以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図、図2及び図3はパチンコ機10の主要な構成を展開して示す斜視図である。なお、図2では便宜上パチンコ機10における遊技領域内の構成を省略している。
図1に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に取り付けられた遊技機主部12とを有している。
図2及び図3に示すように、外枠11は木製の板材を四辺に連結し構成されるものであって矩形枠状をなしている。外枠11を島設備に取り付け固定することにより、パチンコ機10が遊技ホールに設置される。なお、パチンコ機10において外枠11は必須の構成ではなく、遊技場の島設備に外枠11が備え付けられた構成としてもよい。
遊技機主部12は、外枠11によって開閉可能な状態で支持されている。具体的には、外枠11における上枠部と左枠部との連結部分に上側支持用金具17が固定されており、さらに外枠11における下枠部と左枠部との連結部分に下側支持用金具18が設けられている。これら上側支持用金具17及び下側支持用金具18により支持機構が構成され、当該支持機構により外枠11に対して遊技機主部12がパチンコ機10の正面視で左側を回動基端側、右側を回動先端側としてパチンコ機10の前方へ回動可能とされている。
図2に示すように、遊技機主部12は、ベース体としての内枠13と、その内枠13の前方に配置される前扉枠14と、内枠13の後方に配置される裏パックユニット15とを備えている。なお、遊技機主部12のうち内枠13が外枠11に対して回動可能に支持されている。詳細には、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として内枠13が前方へ回動可能とされている。
内枠13には、前扉枠14が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として前方へ回動可能とされている。また、内枠13には、裏パックユニット15が回動可能に支持されており、同裏パックユニット15は遊技機正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として後方へ回動可能とされている(図3参照)。
次に、前扉枠14について説明する。図1に示すように、前扉枠14は、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす合成樹脂製の枠体20を主体に構成されており、内枠13における前面のほぼ全域を覆っている。枠体20の中央部分には後述する遊技領域のほぼ全域を前方から視認することができるようにした略楕円状の窓部21が形成されており、その窓部21はガラスユニット22によって同前扉枠14の背面側から塞がれている。
ガラスユニット22は、透明性を有する複数のガラスパネル23と、それらガラスパネル23を保持するガラスホルダ24とを備えている。ガラスホルダ24には、ガラスパネル23の保持領域を前後に仕切る仕切り部が形成されており、両ガラスパネル23は仕切り部を挟んで前後に相対向している。つまり、両ガラスパネル23の間に所定の隙間を確保することにより、ガラスパネル23同士の干渉を回避しつつ、それらガラスパネル23によって遊技領域PEをパチンコ機10の正面側から2重に覆った状態となっている。
なお、必ずしも両ガラスパネル23をガラスホルダ24を用いてユニット化する必要は無く、各ガラスパネル23を枠体20に対して個々に取り付ける構成としてもよい。更には、ガラスパネルの枚数は任意であり、1枚としてもよいし、3枚以上としてもよい。但し、安全性及び防犯性向上の観点から、複数のガラスパネルを採用し、それら各ガラスパネルを所定の隙間を挟んで前後に対向させることが好ましい。因みに、ガラスパネルに代えて透明性を有する合成樹脂性のパネル部材を採用することも可能である。
同図1に示すように、ガラスユニット22(詳しくは窓部21)の周囲には、各種ランプ等の発光手段が設けられている。例えば、窓部21の周縁に沿ってLED等の発光手段を内蔵した環状電飾部26が設けられている。環状電飾部26では、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯や点滅が行われる。また、環状電飾部26の中央であってパチンコ機10の最上部には所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ部27が設けられ、窓部21の左右両側となる位置には賞球払出中に点灯する賞球ランプ部28が設けられている。また、左右の賞球ランプ部28に近接した位置には、遊技状態に応じた効果音などが出力されるスピーカ部29が設けられている。
前扉枠14(枠体20)における窓部21の下方には、手前側へ膨出した上側膨出部31と下側膨出部32とが上下に並設されている。上側膨出部31内側には上方に開口した上皿33が設けられており、下側膨出部32内側には同じく上方に開口した下皿34が設けられている。上皿33は、後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する遊技球発射機構側へ導くための機能を有する。また、下皿34は、上皿33内にて余剰となった遊技球を貯留する機能を有する。
下側膨出部32の右方には、手前側へ突出するようにして遊技球発射ハンドル41が設けられている。遊技球発射ハンドル41が操作されることにより、後述する遊技球発射機構から遊技球が発射される。
遊技球発射ハンドル41の上方、詳しくは後述する図柄表示装置と遊技球発射ハンドル41の間には、多数の発光ドットを有するドット表示器によって構成された表示部45が設けられている。この表示部45においては、遊技に関する各種情報(例えば大当たり等の示唆)が表示される。また、本実施の形態においては、遊技球を図柄表示装置の右側を迂回するようにして流下させる場合と左側を迂回させるようにして流下させる場合とで遊技進行に有利不利の差が生じる構成となっており、表示部45においては遊技球をどのように発射すれば遊技を有利に進めることができるかの情報が表示される。具体的には、後述する低頻度サポートモード中は図柄表示装置の左側を迂回するようにした遊技球の発射を促す情報が表示され、高頻度サポートモード中は図柄表示装置の右側を迂回するようにした遊技球の発射を促す情報が表示され、これら表示される情報に従って遊技球の発射操作を行うことで遊技を有利に進めることができる構成となっている。また、上述の如く操作に関する情報を遊技球発射ハンドル41に近い位置(より詳しく図柄表示装置と遊技球発射ハンドル41との間)にて表示する構成とすることにより、表示部45〜遊技球発射ハンドル41〜図柄表示装置の間での目線の移動量を低減している。
図2に示すように、前扉枠14の背面には、通路形成ユニット50が取り付けられている。通路形成ユニット50は、合成樹脂により成形されており、上皿33に通じる前扉側上皿通路51と、下皿34に通じる前扉側下皿通路52とが形成されている。通路形成ユニット50において、その上側隅部には後方に突出し上方に開放された受口部53が形成されており、当該受口部53を仕切壁54によって左右に仕切ることで前扉側上皿通路51の入口部分と前扉側下皿通路52の入口部分とが区画形成されている。前扉側上皿通路51及び前扉側下皿通路52は上流側が後述する遊技球分配部に通じており、前扉側上皿通路51に入った遊技球は上皿33に導かれ、前扉側下皿通路52に入った遊技球は下皿34に導かれる。
前扉枠14の背面における回動基端側には、その上端部及び下端部に突起軸が設けられている。これら突起軸は内枠13に対する組付機構を構成する。また、前扉枠14の背面における回動先端側には、図2に示すように、後方に延びる鉤金具63が上下方向に複数並設されている。これら鉤金具63は内枠13に対する施錠機構を構成する。
次に、図2〜図4に基づき内枠13について詳細に説明する。図4は内枠13の正面図である。なお、図4においては図2と同様に便宜上パチンコ機10の遊技領域PE内の構成を省略している。
図2に示すように、内枠13は、外形が外枠11と同様に略矩形状をなす樹脂ベース70を主体に構成されている。樹脂ベース70の高さ寸法は、外枠11の高さ寸法よりも若干小さく設定されている。また、樹脂ベース70は外枠11の上側枠部に寄せて配置され、外枠11の下側枠部と樹脂ベース70との間には若干の隙間が形成されている。外枠11にはこの隙間を塞ぐようにして幕板が装着されている。幕板は、樹脂ベース70(詳しくはその下端部)の下方に配置されており、内枠13が外枠11に対して閉じられた状態では樹脂ベース70が幕板の上に載ることとなる。なお、幕板と樹脂ベース70との間に若干のクリアランスを設けてもよい。
図4に示すように、樹脂ベース70の前面における回動基端側(図4の左側)には、その上端部及び下端部に支持金具71,72が取り付けられている。図示は省略するが、支持金具71,72には軸孔が形成されており、それら軸孔に前扉枠14の突起軸が挿入されることにより、内枠13に対して前扉枠14が回動可能に支持されている。
樹脂ベース70の前面における回動先端側(図4の右側)には、前扉枠14の背面に設けられた鉤金具63(図2参照)を挿入するための挿入孔73がそれぞれ設けられている。本パチンコ機10では、内枠13や前扉枠14を施錠状態とするための施錠装置75が内枠13の背面側に隠れて配置される構成となっている(図2参照)。したがって、鉤金具63が挿入孔73を介して施錠装置75(詳しくは前扉用鉤受け部材76)に係止されることによって、前扉枠14が内枠13に対して開放不能に施錠される。また、施錠装置75は、内枠13の後方へ延びる内枠用鉤部材77を有している。これら内枠用鉤部材77が外枠11の鉤受け部材19に引っ掛かることにより遊技機主部12が外枠11に対して閉じた状態で施錠される。
図4に示すように、樹脂ベース70の右下隅部には、施錠装置75の解錠操作を行うためのシリンダ錠78が設置されている。シリンダ錠78は施錠装置75に一体化されており、シリンダ錠78の鍵穴に差し込んだキーを右に回すと内枠13に対する前扉枠14の施錠が解除され、シリンダ錠78の鍵穴に差し込んだキーを左に回すと外枠11に対する内枠13の施錠が解除されるように施錠装置75が構成されている。
樹脂ベース70の中央部には略楕円形状の窓孔74が形成され、樹脂ベース70に装着された遊技盤80によって同窓孔74が遊技機後方から塞がれている。遊技盤80は、木製の合板と同合板における前側の板面を覆うシート材とを有してなり、その前面が上記窓孔74を通じて樹脂ベース70の正面側に露出している。この露出している部位、すなわち遊技盤80の前面には、遊技球が流下する遊技領域PEが形成されている。既に説明したように遊技領域PEはガラスユニット22(詳しくは後側のガラスパネル23)によって覆われている。
ガラスユニット22は、後側のガラスパネル23と遊技盤80の前面との隙間が遊技球の直径よりも僅かに大きくなるように、すなわち遊技領域PEを流下する遊技球が同遊技領域PEの同一箇所にて前後に並ばないように配置されている。これにより、遊技領域PEでの球詰まりを抑制している。なお、遊技盤80は木製に限定されるものではなく、合成樹脂製とすることも可能である。
以下、図5に基づき遊技盤80(特に遊技領域PEに配された各種構成)について説明する。図5は遊技盤80の正面図である。
遊技盤80には、ルータ加工が施されることによって自身の厚さ方向(前後方向)に貫通する大小複数の開口が形成されている。各開口には、一般入賞口81、可変入球部82,83、作動入球部84,85、スルーゲート86、主表示ユニット87及び可変遊技装置88等がそれぞれ配設されている。一般入賞口81、可変入球部82,83及び作動入球部84,85に遊技球が入ると、それら遊技球が後述する検知センサにより検知され、その検知結果に基づいて所定数の賞球の払い出し等の特典が遊技者に付与される。その他に、遊技盤80の最下部にはアウト口89が設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口89を通って遊技領域PEから排出される。以下の説明では、アウト口89への遊技球の入球と明確に区別するために、一般入賞口81、可変入球部82,83、作動入球部84,85、スルーゲート86への遊技球の入球を、入賞とも表現する。
また、遊技盤80には、遊技球の流下経路を適宜分散,調整等するために多数の釘90が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。これら釘90や風車等の各種構成によって、遊技球の流下経路が分化され、上述した一般入賞口81等への入賞が適度な確率で発生するように調整されている。
上記可変遊技装置88は遊技盤80の中央に配されており、同可変遊技装置88の周辺に作動入球部84,85等が配設されている。作動入球部84,85は、可変遊技装置88の下方に配設された下側の作動入球部84(以下便宜上、下側作動入球部84と称する)と、同可変遊技装置88の右方に配設された右側の作動入球部85(以下便宜上、右側作動入球部85と称する)とによって構成されており、特に右側作動入球部(抽選契機入球部)85には、可動式の入球補助装置(入球補助手段)又は入球規制装置(入球規制手段)としての電動役物が設けられている。電動役物は右側作動入球部85への入球が可能又は容易となる状態(補助状態)と、同入球が不可又は困難となる状態(非補助状態)とに切替可能となっている。右側作動入球部85に関しての詳細は後述する。
この右側作動入球部85の上方に上記スルーゲート86が配置されており、遊技球のスルーゲート86の通過をトリガとした抽選にて当選となった場合には、電動役物が所定時間だけ開状態となる。
なお、下側作動入球部84への入球が発生した場合には3個の遊技球の払出が実行され、右側作動入球部85への入球が発生した場合には4個の遊技球の払出が実行されるが、遊技球の払出個数は上記のものに限定されることはない。但し、下側作動入球部84に対する右側作動入球部85の有利性を高める上では、下側作動入球部84に係る払出個数よりも右側作動入球部85に係る払出個数を多く設定することが好ましい。
可変入球部(特別入球装置又は特別入球手段)82,83についても、下側作動入球部84及び右側作動入球部85と同様に、可変遊技装置88の下方及び右方に個別に配置されている。以下便宜上、可変遊技装置88の下方(詳しくは下側作動入球部84の下方)に配置された可変入球部82を「下側可変入球部82」と称し、可変遊技装置88の右方(詳しくは右側作動入球部85の下方)に配置された可変入球部83を「右側可変入球部83」と称する。
下側可変入球部82は、遊技盤80の背面側へと通じる下側可変入球部82を備えているとともに、当該下側可変入球部82を開閉する開閉部材(開閉手段)としての開閉扉82bを備えている。開閉扉82bは、遊技球の入球が可能又は容易となる開状態(補助状態)と、同入球が不可又は困難となる閉状態(非補助状態)とに切替可能となっている。また、同開閉扉82bは、遊技盤80の背面側に設けられた可変入球駆動部82c(詳しくはソレノイド)と連結されており、通常時においては開閉扉82bは閉状態のまま維持され、内部抽選において開閉実行モード(開閉実行状態)への移行に当選した場合に開状態に切り替えられるようになっている。
ここで、開閉実行モードとは、大当たり当選となった場合に移行することとなるモードである。当該開閉実行モードにおける下側可変入球部82の開放態様としては、例えば所定時間(例えば30sec)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、複数ラウンド(例えば15ラウンド)を上限とした開閉扉82bの開放が繰り返されるように設定されているものがある。
右側可変入球部83は、下側可変入球部82と同様に、遊技盤80の背面側へと通じる右側大入賞口83aと、当該右側大入賞口を開閉する開閉部材(開閉手段)としての開閉扉83bとを備えている。開閉扉83bは、遊技球の入球が可能又は容易となる開状態(補助状態)と、同入球が不可又は困難となる閉状態(非補助状態)とに切替可能となっている。また、同開閉扉83bは、遊技盤80の背面側に設けられた可変入球駆動部83c(詳しくはソレノイド)と連結されており、通常時においては、開閉扉83bは閉状態のまま維持され、右側作動入球部85への入球に基づく内部抽選において後述する特別当たりに当選した場合に抽選結果確定モードに切り替えられるようになっている。
抽選結果確定モードとは、右側作動入球部85における抽選結果(特別当たり)が有効となって右側可変入球部83が開閉実行モードへ移行されるか、つまり開閉実行モードへの移行が確定されるか、それとも抽選結果が無効となり開閉実行モードへの移行が回避されるかを抽選するモードである。抽選結果確定モードにおける右側可変入球部83の開放態様としては、後述する右作動入球部用表示部に特別当たりを示す絵柄が表示されたタイミングから所定期間(例えば3sec)が経過するまで開閉扉83bが開放されるように設定されている。
ここで、右側可変入球部83の構成について補足説明する。右側可変入球部83には、右側大入賞口83aから流入した遊技球を遊技盤80の背面側、詳しくは後述する回収通路へと案内する案内通路が設けられている。案内通路は、当該案内通路における同一箇所を複数の遊技球が同時に通過できないように形成されており、その途中位置から2股に分岐している。つまり、案内通路は、分岐位置の上流側に位置する1条の上流側通路と、同分岐位置の下流側に位置する2条の下流側通路とを有している。
上流側通路において出口部分を含んだ下流側の一部は上下方向に延びており、同出口部分が下方に開放されている。上流側通路の下流側への延長上には一方の下流側通路(以下便宜上、第1下流側通路と称する)の入口部分が位置しており、同入口部分は上流側通路の出口部分側(上方)に開放されている。一方、他方の下流側通路(以下便宜上、第2下流側通路と称する)の入口部分は、上流側通路の延長上から外れた位置に配されているとともにその延長方向とは異なる方向に開放されている。このため、上流側通路に沿って落下した遊技球は通常、第1下流側通路へと流入し、第2下流側通路への流入が回避されることとなる。
また、上記分岐位置には、上流側通路から流出した遊技球を第2下流側通路へと誘導する誘導状態と同誘導を行わない非誘導状態とに切替可能な切替部材が設けられている。切替部材は、非誘導状態においては案内通路(詳しくは第1下流側通路の入口部分)への突出が抑えられており、誘導状態に切り替わることで、同入口部分を覆い当該入口部分への遊技球の流入を不可とする位置へと突出する。
より具体的には、切替部材には、誘導状態において上流側通路の延長上に位置し、第2下流側通路の入口部分へ向けて下り傾斜する誘導傾斜面が形成されている。このため誘導状態においては、上流側通路から流出した遊技球は、誘導傾斜面に衝突し、同誘導傾斜面に沿って移動することで第2下流側通路へと導かれることとなる。このように、第2下流側通路へ遊技球を誘導する機能に着目すれば切替部材を「誘導手段」と称することも可能である。また、第1下流側通路への遊技球の流入を阻止する点に着目すれば、同切替部材を「シャッタ」と称することも可能である。
また、右側可変入球部には、切替部材の他に、同切替部材を案内通路への突出が抑えられた位置に向けて付勢する付勢部材と、同付勢部材の付勢力に抗して切替部材を突出位置へと移動させるソレノイド式の駆動部とが設けられている。駆動部は、後述する主制御装置に対して電気的に接続されており、同主制御装置から出力される信号に基づいて駆動する。
本実施の形態においては、通常は付勢部材の付勢力によって切替部材が非誘導状態にて保持され、上記右側作動入球部への入賞に基づく抽選にて特別当たりが発生した場合に駆動部が駆動することで同切替部材が誘導状態へと切り替る。つまり、第2下流側通路への遊技球の流入が許容されることとなる。
案内通路においては、分岐位置よりも上流側に上流側検知センサが配設されている。上流側検知センサは、上流側通路に設けられた検知領域を遊技球が通過することで入球を検知するものであり、同検知領域を遊技球が通過した場合に生じる磁場の変化を把握する磁気センサが採用されている。上流側検知センサは、主制御装置に対して電気的に接続されており、案内通路92に流入した遊技球が上流側検知センサによって検知されることで予め設定された数の遊技球が払い出される構成となっている。
また、分岐位置よりも下流側には下流側検知センサが設けられている。具体的には、第1下流側通路の途中位置には第1下流側検知センサが配されており、第2下流側通路の途中位置には第2下流側検知センサが配されている。これら下流側検知センサは、下流側通路に設けられた検知領域を遊技球が通過することで入球を検知するものであり、上記上流側検知センサとは異なりフォトセンサが採用されている。下流側検知センサは主制御装置に対して電気的に接続されており、同検知センサから出力される検知情報に基づいて有利入球部としての第2下流側通路への入球の有無が判定される構成となっている。
再び図5を参照して可変遊技装置88について説明する。可変遊技装置88は、下側作動入球部84への入賞をトリガとして図柄を可変表示するとともに右側作動入球部85への入賞をトリガとして所定のキャラクタ画像等を表示する可変表示ユニット96と、同可変表示ユニット96を囲むようにして設けられたセンターフレーム97とを有している。可変表示ユニット96には、下側作動入球部84に対応する下側作動入球部用保留ランプ部98と、右側作動入球部85に対応する右側作動入球部用保留ランプ部99とが設けられている。本実施の形態においては、遊技球が各作動入球部84,85を通過した回数はそれぞれ最大4回まで保留される構成となっているが、保留ランプ部98,99の点灯によって各作動入球部84,85に対応する保留個数が個別に表示されるようになっている。
可変表示ユニット96は、液晶ディスプレイ261を備えた液晶表示装置としての図柄表示装置260を有してなり、後述する表示制御装置により表示内容が制御される。図柄表示装置260の表示画面261aには、上,中,下に並べて複数の図柄(詳しくは図柄列)が表示され、これらの図柄が例えば水平方向(詳しくは左方)にスクロールされるようにして変動表示されるようになっている。そして、予め設定されている有効ライン上に所定の組合せの図柄が停止表示された場合には、特別遊技状態(以下、大当たりという)が発生することとなる。
なお、上述した保留ランプ部98,99については必須の構成ではなく、保留ランプ部98,99によって表示した保留数にかかる情報を図柄表示装置260によって表示する構成としてもよい。
作動入球部84,85は、可変遊技装置88寄りとなる位置に配置されている。作動入球部84,85への入賞をトリガとして大当たりが発生し得るため、遊技者は各作動入球部84,85に入賞するか否かに注目するとともに、大当たりが発生するか否かを把握するため可変遊技装置88(詳しくは図柄表示装置260)に注目するものと考えられる。各作動入球部84,85を可変遊技装置88寄りに設けたことは、遊技者が注目したい箇所を可変遊技装置88周辺に集中させるための工夫である。
可変遊技装置88を挟んで右側可変入球部83とは反対側には、上記主表示ユニット87が配されている。主表示ユニット87は、遊技領域PEの下部側の外縁に沿って配置されており、遊技盤80の前面からパチンコ機10前方に突出している。主表示ユニット87の前面は、遊技領域PEをパチンコ機10前方から視認可能とする上記ガラスユニット22(詳しくは後側のガラスパネル23)と対向しており、さらに後側のガラスパネル23との間の距離は遊技球1個分よりも狭くなっている。これにより、主表示ユニット87の前面の前方を遊技球が落下することが回避されている。
主表示ユニット87においてガラスユニット22と対向している部分には、所定の絵柄等が表示される主表示部Dが設けられている。主表示部Dは、下側作動入球部84への入賞に基づいた抽選結果を表示する下作動入球部用表示部DLと、右側作動入球部85への入賞に基づいて行われた抽選結果を表示する右作動入球部用表示部DRとを有してなる。
下作動入球部用表示部DLでは、下側作動入球部84への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、下側作動入球部84への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が明示される。下側作動入球部84への入賞に基づく内部抽選の結果が開閉実行モードへの移行に対応した当選結果であった場合には、下作動入球部用表示部DLにて変動表示が停止され、停止結果として所定の絵柄が表示された後に、上記開閉実行モードへ移行される。
右作動入球部用表示部DRでは、右側作動入球部85への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、右側作動入球部85への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が明示される。右側作動入球部85への入賞に基づく内部抽選の結果が大当たり又は特別当たりに対応した当選結果であった場合には、右作動入球部用表示部DRにて変動表示が停止され、停止結果として所定の絵柄が表示された後に、その結果に応じて上記開閉実行モード又は抽選結果確定モードに移行される。
ここで、いずれかの作動入球部84,85への入賞に基づいて、対応する表示部DL,DRにて変動表示が開始され、所定の停止結果を表示し上記変動表示が停止されるまでが遊技回の1回に相当する。但し、遊技回の1回は、上記の内容に限定されることはなく、例えば、単一の表示領域が設けられ、いずれの作動入球部84,85への入賞が発生したとしてもその単一の表示領域にて変動表示が行われる構成においては、当該単一の表示領域にて変動表示が開始され、所定の停止結果を表示した状態で上記変動表示が停止されるまでを遊技回の1回とする。
また、主表示ユニット87の主表示部Dには両表示部DL,DR以外に、スルーゲート86への入賞に基づいた抽選結果を表示するスルーゲート用表示部DSが併設されている。スルーゲート用表示部DSでは、スルーゲート86への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、スルーゲート86への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が明示される。スルーゲート86への入賞に基づく内部抽選の結果が電役開放状態への移行に対応した当選結果であった場合には、スルーゲート用表示部DSにて所定の停止結果が表示されて変動表示が停止された後に、電役開放状態へ移行する。電役開放状態では、右側作動入球部85に設けられた上記電動役物が所定の態様で開放される。
更に、本実施の形態においては遊技球がスルーゲート86を通過した回数は最大4回まで保留される構成が採用されているが、主表示ユニット87の主表示部Dにはその保留個数を表示する保留数用表示部DHが設けられている。
これら各表示部DL,DR,DS,DHについては、前扉枠14のガラスユニット22を通じてパチンコ機10前方から視認可能となっているとともに、これら各種表示部DL,DR,DS,DHの前方を遊技球が移動することが回避されることで視認性が担保されている。なお、これら各表示部DL,DR,DS,DHにおける表示態様については後述する。
再び図4を用いて内枠13の構成について説明すれば、樹脂ベース70における遊技盤80の下方には、上記遊技球発射ハンドル41の操作に基づいて遊技領域PEへ遊技球を発射する遊技球発射機構110が設けられている。遊技球発射機構110は、所定の発射待機位置に配置された遊技球を打ち出すソレノイド111と、同ソレノイド111によって打ち出された遊技球の発射方向を規定する発射レール112と、上記発射待機位置に遊技球を供給する球送装置113と、それら各種構成111〜113が装着されているベースプレート114とを主要な構成として備えており、同ベースプレート114が樹脂ベース70に固定されることで、樹脂ベース70に対して一体化されている。
発射レール112は、遊技盤80側に向けて上り傾斜となるように、斜めに傾いた状態でベースプレート114に固定されている。発射レール112の下流側の端部(すなわち下端部)寄りとなる位置には、球送装置113から供給された遊技球を上述した発射待機位置に留める球ストッパが配されている。球ストッパよりも更に下流側となる位置に、上記ソレノイド111が配置されている。
ソレノイド111は、後述する電源・発射制御装置に対して電気的に接続されている。その電源・発射制御装置からの電気的な信号の出力に基づいてソレノイド111の出力軸が伸縮方向に往復動することにより、発射待機位置に置かれた遊技球が遊技盤80側、詳しくは遊技盤80に装着された誘導レール100に向けて打ち出される。
誘導レール100は、遊技領域PEを同遊技領域PEの外形が略円形状となるように区画形成している。また、誘導レール100は、遊技球の直径よりも若干大きな隙間を隔てて対峙するように配置された内レール101及び外レール102からなり、それら両レール101,102によって一条の誘導通路103が区画形成されている。誘導通路103は、発射レール112の先端側(斜め下方)に開放された入口部分と、遊技領域PEの上部に位置する出口部分とを有している。ソレノイド111の動作に基づいて発射された遊技球は、発射レール112→誘導レール100(入口部分→出口部分)の順に移動することにより遊技領域PEに導かれる。なお、遊技盤80において出口部分の先側、詳しくは内レール101の先端付近には、遊技領域PEに到達した遊技球の同誘導通路103内への逆戻りを防止する逆戻り防止部材106が取り付けられており、先んじて遊技領域PEに至った遊技球によって後続する遊技球の打ち出しが妨げられることを抑制している。
誘導レール100を構成している各レール101,102は、遊技領域PEの略中央部分を中心とする円弧状をなしている。このため、誘導通路103を通過する遊技球は、自身に発生する遠心力により外レール102に沿って、すなわち外レール102に接触したまま移動(摺動又は転動)しやすくなっている。
同図3に示すように、誘導レール100及び発射レール112は、同誘導レール100の入口部分と発射レール112の先端部分とが遊技盤80の下端縁を挟んで斜めに対峙するように配置されている。つまり、それら両レール100,112は、同誘導レール100の入口部分と発射レール112の先端部分とが遊技盤80の下端縁近傍にて左右にずれるようにして配置されている。これにより両レール100,112を遊技盤80の下端縁に近づけつつ、誘導レール100の入口部分と発射レール112との間には所定間隔の隙間を形成している。
このようにして形成された隙間よりも下側にはファール球通路が配設されている。ファール球通路は前扉枠14の通路形成ユニットに一体成形されている。仮に遊技球発射機構110から発射された遊技球が遊技領域PEまで至らずファール球として誘導通路103内を逆戻りする場合には、それらファール球が上記隙間を介してファール球通路内に入ることとなる。ファール球通路は前扉側下皿通路に通じており、ファール球通路に入った遊技球は図1に示した下皿34に排出される。これにより、ファール球と次に発射される遊技球との干渉が抑制される。
樹脂ベース70において発射レール112の左方(詳しくは前扉枠14を支持している側)には樹脂ベース70を前後方向に貫通する貫通孔が形成されており、この貫通孔に通路形成部材121が配設されている。通路形成部材121は、樹脂ベース70に対してネジ止めされており、本体側上皿通路122と本体側下皿通路123とを有している。それら本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123の上流側は、後述する遊技球分配部に通じている。また、通路形成部材121の下方には前扉枠14に取り付けられた通路形成ユニットの受口部が入り込んでおり、本体側上皿通路122の下方には前扉側上皿通路51が配置され、本体側下皿通路123の下方には前扉側上皿通路51が配置されている。
樹脂ベース70において通路形成部材121の下方には、本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123を開閉する開閉部材124が取り付けられている。開閉部材124はその下端に設けられた支軸により前後方向に回動可能に支持されており、さらに本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123を閉鎖する前方位置に付勢する付勢部材が設けられている。従って、前扉枠14を内枠13に対して開いた状態では開閉部材124が図示の如く起き上がり、本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123を閉鎖する。これにより、本体側上皿通路122又は本体側下皿通路123に遊技球が貯留されている状態で前扉枠14を開放した場合、その貯留球がこぼれ落ちてしまうといった不都合が防止できる。これに対し、前扉枠14を閉じた状態では、前扉枠14の通路形成ユニット50に設けられた受口部53により付勢力に抗して開閉部材124が押し開けられる。この状態では、本体側上皿通路122と前扉側上皿通路51とが連通し、さらに本体側下皿通路123と前扉側下皿通路52とが連通している。
次に、図6に基づき内枠13(樹脂ベース70及び遊技盤80)の背面構成について説明する。図6は内枠13の背面図である。
樹脂ベース70の背面における回動基端側(図6の右側)には、軸受け金具132が上下に並設されている。軸受け金具132には、上下に離間させて軸受け部が形成されており、これら軸受け部により内枠13に対して裏パックユニット15が回動可能に取り付けられている。
樹脂ベース70の背面には、係止金具135が複数設けられており、これら係止金具135によって上述したように樹脂ベース70に対して遊技盤80が取り付けられている。ここで、図7及び図8を参照して遊技盤80の背面の構成を説明する。図7は遊技盤80を遊技機後方から見た斜視図、図8は遊技盤80から主制御装置ユニットを取り外した状態を示す背面図である。
図7に示すように、遊技盤80の中央に配置される可変遊技装置88には、遊技盤80の中央開口80aを背後から覆うとともに、上記可変表示ユニット96の主要な構成を収容する合成樹脂製のハウジング250が後方に突出させて設けられている。このハウジング250に対して後側から上記図柄表示装置260が搭載されているとともに、その図柄表示装置260を駆動するための表示制御装置が搭載されている(図示は省略)。
これら図柄表示装置260及び表示制御装置は前後方向に重ねて配置され(図柄表示装置260が前、表示制御装置が後)、さらにその後方に音声ランプ制御装置ユニット142が配設されている。音声ランプ制御装置ユニット142は、音声ランプ制御装置143と、当該音声ランプ制御装置143が取り付けられた取付台144とを具備する構成となっており、同取付台144がハウジング250に対して固定されることで、上記可変表示ユニット96と一体化されている。
音声ランプ制御装置143は、後述する主制御装置からの指示に従い音声の出力やランプの表示、及び表示制御装置の制御を司る音声ランプ制御基板を具備しており、音声ランプ制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス145に収容されて構成されている。
図8に示すように、可変遊技装置88の下方には一般入賞口81や作動入球部84,85等を介して遊技盤80の背面側に移動した遊技球を回収する集合板ユニット150が設けられている。集合板ユニット150は遊技盤80に固定されており、同集合板ユニット150には当該集合板ユニット150を後方から覆うようにして主制御装置ユニット160が搭載されている(図7参照)。なお、主制御装置ユニット160の搭載対象は、集合板ユニット150に限定されるものではない。例えば、主制御装置ユニット160を遊技盤80に搭載することも可能である。
図7に示すように、主制御装置ユニット160は、合成樹脂製を用いて形成された無色透明な取付台161と、同取付台161に搭載された主制御装置162とによって構成されている。取付台161は、集合板ユニット150によって回動可能に支持されており、取付台161ごと主制御装置ユニット160を回動させることで同取付台161から主制御装置162を取り外すことなく目視による確認作業が可能となっている。
主制御装置162は、遊技の主たる制御を司る機能(主制御回路)と、電源を監視する機能(停電監視回路)とを有する主制御基板を具備しており、当該主制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス163に収容されて構成されている。
基板ボックス163は、略直方体形状のボックスベース(表ケース体)とこのボックスベースの開口部を覆うボックスカバー(裏ケース体)とを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印手段としての封印部164によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス163が封印されている。封印部164は、基板ボックス163の長辺部に5つ設けられ、そのうち少なくとも一つが用いられて封印処理が行われる。
封印部164はボックスベースとボックスカバーとを開封不能に結合する構成であれば任意の構成が適用できるが、封印部164を構成する長孔に係止爪を挿入することでボックスベースとボックスカバーとが開封不能に結合されるようになっている。封印部164による封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期に且つ容易に発見可能とするものであって、一旦開封した後でも再度封印処理を行うこと自体は可能である。すなわち、5つの封印部164のうち、少なくとも一つの長孔に係止爪を挿入することにより封印処理が行われる。そして、収容した主制御基板の不具合発生の際や主制御基板の検査の際など基板ボックス163を開封する場合には、係止爪が挿入された封印部と他の封印部との連結部分を切断する。これにより、基板ボックス163のボックスベースとボックスカバーとが分離され、内部の主制御基板を取り出すことができる。その後、再度封印処理する場合は他の封印部の長孔に係止爪を挿入する。基板ボックス163の開封を行った旨の履歴を当該基板ボックス163に残しておけば、基板ボックス163を見ることで不正な開封が行われた旨が容易に発見できる。
基板ボックス163の一方の短辺部には、その側方に突出するようにして複数の結合片が設けられている。これら結合片は、取付台161に形成された複数の被結合片と1対1で対応しており、結合片と被結合片とにより基板ボックス163と取付台161との間で封印処理が行われる。
次に、図3及び図9に基づき裏パックユニット15について説明する。図9は裏パックユニット15の正面図である。
既に説明したように内枠13は裏パックユニット15によって後方から覆われている(図3参照)。図9に示すように、裏パックユニット15は、裏パック201を備えており、当該裏パック201に対して、払出機構部202、排出通路盤及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている。
裏パック201は透明性を有する合成樹脂により成形されており、払出機構部202などが取り付けられるベース部211と、パチンコ機10後方に突出し略直方体形状をなす保護カバー部212とを有する。保護カバー部212は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも上記可変表示ユニット96を囲むのに十分な大きさを有する(図3参照)。
ベース部211には、その右上部に外部端子板213が設けられている。外部端子板213には各種の出力端子が設けられており、これらの出力端子を通じて遊技ホール側の管理制御装置に対して各種信号が出力される。また、ベース部211にはパチンコ機10後方からみて右側の端部に上下一対の掛止ピン214が設けられており、掛止ピン214を内枠13に設けられた軸受け金具132(詳しくは軸受け部)に挿通させることで、裏パックユニット15が内枠13に対して回動可能に支持されている。また、ベース部211における回動先端部には、内枠13に設けられた被締結孔に対して締結するための締結具215が設けられており、当該締結具215を被締結孔に嵌め込むことで内枠13に対して裏パックユニット15が固定されている。
ベース部211には、保護カバー部212を迂回するようにして払出機構部202が配設されている。払出機構部202には、裏パック201の最上部に配されているとともに上方に開口したタンク221が設けられており、遊技ホールの島設備から供給される遊技球がそのタンク221に逐次補給される。タンク221の下方には、下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール222が連結され、タンクレール222の下流側には上下方向に延びるケースレール223が連結されている。ケースレール223の最下流部には払出装置224が設けられている。払出装置224より払い出された遊技球は、当該払出装置224の下流側に設けられた図示しない払出通路を通じて、裏パック201のベース部211に設けられた遊技球分配部225に供給される。
遊技球分配部225は、払出装置224より払い出された遊技球を上皿33、下皿34又は後述する排出通路の何れかに振り分けるための機能を有し、内側の開口部が上述した本体側上皿通路122及び前扉側上皿通路を介して上皿33に通じ、外側の開口部が本体側下皿通路123及び前扉側下皿通路を介して下皿34に通じるように形成されている。
ベース部211の下端部には、当該下端部を前後に挟むようにして排出通路盤及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている(図3参照)。排出通路盤には、制御装置集合ユニット204と対向する面に後方に開放された排出通路が形成されており、当該排出通路の開放部は制御装置集合ユニット204によって塞がれている。排出通路は、遊技ホールの島設備等へ遊技球を排出するように形成されており、上述した回収通路等から排出通路に導出された遊技球は当該排出通路を通ることでパチンコ機10外部に排出される。
図9に示すように、制御装置集合ユニット204は、横長形状をなす取付台241を有し、取付台241に払出制御装置242と電源・発射制御装置243とが搭載されている。これら払出制御装置242と電源・発射制御装置243とは、払出制御装置242がパチンコ機10後方となるように前後に重ねて配置されている。
払出制御装置242においては基板ボックス244内に払出装置224を制御する払出制御基板が収容されており、当該払出制御基板に設けられた状態復帰スイッチ245が基板ボックス244外に突出している。例えば、払出装置224における球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ245が押されると、球詰まりの解消が図られるようになっている。
電源・発射制御装置243は、基板ボックス246内に電源・発射制御基板が収容されており、当該基板により、各種制御装置等で要する所定の電源が生成されて出力され、さらに遊技者による遊技球発射ハンドル41の操作に伴う遊技球の打ち出しの制御が行われる。また、電源・発射制御装置243にはRAM消去スイッチ247が設けられている。本パチンコ機10は各種データの記憶保持機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。したがって、例えば遊技ホールの営業終了の場合のように通常手順で電源を遮断すると遮断前の状態が記憶保持されるが、RAM消去スイッチ247を押しながら電源を投入すると、RAMデータが初期化されるようになっている。
ここで、上記集合板ユニット150とそれに関連する構成とについて補足説明する。集合板ユニット150は、上述した一般入賞口81等を介して遊技盤80の背面側に誘導された遊技球を回収する集合板151を備えている。集合板151は、光透過性を有する(具体的には無色透明な)合成樹脂材料によって形成されており、遊技球の流下経路の目視による確認が容易化されている。これにより、仮に集合板151にて球詰まり等が発生した場合であっても、そのような不都合がどの箇所で生じているかを容易に把握することが可能となっている。
図8に示すように、集合板151は、遊技球を回収する機能が付与された本体部と遊技盤80に対する取付部とが一体成形されてなり、全体として遊技盤80の左右両端部に跨って延びる横長状をなしている。取付部は、遊技盤80の背面に対して平行な板状をなしており、同取付部が遊技盤80に面当りした状態でネジ止めされることにより、集合板151と遊技盤80とが一体化されている。
集合板151の本体部には遊技盤80の背面に向けて起立する一対の壁部が設けられており、これら各壁部によって遊技球を回収する回収通路が区画形成されている。回収通路は、一般入賞口81、作動入球部84,85及び可変入球部82,83等の各入球部に対応して複数設けられている。それら各入球部に入賞した遊技球は何れも回収通路を介して遊技盤80の下部に集められる。
遊技盤80の下方には上述した排出通路盤203(図3参照)が配置されており、回収通路によって遊技盤80の下部に集められた遊技球は排出通路に導出され、その後パチンコ機10の外部に排出される、詳しくは島設備に返却される。なお、上述したアウト口89についても同様に排出通路に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球は同アウト口89を介して排出通路内に導出され、パチンコ機10の外部に排出される。
各回収通路のうち一般入賞口81及び下側作動入球部84に対応する回収通路の途中位置には、遊技球の通過を検知する検知センサが設けられている。各検知センサは、各回収通路の途中位置に設けられた検知領域を遊技球が通過することで、一般入賞口81等の入球部への入球を検知するものであり、具体的には上記検知領域を遊技球が通過した場合に生じる磁場の変化を把握する磁気センサが採用されている。
これら各検知センサは、遊技盤80の背面側に設けられた主制御装置ユニット160(詳しくは主制御装置162)に電気的に接続されており、それら検知センサにて生成された検知信号が同主制御装置162に対して出力される構成となっている。
<可変遊技装置88>
本実施の形態においては、上述した可変遊技装置88(詳しくは後述するステージユニット)に関して特徴的な構成を有している。そこで以下、図5及び図10〜図12に基づき可変遊技装置88について詳しく説明する。図10(a)は可変遊技装置88の正面図、図10(b)は可変遊技装置88の背面図、図11は可変遊技装置88を正面側から見た斜視図、図12は可変遊技装置88を主要な構成毎に分解して示す分解斜視図である。なお、図11においては便宜上、遊技盤80を省略した状態で可変表示ユニット96及びセンターフレーム97を一体的に表示している。
既に説明したように、可変遊技装置88は、その主要な構成として可変表示ユニット96及びセンターフレーム97を有してなり、可変表示ユニット96が遊技盤80に形成された中央開口80a(図10参照)を遊技機後方から覆うようにして遊技盤80に搭載され且つセンターフレーム97が同中央開口80aを遊技機前方から覆うようにして遊技盤80に搭載されることにより、同遊技盤80に対して一体化されている。
図10(a)に示すように、センターフレーム97はパチンコ機10の正面視において遊技盤80の中央開口80a(2点鎖線参照)よりも大きく形成されており、同中央開口80aの縁部が遊技機前方から視認されにくくなっている。このようにして中央開口80aの縁部の遊技機正面側への露出を抑えることにより、遊技盤80における装飾性の低下を抑制している。更には、可変表示ユニット96において遊技盤80の中央開口80a内に突出している部分に、中央開口80aの内形に合わせた外形の制約が生じることを抑制している。これにより、可変表示ユニット96の設計の自由度を向上と、同可変表示ユニット96の装飾性等の向上とが実現されている。
可変表示ユニット96は、既に説明したように当該可変表示ユニット96における各種構成を収容する収容部としてのハウジング250を備えている。ハウジング250は遊技盤80の中央開口80a側に開放された略箱状の本体部251と当該本体部251における開口縁に形成され遊技盤80の背面に当接する板状の取付部252とを有してなり(図12参照)、同取付部252が遊技盤80に対してネジ止めされることで、可変表示ユニット96が遊技盤80に対して取り付けられた状態となっている。
図12に示すように、本体部251の底部251aにおいて遊技盤80の中央開口80a(図10(a)等参照)と対向している部分には、前後に開放された窓部251bと、当該窓部251bを囲む環状をなすとともに遊技機後方に起立する起立部251cとが形成されている。そして、この起立部251cによって囲まれた領域に上記図柄表示装置260が収容されている。
図柄表示装置260は、表示画面261aを有する液晶ディスプレイ261と、同液晶ディスプレイ261の周縁に沿って形成された枠体262とを有し、枠体262に形成された爪部がハウジング250に固定された表示制御装置170に対して引っ掛かることでハウジング250に対して一体化されている。このようにして搭載された図柄表示装置260の表示画面261aにより上記窓部251bが遊技機後方から覆われた状態となっている。つまり、窓部251b及び中央開口80aを通じて上記表示画面261aが遊技機前方へ露出した状態となっている。
ハウジング250の窓部251bを挟んで図柄表示装置260とは反対側、すなわち窓部251bよりも前側には、可動式の役物としてのリングユニット270が設けられている。リングユニット270は、上述したハウジング250及び図柄表示装置260とともに可変表示ユニット96を構成しており、図柄表示装置260の表示画面261aにて実行される演出と、リングユニット270にて実行される演出とに関連性を付与することでパチンコ機10における演出機能の向上が図られている。
図12に示すように、リングユニット270は、全体として略円環状をなしており、遊技機前方から見て図柄表示装置260における表示画面261a(詳しくは後述する表示領域)を囲む位置に配置されている(図5参照)。これにより、リングユニット270の中央開口271を通じた表示画面261aの視認性が担保されている。
リングユニット270は、ハウジング250に対する固定部を構成する環状のベース部275と、同ベース部275に沿うようにして当該ベース部275の周方向に移動可能(回動可能)な可動部276とを備えている。可動部276は遊技機前方から視認可能に設けられた装飾部材277を有してなり、上述した表示画面261aにおける演出態様に応じて装飾部材277が表示画面261a(詳しくは表示領域)の周囲を移動することにより、図柄表示装置260及びリングユニット270による一体的な演出が行われる。
リングユニット270の下方には、遊技領域PEを流下する遊技球を一時的に滞留させるステージユニット300が設けられている(図5や図11参照)。具体的には、図12に示すように、上記ハウジング250(詳しくは本体部251)にはリングユニット270を収容するリングユニット収容部253とステージユニット300を収容するステージユニット収容部254とが上下に並設されており、ステージユニット300は、ステージユニット収容部254に収容された状態でハウジング250に対して固定されることにより、同ハウジング250と一体化されている。
<ステージユニット300及びそれに付随する構成>
以下、図5,図11,図13〜図16を参照してステージユニット300及びそれに付随する構成について説明する。図13(a)はステージユニット300の正面図、図13(b)はステージユニット300の平面図、図14はステージユニット300を遊技機前方から見た斜視図、図15はステージユニット300を正面側から見た分解斜視図、図16は図13(a)のA−A線部分断面図である。なお、図16においては便宜上、遊技盤80,表示制御装置170,図柄表示装置260,リングユニット270等の各種遊技部品を2点鎖線によって模式的に表示している。
図5に示すように上記センターフレーム97の枠体281には、遊技領域PEを流下する遊技球の流入を許容する流入口283と、同流入口283から流入した遊技球を枠体281によって区画された領域のうち可変表示ユニット96の下方となる領域、詳しくはステージユニット300によって遊技球の移動が許容されている領域へ誘導するフレーム側誘導通路284とが形成されている。
ステージユニット300は、フレーム側誘導通路284によって誘導された遊技球を一時的に滞留させる滞留機能が付与されたステージ装置310を備えている。図13に示すように、ステージ装置310は、前後に並べて配設された複数(本実施の形態においては10枚)の可動板320と、同可動板320を立てた状態(板面が前方を向いた状態)で収容するケース体330とによって構成されている。ケース体330は、上方に開放された略箱状の本体部331を有しており、その上方への開放部分から可動板320の上側の端部が露出した状態となっている(図14参照)。
図13(b)及び図16に示すように、各可動板320は、1の可動板320の板面が隣り合う他の可動板320の板面と隙間を隔てて相対向するようにして配置されている。可動板320同士の隙間は、遊技球の直径寸法よりも小さく(詳しくは遊技球の半径寸法よりも小さく)設定されており、これら可動板320の上端部によって、遊技球が滞留する滞留部311が構成されている。
図16に示すように、可動板320の上端部については、上方に凸となるようにして可動板320の並設方向(前後方向)に湾曲する曲面状をなしている。このため、1の可動板320の上端部に載った遊技球は当該可動板320の上端部に沿って前方又は後方へ移動し、当該可動板320と隣り合う他の可動板320との両者に当接した状態で滞留することとなる。つまり、滞留中の遊技球が1の可動板320上に載ったままとなることが抑制されている。
遊技球が2つの可動板320に跨るようにして滞留している状態では、同遊技球の前側部分(前側半球面)に前側の可動板320が当接し、同遊技球の後側部分(後側半球面)に後側の可動板320が当接することとなる。なお、可動板320同士の隙間は、隣り合う2つの可動板320に当接している遊技球と他の可動板320との干渉が回避されるように設定されている。
ここで、図15及び図17(a),(b)を参照して可動板320の組み付けに関する構成について説明する。図17(a)は図13(a)のB−B線部分断面図、図17(b)は図13(b)のC−C線部分断面図である。
図15に示すようにケース体330(詳しくは本体部331)において可動板320に左右両側(側方)から対峙する側壁部332には、縦方向(上下方向)に延びる溝部333が形成さている。図17(a),(b)に示すように、これら溝部333は可動板320の収容領域側に開放されており、この開放部分を通じて可動板320の左右の端部が、詳しくは可動板320の本体部321から左右に延出する延出部322が、同溝部333に挿入されている。溝部333の前後幅寸法は延出部322の厚さ寸法と同等となるように設定されており、同溝部333に対して延出部322が嵌まることで同延出部322の前後位置が規定されている。つまり、可動板320の前後方向への移動が規制されている。
延出部322については溝部333内での当該溝部333に沿った摺動が許容されており、このような延出部322の動きに基づいて可動板320が上下方向に移動することとなる。溝部333の上方及び下方には延出部322に対して摺動方向先側(溝部333の長手方向)から対峙するようにしてストッパ部334が配されており、同ストッパ部334によって溝部333からの延出部322の脱落が回避されている。これにより、ケース体330からの可動板320の取り外しが規制されている。
ステージ装置310には、可動板320を個々に駆動することにより滞留部311に高低差を生じさせて当該滞留部311に滞留中の遊技球を遊技機前方等に誘導する駆動機構340が設けられているが、同駆動機構340についての詳細な説明は後述する。
ケース体330には、滞留部311と横並びとなる位置に配され、具体的には滞留部311を挟んだ左右両側に配され、滞留部311よりも右側及び左側への遊技球の移動を規制する規制部335が設けられている。規制部335には、滞留部311よりも上位に位置し、同滞留部311に向けて下る傾斜面と、上記フレーム側誘導通路284に連通するステージ側誘導通路336とが形成されている。ステージ側誘導通路336の出口部分337については上記傾斜面の上方に位置しており、流入口283→フレーム側誘導通路284→ステージ側誘導通路336→出口部分337を通じて傾斜面上に落下した遊技球は、同傾斜面に沿って滞留部311へと移動することとなる。
図16に示すように、滞留部311の前方には、センターフレーム97(詳しくは枠体281)の下端部が位置しており、この下端部には同滞留部311を通じて遊技機前方へと誘導された遊技球を受け入れる受入口285が形成されている。
受入口285は遊技機上方に開口しており、センターフレーム97には受入口285に連通する球通路286が形成されている。球通路286は、当該球通路286における同一箇所を複数の遊技球が通過可能となるように所定の幅を有しており、球通路286の出口部分は上記下側作動入球部84の上方に配置されている。
球通路286における幅方向の中央部分すなわち下側作動入球部84の直上となる部分には、当該受入口285に流入した遊技球を下側作動入球部84へと導くガイド溝287(図11参照)が形成されている。つまり、受入口285に流入した遊技球のうちガイド溝287に到達したものは下側作動入球部84へと導かれることにより当該下側作動入球部84へ入球しやすくなっており、ガイド溝287に到達しなかった遊技球は下側作動入球部84の左側又は右側に振り分けられるため、ガイド溝287に沿って移動した遊技球と比較して下側作動入球部84へ入球しにくくなっている。
受入口285は滞留部311における左右方向(横方向又は幅方向)の略中央に位置しており、当該受入口285の左右両側には、遊技機前方への遊技球の移動を妨げるストッパ部288が形成されている(図12や図16参照)。つまり、滞留部311に沿って前方へ移動した遊技球のうち、受入口285へ到達しなかった遊技球は、同滞留部311から流出することなく、受入口285に到達するまで滞留部311上に留まり続けやすくなっている。
滞留部311は、遊技盤80の前面よりも後方に配置されているとともに、上述したリングユニット270や規制部335によってその周囲が囲まれている(図16参照)。これにより、遊技ホールの天井等に設置された照明や図柄表示装置260(詳しくは表示画面261a)からの光が滞留部311に照射されることを抑制し、滞留部311及びその周辺に暗所を作り出している。そして、本実施の形態におけるステージユニット300には照明機能が付与された発光装置370が設けられ、同発光装置370からの光が滞留部311に照射される構成となっている。これにより、滞留部311にて滞留中の遊技球の視認性が担保されている。以下、図15及び図16を参照して発光装置370について説明する。
<発光装置370>
図15に示すように、発光装置370は、複数の発光体371(詳しくはLED)が実装された発光基板372と、同発光基板372の前方に配置され発光体371からの光を拡散させる拡散板375と、同拡散板375の前方に配置され同拡散板375に対して遊技機前方から対向する前面カバー376とが組み合わされてなり、滞留部311の後方に配置されている(図16参照)。
前面カバー376及び拡散板375は透明性を有する合成樹脂材料を用いて形成されており、発光体371からの光はそれら拡散板375及び前面カバー376を通じて前方へ射出される。より詳しくは、発光装置370からの光は、図16に示すように遊技球の滞留領域(ドットハッチング部分参照)を通じて遊技機前方に照射される。このように、光の照射方向先側に滞留領域が存在しているため、仮に遊技球が滞留している場合には当該遊技球によって遮られることとなる。つまり、ステージユニット300における発光態様は、遊技球が滞留部311上に存在している場合としていない場合とで相違することとなる。
上述したように滞留部311をリングユニット270等で囲むことで同滞留部311やその周辺にて積極的に暗所を作り出すとともに、光の照射方向における先側に遊技球の滞留領域を設けることで、遊技球の有無によって生じる差(具体的には明暗の差)を大きくすることが可能となっている。これにより、滞留中の遊技球の動きに対する注目度を向上させることが可能となっている。
また、前面カバー376については上記複数の可動板320のうち最後尾に位置している可動板320に対して遊技球の半径寸法よりも小さい隙間を隔てて対向している。滞留部311に沿って遊技機後方に誘導された遊技球は、前面カバー376に当接することによってそれ以上の後方への移動が規制されることとなる。つまり、同前面カバー376には、発光基板372等の保護機能と滞留中の遊技球が遊技機後方へ流出することを阻止する機能とが付与されている。
<駆動機構340>
本実施の形態においては、可動板320を駆動させる上記駆動機構340について特徴的な構成を有している。そこで以下、図15〜図17(c)を参照して駆動機構340について説明する。図17(c)は駆動機構340を遊技機前方から見た概略図である。
図15に示すように、駆動機構340は、可動板320群の後方に配置された駆動部としてのステッピングモータ341を有している。ステッピングモータ341は、主制御装置162に対して電気的に接続されており、当該主制御装置162から出力される駆動信号に基づいて動作する。
この駆動信号は、パチンコ機10が起動している状態においては上記主制御装置162から常時出力される構成となっている。より詳しくは、当該駆動信号として、励磁パターンの異なる第1駆動信号と第2駆動信号とが設定されており、予め定められた期間の経過を契機として第1駆動信号と第2駆動信号とが交互に出力される構成となっている。
具体的には、第1駆動信号の励磁パターンはステッピングモータ341を正転させるように設定されているとともに、第2駆動信号の励磁パターンはステッピングモータ341を逆転させるように設定されており、これら各駆動信号が交互に出力されることでステッピングモータ341の回転方向が切り替わる構成となっている。
なお、ステッピングモータ341の接続対象は主制御装置162に限定されるものではなく、同ステッピングモータ341の接続対象を音声ランプ制御装置143等の他の制御装置に変更することも可能である。
ステッピングモータ341にて発生した動力は、動力伝達手段を構成する各種ギアを介して偏心カム346に伝達される。偏心カム346は、可動板320の並設方向(前後方向)に延びる軸部347と、当該軸部347からその放射方向に突出するようにして形成されたカム部348とを有している。
各可動板320の本体部321には、偏心カム346が挿通される挿通部323が形成されている。挿通部323は本体部321の厚さ方向に貫通しており、同挿通部323に挿通された偏心カム346(詳しくは軸部347)の両端部が可動板320群から前後に突出している。そして、当該軸部347の前側の端部と後側の端部とがケース体330の前壁部及び後壁部に形成された軸受け部によって保持されることにより、偏心カム346がケース体330に対して回転可能な状態で一体化されている。つまり、偏心カム346は、可動板320の並設方向(前後方向)に延びる中心軸線(軸部347の中心軸線CL)を中心とした回転が許容されている。
カム部348は、軸部347の中心軸線CLに対して放射方向にオフセットされた軸線を中心とする略円板状をなしており(図17(c)参照)、挿通部323に対して下側から当接している。挿通部323についてはカム部348の回動を許容する大きさを有しており、偏心カム346の回転(カム部348の変位)に合わせて可動板320が周期的に昇降することとなる。具体的には、カム部348によって挿通部323の上側の壁面が上方へ押されると、上記溝部333に沿って可動板320が上昇し、カム部348が下方へ移動すると可動板320が自重によって降下することとなる。以下、挿通部323においてカム部348に対して上側から当接する部分を当接部323aと称する。
当接部323aは、可動板320の幅方向(横方向)に延びる平面状をなしており、当該当接部323aに当接しているカム部348との引っ掛かりが抑制されている。つまり、当接部323aによってカム部348の変位が妨げられることを回避している。
カム部348は、各可動板320(詳しくは各挿通部323)に1対1で対応させて設けられているとともに、軸部347の中心軸線周りに等角度(本実施の形態においては60°)となるようにずらして配置されている。ここで、各カム部348の外形(カムプロフィール)は全て共通となっており、更には挿通部323についても全ての可動板320にて同一形状となるように構成されている。これにより、偏心カム346の回転に基づく各可動板320の昇降周期は等間隔でずれることとなる。
可動板320における上端部と挿通部323(詳しくは当接部323a)との位置関係について補足すれば、両者の位置関係(距離)は全ての可動板320にて共通となっている。このため、挿通部323に偏心カム346が挿通された状態においては各カム部348とそれらカム部348に1対1で対応する各挿通部323(詳しくは当接部323a)とが当接することにより、可動板320、詳しくは同可動板320において滞留部311を構成している上端部に高低差が生じる。
偏心カム346は、図13(b)に示すように、上述した滞留部311の幅方向(左右方向)に複数並べて配置されている。より具体的には、上記受入口285よりも左側となる位置と、同受入口285よりも右側となる位置とにそれぞれ配置されている。以下便宜上、左側の偏心カム346を「左側偏心カム346L」、右側の偏心カム346を「右側偏心カム346R」と称する。
ここで、図15及び図17(c)を参照してステッピングモータ341及び偏心カム346R,346Lとともに駆動機構340を構成する動力伝達手段について補足説明する。
図15に示すように、ステッピングモータ341の出力軸には駆動ギア342が固定されており、同駆動ギア342は右側偏心カム346Rの軸部347に固定された従動ギア343Rに対して係合している。一方、左側偏心カム346Lの軸部347に固定された従動ギア343Lは、当該従動ギア343Lと駆動ギア342との間に配置された伝達ギア344に係合している。伝達ギア344は、回転可能な状態でケース体330の本体部331に対して取り付けられているとともに、上記従動ギア343Rに対して係合している。
図17(c)の1点鎖線の矢印に示すように、駆動ギア342が遊技機正面視において時計回りに回転すると、同駆動ギア342の回転に追従して従動ギア343Rは反時計回りに回転する。これにより、右側偏心カム346Rが反時計回りに回転することとなる。また、駆動ギア342の回転に伴って伝達ギア344が反時計回りに回転し、これに合わせて従動ギア343Lは時計回りに回転する。そして、このような従動ギア343Lの回転に追従して、左側偏心カム346Lが時計回りに回転することとなる。
一方、図17(c)の2点鎖線の矢印に示すように、駆動ギア342が遊技機正面視において反時計回りに回転すると、従動ギア343Rは時計回りに回転する。これにより、右側偏心カム346Rが時計回りに回転することとなる。また、駆動ギア342の回転に伴って伝達ギア344が時計回りに回転し、これに合わせて従動ギア343Lは反時計回りに回転する。そして、このような従動ギア343Lの回転に追従して、左側偏心カム346Lが反時計回りに回転することとなる。
つまり、左側偏心カム346Lの回転方向と右側偏心カム346Rの回転方向とは、ステッピングモータ341(詳しくは駆動ギア342)が何れの方向に回転する場合であっても、互いに逆向きとなるように設定されている。
また、上記各ギア342〜344のギア比は、駆動ギア342の回転に基づいて各偏心カム346L,346Rが回転する場合に、各従動ギア343L,343Rの回転速度、すなわち各偏心カム346L,346Rの回転速度が同一となるように設定されている。
ここで、図16及び図17(c)を参照して各可動板320の昇降周期について補足説明する。なお、以下の説明においては、最も前側に位置する可動板320を「第1可動板320a」、前から2番目の可動板320を「第2可動板320b」、前から3番目の可動板320を「第3可動板320c」、前からn番目の可動板320を「第n可動板320※」、最も後側に位置する可動板320を「可動板320j」と称する。
図17(c)に示すように各可動板320a〜320jに1対1で対応する各カム部348は偏心カム346の中心軸線CL周りに60°間隔でずらして配置されており、隣り合う可動板320同士の位相が1/6周期ずれた構成となっている。また、図22に示すように、可動板320の数は「10」となっている。このため、各可動板320a〜320jの一部は昇降周期が一致する。
具体的には、第1可動板320aの昇降周期と第7可動板320gの昇降周期とが完全に一致し(位相差が0となり)、第2可動板320bの昇降周期と第8可動板320hの昇降周期とが完全に一致し(位相差が0となり)、第3可動板320cの昇降周期と第9可動板320iの昇降周期とが完全に一致し(位相差が0となり)、第4可動板320dの昇降周期と第10可動板320jの昇降周期とが完全に一致している(位相差が0となっている)。
なお、上記構成を採用することにより、滞留部311においては、他の部位よりも高位となる部分(上方に凸となる部分)が少なくとも2箇所、他の部位よりも低位となる部分(凹状をなす部分)が少なくとも1箇所形成されることとなる(図16参照)。
<ステージ装置310の動作>
以下、図18〜図20に基づきステージ装置310(各可動板320)の動作とステージ装置310にて滞留中の遊技球の動きについて説明する。図18は各可動板320a〜320jの動作(昇降周期)を示すタイミングチャート、図19及び図20はステージ装置310の動きを示す概略図である。なお、以下の説明においては主として図18を参照し、適宜図19及び図20を援用する。
先ず、上記第1駆動信号に基づいてステッピングモータ341が動作している場合の遊技球の動きについて例示する。
誘導通路336の出口部分337(図19(a1)参照)から流出した遊技球は、滞留部311における特定箇所(詳しくは第9可動板320i)に向けて移動する。図18に示すta1のタイミングにて遊技球が滞留部311に到達すると、このta1のタイミングにおける滞留部311の形に応じて遊技球の滞留位置が決定される。具体的には、ta1のタイミングにおいては、図18に示すように、第10可動板320jが最高位、第9可動板320iは第10可動板320jよりも低位となっており、更に第8可動板320hは第9可動板320iよりも低位となっている。すなわち。第8可動板320h〜第10可動板320jの上端部が前方へと下る段差状をなしている(図19(a)参照)。この場合には、滞留部311に到達した遊技球は、第9可動板320i→第8可動板320hへと移動する。
また、このta1のタイミングにおいては、第7可動板320gと第8可動板320hとが同位となっているため、第8可動板320hに到達した遊技球は、最終的に第8可動板320h及び第7可動板320gの両者に当接した状態で停止することとなる(図19(a)参照)。
ta1のタイミングにおいては、第7可動板320gと第8可動板320hとが同位となっているが、これは第7可動板320gが最低位となる位置へ向けて降下し、且つ第8可動板320hが最低位となる位置から上昇している過程で一時的に高さ位置が揃った状態となっているに過ぎず、それら可動板320g,320hの動きが継続することにより、両可動板320g,320hの上下関係が逆転することとなる。
具体的には、ta1のタイミングの後のta2のタイミングにかけて、第7可動板320gと第8可動板320hとの高低差が大きくなり、両可動板320h,320gに跨るようにして滞留していた遊技球は、第8可動板320hによって上方へ持ち上げられることとなる。
ここで、第8可動板320hは遊技球の後側半球面に対して下側から当接しており、同第8可動板320hの上昇に伴って押された遊技球は第7可動板320g側(遊技機前方)へと転動することとなる(図19(b)参照)。
この際、第6可動板320fについては第7可動板320gよりも低位、且つ第5可動板320eは第6可動板320fよりも上位となっているため、上記遊技球は第5可動板320eと第6可動板320fとに当接した状態となることでそれ以上の前方への転動が妨げられる(図19(b)参照)。
その後、第5可動板320eが降下するとともに第6可動板320fが上昇することにより、それら第5可動板320e及び第6可動板320fの上下関係が逆転する。つまり、第6可動板320fが第5可動板320eよりも上位となり、それら両可動板320e,320fに跨るようにして滞留していた遊技球は、第6可動板320fに押されることで第5可動板320e側(遊技機前方)へと移動する(図20(c)参照)。
第5可動板320eと第6可動板320fとの上下位置が逆転した後のta3のタイミングにおいては、第5可動板320eと第4可動板320dとがほぼ同位となっているため、第6可動板320fによって上方へ押されて遊技機前方へと転がった遊技球はそれら両可動板320e,320dに跨る位置に到達し、同位置にて滞留することとなる(図20(c)参照)。
また、ta3のタイミングにおいては、それら両可動板320e,320dよりも第3可動板320cが上位となっているため、仮に遊技球が遊技機前方へ向けて勢いよく転がった場合であっても、同遊技球は第3可動板320cに当接することでそれ以上の遊技機前方への移動が妨げられることとなる。
その後、第4可動板320dが降下するとともに第5可動板320eが上昇することで、それら第4可動板320d及び第5可動板320eの上下関係が逆転する。つまり、第5可動板320eが第4可動板320dよりも上位となる。そして、それら両可動板320d,320eの高低差が大きくなったta4のタイミングにて、それら両可動板320d,320eに跨るようにして滞留していた遊技球が第5可動板320eによって押されることにより、第4可動板320d側(遊技機前方)へと移動する(図20(d)参照)。
このta4のタイミングにおいては、第4可動板320dよりも第3可動板320cが低位となっているため、第5可動板320eによって上方に押された遊技球は、遊技機前方へ移動し、第3可動板320cと第4可動板320dとに跨るようにして滞留することとなる。
また、ta4のタイミングにおいては、それら両可動板320c,320dよりも第2可動板320bが上位となっているため、仮に遊技球が遊技機前方へ向けて勢いよく転がった場合であっても、同第2可動板320bに当接することで、それ以上の遊技機前方への移動が妨げられる(図20(d)参照)。
ta4のタイミングの後のta5のタイミングにて遊技球が第1可動板320aと第2可動板320bとに跨る位置に到達すると、遊技球をステージ装置310から上記受入口285へと排出する準備が完了する(図19(a)参照)。このta5のタイミングにおいては、両可動板320a,320bがほぼ同位(詳しくは第1可動板320aが第2可動板320bよりも僅かに上位)となっており、それら両可動板320a,320bに跨るようにして滞留している遊技球の前方への移動が第1可動板320aによって妨げられた状態となっている。
ta5のタイミングの後、第1可動板320aが降下するとともに第2可動板320bが上昇すると、両可動板320a,320bの上下関係が逆転する。その後、ta6のタイミングにて両可動板320a,320bの高低差が、それら可動板320a,320b上での遊技球の滞留を不可とする程度に大きくなることで、第2可動板320bによって上方に押された遊技球は第1可動板320aを乗り越えて遊技機前方へと移動することとなる。これにより、同遊技球はステージ装置310(滞留部311)から離脱し、例えば上記受入口285へと流入する。
このようにして、各可動板320の相対位置が変化して、滞留部311において高位となっている対象及び低位となっている対象が遊技機前方へシフトすることにより、同シフトに合わせて遊技球が遊技機前方へと送られることとなる。このように、遊技球を予め定められた方向に送る機能に着目すればステージ装置310を「球送り装置310」と称することも可能であり、更には遊技球を遊技機前方へと誘導する機能に着目すれば同ステージ装置310を「誘導装置310」と称することも可能である。
次に、上記第2駆動信号に基づいてステッピングモータ341が動作している場合の遊技球の動きについて例示する。
tb1のタイミングにおいては、第1可動板320aと第2可動板320bとが最低位付近にてほぼ同位となっている(図19(a)参照)。これら第1可動板320aと第2可動板320bに跨るようにして遊技球が滞留している場合には、その後、第1可動板320aが上昇するとともに第2可動板320bが降下することにより、両可動板320a,320bに跨った状態で滞留している遊技球は第1可動板320aによって持ち上げられることとなる。
第1可動板320aは遊技球の前側半球面に対して当接しているため、同第1可動板320aによって押された遊技球は第2可動板320b側(遊技機後方)へと移動する。この結果、同遊技球は第2可動板320b及び第3可動板320cに跨るようにして滞留した状態となる。
その後、第2可動板320bが最低位となる位置に到達すると、同第2可動板320bは上昇に転じる。これにより、tb2のタイミングにおいては第2可動板320bと第3可動板320cとの位置関係が逆転し、第2可動板320bが第3可動板320cよりも上位となる。このため、それまで第2可動板320bと第3可動板320cとに跨るようにして滞留していた遊技球は、第2可動板320bによって押される。この結果、同遊技球は遊技機後方へと転動し、第3可動板320cと第4可動板320dとに跨るようにして滞留することとなる(図20(d)参照)。
その後、第3可動板320cが上昇するとともに、第4可動板320dが降下することにより、第4可動板320dが第3可動板320cよりも低位となり、両可動板320c,320dに跨るようにして滞留していた遊技球は遊技機後方へ転動する。
そしてtb3のタイミングにおいては、第4可動板320dと第5可動板320eとがほぼ同位となり、後方に転動した遊技球はそれら両可動板320d,320eに跨るようにして滞留することとなる(図20(c)参照)。
その後、第4可動板320dが上昇するとともに第5可動板320eが降下すると、第5可動板320eが第4可動板320dよりも低位となり、両可動板320d,320eに跨るようにして滞留していた遊技球は遊技機後方へ転動する。
このようにして後方に転動した遊技球は、後のtb4のタイミングにて、第5可動板320eと同第5可動板320eよりも僅かに低位となっている第6可動板320fとに跨るようにして滞留することとなる。
このようにして、各可動板320の相対位置が変化して、滞留部311において高位となっている対象が及び低位となっている対象が遊技機後方へシフトすることにより、同シフトに合わせて遊技球が遊技機前方へと送られることとなる。
ここで、誘導通路336の出口部分337から流出した遊技球が滞留部311へ到達した際の挙動について説明する。本実施の形態においては、上述の如く全可動板320a〜320jのうち最高位(最低位)となる対象が順にシフトする構成となっており、出口部分337から流出した遊技球の到達対象としての第8可動板320h〜第10可動板320jの高さ関係については到達するタイミングによって変化する。
具体的には、第9可動板320iが第8可動板320h及び第10可動板320jよりも低位となっている場合には、滞留部311に到達した遊技球は、第8可動板320h及び第9可動板320iの両者に跨るようにして、又は第9可動板320i及び第10可動板320jの両者に跨るようにして滞留することとなる。
一方、第9可動板320iが第8可動板320h及び第10可動板320jよりも高位となっている場合には、滞留部311に到達した遊技球は、第9可動板320i上に滞留する事が困難となり、同第9可動板320iの前方又は後方に転動することとなる。
また、第8可動板320hよりも第9可動板320iが上位、且つ第9可動板320iよりも第10可動板320jが上位となっている場合には、それら各可動板320h〜320jに沿うようにして遊技球が遊技機前方へと移動し、第7可動板320g及び第8可動板320hに跨るようにして滞留することとなる(図19(a)参照)。
一方、第8可動板320hよりも第9可動板320iが低位、且つ第9可動板320iよりも第10可動板320jが低位となっている場合には、それら各可動板320h〜320jに沿うようにして遊技球が遊技機後方へと移動し、第10可動板320j及び上記発光装置370の前面カバー376に当接するようにして遊技球が滞留することとなる。
このように、遊技球が滞留部311に到達するタイミングによって最初に滞留する位置を相違させることにより、滞留部311への到達直後の遊技球の動きが単調となることを抑制している。
<遊技球を左右に移動させる構成>
以上詳述したように、各可動板320a〜320jを個々に昇降させることにより、遊技球を前後に移動させることが可能となっているが、本実施の形態におけるステージ装置310については、遊技球を前後方向だけではなく左右方向へ移動させることにより、遊技球の動きの多様化が実現されている。以下、図21を参照して遊技球を左右に移動させる構成について説明する。図21は可動板320同士の関係を示す概略図であり、図21(a)はステージ装置310を正面側から見た図、図21(b)はステージ装置310を上方から見た図となっている。
既に説明したように、各可動板320の上端部は曲面状をなしている。より詳細には、当該上端部は、図21(a)に示すように、可動板320の幅方向(左右方向)に凹凸を繰り返す波状をなしている。
可動板320の上端部に形成された起伏パターンについては大別して2種類設定されており、各可動板320においてはそれら2つの起伏パターンのうち何れか一方が採用されている。詳しくは、第1可動板320a,第2可動板320b,第5可動板320e,第6可動板320f,第9可動板320i,第10可動板320j(以下便宜上、第1種可動板群320Aと称する)において採用されている起伏パターンと、第3可動板320c,第4可動板320d,第7可動板320g,第8可動板320h(以下便宜上、第2種可動板群320Bと称する)において採用されている起伏パターンとが相違している。
具体的には、図21(b)に示すように、第1種可動板群320Aの上端部においては左右に等間隔となるようにして4つの頂部324Aが形成され、それら各頂部324Aの中間位置に底部325Aが形成されている。第2種可動板群320Bの上端部においても同様に頂部324B及び底部325Bが形成されているが、第2種可動板群320Bの頂部324Bはステージ装置310の正面視において第1種可動板群320Aの底部325Aと前後に並ぶ位置に配置されており、底部325Bについては第1種可動板群320Aの頂部324Aと前後に並ぶ位置に配置されている。つまり、第1種可動板群320Aと第2種可動板群320Bとでは起伏パターンがステージ装置310の幅方向にずれている。言い換えれば、起伏パターンには周期性が付与されており、同起伏パターンの周期が第1種可動板群320Aと第2種可動板群320Bとで半周期ずれた構成となっている。
滞留部311に到達した遊技球は、可動板320上を左右に揺動し、上述した底部325(詳しくは当接している2つの可動板320のうち誘導方向における手前側の可動板320の底部325)に落ち着くこととなる。前後に並んだ2つの可動板320を1組として、それら2つの可動板320に同じ起伏パターンを適用することで、遊技球を底部にて滞留している状態での安定度を向上させている。
例えば第1種可動板320Aの底部325Aに滞留中の遊技球が当該第1種可動板320Aによって押されることで遊技機前方に誘導されると、同遊技球は、第1種可動板320Aの前方に位置する第2種可動板320Bの頂部324B(詳しくは頂部324Bを構成している傾斜面)に対して当接し、頂部324Bの左側に位置する底部325B又は右側に位置する底部325Bの何れか一方に振り分けられることとなる。底部325Aについては左右における遊技球の移動を許容すべく当該底部325の底面がその全域に亘って平坦となっているとともに、複数(本実施の形態においては2つ)の遊技球が同時に滞留可能となる幅を有している。
このため、遊技球が底部325Aにおいて右寄りに位置している場合には頂部324Bに対して右側から当接することにより当該頂部324Bの右側に位置する底部325Bへ向けて遊技球が移動し、底部325Aにおいて左寄りに位置している場合には頂部324Bに対して左側から当接することにより当該頂部324Bの左側に位置する底部325Bへ向けて遊技球が移動することなる。
つまり、可動板320の昇降運動によって遊技球が遊技機前方へ誘導される場合には、第1種可動板群320A→第2種可動板群320Bに移る際や第2種可動板群320B→第2種可動板群320Bに移る際に左右方向への移動を伴うこととなる。このように遊技球に左右位置の変化を与えることにより、遊技球の動きが単調になることを抑制している。
以上詳述したように滞留中の遊技球の動きを多様なものとし遊技球の動きが単調になることを抑制することにより、例えば遊技球が同一箇所に留まると場合と比較して、遊技球の動きに対する注目度を向上することができる。しかしながら、遊技者の利益は遊技球が最終的に受入口285へ流入するか否かに左右されるため、上記注目は受入口285に対して遊技球がどのように移動するかに向きやすいと想定される。言い換えれば、受入口285と関係の無い位置で遊技球が滞留(移動)したとしても、そのような動きに対する注目度の向上効果を好適に発揮させることが難しいと懸念される。
ここで、本実施の形態においては、遊技球の動きの多様化を図りつつ、動遊技球の動きに受入口285との関連性を付与する工夫がなされている。以下、当該工夫にかかる構成について説明する。
先ず、図17(a),(b)に基づいて可動板320の組付構造について補足説明する。
既に説明したように、可動板320はケース体330に形成された溝部333に嵌まっており、同溝部333によって前後方向への移動が規制されるとともに当該溝部333に沿った上下方向への移動が許容された状態で同ケース体330に組み付けられている。
右側の溝部333の底面と左側の溝部333の底面との距離寸法(間隔寸法)は、右側の延出部322の先端部分と左側の延出部322の先端部分との距離寸法(全幅寸法)よりも若干大きく設定されている。これにより、可動板320の左右への移動(揺動)が許容されている。
可動板320が右側へ移動した場合には右側の溝部333の底面に右側の延出部322の先端部分が当たることでそれ以上の右側への移動が阻止される。また、可動板320が左側へ移動した場合には左側の溝部333の底面に左側の延出部322の先端部分が当たることでそれ以上の左方への移動が阻止される。つまり、溝部333には、可動板320の最右位置と最左位置とを規定する機能が付与されている。
可動板320は、ケース体330に対して固定されているのではなく、ケース体330に対して回転可能に取り付けられた上記偏心カム346によって支えられることで、同ケース体330に対して一体化されている。つまり、可動板320は、偏心カム346(詳しくはカム部348)に対して載置されている。
ここで、偏心カム346と可動板320との関係について説明する。左側偏心カム346L及び右側偏心カム346Rについては位相が若干(本実施の形態においては5°)ずれている。このため、可動板320における左右の端部においては最上位置や最下位置に到達するタイミングに差が生じる。
図23(a)に示すように、可動板320と両偏心カム346L,346Rとの当接箇所が同位(同じ高さ位置)となっている場合には、可動板320が水平状態となる。一方、当接箇所に高低差が生じた場合には、可動板320が左右のどちらか一方に向けて傾くこととなる。言い換えれば、可動板320が左右に回転することとなる。
可動板320の挿通部323においてカム部348に上側から当接している部分(当接部323a)は、偏心カム346の並設方向(詳しくは水平方向)に延びる平面状をなしており、カム部348に対する摩擦が小さくなるように設定されている。このため、左右の何れか一方に傾いた可動板320は、自重によって低位となっている側へスライド移動することとなる。
図23(b)に示すように、左側偏心カム346Lとの当接箇所が右側偏心カム346Rとの当接箇所よりも上位となっている場合には、すなわち左側偏心カム346Lの回転中心と同左側偏心カム346L及び挿通部323(詳しくは当接部323a)の当接箇所との高低差HL1が右側偏心カム346Rの回転中心と同右側偏心カム346R及び挿通部323(詳しくは当接部323a)の当接箇所との高低差HR1よりも大きくなっている場合には、左側偏心カム346Lの回転中心と可動板320の左側上端部との高低差HL2が、右側偏心カム346Rの回転中心と可動板320の右側上端部との高低差HR2よりも大きくなるとともに可動板320が右下がりとなるように傾く。
これにより、可動板320は、偏心カム346との当接状態を維持したまま右側へ摺動(スライド移動)し、当該可動板320における右側の延出部322が右側の溝部333の底面に当たることでそれ以上の移動が妨げられる。つまり、最右位置へ到達することとなる。
例えば、ステッピングモータ341が第1駆動信号に基づいて回転している場合、すなわち左側偏心カム346Lが反時計回りに回転するとともに右側偏心カム346Rが時計回りに回転している場合には、左側偏心カム346Lにおける当接箇所が右側へと変位する。この際、当接部323aが右下がりとなるように傾いていることで、左側偏心カム346Lによる押圧力は当接部323aを右側へ向けて押すように作用しやすい。また、右側偏心カム346Rにおける当接箇所が左側へと変位する。この際、当接部323aが右下がりとなるように傾いていることで、右側偏心カム346Rによる押圧力は当接部323aを左側へ向けて押すように作用しにくい。故に、左側偏心カム346Lによる右側への押圧力が右側偏心カム346Rによる左側への押圧力よりも大きくなり、可動板320の右側への移動が促進される。
一方、ステッピングモータ341が第2駆動信号に基づいて回転している場合、すなわち左側偏心カム346Lが時計回りに回転するとともに右側偏心カム346Rが反時計回りに回転している場合には、左側偏心カム346Lにおける当接箇所が左側へと変位する。この際、当接部323aが右下がりとなるように傾いていることで、左側偏心カム346Lによる押圧力は当接部323aを右側へ向けて押すように作用しにくい。
また、ステッピングモータ341が第2駆動信号に基づいて回転している場合、右側偏心カム346Rにおける当接箇所が右側へと変位する。この際、当接部323aが右下がりとなるように傾いていることで、右側偏心カム346Rによる押圧力は当接部323aを右側へ向けて押すように作用しやすい。故に、右側偏心カム346Rによる右側への押圧力が左側偏心カム346Lによる左側への押圧力よりも大きくなり、可動板320の右側への移動が促進される。
図23(c)に示すように、左側偏心カム346Lとの当接箇所が右側偏心カム346Rとの当接箇所よりも下位となっている場合には、すなわち左側偏心カム346Lの回転中心と同左側偏心カム346L及び挿通部323(詳しくは当接部323a)の当接箇所との高低差HL1が右側偏心カム346Rの回転中心と同右側偏心カム346R及び挿通部323(詳しくは当接部323a)の当接箇所との高低差HR1よりも小さくなっている場合には、左側偏心カム346Lの回転中心と可動板320の左側上端部との高低差HL2が、右側偏心カム346Rの回転中心と可動板320の右側上端部との高低差HR2よりも小さくなるとともに可動板320が右上がりとなるように傾く。
これにより、可動板320は、偏心カム346との当接状態を維持したまま左側へ移動し、当該可動板320における左側の延出部322が左側の溝部333の底面に当たることでそれ以上の移動が妨げられる。つまり、最左位置へ到達することとなる。
例えば、ステッピングモータ341が第1駆動信号に基づいて回転している場合、すなわち左側偏心カム346Lが反時計回りに回転するとともに右側偏心カム346Rが時計回りに回転している場合には、左側偏心カム346Lにおける当接箇所が右側へと変位する。この際、当接部323aが右上がりとなるように傾いていることで、左側偏心カム346Lによる押圧力は当接部323aを左側へ向けて押すように作用しにくい。また、右側偏心カム346Rにおける当接箇所が左側へと変位する。この際、当接部323aが右上がりとなるように傾いていることで、右側偏心カム346Rによる押圧力は当接部323aを右側へ向けて押すように作用しにくい。故に、右側偏心カム346Rによる左側への押圧力が左側偏心カム346Lによる右側への押圧力よりも大きくなり、可動板320の左側への移動が促進される。
一方、ステッピングモータ341が第2駆動信号に基づいて回転している場合、すなわち左側偏心カム346Lが時計回りに回転するとともに右側偏心カム346Rが反時計回りに回転している場合には、左側偏心カム346Lにおける当接箇所が左側へと変位する。この際、当接部323aが右上がりとなるように傾いていることで、左側偏心カム346Lによる押圧力は当接部323aを左側へ向けて押すように作用しやすい。
また、ステッピングモータ341が第2駆動信号に基づいて回転している場合には、右側偏心カム346Rにおける当接箇所が右側へと変位する。この際、当接部323aが右下がりとなるように傾いていることで、右側偏心カム346Rによる押圧力は当接部323aを左側へ向けて押すように作用しにくい。故に、左側偏心カム346Lによる左側への押圧力が右側偏心カム346Rによる右側への押圧力よりも大きくなり、可動板320の左側への移動が促進される。
なお、右側偏心カム346Rの摩擦係数と左側偏心カム346Lの摩擦係数とが同一、且つ右側の当接部323aの摩擦係数と左側の当接部323aの摩擦係数とが同一となっている。このため、右側偏心カム346R及び当接部323aの間に生じる摩擦抵抗と、左側偏心カム346L及び当接部323aの間に生じる摩擦抵抗とに差が生じることが回避されている。
また、図23(a)に示すように、可動板320及び左側偏心カム346Lの当接箇所と、可動板320及び右側偏心カム346Rの当接箇所とが同位(同じ高さ位置)となっている場合には、可動板320の左右両側部にて高低差が生じない。更には、左側偏心カム346Lの回転方向と右側偏心カム346Rの回転方向とが逆向きとなっているため、左側偏心カム346L及び可動板320の間に生じる摩擦抵抗と、右側偏心カム346R及び可動板320の間に生じる摩擦抵抗とが互いに打ち消し合うように作用する。これら左側偏心カム346L及び可動板320の間に生じる摩擦抵抗と右側偏心カム346R及び可動板320の間に生じる摩擦抵抗とが同等となるように偏心カム346L,346Rの摩擦係数が設定されており、それら両摩擦抵抗が釣り合うことで、可動板320の左右への動きが一時的に抑えられることとなる。
因みに、偏心カム346が回転している状況下においては、偏心カム346が停止している場合と比較して摩擦抵抗が小さくなる(静止摩擦係数>動摩擦係数)これにより、高低差が過度に大きくなることを回避しつつ、可動板320の左右への揺動を好適に実現することができる。
<可動板320同士の位置関係の変化>
次に、図24及び図25を参照して、偏心カム346の動きに伴う可動板320同士の位置関係の変化について補足説明する。図24(a)は第1駆動信号が出力されている状況下での可動板320同士の位置関係を示すタイミングチャート、図24(b)は第2駆動信号が出力されている状況下での可動板320同士の位置関係を示すタイミングチャート、図25は可動板320同士の位置関係を示す概略図である。
既に説明したように、可動板320の昇降周期については、隣り合う可動板320同士で1/6周期ずつずれており、起伏パターンの相違する第1種可動板群320A及び第2種可動板群320Bの位置関係の変化については何れの組み合わせについても同じ態様となるように設定されている。そこで、以下の説明においてはそれら各可動板群320A,320Bのうち第1種可動板群320Aを構成する第2可動板320bと第2種可動板群320Bを構成する第3可動板320cとの位置関係、及びそれら各可動板320b,320dの位置関係の変化に基づく遊技球の動きについて例示する。
第1駆動信号が出力されている場合には、図24(a)に示すように、第3可動板320cが上限位置に到達した後のtd1のタイミングにて、同第3可動板320c及び第2可動板320bの上下関係が逆転する。つまり、それまで第2可動板320bよりも高位に位置していた第3可動板320cが同第2可動板320bよりも下位となる。このため、td1のタイミングの後に、第2可動板320b及び第3可動板320cに跨る位置に到達した遊技球については、それ以上の遊技機前方への移動が第2可動板320bによって妨げられることとなる。
第2可動板320bが第3可動板320cよりも上位のまま維持されているtd2のタイミングにて第2可動板320bが上限位置に到達した後は、同第2可動板320bは上昇から降下に転じる。第2可動板320bは、降下に併せて時計回りに回転し、直後のtd3のタイミングにて右下がり且つ右寄りの状態に切り替る。これにより、底部325に待機していた遊技球の自重による右側への転動が促されるだけでなく、第2可動板320bの頂部324Aによって左側から押されることで、第3可動板320cの底部325Bにおける右側領域に誘導されることとなる。
td3のタイミングにて両可動板320b,320cがともに右下がり且つ右寄りとなった後もそれら両可動板320b,320cは降下を続け、td4のタイミングにて先ず第3可動板320cが下限位置に到達する。第3可動板320cについては、下限位置に到達した後に上昇に転じるとともにその上昇に合わせて反時計回りに回転し、td4のタイミングの直後のtd5のタイミングにて、それまでの右下がり且つ右寄りの状態から右上がり且つ左寄りの状態に切り替る。これにより、それまで底部325Bの右側領域に滞留していた遊技球の同底部325Bにおける中央領域側への移動が促される。
td5の後のtd6のタイミングにおいては上昇中の第3可動板320cと降下中の第2可動板320bとが同位となり、これを契機としてそれら第2可動板320bと第3可動板320cとの上下関係が再び逆転する。これにより、第2可動板320b及び第3可動板320cに跨るようにして滞留している遊技球の遊技機前方へと誘導が開始される。つまり、同遊技球は、第3可動板320cによって後側半球面を押し上げられることにより、第2可動板320b側へ誘導される。
この際、図25(a)に示すように、第3可動板320cは右上がり且つ左寄り、第2可動板320bは右下がり且つ右寄りに位置している。このため、第2可動板320bの頂部324Aの中央位置CLTについては、第3可動板320cの底部325Bの中央位置CLB(幅方向における中間位置)よりも僅かに右側にずれた位置に存在することとなる。
かかる状況下では、上述の如く遊技球Bが底部325Aの中央領域に滞留しやすくなっている。つまり、遊技球Bは、当該遊技球Bの中心点CTPが頂部324A(詳しくは中央位置CLT)よりも左側に位置するようにして滞留しやすくなっている。このため、第2可動板320b側への誘導に伴って遊技球Bが前側へ変位する際には、同遊技球Bが第2可動板320bの頂部324Aにおける左側傾斜面及び右側傾斜面のうち前者に当たる可能性が後者に当たる可能性よりも高くなる。故に、第2可動板320b側への誘導に伴って、上記底部325Aよりも右側に位置する底部325Bへ振り分けられやすい。つまり、左側への振分確率が右側への振分確率よりも高くなっている。
このようにして遊技球の左右への振分が行われた場合には、振分先に応じて第2可動板320bに移動した後の遊技球の移動速度が相違することとなる。具体的には、左側に振り分けられた遊技球B1は、頂部324Aの左側傾斜面に当たることで左側へ向けて移動するが、この際、第2可動板320bが右下がりとなっているため、遊技球の移動速度が、同傾斜を上ることで低減されることとなる。これにより、同遊技球B1が頂部324A→底部325Aを経由してその先にある頂部324Aを乗り越えて移動する可能性がほぼ0となっている。
一方、右側に振分られた遊技球B2については、頂部324Aの右側傾斜面に当たることで、右側へ向けて移動するが、この際、第2可動板320bが右下がりとなっているため、遊技球の移動速度が傾斜を下ることで増加することとなる。このため、頂部324A→底部325Aを経由した遊技球には、その勢いによりその先にある頂部324Aを乗り越える可能性が付与される。
再び図24の説明に戻り、td6のタイミングの後のtd7のタイミングにて第2可動板320bが下限位置に到達する。第2可動板320bについては、下限位置に到達した後に上昇に転じるとともにその上昇に合わせて反時計回りに回転し、続くtd8のタイミングにて、それまでの右下がり且つ右寄りの状態から右上がり且つ左寄りの状態に切り替る。これにより、それまで底部325Bの右側領域に滞留していた遊技球の同底部325Bにおける左側領域への移動が促される。
図25(b)に示すように、両可動板320b,320cが右上がり且つ左寄りとなっている状況下においては、それら可動板320b、320cに跨るようにして滞留している遊技球は底部325B上での揺動を繰り返すことにより、底部325Bの左側領域に滞留しやすくなる。つまり、遊技球の前方への移動が遅れることにより、前方へ移動する際の位置が底部325Bの左側領域となる可能性が高くなる。
第2可動板320b側への誘導に伴って遊技球Bが前側へ変位する際には、同遊技球Bが第2可動板320bの頂部324Aにおける左側傾斜面に当たる可能性と、右側傾斜面に当たる可能性とが、td8のタイミングにおいてはほぼ同等となり、その後、前者の可能性が徐々に大きくなる。つまり、第2可動板320b側への誘導に伴って、上記底部325Aよりも右側に位置する底部325Bへ振り分けられやすくなる。
但し、遊技球の誘導は通常td8のタイミングの後に速やかに終了するため、両可動板320b,320cが右上がり且つ左寄りとなっている状況下での実質的な振分態様については、図25(a)に示した遊技球の左右への振分確率と比較してその偏りが小さく、左右への振分確率がほぼ同等となる。
かかる状況下にて、遊技球の左右への振分が行われた場合にも、振分先に応じて第2可動板320bに移動した後の遊技球の移動速度が相違することとなる。具体的には、左側に振り分けられた遊技球B1は、頂部324Aの左側傾斜面に当たることで左側へ向けて移動するが、この際、第2可動板320bが右上がりとなっているため、遊技球の移動速度が、傾斜を下ることで増加することとなる。これにより、左側への振分により頂部324A→底部325Aを経由した遊技球にはその先にある頂部324Aを乗り越えて移動する可能性が付与される。
一方、右側に振分られた遊技球B2については、頂部324Aの右側傾斜面に当たることで、右側へ向けて移動するが、この際、第2可動板320bが右上がりとなっているため、遊技球の移動速度が傾斜を上ることで減少することとなる。このため、頂部324A→底部325Aを経由した遊技球に関しては、その勢いによりその先にある頂部324Aを乗り越える可能性がほぼ0となる。
図25(a)及び図25(b)に示す各状況下においては、遊技球の左右への振分確率と、振分後の遊技球の移動速度等とが相違する構成となっており、つまり遊技球が前方へと誘導されるタイミングによって同遊技球の移動態様が相違する構成となっており、遊技球の移動態様の多様化が図られている。これにより、遊技球の動きが単調化することを回避して、遊技球の動きに対する注目度の向上に貢献している。
再び図24(a)の説明に戻り、上昇に転じた第3可動板320cが上限位置に到達したtd9のタイミングの後は、先ず第2可動板320bと第3可動板320cとの高低差が減少する。これにより、第3可動板320cによる第2可動板320b側への遊技球の誘導機能が低下する。第3可動板320cが降下に転じたタイミングの後は、第3可動板320cが右下がり且つ右寄りとなることで、仮に底部325Bに遊技球が存在している場合には、第2可動板320bの頂部324Aが当該底部325Bの中央領域よりも左側に位置することとなり、同遊技球は底部325Bよりも右側に位置する底部325Aに振り分けられやすくなる。
但し、第2可動板320bよりも前方に位置する第1可動板320aについては、td9のタイミングよりも前のタイミングにて第2可動板320bよりも低位となるように切り替る。このため、td6のタイミングにて第2可動板320b及び第3可動板320cに跨るようにして滞留している遊技球の大半は、td9のタイミングよりも前に第1可動板320a及び第2可動板320bに跨る位置へ移動するため、td9のタイミング以降にて誘導される機会は少ない。
以上、例示したように、第1駆動信号が出力されている状況下においては、遊技球が第2種可動板320Bから第1種可動板320Aに移る際には、遊技球が左側へ誘導されやすくなっている。このため、滞留部311の後側領域から前側領域への移動に伴って、同遊技球は徐々に左側へと移動しやすくなっている。
本実施の形態においては、誘導通路336の出口部分337から流出した遊技球は、規制部335の傾斜面にそって、滞留部311へ流入し、その後、落下の勢いによって反対側の規制部335へと移動する。この結果、滞留部311へ到達した遊技球については、先ず、右側の規制部335に最も近い底部325A又は底部325Bにて滞留を開始することとなる。このため、上述した振分により左右へ移動する遊技球は、受入口285の後方を横切るようにして移動しやくなっている。
なお、上述の如く底部325には所定の幅が設定されており、同底部325における横方向への遊技球の揺動が許容されている。つまり、底部325に到達した遊技球は、必ずしも1箇所に停止した状態で滞留するわけではなく、同底部325へ到達した際の勢いや可動板320の姿勢の変化によって底部325上を左右に揺動しなが滞留しやすくなっている。このため、上述した遊技球の振分においても、必ず左側への振分結果となるものではなく、遊技球の滞留位置によっては右側への振分結果となることもある。但し、左右への振分比率については、左側への振分比率のほうが右側への振分比率よりも高く設定されているため、遊技機前方への誘導に伴って左右への振分を繰り返すことで、必然的に左前方へと誘導されることとなる。
次に図24(b)及び図25(c),(d)を参照して、第2駆動信号が出力されている状況下での偏心カム346の動きに伴う可動板320同士の位置関係の変化について簡単に説明する。
第2駆動信号が出力されている場合には、図24(b)に示すように、第2可動板320bが上限位置に到達したte1のタイミングの後のte2のタイミングにて、同第2可動板320b及び第3可動板320cの上下関係が逆転する。つまり、それまで第2可動板320bよりも低位に位置していた第3可動板320cが同第2可動板320bよりも上位となる。このため、te2のタイミングの後に、第2可動板320b及び第3可動板320cに跨る位置に到達した遊技球については、それ以上の遊技機後方への移動が第3可動板320cによって妨げられることとなる。
その後、te3のタイミングにて第3可動板320cが上限位置に到達した後は、第2可動板320b及び第3可動板320cがともに降下を続け、後のte4のタイミングにて第2可動板320bが先に最下位置に到達する。そして、上昇に転じた第2可動板320bと降下を継続する第3可動板320cとが、続くte5のタイミングにて同位(同じ高さ位置)となる。その後、それら第2可動板320bと第3可動板320cとの上下関係が再び逆転する。これにより、第2可動板320b及び第3可動板320cに跨るようにして滞留している遊技球が遊技機後方へと誘導される誘導期間となる。つまり、同遊技球は、第2可動板320bによって前側半球面を押し上げられることにより、第3可動板320c側へ誘導される。
te5のタイミングにおいては、図25(c)に示すように第2可動板320bが右下がり且つ右寄りとなっており、第3可動板320cが右上がり且つ左寄りとなっている。このため、第3可動板320cの頂部324B(詳しくは中央位置CLT)については、第2可動板320bの底部325Aの中央位置CLBよりも左側に位置することとなる。
かかる状況下では、上述の如く遊技球Bが底部325Aの中央領域に滞留しやすくなっている。つまり、遊技球Bは、当該遊技球Bの中心点CTPが頂部324A(詳しくは中央位置CLT)よりも右側に位置するようにして滞留しやすくなっている。このため、第3可動板320c側への誘導に伴って遊技球Bが後側へ変位する際には、同遊技球Bが第3可動板320cの頂部324Bにおける左側傾斜面及び右側傾斜面のうち後者に当たる可能性が前者に当たる可能性よりも高くなる。故に、第3可動板320c側への誘導に伴って、上記底部325Aよりも右側に位置する底部325Bへ振り分けられやすい。
再び図24(b)の説明に戻り、te5のタイミングの後のタイミングにて第3可動板320cが最下位置に到達する直前のte6のタイミングでは、第3可動板320cが時計回りに回転を開始し、続くtd7のタイミングにて、それまでの右上がり且つ左寄りの状態から右下がり且つ右寄りの状態に切り替る。これにより、それまで底部325Bの中央領域に滞留していた遊技球の同底部325Bにおける右側領域への移動が促される。
図25(d)に示すように、両可動板320b,320cが右下がり且つ右寄りとなっている状況下においては、それら可動板320b、320cに跨るようにして滞留している遊技球は底部325A上での揺動を繰り返すことにより、底部325Aの左側領域に滞留しやすくなる。つまり、遊技球の前方への移動が遅れることにより、前方へ移動する際の位置が底部325Bの左側領域となる可能性が高くなる。
第3可動板320c側への誘導に伴って遊技球Bが前側へ変位する際には、同遊技球Bが第3可動板320cの頂部324Bにおける左側傾斜面に当たる可能性と、右側傾斜面に当たる可能性とが、td8のタイミングにおいてはほぼ同等となり、その後、後者の可能性が徐々に大きくなる。つまり、第3可動板320c側への誘導に伴って、上記底部325Bよりも右側に位置する底部325Aへ振り分けられやすくなる。
但し、遊技球の誘導は通常te7のタイミングの後に速やかに終了するため、両可動板320b,320cが右下がり且つ右寄りとなっている状況下での実質的な振分態様については、図25(c)に示した遊技球の左右への振分確率と比較してその偏りが小さく、左右への振分確率がほぼ同等となる。
再び図24(b)の説明に戻り、上昇に転じた第3可動板320cが上限位置に到達する直前のte8のタイミングでは、第2可動板320bが反時計回りに回転し、続くte9のタイミングでは、第2可動板320bが右上がり且つ左寄りとなることで、仮に底部325Aに遊技球が存在している場合には、第3可動板320cの頂部324Bが当該底部325Aの中央領域よりも右側に位置することとなり、同遊技球は底部325Aよりも右側に位置する底部325Bに振り分けられやすくなる。
但し、第3可動板320cよりも後方に位置する第4可動板320dについては、te9のタイミングよりも前のタイミングにて第3可動板320cよりも低位となるように切り替る。このため、te5のタイミングにて第2可動板320b及び第3可動板320cに跨るようにして滞留している遊技球の大半は、te9のタイミングよりも前に第3可動板320c及び第4可動板320dに跨る位置へ移動するため、td9のタイミング以降にて誘導される機会は少ない。
以上、例示したように、第2駆動信号が出力されている状況下においては、遊技球が第1種可動板320Aから第2種可動板320Bに移る際には、同遊技球が右側へ誘導されやすくなっている。このため、滞留部311の前側領域から後側領域への移動に伴って、同遊技球は徐々に右側へと移動しやすくなっている。
このように、滞留部311を斜めに横切るようにした遊技球の誘導を実現することにより、遊技球の移動経路を長く設定しつつ、それに起因した滞留部311(ステージ装置310)の大型化を抑えることが可能となっている。また、滞留部311から受入口285を通じて流出した遊技球は下側作動入球部84へと導かれやすくなっているが、往路及び復路にて受入口285の後方を横切るようにした遊技球の動きを実現することにより、遊技球が受入口285とは関係の無い位置で動く場合と比較して、同遊技球の動きに対する注目度の向上に好適に貢献することができる。
<パチンコ機10の電気的構成>
次に、パチンコ機10の電気的構成について、図26のブロック図に基づき説明する。
主制御装置162に設けられた主制御基板601には、MPU602が搭載されている。MPU602は、当該MPU602により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM603と、そのROM603内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM604と、割込回路、タイマ回路、データ入出力回路、乱数発生器としての各種カウンタ回路などが内蔵された素子である。なお、MPU602が有する機能の一部、例えば、ROM603の機能やRAM604の機能などを別の素子として有する構成としてもよい。
MPU602には、入力ポート及び出力ポートがそれぞれ設けられている。MPU602の入力側には、主制御装置162に設けられた停電監視基板605、払出制御装置242及び各種検知センサ(例えば検知センサ95a〜95cや位置検知センサ345)などが接続されている。この場合に、停電監視基板605には電源・発射制御装置243が接続されており、MPU602には停電監視基板605を介して電力が供給される。また、センサ群の一部として、一般入賞口81,下側可変入球部82,右側可変入球部83,下側作動入球部84,右側作動入球部85及びスルーゲート86などといった入賞対応入球部(払出対応入球部)に設けられた複数の検知センサが接続されており、主制御装置162のMPU602において各入球部への入賞判定(入球判定)が行われる。また、MPU602では、下側作動入球部84及び右側作動入球部85への入賞に基づいて大当たりや特別当たりの発生抽選等を実行するとともに、スルーゲート86への入賞に基づいてサポート発生抽選を実行する。
MPU602の出力側には、停電監視基板605、払出制御装置242及び音声ランプ制御装置143(詳しくは音声ランプ制御基板)が接続されている。払出制御装置242には、例えば、上記入賞対応入球部への入賞判定結果に基づいて賞球コマンドが出力される。この場合、賞球コマンドの出力に際しては、ROM603のコマンド情報記憶エリア625が参照される。そして、一般入賞口81への入賞を特定した場合には10個の遊技球の払出に対応した賞球コマンドが出力され、可変入球部82,83への入賞を特定した場合には15個の遊技球の払出に対応した賞球コマンドが出力され、下側作動入球部84への入賞を特定した場合には3個の遊技球の払出に対応した賞球コマンドが出力され、右側作動入球部85への入賞を特定した場合には4個の遊技球の払出に対応した賞球コマンドが出力される。
音声ランプ制御装置143には、変動用コマンド、種別コマンド、変動終了コマンド、オープニングコマンド及びエンディングコマンドなどの各種コマンドが出力される。この場合、これら各種コマンドの出力に際しては、ROM603のコマンド情報記憶エリア625が参照される。これら各種コマンドの詳細については、後に説明する。なお、上記各コマンドは、所定のバイト数の情報として構成されており、当該所定のバイト数の情報として各種情報が含まれている。
また、MPU602の出力側には、下側可変入球部82の可変入球駆動部82c、右側可変入球部83の可変入球駆動部83c、右側作動入球部85における電動役物91用の駆動部、及び主表示ユニット87が接続されている。主制御基板601には各種ドライバ回路が設けられており、当該ドライバ回路を通じてMPU602は各種駆動部の駆動制御を実行する。
つまり、開閉実行モードにおいては下側可変入球部82の開閉扉82bが開閉されるように、MPU602において可変入球駆動部82cの駆動制御が実行される。また、右側作動入球部85における電動役物91の開放状態当選となった場合には、電動役物91が受入状態となるように、MPU602において電動役物91用の駆動部の駆動制御が実行される。また、各遊技回に際しては、MPU602において主表示部Dの発光制御が実行される。
停電監視基板605は、主制御基板601と電源・発射制御装置243とを中継し、また電源・発射制御装置243から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視する。払出制御装置242は、主制御装置162から入力した賞球コマンドに基づいて、払出装置224により賞球や貸し球の払出制御を行うものである。
電源・発射制御装置243は、例えば、遊技場等における商用電源(外部電源)に接続されている。そして、その商用電源から供給される外部電力に基づいて主制御基板601や払出制御装置242等に対して各々に必要な動作電力を生成するとともに、その生成した動作電力を所定の電力経路を通じて供給する。また、電源・発射制御装置243は、遊技球発射機構110の発射制御を担うものであり、遊技球発射機構110(詳しくはソレノイド111)は所定の発射条件が整っている場合に駆動される。
また、MPU602の出力側には、ステージユニット300(ステージ装置310)のステッピングモータ341が接続されており、パチンコ機10に電力が供給されている状況下においては、同ステッピングモータ341に対して駆動信号が常時出力される構成となっている。
<各種カウンタについて>
次に、上記の如く構成されたパチンコ機10の動作について説明する。
MPU602は遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たりや特別当たりの発生抽選、主表示部Dの表示の設定(すなわち各種発光部DL,DR,DS,DHにおける発光態様の設定)、図柄表示装置260の図柄表示の設定などを行うこととしており、具体的には、図27に示すように、大当たりや特別当たりの発生の抽選に使用する当たり乱数カウンタC1と、後述する高頻度サポートモードの有無を判定する際に使用する当たり種別カウンタC2と、当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する乱数初期値カウンタCINIと、主表示部Dの下作動入球部用表示部DL及び右作動入球部用表示部DR並びに図柄表示装置260における変動表示時間を決定する変動種別カウンタCSとを用いることとしている。さらに、右側作動入球部85の電動役物を電役開放状態とするか否かの抽選に使用する電動役物用カウンタC3を用いることとしている。
各カウンタC1〜C3,CINI,CSは、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。各カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM604の所定領域に設定された抽選カウンタ用バッファ631に適宜格納される。RAM604には、第1結果表示部用保留エリアRaと、第2結果表示部用保留エリアRbと、実行エリアAEと、総保留数記憶領域とよりなる保留球格納エリア632が設けられている。そして、この保留球格納エリア632に、下側作動入球部84又は右側作動入球部85への遊技球の入賞履歴に合わせて、当たり乱数カウンタC1や当たり種別カウンタC2の各値が時系列的に格納されるようになっている。
各カウンタについて詳しくは、当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜599の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。特に当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINIの値が当該当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINIは、当たり乱数カウンタC1と同様のループカウンタである(値=0〜599)。当たり乱数カウンタC1は定期的に更新され、遊技球が下側作動入球部84又は右側作動入球部85に入賞したタイミングでRAM604の保留球格納エリア632に格納される。より詳しくは、下側作動入球部84に遊技球が入賞したタイミングでRAM604の第1結果表示部用保留エリアRaに格納され、右側作動入球部85に遊技球が入賞したタイミングでRAM604の第2結果表示部用保留エリアRbに格納される。
当たり当選となる乱数の値は、ROM603における当否情報群記憶手段としての当否テーブル記憶エリア621に当否テーブル(当否情報群)として記憶されている。ここで、当否テーブルの内容について説明する。当否テーブルとしては、各作動入球部84,85に個別に対応させて2種類設定されている。つまり、下側作動入球部84への入賞が発生した場合に参照される下作動入球部用の当否テーブル(下作動入球部用当否情報群)と、右側作動入球部85への入賞が発生した場合に参照される右作動入球部用の当否テーブル(右作動入球部用当否情報群)とが設定されている。
上記抽選に際して下作動入球部用の当否テーブルが参照されることとなる遊技状態下では、大当たり当選となる乱数の値(すなわち、当選情報)は「7」及び「307」の2個である。つまり「0〜599」の当たり乱数カウンタC1の値のうち、「7」及び「307」が大当たり結果に対応しており、それ以外が外れ結果に対応している。
一方、上記抽選に際して右作動入球部用の当否テーブルが参照されることとなる遊技状況下では、上記下作動入球部用の当否テーブルと同様に、大当たり当選となる乱数の値(すなわち、当選情報)は「7」及び「307」の2個である。また、「0〜599」の当たり乱数カウンタC1の値のうち「51〜60」,「151〜160」,・・・,「551〜560」が特別当たり結果に対応しており、それ以外が外れ結果に対応している。
ここで、大当たり結果と特別当たり結果と違いについて説明する。各作動入球部84,85への入賞に基づいた抽選により大当たり結果となった場合には、下側可変入球部82が開閉実行モードへ移行される。一方、同抽選により特別当たり結果となった場合には、直ちに下側可変入球部82が開閉実行モードへ移行されるのではなく、もう一度別の抽選を行う権利が付与されることとなり、その抽選に当選することで上記大当たり結果の場合と同様に下側可変入球部82が開閉実行モードへ移行されることとなる。
具体的には、特別当たり結果となった場合には、先ず右側可変入球部83が開状態に移行される。その際、右側大入賞口83aに入賞した遊技球が複数の分岐通路のうち特定の分岐通路に流入することで当たりが確定し、下側可変入球部82が開閉実行モードに移行される。言い換えれば、特別当たりに当選した場合には、特定の分岐通路への入球を契機として大当たりと同様の結果が遊技者に対して付与される。なお、特定の分岐通路(第2下流側通路)への入球によって当たりが確定する点に着目すれば、同分岐通路を「有利入球部」と称することも可能である。
次に当たり種別カウンタC2について説明する。当たり種別カウンタC2は、0〜29の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。当たり種別カウンタC2は定期的に更新され、遊技球が下側作動入球部84又は右側作動入球部85に入賞したタイミングでRAM604の保留球格納エリア632に格納される。より詳しくは、下側作動入球部84に遊技球が入賞したタイミングでRAM604の第1結果表示部用保留エリアRaに格納され、右側作動入球部85に遊技球が入賞したタイミングでRAM604の第2結果表示部用保留エリアRbに格納される。
当たり種別カウンタC2に対する遊技結果の振分先は、ROM603における振分情報群記憶手段としての振分テーブル記憶エリア622に振分テーブル(振分情報群)として記憶されている。ここで、振分テーブルの内容について説明する。振分テーブルとしては、各作動入球部84,85に個別に対応させて2種類設定されている。つまり、下側作動入球部84への入賞が発生した場合に参照される下作動入球部用の振分テーブル(下作動入球部用振分情報群)と、右側作動入球部85への入賞が発生した場合に参照される右作動入球部用の振分テーブル(右作動入球部用振分情報群)とが個別に設定されている。これら振分テーブルを参照して、開閉実行モード終了後の右側作動入球部85の電動役物91におけるサポートモードの振分が行われる。
右側作動入球部85の電動役物91におけるサポートモードとしては、遊技領域PEに対して同様の態様で遊技球の発射が継続されている状況で比較した場合に、右側作動入球部85の電動役物91が単位時間当たりに受入状態となる頻度が相対的に高低となるように、低頻度サポートモード(低頻度サポート状態又は低頻度ガイド状態)と高頻度サポートモード(高頻度サポート状態又は高頻度ガイド状態)とが設定されている。
具体的には、低頻度サポートモードと高頻度サポートモードとでは、電動役物用カウンタC3を用いた電動役物用抽選における電役受入状態当選となる確率は同一(例えば、共に4/5)となっているが、高頻度サポートモードでは低頻度サポートモードよりも、電役受入状態当選となった際に電動役物91が受入状態となる回数が多く設定されており、さらに1回の受入時間が長く設定されている。この場合、高頻度サポートモードにおいて電役受入状態当選となり電動役物91の受入状態が複数回発生する場合において、1回の受入状態が終了してから次の受入状態が開始されるまでの待ち時間は、1回の受入時間よりも短く設定されている。さらにまた、高頻度サポートモードでは低頻度サポートモードよりも、1回の電動役物用抽選が行われてから次の電動役物用抽選が行われる上で最低限確保される確保時間が短く設定されている。
上記のように高頻度サポートモードでは、低頻度サポートモードよりも右側作動入球部85への入賞が発生する確率が高くなる。換言すれば、低頻度サポートモードでは、右側作動入球部85よりも下側作動入球部84への入賞が発生する確率が高くなるが、高頻度サポートモードでは、下側作動入球部84よりも右側作動入球部85への入賞が発生する確率が高くなる。そして、右側作動入球部85への入賞が発生した場合には、所定個数の遊技球の払出が実行されるため、高頻度サポートモードでは、遊技者は持ち球をあまり減らさないようにしながら遊技を行うことができる。
なお、高頻度サポートモードを低頻度サポートモードよりも単位時間当たりに電役受入状態となる頻度を高くする上での構成は、上記のものに限定されることはなく、例えば電動役物用抽選における電役受入状態当選となる確率を高くする構成としてもよい。さらには、受入状態への切替回数を多くする、受入時間を長くする、1回の電動役物用抽選が行われてから次の電動役物用抽選が行われる上で最低限確保される確保時間を短くする(すなわち、スルーゲート用表示部DSにおける1回の変動表示時間を短くする)及び当選確率を高くするのうち、いずれか1条件又は任意の組み合わせの条件を適用することで、低頻度サポートモードに対する高頻度サポートモードの有利性を高めてもよい。
但し、この高頻度サポートモードは、移行後において遊技回数が終了基準回数(具体的には、100回)に達した場合に低頻度サポートモードに移行する。
本パチンコ機10では、大当たり結果又は特別当たり結果となった場合の低頻度サポートモード及び高頻度サポートモードへの振分態様は、下側作動入球部84への入賞に基づいて当たり当選となった場合と、右側作動入球部85への入賞に基づいて当たり当選となった場合とで異なっている。
具体的には、上記振分に際して下作動入球部用の当否テーブルが参照されることとなる遊技状態下では、高頻度サポートモード当選となる乱数の値(すなわち、当選情報)は「0〜14」の15個である。一方、上記振分に際して右作動入球部用の振分テーブルが参照されることとなる遊技状況下では、高頻度サポートモード当選となる乱数の値(すなわち、当選情報)は「0〜24」の25個である。つまり、下側作動入球部84への入賞により大当たりに当選した場合には1/2の確率で高頻度サポートモードに振り分けられ、右側作動入球部85への入賞により大当たり又は特別当たりに当選した場合には、5/6の確率で高頻度サポートモードに振り分けられることとなる。
なお、当否抽選において外れ結果となった場合、開閉実行モードに移行することはなく、さらにサポートモードの変更は発生しない。
変動種別カウンタCSは、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCSは、主表示ユニット87の下作動入球部用表示部DL及び右作動入球部用表示部DRにおける変動表示時間と、図柄表示装置260における図柄の変動表示時間とをMPU602において決定する上で用いられる。変動種別カウンタCSは、後述する通常処理が1回実行される毎に1回更新され、当該通常処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、下作動入球部用表示部DL及び右作動入球部用表示部DRにおける変動表示の開始時及び図柄表示装置260による図柄の変動開始時における変動パターン決定に際して変動種別カウンタCSのバッファ値が取得される。
電動役物用カウンタC3は、例えば、0〜249の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。電動役物用カウンタC3は定期的に更新され、スルーゲート86に遊技球が入賞したタイミングでRAM604の電役保留エリア633に格納される。そして、所定のタイミングにおいて、その格納された電動役物用カウンタC3の値によって右側作動入球部85の電動役物を受入状態に制御するか否かの抽選が行われる。例えば、C3=0〜199であれば、電動役物を受入状態に制御し、C3=200〜249であれば、電動役物を受入状態に制御しない。
既に説明したように、MPU602では、少なくとも変動種別カウンタCSのバッファ値を用いて、下作動入球部用表示部DL及び右作動入球部用表示部DRにおける変動表示時間が決定されるが、その決定に際してはROM603の変動表示時間テーブル記憶エリア623が用いられる。また、MPU602では、実行エリアAEに格納されている当たり乱数カウンタC1の値及び当たり種別カウンタC2の値を用いて、下作動入球部用表示部DL及び右作動入球部用表示部DRにおける停止結果が決定されるが、その決定に際してはROM603の停止結果テーブル記憶エリア624が用いられる。
再び図26のブロック図を参照して、音声ランプ制御装置143及び表示制御装置170の電気的構成について説明する。
音声ランプ制御装置143に設けられた音声ランプ制御基板には、MPUが搭載されている。MPUには、当該MPUにより実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROMと、そのROM内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAMと、割込回路、タイマ回路、データ入出力回路などが内蔵されている。なお、MPUに対してROM及びRAMが1チップ化されていることは必須の構成ではなく、それぞれが個別にチップ化された構成としてもよい。これは、他の制御装置のMPUにおいても同様である。
音声ランプ制御装置143のMPUには、入力ポート及び出力ポートがそれぞれ設けられている。MPUの入力側には主制御装置162が接続されており、主制御装置162からの各種コマンドを受信する。MPUの出力側には、前扉枠14に設けられた各種ランプ部26〜28やスピーカ部29が接続されているとともに表示制御装置170が接続されている。
表示制御装置170では、音声ランプ制御装置143から入力したコマンドに基づいて、図柄表示装置260の表示制御を実行する。この場合に、音声ランプ制御装置143では、主制御装置162から入力した各種コマンドに基づいて、図柄表示装置260における図柄の変動表示時間及び最終的に停止表示させる図柄の組み合わせの種類を決定するとともに、リーチ発生の有無及びリーチ演出の内容を決定する。
表示制御装置170は、プログラムROM及びワークRAMが複合的にチップ化されたMPUと、ビデオディスプレイプロセッサ(VDP)と、キャラクタROMと、ビデオRAMとがそれぞれ搭載された表示制御基板を備えている。
表示制御装置170のMPUは、音声ランプ制御装置143から、各種コマンドを受信する。そして、それら受信したコマンドを解析し又は受信したコマンドに基づき所定の演算処理を行ってVDPの制御(具体的にはVDPに対する内部コマンドの生成)を実施する。
プログラムROMは、表示制御装置170のMPUにより実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶するためのメモリであり、背景画像用のJPEG形式画像データも併せて記憶保持されている。ワークRAMは、表示制御装置170のMPUによる各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグ等を一時的に記憶するためのメモリである。
VDPは、図柄表示装置260に組み込まれた液晶表示部ドライバとしての画像処理デバイスを直接操作する一種の描画回路である。VDPはICチップ化されているため「描画チップ」とも呼ばれ、その実体は、描画処理専用のファームウェアを内蔵したマイコンチップとでも言うべきものである。VDPは、MPU、ビデオRAM等のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在するとともに、ビデオRAMに記憶させる画像データを、キャラクタROMから所定のタイミングで読み出して図柄表示装置260に表示させる。
キャラクタROMは、図柄表示装置260に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するための画像データライブラリとしての役割を担うものである。このキャラクタROMには、各種の表示図柄のビットマップ形式画像データ、ビットマップ画像の各ドットでの表現色を決定する際に参照する色パレットテーブル等が保持されている。
なお、キャラクタROMを複数設け、各キャラクタROMに分担して画像データ等を記憶させておくことも可能である。また、前記プログラムROMに記憶した背景画像用のJPEG形式画像データをキャラクタROMに記憶する構成とすることも可能である。
ビデオRAMは、図柄表示装置260に表示させる表示データを記憶するためのメモリであり、ビデオRAMの内容を書き替えることに基づき図柄表示装置260の表示内容が変更される。
<主制御基板601のMPU602にて実行される各種処理について>
次に、主制御基板601のMPU602により実行される制御処理を説明する。かかるMPU602の処理としては大別して、電源投入に伴い起動される通常処理と、通常処理に対して定期的に割り込んで起動されるタイマ割込み処理とがある。なお、MPU602では、上記タイマ割込み処理及び通常処理の他に、NMI端子(ノンマスカブル端子)への電断信号の入力により起動され、RAM604の各種フラグ格納エリアにおける電断フラグ格納エリア(電断情報記憶手段)に電断フラグ(電断情報)を格納するNMI割込み処理が実行されるが、同処理についての詳細な説明は省略する。
<タイマ割込み処理>
MPU602により実行されるタイマ割込み処理について、図28のフローチャートを参照しながら説明する。本処理はMPU602により定期的に(例えば2msec周期で)起動される。
ステップS101では、各種検知センサの読み込み処理を実行する。すなわち、主制御装置162に接続されている各種検知センサの状態を読み込むと共に、同検知センサの状態を判定して検出情報(入賞検知情報)を保存する。
その後、ステップS102では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1インクリメントすると共に、そのカウンタ値が最大値に達した際0にクリアする。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM604の該当するバッファ領域に格納する。
続くステップS103では、当たり乱数カウンタC1、当たり種別カウンタC2及び電動役物用カウンタC3の更新を実行する。具体的には、当たり乱数カウンタC1、当たり種別カウンタC2及び電動役物用カウンタC3をそれぞれ1インクリメントすると共に、それらのカウンタ値が最大値に達した際それぞれ0にクリアする。そして、各カウンタC1〜C3の更新値を、RAM604の該当するバッファ領域に格納する。
ステップS103の処理を実行した後は、ステップS104にてスルーゲート86への入賞に伴うスルー用の入賞処理を実行する。
スルー用の入賞処理では、遊技球がスルーゲート86に入賞したか否かを判定する。遊技球がスルーゲート86に入賞したと判定した場合には、役物保留記憶数SNが上限値(本実施の形態では4)未満であるか否かを判定する。
スルーゲート86に遊技球が入賞したと判定されなかった場合又はステップS202にて役物保留記憶数SNの値が上限値以上と判定された場合には電動役物用カウンタC3の値を格納することなく、本入賞処理を終了する。
一方、遊技球がスルーゲート86に入賞し、且つ、役物保留記憶数SN<4である場合には、役物保留記憶数SNを1インクリメントする。そして、更新した電動役物用カウンタC3の値をRAM604の電役保留エリア633の空き記憶エリアのうち最初のエリアに格納する。
なお、スルー用の入賞処理では、保留数用表示部DHを点灯させるための処理を実行する。役物保留記憶数SNに応じて保留数用表示部DHに対応する発光体が順次点灯されるようになっている。
その後、ステップS105にて、作動入球部84,85への入賞に伴う作動口用の入賞処理を実行する。作動入球部用の入賞処理においては、先ずRAM604の各種カウンタエリア634に格納されている第1タイマカウンタの値が「0」よりも大きいか否かを判定する。第1タイマカウンタは、右側作動入球部85への入賞を有効とするか否かの判定する際に参照されるカウンタである。第1タイマカウンタの値が「0」である場合には、RAM604の各種フラグ格納エリア635に切替フラグが格納されているか否かを判定する。切替フラグが格納されている場合には、上記第1タイマカウンタの設定処理を実行する。ここで、切替フラグは、後述する電役サポート処理にて電動役物91の駆動部への駆動信号が出力される際に格納されるフラグである。
第1タイマカウンタの設定値に関しては、上述した高頻度サポートモードに対応した切替であるか否かによって異なる。具体的には、上述の如く駆動信号が出力される期間は、低頻度サポートモード時よりも高頻度サポートモード時のほうが長くなるように設定されており、これに対応させて高頻度サポートモード時に第1タイマカウンタにセットされる値は低頻度サポートモード時に第1タイマカウンタにセットされる値よりも大きく設定されている。詳しくは高頻度サポートモードに対応した切替フラグが格納されている場合には「1000」がセットされ、低頻度サポートモードに対応した切替フラグが格納されている場合には「300」がセットされる。
一方、第1タイマカウンタが「0」でない場合には、第1タイマカウンタの値を「1」減算する。このように減算処理を実行した後、第1タイマカウンタの設定処理を実行した後、又は各種フラグ格納エリア635に切替フラグが格納されている場合には、遊技球が下側作動入球部84に入球(始動入賞)したか否かを下側作動入球部84に対応した検知センサの検知状態により判定する。遊技球が下側作動入球部84に入賞したと判定すると、払出制御装置242に遊技球を3個払い出させるための賞球コマンドをセットする。その後、下側作動入球部84に遊技球が入賞したことを遊技ホール側の管理制御装置に対して信号出力すべく、外部信号設定処理を行う。そして、当たり乱数カウンタC1及び当たり種別カウンタC2の各値を格納する情報取得処理を行い、本入賞処理を終了する。
一方、遊技球が下側作動入球部84に入賞していないと判定した場合には、遊技球が右側作動入球部85に入球(始動入賞)したか否かを右側作動入球部85に対応した検知センサの検知状態により判定する。下側作動入球部84及び右側作動入球部85の何れにも遊技球が入球していないと判定した場合には、そのまま本入賞処理を終了する。
遊技球が右側作動入球部85に入賞したと判定した場合には、第1タイマカウンタの値が「0」よりも大きいか否かを判定する。そして、第1タイマカウンタの値が「0」よりも大きいと判定した場合には、払出制御装置242に遊技球を4個払い出させるための賞球コマンドをセットする。その後、右側作動入球部85に遊技球が入賞したことを遊技ホール側の管理制御装置に対して信号出力すべく外部信号設定処理を行い、情報取得処理を行った後、本入賞処理を終了する。
なお、上記処理にてセットした賞球コマンドは、後述する通常処理の外部出力処理(ステップS301)にて払出制御装置242に対して送信される。
一方、入賞したと判定した場合に第1タイマカウンタの値が「0」となっている場合には、右側作動入球部85が非受入状態となっており実質的に入球が発生しないはずのタイミングにて入球が発生したことを意味する。つまり、係る入賞は正規のものである可能性が低いと想定される。そこで、このような事象が発生した場合には、音声ランプ制御装置143にて異常発生を示す報知を実行するための異常報知用コマンドを設定するとともに、外部端子板681を通じて遊技ホール側の管理制御装置に対して異常が発生した旨の情報を出力するための報知フラグを格納する。異常報知用コマンドが格納されている場合には、同異常放置用コマンドが後述する通常処理の外部出力処理(ステップS301)にて音声ランプ制御装置143に送信される。また、報知フラグが格納されている場合には、同外部出力処理にてホールコンピュータに対して異常発生を示す旨の信号が出力される。
ステップS105にて作動口用の入賞処理を実行した後は、ステップS106に進みステージ駆動用処理を実行する。以下、図31(b)のフローチャートを参照して、ステージ駆動用処理について説明する。
<ステージ駆動用処理>
本実施の形態においては、パチンコ機10が起動している状態においては、主制御装置162からステージユニット300(ステージ装置310)のステッピングモータ341に対して駆動信号が出力され、この駆動信号に基づいてステージ装置310が動作する。
ステージ駆動用処理においては、先ずステップS201にてステッピングモータ341に対して出力されている駆動信号(励磁パターン)を切り替えるタイミングであるか否かを判定する。
ステップS201にて否定判定をした場合にはそのまま本ステージ駆動用処理を終了する。一方、ステップS201にて肯定判定をした場合には、ステップS202に進み駆動信号切替処理を実行する。
具体的には、上記第1駆動信号が出力されている場合には、同第1駆動信号の出力開始タイミングから予め設定された第1特定期間(本実施の形態においては7468msec)が経過したか否かを判定し、同第1特定期間が経過したタイミングにて駆動信号を上記第2駆動信号に切り替える。これにより、ステッピングモータ341の励磁パターンが逆となり、それまで回転していた方向(第1方向)とは逆の方向(第2方向)への回転を開始する。
一方、上記第2駆動信号が出力されている場合には、同第2駆動信号の出力開始タイミングから予め設定された第2特定期間(本実施の形態においては2128msec)が経過したか否かを判定し、同第2特定期間が経過したタイミングにて駆動信号を上記第1駆動信号に切り替える。これにより、ステッピングモータ341の励磁パターンが逆となり、それまで回転していた方向(第2方向)とは逆の方向(第1方向)への回転を開始する。
このようにして励磁パターンを切り替えてステージ装置310の動作パターンを変化させることにより、滞留部311に滞留中の遊技球を遊技機前方や遊技機後方へ誘導することが可能となっている。特に、本実施の形態においては、滞留部311からの遊技球の流出が許容される箇所が限定されている。詳しくは上記受入口285の後方に到達した遊技球の流出は許容されるものの、受入口285から外れた箇所に到達した遊技球は、ストッパ部288に対して当たることにより、それ以上の前方への移動が妨げられることとなる。そこで、励磁パターンの切替によって遊技球をストッパ部288から遠ざかる側に移動させることにより、同遊技球が受入口285に到達することなく滞留し続けることを回避している。
ここで、上記第1特定期間は、ステージ装置310の可動板320において最高位となる対象が第10可動板320jから第1可動板320aにシフトするのに要する期間よりも大きく設定されている。また、上記第2特定期間は第1特定期間よりも短く、具体的には最高位となる対象が第1可動板320aから第10可動板320jにシフトするのに要する期間よりも短く設定されている。このような設定を採用することにより、遊技機前方への誘導機能を遊技機後方への誘導機能よりも支配的としている。これにより、滞留部311上の遊技球が当該滞留部311における奥側に滞留する期間よりも手前側に滞留する期間を長くし、同遊技球の視認性向上を図っている。
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
ステージユニット300(ステージ装置310)を採用し、遊技領域PEを流下する遊技球に動きに変化を与える構成とした。これにより、遊技球の動きが単調となることを抑制し、遊技球の動きに対する注目度を向上している。
ステージ装置310は前後方向に並べて配置された複数の可動板320を有し、それら可動板320の上端部によって遊技球が滞留可能となる滞留部311を形成した。滞留部311においては、可動板320が昇降してそれら滞留部311に相対的に高位/低位となる部分を生じさせる構成となっている。このようにして形成される高低差によって遊技球を少なくとも遊技機前方へと誘導することにより、単に曲面上等を遊技球が揺動して最終的に遊技機前方へ誘導される構成と比較して、遊技球の動きと滞留部311(可動板320)の動きとに関連性を持たせることができる。これにより、遊技球の誘導が単調になることを抑制し、遊技球の動きに対する注目度を好適に向上させることが可能となっている。
可動板320については隣り合う他の可動板320に対して遊技球の直径寸法よりも小さな隙間を隔てて対峙するように配置しており、隣り合う2つ可動板320のうち後側の可動板320が前側の可動板320よりも高位となるようにしてそれら両可動板320を移動させることにより滞留部311に滞留中の遊技球が遊技機前方へ誘導される。このように、可動板320間に隙間を設けることにより、2つの可動板320に対して遊技球を当接させることが可能となり、同可動板320の動きに対する遊技球の動きの追従性を好適に向上させることができる。
滞留部311においては上記複数の可動板320のうち他のものよりも高位とする対象を遊技機前方へとシフトさせることにより滞留部311てに滞留している遊技球が遊技機前方へ誘導される。このように滞留部311において高位となっている部分(詳しくは滞留部311において上方に凸となる部分)が遊技機前方へと変位することとなり、同部分によって滞留中の遊技球を後側から押すことができる。これにより、遊技球の動きと滞留部311の動きとの関連性を好適に向上させることができる。例えば、滞留部を遊技機前方に傾ける等して誘導を行う構成においては、滞留部を傾斜させたことで、遊技球が一気に遊技機前方へと誘導され、滞留期間が極端に短くなる可能性がある。この点、本実施の形態に示すように、遊技球を後側から押す構成とすれば、上述したような遊技球の過度の動きを抑制することができる。
なお、遊技球を後側から押す構成とすることにより、遊技機前方からの視認性が上記高位となっている部分によって妨げられる機会を減らすことができる。これにより、誘導中の遊技球の視認性を好適に向上させることができる。
誘導通路336を経由して滞留部311に到達した遊技球は、第9可動板320iに誘導される。本実施の形態においては、遊技球の到達タイミングに関わらず、必ず第9可動板320iよりも前側には、同第9可動板320iよりも高位となる部位(詳しくは最上位となる部位)が存在することとなる。これにより、第9可動板320iに当たった遊技球がその勢いのまま前方へと移動し滞留部311から流出するといった不都合を好適に回避することができる。故に、遊技球の動きと滞留部311の動きとの関連性が低下したり、滞留部311における遊技球の滞留期間が過度に短くなったりするといった不都合を生じにくくすることができる。
上記実施の形態においては、可動板320において高位となる対象よりも前方に位置しているとともに前記高位となる対象よりも低位となる対象であって隣り合う2つ対象における上側の端部の高さ位置が一時的に同一高さ位置となる。このため、遊技機前方に押された遊技球は低位となる2つの可動板320に跨るようにして落ち着くことで、上記高位となる部分から離れて単独で遊技機前方へ移動することを抑制することができる。これにより、滞留部311の動きと遊技球との動きとの関連性を強めることが可能となっている。
また、低位となる部位では2つの可動板320(詳しくは上端部)の高さ位置が同じになることで、遊技球を遊技機前方へ移動させる場合の同遊技球の上下方向への移動量が大きくなることを好適に抑制することができる。これにより、可動板320の動きに対する遊技球の動きの応答性を好適に向上させることができる。故に、遊技球の遊技機前方への動きの円滑化を図っている。
可動板320の動きを反転させて、滞留部311における遊技球の誘導先を遊技機前方から遊技機後方へと切替可能とした。これにより、滞留部311上での遊技球の動きが単調となることを抑制している。特に、遊技球を遊技機前方へ誘導する期間については、遊技球を遊技機後方へ誘導する期間よりも短く設定されており、遊技球の誘導機能が担保されている。また、遊技球を滞留部311の前部にて滞留させやすくなり、滞留中の遊技球の視認性が低下することを抑制することができる。
また、遊技球の遊技機前方への誘導期間においては、滞留部311の後端から前端まで最高位となる対象がシフトするに要する期間よりも長く設定している。これにより、上記誘導機能と視認性向機能とを好適に発揮させることが可能となっている。
本実施の形態における可動板320については、その上端部が上方に凸となるとともに前後に湾曲する曲面状をなしているため、1の可動板320上に滞留した状態となることを抑制することができる。これにより、遊技球は2つの可動板320に跨るようにして滞留しやすくなり、可動板320による誘導機能が上手く発揮されなくなるといった不都合を生じにくくすることができる。
また、遊技球を前方又は後方へ誘導する際には、前後の可動板320の高低差が大きくなることで、それら可動板320に対して遊技球が当接している箇所が変位する。そして、上記高低差が予め設定された量よりも大きくなることで、高位となる可動板320によって低位となる可動板320側へと遊技球が押され、同遊技球は低位となる可動板320の上端部(詳しくは曲面)にそって高位となる可動板320から離れる側へと移動することとなる。このような構成を採用することにより、遊技機前方への誘導機能と遊技機後方への誘導機能とを好適に両立することができる。
可動板320において滞留部311を構成している部分(上端部)は頂部324と底部325とが横方向に並べて形成された波状をなしており、各可動板320においては起伏パターンが横方向にずれている。遊技球は、1の可動板320から他の可動板320に移る際に頂部324によって左右に振り分けられることとなる。これにより、滞留中の遊技球に左右への変位を促し、遊技球の動きの多様を実現している。
各可動板320についてはそれぞれ左右への変位が許容されており、偏心カム346の回転に応じて左右への変位が促される構成となっている。これら可動板320が左右に変位することで前後に対峙する可動板320同士の位置関係(横方向での位置関係)が変わり、前側の可動板320における頂部324や底部325と後側の可動板320における頂部324や底部325との位置関係が変化する。これにより、上述した遊技球の振分態様が変化することとなる。このようにして、遊技球の振分態様を変化させることで、滞留中の遊技球の動きが画一的になることを抑制し、遊技球の動きに対する注目度の向上に貢献することができる。
遊技球の振分態様は偏心カム346の回転に応じて変化する。つまり、可動板320を同可動板320の昇降中に横方向(左右方向)に変位させる構成が採用されている。これにより、可動板320の一連昇降運動の中で振分態様を変化させることが可能となっている。故に、例えば振分態様を変化させる際に誘導機能を停止させる必要が無く、遊技球の誘導を円滑に行うことができる。
上述の如く、可動板320は偏心カム346のカム部348によって下側から支えられており、カム部348と挿通部323との当接箇所が上下に変位することにより、昇降する構成となっている。ここで、左側の偏心カム346Lの回転周期と右側の偏心カム346Rの回転周期とには位相差が設定されており、それら各偏心カム346L,346Rと挿通部323との当接箇所に生じる高低差によって可動板320が左右に傾くこととなる。このようにして、左右に傾いた可動板320は、自重によって低位となる側へスライド移動することにより、左右への変位が実現される。
例えば、可動板320を左右に変位させるための駆動等を別途設けることも可能であるが、しかしながら、このような構成を採用した場合には、ステージ装置310の大型化を招来し、遊技領域PEにて周囲の遊技部品との共存を難しくする要因となり得るため好ましくない。この点、本実施の形態においては、上述したように、可動板320を昇降させるための構成を利用して、可動板320の横方向への変位を実現することにより、構成の複雑化を抑えることができ、更には占有領域の拡がりを抑えることで他の遊技部品の設置領域の圧迫を回避することができる。
左右の偏心カム346L,346Rとの当接箇所の高低差を利用して可動板320を左右に変位させる構成においては、高低差を大きくし、可動板320の傾きを大きくすることにより、可動板320の自重による移動を容易化することができる。しかしながら、このように高低差を大きくした場合には、遊技球の滞留位置の偏りが大きくなると想定される。これは、滞留部311によって遊技球の滞留が許容されている領域の有効利用を妨げる要因となり得るため好ましくない。一方、当接箇所の高低差(傾斜角度)を小さくすると、可動板320を自重によって移動させることが難しくなり、上述した振分態様の多様化を実現するための機能が発揮されにくくなると懸念される。
この点、本実施の形態によれば、上記高低差が生じて可動板320が傾斜した際に、同可動板320が両偏心カム346L,346Rのうちいずれか一方によって傾斜方向の下流側へ向けて押されることとなる。これにより、可動板320の移動を促すことができる。つまり、上記高低差が過度に大きくなることを回避して遊技球の滞留位置の偏りが大きくなることを回避しつつ、可動板320の横方向への変位を好適に担保することができる。
なお、上述した実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。因みに、以下の別形態の構成を、上記実施の形態における構成に対して、個別に適用してもよく、相互に組み合わせて適用してもよい。
(1)上記実施の形態では、「可動部材」としての可動板320を左右に傾けることにより同可動板320の自重を利用して当該可動板320を左右に変位させる構成としたが、可動板320を移動させる際には必ずしも可動板320の自重に頼る必要は無い。
(1−1)例えば、偏心カム346が一回転するのに要する期間に、左側偏心カム346L及び「受け部」としての挿通部323(詳しくは当接部323a)の間に生じる摩擦抵抗と、右側偏心カム346R及び挿通部323(詳しくは当接部323a)の間に生じる摩擦抵抗とのうち前者が後者よりも大きくなる期間と、後者が前者よりも大きくなる期間とを設定し、それら摩擦抵抗の差によって可動板320を左右に変位させる構成としてもよい、このような構成を採用することにより、両偏心カム346のうちどちら寄りに遊技球が滞留しているかによって、上記各摩擦抵抗が変化することとなる。つまり、遊技球の滞留位置に応じて可動板320の変位態様を変化させることができる。
(1−2)また、偏心カム346におけるカム部348の外周面にカム側ギア部を形成するとともに、可動板320の当接部323aに可動板側ギア部を形成し、それら両ギア部が係合することにより、偏心カム346の回転に追従して可動板320が左右に変位する構成とすることも可能である。但し、このような変形例を採用した場合には、可動板320の昇降量と左右への変位量との関連性が強くなり、設計自由度が低下しやすくなったり可動板320を動かすための構成が複雑化したりすると想定される。故に、好ましくは上記実施の形態や(1−1)の変形例に示した構成を採用するとよい。
(2)上記実施の形態では、左側偏心カム346L及び右側偏心カム346Rを併用したが、偏心カムの数については任意である。左右の偏心カム346L,346Rのうち何れか一方を単なる支持部で置き換えることも可能である。この場合であっても、偏心カムを回転させることにより、偏心カム及び当接部323aの当接箇所と、支持部及び当接部323aの当接箇所との高低差を変化させる構成(好ましくは偏心カム及び当接部323aの当接箇所が支持部及び当接部323aの当接箇所よりも高位となる状態と低位となる状態とに切り替える構成)とすれば、可動板320を左右にスライド移動させる機能を担保することができる。
(3)上記実施の形態では、左側偏心カム346Lの回転周期と、右側偏心カム346Rの回転周期とを同様となるように設定したが、これに限定されるものではなく、例えば、両者の回転周期に差を設定してもよい。但し、このような変更を行った場合には、遊技球の左右への振分態様の更なる多様化を実現することができる反面、「滞留部」としての滞留部311に高低差を生じさせて遊技球を遊技機前方へ誘導するという同滞留部311が本来有する機能が低下しやすくなる。故に、上記実施の形態に示したように回転周期を同様とするとともに、それら両周期の位相をずらす構成とすることにより、遊技機前方への誘導機能を担保しつつ左右への振分態様の多様化を図ることが望ましい。
(4)上記実施の形態では、左側偏心カム346Lの回転方向と、右側偏心カム346Rの回転方向とが逆向きとなるように設定したが、これら各カム346L,346Rの回転方向を揃えることも可能である。但し、このような変更を行った場合には、偏心カム346と当接部323aとの間に生じる摩擦抵抗が可動板320の揺動を妨げるように作用しやすくなる。更には、上記実施の形態においては、偏心カム346によって可動板を自身の傾き方向における下流側へ押す押圧力を発生させることで、可動板320の自重での移動をサポートする構成としたが、このような機能を発揮させることが困難になる。故に、好ましくは上記実施の形態に示したように、両偏心カム346L,346Rの回転方向を逆向きとなるように設定し、それら各種不都合の発生を抑えるとよい。
(5)上記実施の形態では、誘導通路336の出口部分337から流出した遊技球が滞留部311における左右両側部のうち一方に到達し、その後、前方への誘導過程にて左右両側部のうち他方へ到達しやすくなるようにして遊技球の振分態様を設定したが、出口部分337から流出した遊技球の到達箇所やその後の誘導箇所については任意である。但し、遊技球が受入口285と関係の無い位置にて滞留している場合には、利益の発生に絡まないことから同遊技球の動きに対する注目度を向上することが困難であると想定される。故に、好ましくは上記実施の形態に示した誘導態様等を採用し、受入口285の後方を遊技球が横切るように移動しやすくすることで、遊技球の動きに対する注目度の向上を図るとよい。
(6)上記実施の形態では、可動板320の左右への変位量を、前後に並んだ頂部324と底部325とが対峙した状態が維持されるように規定したが、同可動板320の左右方向への変位量については任意に設定してよい。但し、上記実施の形態に示したように、頂部324と底部325の配置に周期性が付与されている場合には、可動板320の変位量を大きくしてもそれによって新たな効果が期待しにくい。更には、可動板320の動作領域が拡がることで、遊技領域PEにおける他の遊技部品との共存が難しくなる。故に、望ましくは、少なくとも起伏パターンの1周期に相当する変位量を上限として設定することが好ましい。
(7)上記実施の形態では、第1種可動板320Aと第2種可動板320Bをそれぞれ2つ1組として配置したが、これに限定されるものではない。例えば、第1種可動板320Aと第2種可動板320Bとを交互に並べて配置することも可能である。
(8)上記実施の形態では、「可動部材」として可動板320を採用したが、「可動部材」は板状のものに限定されるものではない。例えば可動部材が横方向に延びる棒状をなす構成とすることも可能である。
なお、可動板320の上端部によって滞留部311を構成したが、これを変更し、可動板320に取り付けられた撓み変形可能なシート材等によって「滞留部」を構成してもよい。
(9)上記実施の形態では、可動板320同士が隙間を隔てて対向する構成とし、前後に並ぶ2つの可動板320に跨るようにして遊技球が滞留する構成としたが、同隙間は必須の構成ではない。すなわち、上記隙間を省略し、前後の可動板320同士を当接させる構成としてもよい。
但し、可動板320の動きに対する遊技球の動きの追従性を向上する上では、上記実施の形態に示したように可動板320間に隙間を設定することが好ましい。
(10)上記実施の形態では、滞留部311において誘導通路336の出口部分337から流出した遊技球が到達する箇所よりも前側には、必ず同箇所よりも高位となる部位が存在する構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、遊技球が滞留部311に到達するタイミングによっては上記到達箇所よりも前側は当該到達箇所よりも低位となるように構成することも可能である。但し、このような構成を採用した場合には、滞留部311に到達した遊技球がその勢いのまま遊技機前方へと移動して、滞留部311における滞在期間が極端に短くなる可能性が高まる。これは、遊技球の動きに対する注目度の向上を難しくする要因となり得る。故に、好ましくは、到達箇所よりも前側には遊技球の前方への移動を規制すべく到達箇所よりも高位となる部位が形成される構成を採用するとよい。
(11)上記実施の形態では、ステッピングモータ341からの動力によって全ての可動板320を動作させる構成としたが、これに限定されるものではない。各可動板320に1対1で対応するモータを採用し、個々の可動板320の動作を個別に制御する構成としてもよい。但し、このような構成を採用した場合には、ステージ装置310の占有領域が拡大し、同ステージ装置310を限られた領域内にて図柄表示装置260等の他の遊技機器と共存させることが難しくなる。故に、好ましくは、上記実施の形態に示したように、1のステッピングモータ341からの動力によって全ての可動板320を動作させる構成とすることが好ましい。
(12)上記実施の形態では、遊技球を前方へ誘導する期間が遊技球を後方へ誘導する期間よりも長くなるように設定したが、これに限定されるものではなく、両期間を同じ長さとなるように設定してもよいし、遊技球を前方へ誘導する期間が遊技球を後方へ誘導する期間よりも短くなるように設定してもよい。このような変更を行うことにより、滞留部311における遊技球の滞留期間を長くすることができる。但し、滞留部311が本来有する受入口285側(遊技機前方)への誘導機能が低下することで、遊技球の動きに対する注目度が低下しやすくなると想定される。故に、望ましくは、遊技機前方へ誘導する期間を後方へ誘導する期間よりも長く設定することが好ましい。
(13)上記実施の形態においては、「操作部」として回転式の偏心カム346(詳しくはカム部348)を採用したが、これを変更し、上下方向に往復動するピストン等を採用してもよい。但し、複数の可動板320をピストンによって操作するには、複数の可動板320を個々に動作させるための構成が複雑化するだけでなく、同構成の占有領域が無駄に拡張されると想定される。故に、好ましくは上記実施の形態に示したようにカムを用いて可動板320を昇降させる構成とするとよい。
(14)上記実施の形態においては、頂部324に対する遊技球の当接箇所に応じて左右への振分が行われる構成としたが、遊技球の振分に、磁石を使用してもよい。具体的には、底部325よりも前方には、同底部325を左右から挟むようにして可動板320に磁石を埋設し、可動板320同士の相対位置の変化によってそれら左右の磁石のうち何れか一方が他方よりも底部325に近づく構成とする。これにより、底部325に滞留している遊技球が前方に移動する際には、近くに位置する磁石に引き寄せられやすくなり、同可動板の左右の位置関係に応じた遊技球の左右への振分が実現される。
(15)上記実施の形態とは異なる他のタイプのパチンコ機等、例えば特別装置の特定領域に遊技球が入ると電動役物が所定回数開放するパチンコ機や、特別装置の特定領域に遊技球が入ると権利が発生して大当たりとなるパチンコ機、他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の遊技機にも、本発明を適用できる。
<上記実施の形態から抽出される発明群について>
以下、上述した実施の形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
特徴1.遊技領域(遊技領域PE)が形成された遊技盤(遊技盤80)と、
前記遊技領域に設けられているとともに前後に並べて配置され、昇降可能に形成された複数の可動部材(可動板320a〜320j)と、
前記可動部材をそれぞれ昇降させる昇降手段(駆動機構340)と、
それら可動部材における上側の端部によって構成され、遊技球が複数の前記可動部材に載った状態で滞留可能となるように形成された滞留部(滞留部311)と
を備え、
前記昇降手段によって前記可動部材を昇降させることにより、前記滞留部に滞留している遊技球を少なくとも遊技機前方へ誘導する遊技機であって、
前記可動部材は、横方向への変位が許容されており、
前記可動部材を横方向へ変位させることにより、前後に対峙する2つの可動部材の横方向における相対位置を変化させる可変手段(駆動機構340における偏心カム346R,346Lの位相差等)を備え、
前記滞留部には、遊技球を前方へ誘導する際に、前後に対峙する2つの前記可動部材の横方向における相対位置に応じて同遊技球を横側へ変位させる作用部(頂部324及び底部325)が形成されていることを特徴とする遊技機。
特徴1によれば、可動部材が昇降して遊技球の誘導を行うことにより、遊技球の動きと滞留部の動きとに関連性を持たせることができる。これにより、遊技球が単独で動く構成(例えば単に曲面上等を遊技球が揺動して最終的に遊技機前方へ誘導される構成)と比較して、遊技球の誘導が単調になることを抑制し、遊技球の動きに対する注目度を好適に向上させることができる。
滞留部は複数の可動部材によって構成されており、これら可動部材が左右に変位することで前後に対峙する可動部材の位置関係(横方向での相対位置)が変わり、同相対位置の変化に基づいて遊技球の誘導態様(例えば遊技球の移動先)が変化する。これにより、滞留中の遊技球の動きが画一的になることを抑制し(遊技球の動きに意外性を付与し)、遊技球の動きに対する注目度の向上に貢献することができる。
特徴2.前記可変手段は、前記昇降手段によって前記可動部材が上昇又は下降されている最中に、同可動部材を横方向に変位させることを特徴とする特徴1に記載の遊技機。
特徴2によれば、可動部材を昇降中に横方向(左右方向)に変位させる構成を採用することにより、可動部材の一連の動きの中で誘導態様を変化させることができる。故に、例えば誘導態様を変化させる際に誘導機能を停止させる必要が無く、遊技球の誘導を円滑に行うことができる。これにより、特徴1に示した効果を好適に発揮させることができる。
特徴3.前記昇降手段には、前記可動部材に形成された受け部(挿通部323の当接部323a)に対して下側から当接することにより同可動部材を支えるとともに、少なくとも前記可動部材との当接箇所を上下に変位させることにより前記可動部材を昇降させる操作部(カム部348)が設けられており、
前記可動部材は、前記操作部の動作に基づいて横方向に変位することを特徴とする特徴1又は特徴2に記載の遊技機。
特徴3によれば、操作部の動作に基づいて可動部材が昇降することにより、遊技球の遊技機前方への誘導機能を発揮させることができる。また、可動部材については操作部によって支えられており、同可動部材の動作に基づいて左右に変位する。これにより、可動部材を上下及び左右に変位させるための構成が複雑になることを抑制することができる。
特徴4.前記操作部と左右に並べて配設され、前記可動部材の前記受け部に対して下側から当接することにより前記操作部とともに同可動部材を支える支持部を有し、
前記受け部は、前記操作部及び前記支持部の並設方向に延びており、
前記可動部材は、前記受け部が前記操作部及び前記支持部に対してそれら操作部及び支持部の並設方向に摺動可能となるように形成されており、
前記昇降手段は、前記操作部を動作させることにより、前記操作部及び前記可動部材の当接箇所と、前記支持部及び前記可動部材の当接箇所とに高低差が生じるように構成されていることを特徴とする特徴3に記載の遊技機。
特徴4によれば、当接箇所に高低差が生じることにより、可動部材が高位となっている側から低位となっている側へ自重によって変位(スライド移動)する。これにより、特徴1等に示した可動部材の横方向への変位を好適に実現することができる。
特に、特徴1に示したように、各可動部材を昇降させることにより遊技球の誘導を行う構成においては、可動部材間での高低差が生じるタイミング等をずらすことで、遊技機前方への遊技球の誘導機能を発揮することができる。このような可動部材同士の上下関係を変化させる構成を利用することにより左右方向における可動部材同士の位置関係を好適に変化させることができる。
特徴5.前記操作部は、前記可動部材の並設方向に延びる中心軸線を中心に回転可能なカム部(カム部348)であることを特徴とする特徴4に記載の遊技機。
特徴5によれば、昇降中すなわちカム部が回転している最中に可動部材が横方へ移動する。これにより、可動部材の移動を妨げる抗力(詳しくは摩擦抵抗)を抑えることができ、可動部材の移動の円滑化に貢献することができる。
なお、特徴3に示した技術的思想に関しては、例えば、可動部材とカム部とに歯部を形成し、それら歯部同士が係合する構成を採用することで実現可能である。しかしながら、このような構成を採用した場合には、上下方向への移動と横方向への移動との間に制約が生じるため設計自由度が低下する。詳しくは、可動部材の昇降量と同可動部材の横方向への変位量との関連性が強くなる。このため、例えば、横方向への移動量を小さくしようとすれば昇降量が小さくなり、前方への誘導機能が低下するといった不都合が生じやすくなる。この点、当接箇所の高低差を利用して可動部材を自重によって移動させる構成を採用すれば、そのような不都合の発生を好適に回避することができる。
特徴6.前記カム部は第1カム部であり、
前記支持部は、前記可動部材の並設方向に延びる中心軸線を中心に前記第1カム部とは逆方向に回転可能な第2カム部であり、
前記第1カム部及び前記第2カム部は、前記可動部材を昇降させる場合に、前記第1カム部及び前記受け部の当接箇所と、前記第2カム部及び前記受け部の当接箇所とがそれら両カム部の並設方向であって互いに逆となる方向に変位するように設定されていることを特徴とする特徴5に記載の遊技機。
特徴5に示したように当接箇所の高低差を利用して可動部材をスライドさせる構成においては、可動部材の高低差(傾斜角度)が過度に大きくなると、遊技球の滞留位置の偏りが大きくなると想定される。これは、滞留部によって遊技球の滞留が許容されている領域の有効利用を妨げる要因となり得るため好ましくない。一方、当接箇所の高低差(傾斜角度)を小さくすると、可動部材を自重によって移動させることが難しくなり、特徴4に示した機能が低下すると懸念される。
この点、本特徴によれば、上記高低差が生じて可動部材が傾斜した際に、同可動部材が両カム部のうちいずれか一方によって傾斜方向の下流側へ向けて押されることとなる。これにより、上記不都合の発生を抑えつつ可動部材の移動を促すことができ、特徴4に示した効果を好適に発揮させることが可能となる。
特徴7.前記カム部は第1カム部であり、
前記支持部は、前記可動部材の並設方向に延びる中心軸線を中心に前記第1カム部とは逆方向に回転可能な第2カム部であり、
前記第1カム部及び前記第2カム部は、外形が同一となるように形成されているとともにそれら各カム部の回転周期に位相差が生じるように構成されていることを特徴とする特徴5に記載の遊技機。
特徴7に示すように、各カム部の回転周期に位相差を設定すれば、構成の複雑化を抑えつつ、特徴5に示した技術的思想を好適に具現化することができる。
特徴8.前記可動部材に形成された受け部(挿通部323の当接部323a)に対して下側から当接することにより同可動部材を支えるとともに、前記可動部材の並設方向に延びる中心軸線を中心に回転可能な第1カム部及び第2カム部を備え、
前記第1カム部及び前記第2カム部は、左右に並べて配設されているとともに、それら各カム部の回転方向が互いに逆となるように構成されており、
前記可動部材は、前記両カム部の回転に応じて上下方向に変位するとともに前記受け部が前記第1カム部及び前記第2カム部に対してそれら両カム部の並設方向に摺動可能となるように形成されており、
前記可動部材、前記第1カム部及び前記第2カム部は、それら両カム部が1回転する期間に、前記第1カム部の回転により生じる摩擦抵抗と前記第2カム部の回転により生じる摩擦抵抗とに差が生じる期間が設定されていることを特徴とする特徴1又は特徴2に記載の遊技機。
特徴8によれば、摩擦抵抗の差によって、可動部材を横方向へ移動させることができる。係る構成によれば、例えば、滞留中の遊技球の位置等に応じて可動部材の移動態様を変化させることができる。例えば、第1カム部寄りとなる位置に遊技球が滞留している場合と、第2カム部寄りとなる位置に遊技球が滞留している場合とで、摩擦抵抗に差を生じさせることができる。これにより、誘導態様の多様化に貢献することができる。
特徴9.前記可動部材は、第1可動部材と当該第1可動部材の前方に並設された第2可動部材とを有してなり、
前記作用部は、
前記第1可動部材の上端部に形成され、当該上端部における他の部位よりも低位となっている底部(底部325)と、
前記第2可動部材の上端部において前記底部の前方となる部位に配されているとともに当該上端部における他の部位よりも高位となるように形成され、前記底部に滞留している遊技球が当接する頂部(頂部324)と
を有し、
更に、前記作用部は、横方向における前記底部と前記頂部との位置関係に応じて、前記底部に滞留中の遊技球を遊技機前方へ誘導する際に前記頂部の左側又は右側に振り分けるものであることを特徴とする特徴1乃至特徴8のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴9によれば、底部と頂部との位置関係によって遊技球が第2可動部材側(遊技機前方)へ移動する際の左右への振分態様が変化することとなる。具体的には、底部に滞留中の遊技球が第2可動部材の頂部に対して右側から当接することで右側に振り分けられ、左側から当接することで左側に振り分けられることとなる。ここで、可変手段によって可動部材を左右に変位させて第1可動部材の底部と第2可動部材の頂部との左右位置を変化させることで、遊技球の頂部に対する当接箇所を変化させることができる。これにより、遊技球の振分態様を遊技球が可動部材間を移動するタイミング等によって変化させることができる。
特徴10.前記可動部材は、第1可動部材と当該第1可動部材に対して前方から対峙する第2可動部材とを有してなり、
前記作用部は、前記第1可動部材の上端部及び前記第2可動部材の上端部に個別に形成され、左右方向に連なる波状をなし、
前記第1可動部材の作用部と前記第2可動部材の作用部とは、起伏パターンが横方向にずれるようにして形成されており、
さらに、前記作用部は、前記第1可動部材の作用部における底部に滞留している遊技球が前記第2可動部材の作用部における頂部に当たることにより同遊技球を当該頂部の右側又は左側に振り分けるものであり、
前記可動部材の横方向への変位を、前記第1可動部材及び前記第2可動部材の相対変位量が前記両起伏パターンのずれが維持可能な範囲となるように規制する規制手段を備えていることを特徴とする特徴1乃至特徴9のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴10に示すように各作用部が左右方向に連なる波状をなす構成においては、各可動部材の起伏パターンを横方向にずらすことにより、遊技球が可動部材間を移動する際に横方向への移動を促すことができる。
また、起伏パターンのずれが維持される範囲で可動部材が左右に変位する構成とすることで、振分機能を担保しつつ可動部材の変位を許容するための領域(可動部材(滞留部)の占有領域)が無駄に拡がることを抑制することができる。これにより、注目度向上効果を享受しつつ、遊技領域に配設された他の遊技部品と好適に共存させることができる。
特徴11.前記可変手段は、前記作用部により滞留中の遊技球の振分が行われる場合に、少なくとも前記第2可動部材を傾けて同第2可動部材の自重により当該第2可動部材を横方向に変位させることにより前記第1可動部材と前記第2可動部材の相対位置を変化させることを特徴とする特徴9又は特徴10に記載の遊技機。
特徴11によれば、遊技球が第2可動部材に誘導された際に、振分先に応じて、遊技球の移動速度が変化することとなる。つまり、上位となる側へ振り分けられた場合には、その勢いが弱められ、下位となる側へ振り分けられた場合にはその勢いが増すこととなる。これにより、振分後の遊技球の移動態様に差違を生じさせることができ、滞留中の遊技球の動きが単調になることを抑制することができる。
なお、前記可変手段によって第1可動部材及び第2可動部材の両者をそれぞれ傾けて、個々に横方向への変位を促す構成を採用する場合には、第1可動部材の傾きと第2可動部材の傾きとが逆となるように第1可動部材及び第2可動部材の両者を変位させる構成を併用するとよい。これにより、第1可動部材から第2可動部材に振り分けられる遊技球が、第1可動部材の傾きによって加速した状態で第2可動部材に移ったとしても、同第2可動部材の傾きが同遊技球を減速させるように作用することとなり、滞留中の遊技球の移動速度が過剰となることを抑制することができる。
特徴12.遊技領域(遊技領域PE)が形成された遊技盤(遊技盤80)と、
前記遊技領域に設けられ、前後に並べて配置された複数の可動部材(可動板320a〜320j)と、
それら可動部材の上側の端部によって構成され、遊技球が載った状態で滞留可能となるように形成された滞留部(滞留部311)と、
前記可動部材を昇降させて前記滞留部に高低差を生じさせることにより、同滞留部に滞留している遊技球を少なくとも遊技機前方へ誘導する誘導手段(駆動機構340や主制御装置162)と
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴12によれば、可動部材が昇降してそれら可動部材の上側の端部(すなわち滞留部)に相対的に高位/低位となる部分が生じる。このようにして形成される高低差によって遊技球を少なくとも遊技機前方へと誘導することにより、単に曲面上等を遊技球が揺動して最終的に遊技機前方へ誘導される構成と比較して、遊技球の動きと滞留部の動きとに関連性を持たせることができる。これにより、遊技球の誘導が単調になることを抑制し、遊技球の動きに対する注目度を好適に向上させることができる。
特徴13.前記各可動部材は、隣り合う可動部材に対して遊技球の直径寸法よりも小さな隙間をへだてて対峙するようにして配置されており、
前記誘導手段は、隣り合う2つ可動部材のうち後側の可動部材が前側の可動部材よりも高位となるようにしてそれら両可動部材のうち少なくとも一方を移動させることにより前記滞留部に滞留中の遊技球を遊技機前方へ誘導することを特徴とする特徴12に記載の遊技機。
可動部材間に隙間を設けることにより、2つの可動部材に対して遊技球を当接させることができる。これにより、可動部材の動きに対する遊技球の動きの追従性を好適に向上させることができる。
但し、かかる構成においては、滞留部上にて遊技球が上下動することとなる。これは、遊技球の円滑な動きを妨げる要因となり得るため好ましくない。ここで、本特徴によれば、隣り合う二つの可動部材に高低差を生じさせて遊技球を移動させる構成とすれば、上記隙間が無駄に大きくなることを回避でき、遊技球の円滑な誘導の実現に貢献することができる。
特徴14.前記誘導手段は、前記複数の可動部材のうち他のものよりも高位とする対象を遊技機前方へとシフトさせることにより前記滞留部に滞留している遊技球を遊技機前方へ誘導するシフト手段(偏心カム346,ステッピングモータ341,主制御装置162のMPU602において当該偏心カム346を正転させる機能)を有していることを特徴とする特徴12又は特徴13に記載の遊技機。
特徴14によれば、滞留部において高位となっている部分(例えば滞留部において上方に凸となる部分)が遊技機前方へと変位することとなり、同部分によって滞留中の遊技球を後側から押すことができる。これにより、特徴12に示した技術的思想を好適に実現することができる。
また、遊技球を後側から押す構成とすることにより、遊技機前方からの視認性が上記高位となっている部分によって妨げられることを抑制することができる。これにより、誘導中の遊技球の視認性を好適に向上させることができる。
特徴15.前記遊技領域を流下する遊技球を前記滞留部における特定位置(滞留部311を構成する第9可動板320i)に導く球通路(誘導通路336)を備え、
前記シフト手段は、前記滞留部において前記特定位置よりも前側となる位置に少なくとも1の高位となる部位が形成されるようにして前記高位となる対象を遊技機前方へとシフトさせるように構成されていることを特徴とする特徴14に記載の遊技機。
特徴14に示したように、高位となる対象を遊技機前方へシフトさせる構成においては、遊技球が滞留部に到達したタイミングによって誘導機能が上手く発揮されなくなることは好ましくない。例えば、高位となっている部分(上記凸となっている部分)に当たった遊技球が滞留部の変化に関係なく遊技機前方へ移動する可能性がある。
この点、本特徴によれば、特定位置よりも遊技機前方となる位置に高位となる部位が形成されることで、滞留部(詳しくは特定位置に存在する可動板)に当たった遊技球がその勢いのまま滞留部から流出することを抑制できる。これにより、遊技球の動きと滞留部の動きとの関連性が低下したり、滞留部における遊技球の滞留期間が過度に短くなったりするといった不都合を生じにくくすることができる。
特徴16.前記各可動部材のうち1の可動部材は、隣り合う他の可動部材に対して遊技球の直径寸法よりも小さな隙間をへだてて対峙するようにして配置されており、
前記誘導手段には、前記シフト手段によって高位となる対象よりも遊技球の誘導先側に位置しているとともに前記高位となる対象よりも低位となる対象であって隣り合う2つ対象における上側の端部の高さ位置を揃える手段を有していることを特徴とする特徴14又は特徴15に記載の遊技機。
特徴16によれば、遊技機前方に押された遊技球は低位となる可動部材に跨るようにして落ち着くことで、上記高位となる部分から離れて単独で遊技機前方へ移動することを抑制することができる。これにより、滞留部の動きと遊技球との動きとの関連性を強めることができる。
また、低位となる部位では2つの可動部材(詳しくは上端部)の高さ位置が同じになることで、遊技球を遊技機前方へ移動させる場合の同遊技球の上下方向への移動量が大きくなることを好適に抑制することができる。これにより、可動部材の動きに対する遊技球の動きの応答性を好適に向上させることができる。故に、遊技球の遊技機前方への動きの円滑化が期待できる。
特徴17.前記シフト手段は、第1シフト手段であり、
前記誘導手段は、
前記複数の可動部材のうち他のものよりも高位とする対象を遊技機後方へとシフトさせることにより前記滞留部に滞留している遊技球を遊技機後方へ誘導する第2シフト手段(偏心カム346,ステッピングモータ341,主制御装置162のMPU602において当該偏心カム346を逆転させる機能)と、
前記第1シフト手段によって遊技機前方への誘導を行う状態、及び前記第2シフト手段によって遊技機後方への誘導を行う状態の切り替えを行う切替手段(主制御装置162のMPU602において駆動信号を切り替える機能)と
を有していることを特徴とする特徴14乃至特徴16のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴17によれば、滞留部に滞留中の遊技球を前後に揺動させることにより、同遊技球の動きが単調化することを抑制できる。これにより、遊技球の動きに対する注目度の向上に貢献することができる。
なお、本特徴に併せて「可動部材において滞留部を構成している部分(上側の端部)が遊技機上方に凸となる曲面状をなす構成」を採用することにより、以下の効果が期待できる。すななわち、遊技球が隣り合う2つの可動部材に当接し、1の可動部材上に滞留した状態となることを抑制できる。これにより、可動部材の動きに伴う前後への誘導機能を好適に発揮させることができる。
特徴18.前記各可動部材は、相対向する板状部材であり、
それら各可動部材において前記滞留部を構成している部分は、横方向に連なる波状の起伏を有してなり、
前記起伏は、同起伏の高低位置が前記各可動部材において横方向にずれるようにして形成されており、
前記滞留部の前方において同滞留部の出口部分と並設され、同滞留部からの遊技球の流出を規制する規制部(ストッパ部288)を備えていることを特徴とする特徴17に記載の遊技機。
特徴18によれば、遊技機前方へと誘導された遊技球は出口部分に到達することで、滞留部から離脱することとなる。一方、出口部分から逸れた位置(詳しくは規制部)へと誘導された遊技球については、同規制部によって滞留部からの流出が規制されることとなる。ここで、流出が規制された遊技球が遊技機後方に誘導されると起伏によって同遊技球の横方向における位置が変化することとなり、滞留上での移動を繰り返すことで、最終的に出口部分からの流出が促されることなる。このように、前後左右への動きを伴いながら遊技球を滞留させることにより、単に滞留期間を長く設定する構成と比較して、遊技球の動きへの注目度を好適に向上させることができる。
特徴19.前記誘導手段は、
駆動力を発生する駆動部(ステッピングモータ341)と、
回動可能に設けられ、前記駆動部からの駆動力を前記各可動部材に伝達するカム部(偏心カム346)と
を有し、
前記切替手段は、前記第1シフト手段によって遊技機前方への誘導を行う場合には前記カム部を所定の方向に回動させ、前記第2シフト手段によって遊技機後方への誘導を行う場合には前記カム部を前記所定の方向とは逆の方向へ回動させる手段(主制御装置162のMPU602において駆動信号切替処理を実行する機能)を有していることを特徴とする特徴17又は特徴18に記載の遊技機。
特徴19によれば、カム部の回動方向を切り替えることにより、高位となる部分を前後にシフトさせることができる。これにより、特徴17等に示した技術的思想を好適に具現化することができる。
例えば、駆動部が駆動信号により回動するモータによって構成し、同駆動部への駆動信号を所定方向への回転用の駆動信号と、所定方向とは逆方向への回転用の駆動信号とで切り替える構成とすれば、遊技球の動きの多様化を図りつつ、それに起因した構成の複雑化を抑制することができる。
特徴20.前記カム部は、前記滞留部の出口部分を挟んで配設された左側カム部材及び右側カム部材を有してなり、
前記左側カム部材及び前記右側カム部材は、前記滞留部において前記出口部分よりも左側となる部位と同出口部分よりも右側となる部位とに高低の位相差が生じるように構成されていることを特徴とする特徴19に記載の遊技機。
特徴20によれば、滞留部においては、左側と右側とで昇降タイミングがずれることとなる。これにより、滞留中の遊技球を前後への誘導に伴って左右に移動させることができ、滞留部上を前後に移動する遊技球の移動距離を長くすることができる。つまり、滞留部の大型化を抑えつつ遊技球の移動距離を長くし、同遊技球の移動態様の多様化を実現することができる。また、前方への移動時と後方への移動時とで位相のずれが逆となるため、上述した昇降タイミングのずれも逆となる。これにより、位相差を生じさせる構成を採用しつつ、それに起因して遊技球の滞留位置が滞留部における左右の一方に偏りやすくなるとった不都合を好適に抑制することができる。
また、上述の如く遊技球の移動距離を長くした場合であっても、遊技球が出口部分を横切るようにして移動することで、遊技球と出口部分との位置関係の把握が難しくなることを抑制し、遊技球の移動距離を長くすることで出口部分から離れた位置に存在する遊技球への注目度が低下するといった不都合を生じにくくすることができる。
特徴21.前記切替手段は、前記第1シフト手段によって遊技球を遊技機前方へ誘導する期間が前記第2シフト手段によって遊技球を遊技機後方へ誘導する期間よりも長くなるように設定されていることを特徴とする特徴17乃至特徴20のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴21によれば、滞留中の遊技球は前後への揺動を繰り返すことで、最終的に滞留部の前端部に到達することとなる。これにより、特徴12に示した誘導機能を好適に担保することができる。
特徴22.前記切替手段は、少なくとも前記滞留部の後側の端部にて形成された1の高位部分が同滞留部の前側の端部に到達するまで前記第1シフト手段による遊技機前方への誘導を継続し、同高位部分が同滞留部の前側の端部に到達した後に前記第2シフト手段による遊技機後方への誘導を実行することを特徴とする特徴17乃至特徴21のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴22によれば、遊技球の遊技機前方への移動機能を担保しつつ、遊技球の滞留期間が短くなることを抑制できる。
特徴23.前記各可動部材において前記滞留部を構成している部分は、横方向に延びているとともに、同横方向に連なる波状の起伏を有してなり、
前記起伏は、同起伏の高低位置が前記各可動部材において前記横方向にずれるようにして形成されていることを特徴とする特徴12乃至特徴22のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴23によれば、可動部材の昇降によって移動する遊技球は、1の可動部材から他の可動部材へ移ることにより起伏によって横方向へ移動する。このように横方への移動を伴いながら誘導されることにより、遊技球の動きを多様化を実現することができる。
例えば、各可動部材における高低位置を前後で逆となるように設定するとよい。これにより、横方向への遊技球の移動を多様なものとすることができる。
以下に、以上の各特徴を適用し得る遊技機の基本構成を示す。
パチンコ遊技機:遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル41)と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段(遊技球発射機構110)と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路(誘導レール100)と、遊技領域内に配置された各遊技部品(釘90等)とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部(一般入賞口81等)を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。