JP5516896B2 - 可変動弁装置付内燃機関 - Google Patents
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Description
このように複数の吸気バルブのうち一部のみ開閉時期を可変する内燃機関では、例えば低負荷時に一部の吸気バルブの開閉時期を遅角させることで、遅角制御しない吸気バルブと合わせて吸気バルブの開弁期間を延長させ、ポンピングロスを低減させることが可能となる。更には、吸気バルブが極力吸気行程中に開弁するように制御することで、体積効率を向上させ出力トルクを確保することも可能である。
本発明の目的は、1つの気筒に複数備えられた吸気バルブの開閉時期を変更可能な可変動弁装置付内燃機関において、燃焼効率の向上を図ることにある。
また、内燃機関の所定の低回転低負荷運転状態において、サブカム山とメインカム山との間の閉弁期間に点火することで、サブカム山による開弁期間に筒内に流入した吸気を吸気行程中に燃焼させ筒内圧を上昇させることができる。したがって、内燃機関の低回転低負荷運転時に吸気行程でのポンピングロスを低下させることができ、燃費を向上させることができる。
図1は本実施形態の可変動弁装置付内燃機関(以下、エンジン1という)の概略構成図である。
図1に示すように、本実施形態のエンジン1は、DOHC式の動弁機構を有しており、エンジン1の吸気カムシャフト2及び排気カムシャフト3の前端には、夫々カムスプロケット4、5が接続され、これらのカムスプロケット4、5はチェーン6を介してクランクシャフト7に連結されている。クランクシャフト7の回転に伴ってカムスプロケット4、5と共に吸気シャフト2及び排気カムシャフト3が回転駆動され、この吸気カムシャフト2に備えられた吸気カム10、11により吸気バルブ12、13が、排気カムシャフト3に備えられた排気カム14、15により排気バルブ16、17が開閉駆動される。
図2に示すように、エンジン1の1つの気筒には、2つの吸気バルブ(第1の吸気バルブ12、第2の吸気バルブ13)と2つの排気バルブ16、17とが設けられている。第1の吸気バルブ12及び第2の吸気バルブ13は燃焼室18の中央部cより図中右側に前後に並んで配置される一方、2つの排気バルブ16、17は燃焼室18の中央部cより図中左側に前後に並んで配置される。
更に、エンジン1の第2の吸気バルブ13の動弁機構には、吸気カム11の位相を可変するカム位相可変機構20が備えられている。
図3〜5に示すように、吸気カムシャフト2は、中空状の第1の吸気カムシャフト21と第1の吸気カムシャフト21に挿入された第2の吸気カムシャフト22とを備えた2重構造となっている。第1の吸気カムシャフト21及び第2の吸気カムシャフト22は、隙間を有しつつ同心上に配置され、エンジン1のシリンダヘッドに形成された支持部23に回動可能に支持されている。第1の吸気カムシャフト21には、第1の吸気バルブ12を駆動する第1の吸気カム10が固定されている。また、第1の吸気カムシャフト21には回動可能に第2の吸気カム11が支持されている。第2の吸気カム11は、第1の吸気カムシャフト21が挿入される略円筒状の支持部11aと支持部11aの外周から突出し第2の吸気バルブ13を駆動するカム山11bとから構成されている。第2の吸気カム11と第2の吸気カムシャフト22とは固定ピン24により固定されている。固定ピン24は、第2の吸気カム11の支持部11a、第1の吸気カムシャフト21及び第2の吸気カムシャフト22を貫通しており、第2の吸気カムシャフト22に設けられた孔に略隙間なく挿入されるとともに、両端部がかしめられて支持部11aに固定されている。第1の吸気カムシャフト21には固定ピン24が通過する長孔25が周方向に延びて形成されている。
また、カム位相可変機構20には、スプリング36が備えられている。スプリング36は、ハウジング30とベーンロータ31との間に設けられ、ベーンロータ31を進角方向に付勢する。
図7は、本願発明の第1の実施形態での各バルブのリフト量の推移を示すタイムチャートであり、(A)は低速低負荷時、(B)はスロットル全開時を示す。
本願発明の第1の実施形態では、更に、図6に示すように、第1の吸気カム10に2つのカム山10a、10bが形成されている。図7に示すように、2つのカム山10a、10bのうち、排気後始めに第1の吸気バルブ12を開弁する第1のカム山(サブカム山)10aは、第1の吸気バルブ12の開弁開始時期が吸気行程の開始時期である上死点に一致するように形成され、吸気行程の初期に第1の吸気バルブ12が開弁するように設定されている。2つのカム山10a、10bのうち第2のカム山10b(メインカム山)は、吸気行程で開弁が開始されるように設けられており、第1のカム山10aと第2のカム山10bとの間は第1の吸気バルブ12が開弁しない平坦部となっている。即ち、第1の吸気カム10により駆動される第1の吸気バルブ12は、吸気行程において第1のカム山10aによる開弁期間と第2のカム山10bによる開弁期間との間に、第1の吸気バルブ12が閉弁する閉弁期間が設けられている。例えば、第1のカム山10aと第2のカム山10bとは相似形状になっており、第1のカム山10aの高さは第2のカム山10bの高さの1/5に設定されている。また、第2のカム山10bによる開弁開始時期が吸気行程の中間時期と一致し、第2のカム山10bによる開弁期間の半分が吸気行程中に開弁するとともに、残りの半分が続けて圧縮行程で開弁するように設定されている。よって、第1のカム山10aと第2のカム山10bとの間の第1の吸気バルブ12の閉弁期間は、吸気行程の3/10の期間を占めるように設定されている。
ECU40の入力側には、エンジン1のクランク角を検出するクランク角センサ41、図示しないスロットルバルブの開度を検出するスロットルセンサ42等の各種センサが接続されている。又、ECU40の出力側には、上記オイルコントロールバルブ34の他に、吸気ポート19内に燃料を噴射する燃料噴射弁43、点火プラグ44等が接続されている。ECU40は、各センサからの検出情報に基づいて点火時期及び燃料噴射量等を決定し、点火プラグ44や燃料噴射弁43を駆動制御するとともに、オイルコントロールバルブ34を駆動制御、即ちカム位相可変機構20を作動制御する。
また、ECU40は、スロットル全開時には、図7(B)に示すように、第2の吸気バルブ13の開弁開始時期が吸気行程開始時期に一致するように、カム位相可変機構20を進角制御する。
図8は、本願発明の第1の実施形態の低速低負荷時における筒内容積Vと筒内圧Pとの関係を示すPV線図である。
次に、図9及び図10を用いて本願発明の第2の実施形態について説明する。
図10は、第2の実施形態での低速低負荷時における筒内容積Vと筒内圧Pとの関係を示すPV線図である。
第2の実施形態は、上記第1の実施形態に対して、更に下記のように点火時期を制御する点が異なる。カム位相可変機構20の制御については、第1の実施形態と同様に行われる。
図9(B)に示すように、スロットル全開時には、第1の実施形態と同様にメイン点火のみ行われる。
また、プレ点火時には、第1の吸気バルブ12及び第2の吸気バルブ13のいずれも閉弁しているので、バックファイヤが起こり難くなるとともに、吸気行程での必要以上の燃焼を防止して、出力低下を抑制することができる。
なお、上記第1及び第2の実施形態では、低速低負荷時には吸気行程に第1の吸気バルブ12及び第2の吸気バルブ13の双方が閉弁する閉弁期間が設けられ、スロットル全開時には吸気行程での第1の吸気バルブ12の閉弁期間中に第2の吸気バルブ13が開弁するようにカム位相可変機構20を制御しているが、本願発明はこれに限定するものではない。例えば低速低負荷時以外にも冷態始動時のように燃焼効率を要求する運転状態である場合に吸気行程に第1の吸気バルブ12及び第2の吸気バルブ13の閉弁期間を設け、出力トルクを要求するような運転状態である場合に吸気行程での第1の吸気バルブ12の閉弁期間中に第2の吸気バルブ13を開弁させるように制御すればよい。また、第2の吸気バルブ13の開弁時期を連続的に可変させてもよい。更に、第2の実施形態においては、第2の吸気バルブ13の開弁時期の変更に応じてプレ点火の有無を制御すればよく、この場合第1の吸気バルブ12及び第2の吸気バルブ13の双方が閉弁する閉弁期間を確保した上でプレ点火を許可するようにすればよい。
10 第1の吸気カム
10a 第1のカム山
10b 第2のカム山
11 第2の吸気カム
11b カム山
12 第1の吸気バルブ
13 第2の吸気バルブ
20 カム位相可変機構
40 ECU
Claims (3)
- 1つの気筒に第1の吸気カムにより駆動する第1の吸気バルブと第2の吸気カムにより駆動する第2の吸気バルブとを備えるとともに、前記第2の吸気カムの位相を可変するカム位相可変機構を備えた可変動弁装置付内燃機関であって、
前記内燃機関の点火時期を制御する点火制御手段を備えるとともに、
前記第1の吸気カムに複数のカム山が備えられ、
前記カム山は、少なくとも吸気行程で前記第1の吸気バルブを開弁させるメインカム山と、前記メインカム山による前記第1の吸気バルブの開弁前に前記吸気行程で前記第1の吸気バルブを開弁させるサブカム山と、を含んで構成され、
前記サブカム山による前記第1の吸気バルブの開弁期間と前記メインカム山による前記第1の吸気バルブの開弁期間との間に、前記吸気行程中に前記第1の吸気バルブ及び前記第2の吸気バルブが閉弁する閉弁期間が設けられ、
前記点火制御手段は、前記内燃機関の所定の低回転低負荷運転状態において前記閉弁期間に点火されるように前記内燃機関の点火時期を制御することを特徴とする可変動弁装置付内燃機関。 - 前記サブカム山による前記第1の吸気バルブの開弁期間と前記メインカム山による前記第1の吸気バルブの開弁期間とに亘って前記第2の吸気バルブが開弁可能となるように、前記第2の吸気カムのカム山が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の可変動弁装置付内燃機関。
- 前記点火時期制御手段が、前記閉弁期間で点火した後、前記第1の吸気バルブ及び前記第2の吸気バルブがともに閉弁した圧縮行程以降に、2回目の点火を行うよう制御することを特徴とする請求項1または2に記載の可変動弁装置付内燃機関。
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