以下、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1に、第1実施形態による直流モータ装置2を示す。直流モータ装置2は、直流モータ(以下、単に「モータ」とも言う。)10と、モータ10の回転状態を検出する回転検出装置100とから主に構成されている。
(モータ10)
モータ10は、回転方向に180°離れ互いに対向して配置された一対のブラシ12、14と電機子20とを備えている。モータ10は、電機子コイルとして3相の相コイルを有するブラシ付きの3相直流モータであり、ブラシ12、14と接触する3つの整流子片31、32、33からなる整流子30を備えている。そして、電機子コイルを構成する3つ(3相)の各相コイルL1、L2、L3が、それぞれデルタ結線されている。
すなわち、第3整流子片33と第1整流子片31との間に第1相コイルL1が接続され、第1整流子片31と第2整流子片32との間に第2相コイルL2が接続され、第2整流子片32と第3整流子片33との間に第3相コイルL3が接続されている。これら3つの相コイルL1、L2、L3からなる電機子コイルおよび整流子30により、電機子20が構成されている。
なお、各相コイルL1、L2、L3のインダクタンスは同じ値(L1=L2=L3)である。また、各相コイルL1、L2、L3は、互いに電気角で2π/3ずつ離れるように配置されている。
整流子片31、32、33の回転方向の長さは等しく、3つの整流子片31、32、33のうちいずれか2つが、ブラシ12、14にそれぞれ接触している。モータ10の回転による整流子30の回転に伴って、ブラシ12、14と接触する2つの整流子片は切り替わっていく。
本実施形態のモータ10は、図示は省略したものの、ヨークハウジングを有するとともに、ヨークハウジングの内壁側に永久磁石からなる界磁が設けられ、この界磁と対向するように電機子20が配置されている。
さらに、本実施形態では、モータ10において、第1相コイルL1と並列にコンデンサC1が接続されている。つまり、コンデンサC1は、第1整流子片31と第3整流子片33とを接続している。
そのため、後述する交流電源106から出力されてカップリングコンデンサ108により直流電源102からの直流電圧に交流電圧が重畳された電源電圧は、ブラシ12、14およびこれらに接触しているいずれか2つの整流子片を介して、モータ10内部の各相コイルL1、L2、L3およびコンデンサC1からなるモータ回路に印加される。そして、このように直流電圧に交流電圧が重畳された電源電圧が印加されることにより、モータ回路には交流電流成分を含む電流が流れる。
コンデンサC1は、周知の通り、直流的には電流がほとんど流れない非常に高い抵抗として機能し、交流的には電流が流れやすい低リアクタンス特性、つまり低インピーダンス特性を有する。そのため、直流電源102からみればこのコンデンサC1は等価的に存在しないものとして扱うことができる。したがって、直流電源102からの直流電流は各相コイルL1、L2、L3にのみ流れることとなる。
一方、交流電源106からみれば、各相コイルL1、L2、L3は高リアクタンス、つまり高インピーダンスであるのに対してコンデンサC1は低インピーダンスとなり、両者の差は大きい。そのため、例えば図1に示す状態から電機子20が時計回りに回転し、ブラシ14に第1整流子片31が接触するようになると、ブラシ12、14間に、第1相コイルL1とコンデンサC1の並列回路が形成される。すなわち、ブラシ12、14間にコンデンサC1のみの通電経路が形成される。この状態では、ブラシ12、14間のモータ回路のインピーダンスは図1に示した状態とは異なり、例えば特定の周波数以上の領域では非常に小さいインピーダンスとなる。
つまり、直流的にみればモータ回路は3つの相コイルL1、L2、L3のみからなる回路とみなせる。それ故、直流電源102からの直流電流によって回転するモータ10の回転速度やトルクにコンデンサC1の存在が影響することはない。
これに対し、交流的にみれば、モータ10の回転角に応じてブラシ12、14と接触する2つの整流子片が切り替わる毎にブラシ12、14間に形成されるモータ回路の構成が変化するので、モータ回路においてリアクタンスとして静電容量値、つまりインピーダンスが変化する。但し、本実施形態では、第1相コイルL1に対してのみコンデンサC1を一つ接続しているため、モータ10の電機子20が180°回転する間に整流子片の切り替わりは3回生じるもののインピーダンスの変化は2段である。これについては後で図4を用いて詳しく説明する。
そして、インピーダンス(リアクタンス)の変化は、モータ10に流れるモータ電流に含まれる交流成分(交流電流成分)の振幅変化、或いはそのモータ電流が流れる通電経路上の電圧(経路電圧)に含まれる交流成分(交流電圧成分)の振幅変化として現れる。
したがって、回転角に応じて変化するモータ電流または経路電圧の交流成分の振幅変化を検出できれば、モータ10の回転角を検出することができる。そこで本実施形態の回転検出装置100では、回転信号検出部110がモータ電流に含まれる交流成分の振幅変化を検出する。これにより、交流成分の振幅変化から、ブラシ間におけるモータ回路のリアクタンスの変化を間接的に検出する。そして、検出した交流成分の振幅の変化に基づいて、後述するように検出パルスSpを生成する。
(回転検出装置100)
回転検出装置100は、モータ10の回転角を検出するための装置であり、直流電源102、交流重畳部104、回転信号検出部110、回転状態検出部140、ドライバ制御部150、および振幅制御部160等を備えている。回転検出装置100は、例えば車両の空調装置における各ダンパーを駆動するモータ、あるいはパワーウィンドウを駆動するモータの回転角を検出するために用いられるものである。もちろん、車両の空調装置またはパワーウィンドウへの適用は本発明の実施態様としてのあくまでも一例である。
(電源部)
本実施形態の電源部は、直流電源102と交流重畳部104とを備えている。直流電源102は、モータ10を回転駆動さるトルクを発生させるための直流電圧を発生する。
交流重畳部104は、交流電源106とカップリングコンデンサ108とから構成されており、モータ10の定常回転時および短絡制動時の双方ともにブラシ12、14間に流れるモータ電流の通電経路となる共通通電経路に電気的に接続している。交流電源106は、所定の周波数の交流電圧を発生する。カップリングコンデンサ108は、直流電源102から出力される直流電圧に交流電源106から出力される交流電圧を重畳させる。
このように、直流電源102からモータ10への通電経路のうち、起動から定常回転時および短絡制動時の各制御においてモータ電流が流れる共通電流経路に、交流重畳部104および後述する電流検出部112が接続されている。
これにより、起動から定常回転時および短絡制動時の各制御において、交流電源106からモータ10に交流電圧を印加し、モータ10の回転状態を検出できる。
図2に示すように、モータ10に印加される交流重畳電圧は、直流電圧Vbに、振幅Vsで周波数fの交流電圧が重畳された交直混在(脈流の一種)である。この交流重畳電圧がモータ10に印加されることにより、モータ10に流れるモータ電流も直流電流に交流電流が重畳された電流となる。
このような電源部の構成により、モータ10には、単に直流電源102から出力される直流電圧が印加されるだけではなく、交流電源106から出力される交流電圧が直流電圧に重畳されて印加される。そのため、モータ10には、直流電圧による直流電流に交流電圧による交流電流が重畳された電流が流れる。
尚、直流電源102からの直流電圧の印加を停止し、交流電源106からの交流電圧のみをモータ10に印加することも可能である。
(回転信号検出部110)
図1に示す回転信号検出部110は、電流検出部112と信号処理部120とを備えている。回転信号検出部110は、交流重畳部104からモータ10に供給される交流電流または交流電圧または交流電力を検出し、検出した交流電流または交流電圧または交流電力に基づいてモータ10の回転角に応じた検出パルスSpを生成し出力する。
電流検出部112は、モータ10の共通通電経路(詳しくはグランド電位側のブラシ14からグランド電位に至る通電経路上)に接続している。信号処理部120は、電流検出部112により検出された通電電流(モータ電流)に基づく各種信号処理を行って検出パルスSpを生成する。
図3に示すように、電流検出部112は、モータ10の共通通電経路上に接続する電流検出抵抗R1からなり、この電流検出抵抗R1の両端の電圧が、モータ電流に応じた検出信号として信号処理部120へ取り込まれる。モータ電流については後述する。尚、電流検出部112において、電流検出抵抗R1に代えて、コイルを設置してもよい。
信号処理部120は、ハイパスフィルタ(HPF)122と、増幅部124と、包絡線検波部128と、ローパスフィルタ(LPF)130、比較部132とを備えている。
HPF122は、コンデンサC10および抵抗R2からなる周知の構成のものである。信号処理部120に取り込まれた電流検出抵抗R1による検出信号は、このHPF122によって、直流電流成分を含む所定の遮断周波数以下の帯域の信号がカットされ、交流電源106にて生成される交流電圧の周波数を含む、上記遮断周波数より高い周波数成分が抽出されて増幅部124に入力される。そのため、検出されたモータ電流(検出信号)のうち、直流電流成分はこのHPF122によって遮断され、交流電流成分のみが増幅部124へ入力されることとなる。
尚、HPF122に代えて、例えば、交流電流成分の周波数を含む所定の帯域のみを通過させるバンドパスフィルタを用いるようにしてもよい。
電流検出抵抗R1により検出され、HPF122によって抽出された検出信号(交流電流成分)は、増幅部124にて増幅される。
増幅部124は、オペアンプ126と、オペアンプ126の出力端子と反転入力端子との間に接続された抵抗R3と、オペアンプ126の反転入力端子とグランド電位との間に接続された抵抗R4とを備え、HPF122から非反転入力端子に入力される検出信号が所定の増幅率にて増幅される。
増幅部124にて増幅された検出信号は、包絡線検波部128にて包絡線検波される。包絡線検波部128は、整流用のダイオードD1と、一端がこのダイオードD1のカソードに接続されて他端がグランド電位に接続された抵抗R5と、一端がダイオードD1のカソードに接続されて他端がグランド電位に接続されたコンデンサC11とを備えてなる。ダイオードD1のアノードには、増幅部124にて増幅された検出信号が入力される。
包絡線検波部128により、増幅部124から入力された交流の検出信号が包絡線検波され、交流電流成分の振幅に応じた一定の信号(以下「検波信号」という)が生成される。尚、包絡線検波部128から出力される検波信号の立ち下がりのなまりは、抵抗R5およびコンデンサC11の時定数に応じて変化する。
包絡線検波部128から出力された検波信号は、LPF130にて高周波成分がカットされた上で、比較部132に入力される。LPF130は、抵抗R6およびコンデンサC12からなる周知の構成のものである。なお、抵抗R6にはダイオードD2が並列接続されている。このダイオードD2の接続方向は、検波信号が入力される方向に対して逆方向となっている。
比較部132は、コンパレータ134と、一端がコンパレータ134の非反転入力端子に接続されて他端がLPF130に接続された抵抗R7と、コンパレータ134の出力端子と反転入力端子との間に接続された抵抗R8と、一端がコンパレータ134の反転入力端子に接続されて他端が抵抗R10に接続された抵抗R9とを備えている。
包絡線検波部128から出力された検波信号は、LPF130を介して比較部132に入力され、この比較部132において抵抗R7を介してコンパレータ134の非反転入力端子に入力される。一方、コンパレータ134の反転入力端子には、抵抗R9、抵抗R10を介して設定される閾値が入力される。これにより、コンパレータ134では、検波信号と閾値との比較が行われ、その比較結果が出力される。
比較部132に入力される閾値は、本実施形態では、図5に示したモータ電流波形のうち振幅が小さい期間での検波信号よりも大きく、且つ、振幅が大きい期間での検波信号よりも小さい所定の値が設定されている。
そのため、振幅の小さい期間では、LPF130を介して包絡線検波部128から比較部132へ入力される検波信号はコンパレータ134の反転入力端子に入力される閾値よりも小さいため、コンパレータ134からはローレベルの信号が出力される。一方、振幅の大きい期間では、LPF130を介して包絡線検波部128から比較部132へ入力される検波信号はコンパレータ134の反転入力端子に入力される閾値よりも大きくなるため、コンパレータ134からはハイレベルの信号が出力される。
そして、コンパレータ134から出力されたローレベル、ハイレベルのパルス信号は、検出パルスSpとして、回転状態検出部140に入力される。
このように、信号処理部120では、電流検出抵抗R1にて検出されたモータ電流(検出信号)に対して低周波領域のカット、交流電流成分の増幅、包絡線検波といった各種信号処理を行った上で検出パルスSpが生成されるため、外乱やノイズが低減された正確な検出パルスSpが生成される。
(回転状態検出部140)
図1に示す回転状態検出部140は、主にマイコンにより構成されており、回転信号検出部110から出力される検出パルスSpをカウントし、パルス数に基づいてモータ10の回転角を検出する。
回転状態検出部140は、コンパレータ134からパルス信号が出力される毎にカウントアップする。尚、コンパレータ134から出力されるパルス信号を回転状態検出部140に入力する前に、適宜波形整形およびレベル調整してもよい。
回転状態検出部140は、検出したモータ10の回転角に基づいて、ドライバ制御部150にモータ10の回転を制御する制御信号を出力する。
(ドライバ制御部150)
ドライバ制御部150は、回転状態検出部140からの制御信号により、図1に示す周知のHブリッジ回路(いわゆるフルブリッジ)にて構成されたモータドライバを制御する。尚、ドライバ制御部150は、回転状態検出部140からの制御信号により回路構成自体でモータドライバを制御してもよいし、あるいは、マイコンで構成され、回転状態検出部140からの制御信号に基づいて制御プログラムによりモータドライバを制御してもよい。
(モータドライバ)
モータドライバは、例えばMOSFETからなるスイッチ(SW)1、2、3、4を備えている。ハイサイド側のSW1とローサイド側のSW3との接続点(即ちHブリッジ回路の一方の中点)はモータ10における一方のブラシ12に接続されている。同様に、ハイサイド側における他方のSW2とローサイド側のSW4との接続点(ブリッジ回路の他方の中点)はモータ10における他方のブラシ14に接続されている。
ドライバ制御部150は、回転状態検出部140が検出するモータ10の回転角に基づいて、SW1、SW2、SW3、SW4のオン、オフを制御する。
正転制御の際は、SW1およびSW4をオンさせて、他の2つのSW2、SW3をオフさせる。一方、逆回転制御の際は、SW2、SW3をオンさせて、他の2つのSW1、SW4をオフさせる。
また、モータ10を制動するときには、モータドライバを構成する4つのSW1〜SW4のうちローサイド側の2つのSW3、SW4をオンさせ、ハイサイド側のSW1、2をオフさせることで、モータ10の端子間(ブラシ12、14間)を、これら各SW3、SW4を介して短絡させることによりモータ10を制動させる。
SW3、SW4をオンさせ、SW1、2をオフさせることで、回転中のモータ10のブラシ12、14間を短絡させ、モータ10と直流電源102との接続が遮断されると、モータ10が発電機として作動し、その発電エネルギーが、ローサイド側のSW3、SW4、およびモータ10によって消費される。これによりモータ10が制動されてやがて停止することになる。
(振幅制御部160)
振幅制御部160は、抵抗162、164およびMOSFETからなるSW10から構成されている。抵抗162はドライバ制御部150とSW3のゲートとを接続しており、抵抗164はSW3のゲートとSW10のドレインとを接続している。SW10のソース側はグランド電位に接続している。
ドライバ制御部150は、SW1、2をオフにしSW3、4をオンにする短絡制動時にSW10をオンにする。SW10がオンになると、抵抗162、164、SW10を通って電流が流れるので、SW3に印加されるゲート電圧が低下する。これにより、短絡制動時においてSW3のオン抵抗が大きくなる。
(モータ回路の変化)
次に、モータ10が180°回転する間における、モータ10内部の結線状態の変化、すなわちブラシ12、14間に形成されるモータ回路の変化を、図4の(A)に示す。図4の(A)に示すように、本実施形態のモータ10のモータ回路は、モータ10が180°回転する間に、状態A、状態B、および状態Cの3種類に変化する。
状態Aは、直流電源102の正極側(以下「Vb側」とも言う。)のブラシ12に第1整流子片31が接触し、グランド電位側(以下「GND側」とも言う。)のブラシ14に第2整流子片32が接触した状態である。この状態Aでのモータ10の等価回路、すなわちブラシ12、14間に形成されるモータ回路は、図中右側に示す回路となる。なお、Vbとは、図2で説明したように、直流電源102から出力される直流電圧を示すものである。
この状態Aでは、コンデンサC1と第3相コイルL3とが直列に接続された状態となっているため、ブラシ12、14間には、コンデンサC1のみの通電経路は存在せず、一方のブラシ12から他方のブラシ14に至るまでの経路上には必ずいずれかの相コイルが存在することになる。そのため、この状態Aでは、回路全体のインピーダンスが高くなるので、モータ電流に含まれる交流電流成分の振幅は小さい。
状態Bは、状態Aから時計回りに約50°回転した状態であり、Vb側のブラシ12に接触する整流子片が、状態Aのときの第1整流子片31から第3整流子片33へと切り替わっている。GND側のブラシ14には第2整流子片32が接触している。
この状態Bでも、コンデンサC1と第2相コイルL2とが直列に接続された状態となっているため、ブラシ12、14間には、コンデンサC1のみの通電経路は存在せず、一方のブラシ12から他方のブラシ14に至るまでの経路上には必ずいずれかのコイルが存在することになる。そのため、この状態Bでも回路全体のインピーダンスは高く、故に、モータ電流に含まれる交流電流成分の振幅は小さい。なお、この状態Bと状態Aは、図の等価回路を比較して明らかなように、回路全体のインピーダンスは同じである。そのため、交流電流成分の振幅も同じ大きさである。
状態Cは、状態Bからさらに時計回りに約50°回転した状態であり、GND側のブラシ14に接触する整流子片が、状態A、Bのときの第2整流子片32から第1整流子片31へと切り替わっている。Vb側のブラシ12には第3整流子片33が接触している。つまり、状態Cでは、コンデンサC1が接続している一対の第1整流子片31と第3整流子片33の両方に一対のブラシ12、14が同時に接触している。
この状態Cでは、第2相コイルL2および第3相コイルL3の直列回路と、第1相コイルL1と、コンデンサC1とが、それぞれ並列接続された状態となる。そのため、ブラシ12、14間には、コンデンサC1のみの通電経路が存在する。これにより、回路全体のインピーダンスが低くなるので、モータ電流に含まれる交流電流成分の振幅は大きくなる。
このように、モータ10が180°回転する間には、ブラシ12、14と接触する整流子片の切り替わりが3回生じ、これに伴ってブラシ12、14間のモータ回路は状態A、B、Cの3種類に切り替わる。しかし前述したように、状態Aと状態Bは回路全体のインピーダンスが等しいため、180°回転の間に生じるインピーダンスの変化は2段である。
なお、モータ10の回転の過程では、隣接する2つの整流子片に一つのブラシが同時に接触する切り替わり期間が存在し、この切り替わり期間においてもブラシ間のインピーダンスは変化するが、この切り替わり期間はモータ10が一回転する間において瞬間的に生じるのみであり、これに伴うインピーダンスの変化も瞬間的なものである。そのため、本実施形態ではこの切り替わり期間については考慮しないものとする。
状態Cから更に回転が進むと、Vb側のブラシ12に接触する整流子片が、状態Cのときの第3整流子片33から第2整流子片32へと切り替わる。GND側のブラシ14には第1整流子片31が接触している。この状態は、上述した状態Aにおいて、Vb側のブラシ12とGND側のブラシ14とが入れ替わった状態であり、回路全体のインピーダンスは状態Aと同じである。そのため、以下の説明ではこの状態を状態A’という。
この状態A’から更に回転が進むと、GND側のブラシ14に接触する整流子片が、状態A’のときの第1整流子片31から第3整流子片33へと切り替わる。Vb側のブラシ12には第2整流子片32が接触している。この状態は、上述した状態Bにおいて、Vb側のブラシ12とGND側のブラシ14とが入れ替わった状態であり、回路全体のインピーダンスは状態Bと同じである。そのため、以下の説明ではこの状態を状態B’という。
この状態B’から更に回転が進むと、Vb側のブラシ12に接触する整流子片が、状態B’のときの第2整流子片32から第1整流子片31へと切り替わる。GND側のブラシ14には第3整流子片33が接触している。この状態は、上述した状態Cにおいて、Vb側のブラシ12とGND側のブラシ14とが入れ替わった状態であり、回路全体のインピーダンスは状態Cと同じである。そのため、以下の説明ではこの状態を状態C’という。
そして、この状態C’から更に回転が進むと、再び状態Aに切り替わり、以下、回転が進むにつれて状態B→状態C→状態A’→状態B’→状態C’→状態A→・・・と切り替わる。
つまり、モータ10は、一回転する間にその回転角に応じてモータ回路が状態A、B、C、A’、B’、C’の六種類に順次切り替わるのであり、60°回転毎に状態が切り替わるということになる。このうち、状態A、B、A’、B’は、いずれも同じインピーダンス(高インピーダンス)である。また、状態C、C’も同じインピーダンスであり、その値は状態A等のインピーダンスよりも非常に低い。
そのため、モータ電流は、図5に示すように、状態A、B、A’、B’のときは交流電流成分の振幅が小さく、状態C、C’のときは交流電流成分の振幅が大きくなる。
しかも、本実施形態では、モータ10の回転角によって変化するインピーダンスの差が大きくなるよう構成されている。すなわち、図4の(A)で説明したように、状態A、B、A’、B’のインピーダンスは、ブラシ12、14間にコンデンサC1のみの経路が生じないために高いインピーダンスとなるのに対し、状態C、C’のインピーダンスは、ブラシ12、14間にコンデンサC1のみの経路が生じて非常に低いインピーダンスとなる。
このように、状態A、B、A’、B’のときのインピーダンスと状態C、C’のときのインピーダンスに大きな差があるため、モータ電流中の交流電流成分の振幅も、状態A、B、A’、B’のときと状態C、C’のときとで、図5に示すように大きな差が生じる。なお、図5は、状態A、B、A’、B’のときのインピーダンスが状態C、C’のときのインピーダンスの約4倍の場合の波形を例示している。
そのため、信号処理部120において比較部132のコンパレータ134の反転入力端子に入力すべき閾値を、より高い自由度・範囲内で設定することができる。そして、例えば、閾値を、状態Aのときの検波信号と状態Cのときの検波信号の中間値付近の値に設定すれば、比較部132による比較がより正確に行われ、図5に示すように、回転角に応じた正確な検出パルスSpを確実に生成することができる。
ここで、前述したように、電機子20が180°回転する間に、モータ回路は状態A、状態B、および状態Cの3種類に変化し、状態Cのインピーダンスが状態A、状態Bよりも小さくなる。すなわち、電機子20が180°回転する間の120°の期間は交流成分の振幅が小さくなり、60°の期間は振幅が大きくなる。したがって、振幅が大きい期間をTon、振幅が小さい期間をToffとすると、定常回転時においては、Ton:Toff=1:2なる。
ところで、交流電源106から出力される交流電圧の周波数は、本実施形態では、状態A、B、A’、B’のモータ回路における共振周波数をf1、状態C、C’のモータ回路における共振周波数をf2としたとき、これら各共振周波数とはいずれも異なる周波数に設定されている。より具体的には、これら各周波数f1、f2のいずれよりも大きい所定の周波数の交流電流が交流電源106から供給されるように構成されている。
図4の(B)に、図4の(A)に示した各状態におけるインピーダンスの周波数特性を示す。上述の通り、状態A、B、A’、B’のモータ回路のインピーダンスは同じである。この状態A、B、A’、B’の場合、コンデンサC1の影響はほとんどなく、共振周波数f1で小さなピーク値が生じるものの、全体としてみれば周波数が高くなるほどインピーダンスが増加する特性となる。
これに対し、状態C、C’の場合、各相コイルL1、L2、L3とコンデンサC1との共振によってインピーダンス特性は大きく変化し、共振周波数f2を中心(最大値)としてインピーダンスは小さくなる。そのため、状態A、B、A’、B’と状態C、C’とでは、インピーダンスが一致(特性が交差)する周波数f3を除き、インピーダンスが異なる。特に、共振周波数f1を中心とする所定帯域や、周波数f3よりもある程度高い周波数以上の帯域では、インピーダンスの比が大きくなる。そのうち特に、周波数f3よりもある程度高い周波数以上の領域では、例えば周囲温度の変化によってコンデンサC1の静電容量値が変化して共振周波数f1、f2が変化しても、インピーダンス比の変化が少ないため、回路設計上の観点からも、交流電源106の交流電圧の周波数として使用しやすい領域である。
そのため、本実施形態では、交流電源106の交流電圧の周波数を、周波数f3よりも高い所定の周波数としている。
(モータ停止時のモータ電流)
続いて、回転中のモータ10が停止する際のモータ電流を図6の(A)に示す。なお、図6の(A)では、インピーダンスが大きくて交流電流成分の振幅の小さい期間(状態A、B、A’B’となる期間)については交流電流成分の波形が非常に小さいため図示を省略している。後述する図6の(B)においても同様である。
図6の(A)に示す例では、回転中のモータ10に制動をかけて停止させる停止制御(制動制御)の際、前述したように、モータドライバのハイサイド側の2つのSW1、SW2をオフさせ、ローサイド側の2つのSW3、SW4をオンさせてモータ10を短絡制動させる。
一方、交流電源106からの交流電圧(交流電流)については、モータ10の駆動に関与するものではなく、あくまでもモータ10の回転角を検出する目的で供給されるものであるため、回転中か停止制御時かにかかわらず、モータ10の回転が制御されている間は常時モータ10へ供給される。
そのため、短絡制動開始後のモータ電流は、図示の如く、誘導起電力によって生じる電流に交流電源106からの交流電流が重畳したものとなる。このうち、誘導起電力による電流の大きさは、モータ10の回転速度が低くなるほど小さくなるため、この誘導起電力による電流は徐々に小さくなり、モータ10が停止したときにはこの電流もゼロになる。
一方、交流電流は、上記のように回転角検出のために常に交流電源106から供給されるものであるため、図6の(A)に示すように、モータ10の回転速度に関係なく、回転角に応じた(モータ回路のインピーダンスの変化に応じた)振幅の交流電流が流れる。そのため、モータ10の回転速度に関係なく、モータ10の回転角を検出することができるのである。
図6の(A)に示した停止制御時における、信号処理部120にて生成される検出パルスSpの例を、図6の(B)に示す。図6の(B)の上側の波形は、HPF122から出力され増幅部124にて増幅された後の検出信号であり、下側の波形が、比較部132から出力される検出パルスSpである。本例では、交流電流成分の振幅が小振幅から大振幅に変化するタイミング毎に、所定時間幅の検出パルスSpが生成される。
モータ10が停止するときには、電機子20の回転速度が遅くなるので、図6の(B)に示すように、インピーダンスの変化に伴う検出パルスの発生間隔およびパルス幅も長くなる。
そして、本実施形態では、検出パルスSpはモータ10が180°回転する毎に生成される。そのため、この検出パルスSpが生成される毎にモータ10が180°回転したものとして、モータ10の回転角を検出することができる。
(インピーダンスの変化)
モータドライバのSW1、2、3、4のオン、オフを切り替えて、正転制御、逆回転制御、短絡制動制御を切り替えると、モータ電流の通電経路が切り替わる。その結果、図7に示すように交流回路の回路構成が切り替わる。図7は、正転時、逆回転時、および短絡制動時の交流回路の等価回路を示している。尚、回転信号検出部110のインピーダンスは大きく回転信号検出部110には電流が殆ど流れないので、図7では回転信号検出部110のインピーダンスを無視しており図示していない。
正転時には、モータドライバにおいてSW1、4がオンされSW2、3がオフされるため、正転時における交流回路の等価回路は、図7の(A)に示すようになる。尚、図7において、Zvは直流電源102の交流インピーダンスであり、Zmはモータ10の交流インピーダンスであり、Zoは各SW1〜SW4の交流インピーダンス(オン抵抗)である。
カップリングコンデンサ108のインピーダンスをZcとすると、図7の(A)において、A−A’間の負荷側のインピーダンスZは、次式(1)で表される。尚、下記の式(1)、(3)、(5)で示すインピーダンスは、交流電源106から供給される交流電流が流れる交流回路におけるインピーダンスである。
Z=Zc+(Zv+Zo)(Zm+Zo)/(Zv+Zm+2Zo) ・・・(1)
そして、交流電圧をVとすると、A’(GND)−B(検出点)の電圧V’は、X=Zc、Y=(Zv+Zo)(Zm+Zo)/(Zv+Zm+2Zo)とすると、次式(2)で表される。
V’={Y/(X+Y)}{Zo/(Zm+Zo)}V ・・・(2)
逆回転時には、モータドライバにおいてSW2、3がオンされSW1、4がオフされるため、逆回転時における交流回路の等価回路は、図7の(B)に示すようになる。図7の(B)において、A−A’間の負荷側のインピーダンスZは、次式(3)で表される。
Z=Zc+Zo(Zm+Zv+Zo)/(Zv+Zm+2Zo) ・・・(3)
そして、A’(GND)−B(検出点)の電圧V’は、X=Zc、Y’=Zo(Zm+Zv+Zo)/(Zv+Zm+2Zo)とすると、次式(4)で表される。
V’=
{Y’/(X+Y’)}{(Zv+Zo)/(Zm+Zv+Zo)}V ・・・(4)
さらに、短絡制動時には、モータドライバにおいてSW3、4がオンされSW1、2がオフされるため、短絡制動時における交流回路の等価回路は、図7の(C)に示すようになる。図7の(C)において、A−A’間の負荷側のインピーダンスZは、次式(5)で表される。
Z=Zc+Zo(Zm+Zo)/(Zm+2Zo) ・・・(5)
そして、A’(GND)−B(検出点)の電圧V’は、X=Zc、Y”=Zo(Zm+Zo)/(Zm+2Zo)とすると、次式(6)で表される。
V’={Y”/(X+Y”)}{Zo/(Zm+Zo)}V ・・・(6)
このように、正転時、逆回転時、短絡制動時のそれぞれで、交流回路の等価回路が異なり、インピーダンスも異なる。その結果、電流検出部112による検出結果に含まれる交流成分の振幅レベルが、正転時、逆回転時、および短絡制動時のそれぞれで変化する。
特に、短絡制動時においては、直流電源102が交流回路に含まれないので、正転時および逆回転時に比べ、交流回路のインピーダンスが小さくなる。その結果、正転または逆回転しているときの定常回転時に比べ、モータドライバを切り替えて短絡制動が実行されると、電流検出部112で検出されるモータ電流の直流成分および交流成分の振幅が大きくなる。
その結果、図8の(B)に示すように、HPF122で抽出され増幅部124で増幅された交流成分において、振幅が大きい期間Tonにおける振幅の大きさはオペアンプ126の最大レベルで一定になり変化しないものの、振幅が小さい期間Toffにおいて振幅が増加する。
このように、HPF122および増幅部124を通過後の交流成分において、期間Tonにおける振幅が変化せず、期間Toffにおける振幅が増加すると、交流成分の振幅の変化の差が小さくなる。すると、図8の(B)に示すように、包絡線検波部128通過後の検出信号のレベル差が小さくなるので、比較部132で検出パルスを誤検出する恐れがある。
そこで、本実施形態では、前述したように、短絡制動時に振幅制御部160のSW10をオンにすることにより、抵抗162、164、SW10を通って電流を流し、短絡制動時にSW3に印加されるゲート電圧を低下させる構成を採用している。これにより、SW3のオン抵抗が大きくなるので、SW10がオフの状態よりも短絡制動時の交流回路のインピーダンスが増加し、正転時および逆回転時と短絡制動時とのインピーダンスの差が小さくなる。
その結果、短絡制動時において、SW3に印加されるゲート電圧を低下させない場合に比べ、SW3に印加されるゲート電圧を低下させる方が電流検出部112で検出されるモータ電流の振幅は小さくなる。これにより、HPF122で抽出され増幅部124で増幅された交流成分において、期間Tonにおける振幅の大きさはオペアンプ126の最大レベルで一定になり変化しないものの、期間Toffにおいて振幅が増加することを防止できる。したがって、図8の(A)に示すように、短絡制動時における交流成分の振幅の差が、正転時および逆回転時における振幅の差よりも小さくなることを低減できる。
これにより、モータ10の回転を制御するために通電経路が切り替わっても、モータ10の回転状態を高精度に検出できる。
ところで、短絡制動時には、正転時および逆回転時に比べ、グランド経由および電源経由でモータ電流が電流検出部112に多く回り込む傾向にある。その結果、通電経路の切り替えによるインピーダンスの低下以外にも、短絡制動時において、電流検出部112で検出されるモータ電流の振幅は大きくなる傾向にある。
これに対し、前述したように、短絡制動時に振幅制御部160のSW10をオンにしSW3のオン抵抗を増加させると、SW3で消費されるエネルギーが大きくなるので、グランド経由および電源経由で電流検出部112に回り込むモータ電流が低減する。このように、電流検出部112へのモータ電流の回り込みが低減されることによっても、HPF122で抽出され増幅部124で増幅された交流成分において、振幅が小さい期間Toffにおいて振幅が増加することを防止できる。
尚、本発明では、検出パルスではなく、HPF122から出力される交流成分のまま、交流成分の振幅の大きさの変化に基づいて、モータ10の回転状態を検出してもよい。
また、本実施形態の回転検出装置100は、検出パルスの回転数に基づいてモータ10の回転角を検出したが、単位時間当たりの検出パルス数を算出し、モータ10の回転速度を検出してもよい。
尚、本実施形態においては、相コイルL1に並列にコンデンサC1を接続し、電機子20の回転に伴いブラシ12、14間でリアクタンスが周期的に変化する構成が、本発明の可変機構に相当し、直流電源102、交流電源106およびカップリングコンデンサ108が本発明の電源部に相当し、電流検出部112および信号処理部120を備える回転信号検出部110が本発明の通電検出手段に相当する。また、回転状態検出部140が本発明の回転状態検出手段に相当し、SW1、2、3、4が本発明のモータドライバに相当し、振幅制御部160が本発明の振幅制御手段に相当する。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態を図9に示す。第2実施形態の直流モータ装置4は、モータ10と、モータ10の回転状態を検出する回転検出装置170とから主に構成されている。直流モータ装置4では、モータ10のブラシ12と、SW1とSW3との接続点とを抵抗182が接続している。そして、この抵抗182と並列にMOSFETからなるSW12が接続されている。抵抗182およびSW12は振幅制御部180を構成している。
ドライバ制御部150は、正転時および逆回転時にはSW12をオンにし、短絡制動時にはSW12をオフにする。これにより、SW12のオン時にはSW1とSW3との中点とモータ10との間にSW12と抵抗182とが並列に接続した通電経路が形成されるが、SW12のオフ時にはSW1とSW3との中点とモータ10との間に抵抗182だけの通電経路が形成される。
その結果、短絡制動時において、SW12のオフ時におけるSW1とSW3との中点とモータ10との間の通電経路のインピーダンスは、SW12のオン時における同じ通電経路のインピーダンスよりも大きくなる。これにより、正転時および逆回転時における通電経路のインピーダンスと、短絡制動時における通電経路のインピーダンスとの差を低減できる。
そして、短絡制動時において、SW12をオンにするよりもSW12をオフにした方が、電流検出部112で検出されるモータ電流の振幅は小さくなる。これにより、HPF122で抽出され増幅部124で増幅された交流成分において、振幅が大きい期間Tonにおける振幅の大きさはオペアンプ126の最大レベルで一定になり変化しないものの、振幅が小さい期間Toffにおいて振幅が増加することを防止できる。
したがって、第1実施形態と同様に、短絡制動時における交流成分の振幅の差が、正転時および逆回転時における振幅の差よりも小さくなることを低減できる。
これにより、モータ10の回転を制御するために通電経路が切り替わっても、モータ10の回転状態を高精度に検出できる。
また、SW12をオフにする短絡制動時に主に抵抗182をモータ電流が流れることにより、SW12がオンの場合よりも多くのエネルギーが抵抗182で消費されるので、グランド経由および電源経由で電流検出部112に回り込むモータ電流が低減する。これによっても、HPF122で抽出され増幅部124で増幅された交流成分において、期間Toffにおいて振幅が増加することを防止できる。
その結果、モータ10の回転制御のために通電経路が切り替わっても、通電経路間の交流成分の振幅の大きさの変化を低減できるので、モータ10の回転状態を高精度に検出できる。
尚、本実施形態では、振幅制御部180が本発明の振幅制御手段に相当する。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態を図10に示す。第3実施形態による直流モータ装置6は、モータ10と、モータ10の回転状態を検出する回転検出装置190とから主に構成されている。第3実施形態の回転検出装置190は、モータ10の回転を制御するモータドライバの構成が、第1実施形態の回転検出装置100と異なっている。第3実施形態では、SW200およびSW202がモータドライバを構成している。
(回転検出装置190)
モータ10に加わる電源電圧を制御してモータ10を定常回転させるか停止させるかは、SW200、202のオン、オフによりモータ10の通電経路を切り切替えることにより行われる。SW200、202のオン、オフは、ドライバ制御部192からの制御信号により切り替わる。定常回転時および制動時において、SW200、202の一方がオンであれば、他方はオフになる。モータ10の起動前、停止後には、SW200、202はオフになる。
SW200がオンでSW202がオフの場合には、直流電源102から直流電圧がモータ10に加わるので、モータ10は定常回転する。SW200がオフでSW202がオンの場合には、ブラシ12、14間で回路が短絡される。この通電経路には、SW202と直列に抵抗204が設置されている。
ブラシ12、14間で回路が短絡されると、モータ10は発電機として作動し、モータ10が発生する発電エネルギーが抵抗204によって消費される。これにより、モータ10が制動されてやがて停止する。
SW200がオフでSW202がオンになる短絡制動時の通電経路には、直流電源102が含まれないので、直流電源102のインピーダンス分、通電経路のインピーダンスが低下する。
そこで、第3実施形態では、前述したように、SW200がオフでSW202がオンになる短絡制動時の通電経路に抵抗204を設置している。これにより、定常回転時の通電経路のインピーダンスと、短絡制動時の通電経路のインピーダンスとの変化を極力低減している。
これにより、モータ10の回転を制御するためにドライバ制御部192がSW200、202を切り替えて通電経路が変化しても、電流検出部112が検出する交流成分の可変機構以外での交流成分の振幅の変化を低減できる。
本実施形態では、SW200およびSW202が本発明のモータドライバに相当し、抵抗204が本発明の振幅制御手段に相当する。
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態を図11および図12に示す。第4実施形態では、信号処理部210において、交流成分の振幅の大きさの変化を低減する構成を採用している。第1実施形態の信号処理部120と実質的に同一構成部分には同一符号を付し、説明を省略する。
増幅部212は、オペアンプ214と、抵抗R11〜R14と、アナログスイッチ216とから構成されている。
抵抗R11は、HPF122側とオペアンプ214の反転入力端子とを接続している。抵抗R12、R13はオペアンプ214の出力端子と反転入力端子とを接続している。そして、アナログスイッチ216は抵抗R13と並列に接続している。抵抗R14は、オペアンプ214の非反転端子に入力する基準電圧を生成している。
アナログスイッチ216は、正転時および逆回転時にオンにされ、短絡制動時にオフにされる。これにより、正転時および逆回転時には、オペアンプ214の出力端子と反転入力端子とを抵抗R12およびアナログスイッチ216が接続し、短絡制動時には、オペアンプ214の出力端子と反転入力端子とを抵抗R12および抵抗R13が接続する。したがって、正転時および逆回転時よりも短絡制動時の方が、オペアンプ214の増幅率が上昇する。
レベルシフト部218は、増幅部212にて増幅された交流成分の振幅レベルを所定値低下させ、振幅レベルが低下した信号を増幅する。レベルシフト部218は、オペアンプ220、222と、抵抗R15〜R20と、アナログスイッチ224、226とから構成されている。
増幅部212にて増幅された交流成分は、抵抗R15を介してオペアンプ220の非反転入力端子に入力される。抵抗R16は、オペアンプ220の非反転入力端子とグランド電位側とを接続している。抵抗R17は、オペアンプ222の出力端子とオペアンプ220の反転入力端子とを接続し、抵抗R18は、オペアンプ220の出力端子と反転入力端子とを接続している。R15〜R18の抵抗値は、例えば、R15=R17、R16=R18に設定されている。
オペアンプ222は、オペアンプ222の非反転端子に印加される電圧を保持する構成となっている。アナログスイッチ224または226のオン、オフが切り替わることにより、オペアンプ222の非反転端子には、抵抗R19または抵抗R20で設定された異なる基準電圧が印加される。
オペアンプ222は、抵抗R19または抵抗R20で設定された異なる基準電圧を出力し、この出力は、抵抗R17を介してオペアンプ220の反転入力端子に入力される。
ここで、抵抗R19で設定される基準電圧は、抵抗R20で設定される基準電圧よりも高く、短絡制動時において、交流成分の振幅が小さい期間Toffの振幅と同じか、僅かに大きくなるように設定されている。
前述したように、短絡制動時には、正転時および逆回転時に比べてモータ電流の交流成分の振幅が大きくなる。その結果、図12の(A)の左側のタイムチャートに示すように、増幅部212で増幅された交流成分において、交流成分の振幅が大きい期間Tonにおける振幅の大きさはオペアンプ214の最大レベルで一定になり変化しないものの、期間Toffにおいて振幅が増加する。
そこで、本実施形態では、正転時および逆回転時の定常回転時にはアナログスイッチ224をオフにし、アナログスイッチ226をオンにする。これにより、定常回転時には抵抗R20で設定される基準電圧が選択される。一方、短絡制動時には、アナログスイッチ224をオンにし、アナログスイッチ226をオフにする。これにより、短絡制動時には抵抗R19で設定される基準電圧が選択される。
その結果、図12の(A)の右側に示すように、短絡制動時において設定される基準電圧は、抵抗R20で設定される基準電圧よりも高くなる。したがって、短絡制動時には、正転時および逆回転時の定常回転時よりも、増幅部212にて増幅された交流成分の振幅レベルを大きく低下させて、振幅レベルが低下した信号を増幅する。
尚、抵抗R19で設定される基準電圧が選択され、増幅部212にて増幅された交流成分の振幅レベルを低下させて、振幅レベルが低下した信号を増幅する場合にも、期間Tonにおける振幅の大きさはオペアンプ220の最大レベルで一定になるようにオペアンプ220の増幅率が設定されている。
一方、抵抗R19で設定される基準電圧は期間Toffの振幅と同じか、僅かに大きくなるように設定されているので、交流成分の振幅レベルを低下させ、振幅レベルが低下した信号を増幅しても、増幅された期間Toffにおける振幅を極力小さくすることができる。これにより、短絡制動時における交流成分の振幅と、定常回転時における交流成分の振幅との差を低減できる。
このように、短絡制動時において、定常回転時との交流成分の振幅の差を低減することにより、包絡線検波部128およびLPF130を通過後の検出信号について、比較部132において基準電圧に基づいてハイレベルとローレベルとを比較する際に、検出パルスの誤検出を防止できる。
レベルシフト部218で振幅レベルを調整された交流成分は、包絡線検波部128に入力され、包絡線検波部128、LPF130、比較部132において、第1実施形態と同様の処理がなされる。
本実施形態においては、電流検出部112(図11には図示せず)および信号処理部210が本発明の通電検出手段に相当し、レベルシフト部218が本発明の振幅制御手段に相当する。
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態を図13に示す。上記第1実施形態から第4実施形態では、複数の相コイルをデルタ結線した例について述べたが、第5実施形態のモータ230では、3つの相コイルL11、L12、L13をスター結線している。
そして、コイルL11、L12にそれぞれコンデンサC1、C2が並列接続されている。これにより、電機子232の回転に伴い、ブラシ12、14間のリアクタンスが変化し、HPF122から出力される交流成分の振幅の大きさが変化する。したがって、この交流成分の振幅の変化を検出することにより、モータ230の回転状態を検出できる。
本実施形態においては、コイルL11、L12にそれぞれコンデンサC1、C2が並列接続され、電機子232の回転に伴いブラシ12、14間でリアクタンスが周期的に変化する構成が、本発明の可変機構に相当する。
[第6実施形態]
本発明の第6実施形態を図14および図15に示す。図14に示すように、モータ240は、ブラシ12、14、整流子30、ハウジング242と、このハウジング内に収容された電機子260と、回転軸270とを備えている。電機子260は、ハウジング242の軸心に配置されている回転軸270に固定され、この回転軸270とともに回転する。
第6実施形態のモータ240は、コンデンサC1を相コイルL1に並列に接続していない点と、ハウジング242の内周面に凸部244を設けている点とが第1実施形態のモータ10と異なっている。一方、それ以外の構成、つまり、ブラシ12、14、整流子30、相コイルL1、L2、L3の構成、ならびに第1実施形態の図1には図示していないが、ハウジング242、永久磁石250、252、ロータコア262、回転軸270の構成は、第1実施形態のモータ10と実質的に同一である。
ハウジング242は、略円筒形の形状をなし、その内周面には、界磁発生用の2つの永久磁石250、252が径方向に互いに対向するように固定されている。周方向で見れば、2つの永久磁石が所定間隔を隔てて固定されている。電機子260のロータコア262と対向する面側の永久磁石250、252の極性は、一方がN極で他方がS極である。つまり、本実施形態のモータ240は界磁が2極の直流モータとして構成されている。
また、ハウジング242は軟磁性体である継鉄(ヨーク)にて形成されたものであり、内周面に固定された2つの永久磁石250、252とともにモータ240の磁気回路を構成している。
電機子260は、ロータコア262と電機子コイル268とから主に構成されている。ロータコア262は、軟磁性体にて形成されたものであり、3つのティース(突極)264、265、266を有し、電機子コイル268が巻回されている。具体的には、第1ティース264に第1相コイルL1が巻回され、第2ティース265に第2相コイルL2が巻回され、第3ティース266に第3相コイルL3が巻回されている。これら3つの相コイルL1、L2、L3はデルタ結線されており、電機子コイル268を構成している。
また、回転軸270には、整流子30が固定されており、この整流子30には、互いに対向して(即ち回転方向に180°離れて)配置された一対のブラシ12、14が摺接している。
ハウジング242の内周面において、2つの永久磁石250、252の間に、凸部244が設けられている。ハウジング242の内周面には、2つの永久磁石250、252が周方向において所定の間隔を隔てて固定されているため、周方向において永久磁石250、252の存在しない領域(磁石間領域)が2箇所存在している。本実施形態では、図19に示す通り、このうち1箇所の磁石間領域に、ハウジング242の内周面から径方向内側へ突出するように凸部244が設けられている。また、この凸部244は、2つの永久磁石250、252のいずれとも接触しないよう、周方向において各永久磁石250、252の双方からそれぞれ所定間隔を隔てて設けられている。
凸部244は、軟磁性体の材料で形成されたものであり、周方向に所定の長さを有し、かつ、径方向に所定の厚みを有している。そして、この凸部244が設けられていることにより、ロータコア262とハウジング242により構成される磁気回路の磁気抵抗は、ロータコア262の回転に伴って変化する。なお、以下の説明で「磁気抵抗」とは、特に断りのない限り、ロータコア262とハウジング242により構成される磁気回路の磁気抵抗を意味するものとする。
ここで、モータ240における、ロータコア262とハウジング242とのギャップ、および磁気抵抗について、具体的に説明する。
上述の通り、ロータコア262およびハウジング242はいずれも軟磁性体にて形成されており、その透磁率は空気の透磁率よりも非常に大きい。そのため、モータ240の磁気抵抗は、ロータコア262(詳しくは各ティース264、265、266の外周面)とハウジング242の内周面または永久磁石250、252との間のエアギャップ、および各永久磁石250、252の厚みの和に大きく依存する。つまり、エアギャップが大きいほど磁気抵抗は大きくなり、逆にエアギャップが小さいほど、磁気抵抗は小さくなる。
但し、各永久磁石250、252については、その透磁率は空気の透磁率とほぼ同じである。そのため、各永久磁石250、252は、磁気的にみれば空気が存在していることと等価となる。つまり、モータ240の磁気抵抗を考慮する上では、空気と同じ透磁率である各永久磁石250、252の存在は無視することができ、各永久磁石250、252はいずれもエアギャップとして扱うことができる。そのため、仮に凸部244がないならば、ロータコア262とハウジング242の内周面とのエアギャップはロータコア262が回転しても一定であり、故に、回転に伴って磁気抵抗が変化することはない。
しかし、本実施形態では、ハウジング242の内周面に、ハウジング242とほぼ同じ透磁率を有する軟磁性の凸部244が設けられている。そのため、電機子260の回転角によって、すなわちロータコア262の各ティース264、265、266の外周面がこの凸部244と対向しているか否かによって、モータ240の磁気抵抗は異なった値となる。つまり、電機子260の回転に伴ってその磁気抵抗が変化する。そして、磁気抵抗が変化すると、モータ回路のインダクタンス、つまりリアクタンスも変化するため、モータ回路に流れる電流のうち、交流成分については、その振幅が変化する。
図14の(A)に示すように、凸部244がロータコア262と対向している状態Aでは、ロータコア262と凸部244との間のエアギャップが小さくなるため、モータ240の磁気抵抗は全体として小さくなる。一般的にインダクタンスは磁気抵抗の逆数に比例するため、磁気抵抗が変化すればそれに伴ってモータ回路のインダクタンスも変化する。そのため、状態Aのように磁気抵抗が小さくなると、モータ回路のインダクタンスは大きくなる。
一方、図14の(B)に示すように、ロータコア262が凸部244と対向していない状態Bでは、図19の(A)に比べてエアギャップが大きくなり、モータ240の磁気抵抗は全体として大きくなる。そのため、モータ回路のインダクタンスは小さくなる。
このように、モータ回路のインダクタンスは、電機子260の回転に伴って周期的に変化する。
本実施形態ではロータコア262が3つのティース264、265、266を有していることにより、回転に伴う周期的なインダクタンスの変化は、電機子260が120°回転する毎に生じる。そのため、上述した交流成分の振幅変化も、電機子260が120°回転する度に周期的に生じる。
図15に、モータ電流波形と、比較部132から出力される検出パルスの一例を示す。本実施形態では、モータ240が120°回転する度に回転パルスが生成されることとなる。
そこで本実施形態では、電機子260の回転に伴ってインダクタンスが変化し、このインダクタンスの変化によって生じる交流成分の振幅の変化を検出する。そして、その検出した交流成分の振幅の変化に基づいて、モータ240の回転状態を検出できる。
本実施形態では、凸部244が本発明の可変機構に相当し、電機子260の回転に伴い、ブラシ12、14間のインダクタンスが変化する。
尚、ハウジング242とは別部材の凸部244を可変機構として設置する代わりに、凸部244に該当する位置のハウジング自体を内周側に突出させて、電機子260の回転に伴い、ブラシ12、14間のインダクタンスを変化させてもよい。
[他の実施形態]
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の実施の形態は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
例えば、上記実施形態では、正転時および逆回転時と短絡制動時との通電経路におけるインピーダンスの差を低減した。これに対し、正転時および逆回転時と短絡制動時との差ほどではないが、正転時と逆回転時との通電経路においてもインピーダンスの差が生じる。したがって、例えば、第1実施形態の直流モータ装置2において、短絡制動時に加え、逆回転時においても、SW10に流れる電流値を調整してSW3のゲート電圧を制御し、正転時と逆回転時と短絡制動時との通電経路におけるインピーダンスの差を低減してもよい。
また、FETのゲート電圧を制御して通電経路間のインピーダンスの差を低減する第1実施形態の構成と、通電経路に抵抗を設置して通電経路間のインピーダンスの差を低減する第2実施形態の構成とを組み合わせて使用してもよい。
例えば、上記実施形態のデルタ結線では、直流モータとして、3つの相コイルL1、L2、L3のうち1つの相コイルにのみコンデンサC1を接続した例を示したが、例えば、3つの相コイルの各々に、容量の異なるコンデンサを接続するようにしてもよい。この構成によれば、モータの回転に伴うリアクタンスの変化により交流成分の振幅が3段に変化するので、その振幅変化の順番を検出することにより、回転角および回転速度に加え、回転方向の検出が可能である。
例えば、振幅変化の順番が「大」、「中」、「小」の順番であれば正転し、「小」、「中」、「大」の順番であれば逆転していると検出できる。
なお、3つの相コイルの各々にコンデンサを接続する場合、いずれか2つのコンデンサは同じ静電容量値のものとすることもできる。但しその場合、回転角や回転速度の検出は可能であるものの、回転方向の検出はできなくなる。
また、上記各実施形態では、電機子コイルの相数が3相の3相直流モータを例に挙げて説明したが、本発明の適用は、3相のモータに限定されるものではなく、4相以上のモータであっても適用可能である。
4相以上のモータにおいて、いずれか一つの相コイルにのみコンデンサを並列接続すれば、少なくとも回転角や回転速度の検出は可能となる。
また、3相以上のモータにおいて、少なくとも2つの相コイルにそれぞれ静電容量値の異なるコンデンサを接続すれば、回転に伴うインピーダンスの段階的変化の変化パターンによる交流成分の変化パターンに基づいて回転方向の検出が可能となる。
また、上記第1実施形態から第3実施形態では、3相のモータ10において、コンデンサC1が一対の整流子片31、33を接続し、この一対の整流子片31、33の両方と同時にブラシ12、14が摺接する可変機構について説明した。これに対し、4相以上のモータにおいて、コンデンサが一対の整流子片を接続している場合、この一対の整流子片の両方と同時にブラシ12、14が摺接しないように可変機構を構成してもよい。
この可変機構の構成においても、電機子の回転に伴い一対のブラシ12、14間のリアクタンスが変化することにより、交流成分の振幅が変化する。したがって、交流成分の振幅変化に基づいて、直流モータの回転状態を検出できる。
また、上記実施形態で説明した、相コイルにコンデンサを並列に接続する構成、ならびにモータハウジングの内周面に磁性を有する凸部を設ける構成に限らず、モータの回転に伴ってブラシ間においてインピーダンスのリアクタンスが変化するのであれば、どのような構成で可変機構を実現してもよい。
例えば、相コイルにコンデンサを並列に接続する構成と、モータハウジングの内周面に磁性を有する凸部を設ける構成とを併用してもよいし、各相コイルにインダクタンスの異なるコイルを設置してもよい。
また、上記実施形態の構成を採用せず、インダクタンスの等しい相コイルで電機子コイルを構成している通常の直流モータであっても、ブラシに接触する整流子片の切り替わり時に2個の整流子片が同時に1個のブラシに接触するときに、モータ回路の構成が変化しリアクタンスが変化する。したがって、通常の直流モータであっても、直流電圧に交流電圧を重畳し、電機子の回転に伴って変化する交流成分の振幅の変化に基づいて、モータの回転状態を検出できる。
上記実施形態では、モータの可変機構のインピーダンスとして、電機子の回転に伴い一対のブラシ間におけるリアクタンスを変化させた。これに対し、可変機構のインピーダンスとして、例えば3つの相コイルL1、L2、L3のうち1つの相コイルに抵抗を並列に接続し、電機子の回転に伴い一対のブラシ間における抵抗値を変化させてもよい。
この構成においては、抵抗値の変化によりモータ電流の交流成分の振幅とともに、モータ電流の直流成分が変動する。この場合にも、交流成分抽出手段としてHPFを通すことにより、モータ電流から直流成分を除去し交流成分を抽出できる。そして、電機子の回転に伴って変化する交流成分の振幅の変化に基づいて、モータ電流の直流成分の大きさに関わらず、例えば制動中であってもモータの回転状態を検出できる。
また、上記実施形態では、モータへ直流電圧および交流電圧を印加(すなわち直流電流および交流電流を供給)する電源部として、直流電源102と交流電源106とを別々に設け、各電源102、106からの電圧(電流)をカップリングコンデンサ108を介して重畳させてモータへ印加(供給)するようにしたが、このような電源部の構成はあくまでも一例であり、例えば、直流電流と交流電流とが重畳された交直混在の電流(脈流)を生成して供給する1つの電源部を用いてもよく、結果としてモータを回転させる場合に交流電流および直流電流をモータへ供給し、短絡制動する場合に直流電流の供給を遮断し、交流電流を供給できる限り、電源の具体的構成は特に限定されない。