JP5519894B2 - 血管内皮由来過分極因子増強剤 - Google Patents

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Description

本出願は、杜仲葉水抽出物を含む血管内皮由来過分極因子増強剤、特に抵抗血管において弛緩作用を有する血管内皮由来過分極因子増強剤に関する。さらに本発明は、血管内皮由来過分極因子増強剤を含む経口摂取用組成物、医薬組成物、食品組成物等に関する。
血管内皮細胞は、単に血管内側にあって物質交換のバリアーとして作用しているのみならず、血流により生じる物理的刺激やアセチルコリン(以下、「ACh」とも称す)などの神経伝達物質に反応して血管作動物質を合成し放出することにより、血液を効果的に臓器へ供給するための能動的な役割を果たしている(非特許文献1:実験医学、第18巻、第5号、2000年(増刊)、第595〜602頁;非特許文献2:循環制御、第22巻、第3号、2001年、第186〜193頁)。この内皮由来の血管拡張物質として、一酸化窒素合成酵素(以下、「eNOS」とも称す)により産生される一酸化窒素(以下、「NO」とも称す)とシクロオキシゲナーゼにより生産されるプロスタサイクリンが同定されている。一方で、ムスカリン受容体刺激による平滑筋細胞の過分極は種々の血管において血管弛緩反応を惹起することが観察されているが、eNOS阻害剤およびシクロオキシゲナーゼ阻害剤の影響を受けないことが報告されている。そのため、平滑筋細胞の過分極は、NOやプロスタサイクリンとは異なる、内皮由来過分極因子(endothelium−derived hyperpolarizing factor、以下「EDHF」とも称す)を介して起こると考えられている(非特許文献2)。
EDHFは未だ具体的には同定されていないが、血管緊張を動的に調節している因子として、生理学的に重要な役割を果たしていると理解されており、特に比較的血管径の小さい腸間膜動脈、大腿動脈および腎動脈などにおける内皮依存性弛緩反応は、EDHFを介した弛緩が主体となっている(非特許文献2)。一方、一酸化窒素を介する内皮依存性血管弛緩反応は大動脈などの径の大きい血管に特有である。従って、内皮依存性血管弛緩反応のうちのEDHFを介する血管弛緩効果は、細動脈などの抵抗血管に特異的な弛緩作用が期待でき、微小循環障害や冷え性などの治療または予防のために有効な血管弛緩効果となりうる。また、医療用の血管拡張剤としては、ACE阻害剤、Ca拮抗剤、抗血小板薬、硝酸薬などの冠動脈拡張薬、α遮断薬などが使用されるが、それぞれが特有の副作用を有することが知られており、これらとは異なる作用機作を有する血管拡張薬が求められていた。
天然物由来の食品や漢方薬は、一般に副作用が少ないなどの利点を有することから、近年において発生が増加している各種難治疾患に対してのその有用性が注目されている。なかでも杜仲樹皮は、中国において古くより漢方薬として使用され、また中枢抑制作用、降圧作用、利尿作用を有することが知られており、杜仲樹皮の抽出物は、内皮依存性の血管弛緩効果を有することが報告されている(非特許文献3:Naunyn−Schmiedeberg's Arch Pharmacol、第369巻、2004年、第206〜211頁)。また杜仲葉抽出物についても内皮依存性の血管弛緩効果を有することが報告されているが、確認されているのは一酸化窒素を介する経路のみであり(非特許文献4:Vascular Pharmacology、第40巻、2004年、第229〜235頁)、EDHFを介しての抵抗血管の弛緩反応については何ら報告されていなかった。特に、杜仲生葉を加工することにより得られる杜仲茶葉の水抽出物についての内皮依存性血管弛緩効果に関しては何ら報告されていなかった。
実験医学、第18巻、第5号、2000年(増刊)、第595〜602頁 循環制御、第22巻、第3号、2001年、第186〜193頁 Naunyn−Schmiedeberg's Arch Pharmacol、第369巻、2004年、第206〜211頁 Vascular Pharmacology、第40巻、2004年、第229〜235頁
本発明者は、上記の課題解決のために鋭意研究を進めたところ、杜仲茶葉の水抽出物が血管内皮過分極因子に対しての特異的な増強作用を有することを発見して本発明を完成させた。
本発明の目的は、杜仲葉水抽出物を含む血管内皮由来過分極因子増強剤、経口摂取用組成物、医薬組成物、食品組成物、食品および飲料を提供することである。
すなわち本発明の一つの側面によれば、杜仲葉水抽出物を含む血管内皮由来過分極因子増強剤が提供される。ここで、本発明において使用する杜仲葉は、栽培により生産されたものであっても天然より採取されたものであってもよい。例えば、当年葉で落葉前の生葉を用い、採取時期は4月から10月、好ましくは5月から8月、より好ましくは6月から8月までの生葉を用いることができる。水抽出に使用する杜仲葉は、収穫後乾燥前の杜仲生葉であってもよく、または杜仲生葉を加工することにより調製される杜仲茶葉を使用することもできる。本発明の杜仲葉水抽出物は、好ましくは、杜仲生葉を蒸熱する工程;杜仲葉を揉捻する工程;杜仲葉を水により抽出する工程;および、当該抽出液を濃縮する工程を含む製造方法により調製される。すなわち、本発明に用いられる杜仲葉は、杜仲生葉を蒸熱する工程、および杜仲葉を揉捻する工程を含む方法により調製される杜仲茶葉であってもよい。
本発明における杜仲生葉の蒸熱工程は、市販されている蒸し機またはオートクレーブなどを用いて、当該技術分野で通常行われている方法により実施することができる。例えば、ネットコンベア上に杜仲生葉を広げ、ボイラーから供給される無圧蒸気を充満させた処理室を通過させることにより、杜仲生葉を蒸熱処理することができる。蒸熱温度は、特に限定はされないが、例えば杜仲葉の大きさに応じて90〜120℃、好ましくは95〜110℃、より好ましくは100〜110℃の範囲で適宜選択されうる。また蒸熱時間も、10〜240秒間、好ましくは20〜180秒間、より好ましくは20〜120秒間の範囲で適宜選択されうる。また、使用する蒸気量は、例えば200〜70L/分、好ましくは170〜100L/分の範囲で適宜選択されうる。蒸し葉の処理量は、生葉の水分率に応じて、特に限定はされないが、例えば3〜10kg/分、好ましくは4〜8kg/分、より好ましくは5〜7kg/分の範囲で適宜選択されうる。この蒸熱工程は、杜仲葉を褐色に変色させる酵素が失活することにより杜仲生葉の成分が保たれやすくなる;および、杜仲葉が柔らかくなることで、その後の揉捻工程の実施が容易になる、などの効果をもたらす。
本発明における揉捻工程は、例えば市販されている揉捻機、粗揉機または中揉機を用いて行うことができる。例えば市販の揉捻機としては、株式会社寺田製作所製、揉捻機60Kg型などを用いることができる。本工程により、余分な水分を取り除きつつ杜仲葉中の水分が均一に整えられ、さらに杜仲特有の成分が抽出しやすくなる。本工程は、必要に応じて加熱下で行うこともできるが、好ましくは加熱せずに行われる。また本工程に要する時間は、特に限定はされないが、例えば10〜80分間、好ましくは20〜60分間、より好ましくは25〜30分間の範囲で適宜選択されうる。揉捻葉の処理量は、特に限定はされないが、例えば水分率に応じて25〜40kg、好ましくは30〜35kg、より好ましくは32〜33kgの範囲で適宜選択されうる。本工程を経て得られる杜仲葉の水分量は、例えば乾量基準で25〜40%、好ましくは25〜35%、より好ましくは25〜30%である。
杜仲茶葉の調製方法は、揉捻工程の後に杜仲葉を焙煎する工程を含んでいてもよい。杜仲葉を焙煎する工程は、特に限定はされないが、例えば市販されている焙煎機を用いて行うことができる。本工程における焙煎方法は、特には限定されないが、例えば、有限会社横山製作所製、熱風式回転乾燥火入機などにより行われうる。また本工程に要する時間は、特に限定はされないが、30〜50分間、好ましくは30〜45分間、より好ましくは35〜40分間の範囲で適宜選択されうる。また本工程の焙煎温度は、特に限定はされないが、例えば100〜140℃、好ましくは120〜140℃、より好ましくは130〜140℃の範囲で適宜選択されうる。本工程を経て得られる杜仲葉の水分量は、例えば乾量基準で8%以下、好ましくは4%以下、より好ましくは2%以下である。
本発明の杜仲葉の水抽出物を得る工程において、杜仲茶葉1kgに対して、例えば5〜50kg、好ましくは10〜30kg、より好ましくは15〜20kgから適宜選択される量の水が用いることができる。杜仲葉の水抽出は、例えば、85〜105℃、好ましくは90〜95℃の熱水による抽出であってもよく、または、杜仲葉粉砕物を含む水に、より低温(例えば、25〜50℃、好ましくは30〜45℃)で超音波を照射することにより行うこともできる。
本明細書における「血管内皮由来過分極因子」とは、一酸化窒素およびプロスタサイクリンの産生を阻害した状態で誘発される、平滑筋細胞における内皮細胞依存性の過分極反応を引き起こす因子を意味する。血管内皮過分極因子は現在のところ具体的には同定されていないが、本明細書においては何らかの化学物質であっても内皮細胞で発生する電位変化による電気信号であってもよい。血管内皮由来過分極因子の増強とは、血管内皮過分極因子に起因する平滑筋の過分極反応を増強することを意味する。
本発明の血管内皮由来過分極因子増強剤は、血管弛緩剤として使用することができ、好ましくは、細動脈などの抵抗血管の弛緩のために使用することができる。また、本発明の血管内皮由来過分極因子増強剤は循環器系疾患の治療または予防のために使用することができ、好ましくは、微小循環障害の治療または予防に使用することができる。ここで、微小循環障害には、例えば、動脈硬化、心疾患、脳疾患、心筋梗塞および脳梗塞などが含まれる。
本発明の別の側面によれば、冷え症の治療または予防に使用するための、上記の血管内皮由来過分極因子増強剤が提供される。ここで冷え症とは、からだの他の部分はまったく冷たさを感じないのに対し、ある特定の部分だけが不快な冷たさを感じる状態を意味し、本発明は、例えば、冷え症に伴う頭痛、めまい、のぼせ、下腹部痛、不眠症などの神経症状、およびあかぎれおよびしもやけなどの予防または治療に使用することができる。本発明のこの側面における別の特徴によれば、体温維持による耐寒性の付与に使用するため、上記の血管内皮由来過分極因子増強剤もまた提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、血管内皮由来過分極因子増強剤を含む医薬組成物および食品組成物が提供される。
本発明において用いられる抽出物は、抽出物から得られる分画物であってもよい。分画方法は本発明の属する技術分野において通常用いられる方法であってよく、分画方法の例には、任意の溶媒を用いての抽出による分画、ゲルろ過カラムクロマトグラフィー、イオン交換カラムを用いた分画、およびシリカゲルカラムクロマトグラフィーなどが含まれる。分画方法は1種類の方法であってもよく、または複数の手段の組み合わせであってもよい。上記の分画方法で用いる溶媒としては、特に限定はされないが、例えば、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、酢酸、アセトン、およびそれらの混合物を用いることができる。
本発明に用いられる抽出物および分画物は、必要に応じて濃縮および/または凍結乾燥などを行うことにより得られる濃縮液、粘稠物質または固体として使用することができる。
本発明の血管内皮由来過分極因子増強剤は、医薬組成物の有効成分として使用することができる。当該医薬組成物は、種々の剤形、例えば、経口投与のためには、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、丸剤、液剤、乳剤、懸濁液、溶液剤、酒精剤、シロップ剤、エキス剤、エリキシル剤とすることができ、非経口剤としては、例えば、皮下注射剤、静脈内注射剤、筋肉内注射剤、腹腔内注射剤などの注射剤とすることができるが、これらには限定されない。本発明の医薬組成物は好ましくは、経口投与される。これらの製剤は、製剤工程において通常用いられる公知の方法により製造することができる。
当該医薬組成物は、一般に用いられる各種成分を含みうるものであり、例えば、1種もしくはそれ以上の薬学的に許容され得る賦形剤、崩壊剤、希釈剤、滑沢剤、着香剤、着色剤、甘味剤、矯味剤、懸濁化剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、補助剤、防腐剤、緩衝剤、結合剤、安定剤、コーティング剤等を含みうる。また本発明の医薬組成物は、持続性または徐放性剤形であってもよい。
本発明の医薬組成物の投与量は、投与経路、患者の体型、年齢、体調、疾患の度合い、発症後の経過時間等により、適宜選択することができ、本発明の医薬組成物は、治療有効量および/または予防有効量の血管内皮由来過分極因子増強剤を含むことができる。杜仲葉は元来飲料に供するための杜仲茶葉として使用されてきたものであり、杜仲葉水抽出物は比較的安全な物質であると考えられるので、必要に応じて高濃度で投与することも可能である。本発明において杜仲茶葉抽出物は、一般に乾燥量として1〜8g/日/成人、好ましくは4.8〜8g/日/成人の用量で使用されうる。当該医薬組成物の投与は、単回投与または複数回投与であってもよく、例えば、ACE阻害剤、Ca拮抗剤、抗血小板薬、冠動脈拡張剤、α遮断薬、β遮断薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、利尿薬などの他の降圧剤などと組み合わせて使用することもできる。
本発明のさらに別の側面によれば、上記の血管内皮由来過分極因子増強剤を含む食品組成物が提供される。本発明の食品組成物は、機能性飲料などの液体飲料を含む。当該食品組成物は、機能性食品として使用できるほか、医薬部外品、飲食物などの成分、食品添加物などとして使用することができる。また本明細書における食品組成物は、そのまま機能性食品として使用できるほか、飲食物、医薬品、医薬部外品、飲食物等の成分、食品添加物などとして使用することができる。当該使用により、血管内皮由来過分極因子増強効果およびそれに伴う細動脈および抵抗血管の循環改善効果を有する飲食物、食品組成物または経口摂取用組成物の日常的および継続的な摂取が可能となり、当該効果による効果的な体質改善、循環器系疾患、特に微小循環障害、冷え症などの疾患の治療および発症の予防が可能となる。本発明の食品組成物、食品または飲料の例としては、血管内皮由来過分極因子増強効果およびそれに伴う細動脈および抵抗血管の循環改善効果を有する機能性食品、健康食品、一般食品(ジュース、菓子、加工食品等)、栄養補助食品(栄養ドリンク等)などが含まれる。本明細書における食品または飲料は、限定はされないが、鉄およびカルシウムなどの無機成分、種々のビタミン類、オリゴ糖およびキトサンなどの食物繊維、大豆抽出物などのタンパク質、レシチンなどの脂質、ショ糖および乳糖などの糖類、椎茸などの植物抽出物などを含むことができる。
以下の実施例で示すように、本発明の血管内皮由来過分極因子増強剤は、平滑筋細胞における内皮依存性の過分極反応を増強し、径の小さい血管に特異的な弛緩作用を有する。したがって本発明により、患者に対する負担の少ない循環器系疾患、特に微小循環障害および冷え症などを治療および/または予防するための有効な手段が提供される。
以下、本発明の好適な実施例についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1] 杜仲葉水抽出物の調製
(1−1)杜仲茶葉の製造
杜仲茶葉の製造は、特開平8−173110号公報の実施例2の記載に基づいて行った。杜仲の生葉5kgを、日本茶製造用の送帯蒸機により110℃で90秒間蒸熱した。生葉を送帯蒸し機の投入口から機内に投入し、コンベヤ上を移動する間に上下スチーム供給装置からスチームを当て、110℃で90秒間蒸熱した。ネットコンベア上に杜仲生葉を広げ、ボイラーから供給される無圧蒸気を充満させた処理室を通過させることにより、杜仲生葉を蒸熱処理することができる。例えば、宮村鉄工株式会社製、給葉機、地上型1500およびネットコンベア、送帯式1000を用いることができる。
次にこの蒸熱後の杜仲葉を揉捻機を用いて30分間揉捻した後、揉捻物を乾燥機を用いて80℃で5時間、水分量を5%まで乾燥させた。杜仲葉の色調は蒸熱後、緑褐色であったのが、乾燥に従い緑色を帯びた黒褐色へと変化した。その後、炒葉機(IR−10SP型:寺田製作所)を用いて110℃で30分間焙煎し、杜仲茶葉2kgを得た。
(1−2)杜仲葉水抽出物の調製
杜仲茶葉1kgを90℃の熱水15kgに投入し、90℃で30分間抽出し14kg得た。その後150メッシュのフィルターを用いて濾過し、濾液を5℃に冷却し一晩放置した。上澄み液を取り出し、減圧下50℃で濾液を濃縮し1kg得た。
濃縮液をクボタ株式会社製、遠心分離器KS8000で処理し、1800rpmの回転速度により遠心分離により沈殿物を除去し、得られた上澄み液を加熱殺菌(85℃、2時間)し、杜仲葉水抽出液を得た。当該抽出液をスプレードライ法により乾燥し、杜仲葉水抽出物の粉体(300g)を褐色の粉体として得た。
[実施例2]杜仲葉水抽出物の血管弛緩作用の測定
(2−1)実験手順
8-10週齢のWistar系雄性ラットから摘出した腸管膜動脈の灌流標本を作製した。標本を37℃に保温した灌流装置に設置後、Krebs液を一定流量で灌流し、圧トランスジューサTP-200T(日本光電社)で灌流圧の変化を血管緊張度変化として測定した。灌流圧測定について図1に概要を示す。灌流装置は送液ポンプ(Peristaltic Pump AC-2120、ATTO社 )、圧トランスジューサ(TP-200T、日本光電社)、注入ポンプ(HARVARD975、USA)、血圧アンプ(AP-641G、日本光電社)からなる。灌流装置に標本を取り付けた後、37℃に温めたガラス管内にKrebs液を通過させて加温し、標本内を5mL/minの一定流量で灌流させる。送液ポンプと標本の間に接続した圧トランスジューサにより、灌流圧の変化を血管緊張度として測定する。
本実験で使用したKrebs液は、次のように調製した。すなわち、EDTA・2Na(同仁化学研究所)を0.112g、リン酸2水素カリウム(KH2PO4 、和光純薬)を1.634g、硫酸マグネシウム(MgSO4・7H2O 、和光純薬)を2.958g、塩化ナトリウム(NaCl 、和光純薬)を69.544g、塩化カリウム(KCl、和光純薬)3.504g、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3 、和光純薬)21.003gを秤量し、精製水(和光純薬)で溶解・希釈して10 L全量に調整したものをKrebs1液とした。また、塩化カルシウム二水和物(CaCl2・2H2O、和光純薬) 17.66gを秤量し、蒸留水で溶解・希釈して50mL全量に調整した物をKrebs2液とした。次にKrebs2液1mLとグルコース(和光純薬)2gを、95%の酸素ガス(日本窒素)に20分間通気したKrebs1液で溶解・希釈して1L全量に調整したものをKrebs液とした。
(2−2)使用薬剤について
アセチルコリン塩酸塩(第一製薬)、パパベリン(大日本製薬)、メトキサミン塩酸塩(日本新薬)、およびデオキシコール酸ナトリウム(石津製薬)を使用した。
(2−3)血管緊張度測定について
静止緊張下の腸管膜動脈標本にKrebs液を灌流し、その後メトキサミン(7μM)で血管を収縮させ灌流圧を一定レベルまで上昇させた。メトキサミンを含むKrebs液に杜仲葉水抽出物(100pg/mL〜10μg/mL)を溶解させて灌流液とし、これを標本内に灌流し弛緩反応を確認した。血管弛緩反応の大きさはパパベリン(100μM)灌流によって起こる弛緩反応を100%とした弛緩率で表す。
(2−4)血管内皮の除去について
血管内皮細胞の除去はデオキシコール酸ナトリウム(1.8mg/mL)を静止状態下の標本に約30秒間灌流することで行った。
(2−5)結果
血管内皮存在下および内皮細胞除去時の血管弛緩状態について結果を、それぞれ図2および図3に示す。血管内皮存在下、杜仲葉水抽出物を灌流することによって血管の弛緩が認められたが、内皮細胞除去時には弛緩反応が消失した。このことから杜仲葉水抽出物が惹起した血管弛緩反応が内皮細胞依存性であることが確認された。
[実施例3]杜仲葉水抽出物の血管弛緩作用に対する添加物の影響
(3−1)実験手順
灌流圧測定は実施例2と同じ手順により行った。NO合成酵素阻害剤のNG−ニトロ−L−アルギニンメチルエステル(L-NAME、SIGMA CHEMICAL CO)、シクロオキシゲナーゼ阻害剤のインドメタシン(和光純薬)、脱分極剤の塩化カリウム(KCl、和光純薬)、カリウムチャネル阻害剤のテトラエチルアンモニウム(TEA、和光純薬)、ギャップジャンクションの阻害剤の18α−グリチルレチン酸(18α-GA、和光純薬)、および抗ムスカリン作用薬のアトロピン(和光純薬)を添加剤として使用した。メトキサミン2〜7 μM を含む Krebs 液に、L-NAME(100 μM)、インドメタシン(1 μM)、KCl(高K+、60 mM)、TEA(5 mM)、18α-GA(10 μM)またはアトロピン(1 μM)を溶解して灌流させ、その影響を観察した。
(3−2)結果
血管内皮存在下、L-NAME、インドメタシンおよび塩化カリウムを添加した場合の杜仲葉水抽出物による血管弛緩反応を図4に示す。NO合成酵素阻害剤であるL-NAME添加(100 μM)により杜仲葉水抽出物の弛緩作用は増強された。シクロオキシゲナーゼ阻害剤であるインドメタシン添加(1 μM)は弛緩にほとんど影響を与えなかった。一方、脱分極剤である塩化カリウム添加(60 mM)により弛緩作用は抑制された。
血管内皮存在下、TEA、18α-GAを添加した場合の杜仲葉水抽出物による血管弛緩反応を図5に示す。カリウムチャネル阻害剤であるTEAの添加(5 mM)や、EDHFとの関与が示唆されているギャップジャンクションの阻害剤である18α-グリチルレチン酸の添加(10μM)によっても、杜仲葉水抽出物による弛緩作用が抑制されることが確認された。
さらに、血管内皮存在下、アトロピンを添加した場合の杜仲葉水抽出物による血管弛緩反応を図6に示す。抗ムスカリン作用薬であるアトロピン添加(1 μM)では杜仲葉高濃度添加時でのみ弛緩が抑制された。このことから、杜仲葉水抽出物による血管弛緩作用におけるアセチルコリン受容体の寄与率は非常に低いことが確認された。
以上の結果から、杜仲葉水抽出物による血管弛緩作用はEDHFを介することが確認された。
[実施例4]室温冷却負荷試験
本発明の冷え症に対する効果を確認するために、以下の手順で試験を行った。8週齢のWistar系雌性ラット(n=6)に杜仲葉水抽出物(1000mg/kg)を1日1回、9日間経口投与した。投与前、及び投与1、3、5、7、9日目の被験物質投与の後、室温18℃の実験室に動物を放置し、その直後に20-26℃下で各個体の直腸温を測定した。試験開始前の直腸温に対する冷却試験開始後の直腸温を比較した。結果を表1および図7に示す。
Figure 0005519894
媒体対照群では、試験開始前の直腸温に対して投与開始後低値を推移した。杜仲葉水抽出物投与群では室温冷却負荷による急激な温度低下は認められず、対照群に対して高値を推移した。このことから、杜仲葉水抽出物は室温冷却による体温低下を抑制することが確認された。
[実施例5]水浸冷却試験
本発明の冷え症に対する効果を確認するために、以下の手順で試験を行った。8週齢のWistar系雌性ラット(n=6)に杜仲葉水抽出物を1日1回、9日間経口投与した。最終投与後、24時間絶食させた後、室温20℃の実験室で直腸温、足蹠温及び体表温を測定した(水浸前値)。測定後、杜仲葉水抽出物および媒体を経口投与し、投与30分後にステンレス製水浸拘束用ストレスケージを用いて15℃の水中に15分間浸した。水浸終了後、直ちに直腸温、足蹠温および体表温を測定した。なお体表温は医療用サーモグラフィ装置(サーモピュアJTG、日本電子社)を用いて測定した。水浸前値に対する水浸後(0〜120分)の温度を比較した。結果を表2〜4および図8〜10に示す。
Figure 0005519894
Figure 0005519894
Figure 0005519894
対照群において水浸冷却負荷により急激な体温低下がみられたが、次第に回復の推移を示した。杜仲葉水抽出物投与群では、水浸冷却負荷により対照群同様の急激な体温低下がみられたものの、その後の体温の回復が早かった。このことから杜仲葉水抽出物は水浸冷却後の体温回復を促進することが示唆された。
灌流装置模式図を示した概略図である。 8-10週齢のWistar系雄性ラットから摘出した腸管膜動脈の灌流標本について、杜仲葉水抽出物を灌流させたときの血管内皮存在時の弛緩反応の推移を示すグラフである。 8-10週齢のWistar系雄性ラットから摘出した腸管膜動脈の灌流標本について、杜仲葉水抽出物を灌流させたときの血管内皮除去時の弛緩反応の推移を示すグラフである。 8-10週齢のWistar系雄性ラットから摘出した血管内皮を含む腸管膜動脈の灌流標本について、NO合成酵素阻害剤、シクロオキシゲナーゼ阻害剤あるいは脱分極剤を添加灌流させたときの杜仲葉水抽出物による弛緩反応の推移を示すグラフである。 8-10週齢のWistar系雄性ラットから摘出した血管内皮を含む腸管膜動脈の灌流標本について、カリウムチャネル阻害剤およびギャップジャンクション阻害剤を添加灌流させたときの杜仲葉水抽出物による弛緩反応の推移を示すグラフである。 8-10週齢のWistar系雄性ラットから摘出した血管内皮を含む腸管膜動脈の灌流標本について、抗ムスカリン作用薬を添加灌流させたときの杜仲葉水抽出物による弛緩反応の推移を示すグラフである。 室温冷却付加試験における、杜仲水抽出物を投与したマウスの直腸温の推移を示すグラフである。 杜仲水抽出物を投与したマウスについての、水浸冷却後の直腸温の推移を示すグラフである。 杜仲水抽出物を投与したマウスについての、水浸冷却後の足蹠温の推移を示すグラフである。 杜仲水抽出物を投与したマウスについての、水浸冷却後の体表温の推移を示すグラフである。

Claims (2)

  1. 抵抗血管の弛緩による冷え症の治療または予防に使用するための、杜仲葉水抽出物を含む医薬組成物。
  2. 抵抗血管の弛緩による体温維持による耐寒性の付与に使用するための、杜仲葉水抽出物を含む医薬組成物。
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