JP5972240B2 - ドレン回収設備とその運転方法およびドレン回収設備を用いた熱利用システム - Google Patents
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Description
以下、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係るドレン回収設備とその運転方法および前記ドレン回収設備を用いた熱利用システムを説明する。
次に、上記ドレン回収設備A1の運転方法の一つの選択肢を説明する。最初に、ボイラ10が高圧蒸気を生成している状態下において、フラッシュタンク40内およびフラッシュタンク40に係る配管系(具体的には、図1において点線で囲まれる領域)に対する減圧処理を行い、系内を負圧状態とする。手順的には、蒸気トラップ60A、60Bを閉じた状態に維持しておき、ドレン配管31に取り付けた開閉弁33を閉、バイパス配管24に取り付けた開閉弁25を開として、第1分岐配管14に取り付けた開閉弁17を開く。それにより、ボイラ10で発生した高圧蒸気は第1分岐配管14を通ってフラッシュタンク40内に流入する。
ドレン回収設備A1の運転方法として次のような方法も選択することができる。すなわち、上記した運転方法の選択その1では、第1の熱負荷装置30内にボイラ10で発生した高圧蒸気が流入しており、第1の熱負荷装置30からはドレン水およびドレン水から発生した同圧のフラッシュ蒸気の混合流体が流れ出ている状態を前提としたが、図示しない開閉弁を第1の熱負荷装置30の直上流部に設け、該開閉弁を閉じた状態(すなわち、第1の熱負荷装置30にはボイラ10で発生した高圧蒸気が流入しない状態)で、前記した空気抜き作業(閉鎖された系内を負圧状態とする準備工程)を行うようにしてもよい。そして、系内に所要の負圧状態が確立した後に、第1分岐配管14に設けた開閉弁17は閉じた状態を維持し、図示しない開閉弁を開くことで、第1の熱負荷装置30内にボイラ10で発生した高圧蒸気を導入する。
次に、図2を参照して、本発明の第2の実施の形態に係るドレン回収設備A2を説明する。第2の実施の形態に係るドレン回収設備A2は、第2の熱負荷装置である空気加熱器50においてフラッシュ蒸気と熱交換して加熱された空気が流入する図1における高温空気利用部52が、図2ではボイラ10の燃焼用空気の加熱装置である点で、第1の実施の形態であるドレン回収設備A1と相違する。この態様では、空気加熱器50は空気予熱器として機能するので、以下では空気予熱器50ということとする。他の構成および運転時の作動等は、ドレン回収設備A1の場合と同じであり、対応する部材には同じ符号を付すことで、説明は省略する。
ドレン回収設備A2では、フラッシュ蒸気からの回収熱を、蒸気発生装置であるボイラ10の蒸気生成熱の一部として利用するものであり、ボイラとしての熱効率を向上させることができる。
図示しないが、フラッシュタンク40から第2の熱負荷装置50までの閉鎖された系内に負圧を発生させる手段として、上記第1および第2の実施の形態では、第1分岐配管14とそこに配置した減圧弁16および開閉弁17、およびフラッシュタンク40等に取り付けた空気抜き弁41とからなる手段を示したが、前記閉鎖された系内に負圧を発生させる手段はこれに限ることはなく、例えば真空ポンプを用いて系内を負圧にまで脱気するような手段であってもよい。真空ポンプを用いる場合には、真空ポンプを作動させて前記閉鎖された系内に所要の負圧が確立した後、負圧となった前記閉鎖された系内に、第1の熱負荷装置で発生するドレンを導入するとともに、真空ポンプの作動を停止することで、ドレン回収設備の運転を開始する。
次に、実施例と比較例により、本発明の優位性を説明する。本発明者らは、図1に示したドレン回収設備A1を用いて実験を行った。図3は実験を行ったドレン回収設備A1を示しており、適所に適数の圧力計Pと温度計Tを配置して、圧力と温度を測定した。
P1:系内圧力測定用の圧力計(測定値はゲージ圧)、
T2:フラッシュタンク40内の温度を測定する温度計、
T3:空気予熱器50に流入する直前のフラッシュ蒸気の温度を測定する温度計、
T4:戻り配管23内を流れる温水温度を測定する温度計、
T5:空気予熱器50に流入する環境空気の温度を測定する温度計、そして、
T6:空気予熱器50で予熱(加熱)された後の空気の温度を測定する温度計
を示している。
試験1(比較例)(系内からの空気抜きを行わない実験)は、高圧高温ドレンの条件が整った後に、直ちに系内に高圧高温ドレンを導入して実験を開始した。試験2(比較例)は、試験1を開始して70分経過後に系内(加圧状態にあった)のガスを排出し(空気を追い出し)、その後の状況を確認した。空気の追い出しは加圧状態にあったので空気抜き弁手前の開閉弁を開けて空気抜きを作動させた。
表1からわかるように、試験1(比較例)のように、系内の空気抜き(負圧までの減圧処理)を実施しないと、フラッシュタンク内を含む系内圧力は100kPaGを超えており、フラッシュタンク内温度も100℃以上となっている。そのために、70分経過後であっても、空気予熱後の空気温度が上昇しないとともに、フラッシュタンクから出てくる第1のドレン水の温度も100℃以上となっている。このことは、フラッシュタンクでのフラッシュ率(単位重量のドレンから発生するフラッシュ蒸気の重量)が小さいことを意味しており、十分な熱利用が行われていないことがわかる。また、第1のドレン水が大気開放の給水タンクに排出することとなり、環境負荷ともなっていることがわかる。
10…ボイラ、
12…蒸気ヘッダー、
13…蒸気配管、
14…第1分岐配管、
15…第2分岐配管、
16…減圧弁、
17…開閉弁、
18…減圧弁、
20…給水タンク、
23…戻り配管、
24…バイパス配管、
25…開閉弁、
30…第1の熱負荷装置、
31…配管(高圧高温ドレン用配管)、
32…トラップ、
33…開閉弁、
40…フラッシュタンク、
41…空気抜き弁、
42…配管(フラッシュ蒸気用配管)
50…第2の熱負荷装置の一例である空気加熱器または空気予熱器、
51…ダクト、
52…高温空気利用部。
Claims (7)
- 蒸気発生装置と、前記蒸気発生装置が発生した蒸気を利用する第1の熱負荷装置と、前記第1の熱負荷装置から発生するドレンを再蒸発させてフラッシュ蒸気と第1のドレン水とに気水分離するフラッシュタンクと、前記フラッシュタンクで発生した前記フラッシュ蒸気を利用する第2の熱負荷装置と、前記フラッシュタンクで発生する第1のドレン水と前記第2の熱負荷装置を通過することによって前記フラッシュ蒸気が凝縮した第2のドレン水とを回収するドレン水回収タンクを備えたドレン回収設備であって、
前記ドレン回収設備は、配管系を閉鎖系に維持できるようにされており、前記フラッシュタンクから前記第2の熱負荷装置までの閉鎖された系内に負圧を発生させる手段をさらに備えることを特徴とするドレン回収設備。 - 請求項1に記載のドレン回収設備であって、前記閉鎖された系内に負圧を発生させる手段は、前記閉鎖された系内に蒸気発生装置が発生した蒸気を導入する蒸気導入手段と閉鎖された系内の空気を系外に排出する空気抜き弁とを備え、閉鎖された系内に蒸気を導入することによって空気抜き弁から系内の空気を追い出して系内を蒸気で充満させるとともに、放熱によって系内の蒸気が凝縮することで閉鎖された系内に負圧が形成されることを特徴とするドレン回収設備。
- 請求項1または2に記載のドレン回収設備であって、前記第2の熱負荷装置は環境空気または適宜の生産用加熱空気と熱交換して該環境空気を加熱または生産用加熱空気を再加熱する空気加熱器であることを特徴とするドレン回収設備。
- 請求項1ないし3のいずれか一項に記載のドレン回収設備であって、前記ドレン水回収タンクは前記蒸気発生装置への給水タンクであることを特徴とするドレン回収設備。
- 請求項1ないし4のいずれか一項に記載のドレン回収設備の運転方法であって、前記閉鎖された系内に負圧を生じさせる手段を作動して前記閉鎖された系内を負圧状態とする準備工程を有し、前記準備工程を行うことで負圧となった前記閉鎖された系内に、前記第1の熱負荷装置で発生するドレンを導入することによって、ドレン回収設備の運転を開始することを特徴とするドレン回収設備の運転方法。
- 請求項3または4に記載のドレン回収設備を用いた熱利用システムであって、前記第2の熱負荷装置である空気加熱器を適宜の燃焼機器の燃焼空気の予熱のために用いることを特徴とするドレン回収設備を用いた熱利用システム。
- 前記蒸気発生装置が燃焼方式のボイラである場合での請求項3または4に記載のドレン回収設備を用いた熱利用システムであって、前記第2の熱負荷装置である空気加熱器を前記ボイラの燃焼用空気の予熱のために用いることを特徴とするドレン回収設備を用いた熱利用システム。
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