JP5510935B2 - 半導体ウェハの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、テクスチャー形成のために酸によるエッチングが施される半導体ウェハの製造方法及びその半導体ウェハに関する。
太陽電池用の半導体ウェハは、多結晶シリコンインゴットから半導体ウェハを切り出すスライス工程、半導体ウェハを支持板から剥離する剥離工程、及び半導体ウェハから汚れやゴミを落とす仕上げ洗浄工程を順に経て出荷され、太陽電池メーカによりエッチング処理される。
スライス工程では、遊離砥粒方式によるワイヤーソーを用いたラップ加工、または固定砥粒方式によるワイヤーソーを用いた切削加工を採用することができる。遊離砥粒方式は、液体と砥粒の混合物であるスラリをワイヤーソーを用いて多結晶シリコンインゴットに擦りつけ、半導体ウェハを切り出す方式である。この遊離砥粒方式によるスライス処理は、スラリに含まれる砥粒が多結晶シリコンインゴットを崩しながら、半導体ウェハを切り出す。
一方、固定砥粒方式は、砥粒を芯線に分散固定してなるワイヤーソーを多結晶シリコンインゴットに押しつけ、半導体ウェハを切り出す方式である。この固定砥粒方式によるスライス処理は、多結晶シリコンインゴットを切り刻みながら、半導体ウェハを切り出すものである。従って、固定砥粒方式の場合、遊離砥粒方式と比べて、切り屑となってしまう層が少なく、一つの多結晶シリコンインゴットから多くの半導体ウェハを切り出すことができ、また、クラック等が発生するおそれが少なく、その半導体ウェハも薄く切り出すことができるという利点がある。
エッチング処理は、半導体ウェハの表面に凹凸のテクスチャーを形成する工程である。半導体ウェハの表面が平坦であると、入射した光の一部が反射してしまい、電流に変換されなくなってしまう。そのため、太陽電池メーカでは、表面にテクスチャーと呼ばれる凹凸を付け、反射光の一部を複数回に亘って半導体ウェハに再入射させる機会をもたらし、表面反射率を低減させ、以て太陽電池の性能を向上させている。
エッチング処理としては、各種の方法が採用できるが、例えば、アルカリによるエッチング処理や、酸によるエッチング処理が挙げられる。アルカリによるエッチング処理の代表例としては、KOH又はNAOHのアルカリ溶液中にイソプロピルアルコールを添加し、半導体ウェハの片面又は両面を当該アルカリ溶液に数分間浸すものがある。酸によるエッチング処理の代表例としては、半導体ウェハの片面又は両面をフッ酸や硝酸を主成分とした酸溶液に1〜2分程度浸すものがある。
特開2005−311060号公報
スライス処理においては、上述のように、遊離砥粒方式よりも固定砥粒方式のほうが生産コストの面から有利であり、固定砥粒方式の実用化が期待されている。しかしながら、酸によるエッチング処理を施した場合、固定砥粒方式でスライス処理した半導体ウェハ上には、均一なテクスチャーを形成することができなかった。
すなわち、遊離砥粒方式で半導体ウェハを切り出し、酸によるエッチング処理を施した場合には、半導体ウェハの表面全体に綿密なテクスチャーが形成される。
しかしながら、固定砥粒方式で半導体ウェハを切り出し、酸によるエッチング処理を施した場合には、部分的に平坦な領域が残ってしまう。上述したように、テクスチャーは太陽光の反射率を低下させ、太陽電池の性能を向上させる重要な役割を果たしており、半導体ウェハ上の平坦な領域は看過することはできない。
そのため、酸によるエッチング処理を前提として半導体ウェハを製造する場合には、遊離砥粒方式を採用せざるを得なかった。
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたもので、固定砥粒方式で半導体ウェハを切り出しつつ、酸によるエッチング処理であっても半導体ウェハの表面全体にテクスチャーを形成することのできる製造方法、及びその製造方法による半導体ウェハを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究の結果、酸によるエッチング処理で形成されるテクスチャーは、エッチング処理前に半導体ウェハ上に存在するダメージ層に大きく影響を受けているのではないかと考えた。酸によるエッチング処理は、ダメージ層のみを除去する手法であると考えられており、また、as−slice(スライス後に何らの処理をしない)において形成されているダメージ層とテクスチャーの形状が良く似ているためである。尚、ダメージ層とは、半導体ウェハ表面に形成された凹凸層であり、スライス工程で発生する。
遊離砥粒方式では、結晶性インゴットを崩すようにして半導体ウェハが切り出されるため、半導体ウェハの表面全体には、エッチング処理の前から予め凹凸が形成されている。しかし、固定砥粒方式では、半導体ウェハの表面はナイフでカットしたような滑らかな面となってしまうため凹凸層が不完全に形成される。
そこで、本発明に係る第1の態様は、テクスチャー形成のために酸によるエッチングが施される前の半導体ウェハの製造方法であって、以下の工程を含むことを特徴とする。
(1)表面に砥粒を分散固定した芯線によって結晶性インゴットを切削することで、前記半導体ウェハを切り出す固定砥粒方式のスライス工程
(2)前記固定砥粒方式のスライス工程の後、前記半導体ウェハの少なくとも片面に対して液体と砥粒とのスラリを噴射することで、前記半導体ウェハにダメージ層を形成するウェットブラスト方式のダメージ層形成工程
(3)前記ダメージ層形成処理の次に、前記半導体ウェハを水洗い洗浄する洗浄工程
(4)前記洗浄工程の次に、前記半導体ウェハを乾燥させる乾燥工程
前記洗浄工程では、半導体ウェハの溶剤を用いた仕上げ洗浄処理工程が省かれる。固定砥粒方式によるスライス工程とウェットブラスト処理によるダメージ層形成工程とを組み合わせることにより、ウェットブラスト処理による洗浄効果が現れるためである。
固定砥粒方式によるスライス工程とウェットブラスト処理によるダメージ層形成工程との組み合わせにおいては、ウェットブラスト処理で使用される砥粒の粒径によってテクスチャーの凹凸密度やダメージ層の深さを制御できることがわかった。すなわち、このダメージ層形成工程では、前記テクスチャーの目的の凹凸密度に応じて前記スラリに含まれる砥粒の粒径を変更することができる。また、前記ダメージ層形成工程では、形成しようとする前記ダメージ層の深さに応じて前記スラリに含まれる砥粒の粒径を変更することができる。
本発明によれば、固定砥粒方式で半導体ウェハを切り出しても表面全体にダメージ層を形成することができ、酸によるエッチング処理を施してもテクスチャーの形成が可能となる。従って、遊離砥粒方式と比べて一つの結晶性インゴットから多くの半導体ウェハを切り出すことが可能となり、太陽電池用の半導体ウェハの製造コストを削減することが可能となる。
本実施形態に係る半導体ウェハの製造工程を示すフローチャートである。 固定砥粒方式のスライス工程を示す模式図である。 剥離工程を示す模式図である。 ウェットブラスト処理を示す模式図である。 ウェットブラスト処理の条件を示す表である。 実施例1の条件1及び2によるウェットブラスト処理後の観察結果を示す写真である。 条件1によりウェットブラスト処理した場合と比較例1の観察結果を示す写真である。 条件2によりウェットブラスト処理した場合と比較例1の観察結果を示す写真である。 実施例2、比較例2、及び比較例3の観察結果を示す図である。
本発明に係る半導体ウェハの製造方法の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、半導体ウェハの製造工程を示すフローチャートである。
半導体ウェハは太陽電池用であり、結晶性インゴットを切り出すことで製造される。結晶性インゴットは、例えば多結晶シリコンインゴットである。その製造工程は、次の通りである。すなわち、図1に示すように、半導体ウェハは、結晶性インゴットから切り出されるスライス工程(ステップS01)と、切り出された半導体ウェハを剥離する剥離工程(ステップS02)と、半導体ウェハの表面にダメージ層を形成するダメージ層形成工程(ステップS03)と、水洗いを経て半導体ウェハを乾燥させる乾燥工程(ステップS04)とを順に経て製造される。
この工程を経た半導体ウェハは、良品と不良品とを分ける検査工程を経て太陽電池メーカに出荷される。太陽電池メーカでは、表面に凹凸のテクスチャーが形成され、太陽電池用の加工が更に施される。テクスチャーの形成は、表面反射率の低減を目的とするものである。テクスチャーの形成は、各種のエッチング処理により行われることが一般的であるが、半導体ウェハの本製造方法では、酸によるエッチング処理が施されることを前提とする。
(スライス工程)
スライス工程では、固定砥粒方式により、結晶性インゴットから複数の半導体ウェハを切り出す。固定砥粒方式では、表面に砥粒を分散固定した芯線からなるワイヤーソーによって結晶性インゴットを切削する。
図2は、固定砥粒方式のスライス工程を示す模式図である。図2において、符号100は、結晶性インゴットを示している。図2に示すように、ワイヤーソー10は、平行に複数配設され、回転ローラ11a、11b間を走行可能となっている。一方、結晶性インゴットは、一面が支持板12に接着されている。走行するワイヤーソー10に支持板12で支持された結晶性インゴットを押し当てながら相対移動させることで、複数の半導体ウェハが結晶性インゴットから切り出される。結晶性インゴットのスライスは、支持板12に達するまで行われる。
ワイヤーソー10の芯線は、鉄、ニッケル、コバルト、クロム、タングステン、モリブデン、銅、チタン、アルミニウム、及びこれらから選ばれる合金といった金属ワイヤ、又はピアノ線を含む高炭素鋼が望ましい。芯線に分散固定される砥粒は、シリコンの切断が可能であれば、種々のものが適用可能である。例えば、砥粒として、ダイアモンド、CBN、SiCのいずれか、あるいはこれらの混合物が用いられることが望ましい。砥粒は、レジンボンドによる方法、電着による方法、またはロウ付けによる方法等の各種の方法を用いて芯線に分散固定される。
結晶性インゴットに接着する支持板12としては、ガラス板が挙げられる。結晶性インゴットと支持板12とを接着する接着剤は、特に限定されないが、エポキシ系接着剤で接着されることが望ましい。
(剥離工程)
剥離工程では、結晶性インゴットから切り出された複数の半導体ウェハを支持板12から剥離する。図3は、剥離工程を示す模式図である。図3において、符号200は、半導体ウェハを示している。図3に示すように、支持板12と半導体ウェハは、接着剤を溶解させる剥離液14で満たされたバスケット13内に浸漬される。剥離液14としては、乳酸を水で希釈した水溶液を用いることができる。
(ダメージ層形成工程)
ダメージ層形成工程では、固定砥粒方式のスライス工程の後、酸を用いたエッチングによるテクスチャー形成の前に、固定砥粒方式でスライスした半導体ウェハの表面全体に一様なダメージ層を形成する。また、スライス工程とダメージ層形成工程との間には、粗洗浄工程が含まれてもよい。
ダメージ層は、半導体ウェハ表面の凹凸で形成された層である。半導体ウェハの表面全体に一様なダメージ層を形成するとは、半導体ウェハの片面又は両面にダメージ層が形成され、その面に滑らかな領域がなく、全体としてムラ無く凹凸が形成されていることである。
このダメージ層形成工程では、半導体ウェハの表面に対してウェットブラスト処理を施す。ウェットブラスト処理は、液体と砥粒とのスラリを半導体ウェハの表面に噴射することで、半導体ウェハの表面を研削する処理である。
図4は、ウェットブラスト処理を示す模式図である。図4に示すように、ウェットブラスト処理では、液体と砥粒とを混合したスラリを圧縮空気によりノズル15から噴射する。ノズル15の幅は、半導体ウェハの幅より十分広くなっており、ノズル15から噴出するスラリは、半導体ウェハの表面に向かう。このノズル15と半導体ウェハは、相対的に移動が可能となっており、半導体ウェハの表面全体がウェットブラスト処理される。このウェットブラスト処理では、ノズル15による半導体ウェハ上の走査を1回又は複数回繰り返してもよい。
ウェットブラスト処理で使用される砥粒は、アルミナ、ダイアモンド、CBN、SiCのいずれか、あるいはこれらの混合物が用いられることが望ましい。また、砥粒と混合される液体としては、主に水が使用されるが、界面活性剤を含有させてもよい。スラリにおける砥粒の混合割合は、10〜30vol%であることが望ましい。この範囲では、ダメージ層形成効果の他、半導体ウェハの洗浄効果が現れ、仕上げ洗浄工程が不要となる。
砥粒の粒径は、目的とするダメージ層の深さや、エッチングにより形成するテクスチャーの目的の凹凸密度に応じて変更できる。すなわち、固定砥粒方式で半導体ウェハをスライスした場合、このウェットブラスト処理で使用される砥粒の粒径が大きいと、ダメージ層は深くなる、換言すると凹凸の高低差は高くなる傾向が見られた。また、固定砥粒方式で半導体ウェハをスライスした場合、このウェットブラスト処理で使用される砥粒の粒径が大きいと、テクスチャーの凹凸密度が向上する傾向がある、換言すると表面全体において一つ一つの凹凸の領域が小さくなり、綿密性が増す傾向がある。
尚、遊離砥粒方式で半導体ウェハをスライスした場合、スライスで使用される砥粒の粒径が大きいと、スライスの際に形成された凸部を削ってしまい、表面粗さが滑らかになってしまい、ダメージ層の深さをコントロールするは困難であった。
(乾燥工程)
乾燥工程では、半導体ウェハを乾燥室に入れ、水分を除去する。この乾燥工程は、ダメージ層形成工程の次に水洗いを経た後に実施される。水洗いは、汚れやゴミを洗い流す処理である。すなわち、ウェットブラスト処理を行った場合は、アルカリ等の溶剤中の超音波等を用いた仕上げ洗浄工程を省くことができる。
(エッチング工程)
エッチング工程では、半導体ウェハの表面をエッチング液にさらす。具体的には、半導体ウェハを回転させながら、表面にエッチング液を滴下し、エッチング液を半導体ウェハの表面全体に行き渡らせる。半導体ウェハをエッチング液中に浸漬してもよい。エッチング工程では、これに限定されることなく、各種の方法を採ることができる。エッチング液は、酸であり、フッ酸及び硝酸の混酸であるフッ硝酸溶液が望ましいが、例えばリン酸、酢酸、カルボン酸、又は界面活性剤等を加えても良い。
(ダメージ層形成の効果の確認)
固定砥粒方式のスライス工程及びウェットブラスト処理のダメージ層形成工程を経た半導体ウェハのダメージ層形成の効果を確認すべく、以下のように半導体ウェハを製造し、酸によるエッチング処理を施して、観察を行った。尚、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
多結晶シリコンインゴットから固定砥粒方式により、ウェハ厚みが180μmの多結晶シリコンウェハを切り出し、剥離処理を実施した後、その多結晶シリコンウェハを図5の条件にて片面にのみウェットブラスト処理を実施した。
すなわち、ウェットブラスト処理の条件1では、アルミナA#2000(マコー株式会社製、マコランダム、粒径:6.7μm)を水と混合し、砥粒濃度が20vol%のスラリを作製する。このスラリをウェットブラスト装置(マコー株式会社製、シグマ、ノズル幅:600mm)を用いて、圧縮空気圧0.2MPaにて多結晶シリコンウェハに噴射した。スラリが噴出するノズル先端と多結晶シリコンウェハとの投射距離は、20mmであり、スラリの噴射軸に対する多結晶シリコンウェハの投射角度は、90°とした。多結晶シリコンウェハとノズルとは、相対的に30mm/secで移動させ、多結晶シリコンウェハの片面全体にスラリを投射した。ノズルの走査回数は1回である。
ウェットブラスト処理の条件2は、アルミナA#800(マコー株式会社製、マコランダム、粒径:14.0μm)と水とを混合して砥粒濃度が20vol%のスラリを作製し、ウェットブラスト装置(マコー株式会社製、ゼータ、ノズル幅:320mm)を使用する以外は、条件1と同様である。
そして、水洗いして乾燥処理した後、酸によるエッチング処理として、各多結晶シリコンウェハのウェットブラスト処理した面にフッ硝酸溶液をまんべんなく行き渡らせた。
ウェットブラスト処理の効果を確認するため、ウェットブラスト処理前後、及び酸によるエッチング処理後の多結晶シリコンウェハの表面状態をレーザ顕微鏡(キーエンス社、VL−9700)で観察した。
(比較例1)
多結晶シリコンインゴットから固定砥粒方式により、ウェハ厚みが180μmの多結晶シリコンウェハを切り出し、剥離処理を実施した後、ウェットブラスト処理を実施せずに、実施例1と同じ条件で酸によるエッチング処理を行った。
(結果)
実施例1のウェットブラスト処理前の観察結果と、実施例1の条件1及び2によるウェットブラスト処理後の観察結果を図6に示す。
図6に示すように、ウェットブラスト処理前は、ワイヤーソーの走行方向に沿って所々に滑らかな平坦領域Rが存在するのに対し、ウェットブラスト処理後は、条件1及び2の両方において、その滑らかな平坦領域Rが消失し、全体的にダメージ層が形成されていることが確認できる。
粒径が6.7μmの砥粒を用いた条件1のウェットブラスト処理の結果、ダメージ層の深さは、Ra:0.387μm、Rz:5.120μm程度であった。また、粒径が14.0μmの砥粒を用いた条件2のウェットブラスト処理の結果、ダメージ層の深さは、Ra:0.459μm、Rz:5.934μm程度であった。尚、ダメージ層の深さは、多結晶シリコンウェハの一部領域をマスクし、その領域にウェットブラスト処理が及ばないようにし、ウェットブラスト処理が及んだ領域とマスクした領域との段差を測定することで得た。
実施例1と比較例1について、酸によるエッチング処理後の観察結果を図7及び8に示す。図7は、条件1(ウェットブラスト処理の砥粒粒径が6.7μm)によりウェットブラスト処理した場合と比較例1の観察結果であり、図8は、条件2(ウェットブラスト処理の砥粒粒径が14.0μm)によりウェットブラスト処理した場合と比較例1の観察結果である。
図7及び8に示すように、ウェットブラスト処理を行わなかった比較例1に比べ、実施例1では、テクスチャーが一様に形成されていることがわかる。
また、条件1と条件2の結果を比べてみると、固定砥粒方式でスライスした場合、ウェットブラスト処理で用いられる砥粒の粒径が大きい方が、凹凸が表面全体にわたって一様に存在し、綿密なテクスチャーが形成されていることがわかる。
更に、条件1のウェットブラスト処理後、酸によるエッチング処理した際の表面粗さは、Ra:0.423μm、Rz:6.573μmであり、条件2のウェットブラスト処理後、酸によるエッチング処理した際の表面粗さは、Ra:0.738μm、Rz:10.173μmであり、ウェットブラスト処理に用いる砥粒の粒径を変更することでエッチング後の表面粗さをコントロールできることがわかる。
(洗浄効果の確認)
次に、固定砥粒方式のスライス工程及びウェットブラスト処理のダメージ層形成工程を経た半導体ウェハの洗浄効果を確認すべく、以下のように半導体ウェハを製造した。尚、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例2)
多結晶シリコンインゴットから固定砥粒方式により、ウェハ厚みが180μmの多結晶シリコンウェハを切り出し、剥離処理を実施した後、その多結晶シリコンウェハを図5の条件1及び2にて片面にのみウェットブラスト処理を実施した。そして、水洗いを経て乾燥処理した後、多結晶シリコンウェハの表面状態を目視により観察した。すなわち、ウェットブラスト処理による洗浄効果を確認するために、仕上げ洗浄工程を省いた。
(比較例2)
多結晶シリコンインゴットから固定砥粒方式により、ウェハ厚みが180μmの多結晶シリコンウェハを切り出し、剥離処理を実施した後、その多結晶シリコンウェハを図5の条件1及び2にて片面にのみウェットブラスト処理を実施した。更に、ウェットブラスト処理後に仕上げ洗浄工程を実施し、乾燥処理した後、多結晶シリコンウェハの表面状態を目視により観察した。
比較例2で実施した仕上げ洗浄工程では、予備洗浄、リンス、アルカリ溶液洗浄、リンスを順番に経た後に温風による乾燥を行った。予備洗浄及びアルカリ溶液洗浄においては、アルカリ溶液中に多結晶シリコンウェハを浸し、超音波を放射した。使用したアルカリ溶液は、0.5〜5重量%のNaOHである。使用した超音波は、10〜100kHz、100〜500Wである。リンスにおいては、RO膜を使用して精製した純水中に多結晶シリコンウェハを浸し、超音波で放射した。リンス時間は、2〜5分である。温風による乾燥では、多結晶シリコンウェハを100度の温風に当てた。温風による乾燥時間は、2〜5分である。
(比較例3)
多結晶シリコンインゴットから固定砥粒方式により、ウェハ厚みが180μmの多結晶シリコンウェハを切り出し、剥離処理を実施した後、ウェットブラスト処理と仕上げ洗浄工程を施すことなく、水洗いを経て乾燥処理し、その結果を多結晶シリコンウェハの表面状態を目視により観察した。
(結果)
実施例2、比較例2、及び比較例3の観察結果を図9に示す。図9に示すように、実施例2と比較例2とを比べても表面の洗浄性に違いが見られなかった。すなわち、固定砥粒方式によって多結晶シリコンウェハを切り出した場合には、ウェットブラスト処理のみとして仕上げ洗浄工程を省いた製造方法と、ウェットブラスト処理後に仕上げ洗浄工程を加えた製造方法とにおいてゴミの付着の程度に違いが見られなかった。
一方、比較例3の観察結果に示されるように、ウェットブラスト処理と仕上げ洗浄工程を経なかった場合には、水洗いを経ても仕上げ洗浄工程が必要な程度にゴミの付着が見られた。
この結果、ウェットブラスト処理を経れば、スライス工程で発生するシリコンの切削屑、スライス工程で使用する有機系クーラントの残渣、及び剥離工程で使用する剥離液の残渣が洗い流されてしまうため、仕上げ洗浄工程を省けることが確認された。
なお、遊離砥粒方式で多結晶シリコンウェハを切り出した場合、ウェットブラスト処理を施しても、仕上げ洗浄工程を実施しないと残渣を取り除くことができなかった。これは、遊離砥粒方式のスライス工程によれば、スライス工程で発生するシリコンの切削屑、スライス工程で使用する有機系クーラントの残渣、及び剥離工程で使用する剥離液の残渣の他、スライス工程においてワイヤーソーの屑も加わるため、ウェットブラスト処理によって洗い流し切れないものと思われる。ウェットブラスト処理において、ノズルの走査を複数回繰り返せば、遊離砥粒方式においても一定の洗浄効果が見られると思われるが、ダメージ層の深さをコントロールすることが困難となるため、適切ではない。
また、ウェットブラスト処理に代えてドライブラスト処理を実施した場合には、スライス工程で発生するシリコンの切削屑、スライス工程で使用する有機系クーラントの残渣、及び剥離工程で使用する剥離液の残渣が乾燥して、多結晶シリコンウェハの表面に固着してしまっていた。すなわち、ウェットブラスト処理に比べて、ドライブラスト処理に洗浄効果を期待することはできない。
(効果)
以上のように、本実施形態の半導体ウェハの製造方法は、テクスチャー形成のために酸によるエッチングが施される前の半導体ウェハの製造方法であって、以下の工程を含むことを特徴とする。
(1)表面に砥粒を分散固定した芯線によって結晶性インゴットを切削することで、半導体ウェハを切り出す固定砥粒方式のスライス工程
(2)固定砥粒方式のスライス工程の後、半導体ウェハの表面に対して液体と砥粒とのスラリを噴射することで、半導体ウェハの表面全体にダメージ層を形成するウェットブラスト方式のダメージ層形成工程
(3)ダメージ層形成処理の次に、前記半導体ウェハを乾燥させる乾燥工程。
これにより、固定砥粒方式で半導体ウェハを切り出しても表面全体にダメージ層を形成することができ、酸によるエッチング処理を施してもテクスチャーの形成が可能となる。従って、遊離砥粒方式と比べて一つの結晶性インゴットから多くの半導体ウェハを切り出すことが可能となり、太陽電池用の半導体ウェハの製造コストを削減することが可能となる。
また、固定砥粒方式によるスライス工程とウェットブラスト処理によるダメージ層形成工程とを組み合わせることにより、スラリに含まれる砥粒の粒径を変更することでテクスチャーの凹凸密度を自在に設計でき、また、スラリに含まれる砥粒の粒径を変更することでダメージ層の深さを自在に設計することが可能となる。
また、固定砥粒方式によるスライス工程とウェットブラスト処理によるダメージ層形成工程とを組み合わせることにより、ウェットブラスト処理に洗浄効果が現れるため、ダメージ層形成工程と乾燥工程との間において仕上げ洗浄処理工程を省くことができ、太陽電池用の半導体ウェハの製造コストを更に削減すること可能となる。
以上のように、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これら新規な実施形態は、そのほかの様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10 ワイヤーソー
11a 回転ローラ
11b 回転ローラ
12 支持板
13 バスケット
14 剥離液
15 ノズル

Claims (3)

  1. テクスチャー形成のために酸によるエッチングが施される前の半導体ウェハの製造方法であって、
    表面に砥粒を分散固定した芯線によって結晶性インゴットを切削することで、前記半導体ウェハを切り出す固定砥粒方式のスライス工程と、
    前記固定砥粒方式のスライス工程の後、前記半導体ウェハの少なくとも片面に対して液体と砥粒とのスラリを噴射することで、前記半導体ウェハにダメージ層を形成するウェットブラスト方式のダメージ層形成工程と、
    前記ダメージ層形成処理の次に、前記半導体ウェハを水洗い洗浄する洗浄工程と、
    前記洗浄工程の次に、前記半導体ウェハを乾燥させる乾燥工程と、
    を含み、
    前記洗浄工程では、前記半導体ウェハの溶剤による仕上げ洗浄処理工程が省かれること、
    を特徴とする半導体ウェハの製造方法。
  2. 前記ダメージ層形成工程では、
    前記テクスチャーの目的の凹凸密度に応じて前記スラリに含まれる砥粒の粒径を変更すること、
    を特徴とする請求項1記載の半導体ウェハの製造方法。
  3. 前記ダメージ層形成工程では、
    形成しようとする前記ダメージ層の深さに応じて前記スラリに含まれる砥粒の粒径を変更すること、
    を特徴とする請求項1又は2記載の半導体ウェハの製造方法。
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