以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。本発明の一実施形態に係る画像形成装置としてのインクジェット記録装置について図1ないし図3を参照して説明する。なお、図1は同記録装置の概略正面説明図、図2は同じく概略平面説明図、図3は同じく概略側面説明図である。
このインクジェット記録装置は、本体フレーム1に立設された左右の側板1L、1Rに横架したガイド部材であるガイドロッド2と、本体フレーム1に横架される後フレーム1Bに取付けられたガイドレール3とで、キャリッジ4を主走査方向(ガイドロッド長手方向)に摺動自在に保持し、キャリッジ4を図示しない主走査モータとタイミングベルトによってガイドロッド2の長手方向(主走査方向)に移動走査する。
このキャリッジ4には、例えば、ブラック(K)のインク滴を吐出する液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド10Kと、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のインク滴を吐出する液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド10Cが搭載され、記録ヘッド10は複数のインク吐出口(ノズル)を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。記録ヘッド10Cは、少なくとも独立したCMYのインク滴を吐出する少なくとも3列のノズル列を有している。なお、以下では、記録ヘッド10K、記録ヘッド10内のC、M、Yの各色に対応する各ノズル列を、特に注記しない限り、「記録ヘッド10」と称する。
ここで、記録ヘッド10は、図4に示すように発熱体基板12と液室形成部材13から構成され、ヘッドベース部材19に形成された流路から共通流路17及び液室(個別流路)16に順次供給されるインクを液滴として吐出する。この記録ヘッド10は、発熱体14の駆動によるインクの膜沸騰により吐出圧を得るサーマル方式のものであり、液室16内の吐出エネルギー作用部(発熱体部)へのインクの流れ方向とノズル15の開口中心軸とを直角となしたサイドシュータ方式の構成のものである。
なお、記録ヘッドとしては、圧電素子を用いて振動板を変形させ、また、静電力で振動板を変形させて吐出圧を得るものなど様々な方式があり、いずれの方式のものも本発明に係る画像形成装置に適用することができる。
また、サーマル方式のヘッドの中には、他にも吐出方向が異なるエッジシュータ方式があるが、このエッジシュータ方式においては気泡が消滅する際の衝撃により発熱体14を徐々に破壊する、いわゆるキャビテーション現象の問題がある。これに対し、上述したサイドシュータ方式においては気泡が成長し、その気泡がノズル15に達すれば気泡が大気に通じることになり温度低下による気泡の収縮が起こらない。そのため、記録ヘッドの寿命が長いという長所を有する。また、発熱体14からのエネルギーをより効率良くインク滴の形成とその飛行の運動エネルギーへと変換でき、またインクの供給によるメニスカスの復帰も速いという構造上の利点を有する。したがって、本インクジェット記録装置においてはサイドシュータ方式の記録ヘッドを採用している。
一方、キャリッジ4の下方には、記録ヘッド10によって画像が形成される用紙20が主走査方向と垂直方向(副走査方向)に搬送される。図3に示すように、用紙20は、搬送ローラ21と押えコロ22で挟持されて、記録ヘッド10による画像形成領域(印字部)に搬送され、印写ガイド部材23上に送られ、排紙ローラ対24で排紙方向に送られる。
このとき、主走査方向へのキャリッジ4の走査と記録ヘッド10からのインク吐出を画像データに基づいて適切なタイミングで同調させ、用紙20に1バンド分の画像を形成する。1バンド分の画像形成が完了した後、副走査方向に用紙20を所定量送り、前述と同様の記録動作を行う。これらの動作を繰り返し行い、1ページ分の画像形成を行なう。
一方、記録ヘッド10の上部には吐出するインクを一時的に貯留するためのインク室が形成されたサブタンク(バッファタンク、ヘッドタンクともいう。)30が一体的に接続される。ここでいう「一体的」とは、記録ヘッド10とサブタンク30がチューブ、管等で接続されることも含んでおり、どちらも一緒にキャリッジ4に搭載されているという意味である。
このサブタンク30には、装置本体側の主走査方向の一端部側に設けられたカートリッジホルダ77に着脱自在に装着される各色のインクを収容した液体タンクであるインクカートリッジ(メインタンク)76からインク供給経路の一部を形成するチューブ部材であって第1の流路を形成する液体供給チューブ41を介して、各色のインクが供給される。
また、装置本体の主走査方向の他端部側には記録ヘッド10の維持回復を行う維持回復機構51が配置されている。この維持回復機構51は、記録ヘッド10のノズル面をキャッピングする吸引及び保湿用のキャップ52a及び保湿用のキャップ52bと、キャップ52b内を吸引する吸引手段である吸引ポンプ53と、吸引ポンプ53で吸引されたインクの廃液(廃インク)を排出する排出経路54などを含み、排出経路54から排出される廃液は本体フレーム1側に配置された廃液タンク56に排出される。この維持回復機構51にはキャップ52を記録ヘッド10のノズル面に対して進退移動(この例では昇降)させる図示しない移動機構を備えている。また、後述する図8に示すように、維持回復機構51には、記録ヘッド10のノズル面をワイピングするワイパ部材57をワイピングユニット58にて保持してノズル面に対して進退可能に配設している。
次に、このインクジェット記録装置に適用したインク供給系(インク供給システム)について図5ないし図9をも参照して説明する。なお、図5は同インク供給システムのカートリッジホルダ部分の説明図、図6は同じくポンプユニットの説明図、図7は同じく圧力制御ユニットの説明図、図8は同インク供給システムの全体構成を説明する概略構成図である。
まず、サブタンク30は、インク供給チューブ41の一端部が接続される。インク供給チューブ41の他端部は、図1及び図2に示すように本体据え置きのカートリッジホルダ77に接続される。
カートリッジホルダ77には、インクカートリッジ76と、送液手段であるポンプユニット80と、圧力制御ユニット81が接続されている。
カートリッジホルダ77の内部には、図5に示すように、各色のインクに対応して分岐流路74と流路70、79が形成され、ポンプユニット80に連通するポンプ接続ポート73a、73bと、圧力制御ユニット81に連通する圧力制御ポート72a、72b、72cを備えている。また、ポンプ接続ポート73aと圧力制御ポート72cとは内部流路70で連通している。
ポンプユニット80は、図6に示すように、カートリッジホルダ77のポンプ接続ポート73a、73bとそれぞれ連通するポート85a、85bと、これらのポート85a、85bに連通するポンプ78を備えている。ポンプ78としては、チュービングポンプやダイヤフラムポンプ、ギアーポンプなど様々なポンプを適用することができる。図6のポンプユニット80においては、4色のインクに対応して4つのポンプ78K、78C、78M、78Yを備えているが、これらの4つのポンプは1つのモータ82で連動して駆動する構成としている。
圧力制御ユニット81は、図7に示すように、カートリッジホルダ77の圧力制御ポート72a、72b、72cとそれぞれ連通するポート86a、86b、86cと、これらのポート86a、86b、86cに連通する圧力調整弁である流路抵抗可変ユニット83を備えている。
次に、インク供給システムの全体構成及び動作について図8に示す概略構成図を参照して説明する。なお、図8ではインク供給システムの動作、作用の理解をしやすいように1つの液体吐出ヘッド(記録ヘッド)10に接続する主要構成要素のみを表している。
このインク供給システムは、記録ヘッド10に供給するインクを貯留するインクカートリッジ76と、記録ヘッド10にインクを供給する第1の流路である液体供給チューブ41と、インクカートリッジ76に連通する第2の流路42と、第1の流路である液体供給チューブ41と第2の流路42を連通させる圧力調整弁である流路抵抗可変ユニット83を含む圧力制御ユニット81と、第2の流路42と圧力制御ユニット81とを連通する第3の流路43と、第3の流路43に設けられる送液手段であるポンプ78とを有している。
ここで、流路抵抗可変ユニット83は、内部を流れる液体の流れ方向や流量によって流路抵抗が変化する特性を有するものである。この流路抵抗可変ユニット83は、例えば図9に示すように、流路形成部材である管部材(ハウジング)87と、管部材87の流路内に自由状態で移動可能に収容された可動部材である弁体88とを有している。
管部材87は、第1の流路となる液体供給チューブ41を接続するポート86aと、第2の流路42を接続するポート86bと、第3の流路43を接続するポート86cとを有している。弁体88は、液体の流れの方向において径の異なる段部を有する段付き軸形状部材であり、上部88t、中央部88m、下部88bの少なくとも3つの段部要素を有し、中央部88mの径が下部88bよりも小径に形成されている。この弁体88は、管部材87の内部で移動可能とされ、内部の流れの状態等に応じて、図9(a)の位置、図9(b)の位置、あるいはその中間の位置をとる。
ここで、弁体88の上部88tには、図10にも示すように、インクの流れ方向に沿う方向に、第1の流路41と第3の流路43とを連通する連通路であって第1の絞り部となる貫通穴84が設けられている。また、弁体88の下部88bと管部材87の流路部分87bとの間で第2の絞り部182が形成され、弁体88が上述したように内部の流れの状態等に応じて移動することにより、第2の絞り部182の絞り量が変化する。
なお、ここでは、図10に示すように、貫通穴84を弁体88の中心軸回りに4等分して均等に配置したが、穴の大きさを小さくして穴の数を増やしたり、逆に穴を大きくして穴の数を減らしたりすることも適宜可能である。ただし、記録ヘッド10からのインク吐出による流れを利用して、まっすぐ弁体88を移動させるという点で、貫通穴84は弁体上部88tに周方向で均等に配置することが好ましい。
そして、管部材87には、弁体88の中央部88mの位置、すなわち、第1の絞り部181と第2の絞り部182との間に第3の流路43の一部となる横穴(ポート)86cが形成されている。
図8に戻って、インクカートリッジ76には大気連通部90が設けられており、インクカートリッジ76内の液面が記録ヘッド10のノズル面よりも低い位置になるように配置されている。これにより、インクがインク供給全経路に満たされている状態では、記録ヘッド10とインクカートリッジ76の液面の水頭差hにより、記録ヘッド10は負圧に保持されるので、安定して記録ヘッド10からインク滴吐出を行うことができる。
ここで、前述した図9を参照して本インク供給システムのアシスト原理について説明する。
図9(a)は記録ヘッド10から滴吐出を行っていない状態、あるいは、吐出流量が少ない条件での流路抵抗可変ユニット83の状態を示している。この状態では、弁体88はポート86b側にある。図9(a)に示すように、管部材87と弁体88の下部88bの間のギャップGbと、第1の絞り部となる貫通穴84との流体抵抗の総和が管部材87と弁体88の上部88tのギャップGtの流体抵抗よりも大きいこと、更に、ポート86aの先には図8に示すように流体抵抗の大きい液体供給チューブ41やフィルタ109があるため、矢印Qaで示すポンプ78によって送液されたインクは、流れやすいポート86b側に流れる(矢印C)。したがって、ポンプ78によって発生するインクの流れは、図8におけるポンプユニット80と流路抵抗可変ユニット83で形成されるループ経路内を循環するだけであり、液体吐出ヘッド10の圧力にはほとんど影響を与えない。
一方、図9(b)は記録ヘッド10の吐出流量が多い条件での流路抵抗可変ユニット83の状態を示している。管部材87と弁体88の上部88tのギャップGtが狭く、第1の絞り部である管通穴84を通る、矢印Qhで示す記録ヘッド10からの滴吐出によるインクの流れによって、弁体88がポート86a側(第1の流路側)に引かれ弁体88が移動する(図で上方向に移動する。)。これにより、弁体88の下部88bが管部材87の小径部(流路部分87b:第2の絞り部182)に移動し、管部材87と弁体88の下部88bの間のギャップは小さいギャップGb1となる。矢印Qaで示すようにポンプ78によって送液されるインクは、この狭いギャップGb1を流れようとする(矢印D)ので、圧力が発生する。この圧力が、記録ヘッド10にインクが流れる際に発生する圧力損失を低減させ、大流量のインク供給を実現することができる。
この流路抵抗可変ユニット83では、記録ヘッド10の吐出流量が増して圧力損失が大きくなる条件ほど、弁体88の下部88bの周面と管部材87の流路部分87bとのインクの流れ方向の対向長さ(第2の絞り部182の長さ)が長くなって、弁体88の下部88bと管部材87の狭ギャップGb1の長さが長くなり、よりポンプ(アシストポンプ)78による増圧効果を大きくする。これにより、従来のように流量調整弁を他のアクチュエータ等で制御する煩雑さがなく、簡易な構成で自動的に安定したインク供給を実現することができる。
次に、この画像形成装置の制御部の概要について図11を参照して説明する。なお、図11は同制御部の全体ブロック説明図である。
この制御部500は、この装置全体の制御を司るアシスト動作及び維持回復動作に関する制御を行う手段を兼ねるCPU501と、CPU501が実行するプログラム、その他の固定データを格納するROM502と、画像データ等を一時格納するRAM503と、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリ504と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC505とを備えている。
また、記録ヘッド10を印字データに応じて駆動制御するための印刷制御部508と、キャリッジ4側に設けた記録ヘッド10を駆動するためのヘッドドライバ(ドライバIC)509と、キャリッジ4を移動走査する主走査モータ551、用紙20を搬送する搬送21を回転駆動させる副走査モータ552、維持回復機構51のキャップ52a、52abやワイパ部材57などを昇降させるキャップ昇降機構513を作動する維持回復モータ512を駆動するためのモータ駆動部512と、維持回復機構51の吸引ポンプ53及びアシスト用ポンプ78を駆動するポンプ駆動部511などを備えている。
また、この制御部500には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル514が接続されている。
この制御部500は、ホスト側とのデータ、信号の送受を行うためのI/F506を持っていて、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、イメージスキャナなどの画像読み取り装置、デジタルカメラなどの撮像装置などのホスト600側から、ケーブル或いはネットワークを介してI/F506で受信する。
そして、制御部500のCPU501は、I/F506に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC505にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行い、この画像データを印刷制御部508からヘッドドライバ509に転送する。なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成はホスト600側のプリンタドライバ601で行っている。
印刷制御部508は、上述した印字データをシリアルデータで転送するとともに、この印字データの転送及び転送の確定などに必要な転送クロックやラッチ信号、制御信号などをヘッドドライバ509に出力する。ヘッドドライバ509は、シリアルに入力される記録ヘッド10の1行分に相当する印字データに基づいて発熱素子14を駆動する。
I/O部515は、装置に装着されている各種のセンサ群516からの情報を取得し、プリンタの制御に必要な情報を抽出し、印刷制御部508やモータ駆動部510の制御に使用する。センサ群515は、用紙の位置を検出するための光学センサや、機内の温度を監視するためのサーミスタ、帯電ベルトの電圧を監視するセンサ、カバーの開閉を検出するためのインターロックスイッチなどがあり、I/O部515は様々のセンサ情報を処理することができる。また、環境条件(温度及び湿度)を検知する温湿度センサからの検知信号、廃液タンク56の満タンを検知する満タン検知センサの検知信号も入力される。
次に、上記インク供給システムを使用した制御部によるインク初期充填動作について図12のフロー図を参照して説明する。
インクカートリッジ76が装着済であることが確認された後、記録ヘッド10のノズル面を維持ユニット51のキャップ52でキャッピングする。このキャッピング状態で吸引ポンプ53を駆動し、記録ヘッド10のノズルを介してインク供給系路内の空気を吸引する(ノズル吸引開始)。そして、このノズル吸引は、ノズル吸引の開始から所定時間が経過した時まで行う。所定時間吸引を行うことにより、インクカートリッジ76内のインクが第1の流路(液体供給チューブ)71に達する。
その後、ノズル吸引開始から所定時間が経過した時((タイマがカウントアップした時))、モータ82を駆動してポンプ(アシストポンプ)78を駆動する。このとき、図9に示すようにインク供給経路が形成されているので、ポンプ78の駆動によって流路抵抗可変ユニット83に矢印Qa側に送液されて、ポンプ78が接続されている第3の流路61、62内の空気が流路抵抗可変ユニット83側に押し出され、インクで置換される。
その後、所定時間が経過した時(タイマがカウントアップした時)に、吸引ポンプ53とポンプ78を両方とも停止させる。この段階で、インク供給経路内を全てインクで充填することができる。
その後、維持ユニット51のキャップ52によるキャッピングを解除し、維持ユニット51に備えられるワイパ部材57で記録ヘッド10のノズル面をワイピングし、記録ヘッド10を駆動して画像形成に寄与しない所定の滴数のインク滴をノズルから吐出させる(ヘッド空吐出)ことで、ノズルに所望のメニスカスを形成できる。
このようにして、インクの初期充填が完了する。なお、図11に示すフロー図ではアシストポンプ(ポンプ78)をノズル吸引停止まで継続して駆動しているが、前述した第3の流路61、62、横穴86cの経路)のインク置換が完了次第停止しても初期充填を行うことができる。ただし、図12に示す例では、液体供給チューブ71と記録ヘッド10への充填時にもポンプ78を駆動するので、より短時間に初期充填を完了することができる。
次に、印字動作について図13に示すフロー図を参照して説明する。
印字ジョブ信号を受信した後、まず温度センサ27で機内(装置内)の温度を検知し、インクの温度を推定する。なお、温度センサ27はキャリッジ4に搭載されている(図2参照)が、インクカートリッジ部や記録ヘッド部等別の場所に設けられていてもよい。また、インク供給経路内に設けてインクの温度を直接検知しても良い。
そして、インクの温度に基づいてアシストポンプ78で送液する流量を決定し、ポンプ78を駆動する。その後、記録ヘッド10のノズル面を覆っているキャップ52をノズル面から離間させて(キャッピング解除)、所定の滴数の空吐出を実施した後、印字を開始する。
このとき、アシストポンプ78が駆動されているので供給チューブ71が長いシステムで高粘度のインクを用いる場合でもインク供給に伴う圧力損失を適切に低減することができ、インクの供給不足を生じさせることなく良好な印字を行うことができる。
印字終了後、キャリッジ4を装置の所定の位置(ホームポジション)に停止させ、記録ヘッド10のノズル面をキャップ52でキャッピングする。その後、アシストポンプ78を停止させる。
ここで、アシストポンプ78は印字終了後直ちに停止させても良い。また、温度に基づいてアシストポンプ78の送液量を制御しているが、インク供給仕様等の条件によっては、最も低温環境でのインク供給で供給不足を起こさない送液量で、全ての温度条件で送液することも可能である。
このような印字動作を行なうとき、吐出するインクの粘度が大きい場合や液体供給チューブ41の流体抵抗が大きい場合、例えばチューブが細かったり長かったりする場合、あるいは、インク吐出流量が大きい場合には、インク供給経路の流体抵抗によりインク供給が追いつかなくなる事態が生じる。具体的には、本インク供給システムでインク供給抵抗となる主要な要素としては、液体供給チューブ41、フィルタ109、ジョイント89がある(図8参照)。
例えば、液体供給チューブ41の直径が2.8mm、長さが2500mmのロングチューブを備える広幅の画像形成装置において、16cPの高粘度インクを吐出した場合には、液体供給チューブ41の流体抵抗は2.7e10[Pa・s/m3]となる。また、フィルタ109及びジョイント89の流体抵抗は、この実施形態では、それぞれ1e10[Pa・s/m3]、2e9[Pa・s/m3]のものとしている。
ここで、記録ヘッド10から安定した吐出ができる圧力損失の限界値を2.5kPaとし、全ノズルから連続してインクを吐出した場合には0.1cc/sの吐出流量となる。その時の圧力損失は、6.9kPaである。圧力制御ユニット81がない場合でも3.94kPaとなるので、単純な水頭差インク供給システムでは自然供給することはできない。
このようにインク供給系の抵抗により圧力損失が増大しリフィルが不足するときに、ポンプ78を駆動して第3の流路43からインクを矢印Qa(Qaはアシスト流量、あるいはアシスト用液体の流れであるが、便宜上矢印の符号としても使用する。)の方向に送り出す。このポンプ78の送液によってインクの供給不足量を補う(リフィルアシスト)ことができる。
記録ヘッド10の吐出流量とポンプ78の送液量(アシスト流量)と記録ヘッド10の圧力の関係の一例を図14に示している。図14は、アシスト流量を0〜0.20cc/sとしたときのヘッド吐出流量に対するインク供給系の圧力損失の変化を示している。前述したように、アシスト流量が「0」のときは、ヘッドの圧力損失は約7kPaとなり、インクを連続吐出できず、噴射不良となってしまうが、ポンプ78によりアシストすることにより圧力損失が1kPa以下程度となり、連続吐出することができる。
なお、この画像形成装置では、4色のインクを吐出させるので、図8に示す構成のインク供給システムが色別に4つ設けられる。各色のポンプ78に対応して、ポンプ78を駆動するモータ等のアクチュエータを個別に4つ設けて各記録ヘッド10のインク吐出量に応じて個別にモータを制御する方式とすることもできるが、前述した図6に示すように、色種の個数のポンプ78(78K、78C、78M、78Y)に対して共通にモータ(アクチュエータ)82を1つのみとすることもできる。
複数の色のインク滴を吐出して画像を形成する場合、各記録ヘッド10から吐出されるインクの量はバラバラになるので、例えば、あるヘッドは全ノズルからインクを吐出する状態で、別のヘッドは非吐出の状態である場合もある。そのような場合でも、本発明のインク供給システムでは、記録ヘッド10の吐出流量によって自動的に流路抵抗可変ユニット83の流体抵抗が変化するようになっているので、各ヘッドの吐出流量に応じたポンプの制御は不要である。
すなわち、吐出流量が少なくアシストを必要としないヘッドには少ないアシストとなり、吐出流量が多くアシストを必要とするヘッドには大きなアシストを与える制御を自動的に行なう。
このように複数のインクを有するなど複数のインク供給系を有するシステムにおいても、全てのインク供給系のポンプを1つのアクチュエータでまとめて駆動できるので、装置の構成、制御が簡易になり、低コスト、小型の装置を実現することができる。
また、一般的に、液体の粘度は液体の温度によって変化するので、記録ヘッド10への液体のアシストは、例えば、図2に示すようにキャリッジ4に備えた温度センサ27によって測定した装置周囲の温度や、装置内の温度、インクの温度やそれらの予測値等をフィードバックしてポンプ78の駆動を制御するようにすることが好ましい。それにより、あらゆる温度に対応した使い勝手の良い画像形成装置を実現できる。
また、インク供給経路内に圧力センサを設けて予め決められた流量でのヘッド吐出を行ったときの圧力変化を測定できるようにすれば、それにより圧力損失に直結するインクの粘度を検出できるので、この検出した粘度に基づいてポンプ78の制御パラメータを変更でき、粘度の異なる様々なインクを用いることができる。
また、ユーザが吐出状態を確認しながらポンプ78の制御パラメータを入力するようにすれば、前述した液体粘度の検出手段が不要となるので、装置を簡易なものとすることができる。
このように、液体タンクから液体吐出ヘッド(記録ヘッド)に液体を供給する供給流路に圧力調整弁を設け、圧力調整弁に別の経路で液体タンクと連通する流路を設けると共にその経路に送液手段を設ける構成とし、圧力調整弁を液体吐出ヘッドに流れる液体の流量に応じて内部の流路抵抗が変化するものとすると共に、少なくとも液体吐出ヘッドから液体を吐出するときには液体吐出ヘッドと液体タンクが連通している状態で送液手段により液体吐出ヘッドに向けて液体を送出するので、液体吐出ヘッドの吐出量に応じて適正なアシスト圧を自動的に調節しながら液体吐出ヘッドに印加して、液体供給チューブの長尺化、吐出流量の増大化、吐出液体の高粘度化等に伴うリフィル不足を簡易に回避することができる。
この場合、圧力調整弁は液体吐出側の第1の絞り部と液体タンク側の第2の絞り部を有し、送液手段からの流路が第1の絞り部と第2の絞り部の間に連通され、液体吐出ヘッドに流れる液体の流量に応じて第2の絞り部の絞り量が変化する構成とすることで、流路の絞りを利用した簡易な構成で、液体吐出ヘッドの吐出量に応じて適正なアシスト圧を自動的に調節しながら液体吐出ヘッドに印加することができる。
また、圧力調整弁は可動部材を有し、可動部材が液体吐出ヘッドの吐出量に応じて移動する構成とし、可動部材の移動によって液体タンク側の第2の絞り部の絞り量が変化するようにすることで、流れによる可動部材の移動を利用した簡易な構成で、液体吐出ヘッドの吐出量に応じて適正なアシスト圧を自動的に調節しながら液体吐出ヘッドに印加することができる。
また、可動部材は、液体の流れ方向で径の異なる複数の段部を有する段付き軸状部材からなり、流路を形成する流路形成部材内に自由状態で収容されている構成とすることで、高精度な部品を容易に形成でき、高精度な特性の弁を容易に得ることができる。
次に、このインク供給システムにおけるサブタンクの一例について図15を参照して説明する。なお、図15は同サブタンクの模式的断面説図である。
前述したように、圧力調整弁としての流路抵抗可変ユニット83と記録ヘッド10との間をつなぐ第1の流路内には、圧力変動を抑制する圧力変動抑制手段(以下「ダンパ」又は「ダンパ機構」という。)を含むサブタンク30が設けられている。
サブタンク30は、インク室103を形成するタンクケース101の少なくとも一つの面が開口部であり、外側に向かって凸状に形成された可撓性を有するゴム部材やフィルム部材などの変位部材102が溶着又は接着されている。そして、インク室103の内部には変位部材102をサブタンク30のケース101の外側(外方)へ付勢するばねからなる弾性部材(第1の弾性部材)201が内蔵されており、ヘッド10との接続部の近傍にはフィルタ109が設けられ、インクをろ過して異物などを除去したインクをヘッド10に供給する構成となっている。変位部材102及び弾性部材201によってダンパを構成している。
このサブタンク30の作用について説明する。
まず、上述したインク供給システムにおける液体吐出ヘッド(記録ヘッド10)の圧力プロファイルの一例を図16に示している。
同図において、ダンパなしのときのプロファイルに着目すると、0sの時点におけるヘッド10の圧力は、ヘッド10のノズル15の高さがインクカートリッジ76内のインク液面高さ(インク液面高さはインク残量によって変動するのでジョイント89の高さで調整する)よりも100mm上方に設置されているため約−1kPaとなる(図8参照)。時間5sでモータ82によってポンプ78を駆動させると、前述したように、アシスト圧が発生し、ヘッド10の圧力は約0.6kPa加圧され、15s経過した時点でヘッド10のノズル15すべてからインク滴を吐出した直後、ヘッド10の圧力が約−4kPaに到達してしまう。
これは、ヘッド10の吐出開始から流路抵抗可変ユニット83の弁体88が上昇する(第1の流路側に移動する)までの応答遅れによるもので、弁体88が上昇するとインクを吐出しているのにもかかわらずヘッド10の圧力は約−1kPaまで上昇する。その後、35s経過した時点でヘッド10の吐出を停止すると、今度は弁体88が下降する(第2の流路側に移動する)までの応答遅れによって、ヘッド10の圧力が約5kPaに達してしまい、45s経過後にポンプ78を停止すると、ヘッド10の圧力は初期負圧である−1kPaに戻る。
これらの応答遅れによって生じる正負の圧力変動量がヘッド10のノズル15のメニスカス保持範囲を上回ると、ノズル15からインクが垂れる、あるいは、空気を吸い込んでしまい吐出不良を引き起こしてしまうことになる。
そこで、サブタンク30内に変位部材102をサブタンク30の外側へ付勢する弾性部材(ばね)201を内蔵することで、ばね201を内蔵していないときと比べより広範囲のダンパ領域を確保することができる。したがって、サブタンク30を大型化することなくヘッド10の圧力変動を抑制することが可能になる。
このようにして、適正なダンパ条件を設定することにより、図16に「ダンパあり」で示すように、ヘッド10の圧力変動量をヘッド10の印字可能圧力範囲に収めることができる。
つまり、圧力調整弁と記録ヘッドとの間の第1の流路に圧力変動抑制手段を設けたので、圧力調整弁の応答遅れによる圧力変動を簡単な構成で抑制でき、ヘッドの圧力変動を低減できる。
次に、維持回復動作について説明する。まず、ノズル吸引動作を含むクリーニング動作時のヘッド10の圧力プロファイルの一例について図17を参照して説明する。
図16において、通常のインク供給システム(チューブ供給や水頭差自然供給など)における通常のノズル吸引では、0sの時点におけるヘッド10の圧力は予め定められた所定の負圧であり、12s経過した時点で吸引ポンプ53が駆動すると、まずキャップ52内空間が負圧になり、その負圧によってヘッド10のノズルから強制的にインクが排出される。このノズル吸引によって、ノズルに固着し吐出不良を招く増粘インクやヘッド10内に混入した気泡も一緒に排出される。
この例では、吸引ポンプ53は約2s間駆動するが、吸引ポンプ53駆動時はポンプ53によるインク排出にインク供給が追いつかないため、ヘッド10の負圧が大きくなり、ヘッド10の圧力は約−3[kPa]に達している。吸引ポンプ53の停止後は上流側のインクカートリッジ76からインクが供給されることで、負圧が解消され15sの時点ではヘッド10の圧力がほぼ一定の値になる。その後、維持回復機構51のワイパ部材57によるノズル面のワイピングを行い、ヘッド10から画像形成に寄与しない液滴の吐出(空吐出)を行うことでクリーニング動作を終了するが、ノズル吸引後、キャップ52をヘッド10のノズル面から離間させる(キャッピング解除)ときに、ヘッド10の圧力が負圧であるため、ノズルから気泡を巻き込んでしまうことになる。
一方、本インク供給システム(図17の本発明におけるノズル吸引)では、12sの時点でノズル吸引を開始すると、同じポンプ駆動条件でも、上流側に設けられた流路抵抗可変ユニット83が流路抵抗となるため、通常のノズル吸引よりもヘッド10の圧力が過負圧になり、ヘッド10の圧力は約-5[kPa]に達している。
上述したように、本インク供給システムではヘッド10の吐出開始から流路抵抗可変ユニット83の弁体88が上昇するまでの応答遅れを適正なダンパ条件を設定することにより抑制しているが、クリーニング時(維持回復動作時)のノズル吸引では単位時間当たりの流量がヘッド10の吐出量よりも多量であるため、弁体88の応答遅れを抑制できず、吸引ポンプ53駆動時のヘッド10の圧力が通常インク供給システムよりも過負圧になり、またノズル吸引終了後、図17に示すように、19sの時点でヘッド10の圧力が正圧になってしまう。
しかし、ノズル吸引での負圧がきつくなることで吸引ポンプ53の停止後、ヘッド10のノズルに流れる流速が速くなるため、通常のインク供給システムよりも異物や気泡などの排出性が向上される。また、ヘッド10が正圧になるときに、図示しないキャップ昇降機構手段を作動させて、キャッピングを解除することで、キャッピング解除時にノズルから空気を吸い込むことがなくなる。
通常のインク供給システムにおいても吸引ポンプ停止後の待機時間を長くすることで、キャッピング解除時の気泡巻き込みを低減するという方法もあるが、非印字時間が増大することでマシンのスループットが低下するだけでなく、待機時間を長くしてもヘッドの圧力は負圧のままなので気泡巻き込みを完全に無くすことができない。また、インクカートリッジと液体吐出ヘッドとの供給経路内に加圧ポンプを設け、ノズル吸引後加圧ポンプを駆動することでキャッピング解除時の気泡巻き込みを無くすことはできるが、装置が大型化するだけでなく、制御が複雑化してしまうことになる。
そこで、上述したような本発明における維持回復動作(クリーニング動作)について図18のフロー図を参照して説明する。
まず、キャップ52を上昇させて、ヘッド10のノズル面をキャッピングする。そして、アシストポンプ78を駆動した後、複数のクリーニングモード(吸引モード)を判別する。ここでは、クリーニングモードとして吸引モード1、吸引モード2の2つのクリーニングモード(2つに限らず、1又は3以上でもよい。)を備え、吸引モード1か否かを判別する。
そして、吸引モード1であれば、当該モードに応じた吸引条件で吸引ポンプ53を駆動し、ノズル面とキャップ52との間で形成される密閉空間内を負圧にしてノズルからインクの吸引排出を開始する(ノズル吸引1開始)。
その後、予め定めた所定時間T1が経過した後、ノズル吸引1を停止する。そして、予め定めた所定時間T2が経過したか否かを判別し、所定時間T2が経過したときに、キャップ52を下降させて、キャップ内空間を大気開放する。
また、吸引モード1でなければ、つまり、吸引モード2であれば、当該モードに応じた吸引条件で吸引ポンプ53を駆動し、ノズル面とキャップ52との間で形成される密閉空間内を負圧にしてノズルからインクの吸引排出を開始する(ノズル吸引2開始)。
その後、予め定めた所定時間T3が経過した後、ノズル吸引2を停止する。そして、予め定めた所定時間T4が経過したか否かを判別し、所定時間T4が経過したときに、キャップ52を下降させて、キャップ内空間を大気開放する。
つまり、複数のクリーニングモードを識別し、各モードに応じた吸引条件で吸引ポンプ53を駆動してキャップ52内を負圧にしてノズルからインクの吸引排出を開始し、複数のクリーニングモードごとにあらかじめ定められた所定の駆動時間が経過したとき吸引ポンプ53を停止し、所定時間が経過したときに図示しないキャップ保持昇降手段でキャップ52を下降させてキャッピングを解除することで大気開放を行なう。
その後、維持回復機構51のワイパ部材57によるノズル面のワイピングを行い、ヘッド10から画像形成に寄与しない液滴の吐出(空吐出)を行った後、キャップ52を上昇させてヘッド10のノズル面をキャッピングし、回復動作を完了する。
ここで、上記所定時間T2、T4として、ヘッド10内の圧力が正圧になるまでにかかる時間とすることができる。この場合には、前述したように、キャッピング解除時にノズルから空気やインクがヘッド内に逆流することを防ぐことができる。
また、所定時間T2、T4として、ヘッド10の圧力が正圧のピーク値になるまでにかかる時間とすることができる。この場合には、正圧がピークに達した後はヘッド10にかかる正圧が徐々に小さくなるので、その状態でキャッピングを解除することで、正圧によって垂れるインク量を最小限にすることができる。
次に、本発明の第2実施形態について図19及び図20を参照して説明する。なお、図19は同実施形態における画像形成装置の図3と同様な概略側面説明図、図20は同実施形態における維持回復動作を説明するフロー図である。
先ず、図19に示すように、ここでは、キャップ52と大気とを連通する大気連通経路121と、この大気連通経路121内に設けられた開閉弁120とを備えており、この開閉弁120は通常開放状態にあり、キャップ52内を大気開放した状態にしている。
この実施形態における維持回復動作では、図20に示すように、まず、キャップ52を上昇させて、ヘッド10のノズル面をキャッピングする。そして、開閉弁120を閉じて大気開放径路121を閉じる。次いで、アシストポンプ78を駆動した後、複数のクリーニングモード(吸引モード)を判別する。ここでも、クリーニングモードとして吸引モード1、吸引モード2の2つのクリーニングモード(2つに限らず、1又は3以上でもよい。)を備え、吸引モード1か否かを判別する。
そして、吸引モード1であれば、当該モードに応じた吸引条件で吸引ポンプ53を駆動し、ノズル面とキャップ52との間で形成される密閉空間内を負圧にしてノズルからインクの吸引排出を開始する(ノズル吸引1開始)。
その後、予め定めた所定時間T1が経過した後、ノズル吸引1を停止する。そして、予め定めた所定時間T2が経過したか否かを判別し、所定時間T2が経過したときに、開閉弁120を開放状態にして大気連通径路121を開き、キャップ内空間を大気開放した後、キャップ52を下降させてキャッピングを解除する。
また、吸引モード1でなければ、つまり、吸引モード2であれば、当該モードに応じた吸引条件で吸引ポンプ53を駆動し、ノズル面とキャップ52との間で形成される密閉空間内を負圧にしてノズルからインクの吸引排出を開始する(ノズル吸引2開始)。
その後、予め定めた所定時間T3が経過した後、ノズル吸引2を停止する。そして、予め定めた所定時間T4が経過したか否かを判別し、所定時間T4が経過したときに、開閉弁120を開放状態にして大気連通径路121を開き、キャップ内空間を大気開放した後、キャップ52を下降させてキャッピングを解除する。
つまり、複数のクリーニングモードを識別し、各モードに応じた吸引条件で吸引ポンプ53を駆動してキャップ52内を負圧にしてノズルからインクの吸引排出を開始し、複数のクリーニングモードごとにあらかじめ定められた所定の駆動時間が経過したとき吸引ポンプ53を停止し、所定時間が経過したときに、開閉弁120を開放状態にしてキャップ内空間(密閉空間)を大気開放し、その後図示しないキャップ保持昇降手段でキャップ52を下降させてキャッピングを解除する。
その後、維持回復機構51のワイパ部材57によるノズル面のワイピングを行い、ヘッド10から画像形成に寄与しない液滴の吐出(空吐出)を行った後、キャップ52を上昇させてヘッド10のノズル面をキャッピングし、回復動作を完了する。
ここで、上記所定時間T2、T4として、ヘッド10内の圧力が正圧になるまでにかかる時間とすることができる。この場合には、前述したように、キャッピング解除時にノズルから空気やインクがヘッド内に逆流することを防ぐことができる。
また、所定時間T2、T4として、ヘッド10の圧力が正圧のピーク値になるまでにかかる時間とすることができる。この場合には、正圧がピークに達した後はヘッド10にかかる正圧が徐々に小さくなるので、その状態でキャッピングを解除することで、正圧によって垂れるインク量を最小限にすることができる。
次に、本発明の第3実施形態について図21ないし図23を参照して説明する。なお、図21は同実施形態における圧力検出手段の説明に供する模式的平面説明図、図22は同じく圧力検出手段の変位検出手段の一例を示すフォトセンサの断面説明図、図23は同実施形態における維持回復動作を説明するフロー図である。
先ず、キャップ52は外周が環状突起形状で開口した凹部52aが形成されており、その内部の連通口52bの先には前述した吸引ポンプ53、排出経路54が接続されている。そして、キャップ52の長手方向の側面の少なくとも一部には、キャップ内部の圧力に応じて微小変位する圧力受動部としてのダイヤフラムからなる変位部301が形成されている。
そして、変位部301の変位を検知する変位検知手段としてのフォトセンサ401が配置されている。フォトセンサ401は、図22に示すように、キャップ52の変位部301に対して発光する発光手段である発光素子402と、キャップ52の変位部301からの正反射光を受光する受光手段である受光素子403とをホルダ404に保持してパッケージ化したものである。なお、ホルダ404の出射部及び入射部にはレンズ405が設けられている。
なお、発光素子402としてはLEDなど赤外領域や可視光など比較的単純かつ安価な光源を用いることできる。また、光源のスポット径(検出範囲、検出領域)は高精度のレンズを使用せずに安価なレンズを使用するためにmmオーダーの検出範囲となっている。
これらの変位部301と変位検知手段(ここではフォトセンサ)401によって圧力検出手段が構成され、キャップ52内の圧力を検出することにより、吸引ポンプ53でヘッド10のノズル吸引を行った後の、流路抵抗可変ユニット83の弁体88が上昇する(第1の流路41側に移動する)までの応答遅れによって生じる圧力変動によってキャップ52内が正圧になったことを検出する。なお、圧力受動部としての変位部及び圧力受動部の変位を検知する変位検知手段は第1の流路41に設け、第1の流路41の圧力を検出してヘッド10内が正圧になったことを検出することもできる。また、変位検知手段401の検知信号は前述した制御部のI/O515に入力される。
この圧力検出手段においては、キャップ52内の圧力が正圧になると、キャップ52の変位部301が側面外側(フォトセンサ401方向)に向かって凸形状に膨れる(負圧状態のときに破線図示の状態にあり、正圧になると実線図示の状態になる)ので、それに伴い、受光素子403の受光量が変化し、その変化量からキャップ52内の圧力が正圧になったことを検出することができる。
そして、維持回復動作においては、図23に示すように、まず、キャップ52を上昇させて、ヘッド10のノズル面をキャッピングする。そして、アシストポンプ78を駆動した後、予め定めた吸引条件で吸引ポンプ53を駆動し、ノズル面とキャップ52との間で形成される密閉空間内を負圧にしてノズルからインクの吸引排出を開始する(ノズル吸引開始)。
その後、予め定めた所定時間Tが経過した後、ノズル吸引を停止する。そして、フォトセンサ401の検出結果をチェックしてキャップ52内空間が所定の圧力(正圧)になったか否かを判別し、キャップ内空間が所定の圧力になったときに、キャップ52を下降させて、キャップ内空間を大気開放する。
つまり、所要の吸引条件で吸引ポンプ53を駆動してキャップ52内を負圧にしてノズルからインクの吸引排出を開始し、所定の駆動時間が経過したとき吸引ポンプ53を停止し、キャップ51内が正圧になったときに図示しないキャップ保持昇降手段でキャップ52を下降させてキャッピングを解除することで大気開放を行なう。
その後、維持回復機構51のワイパ部材57によるノズル面のワイピングを行い、ヘッド10から画像形成に寄与しない液滴の吐出(空吐出)を行った後、キャップ52を上昇させてヘッド10のノズル面をキャッピングし、回復動作を完了する。
これにより、液体吐出ヘッド10及びキャップ52が正圧になるまでの待機時間を余分に設定することが無いため、マシンのスループットが低下することを防ぐことができる。
次に、本発明の第4実施形態について図24及び図25を参照して説明する。なお、図24は同実施形態における圧力検出手段の説明に供する模式的平面説明図、図25は同実施形態における維持回復動作を説明するフロー図である。
ここでは、維持回復機構51に、図24に示すように、吸引ポンプ53でヘッド10のノズル吸引を行った後の、流路抵抗可変ユニット83の弁体88が上昇する(第1の流路側に移動する)までの応答遅れによって生じる圧力変動を検知して、キャップ52内が正圧になったことを検出する圧力検出手段としてひずみゲージユニット310が備えられている。
このひずみゲージユニット310は、キャップ52の長手方向の側面の少なくとも一部に設けられ、キャップ52内部の圧力に応じて微小変位してひずみを生じることで抵抗値が変化する圧力受動部としての金属抵抗体302と、この金属抵抗体302の微小変位(ひずみ)を伝達する伝達部303と、金属抵抗体302のひずみを電気信号として検出するためのブリッジ回路304と、この電気信号を増幅するための増幅器305から構成される。この場合、キャップ52の金属抵抗体302の変位量が小さくとも、ブリッジ回路304及び増幅器305にて微小電圧を増幅して検出することで、より小さな圧力変化を正確に検出すること可能になる。また、増幅器305の出力(検知信号)は前述した制御部のI/O515に入力される。
そして、維持回復動作においては、図25に示すように、まず、キャップ52を上昇させて、ヘッド10のノズル面をキャッピングする。そして、アシストポンプ78を駆動した後、予め定めた吸引条件で吸引ポンプ53を駆動し、ノズル面とキャップ52との間で形成される密閉空間内を負圧にしてノズルからインクの吸引排出を開始する(ノズル吸引開始)。
その後、予め定めた所定時間Tが経過した後、ノズル吸引を停止する。そして、ひずみゲージユニット310の検出結果が所定の電圧になったか否か、つまり、キャップ52内空間が所定の圧力(正圧)になったか否かを判別し、キャップ内空間が正圧になったときに、キャップ52を下降させて、キャップ内空間を大気開放する。
つまり、所要の吸引条件で吸引ポンプ53を駆動してキャップ52内を負圧にしてノズルからインクの吸引排出を開始し、所定の駆動時間が経過したとき吸引ポンプ53を停止し、キャップ51内が正圧になったときに図示しないキャップ保持昇降手段でキャップ52を下降させてキャッピングを解除することで大気開放を行なう。
その後、維持回復機構51のワイパ部材57によるノズル面のワイピングを行い、ヘッド10から画像形成に寄与しない液滴の吐出(空吐出)を行った後、キャップ52を上昇させてヘッド10のノズル面をキャッピングし、回復動作を完了する。
なお、以上の説明においては、複数のヘッドに異なる色のインクが供給される例で本願発明の動作、効果を説明したが、同一色のインクを複数のヘッドに供給する場合や、色ではなく処方の異なるインクを複数のヘッドに供給する場合にも同様に適用することができる。また、複数のノズル列を1ヘッド内に有する液体吐出ヘッドで1ヘッドから異なる種類の液体を吐出する場合のインク供給システムについても適用することができる。また、狭義のインクを吐出する画像形成装置に限定されるものではなく、様々な液体を吐出する液体吐出装置(本発明でいう「画像形成装置」に含まれる。)にも適用することができる。