JP5520658B2 - 防振部材の成形方法および防振部材 - Google Patents

防振部材の成形方法および防振部材 Download PDF

Info

Publication number
JP5520658B2
JP5520658B2 JP2010079720A JP2010079720A JP5520658B2 JP 5520658 B2 JP5520658 B2 JP 5520658B2 JP 2010079720 A JP2010079720 A JP 2010079720A JP 2010079720 A JP2010079720 A JP 2010079720A JP 5520658 B2 JP5520658 B2 JP 5520658B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
groove
mold
cavity
resin
elastic member
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2010079720A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011207182A (ja
Inventor
淳一朗 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Riko Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Riko Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Riko Co Ltd filed Critical Sumitomo Riko Co Ltd
Priority to JP2010079720A priority Critical patent/JP5520658B2/ja
Publication of JP2011207182A publication Critical patent/JP2011207182A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5520658B2 publication Critical patent/JP5520658B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Arrangement Or Mounting Of Propulsion Units For Vehicles (AREA)
  • Vibration Prevention Devices (AREA)
  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Description

本発明は、充填材入りの溶融樹脂を原料とする防振部材の成形方法、および充填材により強化された防振部材に関する。
エンジンマウントは、エンジンと車体との間に介装されている。エンジンマウントは、エンジンの振動が車体に伝達されるのを抑制している。一般的に、エンジンマウントは、内筒部材と弾性部材と外筒部材とを備えている。弾性部材は、内筒部材と外筒部材との間に介装されている。弾性部材はゴム製である。内筒部材および外筒部材は、金属などの剛体製である。内筒部材は、連結部材を介して、エンジンに連結されている。外筒部材は、車両の車体に固定されている。エンジンからの振動は、内筒部材を介して、弾性部材に伝達される。振動は弾性部材に吸収される。このため、外筒部材を介して、振動が車体に伝わるのを抑制することができる。
近年、軽量化などの要請から、外筒部材が樹脂化される傾向にある。外筒部材を樹脂化する場合、軽量化と高強度化とを両立する必要がある。この点、特許文献1には、繊維強化された外筒部材を有するエンジンマウントが開示されている。同文献記載のエンジンマウントの外筒部材は、ガラス繊維を含むポリアミド樹脂製である。
特開平7−19273号公報
しかしながら、同文献記載のエンジンマウントによると、弾性部材と外筒部材とが別体である。すなわち、弾性部材と外筒部材とは、別々に成形された後、弾性部材を外筒部材の径方向内側に圧入することにより、組み付けられている。このため、エンジンマウント作製の際、弾性部材を外筒部材に組み付ける工程が、不可避的に必要になる。
また、エンジンマウントの外筒部材の強度をさらに向上させるためには、充填材の配向性を向上させる必要がある。ところが、特許文献1には、充填材の配向性向上に関する知見は、示唆されていない。
本発明の防振部材の成形方法および防振部材は、上記課題に鑑みて完成されたものである。本発明は、充填材の配向性を向上させることができ、かつゴム弾性部材を樹脂部材に組み付ける工程が不要な防振部材の成形方法および防振部材を提供することを目的とする。
(1)上記課題を解決するため、本発明の防振部材の成形方法は、キャビティの延在方向に直交する方向を横断方向として、該キャビティに、以下の(α)および(β)のうち少なくとも(α)の溝部を有するゴム弾性部材を配置することにより、該キャビティに溝部延在区間を区画し、金型を締める型締め工程と、樹脂製の母材と、該母材に分散される異方性の固体の充填材と、を有する溶融樹脂を該キャビティに注入し、複数の該溝部に沿って該溶融樹脂を流動させることにより、該溝部を流動する該充填材を該溝部の延在方向に略配向させた状態で、該溶融樹脂を固化させる注入工程と、該金型を開き、該ゴム弾性部材と、複数の該溝部により形成される複数のリブを有する樹脂部材と、が一体化された防振部材を、取り出す型開き工程と、を有することを特徴とする。
(α)該キャビティのゲート直近以外の部分において、該横断方向に交差して互いに平行に延在する複数の該溝部。
(β)該キャビティのゲート直近の部分において、該ゲートを中心とする放射方向のうちいずれか一つの方向に互いに平行に延在する複数の該溝部。
以下、複数の溝部の延在方向について説明する。図1に、キャビティの模式図を示す。ただし、図1は、複数の溝部の延在方向を説明するためだけの図である。キャビティ51の形状、大きさ、延在方向、ゲート50の形状、大きさ、延在方向、ゲート50とキャビティ51との接続状況などを何等限定するものではない。
キャビティ51の延在方向Aと横断方向Bとは、互いに直交している。キャビティ51のゲート50直近以外の部分における、複数の溝部の延在方向は、横断方向Bに対して交差する方向である。つまり、横断方向B以外の方向である。
キャビティ51のゲート50直近の部分における、複数の溝部の延在方向は、ゲート50を中心とする放射方向Cのうちいずれか一つの方向である。つまり、キャビティ51の延在方向Aは勿論、横断方向Bに溝部を配置してもよい。キャビティ51のゲート50直近の部分において、複数の溝部の延在方向を限定しなかったのは、図1に示すように、ゲート50から射出された溶融樹脂が、一旦型面510に衝突してからゲート50を中心とする放射状に拡散し、キャビティ51を流動する場合があるからである。
本発明の防振部材の成形方法は、型締め工程と注入工程と型開き工程とを有している。型締め工程においては、予め接着剤を塗布したゴム弾性を有するゴム弾性部材を、キャビティに配置する。注入工程においては、充填材入りの溶融樹脂を、キャビティに注入し、固化させる。型開き工程においては、溶融樹脂が固化して形成される樹脂部材と、ゴム弾性部材と、が一体化された防振部材を、キャビティから取り出す。
本発明の防振部材の成形方法によると、樹脂部材の成形と並行して、樹脂部材とゴム弾性部材とを一体化することができる。このため、ゴム弾性部材を樹脂部材に組み付ける工程が不要である。したがって、工数が少なくなる。
また、注入工程において、充填材入りの溶融樹脂は、ゴム弾性部材の溝部を流動する。この際、充填材は、溝部の溝側面や溝底面から剪断力を受ける。このため、充填材は、溝部の延在方向に略配向する。この状態で溶融樹脂が固化することにより、複数の溝部と型対称な、複数のリブが形成される。リブの内部において、充填材はリブの延在方向に略配向している。このように、本発明の防振部材の成形方法によると、充填材の配向性を向上させることができる。このため、配向方向に対して、樹脂部材延いては防振部材の強度(引っ張り強度、曲げ強度など)を向上させることができる。
また、本発明の防振部材の成形方法によると、リブ自体の凹凸形状効果と、充填材の配向効果と、が相俟って、防振部材の強度を大きく向上させることができる。また、本発明の防振部材の成形方法によると、ゴム弾性部材の溝部と、樹脂部材のリブと、が互いに噛合している。このため、ゴム弾性部材と樹脂部材とが分離しにくい。また、溝部は、キャビティのゲート直近以外の部分において、横断方向に延在していない。すなわち、キャビティのゲート直近以外の部分において、キャビティの延在方向に対して、溝部の延在方向が直交していない。このため、溝部が溶融樹脂の流れを妨げにくい。
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、前記溝部の延在方向に直交する方向を直交方向として、前記溝部延在区間における該直交方向の流路幅は、5mm以上である構成とする方がよい。
流路幅を5mm以上としたのは、5mm未満の場合、キャビティの型面から流路中央までの距離が短いため、敢えて溝部を設けなくても、型面からの剪断力により充填材が配向しやすいからである。
(3)好ましくは、上記(1)または(2)の構成において、前記溝部の溝幅は、2.5mm以上10mm以下である構成とする方がよい。
溝幅を2.5mm以上にしたのは、2.5mm未満の場合、リブの形状効果および配向効果が小さく、それほど強度が向上しないからである。溝幅を10mm以下にしたのは、10mm超過の場合、配向効果が小さく、それほど強度が向上しないからである。
(4)好ましくは、上記(1)ないし(3)のいずれかの構成において、前記溝部の溝深さは、1mm以上5mm以下である構成とする方がよい。
溝深さを1mm以上にしたのは、1mm未満の場合、リブの形状効果および配向効果が小さく、それほど強度が向上しないからである。溝深さを5mm以下にしたのは、5mm超過の場合、ゴム弾性部材の溝深さ方向の肉厚が大きくなり、ゴム弾性部材、延いては防振部材が大型化するからである。
(5)好ましくは、上記(1)ないし(4)のいずれかの構成において、前記溝部の溝幅は、溝深さ以上である構成とする方がよい。
溝幅を溝深さ以上としたのは、溝幅が溝深さ未満の場合、溝部の表面に接着剤を塗布するのが困難だからである。
(6)また、上記課題を解決するため、本発明の防振部材は、周方向に互いに平行に延在する複数の溝部を外周面に有する筒状のゴム弾性部材と、該ゴム弾性部材の径方向外側に配置され、複数の該溝部に噛合し、周方向に互いに平行に延在する複数のリブを内周面に有する筒状の樹脂部材と、を一体的に備える防振部材であって、前記樹脂部材は、樹脂製の母材と、該母材に分散される異方性の固体の充填材と、を有し、複数の前記リブに充填される該充填材は、周方向に略配向していることを特徴とする。
本発明の防振部材によると、リブ自体の凹凸形状効果と、充填材の配向効果と、が相俟って、ゴム弾性部材周囲の強度を大きく向上させることができる。特に、配向方向に対して、防振部材の強度を大きく向上させることができる。また、本発明の防振部材によると、ゴム弾性部材の溝部と、樹脂部材のリブと、が互いに噛合している。このため、ゴム弾性部材と樹脂部材とが分離しにくい。
本発明によると、充填材の配向性を向上させることができ、かつゴム弾性部材を樹脂部材に組み付ける工程が不要な防振部材の成形方法および防振部材を提供することができる。
キャビティの模式図である。 本発明の一実施形態のエンジンマウントの成形方法に用いる金型の型開き状態における斜視図である。 同金型の可動型の型締め状態における斜視図である。 同可動型の型締め状態における右面図である。 本実施形態のエンジンマウントの斜視図である。 図5のVI−VI方向破断面の模式図である。 (a)は繊維タイプの充填材の斜視図である。(b)は薄板タイプの充填材の斜視図である。(c)は楕円球タイプの充填材の斜視図である。
以下、本発明の防振部材の成形方法および防振部材を、エンジンマウントの成形方法およびエンジンマウントとして具現化した実施の形態について説明する。
[エンジンマウントの成形方法に用いる金型]
まず、本実施形態のエンジンマウントの成形方法に用いる金型について説明する。
(金型の構成)
まず、金型の構成について説明する。図2に、本実施形態のエンジンマウントの成形方法に用いる金型の型開き状態における斜視図を示す。なお、固定型20については、左面付近のみを示す。図3に、同金型の可動型の型締め状態における斜視図を示す。図4に、同可動型の型締め状態における右面図を示す。
図2〜図4に示すように、金型1は、固定型20と、可動型21と、凹部用スライドコア280F、280Rと、ナット固定用スライドコア281と、を備えている。
固定型20は、クロムモリブデン鋼製であって、直方体のブロック状を呈している。可動型21は、クロムモリブデン鋼製であって、長方形板状を呈している。固定型20の左面と可動型21の右面とが当接することにより、固定型20と可動型21との間に、ランナー290とキャビティ292と前方凹部293Fと後方凹部293Rと下方凹部294とが形成されている。
固定型20には、左右方向に延在するスプルー200が穿設されている。すなわち、スプルー200の左端は、固定型20の左面に開口している。ランナー290は、当該スプルー200の左端とキャビティ292とを連結している。
キャビティ292は、固定型20左面および可動型21右面の、略中央に配置されている。可動型21の右面からは突起295Lが突設されている。突起295Lは、キャビティ292内に配置されている。型締め状態において、突起295Lの先端は、固定型20の左面に当接している。突起295Lには、ゴム製であって筒状のゴム弾性部材296が装着されている。ゴム弾性部材296には、合計6本の溝部296aが凹設されている。6本の溝部296aは、ゴム弾性部材296の前方から上方を介して後方に亘る、略270°の区間に、周方向に延在している。6本の溝部296aは、左右方向に並設されている。図4に示すように、これら6本の溝部296aが配置されている略270°に亘る区間が、溝部延在区間296bである。ゴム弾性部材296の径方向内側には、金属製の円筒部材297が加硫接着されている。
前方凹部293Fはキャビティ292の前方に、後方凹部293Rはキャビティ292の後方に、それぞれ連なっている。前方凹部293Fには、凹部用スライドコア280Fが、後方凹部293Rには凹部用スライドコア280Rが、それぞれ前後方向に移動可能に収容されている。
下方凹部294は、キャビティ292の下方に連なっている。下方凹部294には、ナット固定用スライドコア281が、上下方向に移動可能に収容されている。ナット固定用スライドコア281の上面には、前記一対の突起282が配置されている。突起282には、ナット283が環装されている。
(金型の動き)
次に、金型1の動きについて説明する。金型1は、型開き状態と型締め状態とに切り替え可能である。
型開き状態においては、図2に示すように、固定型20を基準に、可動型21が左方に離間している。また、前方凹部293Fの固定型20側部分においては、前方凹部293Fの前部に、凹部用スライドコア280Fが待機している。並びに、後方凹部293Rの固定型20側部分においては、後方凹部293Rの後部に、凹部用スライドコア280Rが待機している。また、下方凹部294の固定型20側部分においては、下方凹部294の下部に、ナット固定用スライドコア281が待機している。
型開き状態から型締め状態に切り替える際は、可動型21の右面を、固定型20の左面に、当接させる。可動型21を固定型20に当接させることにより、固定型20と可動型21との間に、ランナー290とキャビティ292と前方凹部293Fと後方凹部293Rと下方凹部294とが形成される。
また、可動型21と固定型20との当接に並行して、前方凹部293Fにおいて、前方凹部293Fの後部に、凹部用スライドコア280Fを移動させる。凹部用スライドコア280Fの後部は、キャビティ292に進入する。並びに、後方凹部293Rにおいて、後方凹部293Rの前部に、凹部用スライドコア280Rを移動させる。凹部用スライドコア280Rの前部は、キャビティ292に進入する。また、下方凹部294において、下方凹部294の上部に、ナット固定用スライドコア281を移動させる。ナット固定用スライドコア281の上部は、キャビティ292に進入する。このようにして、金型1を、型開き状態から型締め状態に切り替える。なお、金型1を、型締め状態から型開き状態に切り替える場合は、上記一連の過程を逆方向に実行する。
[樹脂流路]
次に、金型1に形成される樹脂流路について説明する。樹脂流路90は、型締め状態の金型1の内部に形成されている。樹脂流路90は、上流側から下流側に向かって、スプルー200と、ランナー290と、ゲート25と、キャビティ292と、を備えている。キャビティ292における樹脂流路90の流路方向は、キャビティ292の延在方向、つまりゴム弾性部材296を中心とする周方向である。なお、横断方向は、ゴム弾性部材296を中心とする周方向に直交する、ゴム弾性部材296の肉厚方向(左右方向)である。
[エンジンマウントの成形方法]
次に、本実施形態のエンジンマウントの成形方法について説明する。本実施形態のエンジンマウントの成形方法は、型締め工程と注入工程と型開き工程とを有している。
(型締め工程)
まず、型締め工程について説明する。型締め工程においては、金型1を、図2に示す型開き状態から、図3、図4に示す型締め状態に、切り替える。
具体的には、まず、突起295Lに、予め円筒部材297が加硫接着されたゴム弾性部材296を、装着する。なお、ゴム弾性部材296の表面において、キャビティ292に露出する部分には、接着剤が塗布されている。
次いで、固定型20に対して、可動型21を左方から当接させる。それから、前方凹部293F内において、凹部用スライドコア280Fを後方に移動させる。また、後方凹部293R内において、凹部用スライドコア280Rを前方に移動させる。また、下方凹部294内において、ナット283装着済みのナット固定用スライドコア281を上方に移動させる。
(注入工程)
次に、注入工程について説明する。注入工程においては、成形機のノズルから、樹脂流路90に、溶融樹脂を注入する。溶融樹脂は、ナイロン66と、ガラス繊維と、を備えている。ナイロン66は、本発明の母材に含まれる。ガラス繊維は、本発明の充填材に含まれる。ガラス繊維は、溶融状態のナイロン66に分散している。成形機のシリンダ温度は約290℃である。また、金型1の温度は約80℃である。
ゲート25を通過した溶融樹脂は、まずゴム弾性部材296の外周面に衝突し、次いで前出図1に示すように、放射方向に拡散する。それから、二手(前下方と後上方)に分流する。その後、溶融樹脂は、ゴム弾性部材296の外周面に沿って、周方向に流動する。この際、溶融樹脂は、ゴム弾性部材296の6本の溝部296aを、溝部296aの延在方向に沿って流動する。キャビティ292全体に行き渡った溶融樹脂は、そのまま冷却、固化される。
(型開き工程)
次に、型開き工程について説明する。型開き工程においては、金型1を、図3、図4に示す型締め状態から、図2に示す型開き状態に、再び切り替える。
具体的には、図4に示すように、まず、前方凹部293F内において、凹部用スライドコア280Fを前方に移動させる。また、後方凹部293R内において、凹部用スライドコア280Rを後方に移動させる。また、下方凹部294内において、ナット固定用スライドコア281を下方に移動させる。次いで、固定型20に対して、可動型21を左方に離間させる。その後、ゲートカットが施され、エンジンマウントが完成する。
[エンジンマウント]
次に、本実施形態のエンジンマウントについて説明する。図5に、本実施形態のエンジンマウントの透過斜視図を示す。以下に説明するエンジンマウント70は、模式的なものである。
図5に示すように、本実施形態のエンジンマウント70は、樹脂部材700と、ゴム弾性部材296と、円筒部材297と、を一体的に備えている。エンジンマウント70の上下方向長さW1は110mmである。エンジンマウント70の前後方向長さW2は100mmである。エンジンマウント70の左右方向長さW3は50mmである。エンジンマウント70の径方向肉厚W4の最小値は、15mmである。
エンジンマウント70は、車両のエンジンを車体に固定するために用いられる。すなわち、円筒部材297の径方向内側に挿通される連結部材は、エンジンに接続されている。一方、樹脂部材700は、車体に固定されている。エンジンマウント70により、エンジンの振動が車体に伝わるのを抑制することができる。樹脂部材700の外周面には、円形のゲートカット跡GCが形成されている。
図6に、図5のVI−VI方向破断面の模式図を示す。図6に示すように、ゴム弾性部材296の外周面には、6本の溝部296aが凹設されている。これに対して、樹脂部材700の内周面には、6本のリブ700aが突設されている。リブ700aは、溝部296aで固化した溶融樹脂により、形成されている。
樹脂部材700のうち、リブ700aを除く部分の径方向肉厚W5は、11mmである。リブ700aの径方向高さ(=溝部296aの溝深さ)W6は3mmである。リブ700aの左右方向幅(=溝部296aの溝幅)W7は4mmである。隣り合う一対のリブ700a間の間隔(=隣り合う一対の溝部296a間の間隔)W8は4mmである。左右方向両端から、直近のリブ700a(=直近の溝部296a)までの距離W9は3mmである。
破断面701には、スキン層702とコア層703とが配置されている。スキン層702は、破断面701の外縁の形状に沿って、枠状に配置されている。また、スキン層702は、6本のリブ700aの全体に配置されている。スキン層702においては、ガラス繊維が周方向に配向している。コア層703は、左右方向に長い楕円状を呈している。コア層703は、スキン層702の内側に配置されている。コア層703においては、ガラス繊維が一定の方向に配向していない。
なお、破断面701は、一例として、引っ張り試験などにより樹脂部材700を径方向に破断(切断ではない)させることにより、観察することができる。ガラス繊維の配向性が高いほど、破断面701におけるガラス繊維の毛羽立ちの程度がより高くなる。
[作用効果]
次に、本実施形態のエンジンマウント70の成形方法およびエンジンマウント70の作用効果について説明する。
本実施形態のエンジンマウント70の成形方法は、型締め工程と注入工程と型開き工程とを有している。型締め工程においては、円筒部材297が加硫接着されたゴム弾性部材296を、キャビティ292に配置する。注入工程においては、ガラス繊維入りの溶融樹脂を、キャビティ292に注入し、固化させる。型開き工程においては、溶融樹脂が固化して形成された樹脂部材700と、ゴム弾性部材296と、円筒部材297と、が一体化されたエンジンマウント70を、キャビティ292から取り出す。
本実施形態のエンジンマウント70の成形方法によると、樹脂部材700の成形と並行して、樹脂部材700とゴム弾性部材296とを一体化することができる。このため、別々に作製したゴム弾性部材296と樹脂部材700とを合体させる場合と比較して、工数が少なくなる。
また、注入工程において、ガラス繊維入りの溶融樹脂は、ゴム弾性部材296の溝部296aを流動する。この際、充填材は、溝部296aの溝側面や溝底面から、剪断力を受ける。このため、ガラス繊維は、溝部296aの延在方向に略配向する。この状態で溶融樹脂が固化することにより、6本の溝部296aと型対称な、6本のリブ700aが形成される。リブ700aの内部において、ガラス繊維はリブ700aの延在方向に略配向している。このように、本実施形態のエンジンマウント70の成形方法によると、ガラス繊維の配向性を向上させることができる。このため、配向方向(ゴム弾性部材296の周方向)に対して、樹脂部材700延いてはエンジンマウント70の強度(引っ張り強度、曲げ強度など)を向上させることができる。
また、本実施形態のエンジンマウント70の成形方法によると、リブ700a自体の凹凸形状効果と、ガラス繊維の配向効果と、が相俟って、エンジンマウント70の強度を大きく向上させることができる。また、本実施形態のエンジンマウント70の成形方法によると、ゴム弾性部材296の溝部296aと、樹脂部材700のリブ700aと、が互いに噛合している。このため、ゴム弾性部材296と樹脂部材700とが分離しにくい。
また、溝部296aはゴム弾性部材296に凹設されている。このため、リブ700a形成用の溝部を、敢えてキャビティ292の型面に凹設する必要がない。また、型面に溝部を配置する場合、型開き工程においてリブ700aがアンダカットにならないように、溝部の形状や延在方向などが規制される。これに対して、ゴム弾性部材296は、最終的には樹脂部材700と一体化される。このため、ゴム弾性部材296に溝部296aを凹設する場合、型開き工程においてリブ700aがアンダカットになりえない。したがって、溝部296aの形状や延在方向などが規制されない。
また、本実施形態のエンジンマウント70の成形方法によると、図4に示す溝部延在区間296bにおける径方向の流路幅(=図6に示す樹脂部材700の径方向肉厚(W5+W6)は、14mmである。このように、流路幅が5mm以上あるにもかかわらず(エンジンマウント70の肉厚が厚いにもかかわらず)、溝部296aを設けることにより、ガラス繊維の配向性を向上させることができる。
また、図6に示すように、溝部296aの溝幅は4mmである。このため、溝部296aの全体に亘って、ガラス繊維の配向性を向上させることができる。また、溝部296aの溝深さは3mmである。このため、溝部296aの全体に亘って、ガラス繊維の配向性を向上させることができる。また、溝幅の方が溝深さよりも長い。このため、ゴム弾性部材296の表面に接着剤を塗布する際、溝部296aの表面(溝側面および溝底面)に接着剤を塗布しやすい。
ところで、エンジンマウント70においては、図5に示すように、円筒部材297に荷重F1が加わる。このため、樹脂部材700には、径方向内側から応力が加わる。この点、本実施形態のエンジンマウント70によると、図6に示すように、樹脂部材700の内周面にリブ700aが配置されている。このため、エンジンマウント70は、径方向内側からの荷重F1に対して、特に高い強度を有している。
また、リブ700aのガラス繊維は、リブ700aの延在方向(円筒部材297の周方向)に配向している。このため、径方向内側から荷重F1が加わる場合、ガラス繊維には、引っ張り応力が繊維長方向に加わることになる。すなわち、引っ張り強度が最大である方向に、ガラス繊維に引っ張り応力が加わることになる。この点においても、エンジンマウント70は、径方向内側からの荷重F1に対して、特に高い強度を有している。
また、本実施形態のエンジンマウント70の成形方法によると、図4に示すように、溝部296aおよびキャビティ292は、共にゴム弾性部材296を中心とする周方向に延在している。すなわち、溝部296aの延在方向とキャビティ292の延在方向とは一致している。このため、溝部296aが溶融樹脂の流れを妨げにくい。
[その他]
以上、本実施形態のエンジンマウント70の成形方法およびエンジンマウント70の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
溶融樹脂の母材の種類は特に限定しない。例えば、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン610、ナイロン612、芳香族ナイロンなど)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、ポリアセタール、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイドなどを用いることができる。
また、溶融樹脂の充填材の種類も特に限定しない。例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、金属繊維、炭化珪素繊維、ワラストナイト、ウイスカー、カオリナイト、タルク、マイカ、モンモリロナイト、クレー、カーボンナノチューブなどを用いることができる。
また、充填材の形状も特に限定しない。図7(a)に示すように、繊維タイプの充填材800を用いてもよい。また、図7(b)に示すように、薄板タイプの充填材801を用いてもよい。また、図7(c)に示すように、楕円球タイプの充填材802を用いてもよい。すなわち、充填材の形状は、異方性を有していればよい。また、金型1の材質も特に限定しない。
また、金型1におけるゲート25の位置も特に限定しない。例えば、環状のキャビティ292に対して、接線方向から連通するように、ゲート25を開設してもよい。すなわち、溶融樹脂が、ゴム弾性部材296の周囲を周方向に流動すればよい。
また、ゴム弾性部材296の材質も特に限定しない。天然ゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、エチレン・プロピレンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴムなどを用いることができる。
また、溝部296a、リブ700aの断面形状、本数、延在方向、ピッチなども特に限定しない。例えば、断面形状は、コ字状、U字状、C字状、V字状などでもよい。
また、本実施形態のエンジンマウント70の成形方法の成形条件も特に限定しない。例えば、成形機のシリンダ温度や金型温度などは、使用する溶融樹脂の特性やエンジンマウント70のスペックなどに応じて、適宜設定すればよい。また、本発明の防振部材の成形方法を用いて、トルクロッド、スタビライザーリンクロッドなどの防振部材を作製してもよい。
1:金型。
20:固定型、21:可動型、25:ゲート、50:ゲート、51:キャビティ、70:エンジンマウント(防振部材)、90:樹脂流路、200:スプルー、280F:凹部用スライドコア、280R:凹部用スライドコア、281:ナット固定用スライドコア、282:突起、283:ナット、290:ランナー、292:キャビティ、293F:前方凹部、293R:後方凹部、294:下方凹部、295L:突起、296:ゴム弾性部材、296a:溝部、296b:溝部延在区間、297:円筒部材、510:型面、700:樹脂部材、700a:リブ、701:破断面、702:スキン層、703:コア層、800:充填材、801:充填材、802:充填材。
F1:荷重、GC:ゲートカット跡。

Claims (6)

  1. キャビティの延在方向に直交する方向を横断方向として、
    該キャビティに、該横断方向に交差して互いに平行に延在する複数の溝部を有するゴム弾性部材を配置することにより、該キャビティに溝部延在区間を区画し、金型を締める型締め工程と、
    樹脂製の母材と、該母材に分散される異方性の形状を有する固体の充填材と、を有する溶融樹脂を該キャビティに注入し、複数の該溝部に沿って該溶融樹脂を流動させることにより、該溝部を流動する該充填材を該溝部の延在方向に略配向させた状態で、該溶融樹脂を固化させる注入工程と、
    該金型を開き、該ゴム弾性部材と、複数の該溝部により形成される複数のリブを有する樹脂部材と、が一体化された防振部材を、取り出す型開き工程と、
    を有する防振部材の成形方法。
  2. 前記溝部の延在方向に直交する方向を直交方向として、
    前記溝部延在区間における該直交方向の流路幅は、5mm以上である請求項1に記載の防振部材の成形方法。
  3. 前記溝部の溝幅は、2.5mm以上10mm以下である請求項1または請求項2に記載の防振部材の成形方法。
  4. 前記溝部の溝深さは、1mm以上5mm以下である請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の防振部材の成形方法。
  5. 前記溝部の溝幅は、溝深さ以上である請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の防振部材の成形方法。
  6. 周方向に互いに平行に延在する複数の溝部を外周面に有する筒状のゴム弾性部材と、
    該ゴム弾性部材の径方向外側に配置され、複数の該溝部に噛合し、周方向に互いに平行に延在する複数のリブを内周面に有する筒状の樹脂部材と、
    を一体的に備える防振部材であって、
    前記樹脂部材は、樹脂製の母材と、該母材に分散される異方性の形状を有する固体の充填材と、を有し、
    複数の前記リブに充填される該充填材は、周方向に略配向していることを特徴とする防振部材。
JP2010079720A 2010-03-30 2010-03-30 防振部材の成形方法および防振部材 Active JP5520658B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010079720A JP5520658B2 (ja) 2010-03-30 2010-03-30 防振部材の成形方法および防振部材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010079720A JP5520658B2 (ja) 2010-03-30 2010-03-30 防振部材の成形方法および防振部材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011207182A JP2011207182A (ja) 2011-10-20
JP5520658B2 true JP5520658B2 (ja) 2014-06-11

Family

ID=44938782

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010079720A Active JP5520658B2 (ja) 2010-03-30 2010-03-30 防振部材の成形方法および防振部材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5520658B2 (ja)

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3232387B2 (ja) * 1994-11-17 2001-11-26 ポリプラスチックス株式会社 溝付き樹脂成形品及びその成形方法
JP2001260171A (ja) * 2000-03-21 2001-09-25 Toyo Tire & Rubber Co Ltd 防振ゴム部材の製造方法及び防振ゴム部材
JP2002086509A (ja) * 2000-09-08 2002-03-26 Daicel Chem Ind Ltd 繊維状充填材を含有する樹脂組成物の成形用金型とそれを用いる成形方法、樹脂成形品

Also Published As

Publication number Publication date
JP2011207182A (ja) 2011-10-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101727359B1 (ko) 복합소재 일체형 루프랙
WO2018070504A1 (ja) 防振装置
WO2011037146A1 (ja) 樹脂成形方法および樹脂成形品
JP5520658B2 (ja) 防振部材の成形方法および防振部材
JP5576326B2 (ja) 防振装置
JP2009115109A (ja) 防振連結ロッド
JP2007076032A (ja) サスペンションサポートの製造方法及び成形型
CN204592103U (zh) 减震垫
JP4607938B2 (ja) 防振連結ロッド
JP2007292150A (ja) ゴムマウント
JP2014213746A (ja) 乗り物用シート装置
US20190234483A1 (en) Vibration-damping device
CN205239135U (zh) 一种发动机悬置总成及汽车
JP7258539B2 (ja) ブラケット
JP3714427B2 (ja) ブラケット一体型エンジンマウント
JP2014015076A (ja) 乗り物用シート装置
KR102017111B1 (ko) 복합재 도어 인너 패널
JP5427096B2 (ja) ダイナミックダンパ
JP6541378B2 (ja) バンパ構造体
JP5918602B2 (ja) 防振ブッシュ
JP5989428B2 (ja) 乗り物用シート装置
JP7415599B2 (ja) 成形構造体
JPH06173990A (ja) 樹脂製ブラケット一体形の防振装置
JP2010111306A (ja) 溶着リブを用いた2部品の固定構造
CN110274019B (zh) 树脂密封构件及树脂密封构件的模具

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20121205

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140114

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140115

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140305

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140325

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140407

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5520658

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350