JP5523004B2 - 抗アレルギー機能を有する飲食品及びその製造方法 - Google Patents

抗アレルギー機能を有する飲食品及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5523004B2
JP5523004B2 JP2009179107A JP2009179107A JP5523004B2 JP 5523004 B2 JP5523004 B2 JP 5523004B2 JP 2009179107 A JP2009179107 A JP 2009179107A JP 2009179107 A JP2009179107 A JP 2009179107A JP 5523004 B2 JP5523004 B2 JP 5523004B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
food
lactic acid
drink
lactobacillus
sake
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009179107A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010051311A (ja
Inventor
光起 金桶
健一 渡邊
俊夫 青木
義仁 鍋倉
圭吾 佐藤
喬 栗林
進 山下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Niigata Prefecture
Original Assignee
Niigata Prefecture
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Niigata Prefecture filed Critical Niigata Prefecture
Priority to JP2009179107A priority Critical patent/JP5523004B2/ja
Publication of JP2010051311A publication Critical patent/JP2010051311A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5523004B2 publication Critical patent/JP5523004B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)
  • Non-Alcoholic Beverages (AREA)

Description

本発明は、通常仕込の清酒の醸造により得られる酒粕を原料とした抗アレルギー機能を有する飲食品及びその製造方法に関するものである。
アレルギー性鼻炎は、1970年以降急増し、今なお増加している。1998年に行われた全国の耳鼻科医及びその家族の調査では、通年性アレルギー性鼻炎が18.7%、スギ花粉症が16.2%、スギ以外の花粉症が10.9%とされ、アレルギー性鼻炎全体で29.8%という結果が出ている。増加している原因は必ずしもはっきりしないが、アレルゲン量の増加が第1と考えられている。気密性の高い建築に西洋式暖房、家具を備え、核家族化、共稼ぎの増加などにより清掃の機会が減り、室内塵・ダニが増加し、戦後に大規模に植林されたスギが花粉生産力の強い樹齢30年以上となり、スギ花粉量が増えているからと考えられている(リウマチ・アレルギー情報センター ホームページより引用)。
その為、今後もアレルギー性鼻炎患者数が増加すると考えられ、医療費の高騰、患者のQOL(Quality of Life)の低下が社会問題化している。
そもそもアレルギーとは、外部から体内へ侵入する病原体等の異物(抗原)を排除して生体を防御するための免疫反応が、特定の抗原に対して過剰におこり自己に障害を与える状態である。
このアレルギーは、発生機序により大きく1型〜4型に分類される。
この1〜4型アレルギーのうち前記スギ花粉などによる季節性のアレルギー性鼻炎は代表的な1型アレルギーであり、この1型アレルギーの発症機構は以下の過程を踏む。
まず、抗原(アレルゲン)となるダニやスギ花粉が鼻腔やのどの粘膜から体内に入り、この粘膜を通過した抗原の刺激によりこの特定のアレルゲンに特異的に結合するIgE抗体であるアレルゲン特異的IgE抗体が産生され、このアレルゲン特異的IgE抗体が組織内のマスト細胞や血中の好塩基球表面のFcレセプターに接合する。このアレルゲン特異的IgE抗体が組織内のマスト細胞や血中の好塩基球表面のFcレセプターに接合している状態を感作状態と呼ぶ。この感作状態時に、同じ抗原が体内に侵入すると、この抗原がアレルゲン特異的IgE抗体に結合し、このアレルゲン特異的IgE抗体間に架橋が形成され、この架橋により粘膜下の肥満細胞が刺激され、この刺激された肥満細胞が脱顆粒反応を伴って多量のヒスタミンなどの化学伝達物質を放出し、この放出されたヒスタミンなどの化学物質が知覚神経を刺激してくしゃみを誘発したり、自立神経を刺激することにより鼻水が多量に出るなどのアレルギーの症状を引き起こしたりするという一連の過程を踏む。
さらに、血液中からは、好酸球を中心とした炎症細胞が集まり、鼻粘膜の炎症は慢性化することとなる。
このようにして起こるアレルギー性鼻炎は、完全に治すことが困難な病気であり、現在用いられているアレルギーの克服方法には、抗原の除去と回避、薬物療法、特異的免疫療法、手術療法がある。
しかしながら、前記抗原の除去及び回避による克服方法は、マスクやメガネ、空気清浄機等、様々なものが市販されているが、完全には抗原を除去及び回避することはできず、この方法によるアレルギーの完全な克服は極めて難しい。
また、薬物療法は、抗アレルギー薬物としてケミカルメディエーター遊離抑制剤、抗ヒスタミン薬、抗トロンボキサンA薬、抗ロイコトリエン薬、Th2サイトカイン阻害薬、ステロイド薬などが使用されているが、これら抗アレルギー薬は、眠気を感じる、口が渇く等の副作用があり、効果と副作用とのバランスを考慮しながら使用する必要があると共に、上記抗アレルギー薬と併用できない薬もあるため、必ずしも安全とは言えない。
また、特異的免疫療法は、原因となっている抗原をアレルギー疾患患者に対し少しずつ増量しながら注射することにより、前記アレルギー疾患患者の抗原に対するアレルギー反応を弱めていく方法であり、唯一アレルギーを完治できる可能性を有する方法であるが、2〜3年という長期の治療期間がかかる点と、まれにではあるが副作用が起こる点に問題がある。
また、手術療法は、アレルギー疾患患者の鼻内部を部分的に切除する方法及び粘膜の表面をレーザーで焼く方法が提案されているが、アレルギー疾患患者に肉体的な苦痛を与える点及びアレルギーを根本的に治せる治療方法ではないという点に問題がある。
従って、上記いずれの方法も十分なアレルギー改善方法と言うことはできず、その為、人体に安全で副作用がなく、通常の食生活において摂取出来る高い抗アレルギー効果を発揮する抗アレルギー飲食品の開発が切望されている。
そこで、最近では、他の薬と併用可能で副作用がない安全な方法であり、短期で効果が得られ、患者に肉体的な苦痛を与えることなく、経口で摂取可能な抗アレルギー効果を有する飲食品が注目されている。
例えば、抗アレルギー効果を有するとして民間療法に用いられている食品としては、ヨーグルトや乳酸菌剤、漢方薬、クロレラ、シソジュース、きな粉牛乳、ニンジンジュース等がある。しかし、これら食品は一定の抗アレルギー効果が得られるものの、その効果は充分なものとは言えないのが実状である。
また、特殊な乳酸菌が抗アレルギー素材として注目されており、特許文献1〜7に示すように乳酸菌の探索及び特殊な乳酸菌を用いた飲食品等の研究が盛んに行なわれている。
特に、特許文献1では、乳酸菌による1型アレルギーを抑制する機構が詳細に開示されており、乳酸菌による1型アレルギーの抑制効果が、前述したアレルギー発症機構を示す一連の過程のうちIgE抗体の生成過程を抑制することにより得られることが示されており、乳酸菌のアレルギー抑制効果を裏付けている。
しかしながら、このIgE抗体の生成過程を抑制するという作用は、それぞれ特定したアレルゲンに特異的に結合するIgE抗体であるアレルゲン特異的IgE抗体のみを抑制するものではなく、総てのIgE抗体の産生を抑制するため、過剰に摂取すると、前記特定アレルゲン以外の抗原(異物)を排除する本来の抗原抗体反応までも鈍らせることとなり、抗原の排除機能が上手く働かずに病気を引き起こす可能性が高くなるという問題点を有することとなる。
また、特許文献2では、乳酸菌のアレルギー反応の抑制効果についてなされた研究の中で、乳酸菌がIgG抗体の産生を抑制することを報告している。このIgG抗体は、2型アレルギーや、3型アレルギーに関する抗体であり、IgG抗体の産生を抑制すれば2型アレルギーや3型アレルギーを抑制できるものの、IgG抗体の産生を過剰に抑制すると、細菌類の菌体等の抗体(異物)を排除することが困難となり、これら細菌類や菌体等を原因とする病気を引き起こす可能性が高くなるという問題点を有することとなる。
一方、酒粕については、安価なプレバイオテクス素材であることが知られており、また、多量の酵母菌・麹菌の成分を含むことから、人が必要とする全ての必須アミノ酸、ビタミン類及び食物繊維等の栄養素が豊富で、酵母菌・麹菌由来の血圧降下・コレステロール低減・免疫賦活作用等を発揮する成分を含んでいることも知られている。
更に、特許文献8に示すように、酒粕を乳酸菌で発酵させることにより、酒粕の食感や呈味性を向上させることができ、しかも酒粕に含まれている栄養素と機能性成分とを増強することができ、直接食することが可能な極めて秀れた健康維持効果を発揮する酒粕発酵食品が得られることも知られている。しかしながら、酒粕を飲食することにより、若しくは、酒粕を乳酸菌で発酵させることにより、抗アレルギー効果が得られたという開示はなく、また、このような報告はこれまでにない。
特開平9−2959号公報 特開平10−114667号公報 特開2000−95697号公報 再公表2004−096246号公報 特開2005−89437号公報 特許第3585487号公報 特開2005−139160号公報 特開2006−333721号公報
本発明者は、通常仕込の清酒の醸造により得られる栄養価が高く安価な酒粕を、特殊な乳酸菌を用いて発酵させることにより乳酸菌のプレバイオテクス効果を有した飲食品を提供することを目的とした研究を重ねる中で、特殊な乳酸菌を用いることにより、高い抗アレルギー機能を発揮する飲食品を得たことにより完成したものである。
即ち、本発明は、1型アレルギーの発生過程のうち抗原抗体反応(免疫機能)を弱めることとなるIgE抗体産生を抑制する過程とは異なる過程で1型アレルギーの発生を抑制でき、また、細菌や真菌などの病原体(抗原)排除に係わるIgG抗体の産生を抑制することのない抗アレルギー機能を有する飲食品を得ることができ、よって、人体に安全で、副作用がなく、肉体的な苦痛も伴わず、直ちに秀れた効果を発揮でき、通常の食生活において食品として摂取でき、しかも食感や呈味性にも優れ、多くの栄養素及び機能性成分を含み極めて優れた健康維持効果を発揮できることとなる抗アレルギー機能を有する飲食品を提供し得るものである。
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
通常仕込みの清酒の醸造により得られる酒粕を乳酸菌により発酵せしめて成り、IgE抗体の産生を抑制せずに1型アレルギーを抑制するとともに、IgG抗体の産生も抑制しないものであることを特徴とする抗アレルギー機能を有する飲食品に係るものである。
また、請求項1記載の抗アレルギー機能を有する飲食品において、前記乳酸菌はラクトバチルス パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)に属する乳酸菌の「ラクトバチルス パラカゼイ NPSRIk-4(Lactobacillus paracasei NPSRIk-4)」株、若しくはラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevis)に属する乳酸菌の「ラクトバチルス ブレビス NPSRIv-8(Lactobacillus brevis NPSRIv-8)」株であることを特徴とする抗アレルギー機能を有する飲食品に係るものである。
また、請求項1,2いずれか1項に記載の抗アレルギー機能を有する飲食品において、前記酒粕は、大吟醸酒の醸造により得られる酒粕であることを特徴とする抗アレルギー機能を有する飲食品に係るものである。
また、通常仕込みの清酒の醸造により得られる酒粕を乳菌により発酵させ、IgE抗体の産生を抑制せずに1型アレルギーを抑制するとともに、IgG抗体の産生を抑制しない抗アレルギー機能を有する飲食品を製造することを特徴とする抗アレルギー機能を有する飲食品の製造方法に係るものである。
また、請求項4記載の抗アレルギー機能を有する飲食品の製造方法であって、前記乳酸菌はラクトバチルス パラカゼイ(Lactobacillus paracaseiに属する乳酸菌ラクトバチルス パラカゼイ NPSRIk-4(Lactobacillus paracasei NPSRIk-4」株、若しくはラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevisに属する乳酸菌ラクトバチルス ブレビス NPSRIv-8(Lactobacillus brevis NPSRIv-8」株であることを特徴とする抗アレルギー機能を有する飲食品の製造方法に係るものである。
本発明は上述のように構成したから、1型アレルギーの発生過程のうち抗原抗体反応(免疫機能)を弱めることとなるIgE抗体産生を抑制する過程とは異なる過程で1型アレルギーの発生を抑制でき、また、細菌や真菌などの病原体(抗原)排除に係わるIgG抗体の産生を抑制することのない抗アレルギー機能を有する飲食品を得ることができ、よって、人体に安全で、副作用がなく、肉体的な苦痛も伴わず、直ちに秀れた効果を発揮でき、通常の食生活において食品として摂取でき、しかも食感や呈味性にも優れ、多くの栄養素及び機能性成分を含み極めて優れた健康維持効果を発揮できることとなる抗アレルギー機能を有する飲食品を提供し得ることとなる。
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
本発明における抗アレルギー機能を有する飲食品は、通常仕込の清酒の醸造により得られる酒粕を乳酸菌で発酵させることにより得られる新しい物質である点に特徴がある。
詳述すると、本発明の抗アレルギー機能を有する飲食品は、この飲食物を飲食することにより、後述する実験結果に示すように、くしゃみ回数が対照の水投与群と比較して有意に低下しており、極めて高い抗アレルギー機能(アレルギー反応抑制機能)を有することが確認されている。
しかし、本発明の抗アレルギー機能を有する飲食品の摂取を継続しても、特許文献1に示されるようなIgE抗体の産生が抑制されるという結果は得られず、IgE抗体の産生に有意差がないことが確認されている(実施例における実験2-2)。
また、特許文献2に示されるようなIgG抗体の産生が抑制されるという結果も得られず、IgG抗体の産生に有意差がないこと確認されている(実施例における実験2-2)。
更に、通常仕込の清酒の醸造により得られる酒粕には、抗アレルギー機能を有する物質を含むという報告はない。
即ち、本発明の抗アレルギー機能を有する飲食品のアレルギー抑制効果は、乳酸菌のみの抗アレルギー機能によるものとしては説明がつかず、また、通常仕込の清酒の醸造により得られる酒粕のみの抗アレルギー機能によるものとしても説明がつかず、従って、通常仕込の清酒の醸造により得られる酒粕に乳酸菌を作用させることにより新しく生成した物質により抗アレルギー機能を発揮するものと言える。
更に、本発明の抗アレルギー機能を有する飲食品は、上述のようにIgE抗体の産生を抑制することなしに1型アレルギー反応を抑制できることとなる。
また、本発明の抗アレルギー機能を有する飲食品は、IgG抗体の産生を抑制することもないから、当該飲食品を飲食時において抗原抗体反応(免疫機能)は正常に保たれることとなり、例えば病原体等の生命機能維持のために排除が不可欠となる抗原が体内に侵入した場合においても、この抗原を適切に排除することができることとなる。
よって、この抗アレルギー機能を有する飲食品を飲食することにより、病原菌等の抗原を排除する抗原排除機能が上手く働かずに病気になるという問題は起こらず、極めて安全にアレルギー反応を抑制することが可能となる抗アレルギー機能を有する飲食品となる。
また、後述する実験で示すように、本発明の抗アレルギー機能を有する飲食品は、特異的免疫法に比し、摂取後直ちに秀れた効果を示す飲食物である。即ち、特異的免疫法のように、患者に対し原因となっている抗原をその量を少しずつ増やながら注射することにより、2〜3年という長期間で抗原に対する反応を弱めていくというものではなく、直ちに秀れた効果を示す極めて秀れた抗アレルギー機能を有する飲食品を提供できることとなる。
更に、医薬品に指定されている薬剤を一切使わずに通常の食品として入手及び取り扱いが許されているもののみで製造するから、極めて安全な食材のみから成る飲食品として経口摂取できるものとなり、副作用を起こす心配のない極めて安全な抗アレルギー飲食物となる。
つまり、従来から行われている、ケミカルメディエーター遊離抑制剤、抗ヒスタミン薬、抗トロンボキサンA薬、抗ロイコトリエン薬、Th2サイトカイン阻害薬、ステロイド薬などの薬物療法によりアレルギー反応を抑制する場合とは異なり、本発明の抗アレルギー機能を有する飲食品を飲食した後に眠気や喉の渇き等の副作用はなく、例えば他の病気により薬を使用している場合においても、これら薬による効果と薬を飲み合わせた場合の副作用とを同時に考慮して使用する薬を選択する必要がなく、通常の食生活において摂取量の制限なく摂取できることとなる、極めて安全で安心して服用できる抗アレルギー機能を有する飲食品となる。
更に、本発明の抗アレルギー機能を有する飲食品は、経口摂取が可能となるため、前述した特異的免疫治療法のように注射による痛みを伴わず、また、当然、手術治療法のように、患者に肉体的な苦痛を与えることなく、更に、肉体的苦痛を伴わないばかりか、病院への通院治療を回避し得る秀れた製品となる。また、本発明の抗アレルギー機能を有する飲食品は、毎日の食事と共に飲食することが可能であるため、手軽に摂取でき極めて継続しやすいものとなる。
その上、本発明の抗アレルギー機能を有する飲食品の製造に使用される前記乳酸菌「Lactobacillus paracasei NPSRIk-4」株は、人工胃液耐性を有する。また、前記乳酸菌「Lactobacillus brevis NPSRIv-8」株は、人工胃液耐性は前記「Lactobacillus paracasei NPSRIk-4」株に比して低いものの抑制性の神経伝達物質として機能するGABAを効率的に生産する。従って、これらの乳酸菌は、アレルギー反応を抑制する効果を発揮できるだけに留まらず、これら乳酸菌が生きて腸内まで届き、この腸内に届いた乳酸菌が腸内環境を整える効果を発揮するプレバイオテクス効果が期待できることとなる。更に前記2種の乳酸菌のうち「Lactobacillus brevis NPSRIv-8」株は、プレバイオテクス効果と共にGABAを効率的に生成でき、このGABA効果によりストレスの抑制、鎮静、抗不安作用も期待できる。
更に、本発明の抗アレルギー機能を有する飲食品の製造に使用される通常仕込の清酒の醸造により得られる酒粕は、清酒の主原料である穀物と共に、多量の酵母菌・麹菌の成分を含み、これらは人が必要とする全ての必須アミノ酸、ビタミン類及び食物繊維等の栄養素が豊富であると共に、酵母菌・麹菌由来の血圧降下・コレステロール低減・免疫賦活作用等を発揮する機能性成分も含んでいることから、本発明の抗アレルギー機能を有する飲食品を摂取すると、アレルギー反応を抑制できるだけでなく、前記種々の栄養成分を同時に摂取できることとなる。
即ち、本発明の抗アレルギー機能を有する飲食品を食することにより抗アレルギー効果の他、酒粕中の必須アミノ酸、ビタミン類、食物繊維等の豊富な栄養素及び血圧低下・コレステロール低減・免疫賦活作用等を発揮する機能性成分を容易に摂取することができることから、極めて優れた健康維持効果および抗アレルギー効果を得ることができる。
本発明の具体的な実施例について説明する。
通常仕込の清酒の醸造により得られる酒粕をLactobacillus paracaseiに属する乳酸菌及びLactobacillus brevisに属する乳酸菌により発酵させて抗アレルギー機能を有する飲食品とする。
前記通常仕込の清酒の醸造により得られる酒粕は、具体的に例示すれば、普通酒、本醸造酒、吟醸酒、大吟醸酒、純米酒を一般的醸造方法により製造する際に得られる酒粕である。尚、この酒粕の乾燥品も使用できる。
本実施例では、前記通常仕込の清酒の醸造により得られる酒粕は、大吟醸酒の醸造により得られる酒粕を用いる。
本実施例で使用する乳酸菌は、Lactobacillus paracaseiに属する乳酸菌及びLactobacillus brevisに属する乳酸菌を用いることとする。プレバイオテクス効果を有する乳酸菌を選択することにより、乳酸菌が生きて腸まで届き、腸内環境を整えるなどの二次的効果も得ることができる。
本実施例においては、酒粕の発酵は、Lactobacillus paracaseiに属する乳酸菌として「Lactobacillus paracasei NPSRIk-4株」、Lactobacillus brevisに属する乳酸菌として「Lactobacillus brevis NPSRIv-8」株の乳酸菌を用いて行う。
前記「Lactobacillus paracasei NPSRIk-4」株は、人工胃液耐性を有する乳酸菌であり、新潟県醸造試験場(新潟県新潟市中央区水道町2丁目5932-133所在)にて入手可能である。
前記「Lactobacillus brevis NPSRIv-8」株は、前記「Lactobacillus paracasei NPSRIk-4」株程ではないが人工胃液耐性を有し、更に、GABAを効率的に生産する乳酸菌であり、同様に新潟県醸造試験場にて入手可能である。
また、この抗アレルギー機能を有する飲食品を食品材料若しくは食品用の添加物とし、氷菓、ドレッシング、栄養補助製品等として使用しても良い。尚、使用方法は、前記例示に限定されるものではない。
次に、製造方法を説明する。
まず、前述したとおり、大吟醸酒の醸造により得られる酒粕に脱アルコール処理を施す。具体的には、この酒粕を蒸し、脱アルコール処理を施す。本実施例では、蒸時間を30分とする。
次に、蒸した酒粕を室温まで冷却し、その後、この冷却した酒粕を水に分散して均一な酒粕分散液とする。具体的には、前記脱アルコール処理を施した酒粕を100mlの水に対し、10〜100g(10%(w/v)〜100%(w/v))添加する。本実施例では、酒粕と水との重量比が2:9(即ち、約18%(w/v))となるように混合することとする。
次に、前記酒粕分散液1000gを容器に入れ、105℃で20分加熱殺菌し、この酒粕分散液を37℃になるまで冷却する。
続いて、この冷却した酒粕分散液に乳酸菌培養液を全体の5重量%加え、発酵温度37℃で5時間以上発酵を行い、抗アレルギー機能を有する飲食品を得ることとする。
前記乳酸菌培養液は、酒粕10gに水を90ml加えたものを培地として用い「Lactobacillus paracasei NPSRIk-4」株を約24時間かけて増殖量が最大値になるまで(乳酸菌量2×10個/ml)培養した培養液と、同条件で「Lactobacillus brevis NPSRIv-8」株を増殖量が最大値になるまで(乳酸菌量2×10個/ml)培養した培養液とを、酒粕20gに水90mlを加えた培地に重量比で当量ずつ加えて増殖量が最大値になるまで培養することにより得る。
尚、この乳酸菌培養液には「Lactobacillus paracasei NPSRIk-4」株と「Lactobacillus brevis NPSRIv-8」株とが略当量ずつの割合(各1×10個/ml)で増殖しており、乳酸菌の総量は2×10個/mlである。
また、前記発酵温度は4℃〜45℃とすることとする。4℃以下では乳酸の増殖が良好とならず、また、45℃は一般的な乳酸菌発酵の上限温度である。前記温度条件のうち30℃〜37℃が好ましく。本実施例では37℃とする。
また、前記発酵時間は24時間〜48時間が好ましく、24時間以下では発酵が不十分となり、48時間以上では過剰に発酵して酸味が強くなるなど官能的な問題が生じる。本実施例では発酵時間を48時間とする。
また、前記酒粕分散液を得る工程で、酒粕に加える水の量を調整することにより、固形タイプの酒粕発酵食品からドリンクタイプの酒粕発酵食品まで多種多様な抗アレルギー機能を持つ酒粕発酵食品を得ることができることとなる。
本発明の抗アレルギー機能を有する飲食品はそのままで飲食(服用)してもよいが、本発明の抗アレルギー飲食品を、有効成分を生理的に許容される担体、賦形剤、結合剤、希釈剤などと混合することにより製剤化すれば、極めて簡単に経口的に投与できるものとなる。
得られた抗アレルギー飲食品を用いたアレルギー性鼻炎モデルマウスのアレルギー性鼻炎予防作用について以下に説明する。
1.実験材料および方法
1-1.実験動物、飼料および飼育条件
BALB/cマウス(♀ 4週齢、日本チャールスリバー社製)を1群6匹に分け、22±3℃、12時間ごとの明暗サイクル環境下、ガンマ線照射飼料(CRF-1、オリエンタル酵母社製)と滅菌水を自由摂食させながらSPF環境下にて54日間飼育した。
1-2.乳酸発酵酒粕の経口投与
飼育開始時から試験群に乳酸発酵酒粕飲料を胃ゾンデにて100μl/head/dayの条件にて試験終了日まで毎日連投した。対照として乳酸発酵を施していない酒粕試料および滅菌水を同様の方法にて投与する群を設けた(図1)。
1-3.感作プロトコールおよびアレルギー性鼻炎症状の評価
鼻炎モデルの免疫・感作プロトコールはMiyaharaらの方法(Miyahara et al. J. Allergy Clin. Immunol. 116, 1020-1027, 2005)を参考に実施した。経口投与開始から2週経過後の6週齢、ならびに8週齢において20μgの卵白アルブミン(OVA、Sigma社製)と2.25mgのAlumアジュバント(LSL社製)の懸濁液100μlをマウスの腹腔内に2回免疫投与した。追加免疫2週後の10週齢から25mg/mlのOVA-リン酸緩衝生理食塩水溶液(PBS)をマウスの両鼻腔内に10μlずつ合計20μl/head滴下し、経鼻感作を行った。なお経鼻感作は毎日1回無麻酔下にて合計9回実施した(図1)。感作対照として腹腔内免疫あるいは経鼻感作をPBSにて行う群を設けた。経口投与試料と感作抗原の組み合わせから、試験群として図1に示す通り、4つの対照群を含む計7群(各6匹)を設定した。
鼻炎症状の評価として、点鼻感作後5分間あたりのマウスのくしゃみ回数を観察用ケージ中にてカウントした。
1-4.血漿中の総抗体量およびOVA特異抗体価の分析
最後の点鼻感作(9回目)の翌日に採血を行い、血漿サンプルを得た。血漿中の総IgE抗体、IgG1抗体、IgG2a抗体量をBD Bioscience社製のモノクローナル抗体試薬および同社のプロトコールに準拠した酵素抗体法(サンドイッチELISA法)にて定量した。その際、増感酵素としてアルカリフォスファターゼ標識ストレプトアビジン(Zymed社製)、酵素反応の基質としてAttoPhos Substrate(Promega社製)を用い、生じた蛍光シグナルをArvo Multilabel Counter(PerkinElmer Japan社製)にて分析した。OVA特異的IgE抗体価、IgG1抗体価、IgG2a抗体価の分析についてはBD Bioscience社製のモノクローナル抗体試薬を用いたOnishiらのELISA法(Onishi et al. Biosci. Biotechnol. Biochem. 71, 2551-2556, 2007)に従って実施した。
1-5.統計学的解析
本試験における全ての統計学的解析はStudentのt検定によってなされ、P<0.05の場合を有意差ありと判断した。
2.実験結果
2-1.乳酸発酵酒粕投与によるアレルギー性鼻炎症状の抑制
各群におけるOVA点鼻に伴うくしゃみの進展を定量化したところ、本実施例に係る乳酸発酵酒粕投与の試験群(OVA免疫/OVA点鼻)におけるくしゃみ回数(投与3回目および5-7回目)が対照の水投与群(OVA免疫/OVA点鼻)と比較して有意に低下していることが判明した(図2、*印)。また乳酸発酵を施していない酒粕対照群(OVA免疫/OVA点鼻)のくしゃみ回数は水対照のそれと同等であった。また各感作対照群のくしゃみ回数は試験期間を通じていずれも低値であり、本鼻炎モデルが妥当に設定されていること、更に各投与試料そのものが本モデルに影響を及ぼしていないことが裏付けられた。
以上の結果から、本実施例に係る乳酸発酵酒粕にアレルギー性鼻炎症状の進展を予防する効果があることが明らかとなった。また、投与後直ちに秀れた効果が得られることも明らかとなった。
2-2.乳酸発酵酒粕投与が抗体産生に及ぼす影響
各群におけるIgE抗体を中心とした抗体産生を比較解析した。まず血中の総IgE抗体量を調べたところ、鼻炎抑制作用を示した乳酸発酵酒粕群のIgE抗体レベルは対照群のそれと同等であった(図3)。また総IgG1レベルについても同様に有意な差異は認められなかった。IgG2aレベルは感作対照群を含めた全ての群で同等であった。続いてOVA特異的抗体価への影響を調査したところ、IgE抗体価のみならずIgG1、IgG2a抗体価のいずれも本実施例に係る乳酸発酵酒粕群と対照群との間に差異は観察されなかった(図4)。
以上の結果から、本実施例に係る乳酸発酵酒粕の経口投与は抗体産生には影響を及ぼさないこと、更にその抗アレルギー作用はIgE抗体産生以外の理由に求められる可能性が示唆された。
次に、本実施例に係る乳酸発酵酒粕の有する抗アレルギー作用ついて、ラット肥満細胞株RBL-2H3を用いて脱顆粒抑制作用を評価した結果を説明する。
1.肥満細胞株を用いた脱顆粒抑制作用の評価実験
1-1.実験方法
(1) ラット肥満細胞株の感作
ラット肥満細胞株RBL-2H3(ヒューマンサイエンス研究資源バンク)を血球計算盤で計数し、10%ウシ子牛血清(FCS)含有Minimum Essential Medium Eagle培地(MEM, Sigma社製)で3.5×105 cells/mlに調整した。24 ウェル平底マイクロプレートにRBL-2H3の細胞浮遊液を500 μl (1.75×105 cells/well)ずつ播種し、37℃、5%CO2 インキュベータで、8時間(一晩)前培養した後、培養上清を6 ウェルずつ静かに素早くピペットマンで吸引し、培養上清中の細胞にあらかじめ加温しておいた10 μg/mlマウス抗DNP-IgE(生化学バイオビジネス社製)を500 μl/ell添加し、5 %CO2、37℃で、16時間(一晩)培養することにより細胞を感作させた。
(2) 希釈サンプル作成
上清を吸引し、加温したSiraganian buffer(119 mM NaCl, 5 mM KCl, 0.4 mM MgCl2, 25 mM piperazine-N,N’-bis(2-ethanesulfonic acid)(PIPES), 40 mM NaOH, pH 7.2) 500μlで感作した細胞を2回洗浄した後に、10倍濃度のSiraganian buffer (終濃度で5.6 mMグルコース、1 mM CaCl2、0.1%BSA含有)を1/10用量添加した乳酸発酵酒粕および対照酒粕サンプル(あるいは各当該希釈サンプル)を200 μl添加し、37℃、5%CO2、30分インキュベートした。
(3) 抗原の添加
その後、DNP-BSA抗原 (コスモバイオ社製、終濃度4.0 μg/ml)を20 μl/well添加し、5%CO2、37℃、30分インキュベートして細胞を刺激後、10分氷冷して反応を止めた。
(4) β-hexosaminidaseの遊離率測定
上清に遊離したβ-hexosaminidase活性を測定するため、上清を96 ウェル平底マイクロプレートに2点ずつ50 μl/well添加し、さらに0.1 M citrate buffer(pH 4.5)に溶解した1 mM 4-Nitrophenyl N-acetyl-β-D-glucosaminide(Sigma社製)を50 μl/wellずつ8連ピペットマンで素早く添加して混和後、37℃で30 min反応させた。反応溶液に100 μlのStop buffer (0.1M NaHCO3/Na2CO3,pH10.0) を添加し、反応を停止させた。マイクロプレートリーダーにて吸光度を405 nmで測定した。遊離率は次式により求めた。
(式) β-hexosaminidase遊離率(%)={(刺激により遊離したβ-hexosaminidase
量−自然遊離量)/(細胞内全β-hexosaminidase量−自然遊離量)}×100
なお、細胞内全β-hexosaminidaseの測定には、サンプル添加の際にSiraganian bufferのみを加えた未刺激細胞に、0.2%Triton X-100を220μl/well加え、5分間氷上に置き、細胞を破壊させ(細胞溶解液)、その上清を用いた。ここに含まれる当該酵素量を対照の細胞内全酵素量とした。
3-2.脱顆粒反応の結果
各サンプルの脱顆粒反応を上清中へのβ-hexosaminidaseの遊離を指標として評価した結果を図5に示す。この図5から、次の(ア),(イ)の点が結論される。
(ア)未希釈(×1)の乳酸発酵酒粕は、対照の水と比較して、ラット肥満細胞株(ratRBL-2H3細胞)からのβ−hexosaminidaseの遊離をおよそ7%阻害する。この遊離率は自然遊離量(図5の none が示すβ−hexosaminidaseの遊離率)に匹敵している。
(イ)2倍希釈(×2)においても、阻害効果が認められる。
即ち、乳酸発酵酒粕の抗アレルギー作用は、アレルギー症状発症の最終段階である、肥満細胞からの脱顆粒反応を抑制している。
以上の結果から、本実施例に係る乳酸発酵酒粕は抗アレルギー作用を有することを確認した。
以上、本実施例は上述のように、通常仕込の清酒の醸造により得られる酒粕に乳酸菌を作用させるから、抗アレルギー機能を有する新しい物質が得られ、これにより次の効果が発揮される。
即ち、本実施例の抗アレルギー機能を有する飲食品は、上述のようにIgE抗体の産生を抑制することなしに1型アレルギー反応を抑制できることとなり、またIgG抗体の産生を抑制することもないから、本実施例の抗アレルギー機能を有する飲食品を飲食時において抗原抗体反応(免疫機能)は正常に保たれることとなり、例えば病原体等の生命機能維持のために排除が不可欠となる抗原が体内に侵入した場合においても、この抗原を適切に排除することができることとなる。
よって、この抗アレルギー機能を有する飲食品を飲食することにより、病原菌等の抗原を排除する抗原排除機能が上手く働かずに病気になるという問題は起こらず、極めて安全にアレルギー反応を抑制することが可能となる抗アレルギー機能を有する飲食品となる。
また、前述した実験で示すように、本実施例の抗アレルギー機能を有する飲食品は、特異的免疫法に比し、摂取後直ちに秀れた効果を示す飲食物である。即ち、特異的免疫法のように、患者に対し原因となっている抗原をその量を少しずつ増やながら注射することにより、2〜3年という長期間で抗原に対する反応を弱めていくというものではなく、直ちに秀れた効果を示す極めて秀れた抗アレルギー機能を有する飲食品となる。
更に、医薬品に指定されている薬剤を一切使わずに通常の食品として入手及び取り扱いが許されているもののみで製造するので、極めて安全な食材のみから成る飲食品として経口摂取できるものとなり、副作用を起こす心配のない極めて安全な抗アレルギー飲食物となる。
つまり、従来から行われている、ケミカルメディエーター遊離抑制剤、抗ヒスタミン薬、抗トロンボキサンA薬、抗ロイコトリエン薬、Th2サイトカイン阻害薬、ステロイド薬などの薬物療法によりアレルギー反応を抑制する場合とは異なり、本実施例の抗アレルギー機能を有する飲食品を飲食した後に眠気や喉の渇き等の副作用はなく、例えば他の病気により薬を使用している場合においても、これら薬による効果と薬を飲み合わせた場合の副作用とを同時に考慮して使用する薬を選択する必要がなく、通常の食生活において摂取量の制限なく摂取できることとなる、極めて安全で安心して服用できる抗アレルギー機能を有する飲食品となる。
更に、本実施例の抗アレルギー機能を有する飲食品は、経口摂取が可能となるため、前述した特異的免疫治療法のように注射による痛みを伴わず、また、当然、手術治療法のように、患者に肉体的な苦痛を与えることなく、更に、肉体的苦痛を伴わないばかりか、病院への通院治療を回避し得る秀れた製品となる。また、本発明の抗アレルギー機能を有する飲食品は、毎日の食事と共に飲食することが可能であるため、手軽に摂取でき極めて継続しやすいものとなる。
その上、本実施例の抗アレルギー機能を有する飲食品の製造に使用される前記乳酸菌「Lactobacillus paracasei NPSRIk-4」株は、人工胃液耐性を有する。また、前記乳酸菌「Lactobacillus brevis NPSRIv-8」株は、人工胃液耐性は前記「Lactobacillus paracasei NPSRIk-4」株に比して低いものの抑制性の神経伝達物質として機能するGABAを効率的に生産する。従って、これらの乳酸菌は、アレルギー反応を抑制する効果を発揮できるだけに留まらず、これら乳酸菌が生きて腸内まで届き、この腸内に届いた乳酸菌が腸内環境を整える効果を発揮するプレバイオテクス効果が期待できることとなる。更に前記2種の乳酸菌のうち「Lactobacillus brevis NPSRIv-8」株は、プレバイオテクス効果と共にGABAを効率的に生成でき、このGABA効果によりストレスの抑制、鎮静、抗不安作用も期待できる。
更に、本実施例の抗アレルギー機能を有する飲食品の製造に使用される通常仕込の清酒の醸造により得られる酒粕は、清酒の主原料である穀物と共に、多量の酵母菌・麹菌の成分を含み、これらは人が必要とする全ての必須アミノ酸、ビタミン類及び食物繊維等の栄養素が豊富であると共に、酵母菌・麹菌由来の血圧降下・コレステロール低減・免疫賦活作用等を発揮する機能性成分も含んでいることから、本発明の抗アレルギー機能を有する飲食品を摂取すると、アレルギー反応を抑制できるだけでなく、前記種々の栄養成分を同時に摂取できることとなる。
即ち、本実施例の抗アレルギー機能を有する飲食品を食することにより抗アレルギー効果の他、酒粕中の必須アミノ酸、ビタミン類、食物繊維等の豊富な栄養素及び血圧低下・コレステロール低減・免疫賦活作用等を発揮する機能性成分を容易に摂取することができることから、極めて優れた健康維持効果および抗アレルギー効果を得ることができる。
従って、1型アレルギーの発生過程のうち抗原抗体反応(免疫機能)を弱めることとなるIgE抗体産生を抑制する過程とは異なる過程で1型アレルギーの発生を抑制でき、また、細菌や真菌などの病原体(抗原)排除に係わるIgG抗体の産生を抑制することのない抗アレルギー機能を有する飲食品を得ることができ、よって、人体に安全で、副作用がなく、肉体的な苦痛も伴わず、直ちに秀れた効果を発揮でき、通常の食生活において食品として摂取でき、しかも食感や呈味性にも優れ、多くの栄養素及び機能性成分を含み極めて優れた健康維持効果を発揮できることとなる抗アレルギー機能を有する飲食品を提供し得ることとなる。
マウスへの本実施品の投与試験の説明図である。 本実施品によるくしゃみ症状の抑制効果を示す説明図である。 本実施品による血中総抗体量への影響を示す説明図である。 本実施品によるOVA特異的抗体価への影響を示す説明図である。 本実施品による脱顆粒反応の抑制効果を示す説明図である。

Claims (5)

  1. 通常仕込みの清酒の醸造により得られる酒粕を乳酸菌により発酵せしめて成り、IgE抗体の産生を抑制せずに1型アレルギーを抑制するとともに、IgG抗体の産生も抑制しないものであることを特徴とする抗アレルギー機能を有する飲食品。
  2. 請求項1記載の抗アレルギー機能を有する飲食品において、前記乳酸菌はラクトバチルス パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)に属する乳酸菌の「ラクトバチルス パラカゼイ NPSRIk-4(Lactobacillus paracasei NPSRIk-4)」株、若しくはラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevis)に属する乳酸菌の「ラクトバチルス ブレビス NPSRIv-8(Lactobacillus brevis NPSRIv-8)」株であることを特徴とする抗アレルギー機能を有する飲食品。
  3. 請求項1,2いずれか1項に記載の抗アレルギー機能を有する飲食品において、前記酒粕は、大吟醸酒の醸造により得られる酒粕であることを特徴とする抗アレルギー機能を有する飲食品。
  4. 通常仕込みの清酒の醸造により得られる酒粕を乳菌により発酵させ、IgE抗体の産生を抑制せずに1型アレルギーを抑制するとともに、IgG抗体の産生を抑制しない抗アレルギー機能を有する飲食品を製造することを特徴とする抗アレルギー機能を有する飲食品の製造方法。
  5. 請求項4記載の抗アレルギー機能を有する飲食品の製造方法であって、前記乳酸菌はラクトバチルス パラカゼイ(Lactobacillus paracaseiに属する乳酸菌ラクトバチルス パラカゼイ NPSRIk-4(Lactobacillus paracasei NPSRIk-4」株、若しくはラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevisに属する乳酸菌ラクトバチルス ブレビス NPSRIv-8(Lactobacillus brevis NPSRIv-8」株であることを特徴とする抗アレルギー機能を有する飲食品の製造方法。
JP2009179107A 2008-07-31 2009-07-31 抗アレルギー機能を有する飲食品及びその製造方法 Active JP5523004B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009179107A JP5523004B2 (ja) 2008-07-31 2009-07-31 抗アレルギー機能を有する飲食品及びその製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008199024 2008-07-31
JP2008199024 2008-07-31
JP2009179107A JP5523004B2 (ja) 2008-07-31 2009-07-31 抗アレルギー機能を有する飲食品及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010051311A JP2010051311A (ja) 2010-03-11
JP5523004B2 true JP5523004B2 (ja) 2014-06-18

Family

ID=42067893

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009179107A Active JP5523004B2 (ja) 2008-07-31 2009-07-31 抗アレルギー機能を有する飲食品及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5523004B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6786223B2 (ja) * 2016-02-16 2020-11-18 大関株式会社 乳酸菌、およびそれを使用した乳酸発酵酒粕発酵エキスの製造方法
JP6319700B1 (ja) * 2016-12-28 2018-05-09 株式会社Farm8 氷菓及びその製造方法
JP2020000033A (ja) * 2018-06-26 2020-01-09 国立大学法人広島大学 経口免疫寛容誘導剤、これを含有する食品および医薬品、ならびに加工食品の製造方法

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3811198B2 (ja) * 1993-11-17 2006-08-16 株式会社創研 米からの抗アレルギー剤
JPH092959A (ja) * 1995-06-16 1997-01-07 Yakult Honsha Co Ltd IgE抗体産生抑制剤および抗アレルギー剤
JP2000095697A (ja) * 1998-09-18 2000-04-04 Advance Co Ltd 抗アレルギー剤
JP2005015456A (ja) * 2003-06-05 2005-01-20 Chugoku Jozo Kk 湿疹・皮膚炎群の予防治療剤
JP4587368B2 (ja) * 2004-08-12 2010-11-24 麒麟麦酒株式会社 抗アレルギー機能を有する乳酸菌入り発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料、及びその製造方法
JP2007099731A (ja) * 2005-10-07 2007-04-19 Gekkeikan Sake Co Ltd 健康機能組成物
JPWO2008023665A1 (ja) * 2006-08-21 2010-01-07 サッポロビール株式会社 抗アレルギー作用及び免疫賦活作用を有する菌株、並びにその菌株を含有する飲料、食品、抗アレルギー剤及び免疫賦活剤
JP5206134B2 (ja) * 2008-06-06 2013-06-12 月桂冠株式会社 免疫調節剤およびそれを含む抗アレルギー剤

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010051311A (ja) 2010-03-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN104039171B (zh) 包含特定瑞士乳杆菌菌株并且降低食物过敏和/或呼吸道变态反应症状的组合物
ES2664724T3 (es) Composición nutricional que comprende cepas de Bifidobacterium longum y que reduce los síntomas de alergia alimentaria, especialmente en lactantes y niños
US9049881B2 (en) Nutritional composition comprising lactococcus strains and reducing allergy symptoms, especially in infants and children
CN101316611B (zh) 诱导对抗原的粘膜耐受
CN102014673B (zh) 用于怀孕的雌性哺乳动物的以增强她们的后代的免疫性的益生菌剂
CN102014941B (zh) 人参提取物对固有及适应性免疫应答的激活
JP5066091B2 (ja) 抗アレルギー作用を有する菌株並びにその菌体を含有する飲料、食品及び抗アレルギー剤
Sato et al. The feeding of β-carotene down-regulates serum IgE levels and inhibits the type I allergic response in mice
CN105229142A (zh) 免疫刺激剂
JP5523004B2 (ja) 抗アレルギー機能を有する飲食品及びその製造方法
JP4921499B2 (ja) 新菌株ラクトバチルス・クリスパタスkt−11、kt−23、およびkt−25を用いた抗アレルギー用組成物
US20100099918A1 (en) Tranquilizer and Functional Food
JP2022510780A (ja) 感染性疾患、自己免疫疾患、およびアレルギー性疾患を治療するための方法および組成物
CN105407910A (zh) 用于增强免疫应答的哺乳动物乳骨桥蛋白
Yalçın et al. Zinc supplementation and TNF-α levels in vaccinated cardiac patients
WO2003101464A1 (fr) Anti-inflammatoire, agent de lutte contre des affections allergiques, et aliment fonctionnel
CN102028224A (zh) 抗过敏的乳酸菌
CN1129453C (zh) 用于下调免疫系统Th2活性的母牛分枝杆菌
JP2022550551A (ja) アレルギー治療のための酵母
RU2793833C1 (ru) Способ комплексной терапии пациентов детского возраста с вирусной инфекцией с использованием продуктов пробиотического питания
CN102657260B (zh) 抗过敏的乳酸菌
JP2006257040A (ja) アレルゲン特異的IgE抗体産生抑制剤、及びアレルゲン特異的IgE抗体産生抑制のために用いられる飲食品
JPWO2008023664A1 (ja) 抗アレルギー作用を有する菌株並びにその菌株を含有する飲料、食品及び抗アレルギー剤
Constantinescu et al. Gastrointestinal Microbiota Impact on the Development of Food Allergy Immune Phenotype
WO2023222924A1 (en) Lachnospiraceae spp and ruminococcus lactaris strains for the treatment and prevention of alzheimer&#39;s disease and aging

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120619

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120723

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20120723

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120827

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130325

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130509

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130708

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20130708

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140317

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140408

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5523004

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250