JP5522454B2 - コネクタ - Google Patents

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Description

本発明は、コネクタに関する。
従来、電気自動車やハイブリッド自動車などに搭載されるモータやインバータなどの機器間を接続するシールドケーブルの端末には、例えば下記特許文献1に記載のコネクタが使用されている。このコネクタは、電線の端末に圧着された圧着部が設けられた端子金具を有し、この端子金具には圧着部をモールドしてなるモールド体が形成されている。このモールド体は、ハウジングの内部に形成された嵌合凹部に装着されている。このようなコネクタでは、モールド体の重量によってコネクタ全体の重量が大きくなることに加えて、モールド体をモールド成形する成形工程が必要となるため、コスト面で不利である。
モールド体の代替構造として、端子金具を保持するフロントホルダを用いたコネクタが、例えば下記特許文献2に記載されている。このコネクタは、ハウジングと、板状をなす接続部の後方に圧着部が形成された端子金具と、ハウジングの前端開口に装着される筒状のフロントホルダとを備えている。端子金具の接続部は、圧着部の前方に延出された延長ストレート部を備えている。一方、フロントホルダは、ハウジングの前端開口を覆う前壁と、この前壁に貫通して形成された前端開口の開口縁部から、延長ストレート部に対応して前方に延びる支持部とを備えて構成されている。支持部には、突部が形成されており、延長ストレート部に設けられた孔に突部が嵌合することで、端子金具が保持されている。
フロントホルダの前壁に形成された前端開口に対して端子金具の接続部を後方から挿入する際には、端子金具をやや斜めに傾けた状態で挿入するか、あるいは、前端開口と突部との距離を遠く設定することで、突部と接続部が干渉することを回避できる。
特開2008−258070号公報 特開2009−272133号公報
しかしながら、突部と接続部の干渉を避けるにあたり、端子金具を斜めに挿入するには、その進入角度等、作業者のバラツキが生じ、必ずしも干渉を回避することは困難である。また、前端開口と突部との距離を遠く設定するために、延長ストレート部を設けると、結果として端子金具が長くなり、コネクタ全体が大型化するため、コネクタが設置される環境によっては、コネクタを取り付けるスペースを確保できない場合がある。また、支持部そのものを省略することも考えられるが、延長ストレート部を支持部で支えておかないと、実際の接続作業時に延長ストレート部にストレスがかかるおそれもあり、端子金具の変形、コネクタの破損を引き起こす懸念もある。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、コネクタ全体の軽量化と小型化を行いつつ、端子金具の位置決め保持を行うことを目的とする。
本発明は、前方に開口する嵌合凹部を有するハウジングと、板状をなすとともに端子台にボルト止めされる接続部を有し、電線が接続される圧着部が接続部の後方に形成された端子金具と、嵌合凹部に嵌合される嵌合部を有するフロントホルダとを備え、フロントホルダは一対の半割体からなり、フロントホルダの内部に、両半割体を互いに組み付けることで圧着部を内部に収容する収容空間が形成されており、この収容空間の内部に、端子金具の位置決めを行う位置決め部が配設されており、接続部は、収容空間の内部から外部に延出されており、端子金具が位置決め部によって位置決めされた状態で接続部が端子台にボルト止めされる構成としたところに特徴を有する。
このような構成によると、位置決め部を収容空間に配設したから、収容空間の外部に位置決め部を形成する必要がない。この結果、フロントホルダを小型化でき、コネクタ全体を小型化できる。また、フロントホルダを一対の半割体で構成したから、モールド成形工程が不要になるとともにコネクタ全体を軽量化することができる。したがって、コネクタ全体の軽量化と小型化を行いつつ、端子金具の位置決め保持を行うことができる。
本発明の実施の態様として、以下の構成が好ましい。
収容空間は、同収容空間の前壁に開口する前端開口を含んで構成され、接続部は、前端開口を通して収容空間の外部に延出されており、位置決め部は、前端開口の内部に配設されている構成としてもよい。
このような構成によると、収容空間の前壁の板厚の範囲内に位置決め部を収めることができるため、収容空間を小型化でき、フロントホルダを小型化できる。
位置決め部は、前端開口の内部に配設された突部であって、接続部に形成された凹部に突部が嵌合することで端子金具が位置決めされる構成としてもよい。
このような構成によると、接続部に凹部を形成したから、圧着部に凹部を形成するよりも精度良く凹部を形成することができ、突部と凹部を確実に嵌合させることができる。
接続部は、圧着部の前端から前方に突出しており、凹部は、接続部の基端部に形成されている構成としてもよい。
このような構成によると、接続部の基端部に凹部を形成したから、収容空間の内部に配置される接続部を短くできる。このため、収容空間を小型化でき、フロントホルダを小型化できる。
本発明によれば、コネクタ全体の軽量化と小型化を行いつつ、端子金具の位置決め保持を行うことができる。
実施形態におけるコネクタの平面図 コネクタの側面図 コネクタの正面図 図4におけるB−B線断面図であって、フロントホルダと収容筒の係止構造を上方から見た図 図1におけるA−A線断面図であって、図2における端子金具とフロントホルダの位置決め構造を上方から見た図 ハウジングに電線を先通しした状態を側方から見た断面図 図6の電線の端末に端子金具を圧着接続した状態を側方から見た断面図 図7の端子金具を両半割体で挟む前の状態を側方から見た断面図 図8の端子金具に両半割体で挟んだ後の状態を側方から見た断面図
<実施形態>
本発明の実施形態を図1ないし図9の図面を参照しながら説明する。本実施形態のコネクタ10は、図1に示すように、3つの端子金具20、フロントホルダ30、ハウジング40、シールドシェル50などを備えて構成されている。
端子金具20は、全体として前後方向に細長く、略前半部分が板状をなす接続部21となっており、略後半部分がオープンバレル状の圧着部22となっている。圧着部22は一対のバレル片を有し、両バレル片を電線15の芯線15Aに抱きつかせるようにかしめ変形させることにより、芯線15Aと圧着部22とが導通可能に圧着接続されている。圧着した状態では、圧着部22は、全体として芯線15Aと略同軸状の円筒形をなしている。
接続部21は、圧着部22の前端から前方へ片持ち状に延出した形態であり、その幅寸法(左右方向の寸法)は、全長に亘ってほぼ一定であって、圧着部22の外径よりも大きい寸法となっている。また、接続部21の略後半部分は、圧着部22の底壁に対して平面状に連なる基端部21Bとなっており、接続部21の略前半部分は、基端部21Bに対して斜め上方へ曲げられた平板状をなす接点部21Aとなっている。この接点部21Aには、その表裏両面間を貫通する貫通孔23が形成されている。
フロントホルダ30は、合成樹脂製であり、図8に示すように、一対の半割体31からなり、両半割体31を互いに組み付けた構成とされている。3つの端子金具20は、両半割体31間において左右に並列して配置されている。フロントホルダ30の内部には、圧着部22およびこれに連なる電線15を収容する収容空間32が形成されている。各収容空間32は、各端子金具20に対応して独立して形成されている。フロントホルダ30の外周面における前後方向略中央には、外周壁33が周設されており、外周壁33の後方には、筒状をなす嵌合筒部34が各収容空間32に対応して設けられている。この嵌合筒部34の内部空間は、収容空間32の一部を構成している。
フロントホルダ30において隣り合う端子金具20間を仕切る位置には、隔壁35が形成されている。また、左右両端に位置する両端子金具20の外側には、一対の保護壁36が形成されている。各保護壁36と各隔壁35は、互いに平行に並んで配置されている。また、隔壁35は、図2に示すように、端子金具20よりも一回り大きい形態をなしている。これにより、隣り合う端子金具20は、隔壁35によって電気的に絶縁された状態とされている。また、各端子金具20は、両保護壁36によって左右方向からの衝撃に対して保護されている。なお、隔壁35は、コネクタ10を機器に取り付ける際に、機器側に設けられたシールリング(図示せず)に各端子金具20が接触して損傷しないように保護する役割を果たしている。
ハウジング40は、合成樹脂製であり、略前半部分が嵌合筒部34を内部に収容可能な嵌合凹部41となっており、略後半部分がゴム栓60を内部に収容するゴム栓収容部42となっている。嵌合凹部41の内部とゴム栓収容部42の内部とは連通しており、これらを連通する部分には電線15が挿通されている。
ハウジング40の後端開口の内部には、3つのゴム栓60の抜け止めを一括して行うバックリテーナ70が装着されている。バックリテーナ70は一対の半割体を互いに組み付けた構成とされ、図5に示すように、ハウジング40の後端開口に設けられた係止孔44に対して前後方向に係止可能な係止突起71を有している。これにより、3つのゴム栓60が1つのバックリテーナ70によって抜け止めされている。
ハウジング40において各嵌合凹部41を一括して覆う外周面には、シールリング61が装着されており、シールリング61の後側には、同シールリング61の後方への移動を規制する規制壁43が周設されている。各嵌合筒部34を各嵌合凹部41の内部に嵌合させると、外周壁33がシールリング61の前側に配置されるようになっている。これにより、シールリング61は、外周壁33と規制壁43とによって前後方向に移動が規制された状態に保持される。
シールドシェル50は、例えばアルミダイキャスト製とされており、図1ないし図4に示すように、各ゴム栓収容部42を一括して覆う形態でハウジング40の外周面に嵌着されている。シールドシェル50の左右両側には、機器側に取り付け可能な取付孔51が貫通して形成された取付座52が張り出し形成されている。取付座52を機器側ケース(図示せず)にボルト止めすることによって、シールドシェル50を機器側ケースに対して導通可能に接続することができる。
シールドシェル50において各ゴム栓収容部42を一括して覆う部分は、編組線Hと接続されるシールド接続部53とされている。シールド接続部53の外周面には、各電線15を一括してシールドする編組線Hが配置され、この編組線Hの外側には、かしめリング54が配置されている。かしめリング54をシールド接続部53に対して圧着すると、編組線Hがシールド接続部53にシールド接続される。したがって、編組線Hは、シールド接続部53および取付座52を通じて機器側ケースに対して導通可能に接続され、各電線15からなる導電路が一括してシールドされる。
さて、フロントホルダ30の収容空間32の前壁37には、端子金具20の接続部21を挿通可能な前端開口38が貫通して形成されている。前端開口38は、両半割体31によって上下に分割されている。上側の半割体31における前端開口38の内壁には、下方に向けて突出する位置決め突部39が形成されている。両半割体31を組み付けた状態では、位置決め突部39の突出端面が下側の半割体31の内壁に近接して配置される。一方、前端開口38に挿通された接続部21の基端部21Bには、位置決め突部39と嵌合可能な位置決め孔24が貫通して形成されている。これにより、位置決め突部39は、位置決め孔24の内壁に対して前後方向に係止し、端子金具20の前後方向の位置決め保持がなされる。
収容空間32は、前端開口38の内部空間を含む構成とされている。これは、位置決め突部39と位置決め孔24がいずれも収容空間32の内部に配設されていることを意味している。また、位置決め突部39は、収容空間32の前壁37の板厚の範囲内に配置されているため、フロントホルダ30を大型化させることなく、位置決め突部39を設けることができる。
位置決め突部39は、接続部21の基端部21Bにおける圧着部22寄りに配置されているため、収容空間32の内部に収容される接続部21を前後方向に短くすることができる。つまり、収容空間32を圧着部22とほぼ同じ大きさに設定することができ、収容空間32を小型化できる。また、収容空間32が小型化すれば、フロントホルダ30が小型化するため、コネクタ10全体が小型化することになる。
本実施形態は以上のような構成であって、続いてコネクタ10の組付手順について図6ないし図9を参照しながら説明する。まず、図6に示すように、編組線Hをシールドシェル50のシールド接続部53に対してかしめリング54で圧着接続しておく。編組線Hの内部には、複数の電線15を通しておき、この電線15に対してゴム栓60とハウジング40を先通ししておく。次に、図7に示すように、電線15の端末において被覆15Bを皮剥きすることで芯線15Aを露出させ、この芯線15Aに対して端子金具20の圧着部22を圧着接続する。この後、ハウジング40の前端外周面にシールリング61を嵌着しておく。
次に、図8に示すように、端子金具20の上下両側から両半割体31を互いに組み付ける。すると、図9に示すように、上側の半割体31の位置決め突部39が端子金具20の位置決め孔24に嵌合し、両半割体31が図示しないロック手段によって互いに組み付けられた状態に保持される。この結果、収容空間32の内部には、圧着部22およびこれに連なる電線15の端末が収容される。そして、両半割体31を組み付けてなるフロントホルダ30をハウジング40に装着する。これにより、各嵌合筒部34は各嵌合凹部41の内部に嵌合する。ここで、図4に示すように、中央に位置する嵌合筒部34の左右両側に形成された保持突起34Aが、嵌合凹部41の内壁に形成された係止凹部41Aに嵌り込んで前後方向に係止することにより、フロントホルダ30とハウジング40が組み付け状態に保持される。
続いて、図9に示すように、各ゴム栓収容部42の内部に各ゴム栓60を装着し、これらのゴム栓60の後方にバックリテーナ70を装着してゴム栓60の抜け止めを行う。さらに、ハウジング40の後端開口を覆うようにしてシールドシェル50を装着する。ここで、図4に示すように、シールドシェル50の内壁に形成された係止突起50Aが、ハウジング40の後端外周面に形成された係止受け部40Aに対して前後方向に係止することにより、シールドシェル50とハウジング40が組み付け状態に保持される。この後、シールドシェル50を機器側ケースに対してボルト止めし、端子金具20の接続部21の接点部21Aを機器側ケースの内部に配設された端子台(図示せず)に対してボルト止めする。こうして、コネクタ10の組付が完了する。
以上のように本実施形態では位置決め突部39を収容空間32の内部に配設したから、従来のようにフロントホルダ30の前方に支持部を設けてこの支持部に位置決め突部を設ける必要がなく、フロントホルダ30を小型化できる。特に、位置決め突部39をフロントホルダ30の前端開口38の内部に配設したから、位置決め突部39をフロントホルダ30の前壁37の板厚の範囲内に収めることができる。
これに伴って、端子金具20に延長ストレート部を設けてこの延長ストレート部に位置決め孔を設ける必要がなくなるため、端子金具20も小型化できる。また、接続部21の基端部21Bに位置決め孔24を設けたから、収容空間32の内部に配置される接続部21を前後方向に短くでき、収容空間32を小型化できる。これらの結果、コネクタ10全体を小型化できる。
また、フロントホルダ30を一対の半割体31で構成したから、モールド成形が不要になり、モールド成形工程が不要になるとともに、コネクタ10全体を軽量化できる。
また、位置決め孔24を接続部21に形成したから、圧着部22に位置決め孔を形成するよりも精度良く位置決め孔を形成することができ、位置決め突部39を位置決め孔24に対して確実に嵌合させることができる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では接続部21に位置決め孔24を形成しているものの、本発明によると、圧着部に位置決め孔を形成してもよい。
(2)上記実施形態ではフロントホルダ30の前壁37に位置決め突部39を形成しているものの、本発明によると、収容空間32を構成する上面に位置決め突部を形成してもよい。
(3)上記実施形態では凹部を位置決め孔24として形成しているものの、本発明によると、貫通した孔である必要はなく、有底の凹部としてもよい。
(4)上記実施形態では接続部21が圧着部22の前端から前方に延出されているものの、本発明によると、接続部21と圧着部22との間にこれらを連結するつなぎ部を形成してもよい。
10…コネクタ
15…電線
20…端子金具
21…接続部
21B…基端部
22…圧着部
24…位置決め孔(凹部)
30…フロントホルダ
31…半割体
32…収容空間
34…嵌合筒部(嵌合部)
37…前壁
38…前端開口
39…位置決め突部(突部)
40…ハウジング
41…嵌合凹部

Claims (4)

  1. 前方に開口する嵌合凹部を有するハウジングと、
    板状をなすとともに端子台にボルト止めされる接続部を有し、電線が接続される圧着部が前記接続部の後方に形成された端子金具と、
    前記嵌合凹部に嵌合される嵌合部を有するフロントホルダとを備え、
    前記フロントホルダは一対の半割体からなり、前記フロントホルダの内部に、両半割体を互いに組み付けることで前記圧着部を内部に収容する収容空間が形成されており、この収容空間の内部に、前記端子金具の位置決めを行う位置決め部が配設されており、前記接続部は、前記収容空間の内部から外部に延出されており、前記端子金具が前記位置決め部によって位置決めされた状態で前記接続部が前記端子台にボルト止めされることを特徴とするコネクタ。
  2. 前記収容空間は、同収容空間の前壁に開口する前端開口を含んで構成され、前記接続部は、前記前端開口を通して前記収容空間の外部に延出されており、前記位置決め部は、前記前端開口の内部に配設されていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
  3. 前記位置決め部は、前記前端開口の内部に配設された突部であって、前記接続部に形成された凹部に前記突部が嵌合することで前記端子金具が位置決めされることを特徴とする請求項2に記載のコネクタ。
  4. 前記接続部は、前記圧着部の前端から前方に突出しており、前記凹部は、前記接続部の基端部に形成されていることを特徴とする請求項3に記載のコネクタ。
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