルに実際に流れる電流を測定するセンサと共振リアクトルに実際に流れる電流を測定するセンサを必要としたりするため、制御回路が複雑になることが避けられない。
特開2004−129393号公報
従来でも、共振スイッチ、特に、部分共振スイッチ回路要素を用いたソフトスイッチング降圧チョッパを利用することにより、電池駆動電車の電力供給システムにおいて、ハードスイッチング方式と比べて電磁ノイズやスイッチング損失を抑制することができる。
しかし、従来のソフトスイッチング降圧チョッパでは、ソフトスイッチングを実現する制御回路が複雑になり、十分な経済性を有するものとならなかった。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、より簡単なゲート駆動回路で的確に管理できる部分共振スイッチ回路要素を組み込んだソフトスイッチング降圧チョッパを提供することである。
さらに、より簡単なゲート駆動回路で的確に管理できるソフトスイッチング方式の充電制御装置を備えた、電池駆動電車の二次電池に対する電力供給システムを提供することである。
上記課題を解決するため、本発明のソフトスイッチング用の部分共振スイッチ回路要素は、第1端子と第2端子の間に、第1ダイオードと、第2ダイオードと、共振リアクトルと、共振コンデンサと、オンオフ制御が可能なパワー半導体デバイスである第1スイッチ及び第2スイッチとを備えた共振スイッチである。
本部分共振スイッチ回路要素は、第1端子と第2端子の間に、第1スイッチと共振リアクトルと第2スイッチを直列に接続し、第1ダイオードのアノードを第2スイッチと共振リアクトルの接続点に、第1ダイオードのカソードを第1端子に接続し、第2ダイオードのアノードを第2端子に、第2ダイオードのカソードを第1スイッチと共振リアクトルの接続点に接続し、共振コンデンサを第1端子と第2端子の間に接続して、構成される。
本発明の部分共振スイッチ回路要素の動作は、第1スイッチと第2スイッチを一つのゲート駆動信号により同じタイミングでオンオフすることによって制御することができる。
なお、第1スイッチと第2スイッチは、同等の特性を有するパワー半導体デバイスを用いて、主スイッチに印加される電圧を二分して負担させることにより耐電圧特性に対する要求を緩和させることができる。特に大電流を扱う回路では、耐電圧特性に対する要求性能が低いと、パワー半導体デバイスの選択を容易にし、しかもオン電圧の低いパワー半導体デバイスを採用することができ、コストを低減することに繋がり、有利である。
また、第1スイッチと第2スイッチが、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、IGCT(Integrated Gate Commutated Thyristor)、IEGT(Injection Enhanced Gate Transistor)、ESBT(Emitter Switched Bipolar Transistor)などの、オン・オフの制御が可能なパワー半導体デバイスである場合は、ターンオフ時には第1端子と第2端子の間に接続されている共振コンデンサの作用によりゼロ電圧スイッチング(ZVS)を行い、ターンオン時には第1スイッチと第2スイッチの間に接続された共振リアクトルの作用により共振初期電流を確保し、ゼロ電流スイッチング(ZCS)を行うことができる。
本発明の部分共振スイッチ回路要素を各種の直流チョッパに適用することにより、直流チョッパの主スイッチについてソフトスイッチングを実現させることができる。なお、直流チョッパ内の環流ダイオードもゼロ電流スイッチング(ZCS)を行うため、その逆回復電流を小さくすることができ、主スイッチのターンオン損失と環流ダイオードのターンオフ損失を効果的に低減させることができる。
本発明のソフトスイッチング降圧チョッパは、パワー半導体デバイスとダイオードとリアクトルを備え、部分共振スイッチ回路要素を駆動するゲート駆動信号を生成する回路を備えた降圧チョッパであって、上記本発明の部分共振スイッチ回路要素を組み込んだことを特徴とする。
すなわち、本発明のソフトスイッチング降圧チョッパは、正極入力端子と、接地入力端子と、正極入力端子に第1端子を接続した本発明の部分共振スイッチ回路要素と、カソードを部分共振スイッチ回路要素の第2端子に接続しアノードを接地入力端子に接続したダイオードと、一端を部分共振スイッチ回路要素の第2端子に接続した共振リアクトルと、共振リアクトルの他端を接続する正極出力端子と、接地入力端子と接続した接地出力端子と、部分共振スイッチ回路要素を駆動するゲート駆動信号を生成する制御回路を備えて、正極入力端子と接地入力端子を介して入力する直流電力の電圧を低減して正極出力端子と接地出力端子を介して出力する。
このように、本発明のソフトスイッチング降圧チョッパは、ソフトスイッチング動作を行うので、電池駆動電車に適用することにより、列車検知装置、踏切制御子、自動列車停止装置など、電磁ノイズを嫌う鉄道信号系に対する悪影響が減少し、これらの悪影響を抑制するためにとられてきた各種の対策を簡約化することができる。
さらに、降圧チョッパの環流ダイオードについても、ターンオン時にゼロ電圧スイッチングを達成し、ターンオフ時にゼロ電流スイッチングを達成して、スイッチング損失を低減することができる。
また、第1スイッチと第2スイッチの2つのスイッチの耐圧は、電源電圧の半分の電圧であればよいため、低耐圧のパワー半導体デバイスを選択することができる。
本発明の降圧チョッパにおけるスイッチのゲート駆動回路は同じタイミングであることから簡単になり、小型化かつ軽量化することができる。
また、本発明のソフトスイッチング降圧チョッパは、複数並列接続することによって、時分割制御動作による多相多重(マルチフェーズ)化をすることもできる。
また、本発明の時分割制御動作による多相多重化をしたソフトスイッチング降圧チョッパは、回路素子の数は増えても1相当たりの出力電流が小さくなるので、合成して形成される合成出力電流におけるリップル率が激減して直流リアクトルや平滑コンデンサの小型軽量化が達成でき、降圧チョッパの重量軽減にも有効である。なお、多相多重化により回路的には複雑にみえるが、本発明の部分共振回路ではゲート駆動信号が単純なため、制御回路のコストが大きく増大することはない。
さらに、本発明の電池駆動電車の電力供給システムは、本発明のソフトスイッチング降圧チョッパを用いて構成したDC−DCコンバータを備え、地上に設置された直流電源装置から架線や電線・ケーブルを介して供給される直流電力を、DC−DCコンバータで降圧して、降圧した直流電力で電池駆動電車に搭載した二次電池あるいは地上設置された二次電池を充電することを特徴とする。
直流電源装置に加えてDC−DCコンバータも地上に設置して、降圧した直流電力を電池駆動電車に供給するようにすることができる。
また、直流電源装置は地上に設置されるが、DC−DCコンバータを電池駆動電車に搭載して、電池駆動電車上において直流電力を降圧するようにしてもよい。
本発明のソフトスイッチング用部分共振スイッチ回路要素およびソフトスイッチング降圧チョッパによれば、極めて簡単なゲート駆動回路によりソフトスイッチングを達成するばかりでなく、パワー半導体デバイスや直流リアクトルや平滑コンデンサを小型化して、電池駆動電車の電力供給システムを小型軽量で経済的な装置とすることができる。さらに、本発明のソフトスイッチング用部分共振スイッチ回路要素およびソフトスイッチング降圧チョッパを電池駆動電車の二次電池に対する充電制御装置に適用することにより、鉄道信号系に悪影響を与えない経済的な地上設置型充電制御装置としても、また車載型充電制御装置としても、利用することができる。
本発明の1実施形態に係るソフトスイッチング用部分共振スイッチ回路要素の回路図である。 本実施形態に係るソフトスイッチング用部分共振スイッチ回路要素のスイッチオンオフ状態を説明する等価回路図である。 本発明の1実施形態に係るソフトスイッチング降圧チョッパの回路図である。 本実施形態のソフトスイッチング降圧チョッパの動作原理波形図である。 本実施形態のソフトスイッチング降圧チョッパの動作モード遷移等価回路図である。 本発明の別の実施形態に係るソフトスイッチング降圧チョッパの回路図である。 電池駆動電車に搭載した二次電池に給電する、本発明に係る電力供給システムの概念図である。 本発明の1実施形態に係る電力供給システムの回路図である。 本発明の別の1実施形態に係る電力供給システムの回路図である。 基本的な降圧チョッパの回路図である。 IGBTにおけるターンオン時のサージを例示する波形図である。 基本的なスイッチング波形を示す波形図である。
以下、図面を用い実施形態に基づいて本発明のソフトスイッチング用部分共振スイッチ回路要素を用いたソフトスイッチング降圧チョッパおよび電力供給システムを詳細に説明する。
図1は、本発明の1実施形態に係るソフトスイッチング用部分共振スイッチ回路要素の回路図である。
図1に示す通り、本実施形態のソフトスイッチング用の部分共振スイッチ回路要素1は、第1端子T1と第2端子T2の間に、第1スイッチQ1と、第2スイッチQ2と、第1ダイオードD1と、第2ダイオードD2と、共振リアクトルLrと、共振コンデンサCrとを備えた共振スイッチである。
第1端子T1と第2端子T2の間に、第1スイッチQ1と共振リアクトルLrと第2スイッチQ2がこの順にかつこの方向に電流が流れるように直列に接続されている。また、第1ダイオードD1のアノードが第2スイッチQ2と共振リアクトルLrの接続点に、第1ダイオードD1のカソードが第1端子T1に接続され、第2ダイオードD2のアノードが第2端子T2に、第2ダイオードD2のカソードが第1スイッチQ1と共振リアクトルLrの接続点に接続されている。さらに、共振コンデンサCrが第1端子T1と第2端子T2に並列接続されている。
第1スイッチQ1と第2スイッチQ2は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、IGCT(Integrated Gate Commutated Thyristor)、IEGT(Injection Enhanced Gate Transistor)、ESBT(Emitter Switched Bipolar Transistor)などの、オンオフ制御が可能なパワー半導体デバイスで形成される。これらのパワー半導体デバイスは、同時にゲートがオンになってスイッチがオンの状態の時に電流が第1端子T1から第2端子T2の方向に流れる向きに接続されている。
本実施形態の部分共振スイッチ回路要素1では、一つのゲート駆動信号により、第1スイッチQ1と第2スイッチQ2を同じタイミングでオンオフする。
図2は、本実施形態の部分共振スイッチ回路要素1における、第1スイッチQ1と第2スイッチQ2のオンオフ状態における回路の変化を説明する等価回路図である。図2では、第1スイッチQ1と第2スイッチQ2は、それぞれスイッチとダイオードの直列回路で表現されている。図2(a)は、第1スイッチQ1と第2スイッチQ2がオン状態の時、図2(b)は、第1スイッチQ1と第2スイッチQ2がオフ状態の時を示す。
図2(a)を参照すると、第1スイッチQ1と第2スイッチQ2が同時にオンになっているときには、上記の回路に加えて、第1スイッチQ1と共振リアクトルLrと第2スイッチQ2を通って第1端子T1から第2端子T2に電流が流れる回路が形成される。また、第1スイッチQ1と共振リアクトルLrと第2スイッチQ2を通って第1端子T1から第2端子T2に向けて流れる電流により共振リアクトルLrと共振コンデンサCrに基づいた部分共振が発生する直列共振回路が形成される。
図2(b)を参照すると、第1スイッチQ1と第2スイッチQ2がオフになっているときには、第2ダイオードD2と共振リアクトルLrと第1ダイオードD1を通って第2端子T2から第1端子T1に電流が流れる回路が形成される。
また、同時に、第2ダイオードD2と共振リアクトルLrと第1ダイオードD1を通って第2端子T2から第1端子T1に流れる電流により共振リアクトルLrと共振コンデンサCrに基づいた部分共振が発生する直列共振回路が形成される。ただし、共振リアクトルLrの電流は第1ダイオードD1と第2ダイオードD2の向きで規制されるので、共振リアクトルLrの電流は反転して流れることはない。
なお、第1端子T1の電圧が第2端子T2の電圧より高い場合は、第1ダイオードD1と共振リアクトルLrと第2ダイオードD2を通って電流が流れることはない。
また、第1スイッチQ1と第2スイッチQ2が同時にオンになっているときにも、共振リアクトルLrの電流は、第1スイッチQ1と第2スイッチの電流の向きで規制されるので、逆に第2スイッチQ2から第1スイッチQ1に向けて流れることはない。
本実施形態の部分共振スイッチ回路要素1は、第1スイッチQ1と第2スイッチQ2の間に直列に接続された共振リアクトルLrと、第1端子T1と第2端子T2の間に並列に接続した共振コンデンサCrとを備える。
このため、第1スイッチQ1と第2スイッチQ2を同時にオン状態に変えるターンオン時においては、共振コンデンサCrの電圧は直流電源電圧にクランプされ、共振リアクトルLrによりスイッチ電流は緩やかに増加するので、ゼロ電流スイッチング(ZCS)のソフトスイッチングをさせることができる。
また、第1スイッチQ1と第2スイッチQ2を同時にオフ状態に変えるターンオフ時には、スイッチ電流が適度に減少するまでの間は共振コンデンサCrが共振リアクトルLrと直列共振動作を取ることによりスイッチ電圧がゼロから緩やかに増加するので、ゼロ電圧スイッチング(ZVS)のソフトスイッチングをさせることができる。
このように、本実施形態の部分共振スイッチ回路要素1は、第1スイッチQ1と第2スイッチQ2において、ターンオン時とターンオフ時のいずれでもソフトスイッチングを実現すると共に、第1スイッチQ1と第2スイッチQ2を同じゲート駆動信号で駆動することができ、部分共振スイッチ回路要素のゲート駆動回路が簡易化する。
本発明の部分共振スイッチ回路要素は、パワー半導体デバイスとダイオードと直流リアクトルを備えて構成される各種直流チョッパにおいて、パワー半導体デバイスに代替して組み込むことにより、直流チョッパにおける主スイッチのソフトスイッチングを実現させることができる。
図3は、本発明の部分共振スイッチ回路要素を組み込んだ、本発明の1実施形態に係るソフトスイッチング降圧チョッパの回路図である。
降圧チョッパ3は、部分共振スイッチ回路要素Sの高頻度のオンオフ動作のみにより、直流電源Ed(たとえばDC1500Vなど所定の直流電源電圧)からDC600Vなど低い異なる直流電圧に変換して、二次電池Ebなどに供給する直流チョッパである。なお、本実施形態において、直流電源Edは、降圧チョッパ3の外に設けられて、たとえば架線あるいは電線・ケーブルなどを介して直流電源電圧を降圧チョッパ3に供給する。
本実施形態のソフトスイッチング降圧チョッパ3は、部分共振スイッチ回路要素SとダイオードDoと直流リアクトルLoを備えて構成される。ソフトスイッチング降圧チョッパ3では、部分共振スイッチ回路要素SとダイオードDoと直流リアクトルLoは接続点T3で接続され、部分共振スイッチ回路要素Sを挟んで接続点T3と反対側に位置する接続点T4に直流電源Edが接続され、直流リアクトルLoを挟んで接続点T3と反対側に位置する接続点T5に二次電池Ebが接続され、ダイオードDoを挟んで接続点T3と反対側に位置する接続点T6が接地されている。
直流リアクトルLoは電流を平滑化するためのもので、さらに平滑コンデンサCoを接続して電圧を平滑化している。ダイオードDoは、部分共振スイッチ回路要素Sの第1スイッチQ1と第2スイッチQ2がオフになったときに、直流リアクトルLoに蓄えられたエネルギーを放出する環流ダイオードである。
本実施形態の降圧チョッパ3は、図1に示した部分共振スイッチ回路要素1を組み込んだもので、部分共振スイッチ回路要素1のゲート駆動信号を生成する制御回路2が付属している。
部分共振スイッチ回路要素1の第1端子T1を直流電源Edに繋がる接続点T4に接続し、第2端子T2を直流リアクトルLoとの接続点T3に接続する。
本実施形態の降圧チョッパ3は、直流電源Edの出力端子と接続する接続点T4すなわち正極入力端子T4と接地入力端子と、正極入力端子T4に第1端子T1を接続した図1の部分共振スイッチ回路要素1と、ダイオードDoのカソードを部分共振スイッチ回路要素1の第2端子T2に接続し、ダイオードDoのアノードを接地入力端子に接続したダイオードDoと、一端を部分共振スイッチ回路要素1の第2端子T2に接続した直流リアクトルLoと、直流リアクトルLoの他端を接続する接続点T5すなわち正極出力端子T5と、接地入力端子と接続した接地出力端子と、部分共振スイッチ回路要素1を駆動するゲート駆動信号を生成する制御回路2を備えたソフトスイッチング降圧チョッパであって、直流電源Edから入力する直流電力の電圧を降圧して正極出力端子T5と接地出力端子を介して二次電池Ebに供給する。
本実施形態のソフトスイッチング降圧チョッパ3は、部分共振スイッチ回路要素1の中に設けられた2つのスイッチQ1,Q2を、制御回路2から供給される1つのゲート駆動信号で同時に駆動するもので、2つのスイッチについてゼロ電流ターンオン動作(ZCS)とゼロ電圧ターンオフ動作(ZVS)を達成して、ソフトスイッチング降圧チョッパ3を実現している。
図3に示すように構成された降圧チョッパ3において、部分共振スイッチ回路要素1の第1スイッチQ1と第2スイッチQ2を同時にオンにすると、第1端子T1から第1スイッチQ1と共振リアクトルLrと第2スイッチQ2を通って第2端子T2に電流が流れ始めるが、共振リアクトルLrの作用で第1スイッチQ1と第2スイッチQ2に流れる電流は緩やかに増加する。これを、ZCSと称する(段落0018参照)。
一方、電流が流れている状態で、第1スイッチQ1と第2スイッチQ2を同時にオフにすると、蓄積時間を経た後にスイッチ電流が減少しスイッチ電圧が増加し始めるが、共振コンデンサCrが電源からの電流を吸収しながら端子電圧を徐々に上昇させて、第1スイッチQ1と第2スイッチQ2のスイッチ電圧の上昇を緩やかにする。これを、ゼロ電圧ターンオフ動作(ZVS)と称する(段落0018参照)。
以下、本実施形態の降圧チョッパ3のオンオフ動作による動作モード遷移と等価回路を表した図面により詳しく説明する。
図4は、図3に示した本実施形態の降圧チョッパ3がオンオフ動作する間における各回路素子の電圧あるいは電流の時間的変化を説明する動作原理波形図である。図4は、横軸を時間軸として、オンオフ動作1周期にわたり降圧チョッパ3の主要な回路素子における電圧または電流の波形変化を表している。
図4(a)は第1スイッチQ1及び第2スイッチQ2に与えるゲート駆動信号p(Q1)(およびp(Q2))の波形図、図4(b)は第1スイッチQ1及び第2スイッチQ2のスイッチ電流i(Q1)(およびi(Q2))の波形図、図4(c)は第1スイッチQ1及び第2スイッチQ2のスイッチ電圧v(Q1)(およびv(Q2))の波形図、図4(d)は第1ダイオードD1及び第2ダイオードD2の電流i(D1)(およびi(D2))の波形図、図4(e)は共振リアクトルLrの電流i(Lr)の波形図、図4(f)は共振コンデンサCrの電流i(Cr)の波形図、図4(g)は共振コンデンサCrの電圧v(Cr)の波形図、図4(h)は環流ダイオードDoの電流i(Do)の波形図、図4(i)は環流ダイオードDoの電圧v(Do)の波形図、図4(j)は直流リアクトルLoの電流i(Lo)の波形図である。また、図4(k)に各動作モードの区分を記載している。
また、図5は、降圧チョッパ3のオンオフ動作1周期内の各動作モードにおける等価回路を示す動作モード遷移等価回路図である。降圧チョッパ3は、負荷電流環流モード(モード0)からZCSターンオンモード(モード1)、部分共振モード(モード2)、定常モード(モード3)、ZVSターンオフモード(モード4)、電源回生モード(モード5)と遷移して、再びモード0に戻る動作を繰り返す。
図5(a)はモード0におけるソフトスイッチング降圧チョッパ3の等価回路、図5(b)はモード1におけるソフトスイッチング降圧チョッパ3の等価回路、図5(c)はモード2におけるソフトスイッチング降圧チョッパ3の等価回路、図5(d)はモード3におけるソフトスイッチング降圧チョッパ3の等価回路、図5(e)はモード4におけるソフトスイッチング降圧チョッパ3の等価回路、図5(f)はモード5におけるソフトスイッチング降圧チョッパ3の等価回路である。
以下、図4と図5を対照してモードの遷移を説明する。
負荷電流環流モード(モード0)では、図5(a)に示すように、部分共振スイッチ回路要素1の第1スイッチQ1と第2スイッチQ2がオフになっていて、直流電源Edからの電力供給がなく、負荷電流は環流ダイオードDoを通じて環流する。
時刻t1において、ゲート駆動信号p(Q1)およびp(Q2)を印加して第1スイッチQ1、第2スイッチQ2をオンすると、図5(b)に示すZCSターンオンモード(モード1)に遷移して、第1スイッチQ1と第2スイッチQ2にスイッチ電流i(Q1)およびi(Q2)が流れ始める。ただし、共振リアクトルLrの作用でスイッチ電流i(Q1)およびi(Q2)は緩やかに増加するため、これと同時に環流ダイオードに流れる電流は減少し始める。
これにより、降圧チョッパ3はゼロ電流スイッチング(ZCS)のターンオンを行うことができる。なお、第1スイッチQ1と第2スイッチQ2は、同じ特性を有するパワー半導体デバイスであって、同じゲート駆動信号で駆動され、両者はほぼ同じ電圧波形と電流波形を呈する。こうして、直流電源Edから負荷Roに電流が流れるようになると、環流ダイオードDoの電流は減少していく。
環流ダイオードDoの電流が減少して時刻t2にゼロになると、図5(c)の等価回路で示すような、部分共振モード(モード2)になって、部分共振スイッチ回路要素1の共振リアクトルLrと共振コンデンサCrを含む回路で部分共振を始める。このため、第1スイッチQ1と第2スイッチQ2のスイッチ電流i(Q1)およびi(Q2)が正弦波状に増加し、共振コンデンサCrの電流i(Cr)も正弦波状に増加する。共振コンデンサCrの放電に従って共振コンデンサCr両端間の電圧v(Cr)は減少し、共振コンデンサ電圧v(Cr)がゼロになると、部分共振スイッチ回路要素1の共振リアクトルLrと共振コンデンサCrによる部分共振が停止する。なお、環流ダイオードDoがオフするときには、ゼロ電圧スイッチング(ZVS)を行うことになる。
共振コンデンサ電圧v(Cr)がゼロになった時刻t3から、部分共振スイッチ回路要素1の第1ダイオードD1と第2ダイオードD2が共に順バイアス状態になり、図5(d)の等価回路で示すような、直流電源Edから出力側にパワー伝達を行う定常モード(モード3)が始まる。
パワー伝達の定常モード(モード3)にある降圧チョッパ3について、時刻t4にゲート駆動信号p(Q1)およびp(Q2)をゼロにして第1スイッチQ1と第2スイッチQ2をオフにすると、図5(e)の等価回路で示すような、ZVSターンオフモード(モード4)に遷移する。第1スイッチQ1と第2スイッチQ2は、その後スイッチ電流が減少しスイッチ電圧が増加し始める。
一方、第1スイッチQ1と第2スイッチQ2には共振コンデンサCrが並列接続されているため、第1スイッチQ1と第2スイッチQ2の端子間電圧すなわちスイッチ電圧v(Q1)およびv(Q2)は緩やかに上昇する。
第1スイッチQ1と第2スイッチQ2はゼロ電圧スイッチング(ZVS)のターンオフを行うことができる。
なお、ターンオフをすると、同時に部分共振スイッチ回路要素1の共振リアクトルLrと共振コンデンサCrによる部分共振が始まり、共振コンデンサCrを部分共振モード(モード2)とは逆の方向に充電しながら、共振リアクトルLrを流れる電流が緩やかに減少する。
第1スイッチQ1と第2スイッチQ2のZVSターンオフモード(モード4)では、共振コンデンサCrが充電され両端電圧v(Cr)が上昇するが、両端電圧v(Cr)が電源電圧まで上昇した時刻t5になると、環流ダイオードDoが導通状態となり、図5(f)の等価回路で示すような、電源回生モード(モード5)が始まる。なお、このとき、環流ダイオードDoはデバイス電圧がゼロの状態でターンオンしており、ゼロ電圧スイッチング(ZVS)を実現している。
モード5では、環流ダイオードDoに流れる電流i(Do)と負荷電流との差を、部分共振スイッチ回路要素1の第1ダイオードD1と共振リアクトルLrと第2ダイオードD2を介して直流電源側に回生しながら、スナバ回路を流れる電流(例えばi(Lr))は減衰して、時刻t6になると、自然にゼロになる。
時刻t6からは、回生電流を伴わず直流電源Edからの電力供給がなく、負荷電流は環流ダイオードDoを通じて環流する図5(a)に示す負荷電流環流モード(モード0)となる。
上記説明から明らかな通り、本実施形態の降圧チョッパ3は、第1スイッチQ1と第2スイッチQ2の2つのスイッチに対して、それぞれ独立ではなく、同一のゲート駆動信号で駆動することができる。また、降圧チョッパ3の動作はモード0からモード5まで遷移するが、主スイッチQ1、Q2のターンオンとターンオフ以外は降圧チョッパ3自体の状態の変遷に基づいて自動的にモードが切り替わる。
本実施形態の降圧チョッパ3は、第1スイッチQ1と第2スイッチQ2の2つのスイッチについて、ゼロ電流ターンオン(ZCSターンオン)、ゼロ電圧ターンオフ(ZVSターンオフ)のいわゆるソフトスイッチング転流を実現している。また、環流ダイオードのオンオフについても、ゼロ電圧スイッチングを実現しており、スイッチング損失の小さいDC−DCコンバータを提供することができる。また、本実施形態の降圧チョッパ3を適用することにより、電磁ノイズの少ない環境を提供することができる。
本実施形態の降圧チョッパは、直流電源と負荷の間に複数の降圧チョッパを並列接続して、多相多重化することができる。図6は、時分割制御による多相多重方式を採用した降圧チョッパの代表例を示す回路図である。図6(a)には、いわゆる分割コンデンサ方式の降圧チョッパの例、図6(b)には、いわゆる一括コンデンサ方式の降圧チョッパの例を示す回路図が示されている。
図6(a)は、3個の降圧チョッパ3a,3b,3cを直流電源Eと負荷Rの間に並列接続した三相多重方式降圧チョッパ5を示している。降圧チョッパ3a、3b、3cはそれぞれ、図1に示した本実施形態に係る部分共振スイッチ回路要素1と環流ダイオードDと平滑コンデンサCと直流リアクトルLで構成された、図3などに説明した本実施形態に係る単位降圧チョッパ3である。なお、三相多重方式降圧チョッパ5には、降圧チョッパ3a,3b,3cの部分共振スイッチ回路要素1のパワー半導体デバイスにゲート駆動信号を供給する制御回路4が付属されている。
本実施形態の三相多重方式降圧チョッパ5は、各々独立の直流リアクトルLo1,Lo2,Lo3を持った三相の単位降圧チョッパ3からなり、出力は各直流リアクトルLo1,Lo2,Lo3の出力側で合成されて負荷Rに供給される。したがって、個々の直流リアクトルの電流は相数分の1に減少する。
各単位降圧チョッパ3a,3b,3cは、1サイクルを3等分した位相関係でオンオフされる。出力電流は各相の和となるので、平均値は相数倍の3倍となり、リップル周波数も3倍となり、リップルの絶対値は互いに打ち消す効果を生じて極めて小さくなる。また最大リップル率は、相数の2乗に逆比例して急速に減少し、三相では1/9になる。これにより、リップルが小さくなり電力の品質が向上する。
また、1つの相のチョッパが故障しても、残りの相によって運転を続行することができるので、動作信頼性が向上する。
なお、本実施形態の三相多重方式降圧チョッパ5に使用される単位降圧チョッパ3は、部分共振スイッチ回路要素1に用いられる2つのパワー半導体デバイスを1つのゲート駆動信号で同時に制御すればよく、しかも、モード遷移にも余分なセンサを必要としないので、降圧チョッパを多相多重化しても、制御回路は位相シフト制御によりシンプルで経済的である。
図6(a)に示した三相多重方式降圧チョッパ5では、平滑コンデンサCoを各相の単位降圧チョッパ3a,3b,3cに分割して配置し、負荷を分担するので、個々の平滑コンデンサCo1,Co2,Co3の容量は比較的小さくて済むが、単位降圧チョッパ毎に設ける必要がある。
これに対して、図6(b)に示した三相多重方式降圧チョッパ5'は、一括コンデンサ方式を採用して、各単位降圧チョッパ3a',3b',3c'に平滑コンデンサを配置する代わりに、単位降圧チョッパ3a',3b',3c'を並列接続した出力端子に相応の容量を持つ平滑コンデンサCo'を配置するようにしたものである。平滑コンデンサCo'は、一括したものを1個設ければシンプルで済み、製作および保全管理が容易である。
なお、図6には、降圧チョッパを3個使って三相化したDC−DCコンバータを示したが、相数を任意に選択することができることは言うまでもない。また、単位降圧チョッパ3を1つのモジュールとして標準化して、必要な容量にしたがって相数を決めて多相多重化したDC−DCコンバータを構成するようにすることもできる。このように標準部品を使う場合は、設計および製造の標準化が容易で、信頼性の高い部品を利用した信頼性が高く保守性の高いDC−DCコンバータを得ることができる。
図7は、電池駆動電車に搭載した二次電池に給電する本発明の1実施形態に係る電力供給システムの概念図である。電池駆動電車6は、二次電池に蓄電した電力を使って電動機を駆動して非電化区間のレール32上を走行する。したがって、非電化区間の架線レス区間を走行するときには、適宜設けられた充電ステーションで車載の二次電池(蓄電デバイス)を充電する必要がある。
図7に示すように、充電ステーションは,充電設備がある車両基地A及び駅B1,B2であり、駅C1,C2,C3は充電設備がなく充電ステーションではない。例えば、ニッケル水素電池など小型で高容量の二次電池を用いると、走行距離を長くすることができ、全ての駅に充電設備を設ける必要がない。
充電ステーションには、電力供給装置本体36aと充電ポスト31とを備えた電力供給装置36が設けられている。電力供給装置本体36aには、DC−DCコンバータが設けられ、たとえばDC1500Vの直流電力Pwを受電して、車載の二次電池に適合した、たとえばDC600Vに降圧した直流電力を充電ポスト31に供給する。DC−DCコンバータの負側出力端子はレールに電気的に接続されている。
なお、二次電池電圧の状態に応じて、DC−DCコンバータの出力電圧を適宜に調整することができる。
電力供給装置本体36aに設けられるDC−DCコンバータは、図3に示した本発明に係るソフトスイッチング式の降圧チョッパ3を用いたDC−DCコンバータや、図6に示したソフトスイッチング式の降圧チョッパ3を用いた多相多重方式のDC−DCコンバータである。
電池駆動電車6は、小型で高容量の二次電池を搭載し、二次電池の直流をインバータで三相交流に変換して車輪と連結された電動機を駆動することにより、架線レス区間を走行することができる。
電池駆動電車6は、充電ステーション以外の場所では,パンタグラフを降ろして走行し、充電ステーションでパンタグラフを上昇させて充電ポスト31に接触させ、電池駆動電車6に搭載した二次電池の充電を行う。
なお、充電ポスト31は、架線に限らず、軌条あるいはソケットなどを介して電力供給するものであっても良い。
図8は、電池駆動電車が本実施形態の電力供給システムの充電ステーションで二次電池に充電している状態を示す回路図である。
本実施形態の電力供給システムの充電ステーションには、本発明に係るソフトスイッチング降圧チョッパを用いて構成されたDC−DCコンバータ35が設備されている。DC−DCコンバータ35は、地上変電設備など、直流電源からたとえばDC1500Vなど所定の直流電源電圧を入力して、車載の二次電池に適合するたとえばDC600Vなど低い異なる直流電圧に変換して、充電ポスト31に供給する。
電池駆動電車6は、充電ステーションに停車し、パンタグラフ14を上昇させて充電ポスト31に接触させ、搭載された二次電池11の充電を行う。
電池駆動電車6は、ニッケル水素電池などを使った二次電池11、可変電圧可変周波数制御を行うVVVFインバータ12、車両走行用の誘導電動機13などをそれぞれ搭載している。
二次電池11の正極側端子には、高速度遮断器7と電磁接触器8とフィルタリアクトル9を介して、VVVFインバータ12の正側入力端子が接続され、二次電池11の負極側端子にVVVFインバータ12の負側入力端子が接続されている。
フィルタコンデンサ17がVVVFインバータ12と並列に接続されて、フィルタリアクトル9と共にローパスフィルタを構成している。VVVFインバータ12の出力端子には、車輪15を駆動するための誘導電動機13が接続されている。
さらに、二次電池11の正極側端子には、高速度遮断器7aと電磁接触器8aとフィルタリアクトル9aを介して、定電圧定周波数制御をするCVCFインバータ(SIV)18の正側入力端子が接続され、二次電池11の負極側端子にCVCFインバータ(SIV)18の負側入力端子が接続されている。フィルタコンデンサ17aがCVCFインバータ(SIV)18と並列に接続されて、フィルタリアクトル9aと共にローパスフィルタを構成している。
CVCFインバータ(SIV)18の出力端子には、空調装置、車内照明装置、ブレーキ用コンプレッサなど、補機の負荷19が接続されている。
二次電池11の正極側端子はパンタグラフ14に接続され、負極側端子は車輪15に接続されており、充電ステーションにおいて、パンタグラフ14を介し充電ポスト31から直流電力の供給を受けて二次電池11の充電が行われる。
電池駆動電車6の力行時は、二次電池11からの直流電力がVVVFインバータ12に供給され、運転指令台からの指令速度に応じた周波数、電圧の三相交流電力に変換して、誘導電動機13を駆動する。
また、電池駆動電車6の制動時には、誘導電動機13を発電機として使用し発生する交流電力をVVVFインバータ12で直流電力に変換して二次電池11に充電することができる。
電池駆動電車6が駅に停車している間でも補機の運転が必要である場合には、CVCFインバータ(SIV)18が二次電池11から必要な電力を受けて補機に供給する。
電池駆動電車6は、充電ステーションに停車中に二次電池11に充電して、つぎの充電ステーションまで走行できる電力を蓄電する。
本実施形態の電池駆動電車の電力供給システムでは、充電ステーションにおいて地上に設置されたDC−DCコンバータ35にソフトスイッチング降圧チョッパを用いているため、スイッチング動作時でのスイッチング損失が抑えられると共に、電磁ノイズの発生が抑制される。
したがって、軌道に沿って敷設される信号線やレールを伝播する鉄道信号系に及ぼす悪影響が抑制され、電磁ノイズに対する対策を簡易なものとすることができる。
図9は、本発明の別の実施形態に係る電力供給システムについて、電池駆動電車が充電ステーションで二次電池に充電している状態を示す回路図である。本実施形態では、電池駆動電車に二次電池用のDC−DCコンバータを搭載するようにしたところが、図8で説明した実施形態に係る電力供給システムと異なる点であり、その他に異なるところはない。
本実施形態も、図8で説明した実施形態も、直流電源装置から供給される高圧直流電力を、本発明に係る降圧チョッパを用いたDC−DCコンバータで降圧して、電池駆動電車に搭載した二次電池を降圧した直流電力で充電する点において差異はない。
そこで、図9においては、図8に記載の要素と同じ機能を有する要素については同じ参照番号を付すことで説明を簡約化している。
本実施形態の電力供給システムの充電ステーションでは、充電ポスト31には既設の架線に供給する、たとえばDC1500Vの高い直流電圧が印加されている。なお、充電ポスト31は、電化区間における通常の架線であっても良い。
本実施形態の電池駆動電車6aは、充電ステーションに停車し、パンタグラフ14を上昇させて充電ポスト31に接触させ、充電ポスト31の直流電力を取り込み、LCフィルタを介してDC−DCコンバータ21の入力端子に供給する。
DC−DCコンバータ21は、図3に示した本発明に係るソフトスイッチング式の降圧チョッパ3を用いたDC−DCコンバータや、図6に示したソフトスイッチング式の降圧チョッパ3を用いた多相多重方式のDC−DCコンバータである。
したがって、DC−DCコンバータ21自体が小型軽量であるばかりでなく、コンバータが稼働する際のスイッチング損失が少なく高効率であり、冷却が簡単である。また、電磁ノイズが少ないので、ノイズの遮蔽が容易である。このため、電池駆動電車6に、DC−DCコンバータ21を搭載しても、車両重量が過大にならず、走行負荷に対応する二次電池容量も過大にならない。
特に、降圧チョッパ3を複数設けて多相多重化した場合は、チョッパの部品も軽量になると共に、電磁ノイズが激減して保護に必要な部材の重量やコストが低減する。また、多相多重化により駆動周波数が相数に比例して大きくなることから、スイッチング周波数を可聴周波数より高くして乗客の感じる音響ノイズを抑制することができる。
このように、電池駆動電車6aに二次電池11を充電するDC−DCコンバータ21を搭載した場合は、充電ステーションには、単にたとえばDC1500Vを供給する充電ポストが設置されていればよく、地上施設の設備が簡単になる。また、電車の架線を充電ポストとして使用することにより、電化区間と非電化区間が混在する運転区間では、充電ステーションで充電する代わりに電化区間を走行中に二次電池11を充電することができる。走行中に充電するシステムによれば、設備装置のコストを低減すると共に充電時間を節減することもできる。
本発明の降圧チョッパは、ソフトスイッチングを実現した上に、パワー半導体デバイスなどの部品の要求特性を緩和した上、単純な駆動回路で制御できるようになったので、DC−DCコンバータなどに適用することにより、各種の産業分野に利用することができる。特に、電池駆動電車の二次電池の充電制御装置に適用すると、鉄道信号系に対する悪影響の少ない経済的な充電システムを形成することができる。
1 部分共振スイッチ回路要素
2 制御回路
3,3a,3b,3c,3a',3b',3c' 降圧チョッパ
4 制御回路
5,5' 三相多重方式降圧チョッパ
6,6a 電池駆動電車
7,7a 高速度遮断器
8,8a 電磁接触器
9,9a フィルタリアクトル
11 二次電池
12 VVVFインバータ
13 誘導電動機
14 パンタグラフ
15 車輪
17,17a フィルタコンデンサ
18 CVCFインバータ(SIV)
19 負荷
21 DC−DCコンバータ(車載)
31 充電ポスト
32 レール
35 DC−DCコンバータ(地上設置)
36 電力供給装置
36a 電力供給装置本体

Claims (6)

  1. 第1端子と第2端子の間に、第1ダイオードと、第2ダイオードと、リアクトルと、コンデンサと、オンオフ制御が可能なパワー半導体デバイスである第1スイッチ及び第2スイッチとを備えた共振スイッチであって、
    前記第1端子と前記第2端子の間に、前記第1スイッチと前記リアクトルと前記第2スイッチを直列に接続し、
    前記第1ダイオードのアノードを前記第2スイッチと前記リアクトルの接続点に、前記第1ダイオードのカソードを前記第1端子に接続し、
    前記第2ダイオードのアノードを前記第2端子に、前記第2ダイオードのカソードを前記第1スイッチと前記リアクトルの接続点に接続し、
    前記コンデンサを前記第1端子と前記第2端子の間に接続して、
    構成されるソフトスイッチング用の共振スイッチ。
  2. 正極入力端子と、接地入力端子と、前記正極入力端子に前記第1端子を接続した請求項1記載の共振スイッチと、カソードを該共振スイッチの前記第2端子に接続しアノードを前記接地入力端子に接続したダイオードと、一端を前記共振スイッチの第2端子に接続した直流リアクトルと、該直流リアクトルの他端を接続する正極出力端子と、前記接地入力端子と接続した接地出力端子と、該共振スイッチを駆動するゲート駆動信号を生成する制御回路を備えて、前記正極入力端子と前記接地入力端子を介して入力する直流電力の電圧を低減して前記正極出力端子と前記接地出力端子を介して出力する、ソフトスイッチング降圧チョッパ。
  3. 正極入力端子と、接地入力端子と、前記正極入力端子に前記第1端子を接続した請求項1記載の共振スイッチと、カソードを該共振スイッチの前記第2端子に接続しアノードを前記接地入力端子に接続したダイオードと、一端を前記共振スイッチの第2端子に接続した直流リアクトルと、該直流リアクトルの他端を接続する正極出力端子と、前記接地入力端子と接続した接地出力端子とを備えた降圧チョッパ回路モジュールを複数並列に接続し、各降圧チョッパ回路モジュールの前記共振スイッチを時分割制御により駆動するゲート駆動信号を生成する制御回路を備えて、前記正極入力端子と接地入力端子を介して入力する直流電力の電圧を低減して前記正極出力端子と前記接地出力端子を介して出力する、ソフトスイッチング降圧チョッパ。

  4. 直流電力を供給する直流電源と、請求項2または3記載のソフトスイッチング降圧チョッパを用いて構成したDC−DCコンバータと、電池駆動電車に搭載した二次電池とを備え、前記直流電源から供給される直流電力を、前記DC−DCコンバータに入力して降圧し、前記二次電池を該降圧した直流電力で充電する、電池駆動電車の電力供給システム。
  5. 前記直流電源と前記DC−DCコンバータは地上に設置される、請求項4記載の電池駆動電車の電力供給システム。
  6. 前記直流電源は地上に設置され、前記DC−DCコンバータは前記電池駆動電車に搭載される、請求項4記載の電池駆動電車の電力供給システム。
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