JP5519947B2 - 帯域通過フィルタ - Google Patents

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Description

本発明は、マイクロ波帯ミリ波帯で使用される通信装置に用いられる誘電体共振器を用いた帯域通過フィルタ、特に減衰特性が急峻で、かつ通過帯域における群遅延時間偏差特性が良好な帯域通過フィルタに関する。
誘電体共振器を用いた帯域通過フィルタは、通過帯域内挿入損失が少なく、帯域外減衰を多くとれる帯域通過フィルタとして、近年、携帯電話基地局装置、テレビジョン中継装置等、各種無線通信装置のアンテナ端分波フィルタとして多く用いられてきた。
さらに、従来のアナログ通信装置は、通過帯域内挿入損失および通過帯域内リップルの低減が重要視されていたが、昨今の通信装置のディジタル化に伴い、通信装置の変調方式に位相変調方式が多く採用されている為、誘電体共振器を用いた帯域通過フィルタには、周波数通過特性の他に、通過帯域内の群遅延時間偏差特性の向上が要求されている。
図1は、従来の折り返し構造の6素子帯域通過フィルタの構成図である。図1において、(A)は誘電体共振器が設けられた外導体ケース1Aの斜視図、(B)は導体蓋1Bの斜視図、(C)は誘電体共振器が設けられた外導体ケース1Aの平面図である。
この帯域通過フィルタは、2列に配列された6個のTE01モード誘電体共振器2〜7を有している。誘電体共振器5、6、7の配置は、誘電体共振器2、3、4の配置に対し、折り返した構造となっている。
各誘電体共振器は、外導体ケース1A内に加工された、各々の空胴に装着されている。1番目、6番目の誘電体共振器2、7が備え付けられた空胴には、入力結合用プローブ8および出力結合用プローブ9が配置されている。各空胴には、入力から出力に至る一続きの方向において隣り合う空胴間の壁(遮蔽壁)に結合窓10〜14が各々切欠き加工されている。
誘電体共振器4では、入力用の結合窓11と出力用の結合窓12との配置は90度ずれている。また、誘電体共振器5では、入力用の結合窓12と出力用の結合窓13との配置は90度ずれている。
入力コネクタ(または入力端子)17より入力された電気信号は、入力結合用プローブ8を介し、誘電体共振器2へ伝達される。誘電体共振器2へ伝達された入力信号は、誘電体共振器2の形状にて決定される周波数(共振周波数f)付近の周波数の信号のみ、結合窓10を介して誘電体共振器3へ伝達される。誘電体共振器3に伝達された入力信号は、同様に誘電体共振器3の形状により決定される信号周波数(共振周波数f)付近の信号周波数のみ、結合窓11を介して誘電体共振器4へ伝達される。
各々順次伝達された入力信号は、最終的に誘電体共振器7に到達し、入力信号の伝達時とは逆に、出力結合用プローブ9へ伝達され、出力コネクタ(または出力端子)18を介して、後段の装置へ伝達される。
各誘電体共振器2〜7は、外導体ケース1Aと導体蓋1Bとにより電磁界的に覆い被され、電磁界が結合窓以外に漏れないように、導体蓋1Bは外導体ケース1Aに、機械的固定ねじ21により堅固に固定される構造となっている。
導体蓋1Bには、さらに、各共振器2〜7の共振周波数調整用ねじ22および結合窓10〜14の結合量調整用ねじ23が配置されており、調整用ねじ22、23の先端が、外導体ケース1A内部の空胴および結合窓にそれぞれ入り込むことにより、電磁界を制御し、微小な調整ができるようになっている。
調整用ねじ22、23を調整することで、所望の共振周波数および結合量を得ることにより、所望の周波数帯域の信号を通過させ、それ以外の信号を減衰させる帯域通過フィルタを構成できる。
今日、誘電体共振器の共振インピーダンスが10Ωの場合、多くの通信装置に用いられる高周波フィルタは、通過帯域平坦度を重視する為、通過帯域平坦特性型を用いることが多い。また、通信装置が使用する周波数の高密度化により、隣接チャンネル弁別度の要求は高くなってきている。これらの要求を満足する為、帯域外に減衰極を作る飛び越し結合型フィルタ設計技術がある。
図2は、図1の帯域通過フィルタに飛び越し結合型フィルタ設計技術を用いた、帯域通過フィルタの構成図である。図2において、(A)は誘電体共振器が設けられた外導体ケース1Aの斜視図、(B)は平面図である。
2番目の誘電体共振器3が設けられた空洞と、5番目の誘電体共振器6が設けられた空洞との間の遮蔽壁に、貫通穴が設けられており、飛び越し結合用プローブ15Bが貫通穴に固定されている。
飛び越し結合用プローブ15Bは、例えば外導体と内導体を有するセミリジットケーブルを、中央部分に外導体を残し、両側部分の外導体を剥がし内導体を露出させたものである。結合用プローブ15Bは貫通穴に挿入され、外導体が貫通穴の内壁に半田等で固定されている。両側の内導体は誘電体共振器2、6の各々の側面を這うように配置され、両端は解放されている。この結合用プローブ15Bによって、各誘電体共振器のメインの結合窓10〜14とは別に、飛び越して信号電力を伝達する構造となっている。
図3は、図2に示した従来の帯域通過フィルタの集中定数等価回路を示す図である。集中定数等価回路は、最も一般的に使用されている帯域通過フィルタの計算モデルである。図3において、図2の結合用プローブ15Bに相当する容量素子115は、2番目の共振器3と5番目の共振器6とを飛び越し結合させている。
図2に示す誘電体共振器2〜7を、各々、1/4λショートスタブ104〜109(107)で等価的に表している。1/4λショートスタブは、線路長Lresが誘電体共振器の共振周波数fにおける1/4波長を表し、その特性インピーダンスが誘電体共振器の共振インピーダンスZresを表している。抵抗素子117は、各誘電体共振器のQを等価的に表現する抵抗値Rresを表している。
集中定数素子101、誘導素子102、103は、信号入力部での入力結合用プローブ8を、等価的に表している。
集中定数素子110〜114は、共振器間の結合をする結合窓10〜14を、各々ジャイレータで等価的に表している。その線路長Ljは、誘電体共振器の線路長Lresと同一であり、その特性インピーダンスはジャイレータインピーダンスと呼ばれ、Zjで表す。
容量素子115は、結合用プローブ15Bの作用を等価的に表現している。
誘導素子118、119、集中定数素子120は、信号出力部での出力結合用プローブ9を表している。
誘電体共振器の共振インピーダンスZresとジャイレータインピーダンスZjとの比率で、各誘電体共振器間の結合量を表すことができる。また、各誘電体共振器間の結合量を適正化することで、通過帯域平坦特性(ButterWorth特性)、通過帯域等リップル特性(Chebysheff特性)等のフィルタ特性を実現できる。
図4は、図2および図3に示した共振インピーダンスZresが10Ωの誘電体共振器を有する帯域通過フィルタにおいて、容量素子115の容量値C_cplを変化させた場合の周波数特性を示す。(A)は周波数通過特性を、(B)は通過帯域を拡大して示す周波数通過特性を、(C)は周波数群遅延時間特性を示す。
図4(A)に示すように、容量値C_cplが0.0003pFの場合に±50MHz付近に、0.0005pFの場合に±40MHz付近に、0.0007pFの場合に±30MHz付近に減衰極が得られ、減衰特性を向上させていることが解る。また、図4(B)からも解るように、容量値C_cplが変化しても、通過帯域は平坦であり安定している。
このように、飛び越し結合方式は、帯域内特性はそのままで帯域外減衰特性のみを向上させるという非常に有効な設計手段である。
飛び越し結合方式を用いた帯域通過フィルタでは、図4(C)に示すように、帯域外減衰極が通過帯域に近い程、帯域内の群遅延時間偏差は悪化していることが解る。
前述したように、近年、通信装置のディジタル化に伴い、位相変調方式が多く採用されている中、高周波フィルタは狭通過帯域幅、高隣接チャンネル減衰量、帯域内低群遅延時間偏差の要求が高くなってきている。
本発明の目的は、折り返し構造の帯域通過フィルタにおいて、帯域外減衰量を向上させる飛び越し結合をさらに改良し、帯域内群遅延時間偏差特性を向上させながら、減衰極を通過帯域に近づけ、通過帯域近傍に急峻な帯域外減衰特性を得ることができる帯域通過フィルタを提供することにある。
本発明は、結合窓による電磁界結合と、プローブによる電界結合とを同時に用いることにより、優れた帯域外減衰特性とともに帯域内群遅延時間偏差特性を得るようにしたものである。
このため本発明の帯域通過フィルタは、遮蔽壁で隔離された4個以上の空胴が折り返し構造で形成された導電性を有する外導体ケースと、外導体ケースに設けられた入力端子および出力端子と、空胴の内壁から隔離して、空胴の内部にそれぞれ配置された誘電体共振器と、誘電体共振器同士が入力端子と出力端子との間で一続きに結合されるように、隣り合う空胴間の遮蔽壁に切欠きにより形成された結合窓と、一続きの結合を飛び越して、隣り合う誘電体共振器同士が結合されるように、隣り合う空胴間の遮蔽壁に切欠きにより形成された飛び越し結合窓と、飛び越し結合窓を介して設けられ、剥き出しの導線で平面視略S字状に構成される結合用プローブとを備え、導線は、飛び越し結合窓を介して隣り合う各誘電体共振器の側面に近接して配置され、導線の両端部は、隣り合う各誘電体共振器が設けられている各空胴の底面に固定されることを特徴とする。
本発明によれば、飛び越し結合窓と前記結合用プローブとによって、帯域外減衰特性を維持しながら、通過帯域内の良好な群遅延時間偏差特性を得ることが可能となる。
従来の折り返し構造の6素子帯域通過フィルタの構成図であり、(A)は誘電体共振器が設けられた外導体ケースの斜視図、(B)は導体蓋の斜視図、(C)は誘電体共振器が設けられた外導体ケースの平面図である。 図1の帯域通過フィルタに飛び越し結合型フィルタ設計技術を用いた、帯域通過フィルタの構成図であり、(A)は誘電体共振器が設けられた外導体ケースの斜視図、(B)は平面図である。 図2に示した従来の帯域通過フィルタの集中定数等価回路を示す図である。 図2および図3に示した共振インピーダンスZresが10Ωの誘電体共振器を有する帯域通過フィルタにおいて、容量結合素子の容量値C_cplを変化させた場合の周波数特性を示す図であり、(A)は周波数通過特性を、(B)は通過帯域を拡大して示す周波数通過特性を、(C)は周波数群遅延時間特性を示す。 本発明の一実施例である6素子帯域通過フィルタの構成図であり、(A)は誘電体共振器が設けられた外導体ケースの斜視図、(B)は平面図である。 飛び越し結合窓に設けられた結合用プローブを示す図である。 外導体ケースと導体蓋とを示す図である。 図5の帯域通過フィルタの集中定数等価回路図を示す図である。 ジャイレータのみで飛び越し結合させた帯域通過フィルタの構造を示す図であり、(A)は誘電体共振器が設けられた外導体ケースの斜視図、(B)は平面図である。 図9の帯域通過フィルタの集中定数等価回路図である。 飛び越し結合窓を介したTE01モード誘電体共振器の電磁界結合の状態を示す図である。 ジャイレータ116の特性インピーダンスZj_cplを、1MΩ、100kΩ、50kΩ、30kΩと変化させた場合の周波数特性を示す図であり、(A)は周波数通過特性を、(B)は通過帯域を拡大して示す周波数通過特性を、(C)は周波数群遅延時間特性を示す。 図7の帯域通過フィルタの周波数特性を示す図であり、(A)は周波数通過特性図、(B)は周波数群遅延時間特性図である。
図5〜図7は、本発明における帯域通過フィルタの実施例を示す図である。
本実施例の帯域通過フィルタは、図2に示した従来の帯域通過フィルタとは、飛び越し結合窓に設ける点と、この結合窓を貫通する結合用プローブの取り付け方法および構造が異なる。その他の構造は図2に示した帯域通過フィルタと同じであり、したがって図2の構成要素と同じ構成要素には同一の参照番号を付して示す。
図5は、本実施例の6素子帯域通過フィルタの構成図である。図5において、(A)は誘電体共振器が設けられた外導体ケース1Aの斜視図、(B)は誘電体共振器が設けられた外導体ケース1Aの平面図である。
この帯域通過フィルタは、2列に配列された6個のTE01モード誘電体共振器2〜7を有している。誘電体共振器5、6、7の配置は、誘電体共振器2、3、4の配置に対し、折り返した構造となっている。
各誘電体共振器は、外導体ケース1A内に加工された、各々の空胴に装着されている。隣り合う誘電体共振器が設けられている空胴間の遮蔽壁に結合窓10〜14が各々切欠き加工されている。誘電体共振器4では、入力用の結合窓11と出力用の結合窓12との配置は90度ずれている。また、誘電体共振器5では、入力用の結合窓12と出力用の結合窓13との配置は90度ずれている。
1番目、6番目の誘電体共振器2、7が備え付けられた空胴には、入出結合用プローブ8および出力結合用プローブ9が配置されている。
2番目の誘電体共振器3が設けられている空胴と、5番目の誘電体共振器6が設けられている空胴との間を遮蔽する遮蔽壁に切欠き(飛び越し結合窓)16を作り、この飛び越し結合窓を貫通して結合用プローブ15Aを設ける。結合用プローブ15Aは、導電材料よりなる導線で構成される。
図6に示すように、結合用プローブ15Aは、飛び越し結合窓16を跨ぎ、その両側部分は、それぞれ、誘電体共振器3、6の側面を通り、その両端は、誘電体共振器3、6を囲む空胴の底面に半田付けされる。結合用プローブ15Aの配置を調整することによって、飛び越し結合容量を変更することができる。
なお、結合用プローブ15Aの両端は、外導体の底面に直接固定される為、図2の従来の結合用プローブ15Bのようにセミリジッド型のプローブではなく、剥き出しの導線でよいという利点がある。
入力コネクタ17より入力された電気信号は、入力結合用プローブ8を介し、誘電体共振器2へ伝達される。誘電体共振器2へ伝達された入力信号は、誘電体共振器2の形状にて決定される周波数(共振周波数f)付近の周波数の信号のみ、結合窓10を介して誘電体共振器3へ伝達される。誘電体共振器3に伝達された入力信号は、同様に誘電体共振器3の形状により決定される信号周波数(共振周波数f)付近の信号周波数のみ、結合窓11を介して誘電体共振器4へ伝達される。
各々順次伝達された入力信号は、最終的に誘電体共振器7に到達し、入力信号の伝達時とは逆に、出力結合用プローブ9へ伝達され、出力コネクタ18を介して、後段の装置へ伝達される。
なお、各誘電体共振器のメインの結合窓10〜14とは別に、飛び越し結合窓16および結合用プローブ15Aによって、飛び越して信号電力を伝達する構造となっている。
各々の誘電体共振器2〜7は、図7に示すように、外導体ケース1Aと導体蓋1Bにより電磁界的に覆い被され、電磁界が結合窓以外に漏れないように、導体蓋1Bは外導体ケース1Aに、機械的固定ねじ21により堅固に固定される構造となっている。
導体蓋1Bには、各共振器2〜7の共振周波数調整用ねじ22および結合窓10〜14の結合量調整用ねじ23が配置されており、ねじの先端がケース内部の誘電体共振器の配置された空胴および結合窓にそれぞれ入り込むことにより、電磁界を制御し、微小な調整ができるようになっている。
調整用ねじ22、23を調整することで、所望の共振周波数および結合量を得ることにより、所望の周波数帯域の信号を通過させ、それ以外の信号を減衰させる帯域通過フィルタを構成する。
図8は、本実施例の帯域通過フィルタの集中定数等価回路図を示す。容量素子115は、2番目の誘電体共振器3と5番目の誘電体共振器6とを結合させる結合用プローブ15Aを等価的に示す。集中定数素子116は、本発明の要素である飛び越し結合窓16を等価的に示す。集中定数素子116は、ジャイレータであり、前述した図3の集中定数素子110〜114(結合窓)と全く同じ性質で同じ動作をするものである。
誘電体共振器をジャイレータにて飛び越し結合させた場合の帯域通過特性の振る舞いについて説明する。
図9は、ジャイレータのみで飛び越し結合させた帯域通過フィルタ構造を示す。(A)は誘電体共振器が設けられた外導体ケース1Aの斜視図、(B)は誘電体共振器が設けられた外導体ケース1Aの平面図である。
2番目の誘電体共振器3と5番目の誘電体共振器6との間を遮蔽する遮蔽壁に切欠き(飛び越し結合窓)16が設けられている。すなわち、図5に示した帯域通過フィルタにおいて、結合用プローブ15Aを設けていない構造である。図10は、図9の帯域通過フィルタの集中定数等価回路図である。
飛び越し結合窓16が、誘電体共振器3と誘電体共振器5との間を、図11示すようにTE01モードで電磁界結合する。飛び越し結合窓16が誘電体共振器間を電磁界結合し、フィルタ理論のジャイレータとして動作することは、刊行物「回路網の構成」(川上正光著 現代エレクトロニクス選書 共立出版株式会社刊)、「伝送回路」(佐藤利三郎著 電気通信学会編 コロナ社)等に示されている。
図12は、図10のジャイレータ116のインピーダンスZj_cplを、1MΩ、100kΩ、50kΩ、30kΩと変化させた場合の周波数特性を示す図である。(A)は周波数通過特性、(B)は通過帯域を拡大して示す周波数通過特性、(C)は周波数群遅延時間特性をそれぞれ示す。
図12(A)において、グラフ(a)はジャイレータインピーダンスZj_cpl=1MΩのときの周波数特性図である。この値は他の誘電体共振器間の結合に用いられているジャイレータ110、111、112、113、114のジャイレータインピーダンスZjに対し、ほぼ無限大と考えてよく、ジャイレータ116による飛び越し結合が全く無い状況とほぼ同等である。このとき、図12(A)のグラフ(a)から解るように、通過帯域内挿入損失および通過帯域外減衰量は理想的な周波数特性が得られていることが解る。
ジャイレータ116のインピーダンスZj_cplを徐々に小さくする、すなわち100kΩ、50kΩ、30kΩと変化させていくと、グラフ(b)、(c)、(d)の様に通過帯域外減衰量は大幅に悪くなっていく。このことは、ジャイレータ116による飛び越し結合が少しでもあると、本来、誘電体共振器が6素子の帯域通過フィルタにて得られる減衰特性が得られなくなることを示している。
しかし、図12(B)において、ジャイレータ116のインピーダンスZj_cplが変化しても、通過帯域内挿入損失平坦度はほぼ同じであることが解る。
一般に、共振器型の帯域通過フィルタの基本設計は、必要な減衰勾配を求めて、それより共振器の段数(素子数)を求めることから始める。この場合、飛び越し結合を如何に無くすかが設計のキーポイントであり、図9に示す構造の帯域通過フィルタにおいても、ケース1Aと導体蓋1Bとが完全に密着せず、隙間が存在すると、隙間を介して飛び越し結合が形成され、理想的な帯域通過フィルタ特性は得られないという状況があった。
このため、ケース1Aと導体蓋1Bとの密着を実現するため、導体蓋材料や固定方法などを改良することによって、理想的なフィルタ特性に近い帯域通過特性を実現してきた。
つまり、飛び越し結合は帯域通過フィルタの基本特性を悪くする要因のみとして、考えられてきた。しかし、その一方で通過帯域内の群遅延時間偏差特性に着目し、その特性を調べてみると、帯域外減衰量は悪くなるが、帯域内群遅延偏差特性については良くなっていることが解る。
図12(C)は、図9の飛び越し結合窓16のみを設けた帯域通過フィルタにおいて、前述のジャイレータインピーダンスZjを1MΩ、100kΩ、50kΩ、30kΩと可変させた場合の周波数帯域通過特性を示す図であり、群遅延時間偏差は通過帯域を30MHzとすると、Zj=1MΩの場合、10nsec程度と、Zj=30KΩの場合、2nsec〜3nsecと大幅に向上していることが解る。
本発明は、上記のジャイレータによる飛び越し結合(電磁界結合)と、結合用プローブによる電界結合とを同時に用いることにより、優れた帯域外減衰特性とともに帯域内群遅延時間偏差特性が得られるという認識に基づいてなしたものである。
このような認識に基づいた図5〜図7に示した本実施例の帯域通過フィルタの集中定数等価回路図(図8)は、従来例で示した等価回路図(図3)と、ジャイレータによる飛び越し結合を示した等価回路図(図10)とが合成された形となっていることが解るであろう。
図13は、中心周波数f=6.6GHz、設定通過帯域幅=42MHzの本実施例の帯域通過フィルタの周波数特性図(等価回路周波数特性図)を示す。(A)は周波数通過特性図、(B)は周波数群遅延時間特性図である。従来と比較するために、中心周波数f=6.6GHz、設定通過帯域幅=41MHzの図3の従来の帯域通過フィルタの等価回路における周波数特性をも示す。
各特性図において、グラフ(a)は、図3の等価回路において、容量素子115の容量値(C_cpl)を、0.00045pF、集中定数素子101、120の容量値(C_i/o)を10pFとした場合を示している。グラフ(b)は、図8の本実施例の等価回路において、容量素子115の容量値(C_cpl)を、0.00386pF、集中定数素子101、120の容量値(C_i/o)を1.44pF、集中定数素子116のジャイレータインピーダンス(Zj_cpl)を10kΩとした場合を、それぞれ示している。
飛び越し結合構造を、図8に示す等価回路で表現したが、この回路では通過帯域幅が狭まってしまう現象が起こるため、上記のようにグラフ(b)の素子値設定通過帯域幅(BW)を42MHzとし、グラフ(a)の素子値設定通過帯域幅(BW)を41MHzとした。
図13(A)のグラフ(a)から、図3の従来の帯域通過フィルタの等価回路において、容量素子115の容量値(C_cpl)は、0.00045pFにおいてf±50MHzに減衰極が形成されることが解る。
一方、図13(A)のグラフ(b)から、図8の等価回路構成において、f±50MHzに減衰極を設ける為には、容量素子115の容量値(C_cpl)を0.00386pFに設定すれば実現できることが解る。
表1は、上記の実施例と従来例との等価回路素子の値を示す。
Figure 0005519947


図13(A)に示すように、グラフ(a)で示される従来の帯域通過フィルタに対し、グラフ(b)で示される本実施例の帯域通過フィルタは、帯域外減衰量は減衰極の影響でほぼ同等の特性が得られていることが解る。
一方、図13(B)の周波数群遅延時間特性図において、±5MHzの通過帯域内での郡遅延時間偏差は、グラフ(a)が5nsec程度あるのに対し、グラフ(b)は1nsec程度と大幅に改善されていることが解る。
したがって、上記の様に本実施例の帯域通過フィルタを構成することにより、帯域外減衰特性を維持しながら、通過群遅延時間偏差特性を向上させることができる。
なお、本実施例では、6個の誘電体共振器を用いた帯域通過フィルタの例を説明したが、折り返し構造を実現できる4個以上の誘電体共振器を備えるものであれば、誘電体共振器の数(段数)を変えても同様の効果が得られる。
本発明の帯域通過フィルタは、マイクロ波帯ミリ波帯で使用される通信装置、例えば携帯電話基地局装置、テレビジョン中継装置等に利用できる。
1A 外導体ケース
1B 導体蓋
2〜7 誘電体共振器
8 入力結合用プローブ
9 出力結合用プローブ
10〜14 結合窓
15A 結合用プローブ
15B 結合用プローブ
16 飛び越し結合窓
17 入力コネクタ(または入力端子)
18 出力コネクタ(または出力端子)
101、120 集中定数素子
102、103 誘導素子
104〜109 ショートスタブ
110、111、112、113、114、116 ジャイレータ(または集中定数素子)
115 容量素子
117 抵抗素子

Claims (1)

  1. 遮蔽壁で隔離された4個以上の空胴が折り返し構造で形成された導電性を有する外導体ケースと、
    前記外導体ケースに設けられた入力端子および出力端子と、
    前記空胴の内壁から隔離して、前記空胴の内部にそれぞれ配置された誘電体共振器と、
    前記誘電体共振器同士が前記入力端子と前記出力端子との間で一続きに結合されるように、隣り合う前記空胴間の遮蔽壁に切欠きにより形成された結合窓と、
    前記一続きの結合を飛び越して、隣り合う誘電体共振器同士が結合されるように、隣り合う前記空胴間の遮蔽壁に切欠きにより形成された飛び越し結合窓と、
    前記飛び越し結合窓を介して設けられ、剥き出しの導線で平面視略S字状に構成される結合用プローブとを備え、
    前記導線は、前記飛び越し結合窓を介して隣り合う各誘電体共振器の側面に近接して配置され、前記導線の両端部は、前記隣り合う各誘電体共振器が設けられている各空胴の底面に固定される、帯域通過フィルタ。
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