図1は、基地局10での送信電力の制御方法の例を説明する図である。図1(a)に示すように、基地局10によって構成されるセル1に、端末UE1と端末UE2が位置しているとする。基地局10は、信号3(3a、3b)、リファレンス信号4などを、セル1に位置する端末UE1、UE2に向けて送信する。ここで、信号3aは端末UE1で復調される信号、信号3bは端末UE2で復調される信号であり、信号3a、3bのいずれもPDSCHを介して端末UE1、UE2に送信されるものとする。また、信号3a、3b、リファレンス信号4の各々を示す矢印の太さは、それぞれの信号の送信電力の大きさを表すものとする。以下の説明では理解を助けるために、図1(a)では、端末UE1とUE2に同じ送信電力で信号3a、3bが送信されているものとする。
ここで、基地局10は、端末UE1にパラメータPA_1、端末UE2にパラメータPA_2を予め通知しているものとする。端末UE1、UE2は、例えば、16quadrature amplitude modulation(16QAM)などの、直交振幅変調で変調されている信号を受信すると、基地局10から通知されたパラメータとリファレンス信号4を用いて信号を復調する。このとき、通知されたパラメータから求められる送信電力比とリファレンス信号4の振幅を掛け合わせた値が送信されたシンボルを特定するための振幅の基準値として用いられる。一方、quadrature phase shift keying(QPSK)やbinary phase shift keying(BPSK)などの位相偏移変調で変調されている信号を受信すると、端末UE1、UE2は、信号の復調に信号の振幅は用いない。つまり、端末UE1、UE2は、位相偏移変調で変調されている信号を復調するときには、基地局10から通知されたパラメータを用いない。
図1(b)を参照しながら、基地局10が図1(a)に示すように信号を送信した後に、再度、端末UE1、UE2に信号を送信する場合について説明する。基地局10は、図1(a)での信号の送信の後、図1(b)の送信を行うまでの間に、パラメータPA_1とPA_2を変更していないものとする。また、端末UE1、UE2は、図1(b)では図1(a)のときよりも基地局10に近い位置に位置しており、図1(a)の場合に比べて端末UE1、UE2のいずれも受信品質は改善しているものとする。
基地局10は、端末UE1、UE2の各々について、送信する信号の変調方式を確認する。ここでは、信号3aはQPSK、信号3bは16QAMで変調されているものとする。この場合、端末UE1は、信号3aの振幅の基準値を用いてデータを復調しない。すなわち、基地局10は、端末UE1がパラメータPA_1を用いずに信号を復調すると判断する。次に、基地局10は、端末UE1の受信品質が閾値を超えているかを判定する。ここでは、端末UE1は基地局10の近くに位置しているため、端末UE1の受信品質が閾値以上であるものとする。受信品質が閾値以上である場合、図1(b)に示すように、基地局10は、端末UE1が復調する信号3aの送信電力を図1(a)で信号を送信したときよりも小さくする。
一方、信号3bは16QAMで変調されているので、基地局10は、端末UE2がパラメータPA_2とリファレンス信号4を用いて求めた基準値を用いて信号を復調すると判断する。そこで、パラメータPA_2の値を変えずに信号3bの送信電力を変動させると、端末UE2が信号3bを復調するための振幅の基準値を正しく計算できなくなり、正しく復調できないと判断する。そこで、信号3bの送信電力を変動させない。
このように、位相偏移変調で信号3が変調されているときに、基地局10が信号3の送信電力を小さくしても、受信品質が損なわれていなければ、端末は信号3を正しく復調できることを利用して、基地局10からの送信電力を小さくすることができる。送信電力を小さくすることにより、基地局10の消費電力を小さくすることができる。
<装置構成>
図2は、基地局10の構成例を示す図である。基地局10は、回線終端部11、呼処理制御部12、送受信増幅部13、アンテナ14、および、ベースバンド信号処理部20を備える。
回線終端部11は、上位装置と送受信する信号を終端する。なお、上位装置は、LTEを適用したネットワークでは、例えば、セキュリティゲートウェイやMobile Management Entity(MME)などとすることができる。呼処理制御部12は、基地局10の呼処理や、回線終端部11、送受信増幅部13、アンテナ14、ベースバンド信号処理部20などの状態の監視等を行う。送受信増幅部13は、ベースバンド信号処理部20から出力されたベースバンド信号を増幅し、搬送波を用いて無線信号に変換する。また、送受信増幅部13は、アンテナ14を介して端末から受信した信号から搬送波を除去し、ベースバンド信号を取り出してベースバンド信号処理部20に出力する。
ベースバンド信号処理部20は、回線終端部11から入力されたデータや、送受信増幅部13から入力されたベースバンド信号を処理する。ベースバンド信号処理部20は、変調部21、符号化部22、復調部23、復号化部24、Media Access Control(MAC)制御部25、Radio Link Control(RLC)制御部26、Packet Data Convergence Protocol(PDCP)制御部27、記憶部28、および、スケジューラ30を備える。スケジューラ30は、スケジューリング部31、変調方式決定部32、受信品質判定部33、送信電力決定部34、および、計算部35を備える。
変調部21は、スケジューラ30から指定された変調方法により、符号化部22から入力された信号を変調する。以下の説明では、QPSK、16QAM、64QAMのいずれかで変調が行われる場合について記載するが、変調部21は、任意の位相偏移変調方式や直交振幅変調方式を用いて、信号を変調することができる。さらに、変調部21は、送信電力決定部34から送信電力値を指定されると、基地局10から送信される信号が指定された送信電力になるように調整する。符号化部22は、スケジューラ30から指定された符号化率により、ベースバンド信号を符号化する。さらに、符号化部22は、符号化したデータを変調部21に出力する。
復調部23は、送受信増幅部13から入力された信号を、その信号の変調方法に応じて復調する。復調部23は、復調した信号を復号化部24に出力する。復号化部24は、復調部23から入力された信号を復号し、得られた結果をスケジューラ30やMAC制御部25に出力する。例えば、復号化部24は、通信している端末から送られてきたCQI値を復号化すると、スケジューラ30に出力する。
MAC制御部25は、MACプロトコルによるマッピング等の処理を行う。RLC制御部26は、RLCプロトコルによりデータの再送などを制御する。PDCP制御部27は、PDCPプロトコルによるパケットの処理を行う。記憶部28は、ベースバンド信号処理部20で行われる処理で用いられるデータ等を記憶する。例えば、受信品質判定部33、送信電力決定部34などで用いられる閾値などを記憶する。記憶部28に記憶されている情報については、後で詳しく説明する。
次に、スケジューラ30で行われる処理について述べる。以下の説明では、端末への周波数帯域の割り当ての単位を「リソースブロック」と記載することがある。ここで、1つのリソースブロックは、一定の数の連続したサブキャリアについての、連続した一定の時間を表す。例えば、12個の連続したサブキャリアについての連続した0.5ミリ秒の間を1つのリソースブロックとすることができる。
スケジューリング部31は、端末へ送信するデータ量、伝搬路の状況、基地局10と通信中の各端末の過去の選択状況等を用いて、セル1のスループットが最適になるように、リソースブロックを端末に割り当てる。例えば、スケジューリング部31は、セル1のスループットを最適化するために、1つの無線フレームで通信する端末の数などを決定する。スケジューリング部31は、例えば、スケジューリング係数を用いてリソースブロックの割り当てを行うことができる。スケジューリング係数の計算方法は、例えば、Proportional Fairness方式、ラウンドロビン方式、Maximum carrier-to-interference-and-noise ratio方式(Maximum CINR方式)などの任意の計算方法とすることができる。スケジューリング部31は、計算したスケジューリング係数を用いて、基地局10と通信している端末に、リソースブロックを割り当てる。さらに、スケジューリング部31は、リソースブロックを割り当てた結果を変調方式決定部32に出力する。
変調方式決定部32は、リソースブロックが割り当てられた端末ごとに、その端末と基地局10の通信に用いられる変調方式、符号化率、トランスポートブロックサイズなどを決定する。以下の説明では、ベースバンド信号がQPSK、16QAM、64QAMのいずれかで変調される場合について述べる。変調方式決定部32は、送信エラーが発生する確率をできるだけ低くすることが望まれる情報をQPSKで送信するようにするものとする。変調方式決定部32は、例えば、災害情報、緊急情報などの優先度および重要度の高いデータの送信に用いる変調方式をQPSKに設定し、さらに、トランスポートブロックサイズも小さい値に設定することができる。また、音声データなどの低レートでリアルタイム性が要求されるデータもQPSKで変調し、トランスポートブロックサイズを小さく設定するものとする。なお、変調方式決定部32は、優先度の高い情報やリアルタイム性が要求される情報を、例えば、QoS Class Identifier(QCI)などの識別子を用いて識別することができるものとする。
ここで、変調方式決定部32は、トランスポートブロックサイズを決定すると記載したが、トランスポートブロックサイズは、誤り訂正の符号化率によって変動する値である。すなわち、変調方式決定部32は誤り訂正の符号化率と変調方式を決定することになるので、変調方式決定部32は、Modulation Coding Scheme(MCS)インデックス値を決定するということもできる。変調方式決定部32は、決定したMCSインデックスをPhysical Downlink Control Channel(PDCCH)を通じて端末に通知する。端末は、通知されたMCSインデックス値を用いて変調方式とトランスポートブロックサイズ、符号化率などを認識し、PDSCHを介して受信した信号を復調する。
受信品質判定部33は、基地局10のセル1に位置する端末について、その端末の受信品質が閾値によって示される受信品質以上であるかを判定する。受信品質の評価は例えばChannel Quality Indicator(CQI)を用いることができる。基地局10は、端末で測定されたCQI値を、Physical Uplink Control Channel(PUCCH)やPhysical Uplink Shared Channel(PUSCH)を介して取得する。受信品質判定部33は、個々の端末について、端末の識別子とその端末の受信品質を対にして保持している。なお、受信品質判定部33は、端末の識別子とその端末の受信品質を対応付けた情報を記憶部28に記憶することもできる。
送信電力決定部34は、送信される信号3の変調方式を、端末ごとに確認する。ある端末で復調されるデータの変調方式がQPSKである場合、その端末の受信品質が閾値以上であるかを受信品質判定部33に問い合わせる。受信品質が閾値により表される受信品質以上である場合、送信電力決定部34は、信号3の送信電力を小さくすることができると判定する。ここで、送信電力決定部34は、送信電力を小さくする場合に、設定することができる送信電力値を予め記憶しているとする。設定することができる送信電力値は、閾値で表される受信品質の端末に送信するデータのエラーレートに基づいて予めオペレータなどによって決定されるものとする。例えば、閾値で表される受信品質の端末でのエラーレートが10%未満になるように送信電力値が設定される場合がある。送信電力決定部34は、送信電力を変調部21に通知する。なお、送信電力決定部34は、送信電力値をリファレンス信号の送信電力に対する比として通知することもできる。
計算部35は、ある端末への直交振幅変調方式で変調される信号の電力強度を変更する場合に、変更後の電力強度とリファレンス信号4の送信電力の強度の比を計算して、パラメータPAを求める。基地局10は、適宜、計算部35の計算結果を、制御チャネルを通じて端末に通知する。
図3は、ベースバンド信号処理部20のハードウェア構成の例を示す図である。ベースバンド信号処理部20は、例えば、Field Programmable Gate Array(FPGA)41、スイッチ42、Central Processing Unit(CPU)43、Digital Signal Processor(DSP)44(44a、44b)、およびメモリ45(45a〜45c)により実現される。なお、FPGA41は、Application Specific Integrated Circuit(ASIC)に置き換えられることがあり、また、CPU43は、Micro-Processing Unit(MPU)に置き換えられることもある。
メモリ45は、記憶部28として動作する。FPGA41は、メモリ45に記憶されているプログラムを実行することにより、変調部21、符号化部22、復調部23、および復号化部24として動作する。また、DSP44は、メモリ45に記憶されているプログラムを実行することにより、スケジューラ30、MAC制御部25、RLC制御部26、およびPDCP制御部27として動作する。なお、CPU43がスケジューラ30、MAC制御部25、RLC制御部26、およびPDCP制御部27として動作することもできる。スイッチ42は、適宜、CPU43やDSP44をFPGA41と接続する。なお、図3はハードウェア構成の例であり、FPGA41、CPU43、DSP44とメモリ45の数は、任意に変更することができる。また、スイッチ42は、FPGA41に含められる場合もある。
<第1の実施形態>
図4は、第1の実施形態での基地局10の動作の例を説明するフローチャートである。以下、基地局10が端末に信号を送信する際の送信電力を決定する方法について詳しく説明する。なお、図4は基地局10の動作の一例であり、例えば、ステップS2とステップS3が入れ替えられるなど、基地局10の動作が実装に応じて変更される場合がある。
まず、スケジューリング部31は、セル1に位置する端末の各々について算出したスケジューリング係数に基づいて、リソースブロックを端末に割り当てる(ステップS1)。ここでは、セル1に位置する端末UE1〜UE4にリソースブロックが割り当てられるものとする。
さらに、スケジューリング部31は、各端末に予め通知したパラメータPAに基づいて、各端末への信号の送信電力比を仮に設定する(ステップS2)。以下の記載では、分かりやすくするために、各端末の送信電力は、リファレンス信号4に対する比をdBで表した値で記載する。リファレンス信号4に対する比は次式で表されるものする。従って、送信電力比(dB)が大きい端末ほど、その端末への送信電力が大きいことになる。
送信電力比=PDSCHの送信電力/リファレンス信号の送信電力
ここでは、理解を助けるために、端末UE1〜UE4のいずれも、各端末に通知されているパラメータPAの値はPA0(dB)であるとする。従って、ここでは、端末UE1〜UE4の各々について、送信電力比はPA0(dB)に設定される。
次に、変調方式決定部32は、通信先の端末に送信する信号の変調方式を決定する(ステップS3)。例えば、端末UE1の受信品質は良好ではなく、端末UE2、UE3の受信品質は良好であるとする。また、端末UE4の受信品質は、端末UE3に比べてさらに良好であるとする。また、基地局10は、上位装置から端末UE3宛ての緊急情報を受信したとする。すると、変調方式決定部32は、端末UE1、UE2、UE4の変調方法を、それぞれの端末の受信品質に合わせて設定する。ここでは、変調方式決定部32は、端末UE1と基地局10との通信にQPSKを用いると決定したとする。同様に、変調方式決定部32は、端末UE2との通信では16QAM、端末UE4との通信では64QAMを用いることを決定したとする。一方、基地局10は端末UE3へ緊急情報を送信するため、変調方式決定部32は、受信品質に関わらず、端末UE3との通信に用いられる変調方式をQPSKに設定する。変調方式決定部32は、決定した変調方法を送信電力決定部34に通知する。
図5は、送信電力決定部34が保持するデータの例を示すテーブルである。図5(a)に示すように、送信電力決定部34は、変調方式決定部32から通知された変調方式を端末の識別子と対応付けて記憶しているものとする。さらに、送信電力決定部34は、スケジューリング部31から、各々の端末について設定されている送信電力比を取得する。なお、この送信電力比は図5(a)に示すように、いずれの端末でも、PA0(dB)である。
送信電力決定部34は、リソースブロックが割り当てられている端末の各々について、決定された変調方式がQPSKであるかを確認する(ステップS4)。例えば、送信電力決定部34は、図5(a)のテーブルのうちの変調方式を参照して、QPSKで変調された信号を受信する端末があるかを確認することができる。図5(a)に示す例では、端末UE1と端末UE3は、QPSKで変調された信号を受信する。
QPSKで変調された信号を受信する端末を検出すると、送信電力決定部34は、検出した端末の各々について、その端末の受信品質が閾値で表される受信品質よりも良いかを判定した結果を、受信品質判定部33に要求する(ステップS5)。受信品質判定部33は、送信電力決定部34から要求された端末について判定を行う。ここでは、例えば、受信品質判定部33はCQI値を用いて受信品質を判断しており、閾値と端末UE1、UE3のCQI値は以下のとおりであるとする。
閾値とするCQI値 :5
端末UE1で得られたCQI値:3
端末UE3で得られたCQI値:9
CQI値は大きいほど受信品質が良くなるので、受信品質判定部33は、端末UE1の受信品質は閾値で表される受信品質未満であると判定する。一方、受信品質判定部33は、端末UE3の受信品質は閾値で表される受信品質以上であると判定する。受信品質判定部33は、送信電力決定部34に判定結果を通知する。
送信電力決定部34は、閾値で表される受信品質以上の受信品質が得られたと判定された端末について、送信電力比を小さくする(ステップS5でYes、ステップS6)。なお、送信電力決定部34は、予め、送信電力比を小さくするときの変更値を記憶しているものとする。例えば、送信電力決定部34は、端末UE3の送信電力比をX(dB)に変更する。なお、Xは、PA0より小さい値であるとする。一方、送信電力決定部34は、閾値で表される受信品質以上の受信品質が得られていないと判定された端末については、信号の送信電力比を変更せず、仮に設定されている値に設定する(ステップS5でNo、ステップS7)。例えば、送信電力決定部34は、端末UE1への信号の送信電力比は変更せず、仮に設定されているPA0(dB)を送信電力比に設定する。受信する信号がQPSKで変調されていない端末については、送信電力決定部34は、信号の送信電力比を変更せず、仮に設定されている値に設定する(ステップS4でNo、ステップS8)。例えば、送信電力決定部34は、端末UE2、UE4への信号の送信電力比は変更せず、仮に設定されているPA0(dB)を送信電力比に設定する。
図5(b)に端末ごとに送信電力比を設定した結果の例を示す。図5(b)に示すテーブルでは、受信品質をCQI値で示し、端末UE1のCQI値は閾値未満で、端末UE3のCQI値は閾値以上であると記録されている。なお、図5(b)は、送信電力決定部34が保持する情報の記録の例であり、例えば、記録される情報の種類や受信品質を表す情報の記録方法は、実装に応じて変更される場合がある。
図6は、第1の実施形態により送信電力比が変更された結果の例を示す図である。図6(a)は、端末UE1〜UE4の各々について送信電力比がPA0(dB)に仮に設定されていることを表す図である。図6(a)の縦軸は、各端末について仮に設定されている送信電力のリファレンス信号4の送信電力に対する比である。前述のとおり、スケジューリング部31は、端末UE1〜UE4のいずれにも同じ送信電力比を仮に設定するので、図6(a)では、端末の間で送信電力比の差がない。図6(b)は、送信電力比が変更された場合の送信電力比の例を示す。図4と図5を参照しながら説明したように、QPSKで変調された信号を受信する端末のうち、CQI値が閾値以上である場合に、送信電力比がPA0(dB)よりも小さい値に変更される。従って、図6(b)に示すように、端末UE1〜UE4のうち、端末UE3への送信電力比がX(dB)に変更される。
このように、本実施形態に係る基地局10は、QPSKなどの位相偏移変調で送信する信号を受信する端末の受信品質が良好な場合、その端末への信号の送信電力を小さくすることができる。従って、基地局10で消費される電力量を低減することができる。また、基地局10は、位相偏移変調で変調された信号の送信電力を変更する前に、変更後の送信電力とリファレンス信号4の送信電力の比を、受信端末に通知することなく、送信電力を変更することができる。従って、基地局10は、端末の受信品質と信号の変調方式に応じて柔軟に送信電力を調整することができる。基地局10は、受信品質が良好な端末に送信される信号が位相偏移変調で変調されている場合に、特に有効である。従って、前述のように、緊急情報や災害情報などのプライオリティの高い情報や、音声データなどの低レートでリアルタイム性が要求されるデータを、QPSKで送信するようにスケジューリングが行われる場合などに、基地局10による消費電力の削減効果が高くなる。
<第2の実施形態>
第2の実施形態では、位相偏移変調で変調された信号を受信する端末の受信品質が良くなるほど、送信電力を小さい値に変更することができる基地局10について説明する。第2の実施形態でも、変調部21、符号化部22、復調部23、復号化部24、MAC制御部25、RLC制御部26、PDCP制御部27、変調方式決定部32、スケジューリング部31の動作は、第1の実施形態と同様である。また、回線終端部11、呼処理制御部12、送受信増幅部13、アンテナ14の動作も第1の実施形態と同様である。
第2の実施形態では、基地局10は、記憶部28に送信電力テーブルなど、端末の受信品質と送信電力を対応付ける情報を記憶しているものとする。図7に示す送信電力テーブルは、端末のCQI値を、信号の送信電力のリファレンス信号4の送信電力に対する比に対応付けて記録している。ここで、図7では、AはBよりも大きな値であり、さらに、PA0>Z>Yの順に小さな値であるものとする。なお、図7は送信電力テーブルの一例であり、閾値の数は2以上の任意の数とすることができる。例えば、7つの閾値を記憶している送信電力テーブルには、端末の受信品質に応じた8通りの送信電力比が記憶される。また、閾値の決定方法や送信電力比の決定方法は実装に応じて任意に変更することができる。例えば、CQI値がAの端末に送信されたデータのエラーレートが10%になる送信電力の、リファレンス信号の送信電力に対する比がY(dB)である場合など、エラーレートに応じて設定された送信電力値が送信電力テーブルに記録されることがある。
受信品質判定部33は、リソースブロックが割り当てられた端末のうち、位相偏移変調で変調された信号を受信する端末の受信品質を、送信電力テーブルに記録されている閾値で表される受信品質と比較する。例えば、受信品質判定部33は、端末UE1のCQI値を、図7に示す送信電力テーブルに記録されているAおよびBと比較する。受信品質判定部33は、送信電力決定部34に、比較結果を通知する。送信電力決定部34は、受信品質判定部33から受け取った結果に応じて、端末に送信する信号の送信電力比を調整する。調整方法の具体例については後述する。
図8は、第2の実施形態での基地局10の動作の例を説明するフローチャートである。以下、図8を参照しながら、第2の実施形態での基地局10の例について述べる。なお、図8は基地局10の動作の一例であり、例えば、ステップS12とステップS13が入れ替えられるなど、基地局10の動作が実装に応じて変更される場合がある。
ステップS11〜S13で行われる動作は、図4を参照して説明したステップS1〜S3の動作と同様である。ここでは、ステップS11で端末UE1〜UE4にリソースブロックが割り当てられたものとする。また、ステップS12において、端末UE1〜UE4のいずれも、信号の送信電力とリファレンス信号4の送信電力の比はPA0(dB)が仮に設定されているものとする。さらに、ステップS13で、変調方式決定部32は、端末UE1〜UE3への信号をQPSK、端末UE4への信号を64QAMで変調すると決定したものとする。この場合、送信電力決定部34は、図9(a)のテーブルに示す情報を取得することができる。
変調方式が決定されると、送信電力決定部34は、各々の端末について変調方式がQPSKであるかを確認する(ステップS14)。例えば、送信電力決定部34は、図9(a)に示すテーブルに基づいて、端末UE1〜UE3がQPSKで変調された信号を受信することを認識する。
次に、送信電力決定部34は、QPSKで変調された信号を受信する端末を識別する識別子を受信品質判定部33に通知する。受信品質判定部33は、通知された端末についての受信品質を表す値を閾値と比較する(ステップS15)。受信品質判定部33は、比較の結果を送信電力決定部34に通知する。例えば、図7の送信電力テーブルが用いられる場合、受信品質判定部33は、端末のCQI値を閾値と比較する。ここでは、端末UE1のCQI値がB以上でA未満であるとする。また、端末UE2のCQI値がB未満であり、端末UE3のCQI値がA以上であるとする。受信品質判定部33が比較結果を送信電力決定部34に通知すると、送信電力決定部34に保持されているデータは、図9(b)に示すように変更される。
送信電力決定部34は、QPSKで変調された信号を受信する端末について、受信品質に応じた送信電力比を設定する(ステップS16)。送信電力決定部34は、個々の端末について、受信品質と閾値との比較結果に応じた送信電力比を送信電力テーブルから取得する。例えば、図9(b)に示すように、端末UE1のCQI値はB以上でA未満である。そこで、送信電力決定部34は、図7に示した送信電力テーブルを参照して、端末UE1の送信電力比をZ(dB)に設定する。同様に、端末UE3のCQI値はA以上なので、送信電力決定部34は、端末UE1への送信電力比をY(dB)に設定する。一方、端末UE2のCQI値はB未満であるため、送信電力決定部34は、端末UE2への信号の送信電力比をPA0(dB)に設定する。
一方、変調方式がQPSKではない端末で復調される信号については、送信電力決定部34は、送信電力比を変動させず、仮に設定されているPA0(dB)を送信電力比に設定する(ステップS14でNo、ステップS17)。従って、端末UE4で復調される信号の送信電力は変更されない。図9(c)に、設定された送信電力比の値を示す。
図10は、第2の実施形態により送信電力が変更された結果の例を示す図である。図10(a)に示すように、送信電力決定部34による処理が行われる前は、端末UE1〜UE4の各々について送信電力比がPA0(dB)に仮に設定されている。図10(b)は、送信電力決定部34によって送信電力比が変更された場合の送信電力比の例を示す。図7〜図9を参照しながら説明したように、QPSKで変調された信号を受信する端末について、送信電力決定部34は、CQI値が大きいほど送信電力比が小さくなるように調整する。すなわち、端末UE1〜UE3について、CQI値の大きさはUE2<UE1<UE3の順に大きくなる。そこで、送信電力決定部34は、端末UE1〜UE3で復調される信号の送信電力比をUE2>UE1>UE3の順に小さくする。一方、送信電力決定部34は、QPSKで変調されていない信号の送信電力比を変更しない。例えば、図10(b)に示すように端末UE4は64QAMで変調されている信号を復調するので、基地局10は、端末UE4で復調される信号の送信電力比は変更せず、仮に設定されているPA0(dB)を送信電力比とする。
このように、第2の実施形態では、第1の実施形態に比べて、送信電力比を細かく調整することができる。また、前述のように使用する送信電力テーブルに記憶される閾値の数と送信電力比の数は任意に変更できるため、例えば、閾値の数を増やすことにより、端末の受信品質に応じて送信電力比を微調整することもできる。従って、本実施形態では、端末の受信品質に応じて、第1の実施形態より適切に信号の送信電力強度を調整することができる。
<第3の実施形態>
図11は、第3の実施形態にかかる基地局50の構成例を示す図である。基地局50は、回線終端部11、呼処理制御部12、送受信増幅部13、アンテナ14、および、ベースバンド信号処理部60を備える。ベースバンド信号処理部60は、変調部21、符号化部22、復調部23、復号化部24、MAC制御部25、RLC制御部26、PDCP制御部27、記憶部80、および、スケジューラ70を備えている。スケジューラ70は、変調方式決定部71、変更部72、送信電力決定部73の他に、スケジューリング部31、受信品質判定部33、計算部35を備えている。ここで、回線終端部11、呼処理制御部12、送受信増幅部13、アンテナ14、変調部21、符号化部22、復調部23、復号化部24、MAC制御部25、RLC制御部26、PDCP制御部27の動作は、第1および第2の実施形態と同様である。また、スケジューリング部31、受信品質判定部33、計算部35の動作も、第1および第2の実施形態と同様である。
記憶部80はMCSインデックステーブル81とトランスポートブロックサイズテーブル82を備えている。図12は、MCSインデックステーブル81の例を示す図である。MCSインデックステーブル81は、MCSインデックスの値に対応付けて変調方式とトランスポートブロックサイズ(TBS)インデックスを記録している。また、MCSインデックスは、TBSインデックスと変調方式を一意に識別することができる数である。MCSインデックステーブル81の2列目のModulation Order(Qm)は、以下のように変調方式を表す。
Qm=2:QPSK
Qm=4:16QAM
Qm=6:64QAM
一方、TBSインデックスにより、1つのリソースブロックに含めることができるデータのビット数が識別される。図13は、トランスポートブロックサイズテーブル82の例を示す図である。トランスポートブロックサイズテーブル82は、通信に使用されるリソースブロックの数(NPRB)とTBSインデックス(ITBS)の値に対応付けて、1フレームで基地局50から端末に送信できるデータのビット数を記録している。MCSインデックステーブル81とトランスポートブロックサイズテーブル82を用いた処理については、後述する。
変調方式決定部71は、リソースブロックが割り当てられた端末ごとに、その端末と基地局50の通信に用いられる変調方式、符号化率、TBSなどの候補値を決定する。変調方式決定部71は、例えば、変調方式決定部32と同様に、緊急信号や音声データなどの一部のデータの変調方式がQPSKとなるように候補値を設定しても良い。また、変調方式決定部71は、端末の受信品質に応じて候補値を決定することもできる。すなわち、変調方式決定部71の候補値の決定方法は、基地局50の実装に応じて任意に変更することができる。
変更部72は、変調方式決定部71で決定された変調方式の候補が64QAMや16QAMなどの直交振幅変調である場合に、変調方式をQPSKに変更することができるかを判定する。変調方式をQPSKに変更することができる場合、変更部72は、変調方式決定部71で決定された変調方式の候補をQPSKに変更する。変更部72は、変更した結果を送信電力決定部73に出力する。変更部72の動作については、後で詳しく説明する。
送信電力決定部73は、QPSKで変調されている信号を復調する端末について、その端末の受信品質に応じて信号の送信電力を調整する。送信電力の決定方法は、送信電力決定部34と同様である。送信電力決定部73は、変調方式決定部71でQPSKが変調方式の候補値とされた端末について送信電力の調整を行う。さらに、変更部72によって、変調方式がQPSKに変更された端末についての送信電力の調整も行う。この場合の調整方法も、送信電力決定部34と同様である。
図14は、直交振幅変調で変調される予定のデータをQPSKで送信できる場合の例を説明する図である。以下、端末UE5に宛てたデータの変調方式の候補が16QAMに決定された場合を例として、変更部72の動作を説明する。なお、端末UE5には5つのリソースブロックが割り当てられているものとする。
図14(a)に示すように、MAC Protocol Data Unit(MAC PDU)には、MACヘッダ、MAC Control Element(MAC CE)、MAC Service Data Unit(MAC SDU)とパディングが含まれる。また、図14(b)と図14(c)に示すように、トランスポートブロックサイズは、MAC PDUとCyclic Redundancy Check(CRC)の合計のビット数である。ここで、基地局50から端末に送信されるデータは、MAC ヘッダ、MAC CE、MAC SDUに含まれるデータとCRCである。一方、パディングはトランスポートブロックサイズに合わせるためにMAC PDUに含められたデータである。すなわち、パディングの内容は端末に送信しなくても良い。従って、基地局50は、端末との通信に用いるトランスポートブロックサイズを小さくするためにパディング部分の情報を破棄することができる。従って、基地局50は、図14(d)に示すように、MAC ヘッダ、MAC CE、MAC SDU、および、CRCを合計した値よりも大きいビット数を送信できるトランスポートブロックを用いて通信することができる。例えば、端末UE5に送信するデータについて仮に設定されたトランスポートブロックサイズが1000ビットで、パディングが400ビットであるとする。この場合、トランスポートブロックサイズとパディングのビット数の差は、600ビットであるので、基地局50は、600ビット以上のデータを送信できるトランスポートブロックを用いて端末UE5にデータを送信することができる。
そこで、変更部72は、トランスポートブロックサイズとパディングのビット数との差分を求めると、トランスポートブロックサイズテーブル82(図13)を参照する。変更部72は、得られた差分よりも大きいビット数を含むトランスポートブロックサイズに対応するTBSインデックスを取得する。このとき、変更部72は、端末に割り当てられたリソースブロック数に対応するトランスポートブロックサイズを参照する。例えば、端末UE5に5つのリソースブロックが割り当てられている場合、変更部72は、トランスポートブロックサイズテーブル82のNPRB=5の欄を参照する。図13の例では、NPRB=5の欄でTBSインデックスが7の場合、トランスポートブロックサイズは584ビットであり、TBSインデックスが8の場合、トランスポートブロックサイズは680ビットである。TBSインデックス数が多くなるほどトランスポートブロックサイズも大きくなる。従って、変更部72は、NPRB=5でTBSインデックスが8以上であれば、パディングを除いた情報を端末UE5に送るために用いることができると判断する。
さらに、変更部72は、MCSインデックステーブル81(図12)を参照して、取得したTBSインデックスがQPSKに対応付けられているかを確認する。取得したTBSインデックスがQPSKに対応付けられている場合、変更部72は、端末UE5に割り当てたリソースブロック数を変更しないでも、データの変調方式をQPSKに変更して端末UE5との間の通信が可能であると判定する。例えば、TBSインデックスが8の場合、図12に示すように、Qmの値は2である。従って、この場合、変更部72が取得したTBSインデックスはQPSKに対応付けられている。そこで、変更部72は、変調方式をQPSKに変更する。
リソースブロック数を増加しないでもデータの変調方式をQPSKに変更できると判定すると、変更部72は、取得したTBSインデックスに対応するトランスポートブロックサイズを、通信に使用するトランスポートブロックサイズに設定する。例えば、変更部72は、NPRB=5、および、TBSインデックス=8に対応付けられたトランスポートブロックサイズを端末UE5に送信するデータに使用することを決定し、端末UE5に宛てたデータの変調方式をQPSKに変更する。なお、ここでは、16QAMが変調方式の候補とされている場合の処理について述べたが、64QAMが変調方式の候補である場合も変更部72は、同様に処理する。
一方、変更部72が取得したTBSインデックスはQPSKに対応付けられていない場合、データの変調方式をQPSKに変更すると、その端末に割り当てたリソースブロック数が増大する。そこで、変更部72は、その端末について、リソースブロック数を増加しないでデータの変調方式をQPSKに変更することはできないと判定する。
図15は、変更部72で行われる判定の例を説明するフローチャートである。変更部72は、まず、トランスポートブロックサイズの候補値とパディングのビット数との差分を求める(ステップS21)。次に、変更部72は、トランスポートブロックサイズテーブル82を参照して、得られた差分値よりも大きなトランスポートブロックサイズのTBSインデックスのうちの最小の値を取得する(ステップS22)。このとき、変更部72は、処理対象の端末に割り当てられているリソースブロック数に対応付けられたトランスポートブロックサイズを参照する。さらに、変更部72は、MCSインデックステーブル81を参照して、取得したTBSインデックスがQPSKに対応付けられているかを確認する(ステップS23)。取得したTBSインデックスがQPSKに対応付けられている場合、変更部72は、変調方式をQPSKに変更してもリソースブロック数は増加しないと判定する(ステップS24)。
例えば、変調方式の候補が64QAMに決定されている端末UE6に、リソースブロックが2つ割り当てられ、トランスポートブロックサイズの候補値は840ビットに決定されているとする。ここで、パディングの大きさが600ビットであれば、端末UE6では、トランスポートブロックサイズとパディングの差分が240ビットになる。すると、変更部72は、図13のトランスポートブロックサイズテーブル82を参照し、端末UE6について、TBSインデックス=8を取得する。TBSインデックスが8の場合、変調方式はQPSKである。そこで、変更部72は、端末UE6について、変調方式をQPSKに変更してもリソースブロック数は増加しないと判定する。
一方、取得したTBSインデックスがQPSKに対応付けられていない場合、その端末に割り当てられたリソースブロック数で、ステップS21で求めた差分のビット数を送信するためには64QAMや16QAMを用いることになる。つまり、QPSKを用いるためには基地局70は、端末に送信するデータの一部を他のリソースブロックを用いて送信することになってしまう。そこで、変更部72は、変調方式をQPSKに変更するとリソースブロック数が増加すると判定する(ステップS25)。
例えば、変調方式の候補が64QAMに決定されている端末UE7に、リソースブロックが3つ割り当てられ、トランスポートブロックサイズの候補値は1160ビットに決定されているとする。ここで、パディングの大きさが480ビットであれば、端末UE7では、トランスポートブロックサイズとパディングの差分が680ビットになる。すると、変更部72は、トランスポートブロックサイズテーブル82を参照し、端末UE7について、TBSインデックス=12を取得する。図12に示すように、TBSインデックスが12の場合、対応づけられている変調方式は16QAMである。そこで、変更部72は、端末UE7については、パディングを破棄しても、3つのリソースブロックで送信する場合には、変調方式は16QAMになると認識する。つまり、リソースブロック数を増加させないと、端末UE7に送信するデータをQPSKで送信することができない。そこで、変更部72は、端末UE7では、リソースブロックを増加させないとQPSKを用いて変調することができないと判定する。
図16は、スケジューラ70の動作の例を説明するフローチャートである。ここで、変調方式は、QPSK、16QAM、64QAMのいずれかから選択されるものとする。なお、図16は、一例であり、例えば、ステップS35やS41などで変更する送信電力比を第2の実施形態で述べたように送信電力テーブルを用いて決定するなどの変更が加えられる場合がある。この場合、記憶部80は、送信電力テーブルを記憶しているものとする。
図17は、変更部72と送信電力決定部73が保持するデータの例を示すテーブルである。以下、図16および図17を参照しながら、端末UE8〜UE11の送信電力を基地局50が調整する場合を例としてスケジューラ70の動作を説明する。また、ここでは、PA0(dB)はX(dB)よりも大きな値であるとする。
スケジューリング部31により、端末UE8〜UE11にリソースブロック(RB)が割り当てられると、変調方式決定部71は、変調方式とトランスポートブロックサイズ(TBS、ブロックサイズ)の候補値を決定する。さらに、スケジューリング部31は、個々の端末に予め通知した送信電力比を各々の端末での送信電力比とする(ステップS31)。
送信電力決定部73は、変調方式の候補値がQPSKであるかを確認する(ステップS32)。QPSKが変調方式の候補とされている場合、送信電力決定部73は、端末の受信品質が閾値以上であるかを受信品質判定部33に確認する(ステップS33)。送信電力決定部73は、受信品質が閾値以上の端末について、変調方式をQPSKに設定する(ステップS34)。さらに送信電力比をX(dB)に変更し、トランスポートブロックサイズの候補値をトランスポートブロックサイズに設定する(ステップS35、S36)。例えば、端末UE9は、図17(a)に示すように、QPSKが変調方式の候補とされていて、受信品質が閾値以上である。従って、送信電力決定部73は、送信電力比をX(dB)に設定する。
一方、QPSKが変調方式の候補とされていて、受信品質が閾値未満の端末について、送信電力決定部73は、変調方式をQPSKに設定し、送信電力比をスケジューリング部31で設定された値とする(ステップS33でNo、ステップS37)。さらに、送信電力決定部73は、変調方式決定部71が決定したトランスポートブロックサイズの候補値をトランスポートブロックサイズに設定する(ステップS38)。例えば、端末UE8では、図17(a)に示すように、QPSKが変調方式の候補とされているが、受信品質が閾値未満である。そこで、送信電力決定部73は、変調方式をQPSK、送信電力比をPA0(dB)に設定する。
QPSKが変調方式の候補とされていない場合、変更部72は、変調方式をQPSKに変更してもリソースブロックの数が増加しないかを確認する(ステップS39)。ステップS39での確認の方法は、図15を参照しながら説明したとおりである。QPSKで変調しても割り当てられたリソースブロック数が増加しない場合、変更部72は、その旨を送信電力決定部73に通知すると共に、変調方式をQPSKに変更する(ステップS39でYes、ステップS40)。送信電力決定部73は、変更部72からの通知を受けると、送信電力比をX(dB)に変更する(ステップS41)。また、変更部72は、トランスポートブロックサイズを変更する(ステップS42)。
例えば、端末UE10の場合、5つのリソースブロックが割り当てられていて、トランスポートブロックサイズの候補値からパディングを差し引いたビット数が680ビットであるとする。図13に示すように、NPRB=5で680ビットを送信するために使用されるトランスポートブロックサイズのTBSインデックスは8である。図12に示すように、TBSインデックス=8に対応する変調方式はQPSKである。そこで、変更部72は、変調方式をQPSKに変更してもリソースブロック数が増加しないと判定する。変更部72は、変調方式をQPSKに変更すると共に、判定結果を送信電力決定部73に通知する。すると、送信電力決定部73は、端末UE10への送信電力をX(dB)に変更する。
変調方式をQPSKにするとリソースブロック数が増加する場合、変更部72は、その旨を送信電力決定部73に通知する(ステップS39でNo)。すると、送信電力決定部73は、変調方式、トランスポートブロックサイズ、および、送信電力比に、決定されている候補値を設定する(ステップS43、S44)。
例えば、端末UE11の場合、3つのリソースブロックが割り当てられていて、トランスポートブロックサイズの候補値からパディングを差し引いたビット数が680ビットであるとする。すると、680ビットを送信するために用いることができるトランスポートブロックサイズに対応するTBSインデックスは12である。TBSインデックス=12に対応する変調方式は16QAMである。そこで、変更部72は、変調方式をQPSKに変更するとリソースブロック数が増加すると判定する。変更部72が判定結果を通知すると、送信電力決定部73は、トランスポートブロックサイズを候補値に設定し、変調方式を64QAM、送信電力比をPA0に設定する。
図18は、第3の実施形態により送信電力が変更された結果の例を示す図である。図18(a)に示すように、端末UE8〜UE11の各々について送信電力比がPA0(dB)に仮に設定されている。図18(b)は、送信電力決定部73によって送信電力比が変更された場合の送信電力比の例を示す。前述のように、QPSKで変調された信号を受信する端末について、送信電力決定部73は、閾値よりも受信品質がよい端末については、送信電力比が小さくなるように調整する。従って、端末UE9の送信電力比はX(dB)に調整される。また、QPSK以外の変調方式が変調方式の候補であっても、リソースブロックを増加させずに変調方式をQPSKにすることができる端末については、変更部72は、変調方式をQPSKに変更する。さらに、送信電力決定部73は、変調方式をQPSKに変更した端末への送信電力比をX(dB)に変更する。従って、端末UE10の送信電力比はX(dB)に調整される。一方、QPSK以外の変調方式からQPSKに変調方式を変更するとリソースブロック数が増加する場合、変調方式や送信電力には、それぞれの候補値が設定される。従って、端末UE11では、送信電力の調整が行われない。なお、これは、端末に割り当てるリソースブロック数を増加させると、端末へのデータの送信に用いられる電力量が増加するためである。すなわち、端末と基地局50との通信に用いるリソースブロックを増加させてしまうと、QPSKに変更することにより消費電力を削減しても、消費電力の削減効果が得られない恐れがある。そこで、基地局50は、リソースブロックを増加させないとQPSKを用いて変調することができない場合、変調方式やトランスポートブロックサイズを変更しない。
<その他>
実施形態は、上記の実施形態に限られるものではなく、様々に変形可能である。以下にその例をいくつか述べる。
例えば、第1の実施形態での送信電力決定部34の動作を、図19に示すフローチャートのように変形させることもできる。図19では、変調方式や端末での受信品質をMCSインデックス値によって判断している。図19のステップS51〜S53は、図4を参照して説明したステップS1〜S3と同様である。次に、ステップS54では、MCSインデックスが9以下の値であるかを判定する。図12に示したように、MCSインデックスが0〜9はQPSKに対応している。さらに、ステップS55では、端末での受信品質が良好であるかを、MCSインデックスの値が閾値以上であるかによって判定している。ステップS56〜S58の処理は、図4を参照して説明したステップS6〜S8と同様である。なお、第2および第3の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、受信品質や変調方式をMCSインデックスによって判定することもできる。
基地局10は、MCSインデックステーブル81とトランスポートブロックサイズテーブル82を備えることもできる。この場合、基地局10は、MCSインデックステーブル81やトランスポートブロックサイズテーブル82を用いて、変調方式やトランスポートブロックサイズの決定を行うことができる。
以上の説明で述べた変調方式決定部32での変調方式等の決定方法は、一例であり、基地局10の実装に応じて任意に変更することができる。例えば、変調方式決定部32は、適応変調符号化(Adaptive Modulation and Coding、AMC)により、伝搬路の通信品質に合わせて調整することができる。例えば、変調方式決定部32は、端末から受信したChannel Quality Indicator(CQI)値に応じて、変調方式などを決定することができる。この場合、変調方式決定部32は、予め、CQI値ごとに、ベースバンド信号の変調に用いる変調方式等を対応付けたテーブルなどを記憶することができる。
図3を参照しながら述べたハードウェア構成は、実装に応じて任意に変更することができる。また、DSP44などが実行する動作も、実装に応じて変更することができる。例えば、プログラムを変更することにより、DSP44を、変調部21、符号化部22、復調部23、復号化部24、MAC制御部25、RLC制御部26、PDCP制御部27、および、スケジューラ30として動作させることができる。
さらに、図2は基地局10の一例であり、例えば、MAC制御部25、RLC制御部26およびPDCP制御部27に含まれない場合もある。この場合、MAC制御部25、RLC制御部26およびPDCP制御部27は、ベースバンド信号処理部20の外に設けられたDSP44によって実現される。
さらに、ベースバンドユニット(Base Band Unit、BBU)とRemote Radio Head(RRH)の2つの装置により基地局の機能が実現される場合にも前述の送信電力の調整方法が使用できる。この場合、BBUがベースバンド信号処理部20もしくはベースバンド信号処理部60を含むものとする。