JP5510111B2 - ドレン回収設備 - Google Patents

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本発明は、ドレン回収設備に関する。
周知のように、熱媒として利用されて潜熱を失った蒸気の一部は凝縮して高圧高温の復水(ドレン)となるが、このドレンを単に排水するのではエネルギー効率の観点から好ましくない。そこで、近年では、ドレンをフラッシュタンクに回収・導入して再蒸発させてフラッシュ蒸気と温水とに気液分離し、これらフラッシュ蒸気及び温水を熱媒として再利用することが主流となっている。
例えば、下記特許文献1には、蒸気需要設備から排出されるドレンと蒸気との気液混合流体をフラッシュタンクに導入してフラッシュ蒸気と温水とに気液分離し、このフラッシュタンクから得られるフラッシュ蒸気を圧縮機によって圧縮した後、蒸気需要設備の蒸気供給ラインに還流させる技術が開示されている。
特開2008−255888号公報
上記特許文献1の技術では、フラッシュタンクから得られるフラッシュ蒸気を蒸気需要設備の蒸気供給ラインに還流させるための圧縮機を設ける必要があるため、設備コストの増大を招くという問題がある。また、圧縮機の回転動力を得るためのエネルギーが別途必要となるため、ドレンの回収及び再利用によるエネルギー効率の改善効果を十分に得ることができない。
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、ドレンの回収及び再利用を低コスト且つ省エネルギーで実現可能なドレン回収設備を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明では、ドレン回収設備に係る第1の解決手段として、上流側の蒸気利用設備から回収したドレンを再蒸発させてフラッシュ蒸気と温水とに気液分離すると共に、前記フラッシュ蒸気を下流側の蒸気利用設備に供給するフラッシュタンクを複数具備し、前記フラッシュタンクの各々は前記蒸気利用設備を介して直列に多段接続されており、1段目のフラッシュタンクの上流側の蒸気利用設備はボイラーから蒸気の供給を受け、最終段のフラッシュタンクは前記フラッシュ蒸気を前記ボイラーのボイラー給水ラインに供給する、ことを特徴とする。
また、本発明では、ドレン回収設備に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記フラッシュタンクの各々は、前記温水を温水利用設備に供給することを特徴とする。
さらに、本発明では、ドレン回収設備に係る第3の解決手段として、上記第2の解決手段において、最終段のフラッシュタンクは、前記温水を前記温水利用設備と前記ボイラー給水ラインとに供給することを特徴とする。
本発明に係るドレン回収設備によれば、ドレンの回収及び再利用に従来技術のような別途エネルギーが必要な圧縮機などを用いる必要がないため、ドレンの回収及び再利用を低コスト且つ省エネルギーで実現することができる。
本実施形態におけるドレン回収設備Aの構成概略図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態におけるドレン回収設備Aの構成概略図である。この図1に示すように、ドレン回収設備Aは、給水タンク1、ボイラー2、第1の蒸気利用設備3、第1のフラッシュタンク4、第1の温水バルブ5、第1のレベル計コントローラ6、第2の蒸気利用設備7、第2のフラッシュタンク8、第2の温水バルブ9、及び第2のレベル計コントローラ10から構成されている。
なお、図1において、実線の矢印は流体(気体及び液体を含む)の流れを示し、破線の矢印は電気信号の流れを示している。
給水タンク1は、ボイラー2に供給すべき蒸気生成用の水を貯留するタンクであり、ボイラー給水ラインL1を介してボイラー2と接続されている。この給水タンク1の内部には給水ポンプが設置されており、給水タンク1に貯留された水は給水ポンプによって汲み出されてボイラー給水ラインL1を介してボイラー2に供給される。
ボイラー2は、ボイラー給水ラインL1を介して給水タンク1から供給される水を加熱して高圧高温の蒸気を生成するものであり、蒸気供給ラインL2を介して第1の蒸気利用設備3と接続されている。ボイラー2で生成された蒸気は、この蒸気供給ラインL2を介して第1の蒸気利用設備3に供給される。
第1の蒸気利用設備3は、ボイラー2から供給される蒸気を熱媒として利用するものであり、例えば複数の熱交換器3aから構成されている。各熱交換器3aにおいて、熱媒として利用されて潜熱を失った蒸気の一部は凝縮してドレンとなって排出される。各熱交換器3aは第1の回収ラインL3を介して第1のフラッシュタンク4と接続されており、各熱交換器3aから排出されるドレンと蒸気(凝縮しなかった蒸気:温度270°C、圧力6.2MPaG程度)との混合流体は第1の回収ラインL3を介して第1のフラッシュタンク4に導入される。
第1のフラッシュタンク4は、第1の蒸気利用設備3(第1のフラッシュタンク4からみて上流側の蒸気利用設備)から導入された(回収した)ドレンと蒸気との混合流体を再蒸発させて中圧中温のフラッシュ蒸気と温水とに気液分離するものであり、第1のフラッシュ蒸気供給ラインL4を介して第2の蒸気利用設備7(第1のフラッシュタンク4からみて下流側の蒸気利用設備)と接続されていると共に、第1の温水供給ラインL5を介して不図示の温水利用設備と接続されている。なお、この温水利用設備は、プラント内の暖房設備や他の熱交換器など、温水を熱媒として利用できるものであれば何でも良い。
第1のフラッシュタンク4内で発生した中圧中温のフラッシュ蒸気(温度200°C、圧力1.5MPaG程度)は、第1のフラッシュ蒸気供給ラインL4を介して第2の蒸気利用設備7に供給される。また、第1のフラッシュタンク4内の下部に溜まった温水は、第1の温水供給ラインL5を介して温水利用設備に供給される。
この第1の温水供給ラインL5の途中には電磁弁である第1の温水バルブ5が介挿されており、第1のフラッシュタンク4内の温水貯留量が許容値を上回ると、第1のレベル計コントローラ6の制御によって第1の温水バルブ5が開放されて、温水が第1のフラッシュタンク4から第1の温水供給ラインL5を介して温水利用設備に供給される。
第2の蒸気利用設備7は、第1のフラッシュタンク4から供給されるフラッシュ蒸気を熱媒として利用するものであり、例えば複数の熱交換器7aから構成されている。各熱交換器7aにおいて、熱媒として利用されて潜熱を失ったフラッシュ蒸気の一部は凝縮してドレンとなって排出される。各熱交換器7aは第2の回収ラインL6を介して第2のフラッシュタンク8と接続されており、各熱交換器7aから排出されるドレンとフラッシュ蒸気(凝縮しなかったフラッシュ蒸気)との混合流体は第2の回収ラインL6を介して第2のフラッシュタンク8に導入される。
第2のフラッシュタンク8は、第2の蒸気利用設備7(第2のフラッシュタンク8からみて上流側の蒸気利用設備)から導入された(回収した)ドレンとフラッシュ蒸気との混合流体を再蒸発させて低圧低温のフラッシュ蒸気と温水とに気液分離するものであり、第2のフラッシュ蒸気供給ラインL7を介してボイラー給水ラインL1と接続されていると共に、第2の温水供給ラインL8を介して不図示の温水利用設備及びボイラー給水ラインL1と接続されている。
第2のフラッシュタンク8内で発生した低圧低温のフラッシュ蒸気(温度110°C、圧力0.05MPaG程度)は、第2のフラッシュ蒸気供給ラインL7を介してボイラー給水ラインL1に供給される。また、第2のフラッシュタンク8内の下部に溜まった温水は、第2の温水供給ラインL8を介して温水利用設備及びボイラー給水ラインL1に供給される。
この第2の温水供給ラインL8の途中には電磁弁である第2の温水バルブ9が介挿されており、第2のフラッシュタンク8内の温水貯留量が許容値を上回ると、第2のレベル計コントローラ10の制御によって第2の温水バルブ9が開放されて、温水が第2のフラッシュタンク8から第2の温水供給ラインL8を介して温水利用設備及びボイラー給水ラインL1に供給される。
このように、本実施形態におけるドレン回収設備Aでは、ボイラー2で生成された高圧高温の蒸気を熱媒として第1の蒸気利用設備3で利用した後、ドレン及び未凝縮蒸気の混合流体として第1のフラッッシュタンク4に回収し、中圧中温のフラッシュ蒸気と温水とに気液分離する。そして、第1のフラッシュタンク4からフラッシュ蒸気を第2の蒸気利用設備7に送って熱媒として再利用する一方、温水を温水利用設備に送ってプラント内の暖房等に再利用する。
さらに、第1のフラッッシュタンク4で生成されたフラッシュ蒸気を熱媒として第2の蒸気利用設備7で再利用した後、ドレン及び未凝縮蒸気の混合流体として第2のフラッシュタンク8に回収し、低圧低温のフラッシュ蒸気と温水とに気液分離する。この最終段の第2のフラッシュタンク8で得られる低圧低温のフラッシュ蒸気は、もはや熱媒としての再利用が困難であるため、第2のフラッシュ蒸気供給ラインL7を介してボイラー給水ラインL1に送ってボイラー2用の水として再利用する。また、最終段の第2のフラッシュタンク8で得られる温水も温水利用設備だけでなく、ボイラー給水ラインL1に送ってボイラー2用の水として再利用する。
以上のように、本実施形態におけるドレン回収設備Aによれば、ドレンの回収及び再利用に従来技術のような別途エネルギーが必要な圧縮機などを用いる必要がないため、ドレンの回収及び再利用を低コスト且つ省エネルギーで実現することができる。また、最終段の第2のフラッシュタンク8で得られるフラッシュ蒸気及び温水をボイラー給水ラインL1に送ることにより、ボイラー2の給水温度が上昇するため、ボイラー2で使用される燃料を削減できるという効果も得られる。
なお、上記実施形態では、2つのフラッシュタンクが蒸気利用設備を介して直列に2段接続されている場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されず、3つ以上のフラッシュタンクが蒸気利用設備を介して直列に多段接続されている構成を採用しても良い。
A…ドレン回収設備、1…給水タンク、2…ボイラー、3…第1の蒸気利用設備、4…第1のフラッシュタンク、5…第1の温水バルブ、6…第1のレベル計コントローラ、7…第2の蒸気利用設備、8…第2のフラッシュタンク、9…第2の温水バルブ、10…第2のレベル計コントローラ、L1…ボイラー給水ライン、L2…蒸気供給ライン、L3…第1の回収ライン、L4…第1のフラッシュ蒸気供給ライン、L5…第1の温水供給ライン、L6…第2の回収ライン、L7…第2のフラッシュ蒸気供給ライン、L8…第2の温水供給ライン

Claims (3)

  1. 上流側の蒸気利用設備から回収したドレンを再蒸発させてフラッシュ蒸気と温水とに気液分離すると共に、前記フラッシュ蒸気を下流側の蒸気利用設備に供給するフラッシュタンクを複数具備し、
    前記フラッシュタンクの各々は前記蒸気利用設備を介して直列に多段接続されており、
    1段目のフラッシュタンクの上流側の蒸気利用設備はボイラーから蒸気の供給を受け、
    最終段のフラッシュタンクは前記フラッシュ蒸気を前記ボイラーのボイラー給水ラインに供給する、
    ことを特徴とするドレン回収設備。
  2. 前記フラッシュタンクの各々は、前記温水を温水利用設備に供給することを特徴とする請求項1に記載のドレン回収設備。
  3. 最終段のフラッシュタンクは、前記温水を前記温水利用設備と前記ボイラー給水ラインとに供給することを特徴とする請求項2に記載のドレン回収設備。
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