本発明は、情報送信チャンネルを識別し、また同期多重化により回線上の情報送信効率を向上する同期制御方式と、情報をフレーム若しくはパケットの形態で送受信するフレーム(パケット)多重方式の相互接続を実現する。ここでは同期網としてSTM網、非同期網としてEthernet網を想定して記述するが、これによって本発明の適用対象プロトコルあるいはネットワーク構成を限定することはない。
図1は、本発明を適用するネットワークの基本構成を説明する図である。従来より広く用いられてきたSTM(Synchronous Transfer Module)網に代表される同期通信網(以下、同期網)1001及び1002、イーサネットに代表される非同期通信網(以下、非同期網)1000から構成される同期網には端末装置30−1と30−2を収容し、例えば端末30−1と30−2の間での通信において、相互に分離された同期網間の通信を非同期網によって中継する。
中継網となる非同期網1000において、同期網1001、1002との接続点には、同期網と非同期網との通信を相互接続するためのインターワーキング装置(IWE; Interworking Equipment)1a,1bを備える。今、端末装置30−1から端末装置30−2に向かう通信を想定する。これにより一般性が失われることはない。端末装置30−1から送信される情報は、同期網1000内の(端末30−1の通信開始時点での)空きチャンネルを通じてIWE1aに送られる。IWE1aは、同期網1001側から受信するフレームを非同期網1000に送出するためのフォーマットに変更する。具体的には特定の時間間隔で同期網1001内のチャンネルで運ばれる情報をサンプリングし、特定の大きさを持つ情報片に変換する。ここで、情報片(以下、フレーム)の送信経路を識別するため、及びフレームに含まれる情報片(内容及び属性?)を識別し、経路上をフレーム単位で送信される情報をユーザ端末装置あるいは対向IWEにおいて集約するためのヘッダを付与する。
同期網においては、通信を求める宛先との間に予め設定されている通信チャンネルが空いているか否かで通信の可否が決定される。従ってフローはその属するチャンネルにより、宛先と通信経路が固定的に与えられる。パケット通信網においては宛先までの経路は特定されておらず、宛先までの帯域も保証されていない。非同期網において通信品質を管理するためには、宛先までの経路を特定した上で、中継装置間の各区間について通信状態を把握することが必要である。そのためにIWE1aで同期網チャンネルをベースとした通信管理情報を、非同期網におけるパケットを用いた論理多重方式へ変換する。パケットヘッダに含まれる情報には宛先までの通信経路を特定する情報と、隣接通信装置までの物理回線またはそれに多重される論理回線を特定する情報とを含む。IWE1aの対向装置であるIWE2aは非同期網1000を介して受信したフレームを、IWE1a及びXCで付与されるヘッダ情報の解析結果に基づき分類、集約して同期通信用フレームに再構成する。同期網1002内に用意されている通信チャンネルから端末装置30−2宛ての空きチャンネルを同フレームに割当てて、同期網1002に向けてフレームを送信する。
以上の相互通信における処理手順は、端末装置30−2から30−1への通信においても同様であり、双方向の通信を可能とする。
非同期網1000内の通信において、IWE1aからIWE1bまでの経路については、全てその通過経路を管理する。これは従来のフレーム通信網に見られるホップバイホップのパス制御と大きく異なる。これにより全ての通信は、コネクションレスではなく、コネクションオリエンテッドで行われ、通信品質や障害状況の管理が実現できる。これを実現するため、IWE1aとIWE2aとの間で情報(データフロー)単位と送信先を識別する上位パスレイヤIDと、IWE1aとXC2a、XC2aとIWE1b間の実際に情報が通過するパスの状態管理を行う下位のパスレイヤIDを用いる。この階層化したパス管理パラメータの導入により、従来から階層モデルにより管理されてきた同期網におけるパス管理との親和性を保つことができる。例えば、上位パスIDは同期網におけるクロスコネクト単位であるVC-11と関連付け、下位パスIDを多重化セッション単位のSTM-Nフレームに関連付けておき、IWE1aでパスIDを相互に交換することで非同期網においても同期網のパス構成を引き継ぐことが可能である。尚、非同期網に設定される下位パス管理IDは物理回線そのものを示す必要はなく、例えばVLAN(Virtual LAN)のように論理的に割当てられたものであってもよい。
図2に本発明を適用した場合の非同期網におけるパス管理モデルを示す。非同期網1000におけるパス階層は、コネクション制御層(VC層)201、論理パス制御層(VP層)202、伝送媒体層(PHY層)203を含む。VC層201は、非同期網を利用する通信中継区間において最上位のコネクション(セッション)識別層である。このコネクション制御は下位レイヤの処理と独立した、中継装置(IWEもしくは非同期網内におけるIWE相当のコネクション管理装置、もくしはユーザ端末などのサービス処理装置)間におけるフロー識別子として用いる。コネクション管理を非同期網の両端にあたるIWEのみで行う場合は、コネクション識別子によって非同期網内で一貫した一貫したコネクション(セッション)の管理を行う。この場合には、非同期網1000における、宛先IWEの識別子として使用することが可能である。
VP層202は、非同期網1000においてVC層で指定される宛先に到達するためにフレームが通過する経路を決定する役割を持つ。VC層とは独立した制御を行うが、論理関係240a、240bにより両層の制御パラメータが関連付けられる。従来のSTM網及びATM網と比較すると、非同期網におけるVP層は特定の装置間に設定された物理回線上のみに限定されることなく、物理回線(すなわち、Next hop)の異なる回線に対しても、最終的な宛先に到達できることを条件に任意に論理パスを設定できる点が異なる。そのため、VC層とVP層との論理接続240a、240bは、VPが任意のVCを多重していてもよい。論理パスは図1のクロスコネクト装置(XC)において終端し、XCに保持する論理パス経路表に基づいて次段のXCに向かう論理パスへ接続する。
PHY層203は、フレーム中継装置IWE及びXCを接続する物理回線を管理する。VC層及びVP層とは独立した制御を行う。OpSからの管理を前提とすると、VC層との論理接続250a、250bはOpSからの指示により設定することになるが、物理回線のリソース使用状況を参照して動的に接続250a、250bを設定することもできる。
図3は図1の基本ネットワーク構成について図2の階層パス制御を適用した場合の、パス設定方法を説明する図である。ここでは非同期網1000を介して同期網1001と1002が通信するために、XC2aを通過する経路を用いる場合を想定する。非同期網1000には、中継装置IWE及びXC間を接続する物理回線に対し、論理的に設定されるパスIDを用いて通信を行う。このパスIDは隣接装置間の経路を指定するもので、一物理回線に対して任意の数の論理パスを設けることが出来る。このIDを下位パスIDとする。
中継装置IWE及びXCは、フレームを受信すると受信フレームの入力論理パスIDと送出先論理パスIDとの対応関係を参照して非同期網内の他の中継装置へ転送する。この対応関係は転送に先立ってOpSにより静的に設定されるか、LDP(Label Distribution Protocol)のように既存のプロトコルにより動的に設定する。図3では、パスAU-FR1(301)及びAU-FR2(302)がそれに当たる。このパスIDにより、装置間の物理回線に沿った転送経路を識別する。このパスIDは同期網(STM網)において装置間回線を識別し、同期情報を伝達するAUポインタに相当する。IWEでは同期網から非同期網へデータを中継する際に、AUポインタのうち回線識別情報を抽出し、非同期網向け送出回線決定(すなわちフレームヘッダ生成処理)に利用する。
TU-FR1(311)、TU-FR2(312)はそれぞれIWE1aとXC2a、XC2aとIWE1b間におけるフロー識別子である。このフローIDは、下位の論理パスAU-FR1(301)、AU-FR2(302)に多重される複数のフローから個々のフローを抽出するためのものであり、下位の論理パスIDに属する形で管理する。そのためAU-FRとTU-FRとの組み合わせにより非同期網内におけるフローを一貫して識別することができ、論理パス毎に多数のフローが多重される場合に管理面でのスケーラビリティを確保できる。TU-FR1(311)及びTU-FR2(312)(以降、一般にTU-FRの概念を指す場合はTU-FRと記述する)は、同期網において中継装置間でフローを識別するための位相情報を含んでいる。同期網においてはAUポインタとTUポインタの組合せにより同期網内の通信チャンネルを識別しており、チャンネルが事実上フローを識別するためのIDとなっている。そこで非同期網XCにおいては下位の論理パスAU-FRと、AU-FRに付随するTU-FRによってフローを識別し、XCを介する入力及び出力論理パス相互にフローIDの受け渡しを行うことにより、網内で一貫したフロー管理を実現する。IWEでは、同期網のAU及びTUポインタからチャンネルを識別し、個々のチャンネルから宛先IWEを識別した上で、対応する当該IWE向け出力論理パス及び論理パス上のフロー識別子TU-FRをフレームに付与して送出する。
XCによってTU-FR1(311)とTU-FR2(312)を関連付け、また同期網内のAUポインタ及びTUポインタの組合せと非同期網内のAU-FR及びTU-FRの組を関連付けることにより、図1の端末措置30−1と30−2間のようにend-to-endでのフロー管理と経路管理、及び転送区間毎の通信状態管理を実現する。
図4に、図3のパス管理方法を適用する場合の非同期網における論理パス管理方法を示す。図面は図2の階層モデルのうち、論理パス制御層に相当する部分におけるパラメータの相関関係を説明する。
非同期網通信に用いる論理パスは、上位パスTU-FR1(440−1)、TU-FR2(440−2)、下位パスAU-FR1(430−1)、AU-FR2(430−2)によって構成する。上位パスTU-FRは装置間回線上のフロー識別子であり、下位論理パスの終端点において終端される。同様に下位パスIDは、論理回線の終端点、すなわち装置間の物理回線単位に終端される。ここで各転送区間内においてパス管理レイヤ毎に分類できるが、本実施例によりパス管理を行う上で上位パスと下位パスのIDは相互に密接に関連する(図3の説明参照)。IWE及びXCの論理パスクロスコネクトによって隣接転送区間におけるパスIDを決定するにあたり、同期網におけるチャンネル(フローID)と宛先及び経路との対応関係を非同期網に反映するため、以下の方法を用いる。先ず転送経路(下位パスID)を絞り込むため、データフローを識別する。フローIDはTUポインタとAUポインタ、若しくはTU-FRとAU-FRを組み合わせて判定する。これによりフローIDによって決定される宛先に向かう下位の論理パス候補を見つける。次に、候補となる下位パスIDのうち利用可能なもの(空き帯域のあるパス、サービスにより優先制御を必要とするパスなど)を選択して、隣接区間における論理パスIDを決定する。
以上のように、非同期網内の通信パスは予め設定されていてもよいし、動的制御によって設定されるものであってもよい。
非同期通信網内の全ての転送区間においてフロー識別のための上位パスIDと下位パスIDとの論理接続関係を保持することにより、同期網と非同期網の双方に跨るend-to-endのコネクション(セッション)400の管理を実現する。
図5に本発明の第1の実施例におけるプロトコルスタックを示す。IWE1a及び1bの同期網側は、STM同期多重フレームのSOH(Section Overhead)、POH(Path Overhead)により管理されるセッション503−1と503−2、パス502−1、502−2により、階層化された経路制御が行われる。IWEは同期網側の物理回線501−1とフレーム通信網側の物理回線510aを備える。例えば前者はE1、T1などの同期回線、後者はEthernetなどのパケット通信回線を収容する。パケット通信網内では、OSI参照モデルのデータリンク層以上の層において、論理的に回線を構築するためのタグ(ラベル)を挿入する。例えば、L2ネットワークならばVLAN(Virtual Local Area Network)タグや、MPLS(Multiprotocol Label Switching)網においてはラベルを用いてこれら論理パスを構築できる。これによりパケット通信網において、MAC識別層520aの上位に論理パス識別層530aを構築する。MAC層520a及び論理パス層530aは、同期多重フレームのSOHにより制御される、論理回線に相当する。
論理パス530a上に複数の通信を多重する。この多重した通信をここではコネクション(セッション)と呼び、論理パス同様、タグ(ラベル)によって識別する。IWE1aでは区間セッション540aの規定がそれである。このセッション識別タグは、論理パス識別タグとスタックする形で使用する。IWE1aにおいて、パケット網側の区間セッション540aと同期網側のセッション503−1とを相互接続し、網間を跨る一貫したセッション管理を実現する。本実施例ではセッションを区間毎に終端する方式を説明した。これは個々のセッションを論理パスに属するものとして管理できることを意味する。IWE1aにおいては、網間でのセッション情報の相互通知を行うが、同期網POHで管理されるセッションは同期網内で一意に決定されるチャンネルとして識別されるため、パケット通信網内で統一管理されたセッション情報と、同期網内のチャンネル情報とを相互接続することが望ましい。そこで、IWE1aでは、区間セッション層540aの上位に網内全域でセッション管理を統一するためのセッション層550aを設け、このセッション層550aと同期網側セッション層503−1との状態相互通知によって通信制御を行う。
論理パス層では区間毎に管理フローが終端される。論理パス層530aと530b間はAU-FR1によって、また論理パス層530cから530dの区間ではAU-FR2によってパス管理を行う。XCは、これらの管理フローを相互接続する機能を担う。
同様に区間セッション層540aと540b間はTU-FR1によって、また区間セッション層540cと540d間はTU-FR2によって管理する。XCは同様にこれらの管理フローを相互接続する。XCはまた、区間セッション層540と、その上位のセッション層550とを論理的に接続する機能を備える。TU-FRがAU−FRに属する形で運用される場合は、XCの区間セッション間接続および区間セッション層とセッション層とのレイヤ間接続において、階層化論理パス管理アーキテクチャにおけるパラメータ相関関係を把握することが必要であり、このために論理関係(従属関係もしくは等価関係)を保持する管理テーブルをXCに保持する。
図6は非同期網における階層化論理パス制御の第二の実施例を説明する図である。本実施例のネットワーク構成は図3の説明と同様である。
ここでは、上位パスIDの設定において非同期網内で一貫したフロー(セッション)IDを使用する。下位パスIDであるAU-FR1(311)及びAU-FR2(312)は第1の実施例(図3)と同様である。
IWE1aにおける同期フレームから非同期フレームへの多重化方法は、第1の実施例(図3)と同様である。先ず宛先識別のためフローを識別する。そのために同期網で定義されているチャンネルを、AUポインタ及びTUポインタで得られる位相情報から抽出する。宛先(対抗IWE)に到達可能な送出方路から適切なものを選択し、フレームを生成した後、非同期網へ送出する。
上位パスIDであるTU-FR611は、下位パスIDのAU-FR1(311)及びAU-FR2(312)とは完全に独立した制御を行う。非同期網内の中継装置XC(2a)では、下位パスIDにより装置間物理回線上に設定される論理回線AU-FR1(311)とAU-FR2(312)を相互接続し、このとき上位パスIDであるTU-FR(611)を参照しない。同期網1001におけるAUポインタ情報とTUポインタ情報から得られるフローIDは非同期網1000内でIWE1aによりTU-FR(611)に変換され、対向インターワーク装置IWE1bによって再度同期多重フレームを構成する。このフレームフォーマット再変換を行うため、IWE1a及びIWE1bはTU-FR(611)を同期網通信で使用するチャンネルを識別するための位相情報と関連付ける手段を予め備える。
図2の階層モデルで定義したコネクション制御層によって、同期網通信チャンネルとTU-FR(611)とを相互に接続するend-to-endのコネクション620を確立する。
図7は第二の実施例(図3)における、論理パス管理パラメータの相関関係を示す。図4同様に、図2の階層化モデルから論理パス制御層におけるパラメータ定義を抽出したものである。
本実施例においても、下位パスIDとしてAU-FR1(301)とAU-FR2(302)を用いる。第1の実施例と異なる点は、非同期網1000の中継装置XC2aでの論理パスクロスコネクトにおいて、上位パスIDであるTU-FR(611)を変更しない点である。本実施例ではTU-FR(611)により網内で一貫したフロー識別を行う。これによりフローの宛先を判断し、選択可能な下位論理パスの候補を絞りこむ。実際に選択する下位論理パスは、第1の実施例と同じく、静的に設定されていてもよいし、パス設定要求が発生する度に動的に設定されてもよい。尚、TU-FR(611)はIWE1a、IWE1bにおいて終端されるものとする。
前述のようにSTM網など同期多重通信においては、通常、多重化チャンネルによって通信経路及び到達先がOpS20により半静的に設定される。従ってインターワーク装置IWE1aにて同期多重フレームに含まれるAUポインタ及びTUポインタを解析することにより、チャンネル(フロー)と対向IWE1bが判断できる。非同期網においてもフロー識別子は通信継続中に変更されることはないが、同期網と決定的に異なる点は、多重化方式がフレーム多重方式であり、宛先と途中経路とが固定的に対応する必要がない点である。従って、本実施例を適用する場合、XCの論理パスクロスコネクトにおいてフロー識別子を参照することにより、ネットワーク利用状況と通信中のトラフィック特性、またユーザ契約レベルに応じて下位論理パスを複数の物理回線上の論理パスから選択するといった処理を実現できる。
第一の実施例に比較して、第二の実施例では、上位パスIDを網内で一貫したフロー識別子と見なすことによりXCにおける論理パスの相互接続処理が簡易化される。この一貫性によりOpSにおける論理パスを直接的に管理でき、経路制御と宛先情報が密に対応付けられる同期網との親和性を向上できる。
図8に本発明の第2の実施例におけるプロトコルスタックを示す。IWE及びXCにおける管理フロー層定義は第1の実施例(図5)の場合とほぼ同様である。図5と異なる点は、区間セッション管理層540a〜540dに代わり、網内セッション層802a〜802dを定義した点である。図5では区間セッションをTU-FR1及びTU-FR2を区間毎に終端することで管理し、それを上位のセッション層に論理接続することによって一貫したセッション管理を実現した。図8では、網内セッション管理を網内セッション層802a〜802dにて行う。これにより、TU-FR識別のためのタグ(ラベル)を網内で共通化し、XCにおける階層化パス管理パラメータの相互参照を無くすことによって処理をシンプルにできる。TU-EXは図5と同様に同期網と非同期網を跨る全通信区間で一貫したセッション管理フローである。TU−FRの、TU−EXへの論理接続はIWEでのみ行う。
本発明を実施するにあたり非同期網フレームフォーマットにはいくつかのパターンを適用できる。これらのパターンは同一パケット上へのTDMデータ多重度、及び同一回線上の論理パスIDの設定数により適宜組合わせて使用できる。以下、非同期通信に使用するフレーム構成を図9から図11を用いて説明する。
図9はインターワーキング適用時に非同期網通信に用いるフレームの基本構成である。フレームはヘッダ部とペイロード部とで構成され、同期多重フレームによって送信されるTDMデータはペイロード部に載せる。ヘッダ部には宛先アドレス901、送信元アドレス902、下位の論理パスID AU-FR(903)、上位の論理パスID TU-FR(904)、シーケンス番号Seq(905)を含む。シーケンス番号は、フレーム化することによるデータ到着順の変動を管理するため、また複数のフレームに渡って一連のデータが分散されて送信する場合に、同期多重フレームの再構成時にデータを集約するために使用する。また、その他付加情報906を挿入できることとする。
フレームには同期網の通信チャンネル一つにつき1フレームを使用する。例えばSTM多重フレームではVC-11単位でヘッダ付与(カプセリング)を行い、1フレームを構成する。個
々のデータはそれぞれ到着時刻が異なる。すなわちVC-11毎にTUポインタ値が異なるため
、通常はIWE1aにおけるデータサンプリングのタイミングとVC-11の到着タイミングとが統一されない。そこで、1フレーム内にフロー識別子は同じであっても、複数のVC-11を載せる状況が生じ得る。これに対応するため、フレームのヘッダ情報に、フレーム内第2番目のVC-11開始位置を指すポインタを挿入する。このポインタフィールドは、特許文献1にも記載されている。特許文献1では論理パスの階層化に関しては触れておらず、本発明では、論理パスの管理パラメータが2種類、ヘッダ部に含まれる点が異なる。
尚、図10、図11においてもペイロード部分に複数のVC-11を格納する場合、基本フレームの場合と同様に、個々のペイロード毎に用意される多重ヘッダ部にポインタを挿入する。
図10は1フレーム上に、下位の論理パスが同一となる複数のデータを多重化する場合のフレーム構成である。フレーム全体の共通ヘッダとして、DA901、SA902、論理パスID AU-FR(1010)及びその他付加情報1011を含む。フレームのペイロード部にはVC-11相当のデータを載せるが、ここで図9の場合と異なる点は、複数フローを同時に1フレーム上に搭載することである。
各フローに付与する多重化ヘッダには、論理パスID TU-FR(1021)、シーケンス番号1022、データ長1023、その他付加情報1024を含む。シーケンス番号1022の使用目的は図9の場合と同様、フロー毎のデータ集約時に対向IWE1bにて参照するためである。データ長は、多重化されたフローデータの長さを示す。これによりフレームペイロード内でのフロー毎の開始位置が明示でき、多重化の設定・解除を行う上で有用である。
サンプリングタイミングによるVC-11の複数搭載は多重化フレーム毎に独立して発生する。従って、ペイロード半ばからサンプリングしたVC−11の識別ポインタは、多重化フレーム毎のヘッダに挿入する。
図11には、複数のフローが同一物理回線上で行われるが、それぞれに割当てる論理パスID(下位の論理パスID;AU-FR)が異なる場合の、1フレームへのフロー多重化フォーマットを示す。フレームヘッダ部分にはDA901、SA902、及び付加情報1110を含む。フレームのペイロード部に複数のフローを多重搭載する点は図10のケースと同様である。本ケースでは、多重化ヘッダに論理パスIDを二種類含むことが特徴である。多重化フレームは、多重化ヘッダとペイロード1125から成り、多重化ヘッダには論理パスID AU-FR(1126)、上位の論理パスID TU-FR(1121)、シーケンス番号1122、多重化フレーム長1123、付加情報1124を含む。シーケンス番号及び多重化フレーム長フィールドの役割は図10の説明と同様である。
本ケースにおいても、多重化ペイロードへの VC-11搭載時のタイミングによってはVC-11ユニットの途中からサンプリングしてフレーム途中で次のVC−11ユニットのサンプリングを行う場合が生じる。図10と同様、多重化ヘッダ内に後方のVC-11開始位置を示すポインタを挿入する。
図12は同期多重フレームから論理多重フレームを生成する際のフレーム処理を示す流れ図である。
同期多重フレームを送信タイミングに沿って並べると、フレームヘッダ1201h、フレームペイロード1201p以下、一列に書き直すことが出来る。図12のように同期多重フレームを受信する装置は、フレームヘッダ1201hから時間順に受信する。STM同期多重フレームはフレーム周期1201毎に9フレームずつ送信され、これがSTMフレーム定義の大きな単位となっている。
IWE1aでは、STMフレームを受信すると、非同期網内での経路制御を可能にするため、多重されたフレームを解析し、クロスコネクト単位であるVC-11ユニットレベルまで分解する。このときの手順を以下に記述する。
一定周期毎にフレーム1201h、1201pのフォーマットで受信したデータから、ペイロード部分を取り出し集約する。このペイロード1202は、図12に示すように受信フレームからヘッダを取り除き、受信フレーム1のペイロード1201pから受信順に並べたものである。
STMフレームは、STMフレーム周期に受け取るペイロード1202の開始タイミングと、実際に送信データ1203をペイロード上で識別できるタイミングにはズレが生じる。このズレを通知し、多重されたフレームから任意のデータを取り出すため、STMフレームのヘッダにはAUポインタ1210と呼ばれるパラメータが含まれている。AUポインタ1210は、STMフレーム周期で4番目に送信されるフレームのヘッダ1204hに格納されており、このヘッダ1204h終了時点から多重データの送信開始時点までの遅延を示す。AUポインタ1210の遅延情報は、同期多重フレームを受信する装置にとっては入力回線を識別するパラメータとして使用できる。入力回線の識別子と、AUポインタ1210とを組合わせて記録しておくことで回線IDとの対応付けは用意に実現できる。
次に、多重化されたデータの中から回線交換ユニット単位までデータを分解する。多重フレーム1203は、多数のデータフローが一定間隔で交互に重なる形で構成されている。個々のフローに着目すると、データ片1204−1、同1204−2、のように分散配置されており、それらを集約するとデータ1204が得られる。ここでもAUポインタの場合と同様に、集約したデータ1204の開始時点と、実際にデータをユニット毎に識別できる境界のタイミングとは異なっている。ここではTUポインタ1220とよばれるパラメータにより、集約データを抽出することができる。TUポインタ1220は、多重データ1203に分散配置されている1204−1、1204−2等のデータ片の先頭位置に格納されており、集約後は先頭位置にポインタが来る構成になっている。
TUポインタは、AUポインタ1210に対応する回線上の多重位置(チャンネル)を示す。同期多重方式なので、タイミングが異なるフローは別フローと見なせるため、TUポインタそのものがデータフローの識別子になると考えられる。
論理多重フレームを生成するには、階層化論理パスIDとAU及びTUポインタを対応付ける必要がある。入力経路識別子、もしくは経路識別子とAUポインタから経路IDを、AUポインタ1210及びTUポインタ1220によりデータ送信チャンネル(フロー)を判別できる。これらのパラメータ変換により論理パスレイヤ1207(下位パスIDに対応)とセッションレイヤ1208(上位パスIDに対応)のIDを決定し、非同期網通信パケット内の最小多重単位となる小フレームを生成する。
図13は本発明の通信方式変換と経路管理情報の相互通知を実現するためのインターワーク装置(IWE)の構成を示す。IWEは一つ又は複数の同期多重回線終端部1311−1〜1311−N1を有する受信制御部1310と、一つ又は複数のパケット送出回線終端部1334−1〜1334−N2を有する送信制御部1330と、論理多重パケット生成部1320と、同期多重通信網とパケット通信網との相互接続処理を制御するインターワーク制御部1340と、から構成される。
受信制御部1310は、入力同期多重フレームを回線交換ユニット毎に分離する多重分離部1312−1〜1312−N1と、多重分離部に含まれ、分離したデータを回線交換ユニット別に保持するチャンネル別バッファ1313−1〜1313−N1と、を備える。受信制御部1310は、入力同期多重フレームからデータ及びパス管理情報を含む通信制御情報を抽出し、抽出した通信制御情報を論理多重フレーム生成部1320へ通知する。
論理多重フレーム生成部1320は、受信した通信制御情報に基づきインターワーク制御部1340との通信により前記制御情報のパケット通信網向けに変換した情報を取得する。同じくインターワーク制御部1340より当該フレームの送出先情報を取得する。取得した送出先情報に基づき、対応する受信データに対し、回線交換ユニット単位で送出先情報を付与して小フレームを生成する。生成した小フレームは送信制御部1330へ転送する。
送信制御部1330は、フレーム生成部1320から受信した小フレームを受信バッファ1332一次保存する。この間に、該フレームの送出先物理回線あるいは論理回線を判定し、該当する送出先回線へ前記小フレームを転送する。
インターワーク制御部1340では、入力同期多重フレームに含まれる通信制御情報から、入力同期多重フレームの送信先及び通過経路を判断するための入力回線テーブル1341と、入力同期多重回線の通信制御情報を、パケット通信網向け通信制御情報(すなわち階層化論理パスID)に対応付けるためのIW管理テーブル1342と、前記階層化論理パス制御の基盤となる自装置周辺の経路情報を保持する経路テーブル1343と、を備えることを特徴とする、インターワーク装置。
図14は入力管理テーブル構成例を示す。本テーブルにはSTM網におけるAUポインタ値、TUポインタ値、及びこれらから得られるチャンネルID、送出先装置アドレス若しくは識別子、入力回線ID、のうちいずれかもしくは複数のパラメータを含む。
図15はIWE管理テーブル構成例を示す。本テーブルは、チャンネルID,フローID、送信先装置アドレスもしくは識別子、IWE送出先論理パスID、のうちいずれか、もしくは複数のパラメータを含む。
図16は図13の受信制御部における処理手順を説明するフローチャートである。同期多重フレームを受信する毎に処理が開始される。先ずステップS101において受信した同期多重フレームのSOH及びPOHを解析し、AUポインタ及びTUポインタを抽出する。次にステップS102では抽出したAU及びTUポインタを用いて、同期網チャンネル抽出する。ここでAUもしくはTUポインタの新規データフラグによってポインタ値の変更が通知される場合は、これまで受信したフローとは別のフローに切り替わっている。これを識別するためチャンネルIDに加えてフローIDを用いて個々のデータを識別する。ステップS103では、抽出したチャンネル情報、フロー識別情報をフレーム生成部1320へ通知する。フレーム生成部では、ここで受信した情報に基づきパケット通信網における階層化論理パスを設定する。ステップS104では、ステップS102で抽出した同期網チャンネル別、またフローID別に同期多重されたデータを分離する。ここで分離対象とするのは、同期網内におけるクロスコネクト単位である、VC-11ユニット相当の小フレームである。ステップS105にて、分解した小データフレームを、チャンネルまたはフロー別にバッファに格納する。ここに格納するのは、ステップS103でフレーム生成部に通知した制御情報の処理を待つためである。階層化論理パスの割り当てが終了次第、小フレームが呼び出され、パケット通信網内での論理多重フレームを構成する最小単位フレームを生成する。
図17は図13の論理多重フレーム生成部1320における処理手順を説明するフローチャートである。受信制御部1310から同期網における通信制御情報を受信すると、ステップS201にて受信した情報に基づき、インターワーク制御部1340内のフロー管理テーブルを検索する。ここで検索のキーとするのは、多重分離ブロック1312にて抽出されるチャンネル情報またはフローIDである。チャンネル(フロー)は、同期網においては宛先と中途経路の情報と結びついており、パケット通信網へ転送する際に階層化論理パスIDの割り当てを決定するキーとなる。ステップS202で、受信チャンネルIDはパケット通信網内での経路を使用可能なチャンネルとして登録されているか否かを判定する。パケット通信網へ転送すべきチャンネルでなければ、転送を中断して処理を終了する。転送可能な場合は、ステップS203にてインターワーク制御部1340のデータベースを参照することにより、パケット通信網内での宛先装置ID及びパケット通信網内における階層化論理パスIDを取得する。ここで、非同期網の特性として、同一の宛先に対しても複数の経路を選択可能な場合が生じる。その場合は候補となるパスについて、予め優先度を設定しておくか、帯域使用状況により動的に優先度を変更するなどの方法により、当該フローの転送に使用する経路を選択する。経路情報が決定した段階(ステップS206)で、フレームバッファ1313に格納されているチャンネル別データを取り出し、階層化論理パスID、シーケンス番号を含む多重化ヘッダを付与し、フレーム生成部1320内のフレームバッファに格納する。次いでステップS207にてバッファ内フレームの送出先を参照し、該当する送信制御部1330に対してフレームを転送する。ここで送信制御部は複数あってもよく、それぞれの送信制御部がさらに複数の回線終端部を備えることができる(通常のルータ/スイッチのインタフェースカード構成と同様)。
図18は非同期網内でフレーム化された情報を転送するために論理パスの相互接続を行うクロスコネクト装置(XC)の機能ブロックを示す。
クロスコネクト装置は受信制御部、論理多重フレーム生成部、クロスコネクト制御部、送信制御部により構成する。
受信制御部は論理パスを通じて入力されるフレームを終端し、1フレーム上に複数のデータフローが多重されている場合はこれを分離して、各フローデータをデータバッファに保存する機能を持つ。回線終端部は、入力信号の同期を取ることによりフレームを抽出する。ここでは物理層としての終端が行われる。多重分離部ではフレーム構造からさらに多重化された個別フローを識別し、論理的な終端を行う。
論理多重フレーム生成部は、受信制御部の多重分離ブロックから通知されるフロー毎の識別子(図9−図11における多重化ヘッダ情報)に基づいてフロー毎の送信先を決定する。決定すべきパラメータは、送出先区間において使用する上位及び下位の論理パスIDの組み合わせである。この論理パスIDを取得するため、フレーム生成部はクロスコネクト制御部に保持されるXC管理テーブルを参照する。フロー毎に送出先を取得した後、多重化ヘッダを再構成して多重化フレームを生成する。同一の論理パス若しくは同一の物理回線に送出するデータが存在する場合で、図10あるいは図11に示すフレーム多重化構成を適用する場合は、多重化対象となるフローの多重化フレームを集約し、非同期網通信フレームを構成する。構成したフレームは、一時フレームバッファに保持して置く。このバッファ内でフレームヘッダの再構成を行ってもよい。フレーム再構成後、フレーム送出処理のため、送信制御部へフレームを転送する。
送信制御部は、フレームヘッダを参照し、それぞれ支持された論理パスを介してフレームを送出する。フレーム生成部から転送されたフレームは、一時フレーム受信部を通じてフレーム受信バッファに格納される。送信制御部は格納されたフレームのヘッダ情報から送出先を判断し、回線終端部を通じて適切な論理または物理回線へフレームを送出する。
クロスコネクト制御部は論理パスの相互接続情報を保持するXC管理テーブルと、自装置(XC)周辺のネットワークトポロジを保持する経路テーブルを含む。経路テーブルは
、例えば、OSIモデルのデータリンク層におけるMACアドレステーブルや、ネットワーク層におけるIPルーティングテーブルのように、自装置(XC)と隣接する装置、及び周辺の経路情報が記録されたテーブルである。このテーブルは、OpSによって静的に設定されるものでもよく、STP(Spanning Tree Protocol)や、OSPF(Open Shortest Path First)、RIP(Routing Information Protocol)のように自動的に経路情報を構成するものでもよい。XC管理テーブルは、この経路テーブルに基づいて設定される。経路テーブルから得られるネットワークトポロジに基づき、各回線上で使用する論理パスを設定したものがXC管理テーブルである。論理パスIDは、それを設定した経路が障害やメンテナンスにより使用できない場合はXC管理テーブルのエントリから削除する(若しくは無効フラグを設定する)ことにより、フレーム生成部に不正な情報を通知しないようブロックする。この両テーブル間の連携は、クロスコネクト制御部にて行うものとする。
図19は、XCに保持されるXC管理テーブルの構成を示す。本テーブルは、データフロー識別子1901、データフロー識別及び転送先判定に用いる受信チャンネル情報1902、フレームを受信した論理パスID AU-FR(1903)、入力フレームに(入力フロー毎に)含まれる上位論理パスID TU-FR(1904)、当該フレームの出力先を示す論理パスID AU-FR(1905)、出力先論理回線で当該フローを識別するための上位論理パスID、その他付加情報1907によって構成する。
XCでは、フレームを受信すると、そのフレームに含まれる論理パスIDによって当該フレームで運ばれるデータフローを識別する。実施例1、2それぞれ論理パスIDの適用方法が異なるが、そのどちらの方法を用いてもよい。実施例1を適用する場合は入力フレームの論理パスIDとしてTU-FR,とAU-FRの双方を使用してチャンネル識別を行う。同一チャンネルでもデータフローの発生タイミングが異なれば、異なるフローと見なし、フローIDは別のものになる。フロー識別は通常IWEにて行い、同チャンネル内でフローが切り替わると当該フローに割当てる上位論理パスIDも連動して切替える。XC毎に個別にフロー識別を行う場合は、同期多重フレームのAUもしくはTUフレーム情報から、「新規データフラグ」情報をXCが受信できなくてはならない。階層管理IDにこの情報を含めることは、IWEにてフロー識別することと等価である。以上から、フレーム転送に必要なものは、入力論理パスと出力論理パスの対応関係である。実施例2の場合は、TU-FR1904のみでフロー識別が可能である。経路表によればTU-FR1904からデータ送出先が分かるため、フレーム転送に必要な情報はTU-FR1904、出力論理パス1905、1906のみである。
本テーブルはフローが新規に発生した場合に、経路表を参照することによってエントリが生成される。継続中のフローが終了した場合は、送信帯域を開放するためエントリを消去する。
図20はXCの論理多重フレーム生成部における処理手順を示すフローチャートである。IWE1aと異なる点は、XCがパケット通信網のエッジ装置ではないため、通信の端点にならない点である。そのためクロスコネクト処理に関するステップS301以外は基本的に図17に示すIWEにおける処理と同様である。
クロスコネクト制御部では、階層化論理パスIDのうち上位のIDであるデータフロー識別子と下位IDである通信経路情報との論理関係が管理されており、データパケット転送時には、これら一組の階層化論理パスIDの交換関係を取得すればよい。但し、この交換関係はデータフロー単位で行われるため、図10若しくは図11のようなパケットフォーマットにより、複数のデータフローが多重されている場合には、データフロー毎に分離し、階層化論理パスIDをそれぞれ取得した上で、通信経路情報によって多重化の必要なものを多重化してデータパケットを再構築する処理が必要である。データパケット再構築(再多重)は、図18の多重化ブロック1823で制御され、フレームバッファ上に生成パケットを格納する。