JP5522814B1

JP5522814B1 - 使い捨て自己遮蔽注射器

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Publication number: JP5522814B1
Application number: JP2013554732A
Authority: JP
Inventors: 勝也田口; 一博小澤
Original assignee: MAEDA INDUSTRY CO., LTD.
Current assignee: MAEDA INDUSTRY CO., LTD.
Priority date: 2013-11-27
Filing date: 2013-11-27
Publication date: 2014-06-18
Anticipated expiration: 2033-11-27
Also published as: WO2015079472A1; JPWO2015079472A1

Abstract

【課題】片手で簡単に取り扱うことのできる使い捨て自己遮蔽注射器を提供すること。
【解決手段】
注射器本体とプランジャーロッドと注射針とを少なくとも備えた注射器と、筒状本体と、遮蔽筒と、環状ラッチ部材と、バネ材と、を備え、
前記環状ラッチ部材の爪部が、前記バネ材の先端に掛かることにより前記筒状本体部の鍔部と前記環状ラッチ部材の爪部との間で前記バネ材が圧縮され、前記注射器本体の前部に設置された注射針が、前記遮蔽筒から露出し、
前記遮蔽筒を前記注射器本体の後部方向に引き付けると、前記遮蔽筒のラッチ解除部が、前記環状ラッチ部材の爪部を前記環状ラッチ部材の外部方向へ押し広げ、前記環状ラッチ部材の爪部が前記バネ材からはずれ、前記遮蔽筒が、前記バネ材の反発力により前記注射針を遮蔽する方向に移動して、前記遮蔽筒により前記注射器本体の前部に設置された注射針が遮蔽される、使い捨て自己遮蔽注射器。
【選択図】図１７

Description

本発明は、使い捨て自己遮蔽注射器に関し、詳しくは、注射器の使用後に注射針が筒状カバーにより遮蔽される使い捨て自己遮蔽注射器に関する。

注射器は通常の医療活動に使用されているが、治療に使用した注射器に設置されている注射針が誤って医療業務従事者、廃棄品処理業者等に刺さると病原体、ウイルス等が感染する場合がある。
また治療に使用した注射器に設置されている注射針が不注意により再利用されると、患者が注射針に付着した病原体、ウイルス等に感染する場合もある。
このような感染事故を防止する目的で、保護カバーを付けた注射器が提案されている（特許文献１）。

前記保護カバーを付けた注射器は、注射器の長手方向に前記保護カバーをスライドさせることができる。患者に注射をする前は、前記保護カバーを付けた注射器の保護カバーを注射器本体に対して注射針が露出する位置に固定することができ、患者に注射をした後は、前記保護カバーを付けた注射器の保護カバーを注射器本体に対して注射針が遮蔽する位置に固定することができる。
この提案された保護カバーを付けた注射器であれば、注射の後に注射針を遮蔽することができることから安全に前記保護カバーを付けた注射器を使用することができる。

しかし、注射を行う医師等が、前記保護カバーを注射器本体に対してスライドさせる際には、注射器を持つ手とは反対側の手により前記保護カバーを注射器本体に対してスライドさせる必要があった。
手により前記保護カバーを注射器本体に対してスライドさせる際に、注射針がその手に刺さる事故が起きる可能性がある他、注射を行う医師等は前記保護カバーを付けた注射器を使用して注射をする際にはに両手を使う必要があり、注射と同時に他の操作を行うことが制限される問題があった。

一方、保護カバーを付けた注射器の異なる先行技術として、注射器本体を内部に格納する筒状本体と、前記注射器本体の長手方向にスライド可能な筒状保護カバーとを備え、前記筒状保護カバーに外部拡張ラッチ部材が設置されている注射器が提案されている（特許文献２）。
前記注射器本体の近位端にはプランジャーロッドが挿入されている。また前記注射器本体の遠位端には注射針を設置することができる。
前記外部拡張ラッチ部材は注射器本体側に爪部を有すると共に、前記注射器本体長手方向に前記注射器本体の外側へ張り出した拡張腕部を有する。
また前記外部拡張ラッチ部材の爪部は、前記筒状本体の近位端に掛かっていて、前記筒状保護カバーが前記筒状本体に対して移動できないように固定されている。
前記筒状保護カバーに前記外部拡張ラッチ部材が設置されている注射器の場合、注射器本体に挿入されたプランジャーロッドを押すと前記外部拡張ラッチ部材の拡張腕部がプランジャーロッド末端のフランジの内側に接触する。さらに注射器のプランジャーロッドを押すと前記外部拡張ラッチ部材の拡張腕部が注射器本体に対して外側に湾曲する。
前記外部拡張ラッチ部材の拡張腕部が注射器本体に対して外側に湾曲した結果、前記筒状本体に噛み合っていた前記外部拡張ラッチ部材の爪部が前記筒状本体の近位端から外れて、前記筒状保護カバーが前記筒状本体の長手方向に移動可能となる。
さらに注射器のプランジャーロッドを押すと前記外部拡張ラッチ部材が保護カバーを押して、前記保護カバーにより前記注射器に設置された注射針が遮蔽される仕組みとなっている。

しかし、前記筒状保護カバーに外部拡張ラッチ部材が設置されている注射器の場合は、医師等が患者に注射をしている最中に前記外部拡張ラッチ部材が注射器本体に対して外側に湾曲する。医師等はこの湾曲を妨げないように注射器を保持する必要があり、操作が容易ではない場合があった。

特開２００３−２２５３０８号公報特表２００３−５３２５００号公報

本発明の目的は、片手で簡単に取り扱うことのできる使い捨て自己遮蔽注射器を提供することにある。

上記課題を解決すべく本発明者らが鋭意検討した結果、
注射器本体とプランジャーロッドと注射針とを少なくとも備えた注射器と、
前記注射器本体が挿入される筒状本体と、
前記筒状本体が挿入され、前記筒状本体の中心軸方向に移動できる遮蔽筒と、
前記筒状本体の外側に設置され、前記遮蔽筒の内側に挿入できる環状ラッチ部材と、
前記筒状本体の外側に設置されたバネ材と、
を備え、
前記環状ラッチ部材が、環状本体と、前記筒状本体の中心軸方向と水平方向に前記環状本体から突出したラッチ部と、前記ラッチ部の端部に設置され、前記環状本体の内側に突出した爪部と、を有し、
前記遮蔽筒が、前記環状ラッチ部材のラッチ部を収容できる後部拡張筒部を有し、
前記遮蔽筒が、前記遮蔽筒の内側かつ前記後部拡張筒部側に、前記筒状本体の中心軸方向と水平方向に突出したラッチ解除部を有し、
前記筒状本体部が、鍔部を有し、
前記環状ラッチ部材の爪部が、前記バネ材の先端に掛かることにより前記筒状本体部の鍔部と前記環状ラッチ部材の爪部との間で前記バネ材が圧縮され、前記注射器本体の前部に設置された注射針が、前記遮蔽筒から露出し、
前記遮蔽筒を前記注射器本体の後部方向に引き付けると、前記遮蔽筒のラッチ解除部が、前記環状ラッチ部材の爪部を前記環状ラッチ部材の外側方向へ押し広げ、前記環状ラッチ部材の爪部が前記バネ材からはずれ、前記遮蔽筒が、前記バネ材の反発力により前記注射針を遮蔽する方向に移動して、前記遮蔽筒により前記注射器本体の前部に設置された注射針が遮蔽される、使い捨て自己遮蔽注射器が、本発明の目的に適うことを見出し、本発明を完成するに至った。

すなわち本発明は、
［１］注射器本体とプランジャーロッドと注射針とを少なくとも備えた注射器と、
前記注射器本体が挿入される筒状本体と、
前記筒状本体が挿入され、前記筒状本体の中心軸方向に移動できる遮蔽筒と、
前記筒状本体の外側に設置され、前記遮蔽筒の内側に挿入できる環状ラッチ部材と、
前記筒状本体の外側に設置されたバネ材と、
を備え、
前記環状ラッチ部材が、環状本体と、前記環状本体の中心軸方向と水平方向に前記環状本体から突出したラッチ部と、前記ラッチ部の端部に設置され、前記環状本体の内側に突出した爪部と、を有し、
前記環状ラッチ部材が、前記筒状本体に固定され、
前記遮蔽筒が、前記環状ラッチ部材のラッチ部を収容できる後部拡張筒部を有し、
前記遮蔽筒が、前記遮蔽筒の内側かつ前記後部拡張筒部側に、前記筒状本体の中心軸方向と水平方向に突出したラッチ解除部を有し、
前記筒状本体部が、鍔部を有し、
前記環状ラッチ部材の爪部が、前記バネ材の先端に掛かることにより前記筒状本体部の鍔部と前記環状ラッチ部材の爪部との間で前記バネ材が圧縮され、前記注射器本体の前部に設置された注射針が、前記遮蔽筒から露出し、
前記遮蔽筒を前記注射器本体の後部方向に引き付けると、前記遮蔽筒のラッチ解除部が、前記環状ラッチ部材の爪部を前記環状ラッチ部材の外側方向へ押し広げ、前記環状ラッチ部材の爪部が前記バネ材からはずれ、前記遮蔽筒が、前記バネ材の反発力により前記注射針を遮蔽する方向に移動して、前記遮蔽筒により前記注射器本体の前部に設置された注射針が遮蔽される、使い捨て自己遮蔽注射器を提供するものである。

また本発明の一つは、
［２］前記注射器のプランジャーロッドが、前記注射器本体に対して移動できるときは、前記遮蔽筒が前記環状ラッチ部材に対して移動せず、
前記注射器のプランジャーロッドが、前記注射器本体の先端に突き当たり、前記注射器本体に対して移動できなくなった後に、前記遮蔽筒を前記注射器本体の後部方向に引き付けることができる、上記［１］に記載の使い捨て自己遮蔽注射器を提供するものである。

また本発明の一つは、
［３］前記筒状本体が、前記筒状本体の外側に突出した爪部を有し、
前記遮蔽筒が、第一の開口部を有し、
前記注射器のプランジャーロッドが前記注射器本体に対して移動できるときは、前記筒状本体の爪部が前記遮蔽筒の第一の開口部の一端に掛かることにより、前記遮蔽筒が前記筒状本体に対して移動せず、
前記注射器のプランジャーロッドが前記注射器本体の先端に突き当たり、移動できなくなった後に、前記遮蔽筒の第一の開口部の他端が前記筒状本体の爪部を押し下げることにより、前記遮蔽筒が前記筒状本体に対して移動可能となる、上記［１］または［２］に記載の使い捨て自己遮蔽注射器を提供するものである。

また本発明の一つは、
［４］前記遮蔽筒が、第二の開口部を有し、
前記遮蔽筒の第一の開口部の他端が前記筒状本体の爪部を押し下げることにより、前記遮蔽筒が前記筒状本体に対して移動可能となった後に、前記筒状本体の爪部が前記遮蔽筒の第二の開口部に掛かることにより、前記遮蔽筒が前記筒状本体に対して移動せず、前記遮蔽筒により前記注射器本体の前部に設置された注射針が遮蔽される、上記［３］に記載の使い捨て自己遮蔽注射器を提供するものである。

また本発明の一つは、
［５］前記遮蔽筒が、フィンガーグリップを備える、上記［１］〜［４］のいずれかに記載の使い捨て自己遮蔽注射器を提供するものである。

本発明の使い捨て自己遮蔽注射器は、片手で簡単に取り扱うことができるから、非常に取り扱い易い。
また本発明の使い捨て自己遮蔽注射器によれば、治療に使用した注射器に設置されている注射針が誤って医療業務従事者、廃棄品処理業者等に刺さる事故を防止することができる。

図１は、実施例１に使用する注射器を説明するための模式断面図である。図２は、筒状本体２０を説明するための模式正面図である図３は、筒状本体２０の後部側面を示した模式側面図である。図４は、筒状本体２０の前部側面を示した模式側面図である。図５は、筒状本体２０の断面を示した模式平面断面図である。前記筒状本体の外側に設置される環状ラッチ部材を説明するための模式正面図である。図７は、環状ラッチ部材の後部側面を示した模式側面図である。図８は、環状ラッチ部材の前部側面を示した模式側面図である。図９は、環状ラッチ部材を説明するための模式平面図である。図１０は、遮蔽筒４０を説明するための模式正面図である。図１１は、遮蔽筒４０の後部側面を示した模式側面図である。図１２は、遮蔽筒４０の前部側面を示した模式側面図である。図１３は、遮蔽筒４０を説明するための模式平面図である。図１４は、遮蔽筒４０を示した模式正面断面図である。図１５は、遮蔽筒４０を示した模式平面断面図である。図１６は、実施例１に係る使い捨て自己遮蔽注射器１００の分解模式図である。図１７は、実施例１に係る使い捨て自己遮蔽注射器１００の模式図である。図１８は、プランジャーロッドが押された状態を説明するための模式断面図である。図１９は、ラッチ部材が解除される直前の状態を説明するための模式断面図である。図２０は、前記遮蔽筒のラッチ部材が解除され、前記遮蔽筒が注射器本体の前部方向へ移動した状態を説明するための模式断面図である。

以下に図面を参照しつつ、実施例に基づき本発明を詳細に説明する。なお本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。

実施例１に係る発明は、使い捨て自己遮蔽注射器に関するものであるが、最初に実施例１に使用する注射器について説明する。
図１は、実施例１に使用する注射器を説明するための模式断面図である。
図１に示されるように、実施例１に使用する注射器１は、注射器本体２の前部３に排出孔４および後部５に開口部６を有するものである。また前記開口部６には鍔部７が設けられている。
本発明の使い捨て自己遮蔽注射器においては、前記注射器１のうち、前記排出孔４がある側を前部とし、前記開口部がある側を後部とする。また前記注射器１の中心軸を一点破線ａ−ａにより図示した。

前記注射器本体２の形状は、前記注射器１の中心軸に対する垂直断面を基準として、円形、多角形、楕円形等が挙げられる。
前記射器本体２の形状は、前記注射器本体２の内部の一部に応力が集中することを防止する観点から円形であることが好ましい。実施例１に使用した前記注射器本体２は円筒であり、その断面は円形である。

また前記注射器本体２の先端３に設けられた前記排出孔４には注射針、保護キャップ等を装着することができる。前記注射器本体２の後部５には円形の開口部６が設けられていて、この開口部６から薬剤、液剤、可撓性封止部材等を前記注射器本体２の内部に入れることができる。また、前記注射器本体２の排出孔４から液剤等の医薬品を前記注射器本体２の内部へ吸い上げることもできる。

前記注射器１は、その内部に液剤等の医薬品を安定して保存することのできる素材であることが好ましい。
このような素材としては、例えば、ガラス等の無機材料、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、シクロオレフィンコポリマー、シクロオレフィンポリマー等の環状ポリオレフィン類等の医療用高分子等の有機材料が挙げられる。

また図１に示されるように、実施例１に使用する注射器１は、可撓性封止部材８およびプランジャーロッド１０を備えている。
前記可撓性封止部材８は、前記プランジャーロッド１０の先端に連結されていて、前記注射器本体２の内部へ挿入されている。
前記プランジャーロッド１０のフランジ１１を押すことにより、前記注射器本体２内部の液剤等の医薬品を注射器本体２の前部３に設置した注射針から排出することができる。

前記前部可撓性封止部材８の形状は円柱であり、側面に突出部８ａと溝部８ｂとを有する。
前記前部可撓性封止部材８は、シリコーンゴム等の医療用可撓性高分子等の有機材料により成形されている。
前記注射器本体２の中心軸に対する垂直面を基準として、前記前部可撓性封止部材８の突出部８ａの断面は前記注射器本体２の断面よりも大きい円形である。
前部可撓性封止部材８が前記注射器本体２の内部に挿入されることにより、前記前部可撓性封止部材８の突出部８ａは前記注射器本体２の中心軸方向に縮む。
このため前記注射本体２の中心軸に対する垂直面を基準として、前記前部可撓性封止部材８の外周形状を、前記注射器本体２の内周形状に一致させることができる。

前記前部可撓性封止部材８に前記溝部８ａを設けることにより、前記前部可撓性封止部材８の外面と、前記注射器本体２の内面との接触摩擦を低減することができる。これにより、前部可撓性封止部材８を前記注射器本体２の内部で、前記注射本体２の中心軸方向に自由に動かすことができる。

次に実施例１に使用する筒状本体について説明する。
図２は、筒状本体２０を説明するための模式正面図であり、図３は、筒状本体２０の後部側面を示した模式側面図であり、図４は、筒状本体２０の前部側面を示した模式側面図であり、図５は、筒状本体２０の断面を示した模式平面断面図である。

前記筒状本体２０は、前部筒状本体２０の前部に開口部２１と後部に開口部２２とを有する。前記筒状本体２０の中心軸を一点破線ｂ−ｂにより図示した。
また前記筒状本体２０には、爪部２３，２３が形成されている。前記爪部２３，２３の周囲は開口部２４，２４が設置されていて、前記爪部２３，２３が、前記筒状本体２０に対してたわむことができる構造となっている。
また前記爪部２３，２３の先端には突起部２５，２５が設置されている。

前記筒状本体２０の側面に拡張部２６，２６と拡張部２７が設置されている。前記拡張部２６，２６は前記筒状本体２０の側面の一部に設置されているのに対し、前記拡張部２７は前記筒状本体２０の側面の全周に設置されている点が異なる。

前記拡張部２６，２６と拡張部２７の面積を調整することにより、前記筒状本体２０の前記拡張部２６，２６と拡張部２７の外側に接して設置される遮蔽筒４０の内側の接触面積を調整することができる。
前記接触面積を大きくすれば、前記遮蔽筒４０は、前記筒状本体２０に対して動きにくくなり、前記接触面積を小さくすれば、前記遮蔽筒４０は、前記筒状本体２０に対して動きやすくなる。
この接触面積を調整することにより、注射器１のプランジャーロッド１０を押している最中に、前記遮蔽筒４０が環状ラッチ部材３０に対して動くことを防止することができる。

また前記筒状本体２０の側面に、開口部２４ａが設置されている。
また前記筒状本体２０の後部には、鍔部２８が設置されている。また前記鍔部２８には前記注射器本体２の鍔部７を固定するための固定突起部２９，２９が設置されている。
さらに前記鍔部２８の外周に突起部２８ａが設置されている。

本発明に使用する前記筒状本体２０の素材としては、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、シクロオレフィンコポリマー、シクロオレフィンポリマー等の環状ポリオレフィン類等の医療用高分子等の有機材料が挙げられる。
以下に説明する環状ラッチ部材３０および遮蔽筒４０に使用する素材についても同様である。

次に実施例１に使用する環状ラッチ部材３０について説明する。
図６は、筒状本体の外側に設置される環状ラッチ部材を説明するための模式正面図であり、図７は、環状ラッチ部材の後部側面を示した模式側面図であり、図８は、環状ラッチ部材の前部側面を示した模式側面図である。
また図９は、環状ラッチ部材を説明するための模式平面断面図である。
前記環状ラッチ部材３０は、環状本体３１，ラッチ部３２，爪部３３および環状突起部３４を備える。
前記ラッチ部３２は、前記環状本体３１の中心軸方向（一点破線ｃ−ｃ）と水平方向に前記環状本体３１から突出している。また前記爪部３３は、前記ラッチ部３２の端部に設置されていて、前記環状本体３１の内側に突出している。
前記ラッチ部３２は、前記環状本体３１の中心軸に対する垂直面方向にたわむことができる。

前記環状突起部３４の内側に、前記筒状本体２０の鍔部２８の外周に設置された突起部２８ａをはめ合わせることができる溝部３４ａが設置されている。
前記環状突起部３４の内側に、隙間なく前記筒状本体２０の鍔部２８をはめ込むことができる。
前記環状突起部３４の内側に、隙間なく前記筒状本体２０の鍔部２８をはめ合わされることにより、前記環状ラッチ部材３０を前記筒状本体２０に固定することができる。
また前記環状ラッチ部材３０と前記筒状本体２０の鍔部２８との間にバネ材６０を圧縮しても、前記環状ラッチ部材３０は前記筒状本体２０に固定されているから、前記環状ラッチ部材３０の爪部３３が前記バネ材６０の先端から外れない限り、前記バネ材６０が圧縮された状態を維持することができる。

次に実施例１に使用する遮蔽筒４０について説明する。
図１０は、遮蔽筒４０を説明するための模式正面図であり、図１１は、遮蔽筒４０の後部側面を示した模式側面図であり、図１２は、遮蔽筒４０の前部側面を示した模式側面図であり、図１３は、遮蔽筒４０を説明するための模式平面図であり、図１４は、遮蔽筒４０を示した模式正面断面図であり、図１５は、遮蔽筒４０を示した模式平面断面図である。

前記遮蔽筒４０は、遮蔽筒本体４１，フィンガーグリップ４２，第一の開口部４３，４３，第二の開口部４４，４４を有する。また前記遮蔽筒本体４１は、前記フィンガーグリップ４２の後部に前記遮蔽筒本体の内径よりも大きい内径の後部拡張筒部４５を備えている。
また前記後部拡張筒部４５に連結部４６が設置されていて、前記連結部４６から前記筒状本体２０の中心軸方向と水平方向にラッチ解除部４７，４７，４７，４７が突出している。
また前記遮蔽筒４０の後部拡張筒部４５の内側に前記環状ラッチ部材３０を挿入することができる。
また前部遮蔽筒４０の前部に開口部４８と後部に開口部４９とを有する。

次に前記注射器１、前記プランジャーロッド１０、前記筒状本体２０、前記環状ラッチ部材３０、前記遮蔽筒４０の相互関係について説明する。
図１６は、実施例１に係る使い捨て自己遮蔽注射器１００の分解模式図であり、図１７は、実施例１に係る使い捨て自己遮蔽注射器１００の模式図である。

図１６に示される通り、前記注射器１が前記筒状本体２０に挿入されている。前記注射器１の注射器本体２の外面は、前記筒状本体２０の後部開口部２２の内面とほぼ合致している。
このため前記筒状本体２０の内部に前記注射器本体２を挿入することができる。
また、前記筒状本体２０の後端突起部２７，２７の内側の幅と、前記注射器本体２の鍔部７の幅がほぼ合致している。
このため前記注射器本体２の鍔部７を筒状本体２０の後端突起部２８，２８の間に回転させてはめ込むことにより、前記前記筒状本体２０に対して前記注射器本体２を固定することができる。

次に前記筒状本体２０の外側にバネ材６０を挿入する。
前記バネ材６０は、前記筒状本体２０の鍔部２８と接触しているため、前記バネ材６０が圧縮された場合でも前記筒状本体２０の鍔部２８の位置より前に前記バネ材６０は設置される。

次に前記環状ラッチ部材３０に前記筒状本体２０を挿入する。
前記環状ラッチ部材３０の内側には爪部３３が突出していて、この爪部３３が前記バネ材６０の先端に掛かる。

また前記バネ材６０の外径よりも前記遮蔽筒４０の遮蔽筒本体４１の内径は小さい。このため前記バネ材６０を、前記遮蔽筒本体４１と前記筒状本体２０の鍔部２６との間で圧縮することができる。

前記環状ラッチ部材３０を前記筒状本体２０の鍔部２８側に押すと、前記環状ラッチ部材３０の爪部３３が前記バネ材６０の先端に掛かった状態を維持したまま、前記バネ材６０が圧縮される。
さらに前記環状ラッチ部材３０を前記筒状本体２０の鍔部２８側に押すと、前記環状ラッチ部材３０の環状突起部３４の内側に設置された溝部３４ａに、前記筒状本体２０の鍔部２８の外周に設置された突起部２８ａがはめ合わされる。
また前記環状ラッチ部材３０の環状突起部３４の内側と、前記筒状本体の鍔部２８の外側の形状はほぼ一致していて、前記環状ラッチ部材３０の環状本体３１と、前記筒状本体の鍔部２８とを隙間なく設置することができる。
前記突起部２８ａと前記溝部３４ａとがはめ合わされて、前記環状ラッチ部材３０と前記筒状本体２０とが互いに固定され、前記バネ材６０が圧縮された状態を維持することができる。

次に筒状本体２０の外側に前記遮蔽筒４０を挿入する。
前記遮蔽筒４０の遮蔽筒本体４１の内側と、前記筒状本体２０の側面の拡張部２６，２６および拡張部２７の外側とは互いに接触することができ、前記筒状本体２０の中心軸方向に、前記遮蔽筒４０を移動させることができる。
また前記バネ材６０および前記環状ラッチ部材３０の外径よりも前記遮蔽筒４０の後部拡張筒部４５の内径は大きいために前記バネ材６０および前記環状ラッチ部材３０を前記遮蔽筒４０の後部拡張筒部４５の内側に挿入することができる。
前記筒状本体２０の外側に前記遮蔽筒４０を挿入すると、前記筒状本体２０の爪部２５，２５が、前記遮蔽筒４０の第一の開口部４３，４３にそれぞれ掛り、前記遮蔽筒４０と前記筒状本体２０とが固定される。
前記筒状本体部２０と前記遮蔽筒４０とは、前記筒状本体２０の爪部２５，２５が、前記遮蔽筒４０の第一の開口部４３，４３にそれぞれ掛かっているため、前記遮蔽筒４０は、前記筒状本体２０の中心軸方向に移動しない状態を維持することができる。

また前記遮蔽筒４０は、前記筒状本体側に引き寄せられて固定されているため、前記注射器１の注射器本体２の前部３に設置された注射針７０が、前記遮蔽筒４０の前部開口部４７から前記遮蔽筒４０の外側へ露出している。

次に実施例１に係る使い捨て自己遮蔽注射器１００の動作機構を説明する。
図１８は、プランジャーロッドが押された状態を説明するための模式断面図であり、図１９は、ラッチ部材が解除される直前の状態を説明するための模式断面図である。
図２０は、前記遮蔽筒のラッチ部材が解除され、前記遮蔽筒が注射器本体の前部方向へ移動した状態を説明するための模式断面図である。
前記使い捨て自己遮蔽注射器１００のプランジャーロッド１０のフランジ１１を押すことにより、前記注射器１の内部の液状薬剤８０を排出することができる。
前記プランジャーロッド１０のフランジ１１をさらに押すと、前記プランジャーロッド１０の先端が、前記可撓性封止部材８を介して前記注射器本体２の先端に突き当たる。前記プランジャーロッド１０の先端が、前記注射器本体２の先端に突き当たった後は、前記注射器本体２に対して前記プランジャーロッド１０を移動させることができなくなる。
前記注射器本体２に対して前記プランジャーロッド１０を移動させることができる間は、前記遮蔽筒４０は、前記筒状本体２０に対して固定された状態を維持している。

前記プランジャーロッド１０のフランジ１１が注射器本体２に対して動かなくなった後に、前記遮蔽筒４０を前記注射器本体１０の後部方向に引き付けることができる。
例えば、前記プランジャーロッド１０のフランジ１１を親指で押し、前記フィンガーグリップ４２を人差し指および中指等により引きつけることにより、前記遮蔽筒４０を前記注射器本体１０の後部方向に引き付けることができる。

前記遮蔽筒４０を前記注射器本体１０の後部方向に引き付けると、前記遮蔽筒４０の第一の開口部４３のうち、前記筒状本体２０の爪部２３に接していない前記開口部４３の他端が前記筒状本体２０の爪部２３を押し下げることにより、前記遮蔽筒４０の第一の開口部４３から前記筒状本体２０の爪部２３が外れて、前記遮蔽筒４０が前記筒状本体に対して移動可能となる。
また、前記遮蔽筒４０の内側のラッチ解除部４７が、前記環状ラッチ部材３０の爪部３３を押し広げる。
押し広げられた前記環状ラッチ部材３０の爪部３３からバネ部材６０の先端がはずれると、前記バネ材６０の反発力により、前記バネ材６０の先端が前記遮蔽筒４０の連結部４６を押して、前記遮蔽筒４０が前記筒状本体２０に対して前部方向へ押し出される。

図２０に示されるように、前記バネ材６０の反発力により、前記遮蔽筒４０が前部方向へ押し出されると、前記遮蔽筒４０は、前記筒状本体２０の中心軸方向を基準として前部方向へ移動する。
前記筒状本体２０の爪部２３，２３が、前記遮蔽筒４０の第二の開口部４４，４４に掛かることにより、前記遮蔽筒４０はその動きを止め、前記遮蔽筒４０は、前記筒状本体２０に固定される。
前記遮蔽筒４０が、前記筒状本体２０に固定された状態では、前記遮蔽筒４０は、前記注射器１の前部に設置された注射針７０を遮蔽する。

この通り、実施例１に掛かる使い捨て自己遮蔽注射器１００は、注射器１の内部の液体薬剤８０を使用した後に、前記遮蔽筒４０を前記注射器本体１０の後部方向に引き付けると、自動的に注射針７０を遮蔽することができる。
前記使い捨て自己遮蔽注射器１００は片手で簡単に操作することができる他、使用後は注射針７０が遮蔽筒４０により遮蔽されているため、前記注射針７０が医療業務従事者、廃棄品処理業者等に刺さる事故を軽減することができる。

本発明の容器兼用注射器は、片手で簡単に扱うことができることから、各種医療機関、大学等の研究機関等における医療研究活動、愛玩動物等の人間以外の動物に対する治療、医療研究活動に幅広く応用することができる。

１注射器
２注射筒本体
３注射器本体の前部
４注射器本体の排出孔
５注射器本体の後部
６注射器本体の開口部
７，２８鍔部
８可撓性封止部材
８ａ可撓性封止部材の突出部
８ｂ可撓性封止部材の溝部
１０プランジャーロッド
１１フランジ
２０筒状本体
２１，２２，３８，３９開口部
２３，３３爪部
２６，２７拡張部
２８ａ突起部
２９固定突起部
３０環状ラッチ部材
３１環状本体
３２ラッチ部
３４環状突起部
３４ａ溝部
４０遮蔽筒
４１遮蔽筒本体
４２フィンガーグリップ
４３第一の開口部
４４第二の開口部
４５後部拡張筒部
４６連結部
４７ラッチ解除部
６０バネ材
７０注射針
１００使い捨て自己遮蔽注射器

Claims

注射器本体とプランジャーロッドと注射針とを少なくとも備えた注射器と、
前記注射器本体が挿入される筒状本体と、
前記筒状本体が挿入され、前記筒状本体の中心軸方向に移動できる遮蔽筒と、
前記筒状本体の外部に設置され、前記遮蔽筒の内側に挿入できる環状ラッチ部材と、
前記筒状本体の外部に設置されたバネ材と、
を備え、
前記環状ラッチ部材が、環状本体と、前記環状本体の中心軸方向と水平方向に前記環状本体から突出したラッチ部と、前記ラッチ部の端部に設置され、前記環状本体の内側に突出した爪部と、を有し、
前記遮蔽筒が、前記環状ラッチ部材のラッチ部を収容できる後部拡張筒部を有し、
前記遮蔽筒が、前記遮蔽筒の内側かつ前記後部拡張筒部側に、前記筒状本体の中心軸方向と水平方向に突出したラッチ解除部を有し、
前記環状ラッチ部材が、前記筒状本体に固定され、
前記筒状本体部が、鍔部を有し、
前記環状ラッチ部材の爪部が、前記バネ材の先端に掛かることにより前記筒状本体部の鍔部と前記環状ラッチ部材の爪部との間で前記バネ材が圧縮され、前記注射器本体の前部に設置された注射針が、前記遮蔽筒から露出し、
前記遮蔽筒を前記注射器本体の後部方向に引き付けると、前記遮蔽筒のラッチ解除部が、前記環状ラッチ部材の爪部を前記環状ラッチ部材の外部方向へ押し広げ、前記環状ラッチ部材の爪部が前記バネ材からはずれ、前記遮蔽筒が、前記バネ材の反発力により前記注射針を遮蔽する方向に移動して、前記遮蔽筒により前記注射器本体の前部に設置された注射針が遮蔽される、使い捨て自己遮蔽注射器。
前記注射器のプランジャーロッドが、前記注射器本体に対して移動できるときは、前記遮蔽筒が前記環状ラッチ部材に対して移動せず、
前記注射器のプランジャーロッドが、前記注射器本体の先端に突き当たり、前記注射器本体に対して移動できなくなった後に、前記遮蔽筒を前記注射器本体の後部方向に引き付けることができる、請求項１に記載の使い捨て自己遮蔽注射器。
前記筒状本体が、前記筒状本体の外側に突出した爪部を有し、
前記遮蔽筒が、第一の開口部を有し、
前記注射器のプランジャーロッドが前記注射器本体に対して移動できるときは、前記筒状本体の爪部が前記遮蔽筒の第一の開口部の一端に掛かることにより、前記遮蔽筒が前記筒状本体に対して移動せず、
前記注射器のプランジャーロッドが前記注射器本体の先端に突き当たり、移動できなくなった後に、前記遮蔽筒の第一の開口部の他端が前記筒状本体の爪部を押し下げることにより、前記遮蔽筒が前記筒状本体に対して移動可能となる、請求項１または２に記載の使い捨て自己遮蔽注射器。
前記遮蔽筒が、第二の開口部を有し、
前記遮蔽筒の第一の開口部の他端が前記筒状本体の爪部を押し下げることにより、前記遮蔽筒が前記筒状本体に対して移動可能となった後に、前記筒状本体の爪部が前記遮蔽筒の第二の開口部に掛かることにより、前記遮蔽筒が前記筒状本体に対して移動せず、前記遮蔽筒により前記注射器本体の前部に設置された注射針が遮蔽される、請求項３に記載の使い捨て自己遮蔽注射器。
前記遮蔽筒が、フィンガーグリップを備える、請求項１〜４のいずれかに記載の使い捨て自己遮蔽注射器。