JP5522276B2 - 無線通信システムにおける受信装置、送信装置、および回線接続切り替え方法 - Google Patents

無線通信システムにおける受信装置、送信装置、および回線接続切り替え方法 Download PDF

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Description

本発明は、変調方式が可変である複数の無線回線を仮想的に1本に集約した仮想伝送路を用いたデータ伝送と、時分割多重伝送とが混在する無線通信システムにおいて回線接続の切り替えを行う受信装置、送信装置、および回線接続切り替え方法に関する。
近年の通信ネットワークにおけるインターネットプロトコル(Internet Protocol、IP)化によって、通信ネットワークの大容量化が進んでいる。その結果、無線通信システムにおいても大容量のデータを伝送することが求められている。そこで、イーサネット(Ethernet、登録商標、以下同じ)インタフェースを有し、複数の無線回線を仮想的に1本に集約した仮想伝送路を用いて大容量データを伝送する無線通信システムが主流となってきている。複数の無線回線を仮想的に1本の仮想伝送路に集約する方法としては、リンクアグリゲーション(Link Aggregation)があり、Institute of Electrical and Electronic Engineers(IEEE)802.3adで規定されている。
イーサネットインタフェースを有する無線通信システムが主流となる一方で、Synchronous Digital Hierarchy(SDH)/Synchronous Optical Network(SONET)などの既存のインタフェースである時分割多重インタフェースも直ちに終焉することはない。そこで、時分割多重インタフェースおよびイーサネットインタフェースが混在する無線通信システムが出現してきている。
イーサネット伝送および時分割多重伝送が混在する通信システムにおいて、イーサネット伝送が行われている回線または時分割多重伝送が行われている回線に障害が発生した場合に、回線接続の切り替えを行う従来技術としては、下記の4つが挙げられる。
まず、イーサネットワークとネットワークの接続箇所のパスが現用系と予備系で冗長的に接続された無線通信システムにおいて、イーサネットワーク信号に障害が検知された場合に、接続箇所におけるパスを現用系から予備系に切り替える技術が知られている。
次に、リンクアグリゲーションが用いられたイーサネット側の接続装置とSDH/SONET側の接続装置とが冗長的に接続された通信ネットワークを対象とした技術が知られている。この技術では、このような通信ネットワークにおいて、SDH/SONET側のインタフェースを有するネットワーク装置をイーサネット側の接続装置とSDH/SONET側の接続装置との間に設ける。そして、ネットワーク装置は、リンクアグリゲーションに用いた複数の回線が運用系であるか非運用系であるかをイーサネット側の接続装置に通知する。
また、イーサネットインタフェースおよびSDH/SONETインタフェースという異種のネットワークインタフェースを有する現用系インタフェースおよび予備系インタフェース間の切り替え制御に関する技術が知られている。この技術では、イーサネット用のAutomatic Protection Switch(APS)情報とSDH/SONET用のAPSとを変換することによって、現用系インタフェースで受信された信号と予備系インタフェースで受信された信号との間で受信主信号を切り替える。
そして、イーサネットおよびSDH/SONETなどの複数種類の信号が混在するネットワークにおいて、複数種類の信号の伝送速度に対応できるマルチレート再生中継盤を備えた予備回線を1回線設ける技術が知られている。この技術では、ある種類の信号が伝送される回線に障害が発生した場合には、インタフェース盤の伝送速度をその信号種の伝送速度に設定し、障害の発生した回線から予備回線に切り替える。
国際公開第2005/079015号パンフレット 特開2008‐177941号公報 特開2009‐10441号公報 特開2008‐258701号公報
時分割多重伝送が行われる無線通信システムでは、現用回線に障害が発生した場合には、障害が発生した現用回線から現用回線の予備回線として設けられた無線回線に回線接続を切り替えて、データ伝送を行っている。すなわち、時分割多重伝送が行われる無線通信システムでは、現用回線に対して少なくとも1本の未使用の予備回線を予め用意して現用回線の障害を救済している。
しかし、時分割多重伝送の現用回線の障害発生に備えて予備回線を未使用の状態のまま確保することは、周波数の有効利用、大容量のデータ伝送、および経済性の観点において問題がある。
そこで、時分割多重伝送とイーサネット伝送とが混在する無線通信システムでは、時分割多重伝送の現用回線に障害が発生していない場合には、未使用の予備回線をイーサネット伝送の仮想伝送路を構成する無線回線として使用することが考えられる。
前述のように、イーサネット伝送では、大容量データを伝送するために、複数の無線回線を仮想的に1本に集約した仮想伝送路が用いられる。複数の無線回線を仮想的に1本に仮想伝送路に集約する方法としては、リンクアグリゲーションがある。
リンクアグリゲーションの動作には、縮退動作と拡張動作がある。リンクアグリゲーションの縮退動作とは、例えば仮想伝送路を構成する回線に障害が発生した場合に、障害が発生した回線へのフレームの割り振りを停止して、障害が発生していないその他の回線へフレームを割り振るようにフレームの分配規則を変更する動作である。また、リンクアグリゲーションの拡張動作とは、例えば障害が発生した回線が復旧した場合に、復旧した回線を含む仮想伝送路を構成する各回線にフレームが割り振られるようにフレームの分配規則を変更する動作である。
また、イーサネット伝送では、大容量データの伝送を実現するために、適応変調制御(Adaptive Coding and Modulation、ACM)を使用することが望ましい。
適応変調制御は、伝送路の状態に応じて無線通信システムの符号化方式や変調方式を動的に可変にする手法である。
例えば降雨などにより伝送路の状態が悪化した場合には、256値直交振幅位相変調(Quadrature Amplitude Modulation、QAM)よりも低次の変調方式である64値直交振幅位相変調に変更する。これにより、例えば音声データや映像データなど遅延が許されないデータの伝送を保障することができる。
一方、例えば伝送路の状態が良好の場合には、4値直交振幅位相変調ないし4位相偏移変調(Quadrature Phase Shift Keying、4PSK)よりも高次の変調方式である256値直交振幅位相変調に変更する。これにより、1シンボル当たりの変調ビット数を増やすことができるので、大容量データの伝送を実現できる。
イーサネット伝送における仮想伝送路を構成する各無線回線の変調方式が異なる場合には、各無線回線のトラフィック量を各無線回線の変調方式に応じて割り振り制御することが可能である。したがって、イーサネット伝送では、大容量データの伝送を実現するために、リンクアグリゲーションおよび適応変調制御を組み合わせて使用することが望ましい。
このようなリンクアグリゲーションおよび適応変調制御を用いたイーサネット伝送では、複数の無線回線を仮想的に束ねて1本の無線回線とした仮想伝送路の伝送容量は、無線回線数および変調方式により決まる。例えば、仮想伝送路を構成する無線回線の伝搬路の状態が悪化した場合あるいは無線回線の機器故障などが発生した場合には、変調方式を低次に落とす、または無線回線数を減らす必要があり、その結果、スループットは低下する。
そこで、時分割多重伝送の予備回線が未使用である場合には、未使用の予備回線をイーサネット伝送における仮想伝送路を構成する回線として使用し、仮想伝送路を構成する無線回線数を増やすことが考えられる。仮想伝送路を構成する無線回線の回線数を増やすことができれば、仮想伝送路の伝送容量を増やすことができるので、前述のようなスループットの低下を防ぐことができる。
しかし、時分割多重伝送では、変調方式を固定して、安定した回線品質で伝送することが望ましい。
このように、イーサネット伝送の仮想伝送路を構成する無線回線および時分割多重伝送の予備回線として共用される無線回線は、イーサネット伝送に使用される場合にはリンクアグリゲーションおよび適応変調制御を用いてデータ転送の大容量化を実現することが要求される。その一方で、時分割多重伝送に使用される場合には、無線回線の回線品質を安定させることが要求される。
リンクアグリゲーションおよび適応変調制御が使用されるイーサネット伝送を例として前述したが、変調方式が可変である複数の無線回線を仮想的に1本に集約した仮想伝送路を用いたデータ伝送に関しても同様の問題が生じる。
本発明の課題は、このようなデータ伝送の仮想伝送路を構成する無線回線を時分割多重伝送の予備回線として使用する場合に、時分割多重伝送の安定した回線品質を確保して冗長切り替えを行う無線通信システム、無線通信装置、および回線接続切り替え方法を提供することである。
変調方式が可変である複数の無線回線を仮想的に1本に集約した仮想伝送路を用いたデータ伝送と、時分割多重伝送とが混在する無線通信システムにおける受信装置は、次のユニットを備える。すなわち、時分割多重伝送で用いられている現用回線に障害が発生した場合に、仮想伝送路を構成する複数の無線回線の内の1本の無線回線を仮想伝送路から開放する開放部を備える。また、開放部により仮想伝送路から開放された1本の無線回線の復調に用いる変調方式を時分割多重伝送で用いられている変調方式に変更する復調部を備える。そして、障害が発生した現用回線から復調部により変調方式が変更された1本の無線回線に回線接続を切り替えるスイッチ部を備える。
変調方式が可変である複数の無線回線を仮想的に1本に集約した仮想伝送路を用いたデータ伝送と、時分割多重伝送とが混在する無線通信システムにおける送信装置は、次のユニットを備える。すなわち、時分割多重伝送の障害が発生した現用回線の代わりに用いる無線回線を準備するように無線通信システムの受信装置からの要求を受信すると、仮想伝送路を構成する複数の無線回線の内の1本の無線回線を仮想伝送路から開放する開放部を備える。また、開放部により仮想伝送路から開放された1本の無線回線の変調に用いる変調方式を時分割多重伝送で用いられている変調方式に変更する変調部を備える。そして、障害が発生した現用回線から変調部により変調方式が変更された1本の無線回線に回線接続を切り替えるスイッチ部を備える。
変調方式が可変である複数の無線回線を仮想的に1本に集約した仮想伝送路を用いたデータ伝送と、時分割多重伝送とが混在する無線通信システムにおいて、無線通信装置は、次の回線接続切り替え方法を行う。すなわち、時分割多重伝送で用いられている現用回線に障害が発生した場合には、仮想伝送路を構成する複数回線の内の1本の無線回線を仮想伝送路から開放する。また、仮想伝送路から開放された1本の無線回線の変調方式を時分割多重伝送で用いられている変調方式に変更する。そして、障害が発生した現用回線から変調方式が変更された1本の無線回線に回線接続を切り替える。
開示の無線通信システムにおける受信装置、送信装置、および回線接続切り替え方法では、時分割多重伝送の現用回線に障害が発生していない場合には、時分割多重伝送の予備回線として使用し得る無線回線を仮想伝送路を構成する無線回線として使用する。したがって、開示の無線通信システムにおける受信装置、送信装置、および回線接続切り替え方法では、時分割多重伝送の予備回線が未使用の場合には、仮想伝送路を構成する回線数を増やすことができ、仮想伝送路の伝送容量を増やすことができる。
そして、時分割多重伝送の現用回線に障害が発生した場合には、予備回線として使用し得る無線回線を仮想伝送路から開放し、開放された無線回線の変調方式を時分割多重伝送で用いられている変調方式に変更して、時分割多重伝送の予備回線として使用する。したがって、開示の無線通信システムにおける受信装置、送信装置、および回線接続切り替え方法によれば、時分割多重伝送の予備回線を未使用のまま確保しなくても、時分割多重伝送の無線回線に要求される安定した回線品質を実現できる。
第1の実施形態の無線通信システムの構成図である。 第1の実施形態の無線通信装置の監視制御部の構成例を示す図である。 第1の実施形態の時分割多重伝送の冗長切り替えシーケンス図である。 第1の実施形態の時分割多重伝送の冗長切り替えフローチャートである。 第2の実施形態の無線通信システムの構成図である。 第2の実施形態の時分割多重伝送の冗長切り替えシーケンス図である。 第2の実施形態の時分割多重伝送の冗長切り替えフローチャートである。 第3の実施形態の無線通信装置の監視制御部の構成例を示す図である。 第3の実施形態の時分割多重伝送の冗長切り替えシーケンス図である。 第3の実施形態の時分割多重伝送の冗長切り替えフローチャートである。 第4の実施形態の第1の例において仮想伝送路を構成する無線回線の変調方式の時間的変移を示す図である。 フラットフェードのスペクトラムについての説明図である。 第4の実施形態の第2の例において仮想伝送路を構成する無線回線の受信入力レベルの時間的変移を示す図である。 第4の実施形態の第2の例において仮想伝送路を構成する無線回線の変調方式の時間的変移を示す図である。 マルチパスフェージングのスペクトラムについての説明図である。 第4の実施形態の第3の例において仮想伝送路を構成する無線回線の搬送波対雑音比の時間的変移を示す図である。 第4の実施形態の第3の例において仮想伝送路を構成する無線回線の変調方式の時間的変移を示す図である。 第4の実施形態の無線通信装置の監視制御部の構成例を示す図である。 第4の実施形態の第2の例の回線品質ランク管理テーブルである。 第4の実施形態の第3の例の回線品質ランク管理テーブルである。 第4の実施形態の時分割多重伝送の冗長切り替えシーケンス図である。 第4の実施形態の時分割多重伝送の冗長切り替えフローチャートである。 第5の実施形態の予備回線の移行シーケンス図である。 第5の実施形態の予備回線の移行フローチャートである。 第1〜第3の実施形態の無線通信装置の監視制御部のハードウェア構成例を示す図である。 第4および第5の実施形態の無線通信装置の監視制御部のハードウェア構成例を示す図である。
以下、図面を参照しながら、実施形態を詳細に説明する。
また、以下の発明を実施するための形態の説明では、変調方式が可変である複数の無線回線を仮想的に1本に集約した仮想伝送路を用いたデータ伝送の例として、リンクアグリゲーションおよび適応変調制御を用いたイーサネット伝送を挙げて説明する。
<第1の実施形態>
図1は、イーサネット伝送と時分割多重伝送とが混在する本発明の第1の実施形態の無線通信システムの構成例である。図1には、一例として、7本の無線回線1〜7に各々対応する無線通信システムSYS1〜SYS7を含む1対の無線通信装置11および12が示されている。
図1の無線通信システムに含まれる7本の無線回線の内、無線回線1〜4は、イーサネット伝送の仮想伝送路を構成し得る回線である。
また、無線回線5〜7は、時分割多重伝送の現用回線であり、無線回線4は、時分割多重伝送の予備回線として使用され得る回線である。そして、これらの無線回線4〜7によって時分割多重伝送の3+1冗長構成が構築される。
このように、無線回線4は、イーサネット伝送の仮想伝送路の一部を構成する無線回線として使用され得ると共に、時分割多重伝送の現用回線である無線回線5〜7の予備回線として使用され得る。
図1の無線通信装置11は、イーサネット伝送が行われ得るSYS1〜SYS4に対しては、集約部1101、ベースバンド信号処理部1111〜1114、変復調部1131〜1134、および送受信部1141〜1144を含む。また、無線通信装置12は、イーサネット伝送が行われ得るSYS1〜SYS4に対しては、集約部1201、ベースバンド信号処理部1211〜1214、変復調部1231〜1234、および送受信部1241〜1244を含む。
ベースバンド信号処理部1111〜1114および1211〜1214は、送受信されるデータ信号のベースバンドにおける処理を行う。変復調部1131〜1134および1231〜1234は、送受信されるデータ信号を適応変調制御により変調または復調する。受信部1141〜1144および1241〜1244は、他の無線通信装置との間で送受信されるデータ信号を送信または受信する。集約部1101および1201は、リンクアグリゲーションの縮退/拡張動作によって、SYS1〜SYS4におけるイーサネットフレームの割り振りを変更する。
図1の無線通信装置11は、時分割多重伝送が行われるSYS5〜SYS7に対しては、ベースバンド信号処理部1115〜1117、変復調部1135〜1137、および送受信部1145〜1147を含む。また、無線通信装置12は、時分割多重伝送が行われるSYS5〜SYS7に対しては、ベースバンド信号処理部1215〜1217、変復調部1235〜1237、および送受信部1245〜1247を含む。
ベースバンド信号処理部1115〜1117および1215〜1217は、時分割多重伝送において送受信されるデータ信号のベースバンドにおける処理を行う。変復調部1135〜1137および1235〜1237は、変調方式の一例として64値直交振幅位相変調により、送受信されるデータ信号を変調または復調する。送受信部1145〜1147および1245〜1247は、他の無線通信装置との間で送受信されるデータ信号を送信または受信する。
図1の無線通信装置11は、時分割多重伝送における現用回線に対応するSYS5〜SYS7と予備回線に対応するSYS4との間でシステムの切り替えを行うスイッチ部1121を備える。また、無線通信装置12は、時分割多重伝送における現用回線に対応するSYS5〜SYS7と予備回線に対応するSYS4との間でシステムの切り替えを行うスイッチ部1221を備える。
図1に示すように、無線通信装置11の集約部1101、ベースバンド信号処理部1111〜1117、スイッチ部1121、変復調部1131〜1137、および送受信部1241〜1247は、監視制御部1151に接続される。また、無線通信装置12の集約部1201、ベースバンド信号処理部1211〜1217、スイッチ部1221、変復調部1231〜1237、および送受信部1241〜1247は、監視制御部1251に接続される。
監視制御部1151および1251は、接続されたユニットの動作および状態を監視および制御する。
第1の実施形態では、監視制御部1151および1251は、図2の監視制御部20の例図に示すように、制御部21、チャネル切り替え部22、無線環境測定部23、および記憶部24を含む。
チャネル切り替え部22は、時分割多重伝送の現用回線から予備回線への回線接続の切り替えの際に必要な判定を行うユニットである。例えば、時分割多重伝送の現用回線の救済準備の必要性があるか否か、現用回線の救済準備が完了したか否か、送端側のスイッチの駆動および受端側のスイッチの駆動が完了したか否かなどを判定する。チャネル切り替え部22は、例えばField Programmable Gate Array(FPGA)である。
無線環境測定部23は、無線回線の回線接続の切り替えおよび無線通信システムの変調方式変更の基準として用いられる各無線回線の無線環境を測定するユニットである。無線環境測定部23は、例えばField Programmable Gate Array(FPGA)である。
制御部21は、チャネル切り替え部22の判定および無線環境測定部23の測定に基づいて、集約部、ベースバンド処理部、スイッチ部、変復調部、および送受信部の動作を制御するユニットである。制御部21は、例えばCentral Processing Unit(CPU)である。
記憶部24は、例えばRandom Access Memory(RAM)である。記憶部24には、各システムの伝送方式および使用状態を管理するための通信キャリア状態管理テーブル241が格納される。
なお、SYS1〜SYS7に対応する7本の無線回線1〜7において送受信される信号の流れを分かりやすくするために図示していないが、第1の実施形態の無線通信装置11および12は、バンドパスフィルタおよびアンテナ共用器を含む分波部を備える。したがって、無線通信装置11では、無線回線1〜7において送受信される信号は、無線通信装置11に備えられた分波部を経て、送受信部1141〜1147で送受信される。また、無線通信装置12では、無線回線1〜7において送受信される信号は、無線通信装置12に備えられた分波部を経て、送受信部1241〜1247で送受信される。
図1の第1の実施形態の無線通信システムの構成例において、時分割多重伝送の現用回線に障害が発生した場合に現用回線から予備回線へ回線接続を切り替える方法を図3の時分割多重伝送の冗長切り替えシーケンス図および図4の時分割多重伝送の冗長切り替えフローチャートを用いて説明する。
図1の第1の実施形態の無線通信システムの構成例において、例えば、無線通信装置11を送信局とし、無線通信装置12を受信局とする。そして、無線回線1〜4によりイーサネット伝送の仮想伝送路が構築され、それらの無線回線における変調方式は適応変調制御されているとする。また、無線回線5〜7を現用回線として時分割多重伝送がなされ、それらの無線回線における変調方式は64値直交振幅位相変調であるとする。この場合に、無線回線6に障害が発生したと仮定する。
図4のstep401では、無線通信装置12の変復調部1236は、無線回線6に障害が発生したことを、受信したデータ信号から検出する。そして、変復調部1236は、無線回線6に障害が発生したことを知らせるアラームALMを監視制御部1251に通知する(図3の矢印301)。
図4のstep402では、監視制御部1251は、アラームALMを受信すると、時分割多重伝送の現用回線の救済準備が必要であると判定する。そして、監視制御部1251は、時分割多重伝送の現用回線の救済準備を無線通信装置11の監視制御部1151に要求する(図3の矢印302)。
図4のstep403では、無線通信装置11の監視制御部1151は、現用回線の救済準備要求を受信すると、無線回線4を仮想伝送路から開放するために、SYS4に対するリンクアグリゲーションの縮退動作を集約部1101に要求する(図3の矢印303)。また、無線通信装置12の監視制御部1251は、無線回線4を仮想伝送路から開放するために、SYS4に対するリンクアグリゲーションの縮退動作を集約部1201に要求する(図3の矢印304)。
無線通信装置11の集約部1101は、監視制御部1151からの要求を受信すると、リンクアグリゲーションの縮退動作によりイーサネットフレームのSYS4への割り振りを停止する。そして集約部1101は、SYS4に対する縮退動作の完了を監視制御部1151に通知する(図3の矢印305)。イーサネットフレームのSYS4への割り振り停止に関する情報は、監視制御部1151の通信キャリア状態管理テーブル241に格納される。
また、無線通信装置12の集約部1201は、監視制御部1251からの要求を受信すると、リンクアグリゲーションの縮退動作によりイーサネットフレームのSYS4への割り振りを停止する。そして集約部1201は、SYS4に対する縮退動作の完了を監視制御部1251に通知する(図3の矢印306)。イーサネットフレームのSYS4への割り振り停止に関する情報は、監視制御部1251の通信キャリア状態管理テーブル241に格納される。
SYS4に対する縮退動作が完了すると、図4のstep404に進む。すなわち、無線通信装置11の監視制御部1151は、変復調部1134に対して、適応変調制御されているSYS4の変調に用いる変調方式を時分割多重伝送で用いられている64値直交振幅位相変調に変更するように要求する(図3の矢印307)。また、無線通信装置12の監視制御部1251は、SYS4の変復調部1234に対して、適応変調制御されているSYS4の復調に用いる変調方式を時分割多重伝送で用いられている64値直交振幅位相変調に変更するように要求する(図3の矢印308)。
無線通信装置11の変復調部1134は、監視制御部1151からの変調方式の変更要求を受信すると、変調に用いる変調方式を64値直交振幅位相変調に変更する。そして、変復調部1134は、変調方式変更の完了を監視制御部1151に通知する(図3の矢印309)。
また、無線通信装置12の変復調部1234は、監視制御部1251からの変調方式の変更要求を受信すると、復調に用いる変調方式を64値直交振幅位相変調に変更する。そして、SYS4の変復調部1234は、変調方式変更の完了を監視制御部1251に通知する(図3の矢印310)。
無線通信装置11の監視制御部1151は、SYS4の変調方式変更が完了したことを受信すると、時分割多重伝送の現用回線の救済準備が完了したと判定する。そして、監視制御部1151は、時分割多重伝送の現用回線の救済準備が完了したことを無線通信装置12の監視制御部1251に通知する(図3の矢印311)。
無線通信装置12の監視制御部1251が時分割多重伝送の現用回線の救済準備完了の通知を受信すると、図4のstep405に進む。すなわち、監視制御部1251は、SYS4とSYS6との間の送端側におけるシステムの切り替えを行うようにスイッチを駆動することが必要であると判定する。そして、無線通信装置12の監視制御部1251は、無線通信装置11の監視制御部1151に対して、SYS4とSYS6との間の送端側におけるシステムの切り替えを行うスイッチを駆動するように要求する(図3の矢印312)。
無線通信装置11の監視制御部1151は、送端側のスイッチの駆動要求を受信すると、SYS4とSYS6との間の送端側におけるシステムの切り替えを行うスイッチを駆動するようにスイッチ部1121に要求する(図3の矢印313)。スイッチ部1121は、ベースバンド信号処理部1116で処理されたデータ信号が変復調部1134で変調され、送受信部1144により送信されるように、SYS4とSYS6との間の送端側におけるシステムの切り替えを行うスイッチを駆動する。そして、スイッチ部1121は、SYS4とSYS6との間の送端側におけるシステムの切り替えを行うスイッチの駆動が完了したことを監視制御部1151に通知する(図3の矢印314)。
通知を受信した監視制御部1151は、SYS4とSYS6との間で送端側のシステムの切り替えを行うスイッチの駆動が完了したと判定する。そして、監視制御部1151は、送端側のスイッチの駆動が完了したことを無線通信装置12の監視制御部1251に通知する(図3の矢印315)。
無線通信装置12の監視制御部1251が送端側のスイッチの駆動が完了したことの通知を受信すると、図4のstep406に進む。すなわち、監視制御部1251は、SYS4とSYS6との間の受端側におけるシステムの切り替えを行うスイッチを駆動することが必要であると判定する。そして、監視制御部1251は、受端側のスイッチを駆動するようにスイッチ部1221に要求する(図3の矢印316)。要求を受信したスイッチ部1221は、無線装置11のSYS4で送信されたデータ信号が送受信部1244で受信されて変復調部1234で復調されるとベースバンド信号処理部1216で信号処理されるようにスイッチを駆動する。そして、SYS4とSYS6との間での受端側のシステムを切り替えるスイッチの駆動が完了したことを監視制御部1251に通知する(図3の矢印317)。こうして、障害が発生した無線回線6に対応するSYS6に関する一連の切り替え動作は完了する(図4のstep407)。
このように、第1の実施形態の無線通信システムでは、時分割多重伝送の現用回線に障害が発生していない場合には、時分割多重伝送の予備回線として使用し得る無線回線をイーサネット伝送の仮想伝送路を構成する無線回線として使用する。したがって、本発明の第1の実施形態の無線通信システムによれば、時分割多重伝送の予備回線が未使用の場合には、仮想伝送路を構成する無線回線の回線数を増やすことができ、仮想伝送路の伝送容量を増やすことができる。
そして、時分割多重伝送の現用回線に障害が発生した場合には、予備として使用する無線回線をイーサネット伝送の仮想伝送路から開放し、適応変調制御されている変調方式を時分割多重伝送で用いられている変調方式に変更して、予備回線として使用する。したがって、本発明の第1の実施形態の無線通信システムによれば、時分割多重伝送の予備回線を未使用のまま確保しなくても、時分割多重伝送の無線回線に要求される安定した回線品質を実現できる。
<第2の実施形態>
図5は、時分割多重伝送とイーサネット伝送とが混在する本発明の第2の実施形態の無線通信システムの構成例である。図5には、7本の無線回線に各々対応するシステムSYS1〜SYS7を含む1対の無線通信装置51および52が示されている。なお、図1に示した第1の実施形態の無線通信システムの無線通信装置と同一のユニットには、同一の符号を付している。
前述した第1の実施形態では、イーサネット伝送の仮想伝送路を構成する複数の無線回線の内の特定の1本の無線回線を時分割多重伝送の予備回線として使用し得るように予め設定している。そして、時分割多重伝送の現用回線に障害が発生した場合には、リンクアグリゲーションの縮退動作を実行してその特定の無線回線をイーサネット伝送の仮想伝送路から開放し、その特定の無線回線の変調方式を時分割多重伝送で用いられている変調方式に変更する。こうして、イーサネット伝送の仮想伝送路を構成する複数の無線回線の内の特定の1本の無線回線を時分割多重伝送の予備回線として使用する。
これに対して、第2の実施形態では、イーサネット伝送の仮想伝送路を構成する複数の無線回線の内の何れか1本の無線回線を時分割多重伝送の予備回線として使用し得るように設定する。そして、時分割多重伝送の現用回線に障害が発生した場合には、仮想伝送路を構成する複数の無線回線の中から、適応変調制御されている現在の変調方式が時分割多重伝送で用いられるものと一致する1本の無線回線を予備回線として選択する。そして、リンクアグリゲーションの縮退動作を実行して、選択した無線回線をイーサネット伝送の仮想伝送路から開放し、時分割多重伝送の予備回線として使用する。
そこで、図5に示すように、第2の実施形態の無線通信システムの無線通信装置51は、スイッチ部5121を備える。また、無線通信装置52は、スイッチ部5221を備える。
スイッチ部5121および5221は、イーサネット伝送の仮想伝送路を構成し得る無線回線1〜4に対応するSYS1〜SYS4と時分割多重伝送の現用回線である無線回線5〜7に対応するSYS5〜SYS7との間でシステムの切り替えを実施する。
なお、第2の実施形態の無線通信システムの無線通信装置51の監視制御部1151は、図2の監視制御部20の例図で示したような制御部21、チャネル切り替え部22、無線環境測定部23、および通信キャリア状態管理テーブル241を格納する記憶部24を備える。また、無線通信装置52の監視制御部1251は、図2の監視制御部20の例図で示したような制御部21、チャネル切り替え部22、無線環境測定部23、および通信キャリア状態管理テーブル241を格納する記憶部24を備える。
第2の実施形態の無線通信システムにおいて時分割多重伝送の現用回線に障害が発生した場合に現用回線から予備回線へ回線接続を切り替える方法を、図6の時分割多重伝送の冗長切り替えシーケンス図および図7の時分割多重伝送の冗長切り替えフローチャートを用いて説明する。
図5の第2の実施形態の無線通信システムの構成例において、例えば、無線通信装置51を送信局とし、無線通信装置52を受信局とする。そして、無線回線1〜4によりイーサネット伝送の仮想伝送路が構築され、それらの無線回線における変調方式は適応変調制御されているとする。また、無線回線5〜7を現用回線として時分割多重伝送がなされ、それらの無線回線における変調方式は64値直交振幅位相変調であるとする。この場合に、無線回線6に障害が発生したと仮定する。
図7のstep701では、無線通信装置52の変復調部1236は、無線回線6に障害が発生したことを、受信したデータ信号から検出する。そして、変復調部1236は、無線回線6に障害が発生したことを知らせるアラームALMを監視制御部1251に通知する(図6の矢印601)。
図7のstep702では、監視制御部1251は、アラームALMを受信すると、時分割多重伝送の現用回線の救済準備が必要であると判定する。そして、監視制御部1251は、時分割多重伝送の現用回線の救済準備を無線通信装置51の監視制御部1151に要求する(図6の矢印602)。
図7のstep703では、無線通信装置51の監視制御部1151は、現用回線の救済準備の要求を受信すると、適応変調制御されているSYS1〜4の中から時分割多重伝送で用いられている変調方式と一致するシステムを照会する。
すなわち、監視制御部1151は、現在変調に用いている変調方式に関する情報を変復調部1131〜1134に要求する(図6の矢印603)。変復調部1131〜1134は、この要求に応じて、現在変調に用いている変調方式に関する情報を、監視制御部1151に送信する(図6の矢印604)。無線通信装置51の監視制御部1151は、現在変調に用いている変調方式に関する情報を受信すると、SYS1〜4の中から時分割多重伝送で用いられている変調方式と一致するシステムを照会する。
また、無線通信装置52の監視制御部1251は、適応変調制御されているSYS1〜4の中から時分割多重伝送で用いられている変調方式と一致するシステムを照会する。
すなわち、監視制御部1251は、現在復調に用いている変調方式に関する情報を変復調部1231〜1234に要求する(図6の矢印605)。変復調部1231〜1234は、この要求に応じて、現在復調に用いている変調方式に関する情報を、監視制御部1251に送信する(図6の矢印606)。無線通信装置52の監視制御部1251は、現在復調に用いている変調方式に関する情報を受信すると、SYS1〜4の中から時分割多重伝送で用いられている変調方式と一致するシステムを照会する。
図7のstep703における各々の照会の結果、例えば図6に示すように、SYS3で現在用いている変調方式が時分割多重伝送で用いられている変調方式である64値直交振幅位相変調と一致していると仮定する。この場合、無線通信装置51の監視制御部1151は、現在変調に用いられているSYS3の変調方式が時分割多重伝送で用いられている変調方式と一致すると判定する。また、無線通信装置52の監視制御部1251は、現在復調に用いられているSYS3の変調方式が時分割多重伝送で用いられている変調方式と一致すると判定する。そして、図7のstep704に進む。
図7のstep704では、無線通信装置51の監視制御部1151は、変調方式が一致するとの判定に基づいて、無線回線3を仮想回線から開放するためにSYS3に対するリンクアグリゲーションの縮退動作を集約部1101に要求する(図6の矢印607)。縮退動作の要求を受けた集約部1101は、リンクアグリゲーションの縮退動作によりイーサネットネットフレームのSYS3への割り振りを停止する。そして集約部1101は、SYS3に対する縮退動作の完了を監視制御部1151に通知する(図6の矢印608)。イーサネットフレームのSYS3への割り振り停止に関する情報は、監視制御部1151の通信キャリア状態管理テーブル241に格納される。
また、無線通信装置52の監視制御部1251は、変調方式が一致するとの判定に基づいて、無線回線3を仮想回線から開放するためにSYS3に対するリンクアグリゲーションの縮退動作を集約部1201に要求する(図6の矢印609)。縮退動作の要求を受けた集約部1201は、リンクアグリゲーションの縮退動作によりイーサネットネットフレームのSYS3への割り振りを停止する。そして集約部1201は、SYS3に対する縮退動作の完了を監視制御部1251に通知する(図6の矢印610)。イーサネットフレームのSYS3への割り振り停止に関する情報は、監視制御部1251の通信キャリア状態管理テーブル241に格納される。
無線通信装置51の監視制御部1151は、SYS3に対する縮退動作の完了の通知を受信すると、時分割多重伝送の現用回線の救済準備が完了したと判定する。そして、監視制御部1151は、時分割多重伝送の現用回線の救済準備が完了したことを無線通信装置52の監視制御部1251に通知する(図6の矢印611)。
無線通信装置52の監視制御部1251が時分割多重伝送の現用回線の救済準備が完了したとの通知を受信すると、図7のstep705に進む。すなわち、監視制御部1251は、SYS3とSYS6との間の送端側におけるシステムの切り替えを行うようにスイッチを駆動することが必要であると判定する。そして、無線通信装置52の監視制御部1251は、無線通信装置51の監視制御部1151に対して、SYS3とSYS6との間での送端側のシステムの切り替えを行うスイッチを駆動するように要求する(図6の矢印612)。
無線通信装置51の監視制御部1151は、送端側のスイッチの駆動の要求を受信すると、SYS3とSYS6との間での送端側のシステムの切り替えを行うスイッチを駆動するようにスイッチ部5121に要求する(図6の矢印613)。スイッチ部5121は、ベースバンド信号処理部1116で処理されたデータ信号が変復調部1133で変調され送受信部1143により送信されるように、スイッチを駆動する。そして、スイッチ部5121は、送端側のシステムを切り替えるスイッチの駆動が完了したことを監視制御部1151に通知する(図6の矢印614)。
通知を受信した監視制御部1151は、SYS3とSYS6との間で送端側のシステムの切り替えを行うスイッチの駆動が完了したと判定する。そして、監視制御部1151は、送端側のシステムを切り替えるスイッチの駆動が完了したことを無線通信装置52の監視制御部1251に通知する(図6の矢印615)。
無線通信装置52の監視制御部1251が送端側のシステムを切り替えるスイッチの駆動が完了したとの通知を受信すると、図7のstep706に進む。すなわち、監視制御部1251は、SYS3とSYS6との間での受端側のシステムの切り替えを行うスイッチを駆動することが必要であると判定する。そして、監視制御部1251は、受端側のシステムを切り替えるスイッチを駆動するようにスイッチ部5221に要求する(図6の矢印616)。要求を受信したスイッチ部5221は、無線装置51のSYS3で送信されたデータ信号を送受信部1243で受信して変復調部1233で復調するとベースバンド信号処理部1216で信号処理するように、スイッチを駆動する。そして、SYS3とSYS6との間での受端側のシステムを切り替えるスイッチの駆動が完了したことを監視制御部1251に通知する(図6の矢印617)。こうして、障害が発生した無線回線6に対応するSYS6に関する一連の切り替え動作は完了する(図7のstep707)。
一方、図7のstep703における照会の結果、SYS1〜4の中に時分割多重伝送で用いられている変調方式と一致するシステムがなかったと仮定する。この場合、監視制御部1151および1251は、SYS1〜4の中に時分割多重伝送で用いられている変調方式と一致するシステムがないと判定し、step708に進む。
時分割多重伝送で用いられている変調方式と一致しなくても、時分割多重伝送で用いられている変調方式よりも高次の変調方式を用いてデータ伝送している無線回線は、高次の変調方式を用いても良好な回線品質を確保できる無線回線であるといえる。したがって、このような無線回線は、時分割多重伝送の予備回線としての使用に適する。
そこで、図7のstep708では、無線通信装置51の監視制御部1151は、SYS1〜4の中から時分割多重伝送で用いられている変調方式よりも高次の変調方式を現在変調に用いているシステムを照会する。また、無線通信装置52の監視制御部1251は、SYS1〜4の中から時分割多重伝送で用いられている変調方式よりも高次の変調方式を現在復調に用いているシステムを照会する。
監視制御部1151および1251が各々照会した結果、SYSn(SYSnは、SYS1〜4の内の1つを表す)が時分割多重伝送で用いられている変調方式よりも高次の変調方式であったと仮定する。この場合、無線通信装置51の監視制御部1151は、SYSnの変調に用いられている変調方式が時分割多重伝送で用いられている変調方式よりも高次であると判定する。また、無線通信装置52の監視制御部1251は、SYSnの復調に用いられている変調方式が時分割多重伝送で用いられている変調方式よりも高次であると判定する。そして、図7のstep709に進む。
図7のstep709では、無線通信装置51の監視制御部1151は、変調方式が高次であるとの判定に基づいて、SYSnに対応する無線回線nを仮想回線から開放するためにSYSnに対するリンクアグリゲーションの縮退動作を集約部1101に要求する。SYSnに対する縮退動作の要求を受信した集約部1101は、リンクアグリゲーションの縮退動作によりイーサネットフレームのSYSnへの割り振りを停止する。そして集約部1101は、監視制御部1151にSYSnに対する縮退動作が完了したことを通知する。イーサネットフレームのSYSnへの割り振り停止に関する情報は、監視制御部1151の通信キャリア状態管理テーブル241に格納される。
また、無線通信装置52の監視制御部1251は、変調方式が高次であるとの判定に基づいて、SYSnに対応する無線回線nを仮想回線から開放するためにSYSnに対するリンクアグリゲーションの縮退動作を実行するように集約部1201に要求する。SYSnに対する縮退動作の要求を受けた集約部1201は、リンクアグリゲーションの縮退動作によりイーサネットフレームのSYSnへの割り振りを停止する。そして集約部1201は、監視制御部1251にSYSnに対する縮退動作が完了したことを通知する。イーサネットフレームのSYSnへの割り振り停止に関する情報は、監視制御部1251の通信キャリア状態管理テーブル241に格納される。
SYSnに対するリンクアグリゲーションの縮退動作が完了すると、図7のstep710に進む。すなわち、無線通信装置51の監視制御部1151は、SYSnの変復調部に対して、SYSnの変調に用いられている変調方式を時分割多重伝送で用いられている64値直交振幅位相変調に変更するように要求する。また、無線通信装置52の監視制御部1251は、SYSnの変復調部に対して、SYSnの復調に用いられている変調方式を時分割多重伝送で用いられている64値直交振幅位相変調に変更するように要求する。
無線通信装置51のSYSnの変復調部は、監視制御部1151からの変調方式の変更要求を受信すると、SYSnの変調方式を64値直交振幅位相変調に変更する。そして、SYSnの変復調部は、変調方式変更の完了を監視制御部1151に通知する。
また、無線通信装置52のSYSnの変復調部は、監視制御部1251からの変調方式の変更要求を受信すると、SYSnの変調方式を64値直交振幅位相変調に変更する。そして、SYSnの変復調部は、変調方式の変更の完了を監視制御部1251に通知する。
無線通信装置51の監視制御部1151は、SYSnの変調方式変更の完了通知を受信すると、時分割多重伝送の現用回線の救済準備が完了したと判定する。そして、監視制御部1151は、時分割多重伝送の現用回線の救済準備が完了したことを無線通信装置52の監視制御部1251に通知する。
無線通信装置52の監視制御部1251が時分割多重伝送の現用回線の救済準備が完了したことの通知を受信すると、図7のstep705に進む。図7のstep705からstep707までの流れは、前述したstep704からstep705に進んだ場合と同様である。
一方、図7のstep708における照会の結果、SYS1〜4の中に時分割多重伝送で用いられている変調方式よりも高次の変調方式であるシステムがなかったと仮定する。この場合、監視制御部1151および1251は、SYS1〜4の中に時分割多重伝送で用いられている変調方式よりも高次の変調方式であるシステムがないと判定し、step711に進む。すなわち、この場合には、時分割多重伝送の予備回線としての使用に適する無線回線が存在しないので、障害が発生した時分割多重伝送の現用回線から予備回線への回線接続の切り替えを行わない。
なお、図7のstep711において回線接続の切り替えを行わない場合には、無線通信装置51の監視制御部1151および無線通信装置52の監視制御部1251は、時分割多重伝送で用いられている変調方式と一致するシステムが存在するか否か(step703)、存在しない場合には時分割多重伝送で用いられている変調方式よりも高次の変調方式のシステムが存在するか否か(step708)を所定時間経過後に再び照会してもよい。
以上のような本発明の第2の実施形態によれば、時分割多重伝送の現用回線に障害が発生した場合に、イーサネット伝送の仮想伝送路を構成する各無線回線の中から適応変調制御されている現在の変調方式が時分割多重伝送で用いられている変調方式と一致する無線回線を時分割多重伝送の予備回線として使用することができる。
したがって、第1の実施形態の図4のstep404のような予備回線の変調方式を時分割多重伝送で用いられている変調方式に変更する動作を削減しても、時分割多重伝送の予備回線に適する無線回線を選択することができる。
<第3の実施形態>
前述した第2の実施形態では、図7のstep703において見られるように、時分割多重伝送の現用回線に障害が検出されて予備回線を選択する際に、イーサネット伝送が行われている各無線通信システムの現在の変調方式に関する情報を収集する。
これに対して、第3の実施形態では、イーサネット伝送が行われている各無線通信システムの現在の変調方式に関する情報を予備回線を選択する前に予め収集する。
図8の監視制御部80の例図に示すように、第3の実施形態では、図2の監視制御部20の例図に示された各構成要素に加えて、無線通信装置の監視制御部の記憶部24には、変調方式管理テーブル242が備えられる。変調方式管理テーブル242には、イーサネット伝送が行われている各無線通信システムで現在用いられている変調方式が格納される。
適応変調制御を用いたイーサネット伝送では、仮想回線を構成する各回線に対応するシステムで用いられる変調方式は、各回線の伝送路の状態の変化に応じて変更される。そこで、第3の実施形態では、システムで用いられる変調方式が変更されると、変調方式を変更した変復調部が変更された変調方式に関する情報を監視制御部に通知するように設定する。そして、監視制御部は、この通知を受信すると、変更された変調方式に関する情報を変調方式管理テーブル242に格納する。
図8の監視制御部80の例図を示して前述した変調方式管理テーブル242以外のその他の第3の実施形態の無線通信システムの構成例は、図5に示した第2の実施形態の無線通信システムと同様である。
第3の実施形態の無線通信システムの構成例において、時分割多重伝送の現用回線に障害が発生した場合に現用回線から予備回線へ回線接続を切り替える方法を、図9の時分割多重伝送の冗長切り替えシーケンス図および図10の時分割多重伝送の冗長切り替えフローチャートを用いて説明する。
図5の第3の実施形態の無線通信システムの構成例において、例えば、無線通信装置51を送信局とし、無線通信装置52を受信局とする。そして、無線回線1〜4によりイーサネット伝送の仮想伝送路が構築され、それらの回線の変調方式は適応変調制御されているとする。また、無線回線5〜7を現用回線として時分割多重伝送がなされ、それらの回線の変調方式は64値直交振幅位相変調であるとする。この場合に、無線回線6に障害が発生したと仮定する。
図10のstep1001では、無線通信装置52の変復調部1236は、無線回線6に障害が発生したことを、受信したデータ信号から検出する。そして、変復調部1236は、無線回線6に障害が発生したことを知らせるアラームALMを監視制御部1251に通知する(図9の矢印901)。
図10のstep1002では、監視制御部1251は、アラームALMを受信すると、時分割多重伝送の現用回線の救済準備が必要であると判定する。そして、監視制御部1251は、時分割多重伝送の現用回線の救済準備を無線通信装置51の監視制御部1151に要求する(図9の矢印902)。
図10のstep1003では、無線通信装置51の監視制御部1151は、現用回線の救済準備の要求を受信すると、変調方式管理テーブル242を用いて、SYS1〜4の中から時分割多重伝送で用いられている変調方式と一致するシステムを照会する。また、無線通信装置52の監視制御部1251は、変調方式管理テーブル242を用いて、SYS1〜4の中から時分割多重伝送で用いられている変調方式と一致するシステムを照会する。
そして、図10のstep1003における各々の照会の結果、例えば図9に示すように、SYS3の変調方式が時分割多重伝送で用いられている変調方式である64値直交振幅位相変調と一致したと仮定する。この場合、無線通信装置51の監視制御部1151は、SYS3で変調に用いられている変調方式が時分割多重伝送で用いられている変調方式と一致すると判定する。また、無線通信装置52の監視制御部1251は、SYS3で復調に用いられている変調方式が時分割多重伝送で用いられている変調方式と一致すると判定する。そして、図10のstep1004に進む。
図10のstep1004では、無線通信装置51の監視制御部1151は、変調方式が一致するとの判定に基づいて、無線回線3を仮想回線から開放するためにSYS3に対するリンクアグリゲーションの縮退動作を集約部1101に要求する(図9の矢印903)。縮退動作の要求を受けた集約部1101は、リンクアグリゲーションの縮退動作によりイーサネットネットフレームのSYS3への割り振りを停止する。そして集約部1101は、SYS3に対する縮退動作の完了を監視制御部1151に通知する(図9の矢印904)。イーサネットフレームのSYS3への割り振り停止に関する情報は、監視制御部1151の通信キャリア状態管理テーブル241に格納される。
また、無線通信装置52の監視制御部1251は、変調方式が一致するとの判定に基づいて、無線回線3を仮想回線から開放するためにSYS3に対するリンクアグリゲーションの縮退動作を集約部1201に要求する(図9の矢印905)。縮退動作の要求を受けた集約部1201は、リンクアグリゲーションの縮退動作によりイーサネットネットフレームのSYS3への割り振りを停止する。そして集約部1201は、SYS3に対する縮退動作の完了を監視制御部1251に通知する(図9の矢印906)。イーサネットフレームのSYS3への割り振り停止に関する情報は、監視制御部1251の通信キャリア状態管理テーブル241に格納される。
無線通信装置51の監視制御部1151は、SYS3に対する縮退動作の完了の通知を受信すると、時分割多重伝送の現用回線の救済準備が完了したと判定する。そして、監視制御部1151は、時分割多重伝送の現用回線の救済準備が完了したことを無線通信装置52の監視制御部1251に通知する(図9の矢印907)。
無線通信装置52の監視制御部1251が時分割多重伝送の現用回線の救済準備が完了したことの通知を受信すると、図10のstep1005に進む。すなわち、監視制御部1251は、SYS3とSYS6との間の送端側におけるシステムの切り替えを行うようにスイッチを駆動することが必要であると判定する。そして、無線通信装置52の監視制御部1251は、無線通信装置51の監視制御部1151に対して、SYS3とSYS6との間での送端側のシステムの切り替えを行うスイッチを駆動するように要求する(図9の矢印908)。
無線通信装置51の監視制御部1151は、送端側のシステムを切り替えるスイッチの駆動の要求を受信すると、SYS3とSYS6との間での送端側のシステムの切り替えを行うスイッチを駆動するようにスイッチ部5121に要求する(図9の矢印909)。スイッチ部5121は、ベースバンド信号処理部1116で処理されたデータ信号が変復調部1133で変調され送受信部1143により送信されるように、スイッチを駆動する。そして、スイッチ部5121は、送端側のシステムを切り替えるスイッチの駆動が完了したことを監視制御部1151に通知する(図9の矢印910)。
通知を受信した監視制御部1151は、SYS3とSYS6との間で送端側のシステムの切り替えを行うスイッチの駆動が完了したと判定する。そして、監視制御部1151は、送端側のシステムを切り替えるスイッチの駆動が完了したことを無線通信装置52の監視制御部1251に通知する(図9の矢印911)。
無線通信装置52の監視制御部1251が送端側のシステムを切り替えるスイッチの駆動が完了したとの通知を受信すると、図10のstep1006に進む。すなわち、監視制御部1251は、SYS3とSYS6との間での受端側のシステムの切り替えるスイッチを駆動することが必要であると判定する。そして、監視制御部1251は、受端側のシステムを切り替えるスイッチを駆動するようにスイッチ部5221に要求する(図9の矢印912)。要求を受信したスイッチ部5221は、無線装置51のSYS3で送信されたデータ信号を送受信部1243で受信して変復調部1233で復調するとベースバンド信号処理部1216で信号処理するように、スイッチを駆動する。そして、SYS3とSYS6との間での受端側のシステムを切り替えるスイッチの駆動が完了したことを監視制御部1251に通知する(図9の矢印913)。こうして、障害が発生した無線回線6に対応するSYS6に関する一連の切り替え動作は完了する(図10のstep1007)。
なお、図10のstep1003における照会の結果、SYS1〜4の中に時分割多重伝送で用いられている変調方式と一致するシステムがなかった場合には、時分割多重伝送で用いられている変調方式より高次の変調方式のシステムを選択してSYS6のシステムとの切り替えを行うことが可能である。このことは、図7のstep708に関連して第2の実施形態について前述した通りである。
以上のような本発明の第3の実施形態によれば、時分割多重伝送の予備回線を選択する際に、イーサネット伝送が行われている各システムの変調方式を、各システムで現在用いられている変調方式が予め記録された管理テーブルを参照することにより確認できる。
したがって、第2の実施形態の図7のstep703のようなイーサネット伝送を行っている各システムで現在用いられている変調方式を収集する時間は不要となる。このため、時分割多重伝送の救済時間を短縮して、時分割多重伝送の予備回線に適する無線回線を選択することができる。
<第4の実施形態>
前述した第2および第3の実施形態では、イーサネット伝送の仮想伝送路を構成する各無線回線の現在の変調方式が時分割多重伝送で用いられている変調方式と一致する無線回線、または時分割多重伝送で用いられている変調方式よりも高次である無線回線を、時分割多重伝送の予備回線として選択する。
これに対して、第4の実施形態では、イーサネット伝送の仮想伝送路を構成する各無線回線の回線品質を特徴付けるパラメータの時間的変移を用いて各無線回線の回線品質のランク付けを行い、回線品質が最も安定している無線回線を予備回線として選択する。
まず、回線品質を特徴付けるパラメータとして無線回線の回線変調方式を使用した第1の例を以下に説明する。
図11は、イーサネット伝送の仮想伝送路を構成し得る無線回線1〜4に対応するSYS1〜SYS4の変調方式の時間的変移を示す図である。
図11に示すように、例えば、無線回線の変調方式について256値直交振幅位相変調を1、64値直交振幅位相変調を2、16値直交振幅位相変調を3、および4位相偏移変調を4として数値化する。すなわち、高次の変調方式を使用して伝送可能な無線回線ほど回線品質のよい無線回線であると評価できるので、図11の例では、数値が小さい無線回線ほど回線品質がよい無線回線を示す。そして、図11に示すように、過去のある時刻t−nから現在の時刻tまで各無線回線の回線品質の時間的変移を記録し、その平均値avgを計算する。
図11では、SYS1〜SYS4に対応する現在の時刻tの無線回線の回線品質を参照すると、SYS3に対応する無線回線3の回線品質が最もよい。しかし、無線回線の回線品質の時間的変移の平均値avgを参照すると、SYS3に対応する無線回線3の回線品質が最も悪い。このため、無線回線3の回線品質は今後劣化することを予測できる。したがって、無線回線3は、時分割多重伝送において要求される安定した回線品質の無線回線ではないと判定できる。
一方、図11では、SYS3以外のSYS1、SYS2、およびSYS4に対応する現在の時刻tの無線回線の回線品質は同一である。しかし、SYS1、SYS2、およびSYS4に対応する無線回線の回線品質の時間的変移の平均値avgを参照すると、SYS1に対応する無線回線1が最もよい。したがって、時分割多重伝送で要求される安定した回線品質が得られる無線回線は、無線回線1であることが判定できる。
このように、変調方式の時間的変移を用いて無線回線の回線品質のランク付けを行うことにより、イーサネット伝送の仮想伝送路を構成する各無線回線の中から時分割多重伝送の予備回線として最適な無線回線を選択することができる。
前述の第1の例では、回線品質を特徴付けるパラメータとして無線回線の変調方式を使用した。しかし、回線品質を特徴付けるパラメータは、無線回線の変調方式に限られない。そこで、伝搬損失の発生要因に合わせてパラメータを選択して回線品質のランク付けを行えば、より最適な時分割多重伝送の予備回線を選択することができる。
以下に示す第2の例では、無線回線の変調方式の他に受信入力レベルを回線品質を特徴付けるパラメータとして使用する。
例えば、雨の多い地域では降水による減衰が多く発生する。降水による減衰は、緩やかな変動が継続的に発生する特徴があることから、図12に示すように、スペクトラムは、全体のレベルが下がった波形となる。そこで、降水による減衰が多く発生する地域では、回線品質を特徴付けるパラメータとして受信入力レベルを使用することが有効である。
図13は、イーサネット伝送の仮想伝送路を構成し得る各無線回線1〜4に対応するSYS1〜SYS4の受信入力レベルRSLの時間的変移を示す図である。また、図14は、SYS1〜SYS4の変調方式の時間的変移を示す図である。
図13では、受信入力レベルが高い無線回線ほど回線品質のよい無線回線として評価し、受信入力レベルの時間的変移の平均値avgが高い無線回線ほど回線品質ランク(RSLランク)を上位にしている。また、図14では、図11と同様に、高次の変調方式を使用して伝送可能な無線回線ほど回線品質のよい無線回線として評価して数値化し、数値化した無線回線の変調方式の時間的変移の平均値が小さい無線回線ほど回線品質ランク(QAMランク)を上位にしている。
図14を参照すると、SYS1およびSYS3の回線品質ランク(QAMランク)は共に1位である。このため、回線品質を特徴付けるパラメータとして無線回線の変調方式のみを使用した場合には、SYS1およびSYS3に各々対応する無線回線1および3は、同一の回線品質の無線回線として扱われる。
しかし、図13を参照すると、SYS1の回線品質ランク(RSLランク)は1位であり、SYS4の回線品質ランクは2位である。そこで、回線品質を特徴付けるパラメータとして無線回線の変調方式の他に受信入力レベルを使用すれば、降水による減衰といった伝搬損失の発生要因に合わせたより最適な時分割多重伝送の予備回線として無線回線1を選択することができる。
以下の第3の例では、無線回線の変調方式の他に搬送波対雑音比(Carrier to Noise ratio、C/N比)を回線品質を特徴付けるパラメータとして使用する。
例えば、1日の気温差が激しい地域では、空気密度の変化による減衰や反射角度の変動による干渉が多く発生する。このようなダクトによる減衰や干渉によるフェージングは、急峻な変動が瞬間的に発生する特徴があることから、図15に示すように、スペクトラムは、そのセンターにノッチが入ったような波形となる。その結果、受信入力レベルはそれほど影響を受けないが、0/1レベルの判定が正しく行われないなどの符合誤りが生じる。そこで、ダクトによる減衰や干渉によるフェージングが発生する地域では、回線品質を特徴付けるパラメータとして搬送波対雑音比を使用することが有効である。
図16は、イーサネット伝送の仮想伝送路を構成し得る各無線回線1〜4に対応するSYS1〜SYS4の搬送波対雑音比の時間的変移を示す図である。また、図17は、SYS1〜SYS4に対する無線回線の変調方式の時間的変移を示す図である。
図16では、搬送波対雑音比が高い無線回線ほど回線品質のよい無線回線として評価し、搬送波対雑音比の時間的変移の平均値avgが高い無線回線ほど回線品質ランク(C/Nランク)を上位にしている。また、図17では、図11および図14と同様に、高次の変調方式を使用して伝送可能な無線回線ほど回線品質のよい無線回線として評価して数値化し、数値化した無線回線の変調方式の時間的変移の平均値avgが小さい無線回線ほど回線品質のランク(QAMランク)を上位にしている。
図17を参照すると、SYS2およびSYS3の回線品質ランク(QAMランク)は共に1位である。このため、無線回線の回線品質を特徴付けるパラメータとして無線回線の変調方式のみを使用した場合には、SYS2およびSYS3に各々対応する無線回線2および3は、同一の回線品質の回線として扱われる。
しかし、図16を参照すると、SYS2の回線品質ランク(C/Nランク)は3位であり、SYS3の回線品質ランク(C/Nランク)は1位である。そこで、無線回線の回線品質を特徴付けるパラメータとして無線回線の変調方式の他に搬送波対雑音比を使用すれば、ダクトによる減衰や干渉によるフェージングといった伝搬損失の発生要因に合わせたより最適な時分割多重伝送の予備回線として無線回線3を選択することができる。
上述したような例を実施するために、図18の監視制御部180の例図に示すように、第4の実施形態では、図2の監視制御部20の例図に示した各構成要素に加えて、無線通信装置の監視制御部は、回線品質ランク決定部25を備える。回線品質ランク決定部25は、イーサネット伝送を行う各システムに対応する無線回線の回線品質ランクを決定するユニットであり、例えばDigital Signal Processor(DSP)である。
また、図18の監視制御部180の例図に示すように、第4の実施形態では、無線通信装置の監視制御部の記憶部24には、回線品質ランク決定部25により決定された回線品質ランクを格納する回線品質ランク管理テーブル243が備えられる。
図18を示して前述した監視制御部180以外の第4の実施形態の無線通信システムの構成例は、図5に示した第2および3の実施形態の無線通信システムと同様である。
第4の実施形態において、イーサネット伝送を行うSYS1〜4に対応する無線回線1〜4の回線品質ランクは、以下に説明するような方法により、無線通信装置の監視制御部の回線品質ランク管理テーブル243に格納される。
図5の実施形態4の無線通信システムの構成例において、例えば、無線通信装置51を送信局とし、無線通信装置52を受信局とする。そして、無線回線1〜4によりイーサネット伝送の仮想伝送路が構築され、それらの無線回線の変調方式は適応変調制御されているとする。
無線通信装置52の監視制御部1251は、送受信部1241〜1244が無線通信装置51の送受信部1141〜1144から無線回線1〜4を経て受信した受信信号を、所定の時間ごとに受信する。そして、監視制御部1251は、所定の回線品質を特徴付けるパラメータに関して、送受信部1241〜1244から受信した受信信号を測定する。
監視制御部1251は、測定結果を用いて無線回線1〜4の回線品質ランクを決定する。そして、監視制御部1251は、決定した無線回線1〜4の回線品質ランクを回線品質ランク管理テーブル243に格納する。
また、無線通信装置52の監視制御部1251は、決定した無線回線1〜4の回線品質ランクを無線通信装置51の監視制御部1151に通知する。そして、監視制御部1151は、受信した無線回線1〜4の回線品質ランクを回線品質ランク管理テーブル243に格納する。
回線品質ランク管理テーブル243の例を図19および図20に示す。図19は、前述した第2の例の回線品質ランク管理テーブルであり、図20は、第3の例の回線品質ランク管理テーブルである。図19および図20に示すように、回線品質を特徴付けるパラメータとして回線の変調方式の他に別のパラメータを用いて総合的な回線品質ランク(総合ランク)を決定することによって、安定した回線品質に関する回線品質のランク付けをより確実に行うことが可能となる。
第4の実施形態の無線通信システムの構成例において、時分割多重伝送の現用回線に障害が発生した場合に現用回線から予備回線へ回線接続を切り替える方法を、図21の時分割多重伝送の冗長切り替えシーケンス図および図22の時分割多重伝送の冗長切り替えフローチャートを用いて説明する。
図5の第4の無線通信システムの構成例において、例えば、無線通信装置51を送信局とし、無線通信装置52を受信局とする。そして、無線回線1〜4によりイーサネット伝送の仮想伝送路が構築され、それらの無線回線の変調方式は適応変調制御されているとする。また、無線回線5〜7を現用回線として時分割多重伝送がなされ、それらの無線回線の変調方式は64値直交振幅位相変調であるとする。この場合に、無線回線6に障害が発生したと仮定する。
図22のstep2201では、無線通信装置52の変復調部1236は、無線回線6に障害が発生したことを、受信したデータ信号から検出する。そして、変復調部1236は、無線回線6に障害が発生したことを知らせるアラームALMを監視制御部1251に通知する(図21の矢印2101)。
図22のstep2202では、監視制御部1251は、アラームALMを受信すると、時分割多重伝送の現用回線の救済準備が必要であると判定する。そして、監視制御部1251は、時分割多重伝送の現用回線の救済準備を無線通信装置51の監視制御部1151に要求する(図21の矢印2102)。
図22のstep2203では、無線通信装置51の監視制御部1151は、現用回線の救済準備の要求を受信すると、回線品質ランク管理テーブル243を用いて、無線回線1〜4の中から回線品質ランクが1位である無線回線を照会する。また、無線通信装置52の監視制御部1251は、回線品質ランク管理テーブル243を用いて、無線回線1〜4の中から回線品質ランクが1位である無線回線を照会する。
図22のstep2203において照会した結果、例えば図21に示すように、SYS1に対応する無線回線1の回線品質ランクが1位であったとする。この場合、無線通信装置51の監視制御部1151は、無線回線1の回線品質ランクが1位であると判定する。また、無線通信装置52の監視制御部1251は、無線回線1の回線品質ランクが1位であると判定する。
無線通信装置51の監視制御部1151および無線通信装置52の監視制御部1251が無線回線1の回線品質ランクが1位であると各々判定すると、図22のstep2204に進む。
すなわち、無線通信装置51の監視制御部1151は、無線回線1を仮想回線から開放するために、SYS1に対するリンクアグリゲーションの縮退動作を集約部1101に要求する(図21の矢印2103)。縮退動作の要求を受けた集約部1101は、リンクアグリゲーションの縮退動作によりイーサネットネットフレームのSYS1への割り振りを停止する。そして集約部1101は、SYS1に対する縮退動作の完了を監視制御部1151に通知する(図21の矢印2104)。イーサネットフレームのSYS1への割り振り停止に関する情報は、監視制御部1151の通信キャリア状態管理テーブル241に格納される。
また、無線通信装置52の監視制御部1251は、無線回線1を仮想回線から開放するために、SYS1に対するリンクアグリゲーションの縮退動作を集約部1201に要求する(図21の矢印2105)。縮退動作の要求を受けた集約部1201は、リンクアグリゲーションの縮退動作によりイーサネットネットフレームのSYS1への割り振りを停止する。そして集約部1201は、SYS1に対する縮退動作の完了を監視制御部1251に通知する(図21の矢印2106)。イーサネットフレームのSYS1への割り振り停止に関する情報は、監視制御部1251の通信キャリア状態管理テーブル241に格納される。
SYS1に対する縮退動作が完了すると、図22のstep2205に進む。すなわち、無線通信装置51の監視制御部1151は、変復調部1131に対して、SYS1で変調に用いられている変調方式を時分割多重伝送で用いられている64値直交振幅位相変調に変更するように要求する(図21の矢印2107)。また、無線通信装置52の監視制御部1251は、変復調部1231に対して、SYS1で復調に用いられている変調方式を時分割多重伝送で用いられている64値直交振幅位相変調に変更するように要求する(図21の矢印2108)。
無線通信装置51の変復調部1131は、監視制御部1151からの変調方式の変更要求を受信すると、変調方式を64値直交振幅位相変調に変更する。そして、変復調部1131は、変調方式変更の完了を監視制御部1151に通知する(図21の矢印2109)。
また、無線通信装置52の変復調部1231は、監視制御部1251からの変調方式の変更要求を受信すると、変調方式を64値直交振幅位相変調に変更する。そして、変復調部1231は、変調方式変更の完了を監視制御部1251に通知する(図21の矢印2110)。
無線通信装置51の監視制御部1151は、SYS1で変調に用いられている変調方式変更が完了したことを受信すると、時分割多重伝送の現用回線の救済準備が完了したと判定する。そして、監視制御部1151は、時分割多重伝送の現用回線の救済準備が完了したことを無線通信装置52の監視制御部1251に通知する(図21の矢印2111)。
無線通信装置52の監視制御部1251が時分割多重伝送の現用回線の救済準備完了の通知を受信すると、図22のstep2206に進む。すなわち、監視制御部1251は、SYS1とSYS6との間の送端側におけるシステムの切り替えを行うようにスイッチを駆動することが必要であると判定する。そして、監視制御部1251は、無線通信装置51の監視制御部1151に対して、SYS1とSYS6との間の送端側におけるシステムの切り替えを行うスイッチを駆動するように要求する(図21の矢印2112)。
無線通信装置51の監視制御部1151は、送端側のスイッチの駆動要求を受信すると、SYS1とSYS6との間の送端側におけるシステムの切り替えを行うスイッチを駆動するようにスイッチ部5121に要求する(図21の矢印2113)。スイッチ部5121は、ベースバンド信号処理部1116で処理されたデータ信号が変復調部1131で変調されて送受信部1141により送信されるように、SYS1とSYS6との間の送端側におけるシステムの切り替えを行うスイッチを駆動する。そして、スイッチ部5121は、SYS1とSYS6との間の送端側におけるシステムの切り替えを行うスイッチの駆動が完了したことを監視制御部1151に通知する(図21の矢印2114)。
監視制御部1151は、送端側のスイッチ駆動完了の通知を受信すると、SYS1とSYS6との間で送端側のシステムの切り替えを行うスイッチの駆動が完了したと判定する。そして、監視制御部1151は、送端側のスイッチの駆動が完了したことを無線通信装置52の監視制御部1251に通知する(図21の矢印2115)。
無線通信装置52の監視制御部1251が送端側のスイッチの駆動が完了したことの通知を受信すると、図22のstep2207に進む。すなわち、監視制御部1251は、SYS1とSYS6との間の受端側におけるシステムの切り替えを行うスイッチを駆動することが必要であると判定する。そして、監視制御部1251は、受端側のスイッチを駆動するようにスイッチ部5221に要求する(図21の矢印2116)。要求を受信したスイッチ部5221は、無線装置51のSYS1で送信されたデータ信号が送受信部1241で受信されて変復調部1231で復調されるとベースバンド信号処理部1216で信号処理されるようにスイッチを駆動する。そして、SYS1とSYS6との間での受端側のシステムを切り替えるスイッチの駆動が完了したことを監視制御部1251に通知する(図21の矢印2117)。こうして、障害が発生した無線回線6に対応するSYS6に関する一連の切り替え動作は完了する(図22のstep2208)。
以上のように、第4の実施形態では、イーサネット伝送の仮想伝送路を構成する各無線回線の回線品質を特徴付けるパラメータの時間的変移に基づいて回線品質のランク付けを行い、安定した回線品質の無線回線を時分割多重伝送の予備回線として選択する。
したがって、第4の実施形態によれば、イーサネット伝送の仮想伝送路を構成する無線回線の中から、時分割多重伝送の予備回線として安定した回線品質の無線回線をより確実に選択することができる。
<第5の実施形態>
前述した第4の実施形態では、時分割多重伝送の現用回線に障害が発生したことを検知した後に、イーサネット伝送の仮想伝送路を構成する無線回線の中から、回線品質の時間的変移を考慮して安定した回線品質の回線を予備回線として選択する。
これに対して、第5の実施形態では、時分割多重伝送の現用回線から予備回線への回線接続切り替え後にその予備回線の回線品質ランクに変動が生じた場合には、その予備回線よりも高い回線品質ランクを有する無線回線を現用回線に対する新たな予備回線として選択する。
第5の実施形態の無線通信システムの構成例は、図5および図18を示して前述した第4の実施形態の無線通信システムと同様である。
第4の実施形態において前述したように、例えば無線通信装置51を送信局とし、無線通信装置52を受信局とした場合、無線通信装置52の監視制御部1251は、各無線回線の回線品質ランクを決定する。そして、監視制御部1251は、決定した各無線回線の回線品質ランクを回線品質ランク管理テーブル243に格納する。第5の実施形態ではさらに、無線通信装置52の監視制御部1251は、回線品質ランクを回線品質ランク管理テーブル243に格納する際に、予備回線として回線接続を切り替えた無線回線の回線品質ランクに変動が生じているか否かを判定する。
第5の実施形態の無線通信システムにおいて、時分割多重伝送の現用回線から予備回線へ回線接続切り替え後にその予備回線の回線品質ランクに変動が生じた場合に、その予備回線よりも高い回線品質ランクを有する無線回線に移行する方法を以下に説明する。その説明に、図23の時分割多重伝送の予備回線移行シーケンス図および図24の時分割多重伝送の予備回線移行フローチャートを用いる。
図5の第5の無線通信システムの構成例において、例えば、無線通信装置51を送信局とし、無線通信装置52を受信局とする。また、無線回線1〜4によりイーサネット伝送の仮想伝送路が構築され、それらの無線回線の変調方式は適応変調制御されているとする。また、無線回線5〜7を現用回線として時分割多重伝送がなされ、それらの無線回線の変調方式は64値直交振幅位相変調であるとする。そして、無線回線6に障害が発生し、第4の実施形態ついて前述した回線接続切り替え方法により現用回線である無線回線6から予備回線である無線回線1に回線接続が切り替えられているとする。
図24のstep2401では、無線通信装置52の監視制御部1251は、各無線回線の回線品質ランクを回線品質ランク管理テーブル243に格納する際に、障害が発生した無線回線6から回線接続を切り替えた無線回線1の回線品質ランクに変動が生じているか否かを判定する。そして、例えば図23に示すように、SYS1に対応する無線回線1の回線品質ランクが1位から2位に変動し、回線品質ランクが1位である無線回線がSYS4に対応する無線回線4に変わったとする。このように無線回線1の回線品質ランクに変動が生じた場合には、監視制御部1251は、回線品質ランク1位である無線回線が無線回線1から無線回線4に変動したと判定し、図24のstep2402に進む。
図24のstep2402では、無線通信装置52の監視制御部1251は、回線品質ランクが1位である無線回線が無線回線1から無線回線4に変動したと判定すると、時分割多重伝送の予備回線を無線回線1から無線回線4に移行する準備をする必要があると判定する。そして、監視制御部1251は、時分割多重伝送の予備回線を無線回線1から無線回線4に移行する準備を無線通信装置51の監視制御部1151に要求する(図23の矢印2301)。
無線通信装置51の監視制御部1151は、時分割多重伝送の予備回線を無線回線1から無線回線4に移行する準備要求を受信すると、無線回線4を仮想回線から開放するために、SYS4に対するリンクアグリゲーションの縮退動作を集約部1101に要求する(図23の矢印2302)。縮退動作の要求を受けた集約部1101は、リンクアグリゲーションの縮退動作によりイーサネットネットフレームのSYS4への割り振りを停止する。そして集約部1101は、SYS4に対する縮退動作の完了を監視制御部1151に通知する(図23の矢印2303)。イーサネットフレームのSYS4への割り振り停止に関する情報は、監視制御部1151の通信キャリア状態管理テーブル241に格納される。
また、無線通信装置52の監視制御部1251は、無線回線4を仮想回線から開放するために、SYS4に対するリンクアグリゲーションの縮退動作を集約部1201に要求する(図23の矢印2304)。縮退動作の要求を受けた集約部1201は、リンクアグリゲーションの縮退動作によりイーサネットネットフレームのSYS4への割り振りを停止する。そして集約部1201は、SYS4に対する縮退動作の完了を監視制御部1251に通知する(図23の矢印2305)。イーサネットフレームのSYS4への割り振り停止に関する情報は、監視制御部1251の通信キャリア状態管理テーブル241に格納される。
SYS4に対する縮退動作が完了すると、図24のstep2403に進む。すなわち、無線通信装置51の監視制御部1151は、変復調部1134に対して、SYS4で変調に用いられている変調方式を時分割多重伝送で用いられている64値直交振幅位相変調に変更するように要求する(図23の矢印2306)。また、無線通信装置52の監視制御部1251は、変復調部1234に対して、SYS4で復調に用いられている変調方式を時分割多重伝送で用いられている64値直交振幅位相変調に変更するように要求する(図23の矢印2307)。
無線通信装置51の変復調部1134は、監視制御部1151からの変調方式の変更要求を受信すると、変調方式を64値直交振幅位相変調に変更する。そして、変復調部1134は、変調方式変更の完了を監視制御部1151に通知する(図23の矢印2308)。
また、無線通信装置52の変復調部1234は、監視制御部1251からの変調方式の変更要求を受信すると、変調方式を64値直交振幅位相変調に変更する。そして、変復調部1234は、変調方式変更の完了を監視制御部1251に通知する(図23の矢印2309)。
無線通信装置51の監視制御部1151は、SYS4の変調方式変更が完了したことを受信すると、時分割多重伝送の予備回線の移行準備が完了したと判定する。そして、監視制御部1151は、時分割多重伝送の予備回線の移行準備が完了したことを無線通信装置52の監視制御部1251に通知する(図23の矢印2310)。
無線通信装置52の監視制御部1251が時分割多重伝送の予備回線の移行準備完了の通知を受信すると、図24のstep2404に進む。すなわち、監視制御部1251は、SYS4の送端側のスイッチを駆動することが必要であると判定する。そして、監視制御部1251は、無線通信装置51の監視制御部1151に対して、SYS4の送端側のスイッチを駆動するように要求する(図23の矢印2311)。
無線通信装置51の監視制御部1151は、SYS4の送端側のスイッチの駆動要求を受信すると、SYS4の送端側のスイッチを駆動するようにスイッチ部5121に要求する(図23の矢印2312)。要求を受信したスイッチ部5121は、SYS1で伝送されている時分割多重伝送のデータ信号がSYS4においても伝送されるようにスイッチを駆動する。そして、スイッチ部5121は、SYS4の送端側の送端スイッチの駆動が完了したことを監視制御部1151に通知する(図23の矢印2313)。
SYS4の送端側のスイッチの駆動完了の通知を受信した監視制御部1151は、SYS4の送端側のスイッチの駆動が完了したと判定する。そして、監視制御部1151は、SYS4の送端側のスイッチの駆動が完了したことを無線通信装置52の監視制御部1251に通知する(図23の矢印2314)。
無線通信装置52の監視制御部1251がSYS4の送端側のスイッチの駆動が完了したことの通知を受信すると、図24のstep2405に進む。すなわち、監視制御部1251は、SYS4の受端側のスイッチを駆動する必要があると判定する。そして、監視制御部1251は、SYS4の受端側のスイッチを駆動するようにスイッチ部5221に要求する(図23の矢印2315)。
スイッチ部5221は、SYS4の受端側のスイッチ駆動の要求を受信すると、SYS1で伝送されている時分割多重伝送のデータ信号がSYS4においても伝送されるようにスイッチを駆動する。そして、スイッチ部5221は、SYS4の受端側のスイッチの駆動が完了したことを監視制御部1251に通知する(図23の矢印2316)。
無線通信装置52の監視制御部1251がSYS4の受端側のスイッチの駆動が完了したとの通知を受信すると、図24のstep2406に進む。すなわち、監視制御部1251は、SYS1の受端側のスイッチを解除する必要があると判定する。そして、監視制御部1251は、SYS1の受端側のスイッチを解除するようにスイッチ部5221に要求する(図23の矢印2317)。
スイッチ部5221は、SYS1の受端側のスイッチ解除の要求を受信すると、SYS1における時分割多重伝送のデータ信号の伝送を停止するようにスイッチを解除する。そして、スイッチ部5221は、SYS1の受端側のスイッチの解除が完了したことを監視制御部1251に通知する(図23の矢印2318)。
無線通信装置52の監視制御部1251がSYS1の受端側のスイッチの解除完了の通知を受信すると、図24のstep2407に進む。すなわち、監視制御部1251は、SYS1の送端側のスイッチを解除する必要があると判定する。そして、監視制御部1251は、無線通信装置51の監視制御部1151に対して、SYS1の送端側のスイッチを解除するように要求する(図21の矢印2319)。
無線通信装置51の監視制御部1151は、SYS1の送端側のスイッチ解除の要求を受信すると、SYS1の送端側のスイッチを解除するようにスイッチ部5121に要求する(図23の矢印2320)。要求を受信したスイッチ部5121は、SYS1における時分割多重伝送のデータ信号の伝送を停止するようにスイッチを解除する。そして、スイッチ部5121は、SYS1の送端側のスイッチの解除が完了したことを監視制御部1151に通知する(図23の矢印2321)。
無線通信装置51の監視制御部1151は、SYS1の送端側のスイッチの解除が完了したことの通知を受信すると、SYS1の送端側のスイッチの解除が完了したと判定する。そして、監視制御部1151は、SYS1の送端側のスイッチの解除が完了したことを無線通信装置52の監視制御部1251に通知する(図23の矢印2322)。こうして、無線回線1に対応するSYS1に関する一連の予備回線移行の動作は完了する(図24のstep2408)。
第5の実施形態では、無線回線1は、回線品質ランクが下がったにすぎず、無線回線1に障害が発生したわけではない。したがって、図24のstep2408で一連の予備回線移行の動作を完了した後、リンクアグリゲーションの拡張動作により、無線回線1をイーサネット伝送の仮想伝送路を構成する無線回線として使用することは可能である。
以上のように、第5の実施形態では、時分割多重伝送の現用回線から予備回線に回線接続を切り替えた後にその予備回線の回線品質ランクに変動が生じた場合、その予備回線よりも高い回線品質ランクを有する無線回線を現用回線に対する新たな予備回線として選択する。
したがって、第5の実施形態によれば、時分割多重伝送の現用回線から予備回線に回線接続を切り替えた後も、イーサネット伝送の仮想伝送路を構成する無線回線の中から安定した回線品質の無線回線を時分割多重伝送の予備回線として選択することができる。
最後に、本発明の第1〜第5の実施形態に用いられる無線通信装置の監視制御部のハードウェア構成について説明する。
図25は、第1〜第3の実施形態の無線通信装置の監視制御部のハードウェア構成例を示す図である。
前述したように、第1の実施形態の無線通信装置11の監視制御部1151および無線通信装置12の監視制御装置1251は、図2の監視制御部20の例図に示した各ユニットを備える。また、第2の実施形態の無線通信装置51の監視制御部1151および無線通信装置1251は、図2の監視制御部20の例図に示した各ユニットを備える。
図2の監視制御部20の制御部21は、図25の監視制御部250のCentral Processing Unit(CPU)251により実現できる。図2のチャネル切り替え部22および無線環境測定部23は、図25のField Programmable Gate Array(FPGA)252により実現できる。図2の記憶部24は、図25のRandom Access Memory(RAM)253により実現できる。図25のRAM253には、図2の通信キャリア状態管理テーブル241を格納することができる。
前述したように、第3の実施形態の無線通信装置51の監視制御部1151および無線通信装置52の監視制御装置1251は、図8の監視制御部80の例図に示した各ユニットを備える。
図8の監視制御部80の制御部21は、図25の監視制御部250のCPU251により実現できる。図8のチャネル切り替え部22および無線環境測定部23は、図25のFPGA252により実現できる。図8の記憶部24は、図25のRAM253により実現できる。図25のRAM253には、図8の通信キャリア状態管理テーブル241および変調方式管理テーブル242を格納することができる。
図26は、第4および第5の実施形態の無線通信装置の監視制御部のハードウェア構成例を示す図である。
前述したように、第4および第5の実施形態の無線通信装置51の監視制御部1151および無線通信装置52の監視制御装置1251は、図18の監視制御部180の例図に示した各ユニットを備える。
図18の監視制御部180の制御部21は、図26の監視制御部260のCPU251により実現できる。図18のチャネル切り替え部22および無線環境測定部23は、図26のFPGA252により実現できる。図18の記憶部24は、図26のRAM253により実現できる。図26のRAM253には、図18の通信キャリア状態管理テーブル241および回線品質ランク管理テーブル243を格納することができる。図18の回線品質ランク決定部25は、図26のDigital Signal Processor(DSP)254により実現できる。

Claims (10)

  1. 変調方式が可変である複数の無線回線を仮想的に1本に集約した仮想伝送路を用いたデータ伝送と、時分割多重伝送とが混在する無線通信システムにおける受信装置であって、
    前記時分割多重伝送で用いられている現用回線に障害が発生した場合に、前記仮想伝送路を構成する前記複数の無線回線の内の1本の無線回線を前記仮想伝送路から開放する開放部と、
    前記開放部により前記仮想伝送路から開放された前記1本の無線回線の復調に用いる変調方式を前記時分割多重伝送で用いられている変調方式に変更する復調部と、
    前記障害が発生した前記現用回線から前記復調部により変調方式が変更された前記1本の無線回線に回線接続を切り替えるスイッチ部と、
    を備えることを特徴とする受信装置。
  2. 前記時分割多重伝送で用いられている前記変調方式と一致する無線回線を前記複数の無線回線の中から選択する制御部をさらに備え、
    前記開放部は、前記制御部により選択された前記無線回線を前記仮想伝送路から開放し、
    前記復調部は、前記制御部により選択された前記無線回線の復調に用いる変調方式を前記時分割多重伝送で用いられている変調方式に変更し、
    前記スイッチ部は、前記障害が発生した前記現用回線から前記制御部により選択された前記無線回線に回線接続を切り替えることを特徴とする、請求項1に記載の受信装置。
  3. 前記制御部は、前記複数の無線回線の中に前記時分割多重伝送の前記変調方式と一致する変調方式の無線回線がない場合には、前記時分割多重伝送の前記変調方式よりも高次の変調方式である無線回線を選択することを特徴とする、請求項2に記載の受信装置。
  4. 前記制御部は、
    前記仮想伝送路を構成する各無線回線の変調方式を該変調方式が変更される度に記録し、
    記録された前記各無線回線の変調方式に基づいて、前記仮想伝送路を構成する前記複数の無線回線の中から、前記時分割多重伝送の前記変調方式と一致する変調方式の無線回線または前記時分割多重伝送の前記変調方式よりも高次の変調方式である無線回線を選択することを特徴とする、請求項2または3に記載の受信装置。
  5. 前記仮想伝送路を構成する各無線回線の回線品質を特徴付けるパラメータの時間的変移に基づいて前記各無線回線の回線品質ランクを決定し、
    決定された前記各無線回線の回線品質ランクに基づいて、前記仮想伝送路を構成する前記複数の無線回線の内の何れか1本の無線回線を選択する制御部をさらに備え、
    前記開放部は、前記制御部により選択された前記無線回線を前記仮想伝送路から開放し、
    前記復調部は、前記制御部により選択された前記無線回線の復調に用いる変調方式を前記時分割多重伝送で用いられている変調方式に変更し、
    前記スイッチ部は、前記障害が発生した前記現用回線から前記制御部により選択された前記無線回線に回線接続を切り替えることを特徴とする、請求項1に記載の受信装置。
  6. 前記回線品質を特徴付けるパラメータとして、前記仮想伝送路を構成する各無線回線の変調方式を用いることを特徴とする請求項5に記載の受信装置。
  7. 前記回線品質を特徴付けるパラメータとして、前記仮想伝送路を構成する各無線回線の受信入力レベルまたは搬送波対雑音比を用いることを特徴とする請求項5に記載の受信装置。
  8. 前記制御部は、選択された前記無線回線の前記回線品質ランクに変動が生じた場合には、選択された前記無線回線よりも前記回線品質ランクが上位である別の無線回線を新たに選択することを特徴とする請求項5に記載の受信装置。
  9. 変調方式が可変である複数の無線回線を仮想的に1本に集約した仮想伝送路を用いたデータ伝送と、時分割多重伝送とが混在する無線通信システムにおける送信装置であって、
    前記時分割多重伝送の障害が発生した現用回線の代わりに用いる無線回線を準備するように前記無線通信システムの受信装置からの要求を受信した場合に、前記仮想伝送路を構成する前記複数の無線回線の内の1本の無線回線を前記仮想伝送路から開放する開放部と、
    前記開放部により前記仮想伝送路から開放された前記1本の無線回線の変調に用いる変調方式を前記時分割多重伝送で用いられている変調方式に変更する変調部と、
    前記障害が発生した前記現用回線から前記変調部により変調方式が変更された前記1本の無線回線に回線接続を切り替えるスイッチ部と、
    を備えることを特徴とする送信装置。
  10. 変調方式が可変である複数の無線回線を仮想的に1本に集約した仮想伝送路を用いたデータ伝送と、時分割多重伝送とが混在する無線通信システムにおいて、
    無線通信装置が、
    前記時分割多重伝送で用いられている現用回線に障害が発生した場合には、前記仮想伝送路を構成する前記複数回線の内の1本の無線回線を前記仮想伝送路から開放し、
    前記仮想伝送路から開放された前記1本の無線回線の変調方式を前記時分割多重伝送で用いられている変調方式に変更し、
    前記障害が発生した現用回線から前記変調方式が変更された前記1本の無線回線に回線接続を切り替える、ことを特徴とする回線接続切り替え方法。
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