JP5519338B2 - 粉末冶金用混合粉末及びこれを用いた焼結体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は鉄基粉末を成形・焼結して焼結体を製造する粉末冶金技術に関し、好ましくは移送時に高い流れ性を示し、圧粉成形時に高い潤滑性を示す粉末冶金技術に関する。
鉄粉や鋼粉等の鉄基粉末を主原料として用いて焼結体を製造する粉末冶金においては、前記主原料粉末と、焼結体の物性(強度特性や加工特性)を改善するための副原料粉末(合金成分、黒鉛粉など)と、潤滑剤などを含む混合粉末を用いるのが一般的である。この混合粉末を金型に充填して高圧で圧縮成形して圧粉体を形成し、引き続いて圧粉体を焼結することによって焼結体(製品)が得られる。こうした粉末冶金法では、焼結体を量産するため、通常、混合粉末を予め貯蔵ホッパーに貯蔵しておく。そして所定量の混合粉末をホッパーから排出した後、金型へ充填し、圧縮成形するまでを連続して行う。この様にして使用する混合粉末では、その流れ性が重要な特性の一つとなる。混合粉末の流れ性が悪いとホッパーの排出口上部でブリッジングして排出不良を引き起こしたり、ホッパーからシューボックス(粉末充填用治具)までの移送ホース内で閉塞するなどの問題がおきる。また、流れ性の悪い混合粉末は、ホースから強制的に流れ出したとしても、金型への粉末の充填量がばらつく。また金型キャビティ(特に薄肉部分)に適切に粉末が充填されず、健全な成形体を作製できないことがある。従って流れ性の優れた混合粉末が強く求められている。
この混合粉末の流れ性は、使用する鉄基粉末の粒径や形状、合金化用粉末や特性改善剤の種類や添加量、粒径、形状などによっても左右されるが、最も強く影響を及ぼすのは潤滑剤の種類と添加量であると考えられている。潤滑剤は、通常、添加量0.1質量%をピークにして添加するほど流れ性が悪くなるため、流れ性の面からは潤滑剤の添加量は下げるほうが好ましい。しかし、潤滑剤の添加量を下げると潤滑性が著しく低下し、成形体を抜き出す際に成形体と金型面との摩擦係数が増加し、型かじりや金型を損傷させる原因となる。従って、潤滑性と流れ性を両立させることは困難であった。
また、潤滑剤の種類や融点の面から考えても流れ性と潤滑性の両立は困難であり、さらには潤滑性を高めると成形体や焼結体に欠陥が生じやすくなる。潤滑剤は、混合粉末の製造当初は分散して存在するが、その後の成形までのハンドリング中に潤滑剤粒子同士が接近(接触)すると凝集し、粒子が当初よりも成長する場合がある。凝集した潤滑剤が表面に存在する場合には成形体の表面汚れや焼結体の表面荒れの原因となり、内部に存在する場合には焼結体の内部欠陥の原因となる。一般に融点の低いステアリン酸やステアリン酸アミドなどの破砕状粉末は潤滑性に優れているが、凝集が生じ易くなる。そのため粉体の流れ性が悪くなり、また成形体の表面汚れ、焼結体の表面荒れ又は内部欠陥などの原因となる。特に、環境温度が高いときにその不具合は顕著に表れる。逆に融点の高い金属石鹸やエチレンビスステアロアミドなど(これらは、通常、破砕状粉末である)は、流れ性を良好にできる反面、潤滑性は前記低融点のステアリン酸アミドなどに比べると劣る。
流れ性を高めた潤滑性として、特許文献1には、潤滑剤の一部を鉄基粉末に溶融固着させ、この鉄基粉末に溶融固着した潤滑剤や、鉄基粉末に溶融固着しない遊離の潤滑剤粉末の表面をオルガノシロキサンで被覆することが提案されている。特許文献2には、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウムなどの潤滑剤粉末を、耐電防止剤と共に溶融混合し、スプレー造粒してから使用することが提案されている。しかしこれらの方法では、潤滑剤粉末と鉄基粉末との混合に先立って、潤滑剤粉末と他の成分(オルガノシロキサン、帯電防止剤など)とを一体化しておく必要があって煩雑である。また焼結体品目に応じて一体化しておく(作りおきしておく)必要があるため、在庫が膨らむ。
特許文献3には、粒径200μm以下であって圧壊強度が0.2〜2MPaの潤滑剤が開示されている。大径の潤滑剤を排除することによって焼結体に大きな空隙が形成されるのを防止でき、また圧潰強度を所定範囲にすることによって潤滑剤の微粉化を防止しつつ圧縮成型時の破砕を可能として焼結体中の空隙の発生を防止できるとされている。しかし、この特許文献3の潤滑剤でも、流れ性と潤滑性を高いレベルで両立するのは難しい。なお特許文献3の潤滑剤は100℃を十分に超える様である。例えば、特許文献3の潤滑剤は150〜250℃に加熱溶融してからスプレードライすることによって製造されており、150℃未満では溶融に時間がかかり過ぎると記載されている。従って融点は150℃に近い温度であると推察される。また実施例では、ステアリン酸アミドとエチレンビスステアリン酸アミドの造粒物を潤滑剤として用いており、この造粒物の融点が約111℃であったことが記載されている。
特開2001−254102号公報 特開2004−2964号公報 特開2005−307348号公報
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、移送時に高い流れ性を示し、圧粉成形時に高い潤滑性を示す粉末冶金用混合粉末を提供すること、およびこの混合粉末を用いた焼結体を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の2つの潤滑剤を用いれば、これらを単に混合するだけで優れた流れ性と潤滑性を示し、さらには潤滑剤の凝集を防止できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明に係る粉末冶金用混合粉末は、鉄基粉末と、下記特性を示す第1の潤滑剤A及び第2の潤滑剤Bとを含む点にその要旨を有する。
1)第1の潤滑剤A
融点:50〜120℃、
平均粒径D50:20〜60μm、
粒子投影像の円形度:0.9以上
2)第2の潤滑剤B
融点:140〜250℃、
平均粒径D50:1〜15μm
潤滑剤Aの量は、潤滑剤Aと潤滑剤Bの合計100質量部に対して、例えば、10〜50質量部である。潤滑剤Aと潤滑剤Bの粒径比(潤滑剤Aの平均粒径D50/潤滑剤Bの平均粒径D50)は、例えば、2〜30であり、潤滑剤Aと潤滑剤Bの融点の差(潤滑剤Bの融点−潤滑剤Aの融点)は、例えば、150℃以下である。前記潤滑剤Aには、R1−CONH−R2(ただしR1は炭素数7〜29の炭化水素基であり、R2は水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基である)などが含まれ、前記潤滑剤Bとしては、R3−CONR45(ただしR3は、複数のヒドロキシ基が置換した炭素数2〜10のアルキル基であり、R4は炭素数8〜30の炭化水素基であり、R5は水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基である)などが例示できる。潤滑剤Aと潤滑剤Bの合計量は、鉄基粉末100質量部に対して、例えば、0.01〜2質量部である。粉末冶金用混合粉末には、銅、ニッケル、クロム、モリブデン、リン、硫黄又は黒鉛を含有する合金化用粉末がさらに配合されていてもよく、硫化マンガン、タルク、又はフッ化カルシウムなどの特性改善剤がさらに配合されていてもよい。前記粉末冶金用混合粉末を圧縮成形し、焼結することによって焼結体が得られる。
本発明によれば、特定の2つの潤滑剤を用いているため、単に混合するだけで優れた流れ性と潤滑性を示し、さらには潤滑剤の凝集を防止できる。
本発明は、鉄基粉末と潤滑剤で構成される粉末冶金用混合粉末に関するものであり、潤滑剤として少なくとも2つの潤滑剤(第1の潤滑剤A、第2の潤滑剤B)を用いている点に特徴がある。第1の潤滑剤Aは、融点が低く、粒径が大きく、真球に近い形態をしている点に特徴があり、第2の潤滑剤Bは、融点が高く、粒径が小さい点に特徴がある。低融点・大粒径・真球の潤滑剤Aは、主として潤滑性向上に貢献し、高融点・小粒径の潤滑剤Bは、高い潤滑性を持ちながら流れ性向上にも貢献し、これらを併用することで潤滑性、流れ性の両方が向上する。より詳細に説明すると、潤滑剤Aは、低融点であるため潤滑性向上に大きく貢献する。しかしその反面、流れ性を下げ、凝集しやすいという欠点がある。本発明では高融点・小粒径の潤滑剤Bが大粒径の潤滑剤Aの間に挟まって潤滑剤A同士の接触を防止しており、また潤滑剤Aを真球化することによっても潤滑剤A同士の接触確率を小さくしており、潤滑剤の凝集を高度に防止できる。また潤滑剤Aを真球化することによって流動阻害の発生を防止して流れ性を向上させ、さらには高融点の潤滑剤Bと組み合わせることによって流れ性をより一層高めている。潤滑剤A及び潤滑剤Bの詳細は以下の通りである。
(1)潤滑剤A
潤滑剤Aの融点は、50℃以上、好ましくは55℃以上、さらに好ましくは60℃以上である。潤滑剤の融点が低すぎると、流れ性や凝集の点で不具合が生じやすくなる。融点の上限は、潤滑性を維持できる範囲で設定でき、120℃以下、好ましくは100℃以下、さらに好ましくは90℃以下である。
潤滑剤Aの平均粒径D50は、20μm以上、好ましくは25μm以上、さらに好ましくは30μm以上である。粒径が大きいほど、潤滑効果が高くなる。しかし粒径が大きくなり過ぎると、流れ性が低下する。また圧粉体の表面汚れや焼結体の表面割れ又は内部欠陥などが生じやすくなる。従って平均粒径D50は、60μm以下、好ましくは55μm以下、さらに好ましくは50μm以下である。
なお平均粒径D50とは、積算粒度分布曲線の50%粒径(累積平均径)を意味しており、例えばマイクロトラック粒度分布装置(日機装製X−100)を用いて測定できる。設定項目のうち「サンプルの光の透過の有無」については設定を有とし、「球形の有無」については設定を無とし、屈折率を1.81に設定し、使用溶媒を水に設定することが推奨される。また試料の前処理としては、試料0.2gを純水50mlで希釈し、界面活性剤を数滴添加して試料を分散させておくことが推奨される。通常、3回測定し、その平均値を採用する。
潤滑剤Aの円形度は、0.9以上、好ましくは0.92以上、さらに好ましくは0.94以上である。潤滑剤Aの円形度が高くなるほど、凝集を防止できかつ流れ性が高くなる。円形度の上限は特に設定されないが、例えば、0.98程度であってもよい。
なお円形度とは、より正確にいうと、粒子を平面に垂直に投影した像(粒子投影像)の周囲長L1を測定し、粒子投影像と面積が等しい円の円周L2を前記L1で割った値(L2/L1、粒子投影像の円形度)のことをいう。n個の粒子について円形度X1、X2、…Xnを算出し、その平均値((ΣXi)/n。ただしΣXiは、X1からXnまでの和)を潤滑剤Aの円形度とする。この円形度は、例えば、(株)セイシン企業製の粒子形状画像解析装置「PITA−1」などを用いて求めることができる。
潤滑剤Aに使用できる化合物としてはR1−CONH−R2(ただしR1は炭素数7〜29の炭化水素基であり、R2は水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基である)などが挙げられる。なお前記R1−CONH−R2は、形式的にはR1COOHとR2NH2との脱水生成物とみなすことができるが、他の方法で製造されたものであってもよい。
1を形成する炭化水素基としては、飽和炭化水素基(アルキル基など)、不飽和炭化水素基(アルケニル基、アルキニル基など)が挙げられる。不飽和炭化水素基における不飽和結合の数は1つでもよく、複数(例えば2〜6程度、好ましくは2〜3程度)でもよく、複数の場合は不飽和二重結合と不飽和三重結合の両方を含んでいてもよい。好ましい炭化水素基はアルキル基、アルケニル基など(特にアルキル基)である。これら炭化水素基は、直鎖状であるのが望ましいが、直鎖(主鎖)を構成する炭素原子に1つ又は複数の低級アルキル基(例えば、炭素数1〜6、特に炭素数1〜3程度のアルキル基;ただしこれら低級アルキル基の炭素数は、主鎖の炭素数よりも少ない)が置換していてもよい。炭化水素基の炭素数は、好ましくは11以上(特に15以上)、25以下(特に23以下)である。なお低級アルキル基が置換している場合、主鎖の炭素数は、例えば5以上、好ましくは8以上、さらに好ましくは10以上である。
1COOHとしては、例えば、以下のような化合物が挙げられる。
[R1=直鎖状アルキル基のとき]
例えば、オクタン酸(カプリル酸)、ノナン酸(ペラルゴン酸)、デカン酸(カプリン酸)、ウンデカン酸、ドデカン酸(ラウリン酸)、トリデカン酸、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ペンタデカン酸(ペンタデシル酸)、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、ヘプタデカン酸(マルガリン酸)、オクタデカン酸(ステアリン酸)、ノナデカン酸(ツベルクロステアリン酸)、イコサン酸(アラキジン酸)、ヘンイコサン酸、ドコサン酸(ベヘン酸)、トリコサン酸、テトラコサン酸などが挙げられる。
[R1=低級アルキル基が置換したアルキル基のとき]
例えば、低級アルキル基が1つ置換したものとしては、2−エチルヘキサン酸、4−プロピルペンタン酸、4−エチルペンタン酸、2−メチルデカン酸、3−メチルデカン酸、4−メチルデカン酸、5−メチルデカン酸、6−メチルデカン酸、7−メチルデカン酸、9−メチルデカン酸、6−エチルノナン酸、5−プロピルオクタン酸、3−メチルウンデカン酸、6−プロピルノナン酸、2−メチルドデカン酸、3−メチルドデカン酸、4−メチルドデカン酸、5−メチルドデカン酸、11−メチルドデカン酸、7−プロピルデカン酸、2−メチルトリデカン酸、12−メチルトリデカン酸、2−メチルテトラデカン酸、4−メチルテトラデカン酸、13−メチルテトラデカン酸、14−メチルペンタデカン酸、2−エチルテトラデカン酸、15−メチルヘキサデカン酸、2−プロピルテトラデカン酸、2−エチルへキサデカン酸、14−エチルへキサデカン酸、14−メチルへプタデカン酸、15−メチルへプタデカン酸、16−メチルへプタデカン酸、2−ブチルテトラデカン酸、2−メチルオクタデカン酸、3−メチルオクタデカン酸、4−メチルオクタデカン酸、5−メチルオクタデカン酸、6−メチルオクタデカン酸、7−メチルオクタデカン酸、8−メチルオクタデカン酸、9−メチルオクタデカン酸、10−メチルオクタデカン酸、11−メチルオクタデカン酸、14−メチルオクタデカン酸、15−メチルオクタデカン酸、16−メチルオクタデカン酸、17−メチルオクタデカン酸、15−エチルペンタデカン酸、3−メチルノナデカン酸、2−エチルオクタデカン酸、2−メチルイコサン酸、2−プロピルオクタデカン酸、2−ブチルオクタデカン酸、2−メチルドコサン酸、10−メチルドコサン酸、2−ペンチルオクタデカン酸、2−メチルトリコサン酸、3−メチルトリコサン酸、22−メチルトリコサン酸、20−エチルドコサン酸、18−プロピルへキサイコサン酸、2−へキシルオクタデカン酸、12−へキシルオクタデカン酸などが挙げられる。
低級アルキル基が複数置換したものとしては、2−ブチル−5−メチルぺンタン酸、2−イソブチル−5−メチルペンタン酸、2,3−ジメチルノナン酸、4,8−ジメチルノナン酸、2−ブチル−5−メチルヘキサン酸、4,4−ジメチルデカン酸、2−エチル−3−メチルノナン酸、2,2−ジメチル−4−エチルオクタン酸、2−プロピル−3−メチルノナン酸、2,2−ジメチルドデカン酸、2,3−ジメチルドデカン酸、4,10−ジメチルドデカン酸、2−ブチル−3−メチルノナン酸、2−ブチル−2−エチルノナン酸、3−エチル−3−ブチルノナン酸、4−プチル−4−エチルノナン酸、3,7,11−トリメチルドデカン酸、2,2−ジメチルテトラデカン酸、3,3−ジメチルテトラデカン酸、4,4−ジメチルテトラデカン酸、2−ブチル−2−ペンチルヘプタン酸、2,3−ジメチルテトラデカン酸、4,8,12−トリメチルトリデカン酸、14,14−ジメチルペンタデカン酸、3−メチル−2−ヘプチルノナン酸、2,2−ジペンチルヘプタン酸、2,2−ジメチルヘキサデカン酸、2−オクチル−3−メチルノナン酸、2,3−ジメチルヘプタデカン酸、2,2−ジメチルオクタデカン酸、2,3−ジメチルオクタデカン酸、2,4−ジメチルオクタデカン酸、3,3−ジメチルオクタデカン酸、2−ブチル−2−ヘプチルノナン酸、20,20−ジメチルヘンイコサン酸などが挙げられる。
[R1=アルケニル基のとき]
不飽和結合が1つのものとしては、例えば、2−オクテン酸、3−オクテン酸、2−ノネン酸、3−ノネン酸、2−デセン酸、4−デセン酸、9−デセン酸、9−ヘンデセン酸、10−ヘンデセン酸、2−ドデセン酸、3−ドデセン酸、5−ドデセン酸、11−ドデセン酸、2−トリデセン酸、12−トリデセン酸、4−テトラデセン酸、5−テトラデセン酸、9−テトラデセン酸、2−ペンタデセン酸、14−ペンタデセン酸、2−ヘキサデセン酸、7−ヘキサデセン酸、9−ヘキサデセン酸、2−ヘプタデセン酸、6−オクタデセン酸、9−オクタデセン酸、11−オクタデセン酸、9−イコセン酸、11−イコセン酸、エルカ酸、11−ドコセン酸、13−ドコセン酸、15−テトラコセン酸などが挙げられる。
不飽和結合が複数のものとしては、例えば、trans−8,trans−12−オクタデカジエン酸、cis−9,cis−12−オクタデカジエン酸、trans−9,trans−12−オクタデカジエン酸、cis−9,trans−11−オクタデカジエン酸、trans−10,cis−12−オクタデカジエン酸、cis−9,cis−12−オクタデカジエン酸、cis−10,cis−12−オクタデカジエン酸、trans−10,trans−12−オクタデカジエン酸、trans−9,trans−11−オクタデカジエン酸、trans−8,trans−10−オクタデカジエン酸、trans−9,trans−11−オクタデカジエン酸、cis−9,trans−11,trans−13−オクタデカトリエン酸、trans−9,trans−11,trans−13−オクタデカトリエン酸、cis−9,cis−11,trans−13−オクタデカトリエン酸、cis−9,cis−12,cis−15−オクタデカトリエン酸、trans−9,trans−12,trans−15−オクタデカトリエン酸、trans−10,trans−12,trans−14−オクタデカトリエン酸、9,11,13,15−オクタデカテトラエン酸、2,2−ジメチルcis−9,cis−12−オクタデカジエン酸、8,11,14−イコサトリエン酸、12,20−へンイコサジエン酸、9,13−ドコサジエン酸、4,8,12,15,19−ドコサペンタエン酸、2,2−ジメチル−cis−11,cis−14−イコサジエン酸、9,15−テトラコサジエン酸、5,8,11−イコサトリエン酸、7,10,13−ドコサトリエン酸、8,11,14−ドコサトリエン酸、4,8,11,14−へキサデカテトラエン酸、6,9,12,15−へキサデカテトラエン酸、4,8,12,15−オクタデカテトラエン酸、9,11,13,15−オクタデカテトラエン酸、4,8,12,16−イコサテトラエン酸、5,8,11,14−イコサテトラエン酸、4,7,10,13−ドコサへキエン酸、4,8,12,15,18−イコサペンタエン酸、4,8,12,15,19−ドコサペンタエン酸などが挙げられる。
低級アルキル基が置換したものとしては、例えば、2−メチル−2−へプテン酸、3−メチル−2−ノネン酸、5−メチル−2−ノネン酸、5−メチル−2−ウンデセン酸、2−メチル−2−ドデセン酸、5−メチル−2−トリデセン酸、2−メチル−9−オクタデセン酸、2−エチル9−オクタデセン酸、2−プロピル−9−オクタデセン酸、2−メチル−2−イコセン酸、2−メチル−2−ヘキサコセン酸、3,4−ジメチル−3−ペンテン酸、5,9−ジメチル−2−デセン酸、2,5−ジメチル−2−ヘプタデセン酸、2,2−ジメチル−11−イコセン酸などが挙げられる。
[R1=アルキニル基のとき]
不飽和結合は1つでも複数でもよく、低級アルキル基が置換していてもよく、例えば、2−オクチン酸、7−オクチン酸、2−ノニン酸、2−デシン酸、2−ウンデシン酸、6−ウンデシン酸、9−ウンデシン酸、10−ウンデシン酸、6−ドデシン酸、7−ドデシン酸、8−トリデシン酸、9−トリデシン酸、7−テトラデシン酸、7−へキサデシン酸、2−ヘプタデシン酸、5−オクタデシン酸、6−オクタデシン酸、7−オクタデシン酸、8−オクタデシン酸、9−オクタデシン酸、10−オクタデシン酸、11−オクタデシン酸、9−ノナデシン酸、12−ノナデシン酸、12−オクタデシン酸、13−ドコシン酸、11,16−ドコサジイン酸、7,15−ドコサジイン酸、8,15−ドコサジイン酸、21−トリコシン酸、22−トリコシン酸などが挙げられる。
2は、R1よりも幅広い範囲から選択できる。R2は、例えば直鎖状炭化水素基及び分岐鎖状炭化水素基から幅広く選択でき、さらには水素原子であってもよく、好ましくは炭化水素基(特に直鎖状炭化水素基)である。該R2を形成する炭化水素基としては、飽和炭化水素基(アルキル基)、不飽和炭化水素基(アルケニル基、アルキニル基など)などが挙げられる。炭素数は、好ましくは5〜26、特に12〜24程度である。
2NH2としては、例えば、以下のような化合物が挙げられる。
[R2=直鎖状アルキル基のとき]
例えば、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン(ステアリルアミン)、ノナデシルアミン、イコシルアミン、ヘンイコシルアミン、ドコシルアミン、トリコシルアミン、テトラコシルアミンなどが挙げられる。
[R2=低級アルキル基が置換したアルキル基のとき]
例えば、低級アルキル基が1つ置換したものとしては、例えば、2−エチルヘキシルアミン、4−プロピルペンチルアミン、4−エチルペンチルアミン、2−メチルデシルアミン、3−メチルデシルアミン、4−メチルデシルアミン、5−メチルデシルアミン、6−メチルデシルアミン、7−メチルデシルアミン、9−メチルデシルアミン、6−エチルノニルアミン、5−プロピルオクチルアミン、3−メチルウンデシルアミン、6−プロピルノニルアミン、2−メチルドデシルアミン、3−メチルドデシルアミン、4−メチルドデシルアミン、5−メチルドデシルアミン、11−メチルドデシルアミン、7−プロピルデシルアミン、2−メチルトリデシルアミン、12−メチルトリデシルアミン、2−メチルテトラデシルアミン、4−メチルテトラデシルアミン、13−メチルテトラデシルアミン、14−メチルペンタデシルアミン、2−エチルテトラデシルアミン、15−メチルヘキサデシルアミン、2−プロピルテトラデシルアミン、2−エチルヘキサデシルアミン、14−エチルヘキサデシルアミン、14−メチルヘプタデシルアミン、15−メチルへプタデシルアミン、16−メチルへプタデシルアミン、2−ブチルテトラデシルアミン、2−メチルオクタデシルアミン、3−メチルオクタデシルアミン、4−メチルオクタデシルアミン、5−メチルオクタデシルアミン、6−メチルオクタデシルアミン、7−メチルオクタデシルアミン、8−メチルオクタデシルアミン、9−メチルオクタデシルアミン、10−メチルオクタデシルアミン、11−メチルオクタデシルアミン、14−メチルオクタデシルアミン、15−メチルオクタデシルアミン、16−メチルオクタデシルアミン、17−メチルオクタデシルアミン、15−エチルペンタデシルアミン、3−メチルノナデシルアミン、2−エチルオクタデシルアミン、2−メチルイコシルアミン、2−プロピルオクタデシルアミン、2−ブチルオクタデシルアミン、2−メチルドコシルアミン、10−メチルドコシルアミン、2−ペンチルオクタデシルアミン、2−メチルトリコシルアミン、3−メチルトリコシルアミン、22−メチルトリコシルアミン、20−エチルドコシルアミン、18−プロピルへキサイコシルアミン、2−へキシルオクタデシルアミン、12−へキシルオクタデシルアミンなどが挙げられる。
低級アルキル基が複数置換したものとしては、例えば、2−ブチル−5−メチルぺンチルアミン、2−イソブチル−5−メチルペンチルアミン、2,3−ジメチルノニルアミン、4,8−ジメチルノニルアミン、2−ブチル−5−メチルヘキシルアミン、4,4−ジメチルデシルアミン、2−エチル−3−メチルノニルアミン、2,2−ジメチル−4−エチルオクチルアミン、2−プロピル−3−メチルノニルアミン、2,2−ジメチルドデシルアミン、2,3−ジメチルドデシルアミン、4,10−ジメチルドデシルアミン、2−ブチル−3−メチルノニルアミン、2−ブチル−2−エチルノニルアミン、3−エチル−3−ブチルノニルアミン、4−ブチル−4−エチルノニルアミン、3,7,11−トリメチルドデシルアミン、2,2−ジメチルテトラデシルアミン、3,3−ジメチルテトラデシルアミン、4,4−ジメチルテトラデシルアミン、2−ブチルー2−ペンチルヘプチルアミン、2,3−ジメチルテトラデシルアミン、4,8,12−トリメチルトリデシルアミン、14,14−ジメチルペンタデシルアミン、3−メチル−2−ヘプチルノニルアミン、2,2−ジペンチルヘプチルアミン、2,2−ジメチルヘキサデシルアミン、2−オクチル−3−メチルノニルアミン、2,3−ジメチルヘプタデシルアミン、2,2−ジメチルオクタデシルアミン、2,3−ジメチルオクタデシルアミン、2,4−ジメチルオクタデシルアミン、3,3−ジメチルオクタデシルアミン、2−ブチル−2−ヘプチルノニルアミン、20,20−ジメチルヘンイコシルアミンなどが挙げられる。
[R2=アルケニル基のとき]
不飽和結合が1つのものとしては、例えば、2−オクテニルアミン、3−オタテニルアミン、2−ノネニルアミン、2−ノネニルアミン、2−デセニルアミン、4−デセニルアミン、9−デセニルアミン、9−ヘンデセニルアミン、10−ヘンデセニルアミン、2−ドデセニルアミン、3−ドデセニルアミン、5−ドデセニルアミン、11−ドデセニルアミン、2−トリデセニルアミン、12−トリデセニルアミン、4−テトラデセニルアミン、5−テトラデセニルアミン、9−テトラデセニルアミン、2−ペンタデセニルアミン、14−ペンタデセニルアミン、2−ヘキサデセニルアミン、7−ヘキサデセニルアミン、9−ヘキサデセニルアミン、2−ヘプタデセニルアミン、6−オクタデセニルアミン、9−オクタデセニルアミン(オレイルアミン)、11−オクタデセニルアミン、9−イコセニルアミン、11−イコセニルアミン、11−ドコセニルアミン、13−ドコセニルアミン、15−テトラコセニルアミンなどが挙げられる。
不飽和結合が複数のものとしては、例えば、trans−8,trans−10−オクタデカジエニルアミン、cis−9,cis−12−オクタデカジエニルアミン、trans−9,trans−12−オクタデカジエニルアミン、cis−9,trans−11−オクタデカジエニルアミン、trans−10,cis−12−オクタデカジエニルアミン、cis−9,cis−12−オクタデカジエニルアミン、cis−10,cis−12−オクタデカジエニルアミン、trans−10,trans−12−オタクデカジエニルアミン、trans−9,trans−11−オクタデカジエニルアミン、trans−8,trans−10−オクタデカジエニルアミン、trans−9,trans−11−オクタデカジエニルアミン、cis−9,trans−11,trans−13−オクタデカトリエニルアミン、trans−9,trans−11,trans−13−オクタデカトリエニルアミン、cis−9,cis−12,cis−15−オクタデカトリエニルアミン、trans−9,trans−12,trans−15−オクタデカトリエニルアミン、trans−10,trans−12,trans−14−オタタデカトリエニルアミン、9,11,13,15−オクタデカテトラエニルアミン、2,2−ジメチルcis−9,cis−12−オクタデカジエニルアミン、8,11,14−イコサトリエニルアミン、12,20−へンイコサジエニルアミン、9,13−ドコサジエニルアミン、4,8,12,15,19−ドコサペンタエニルアミン、2,2−ジメチル−cis−11,cis−14−イコサジエニルアミン、9,15−テトラコサジエニルアミン、5,8,11−イコサトリエニルアミン、7,10,13−ドコサトリエニルアミン、8,11,14−ドコサトリエニルアミン、4,8,11,14−へキサデカテトラエニルアミン、6,9,12,15−へキサデカテトラエニルアミン、4,8,12,15−オクタデカテトラエニルアミン、9,11,13,15−オクタデカテトラエニルアミン、4,8,12,16−イコサテトラエニルアミン、5,8,11,14−イコサテトラエニルアミン、4,7,10,13−ドコサへキエニルアミン、4,8,12,15,18−イコサペンタエニルアミン、4,8,12,15,19−ドコサペンタエニルアミンなどが挙げられる。
低級アルキル基が置換したものとしては、例えば、2−メチル−2−へプテニルアミン、3−メチル−2−ノネニルアミン、5−メチル−2−ノネニルアミン、5−メチル−2−ウンデセニルアミン、2−メチル−2−ドデセニルアミン、5−メチル−2−トリデセニルアミン、2−メチル−9−オクタデセニルアミン、2−エチル9−オクタデセニルアミン、2−プロピル−9−オクタデセニルアミン、2−メチル−2−イコセニルアミン、5,9−ジメチル−2−デセニルアミン、2,5−ジメチル−2−ヘプタデセニルアミン、2,2−ジメチル−11−イコセニルアミンなどが挙げられる。
[R2=アルキニル基のとき]
不飽和結合は1つでも複数でもよく、低級アルキル基が置換していてもよく、例えば、2−オクチニルアミン、7−オクチニルアミン、2−ノニニルアミン、2−デシニルアミン、2−ウンデシニルアミン、6−ウンデシニルアミン、9−ウンデシニルアミン、10−ウンデシニルアミン、6−ドデシニルアミン、7−ドデシニルアミン、8−トリデシニルアミン、9−トリデシニルアミン、7−テトラデシニルアミン、7−へキサデシニルアミン、2−ヘプタデシニルアミン、5−オクタデシニルアミン、6−オクタデシニルアミン、7−オクタデシニルアミン、8−オクタデシニルアミン、9−オクタデシニルアミン、10−オクタデシニルアミン、11−オクタデシニルアミン、9−ノナデシニルアミン、12−ノナデシニルアミン、12−オクタデシニルアミン、13−ドコシニルアミン、11,16−ドコサジイニルアミン、7,15−ドコサジイニルアミン、8,15−ドコサジイニルアミン、21−トリコシニルアミン、22−トリコシニルアミンなどが挙げられる。
特に好ましいR1−CONH−R2は、炭素数14〜24程度(特に炭素数16〜22程度)のアルカン又はアルケンカルボン酸と、炭素数16〜22程度(特に炭素数18程度)のモノアルカン又はモノアルケンアミンとからなるアミドである。前記R1−CONH−R2は、さらに好ましくはカルボン酸由来の炭化水素基及びアミン由来の炭化水素基のうち一方が飽和炭化水素基であって、他方が不飽和炭化水素基となるアミドであり、例えば、(N−オクタデセニル)ヘキサデカン酸アミド(N−オレイルパルミトアミドなど)、(N−オクタデシル)ドコセン酸アミド(N−ステアリルエルカアミドなど)などである。
前記潤滑剤Aの円形度は、スプレードライ法を利用して調整する。例えば、潤滑剤Aを加熱して溶融する。加熱温度は潤滑剤Aの融点より20〜30℃程度高い温度であり、具体的には80〜150℃程度の範囲で設定できる。得られた液体を定量ポンプでスプレーノズルに導き、適正に加熱した空気と共にノズルから空間に噴霧する事によって、一定粒径の粒子として回収される。噴霧量、空気温度、空気圧力は所望の粒径によって調節するが、大川原化工機製ツインジェットノズルRJ-25ノズルの場合、噴霧エアー温度250℃、噴霧エアー圧力0.1〜0.2MPa、噴霧量20〜80kg/hの条件で平均粒径D50が20〜50μm、円形度が0.95の粒子が得られる。また、空気を使用しない高圧スプレーノズルで円形度の高い粒子を得る方法もある。例えば内径0.1mm、噴霧圧力10MPa、噴霧量10〜30kg/hの条件で平均粒径D50が20〜50μm、円形度が0.95の粒子が得られる。
なお所定粒径の潤滑剤Aを調製するとき、必要に応じて分級してもよい。前記分級は、湿式分級、乾式分級、篩い分け分級のいずれでもよい。湿式分級は、分級精度が優れるという利点がある一方で、分級後に分散媒を除去する必要があってコスト高になるという欠点がある。
前記乾式分級は、重力分級、慣性分級、遠心分級のいずれでもよい。慣性分級及び遠心分級は分級精度が優れている。
篩い分け分級は、編み目の大きさを利用して分離するため、分級精度が高い。ただし、潤滑剤Aの種類によっては編み目に著しく付着するため、分級精度や処理効率が低下する場合がある。
(2)潤滑剤B
潤滑剤Bの融点は、140℃以上、好ましくは145℃以上、さらに好ましくは150℃以上である。潤滑剤Bの融点を高くすることによって、流れ性を高めることができ、かつ潤滑剤Aの凝集を防止するのに役立つ。しかし潤滑剤Bの融点が高すぎると、かえって潤滑性に悪影響を及ぼす。従って潤滑剤Bの融点は、250℃以下、好ましくは200℃以下、さらに好ましくは170℃以下である。
潤滑剤Bの平均粒径D50は15μm以下、好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。潤滑剤Bの粒径を小さくすることによって潤滑剤Aの凝集を防止することができる。潤滑剤Bの平均粒径D50の下限は容易に達成可能な範囲で設定でき、1μm以上、好ましくは1.5μm以上である。
なお潤滑剤Bの平均粒径D50は、潤滑剤Aと同様、分級によって調製してもよい。また潤滑剤Bの平均粒径D50は、潤滑剤Aの平均粒径D50と同様にして測定できる。
潤滑剤Bに使用できる化合物としては、アルキレンビス脂肪酸アミド類(例えば、エチレンビスステアロアミドなどのC2-4アルキレンビスC14-30脂肪酸アミドなど)、R3−CONR45(ただしR3は、複数のヒドロキシ基が置換した炭素数2〜10のアルキル基であり、R4は炭素数8〜30の炭化水素基であり、R5は水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基である)が挙げられる。なおR3−CONR45は、形式的にはR3COOHとR45NHとの脱水生成物とみなすことができるが、他の方法で製造されたものであってもよい。
3のアルキル基の炭素数は、例えば、2〜10(好ましくは炭素数4〜6、特に5)程度である。またR3のアルキル基の炭素数は、該アルキル基に置換するヒドロキシル基の数nに応じて定めてもよく、例えば、n以上、5×n以下(好ましくは3×n以下、特に2.5×n以下)の範囲の整数から選択でき、特に好ましくは置換ヒドロキシル基の数nと等しい。
前記ヒドロキシル基の数nは、例えば、2以上(好ましくは3以上、さらに好ましくは4以上)である。該ヒドロキシル基の数nの上限はR3の炭素数によって自ずと限定されるが、例えば、10以下(好ましくは8以下、さらに好ましくは6以下)程度であり、5であってもよい。
ヒドロキシル基の数nが多くなるほど、またヒドロキシル基の数nに比べてR3の炭素数が相対的に少なくなるほど、R3部分と金属粉との相互作用が強くなる。
好ましいR3COOHとしては、アルドン酸が挙げられる。アルドン酸はアルドースのアルデヒド基を酸化してカルボキシル基とした化合物に相当するポリヒドロキシカルボン酸であり、例えば下記式に示すような化合物が挙げられる。
HOOC−(CHOH)m−CH2OH
(式中、mは自然数を示し、好ましくは1〜9、さらに好ましくは3〜5、特に4である)
上記アルドン酸としては、例えば、グリセリン酸、エリトロン酸、トレオン酸、リボン酸、アラビノン酸、キシロン酸、リキソン酸、アロン酸、アルトロン酸、グルコン酸、マンノン酸、グロン酸、インドン酸、ガラクトン酸、タロン酸などが挙げられる。
4は、好ましくは前記R1と同様の範囲から選択できる。炭素数が長くなるほど、流動性や潤滑性が向上する。しかし炭素数が長すぎると、流動性や潤滑性が低下する。
5は、好ましくは前記R2と同様の範囲から選択できる。特に好ましいR5は、水素原子である。
45NHとしては、例えば、以下のような化合物が挙げられる。
[R4=直鎖状アルキル基、R5=水素原子のとき]
例えば、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン、ノナデシルアミン、イコシルアミン、ヘンイコシルアミン、ドコシルアミン、トリコシルアミン、テトラコシルアミンなどが挙げられる。
[R4=低級アルキル基が置換したアルキル基、R5=水素原子のとき]
例えば、低級アルキル基が1つ置換したものとしては、2−エチルヘキシルアミン、4−プロピルペンチルアミン、4−エチルペンチルアミン、2−メチルデシルアミン、3−メチルデシルアミン、4−メチルデシルアミン、5−メチルデシルアミン、6−メチルデシルアミン、7−メチルデシルアミン、9−メチルデシルアミン、6−エチルノニルアミン、5−プロピルオクチルアミン、3−メチルウンデシルアミン、6−プロピルノニルアミン、2−メチルドデシルアミン、3−メチルドデシルアミン、4−メチルドデシルアミン、5−メチルドデシルアミン、11−メチルドデシルアミン、7−プロピルデシルアミン、2−メチルトリデシルアミン、12−メチルトリデシルアミン、2−メチルテトラデシルアミン、4−メチルテトラデシルアミン、13−メチルテトラデシルアミン、14−メチルペンタデシルアミン、2−エチルテトラデシルアミン、15−メチルヘキサデシルアミン、2−プロピルテトラデシルアミン、2−エチルヘキサデシルアミン、14−エチルヘキサデシルアミン、14−メチルヘプタデシルアミン、15−メチルへプタデシルアミン、16−メチルへプタデシルアミン、2−ブチルテトラデシルアミン、2−メチルオクタデシルアミン、3−メチルオクタデシルアミン、4−メチルオクタデシルアミン、5−メチルオクタデシルアミン、6−メチルオクタデシルアミン、7−メチルオクタデシルアミン、8−メチルオクタデシルアミン、9−メチルオクタデシルアミン、10−メチルオクタデシルアミン、11−メチルオクタデシルアミン、14−メチルオクタデシルアミン、15−メチルオクタデシルアミン、16−メチルオクタデシルアミン、17−メチルオクタデシルアミン、15−エチルペンタデシルアミン、3−メチルノナデシルアミン、2−エチルオクタデシルアミン、2−メチルイコシルアミン、2−プロピルオクタデシルアミン、2−ブチルオクタデシルアミン、2−メチルドコシルアミン、10−メチルドコシルアミン、2−ペンチルオクタデシルアミン、2−メチルトリコシルアミン、3−メチルトリコシルアミン、22−メチルトリコシルアミン、20−エチルドコシルアミン、18−プロピルへキサイコシルアミン、2−へキシルオクタデシルアミン、12−へキシルオクタデシルアミンなどが挙げられる。
低級アルキル基が複数置換したものとしては、2−ブチル−5−メチルペンチルアミン、2−イソブチル−5−メチルペンチルアミン、2,3−ジメチルノニルアミン、4,8−ジメチルノニルアミン、2−ブチル−5−メチルヘキシルアミン、4,4−ジメチルデシルアミン、2−エチル−3−メチルノニルアミン、2,2−ジメチル−4−エチルオクチルアミン、2−プロピル−3−メチルノニルアミン、2,2−ジメチルドデシルアミン、2,3−ジメチルドデシルアミン、4,10−ジメチルドデシルアミン、2−ブチル−3−メチルノニルアミン、2−ブチル−2−エチルノニルアミン、3−エチル−3−ブチルノニルアミン、4−ブチル−4−エチルノニルアミン、3,7,11−トリメチルドデシルアミン、2,2−ジメチルテトラデシルアミン、3,3−ジメチルテトラデシルアミン、4,4−ジメチルテトラデシルアミン、2−ブチル−2−ペンチルヘプチルアミン、2,3−ジメチルテトラデシルアミン、4,8,12−トリメチルトリデシルアミン、14,14−ジメチルペンタデシルアミン、3−メチル−2−ヘプチルノニルアミン、2,2−ジペンチルヘプチルアミン、2,2−ジメチルヘキサデシルアミン、2−オクチル−3−メチルノニルアミン、2,3−ジメチルヘプタデシルアミン、2,2−ジメチルオクタデシルアミン、2,3−ジメチルオクタデシルアミン、2,4−ジメチルオクタデシルアミン、3,3−ジメチルオクタデシルアミン、2−ブチル−2−ヘプチルノニルアミン、20,20−ジメチルヘンイコシルアミンなどが挙げられる。
[R4=アルケニル基、R5=水素原子のとき]
不飽和結合が1つのものとしては、例えば、2−オクテニルアミン、3−オタテニルアミン、2−ノネニルアミン、2−ノネニルアミン、2−デセニルアミン、4−デセニルアミン、9−デセニルアミン、9−ヘンデセニルアミン、10−ヘンデセニルアミン、2−ドデセニルアミン、3−ドデセニルアミン、5−ドデセニルアミン、11−ドデセニルアミン、2−トリデセニルアミン、12−トリデセニルアミン、4−テトラデセニルアミン、5−テトラデセニルアミン、9−テトラデセニルアミン、2−ペンタデセニルアミン、14−ペンタデセニルアミン、2−ヘキサデセニルアミン、7−ヘキサデセニルアミン、9−ヘキサデセニルアミン、2−ヘプタデセニルアミン、6−オクタデセニルアミン、9−オクタデセニルアミン、11−オクタデセニルアミン、9−イコセニルアミン、11−イコセニルアミン、11−ドコセニルアミン、13−ドコセニルアミン、15−テトラコセニルアミンなどが挙げられる。
不飽和結合が複数のものとしては、例えば、trans−8,trans−10−オクタデカジエニルアミン、cis−9,cis−12−オクタデカジエニルアミン、trans−9,trans−12−オクタデカジエニルアミン、cis−9,trans−11−オクタデカジエニルアミン、trans−10,cis−12−オクタデカジエニルアミン、cis−9,cis−12−オクタデカジエニルアミン、cis−10,cis−12−オクタデカジエニルアミン、trans−10,trans−12−オタクデカジエニルアミン、trans−9,trans−11−オクタデカジエニルアミン、trans−8,trans−10−オクタデカジエニルアミン、trans−9,trans−11−オクタデカジエニルアミン、cis−9,trans−11,trans−13−オクタデカトリエニルアミン、trans−9,trans−11,trans−13−オクタデカトリエニルアミン、cis−9,cis−12,cis−15−オクタデカトリエニルアミン、trans−9,trans−12,trans−15−オクタデカトリエニルアミン、trans−10,trans−12,trans−14−オタタデカトリエニルアミン、9,11,13,15−オクタデカテトラエニルアミン、2,2−ジメチルcis−9,cis−12−オクタデカジエニルアミン、8,11,14−イコサトリエニルアミン、12,20−へンイコサジエニルアミン、9,13−ドコサジエニルアミン、4,8,12,15,19−ドコサペンタエニルアミン、2,2−ジメチル−cis−11,cis−14−イコサジエニルアミン、9,15−テトラコサジエニルアミン、5,8,11−イコサトリエニルアミン、7,10,13−ドコサトリエニルアミン、8,11,14−ドコサトリエニルアミン、4,8,11,14−へキサデカテトラエニルアミン、6,9,12,15−へキサデカテトラエニルアミン、4,8,12,15−オクタデカテトラエニルアミン、9,11,13,15−オクタデカテトラエニルアミン、4,8,12,16−イコサテトラエニルアミン、5,8,11,14−イコサテトラエニルアミン、4,7,10,13−ドコサへキエニルアミン、4,8,12,15,18−イコサペンタエニルアミン、4,8,12,15,19−ドコサペンタエニルアミンなどが挙げられる。
低級アルキル基が置換したものとしては、例えば、2−メチル−2−へプテニルアミン、3−メチル−2−ノネニルアミン、5−メチル−2−ノネニルアミン、5−メチル−2−ウンデセニルアミン、2−メチル−2−ドデセニルアミン、5−メチル−2−トリデセニルアミン、2−メチル−9−オクタデセニルアミン、2−エチル9−オクタデセニルアミン、2−プロピル−9−オクタデセニルアミン、2−メチル−2−イコセニルアミン、5,9−ジメチル−2−デセニルアミン、2,5−ジメチル−2−ヘプタデセニルアミン、2,2−ジメチル−11−イコセニルアミンなどが挙げられる。
[R4=アルキニル基、R5=水素原子のとき]
不飽和結合は1つでも複数でもよく、低級アルキル基が置換していてもよく、例えば、2−オクチニルアミン、7−オクチニルアミン、2−ノニニルアミン、2−デシニルアミン、2−ウンデシニルアミン、6−ウンデシニルアミン、9−ウンデシニルアミン、10−ウンデシニルアミン、6−ドデシニルアミン、7−ドデシニルアミン、8−トリデシニルアミン、9−トリデシニルアミン、7−テトラデシニルアミン、7−へキサデシニルアミン、2−ヘプタデシニルアミン、5−オクタデシニルアミン、6−オクタデシニルアミン、7−オクタデシニルアミン、8−オクタデシニルアミン、9−オクタデシニルアミン、10−オクタデシニルアミン、11−オクタデシニルアミン、9−ノナデシニルアミン、12−ノナデシニルアミン、12−オクタデシニルアミン、13−ドコシニルアミン、11,16−ドコサジイニルアミン、7,15−ドコサジイニルアミン、8,15−ドコサジイニルアミン、21−トリコシニルアミン、22−トリコシニルアミンなどが挙げられる。
特に好ましいR3−CONR45としては、(N−長鎖状アルキル)アルドン酸アミドや(N−長鎖状アルケニル)アルドン酸アミド、例えば下記式で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005519338
[式中、pは1〜9(好ましくは1〜4)の整数を示し、qは7〜29(好ましくは11〜23、さらに好ましくは15〜21)の整数を示す。a、b、cはいずれも整数(好ましくはb=1)であり、a+b+c=qである。]
前記R3−CONR45は、種々の方法によって製造できるが、R3COOH又はその等価体とR45NHを原料とするアミド化反応を利用するのが簡便である。R3COOHとR45NHとは、例えば、脱水縮合することによってアミド化できる。また等価体としては、酸ハロゲン化物、エステル類(ラクトン体を含む)などが利用でき、特にR3COOHがアルドン酸の場合には閉環体(ラクトン体)を利用することが比較的多い。該アルドン酸のラクトン体としては、例えば、γ−グルコノラクトン、δ−グルコノラクトン、γ−ガラクトラクトンなどが挙げられる。
潤滑剤Aの割合は、潤滑剤Aと潤滑剤Bの合計100質量部に対して、例えば、10質量部以上、好ましくは15質量部以上、さらに好ましくは20質量部以上である。潤滑剤Aを所定量以上使用することによって、潤滑性を確保できる。しかし潤滑剤Aの割合が過剰になって潤滑剤Bの割合が少なく成りすぎると、潤滑剤Bによる流動性改善効果、凝集防止効果が不足する。従って潤滑剤Aの割合は、潤滑剤Aと潤滑剤Bの合計100質量部に対して、例えば、50質量部以下、好ましくは40質量部以下、さらに好ましくは35質量部以下である。
また潤滑剤A及び潤滑剤Bを最も効果的に利用するには、これらの相対的関係が、例えば、以下の通りであることが望ましい。すなわち潤滑剤Aと潤滑剤Bの粒径比(潤滑剤Aの平均粒径D50/潤滑剤Bの平均粒径D50)は、例えば、2〜30程度、好ましくは5〜25程度、さらに好ましくは10〜20程度である。潤滑剤Aと潤滑剤Bの融点の差(潤滑剤Bの融点−潤滑剤Aの融点)は、例えば、150℃以下、好ましくは120℃以下、さらに好ましくは110℃以下である。
(3)他の潤滑剤等
本発明では、前記潤滑剤A、潤滑剤Bに限定されず、他の潤滑剤Cも併用することができる。他の潤滑剤Cとしては、金属石鹸、アルキレンビス脂肪酸アミド、脂肪酸などが挙げられる。前記金属石鹸には、脂肪酸塩、例えば、炭素数12以上(好ましくは14〜24程度)の脂肪酸塩が含まれ、通常、ステアリン酸亜鉛が使用できる。前記アルキレンビス脂肪酸アミドには、例えば、C2-6アルキレンビスC12-24カルボン酸アミドが含まれ、通常、エチレンビスステアリルアミドが使用できる。該脂肪酸としては、例えば、前記R1COOHとして例示される化合物が使用でき、これら化合物は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。脂肪酸の好ましい範囲も前記R1COOHと同様であり、特に好ましい脂肪酸は、炭素数が16〜22程度の脂肪酸である。また特に好ましい脂肪酸は、脂肪族飽和モノカルボン酸である。
他の潤滑剤Cは、潤滑剤A及び潤滑剤Bの効果を阻害しない範囲で使用でき、潤滑剤全体を100質量部としたときの潤滑剤Cの量は、例えば、50質量部以下、好ましくは20質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下である。また潤滑剤全体を100質量部としたときの潤滑剤Aの量は、例えば、5〜45質量部程度、好ましくは10〜35質量部程度、更に好ましくは15〜30質量部程度である。
(4)鉄基粉末
前記潤滑剤A、Bは、鉄基粉末と組み合わせて粉末冶金用混合粉末として使用する。鉄基粉末は、純鉄粉、鉄合金粉のいずれであってもよい。鉄合金粉は、鉄基粉末の表面に合金粉(銅、ニッケル、クロム、モリブデンなど)が拡散付着した部分合金粉であってもよく、合金成分を含有する溶融鉄(又は溶鋼)から得られるプレアロイ粉であってもよい。鉄基粉末は、通常、溶融した鉄(又は鋼)をアトマイズ処理することによって製造される。また、鉄基粉末は、鉄鉱石やミルスケールを還元して製造する還元鉄粉であってもよい。
鉄基粉末の平均粒径は、例えば、40〜120μm、好ましくは50〜100μm、さらに好ましくは60〜80μmである。鉄基粉末の平均粒径の測定方法は、日本粉末冶金工業会規格JPMA P 02−1992(金属粉のふるい分析試験方法)に準じて粒度分布を測定したときの累積篩下量50%の粒径を計算で求めた。
潤滑剤Aと潤滑剤Bの合計量は、鉄基粉末100質量部に対して、例えば、0.01〜2質量部程度、好ましくは0.1〜1.5質量部、さらに好ましくは0.2〜1.0質量部である。
(5)他の成分
本発明の粉末冶金用混合粉末は、必要に応じて、合金化用粉末(銅、ニッケル、クロム、モリブデン、リン、硫黄又は黒鉛を含有する粉末;例えば、銅粉、ニッケル粉、クロム粉、モリブデン粉、リン合金粉、硫黄含有粉、黒鉛粉など)、特性改善剤(被削性改善の為に使用する硫化マンガンの他、タルク、フッ化カルシウムなど)などを含有していてもよい。これらは単独で又は適宜組み合わせて使用できる。
鉄基粉末(特に純鉄粉)と合金化用粉末(銅粉、ニッケル粉、クロム粉、モリブデン粉、リン、硫黄など)を混合したり、鉄基粉末と特性改善剤(硫化マンガン、タルク、フッ化カルシウムなど)を混合する場合、鉄基鉄粉100質量部に対する各成分の使用量は、例えば、以下の通りである。
銅粉:0.1〜10質量部(好ましくは1〜4質量部)
ニッケル粉:0.1〜10質量部(好ましくは0.5〜4質量部)
クロム合金粉:0.1〜8質量部(好ましくは0.2〜5質量部)
モリブデン粉:0.1〜5質量部(好ましくは0.2〜3質量部)
リン:0.01〜3質量部(好ましくは0.05〜1質量部)
硫黄:0.01〜2質量部(好ましくは0.03〜1質量部)
硫化マンガン:0.05〜3質量部(好ましくは0.1〜1質量部)
タルク:0.05〜3質量部(好ましくは0.1〜1質量部)
フッ化カルシウム:0.05〜3質量部(好ましくは0.1〜1質量部)
本発明の粉末冶金用混合粉末は、偏析や発塵防止のために、バインダを含有していてもよい。バインダの使用量は、鉄基粉末100質量部に対して、例えば、0.01〜0.3質量部程度、好ましくは0.05〜0.2質量部程度である。
本発明の粉末冶金用混合粉末は、常法に従って圧縮成形することによって圧粉成形体にできる。例えば、本発明の粉末冶金用混合粉末を金型に充填した後、490〜686MPa(5〜7ton/cm2)の圧力をかけることによって、圧粉成形体を製造できる。この圧粉成形体を常法に従って焼結することによって焼結体を製造できる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
製造例1
真空ポンプに接続した容量0.5Lの四つ口フラスコに、オレイルアミン150g、パルミチン酸136gを仕込み、無触媒で、窒素気流下、温度180〜200℃で6時間加熱攪拌を行いN−オレイルパルミトアミド(PNT)277gを得た。スプレードライ法でPNTの円形度を調整した後、得られた粒子を篩い分けすることで、所定の粒径のPNTを得た。
製造例2
真空ポンプに接続した容量0.5Lの四つ口フラスコに、ステアリルアミン112.5g、エルカ酸144gを仕込み、無触媒で、窒素気流下、温度180〜200℃で6時間加熱攪拌を行い、N−ステアリルエルカアミド(SNT)259gを得た。スプレードライ法でSNTの円形度を調整した後、得られた粒子を篩い分けすることで、所定の粒径のSNTを得た。
製造例3
スプレードライ法で、ヒドロキシステアリン酸アミド(AA1)の円形度を調整した後、得られた粒子を篩い分けすることで、所定の粒径のAA1を得た。
製造例4
スプレードライ法で、リシノール酸アミド(AA2)の円形度を調整した後、得られた粒子を篩い分けすることで、所定の粒径のAA2を得た。
製造例5
(N−オクタデセニル)グルコン酸アミド(SGA)、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド(BB1)、及びエチレンビスエルカ酸アミド(BB2)をそれぞれを篩い分けすることで、所定粒径に調整した。
上記製造例の潤滑剤の円形度は、(株)セイシン企業製の粒子形状画像解析装置「PITA−1」を用い、以下の測定条件で測定することによって決定した。
キャリア液:グリセリン水溶液
第1キャリア液流量:8000〜10000pulse
第2キャリア液流量:10000〜12000pulse
観察倍率:20倍
調光フィルタ:ND4
観察粒子数:3000個
また潤滑剤の平均粒径D50は、マイクロトラック粒度分布装置(日機装製X−100)を用いて測定した。
実験例1〜16
上記製造例で得られたPNT(融点68℃)、SNT(融点76℃)、AA1(融点:105℃)、又はAA2(融点:45℃)と、SGA(融点150℃)、BB1(融点180℃)、又はBB2(融点135℃)とを下記表1に示す割合で純鉄粉((株)神戸製鋼所製:商品名「アトメル300M」、粒径:40〜120μm)と混合し、粉末冶金用混合粉末を得た。潤滑剤の合計量は、粉末冶金用混合粉末全体を100質量%としたとき、0.75質量%とした。混合にはV型混合機(筒井理化学機器(株)製)を用い、30分間混合した。
得られた混合粉末の見掛け密度、流動度、限界流出径を下記の方法によって測定した。また、この混合粉末を用いて成形したときの成形体密度と抜出し圧力を下記の方法によって測定した。
(1)見掛け密度(g/cm3
JIS Z 2504(金属粉-見掛け密度試験方法)に従って測定した。
(2)流動度(s/50g)
JIS Z 2502(金属粉の流動度試験法)に準拠した。すなわち2.63mmφのオリフィスを50gの混合粉末が流れ出るまでの時間を測定し、この時間を混合粉末の流動度とした。
(3)限界流出径(mm)
内径114mmφ、高さ150mmの円筒状であって、底に排出径を変えることのできる排出孔を設けた容器に、該排出孔を閉じた状態で2kgの混合粉末を充填した。10分間保持したあと、排出孔を徐々に開き混合粉末を排出できる最小径を測定し、この最小径を限界流出径とした。限界流出径が小さいほど、流れ性に優れていることを意味する。
(4)成形体密度(g/cm3
圧力490.3MPa(5T/cm2)、常温(25℃)で直径25mmφ、長さ15mmの円柱状成形体を作製し、JSPM標準1−64(金属粉の圧縮試験法)に従って成形体密度を測定した。
(5)抜出圧力(MPa)
前記(4)成形体密度の測定の際に得られた成形体を金型から抜出すのに必要な荷重を、金型と成形体との接触面積で除することによって抜出圧力を求めた。
結果を表1に示す。
Figure 0005519338

Claims (10)

  1. 鉄基粉末と、下記特性を示す第1の潤滑剤A及び第2の潤滑剤Bとを含む粉末冶金用混合粉末。
    1)第1の潤滑剤A:R 1 −CONH−R 2 (ただしR 1 は炭素数7〜29の炭化水素基であり、R 2 は水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基である)
    融点:50〜120℃、
    平均粒径D50:20〜60μm、
    粒子投影像の円形度:0.9以上
    2)第2の潤滑剤B:アルキレンビス脂肪酸アミド類及びR 3 −CONR 4 5 (ただしR 3 は、複数のヒドロキシ基が置換した炭素数2〜10のアルキル基であり、R 4 は炭素数8〜30の炭化水素基であり、R 5 は水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基である)から選択される少なくとも一種
    融点:140〜250℃、
    平均粒径D50:1〜15μm
  2. 前記潤滑剤Aが、R 1 −CONH−R 2 (ただしR 1 は炭素数11〜25の炭化水素基であり、前記R 2 は水素原子又は炭素数1〜24の炭化水素基である)である請求項1に記載の粉末冶金用混合粉末。
  3. 前記潤滑剤Bが、C 2-4 アルキレンビスC 14-30 脂肪酸アミド及びR 3 −CONR 4 5 (ただしR 3 は、複数のヒドロキシ基が置換した炭素数4〜6のアルキル基であり、R 4 は炭素数11〜25の炭化水素基であり、R 5 は水素原子又は炭素数1〜24の炭化水素基である)から選択される少なくとも一種である請求項1又は2に記載の粉末冶金用混合粉末。
  4. 潤滑剤Aの量が、潤滑剤Aと潤滑剤Bの合計100質量部に対して、10〜50質量部である請求項1〜3のいずれかに記載の粉末冶金用混合粉末。
  5. 潤滑剤Aと潤滑剤Bの粒径比(潤滑剤Aの平均粒径D50/潤滑剤Bの平均粒径D50)が、2〜30である請求項1〜4のいずれかに記載の粉末冶金用混合粉末。
  6. 潤滑剤Aと潤滑剤Bの融点の差(潤滑剤Bの融点−潤滑剤Aの融点)が、150℃以下である請求項1〜のいずれかに記載の粉末冶金用混合粉末。
  7. 潤滑剤Aと潤滑剤Bの合計量が、鉄基粉末100質量部に対して、0.01〜2質量部である請求項1〜6のいずれかに記載の粉末冶金用混合粉末。
  8. 銅、ニッケル、クロム、モリブデン、リン、硫黄又は黒鉛を含有する合金化用粉末がさらに配合されている請求項1〜7のいずれかに記載の粉末冶金用混合粉末。
  9. 硫化マンガン、タルク、及びフッ化カルシウムから選ばれる少なくとも一種の特性改善剤がさらに配合されている請求項1〜8のいずれかに記載の粉末冶金用混合粉末。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の粉末冶金用混合粉末を圧縮成形して圧縮成形体とし、該圧縮成形体を焼結する焼結体の製造方法
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