JP5508572B2 - 改良された超音波減衰材料 - Google Patents

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Description

音響信号を減衰させることが望まれるさまざまな用途で音響減衰材料が用いられている。音響減衰材料は、例えば建築の用途で使用される防音材料の中で用いることができる。多くのこのような音響減衰材料は、好ましいレベルの減衰を実現するのにかなりの容積を必要とする。
音響減衰材料は、音響エネルギーを制御する必要のある比較的小さな装置にも組み込むことができる。そのような一つの用途は、超音波イメージングプローブの分野である。超音波イメージングプローブは、医学の分野で広く使用され続けている。例えば超音波プローブは、外観、腹腔鏡、内視鏡、血管内のイメージングの用途で使用されている。イメージングプローブによって提供される超音波画像は、例えば診断の目的に使用できる。
超音波プローブは、一般に、縦軸に沿って配置された複数の平行な圧電変換器要素を含んでおり、各々の要素は一対の電極に接続されている。一般に、変換器は製造中にダイシングによって長手方向に分割され、画像面内で電子的な操縦とフォーカシングを可能にする独立した変換器要素になる。電極に接続された電子回路が変換器要素を励起し、その変換器要素に超音波エネルギーを放出させる。変換器要素は、受け取った超音波エネルギーを電気信号に変換することができる。その後、その電気信号を処理し、画像を生成させるのに用いることができる。
一般に、変換器は、音響信号が放出される音響面を有する圧電材料からなる活性層を含んでいる。活性層でその活性層の音響面とは反対側にある後面に音響減衰部材が配置されていることがしばしばある。音響減衰部材は、音響面で受け取る音響信号と干渉する可能性のある望ましくない音響信号(例えば変換器の裏面から発生し、反射されてその裏面に戻る可能性のある信号)を減衰させるのに役立つ。ある音響減衰材料に関して考えると、音響減衰能力は、一般に、音響減衰部材の容積が大きくなるにつれて大きくなることがわかるであろう。したがって音響減衰部材の容積が小さくなるにつれ、音響減衰能力は一般に低下する。その結果、超音波変換器と音響減衰部材を含む超音波プローブの全体的な容積と重量は、音響減衰部材の材料の音響減衰能力に少なくとも一部が依存する可能性がある。
超音波イメージングプローブの用途が広がり使用が増大し続けているため、イメージングの性能がより優れている、及び/又はより小さくされた、及び/又は製造効率が増大した超音波プローブの設計も必要とされている。この点に関し、超音波イメージングプローブで用いられる音響減衰材料を改良することを通じ、超音波イメージングプローブに関して向上した性能、微小化、製造効率を実現する能力が特に重要になっている。さらに、改善された音響減衰材料が一般に必要とされている。
上記のことに照らし、この明細書に記載するいろいろな実施態様の一つの目的は、改善された音響減衰材料を提供することである。別の目的は、改善された音響減衰材料を用いて改善された超音波変換器システムを提供することである。
一つの側面では、入射する音響エネルギーを減衰させることのできる音響減衰材料が提供される。この材料は、多孔性(空孔)を有する第一のポリマーからなる第一の成分と、第二のポリマーからなる第二の成分とを含むことができる。第一の成分の空孔は、第二の成分で部分的に満たすことができる。第一の成分は、空孔に第二の成分がないときに第一の曲げ弾性率を持ち、空孔の一部の中に第二の成分が配置されているときに第二の曲げ弾性率を持つことができる。第一の曲げ弾性率は第二の曲げ弾性率よりも小さくすることができる。第一の成分は、多孔質ポリマー布帛及び/又は多孔質ポリマー不織布を含むことができる。
別の側面では、周波数が100kHz〜100MHzの音響エネルギーを減衰させるのに使用できる第一の層を含む音響減衰材料が提供される。第一の層は、第一の剛性と第一の音響減衰度を持つことができる。この音響減衰材料は、第二の剛性と第二の音響減衰度を持つ第二の層も含むことができる。第一の剛性は第二の剛性よりも小さくすることができ、第一の音響減衰度は、第二の音響減衰度の少なくとも二倍にすることができる。第一の層は、多孔質ポリマー不織布及び/又は多孔質ポリマー布帛を含むことができる。
関連した一つの側面では、布帛層を含む音響減衰材料は、その材料に入射する音響エネルギーを減衰させることができる。布帛層は、複数の繊維を含むことができる。その繊維は、多孔質ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含むことができる。布帛層は繊維の間に空隙を画定してもよく、その空隙の少なくとも一部をフルオロサーモプラスチック(THV)で満たすことができる。
さらに別の側面では、複数の不織布膜と複数の支持層からなる材料に入射する音響エネルギーを減衰させることのできる音響減衰材料が提供される。不織布膜は多孔質ポリマーを含むことができる。複数の不織布膜は複数の支持層と交互に配置することができる。支持層は支持材料を含むことができる。支持材料は、多孔質でも非多孔質でもよい。支持層は、多孔質でも非多孔質でもよい。
さらに別の側面では、音響減衰材料として、その材料の第一の側面から第二の側に伝わる音波ビームが多孔質ポリマーの少なくとも一部を通過せねばならない構成の音響減衰材料が提供される。音響減衰材料には補強材料も含まれていてよい。多孔質ポリマーの音響減衰度は、補強材料の少なくとも二倍にすることができる。
別の側面では、減衰する音響エネルギーの経路に多孔質ポリマー層を含む部材を配置する工程と、その部材内に、その音響エネルギーの少なくとも一部を吸収する工程と、支持材料の少なくとも一つの層を用いて多孔質ポリマー層を支持する工程を含む方法が提供される。多孔質ポリマーは、布帛及び/又は不織布が可能である。この方法は、材料の表側を一つの面に近接させて配置する工程と、その面から出るエネルギーと、その材料の裏側に入射するエネルギーの両方をその材料の中で吸収する工程をさらに含むことができる。この方法は、その材料を所定の容積内に置くことによってその所定の容積内で音響エネルギーを減衰させる工程も含むことができる。
さらに別の側面では、超音波変換装置と補強材料で使用できる布帛層を含む音響減衰材料が提供される。布帛層は、その層に入射する音響エネルギーを減衰させることができる。布帛層は、複数の多孔質繊維を含むことができ、その複数の多孔質繊維の間には空隙が画定される。補強材料は、その空隙の少なくとも一部を満たすことができる。
一実施態様は、複数の第二の繊維を含む第二の布帛層を含むことができる。複数の第二の繊維は多孔質のものが可能であり、第二の布帛層に空隙を画定することができる。補強材料は、第二の布帛層の空隙の少なくとも一部を満たすことができる。さまざまな実施態様では、エポキシ層を2つの布帛層の間に配置することができる。
一実施態様では、補強材料は、エポキシ、THV、フッ素化エチレン-プロピレン(FEP)、PTFE、ポリエーテルスルホン(PES)、エチレン-FEPコポリマー(EFEP)、ポリエステルサーモプラスチック(PET)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリカーボネート(PC)、液晶ポリマー(LCP)、又はこれらの任意の組み合わせを含むことができる。一実施態様では、複数の繊維は、PTFE、ウレタン、ポリスチレン、フルオロポリマー、シリコーン、ポリオレフィンからなるグループの中から選択した多孔質ポリマーを含むことができる。
一実施態様では、音響減衰材料は、超音波の範囲の音響エネルギーを減衰させることができる。音響減衰材料は、例えば100KHz〜100MHzの音響エネルギーを減衰させることができる。
別の側面では、活性層と音響減衰層を含む超音波変換器システムが提供される。活性層は音響面と後面(音響面の反対側)を持つことができ、少なくとも一つの超音波変換器要素を含むことができる。音響減衰層は多孔質ポリマーと補強材料を含むことができ、活性層の後面と相互連結することができる。一つの構成では、補強材料は、一部を多孔質ポリマーの空孔に吸収させることができる。
一実施態様では、超音波変換器要素は、超音波信号を伝えることと、超音波信号を受け取ることの一方又は両方が可能である。超音波変換器要素の少なくとも一つは平坦にすることができる。超音波変換器要素の少なくとも一つは曲げることができる。一実施態様では、補強材料は、熱可塑性材料及び/又は熱硬化材料を含むことができる。
さまざまな実施態様の超音波変換器システムは、活性層の後面と音響減衰層の間に配置された中間層を含むことができる。中間層は、エポキシ、シリコーンゴム、タングステン、アルミニウム酸化物、雲母、ミクロスフェア、又はこれらの任意の組み合わせを含むことができる。
さらに別の側面では、活性層と音響減衰層を含む超音波変換器システムが提供される。活性層は音響面と後面(音響面の反対側)を持つことができ、少なくとも一つの超音波変換器要素を含むことができる。音響減衰層は、多孔質ポリマー繊維からなる布帛層と補強材料を含むことができ、活性層の後面と相互連結することができる。補強材料は、音響減衰層の繊維間の空隙の少なくとも一部を満たすことができる。一つの構成では、音響減衰層は多数の布帛層を含むことができ、そのとき音響減衰層を互いに結合するため近接の音響減衰層の間には接着層を有する。
一実施態様は、電気的接続部材を含むことができる。電気的接続部材は、絶縁材料と複数の独立な導電経路を含むことができる。複数の導電経路の各々は、少なくとも一つの超音波変換器要素のうちの対応する一つを横断して電気的に接触するように配置できる。
一つの構成では、バッキングは、そのバッキングの中を通過する複数の連続経路を含むことができる。その連続経路は、少なくとも一部を導電性材料で満たすことができ、バッキングの中を通過する導電経路を提供することができる。
別の側面では、活性層とバッキングを含む超音波変換器システムが提供される。活性層は音響面と後面(音響面の反対側)を持つことができ、少なくとも一つの超音波変換器要素を含むことができる。バッキングは支持材料を含むことができる。バッキングは、支持材料からなる複数の支持層と交互に配置された多孔質ポリマーからなる少なくとも一つの不織布膜を含むことができる。
一実施態様では、不織布膜は、少なくとも一部が支持材料で満たされた複数の貫通穴を含むことができる。互いに近接の不織布膜は、特定の不織布膜の複数の貫通穴のうちの少なくともいくつかが、隣の不織布膜のどの貫通穴とも揃っていない構成にすることができる。互いに近接の不織布膜は、特定の不織布膜の複数の貫通穴のうちの大半又はすべてが、隣の不織布膜のどの貫通穴とも揃っていない構成にすることができる。一実施態様では、各々の不織布膜は200ミクロン未満(例えば1〜200ミクロン)の厚さにすることができ、複数の支持層の各々は200ミクロン未満(例えば1〜200ミクロン)の厚さにすることができる。
一実施態様では、膜と支持層の各々を活性層と平行な向きにすることができる。別の一実施態様では、膜と支持層の各々を活性層に対してある角度を持った向きにすることができる。
一実施態様では、膜と支持層に貫通穴がないようにできる。そのような構成では、各々の不織布膜は800ミクロン未満(例えば1〜800ミクロン)の厚さにすることができ、複数の支持層の各々は500ミクロン未満(例えば1〜500ミクロン)の厚さにすることができる。また、このような構成では、支持材料は、ポリマー、セラミック、金属、又はこれらの任意の組み合わせを含むことができる。支持材料は、多孔質でも非多孔質でもよい。複数の支持層は、多孔質でも非多孔質でもよい。支持材料がポリマーを含む実施態様では、ポリマーは、熱硬化性ポリマー、熱可塑性ポリマー、フルオロポリマー、エポキシ、又はこれらの任意の組み合わせが可能である。さらに、複数の相互連結層を近接の膜と支持層の間に配置することができる。相互連結層は、両面に接着剤が載ったキャリアを含むことができる。相互連結層は、近接の膜と支持層を互いに結合することができる。
さらに別の側面では、活性層とバッキングを含む超音波変換器システムが提供される。活性層は音響面と後面(音響面の反対側)を持つことができ、少なくとも一つの超音波変換器要素を含むことができる。バッキングは、第一の側面と、その第一の側面の反対側に位置する第二の側を含むことができる。バッキングは、活性層の後面と相互連結することができる。バッキングは、多孔質ポリマーと補強材料を含むことができ、超音波変換器要素の第一の側面から裏面に伝わる音波ビームが多孔質ポリマーの少なくとも一部を通過せねばならない構成にすることができる。多孔質ポリマーと補強材料は、バッキングの全曲げ弾性率が多孔質ポリマー単独の少なくとも二倍であるように選択することができる。第一の側面から後面に伝わる音波ビームに関しては、バッキングは、音響の減衰が1MHzで少なくとも25dB/cmであるようにできる。多孔質ポリマーと補強材料は、多孔質ポリマーの音響減衰が補強材料の少なくとも二倍であるように選択することができる。
別の側面では、活性層とバッキングを含む超音波変換器システムが提供される。活性層は音響面と後面(音響面の反対側)を持つことができ、少なくとも一つの超音波変換器要素を含むことができる。バッキングは、支持材料からなる複数の支持層と交互に配置された多孔質ポリマーからなる複数の膜を含むことができる。その複数の膜は、その複数の膜の一部が除去された複数の区画を含むことができる。
互いに近接の膜は、特定の一つの膜に関し、複数の膜の一部が除去された複数の区画のいくつか、又は大半、又はすべてが、その隣の膜のどの貫通穴とも揃っていない構成にすることができる。
さらに別の側面では、超音波変換器の裏面に入射する音響エネルギーを低減させる方法が提供される。この方法は、多孔質ポリマーを含む材料層を提供する工程と、その材料層を超音波変換器の裏面に近接させて配置する工程と、その材料層の中で音響エネルギーを吸収する工程を含むことができる。材料層は、前表面と後表面を有することができる。前表面は超音波変換器の裏面と向かい合って接触することができるのに対し、後表面は流体と接触させることができる。吸収は、超音波変換器の裏面から発する音響エネルギーの吸収と、材料層の後表面に入射する音響エネルギーの吸収を含むことができる。
一実施態様では、流体は、気体又は液体が可能である。一実施態様では、材料層は、多孔質ポリマー繊維からなる少なくとも一つの布帛層を含むことができる。そのとき多孔質ポリマー繊維の間の空隙は、少なくとも一部が非多孔質ポリマーで満たされている。
別の側面では、超音波変換器の裏面に入射する音響エネルギーを低減させる方法が提供される。この方法は、多孔質ポリマー不織布層と支持材料とを含む音響減衰部材を提供する工程と、その音響減衰部材を超音波変換器の裏面に近接させて配置する工程と、音響減衰部材の中で音響エネルギーを吸収する工程を含むことができる。音響減衰部材は、前面と後面を有することができる。前面は超音波変換器の裏面と向かい合って接触させることができる。吸収は、音響減衰部材の中における、超音波変換器の裏面から発する音響エネルギーと、音響減衰部材の後面に入射する音響エネルギーの吸収を含むことができる。
一実施態様では、音響減衰部材は、複数の支持材料層と交互に配置された複数の多孔質ポリマー不織布層を含むことができる。その複数の多孔質ポリマー不織布層は、複数の穴を含むことができる。
さらに別の側面では、外側シェルの中に配置された超音波変換器を含む超音波カテーテルプローブが提供される。超音波変換器は、音響面と、その音響面とは反対側の裏面とを有する活性層を含んでいる。活性層は、少なくとも一つの超音波変換器要素を含むことができる。超音波変換器は、裏面と相互連結されたバッキングをさらに含むことができる。バッキングは、複数の支持層と交互に配置された複数の音響減衰層を含むことができる。
一実施態様では、複数の音響減衰層は多孔質ポリマーを含むことができる。一実施態様では、複数の音響減衰層は、その層の中を通過する複数のビアを含むことができる。その複数のビアは、少なくとも一部を支持材料で満たすことができる。
さらに別の側面では、音響減衰材料と、その音響減衰材料と相互連結された支持構造物とを含む音響減衰デバイスが提供される。音響減衰材料は、その材料に入射する音響エネルギーを減衰させることができ、多孔質ポリマーを含む第一の成分と、支持材料を含む第二の成分を含むことができる。第一の成分は、布帛及び/又は不織布が可能である。
一つの構成では、多孔質ポリマーの空孔は、一部を第二の成分で満たすことができる。一つの構成では、第一の成分は、多孔質繊維からなる布帛層を含むことができる。
一実施態様では、第一の成分は複数の不織布膜を含むことができ、第二の成分は複数の支持層を含むことができる。膜と支持層は交互に配置することができる。一実施態様では、複数の膜の各々は、その複数の膜の中を通過する複数の経路を画定する複数のビアを含むことができる。その複数のビアは、少なくとも一部に支持材料を満たすことができる。
上記の各々の側面に関して上に説明したさまざまな特徴は、上記の任意の側面で利用することができる。追加の側面と対応する利点は、以下のより詳しい説明を考慮すれば当業者には明らかであろう。
超音波プローブと関心領域の一実施態様の概略図である。 複数の繊維からなる布帛層の一実施態様を示す。 複数の繊維からなる図2の布帛層の断面図である。 複数の繊維からなる図2の布帛層において、繊維の間の空隙に充填材料が配置された状態の断面図である。 複数の繊維からなる図2の布帛層において、繊維の間の空隙に充填材料が配置され、布帛層の頂部と底部に膜が配置された状態の断面図である。 図5に示したのと同様の材料層が2つ互いに結合された状態の断面図である。 図4に示した材料層が2つ互いに結合された状態の断面図である。 支持材料からなる複数のシートと交互に配置された複数の多孔質ポリマーシート層を含む材料の断面図である。 支持材料からなる複数のシートと交互に配置された複数の多孔質ポリマーシート層を含む材料の断面図である。 多数の貫通穴を含む多孔質ポリマーシートの一実施態様の断面の等角図である。 図9のシートの断面図である。 図9のシートからなる多数の層が支持材料からなる多数の層と交互に配置された状態の断面図である。 超音波プローブアセンブリの一実施態様の等角図である。 図12の超音波変換器の一部の概略図である。 フレームに取り付けられた超音波変換器の一実施態様を示す。 超音波変換器アセンブリの一実施態様の断面図である。 超音波変換器アセンブリのバッキングアセンブリの一実施態様の概略図である。 超音波変換器の一実施態様の概略図である。 カテーテルの内部に収容される超音波プローブアセンブリの一実施態様の等角図である。 図18のカテーテルの断面図である。 支持構造物に相互連結された音響減衰材料の等角図である。 音響エネルギーを減衰させる方法のフローダイヤグラムである。 超音波変換器の裏面に入射する音響エネルギーを低減させる方法のフローダイヤグラムである。
図1は、超音波プローブ100と、超音波イメージング装置109と、関心領域102の一実施態様の概略図である。超音波プローブ100は、少なくとも一つの超音波変換器103を含んでいる。超音波変換器103として、電気エネルギーを力学(例えば音響)エネルギーに変換する、及び/又は力学エネルギーを電気エネルギーに変換することができる力学的活性層が可能である。超音波変換器103は、例えば超音波イメージング装置109からの電気信号を超音波音響エネルギーに変換することができる。さらに、超音波変換器103は、受け取った超音波音響エネルギーを電気信号に変換することができる。超音波変換器103は、少なくとも一つのグラウンド電極112と、少なくとも一つの信号電極一一3を含むことができる。その少なくとも一つの信号電極一一3と少なくとも一つのグラウンド電極112は、各々少なくとも一つの信号接続線110(例えば少なくとも一つの信号ワイヤ)と少なくとも一つのグラウンド接続線111(例えば少なくとも一つのグラウンドワイヤ)によって超音波イメージング装置109に電気的に接続することができる。超音波変換器103は個々の変換器要素からなるアレイを含むことができ、各々の変換器要素は、信号接続線とグラウンド接続線を通じて超音波イメージング装置109に電気的に接続することができる。このアレイは、個々の変換器要素からなる単一の行を含む一次元アレイにすることができる。このアレイは、個々の変換器要素が例えば複数の列と複数の行に配置された二次元アレイにすることができる。アレイ全体のグラウンド接続線はまとめてもよく、単一のグラウンド接続線を通じて超音波イメージング装置109に電気的に接続することができる。
超音波画像を生成させるため、超音波イメージング装置109は電気信号を超音波変換器103に送ることができる。すると超音波変換器103はその電気エネルギーを超音波音響エネルギー104に変換し、関心領域102に向けて発信することができる。関心領域102として、患者の内部構造、例えば臓器が可能である。関心領域102内の構造は、音響エネルギー106の一部を反射させて超音波変換器103に向けて戻す可能性がある。反射された音響エネルギー106は、超音波変換器103によって電気信号に変換して超音波イメージング装置109に送ることができる。超音波イメージング装置109でその信号を処理し、関心領域102の画像を生成させることができる。
超音波イメージング装置109からの電気的信号を関心領域102に向かう超音波エネルギー104に変換する方法により、関心領域102以外の方向に向かう別の音響エネルギー107が生成する可能性がある。この別の音響エネルギー107はさまざまな構造(例えば超音波プローブ100のハウジング101)によって反射されて超音波変換器103に戻り、そこで電気信号に変換される可能性がある。反射された別の音響エネルギー107からの電気信号は、反射された音響エネルギー106からの電気信号と干渉する可能性がある。このような干渉によって画像の品質が低下する可能性がある。
反射された別の音響エネルギー107からの干渉を減らすため、音響減衰材料108を超音波プローブ100に含めることができる。音響減衰材料108は、超音波変換器103で関心領域102と向かい合っている面とは反対側の面(例えば超音波変換器103の裏面)に沿って超音波変換器103と相互連結することができる。音響減衰材料108は、別の音響エネルギー107のかなりの割合が超音波変換器103の裏面に戻るのを阻止することができる。音響減衰材料108は、他の発生源から超音波変換器103の裏面に到達する音響エネルギーも減らすことができる。この点に関し、音響減衰材料108は、干渉の低減と画像品質の向上をもたらすことができる。音響減衰材料108が超音波変換器103に直接相互連結された実施態様では、少なくとも一つの信号接続線110が音響減衰材料108を通過することができる。
さらに、超音波プローブ100の中で音響エネルギーを減衰させるため、音響減衰材料は超音波プローブ100の中の別の場所に配置してもよい。例えば音響エネルギーを減衰させる(例えば吸収する)ことが可能なある量の音響減衰材料114をハウジング101に接するように配置する。さもないと、その音響エネルギーがハウジング101の内面で反射されて画像の品質が低下する可能性がある。音響減衰材料114は、図1ではハウジング101の内側の一つの側全体のライニングとして図示してあるが、ハウジング101において音響エネルギーを減衰させることが有利である任意の内面又はその一部に沿って配置してもよい。音響減衰材料114を超音波プローブ100内の他の構造(例えば回路板)に近接して配置し、そうしない場合にその構造で反射される可能性がある音響エネルギーを減衰させることも可能である。
音響エネルギーを減衰させる(超音波プローブにおける超音波エネルギーの減衰を含む)のに利用できる音響減衰材料の実施態様についてこれから記載する。図2は、音響減衰材料で使用してもよい布帛層200の図である。布帛層200は、複数の個々の繊維(例えば個々の繊維202a、202b、202c、202d)を含むことができる。図2は、個々の繊維(例えば個々の繊維202a、202b、202c、202d)の相対位置が交互に入れ代わるタイプの織物の一例を示す。例えば繊維202bは、第一の交点203Aで(図1で方向を決めた)繊維202aの下になり、第二の交点203bで繊維202cの上になる。
図2の布帛層200は、一実施態様で使用できる織物のタイプと構成の一例である。当業者に知られている他のタイプの織物を使用してもよい。また、織物のさまざまなパラメータを変えて異なる性質の織物を実現してもよい。例えば繊維間の距離(例えば繊維202aと202cの距離)を変えてさまざまな密度の織物を実現できる。布帛層200の他の特性(例えば厚さ)は、織物の繊維の直径及び/又は構成を変えて実現できる。布帛層200のすべての繊維を同じ直径にしてもよいし、繊維が複数の異なる直径を持っていてもよい。
布帛層200は空隙も含んでいる。空隙は、一般に、織物の面内で布帛層200を構成するどの繊維によっても占められていないあらゆる空間である。例えば繊維202a、202b、202c、202dの間の空間204は、布帛層200によって画定される空隙の一部である。
図3は、例示した布帛層200を図2の切断線A-Aに知って切断した断面図である。図3は、個々の繊維(例えば繊維202b)と織物の他の繊維が交互に入れ代わる波状の構成を示している。
布帛層200の個々の繊維(例えば繊維202b)はポリマーを含むことができる。ポリマーは、繊維があらかじめ決めることのできる空孔を有する構成にすることができる。空孔率は、材料中の格子間空間の一つの指標である。格子間空間として、ポリマーの内部でそのポリマーを含んでいない空間が可能である。空孔率は、材料の全容積に対するその材料中の格子間空間の容積の割合として表現できる。したがって空孔率は0と1の間の値となり、パーセントで表示できる。0という値は空孔がないことを示すことになる。格子間空間には、空気、水、又は他の任意の物質が含まれていてよい。格子間空間は真空でもよい。例えば布帛層200の繊維の空孔の率は85%未満にすることができる。
一実施態様では、個々の繊維は、多孔質ポリマー(例えば多孔質PTFE、多孔質ウレタン、多孔質ポリスチレン、多孔質シリコーン、多孔質フルオロポリマー、多孔質ポリオレフィン、又はこれらの組み合わせ)を含むことができる。多孔質ポリオレフィンは、例えば多孔質ポリエチレン、多孔質ポリプロピレン、又はこれらの組み合わせの形態が可能である。多孔質ポリエチレン、多孔質ポリプロピレン、多孔質PTFEは、連続気泡式のものが可能である。多孔質ウレタン、多孔質シリコーン、多孔質フルオロポリマー、多孔質ポリスチレンは、独立気泡式のものが可能である。一実施態様では、個々の繊維を単一のタイプの多孔質ポリマーを含むことができる。多孔質PTFEを含む一実施態様では、多孔質PTFEは、例えばGoreに付与されたアメリカ合衆国特許第4,187,390号(その全内容がこの明細書に参考として組み込まれているものとする)に記載されているのと同様の微細構造を持つことができる。多孔質PTFEを含む一実施態様では、多孔質PTFEは、例えばBACINOに付与されたアメリカ合衆国特許第5,476,598号(その全内容がこの明細書に参考として組み込まれているものとする)に記載されているのと同様の微細構造を持つことができる。
空孔率は多孔質ポリマーの音響減衰特性に影響を与える可能性がある。例えば空孔率が大きくなるにつれて捕獲された空気の量も多くなり、その結果として例外的な音響減衰特性を持つ凝集材料になる。多孔質ポリマーは、100kHz〜100MHzの周波数を持つ音響エネルギーを減衰させることができる。例えば多孔質PTFEは、1MHzで50dB/cmを超える音響減衰特性を持つことができる。実際、多孔質PTFEは、1MHzで10000dB/cmを超える音響減衰特性を持つことができる。比較のため、シリコーンRTVは、1MHzで5dB/cm未満の音響減衰特性を持つことができる。
図4は、繊維間の空隙に充填材料401が配置された布帛層200を図3に示したのと同じ向きにしたときの断面図である。図4からわかるように、充填材料401は個々の繊維の間の空隙を満たすことが可能であり、繊維を包み込むこともできる。このような構成では、充填材料401はいくつかの機能を果たすことができる。
そのような一つの機能は、布帛層200の多孔質繊維の機械的支持体を提供することであろう。この点に関し、充填材料401は布帛層200の機械的支持体を提供できるため、布帛層200単独のときよりも押しつぶしに対する抵抗力が大きな包み込まれた布帛層400となる。
充填材料401は、布帛層200の個々の繊維の空孔に捕獲された空気又はそれ以外の気体も包み込むことができる。この点に関し、充填材料401は個々の繊維を取り囲んで密封し、個々の繊維の中に捕獲された空気又はそれ以外の気体が周囲の領域に逃げられなくすることができる。同様に、包み込まれた布帛層400の外側の気体又は液体が布帛層200の個々の繊維の空孔に入れなくすることができる。
ポリマーが連続気泡式ポリマーである実施態様では、充填材料401は、繊維の中に著しく侵入することなく布帛層200の個々の繊維を取り囲むことができる。あるいは充填材料401は、布帛層200の個々の繊維を一部吸収してもよい(例えば一部が個々の繊維に染み込む)。このように一部が吸収される結果、力学的強度が増大する可能性がある。布帛層200の個々の繊維で充填材料401によって満たされていない部分は、例えば付随する空気を含むことができる。したがって布帛層200の個々の繊維の格子間空間に付随する音響減衰特性は、布帛層200の個々の繊維が充填材料401によって取り囲まれた後も保持することができる。部分的な吸収が存在する連続気泡ポリマーに関しては、3つの異なる領域が存在する可能性がある。第一の領域として、充填材料が存在しない多孔質ポリマーが可能である。第二の領域として、充填材料が多孔質ポリマーの格子間領域を満たしている領域が可能である。第3の領域として、多孔質ポリマーの外部の充填材料からなる層が可能である。
ポリマーが独立気泡式ポリマーである実施態様では、充填材料401は、布帛層200の個々の繊維の表面の不規則な部分を部分的に満たすことができる。このように表面を埋めると、布帛層200の個々の繊維と充填材料401の間の結合を促進させることができる。
そのようなパラメータ(例えば個々の繊維で用いるポリマーの空孔率、個々の繊維のサイズ、布帛層200に含まれる個々の繊維の間隔、充填材料401が個々の繊維に吸収される程度(例えば多孔質ポリマーが連続気泡式の場合)、布帛層200を包み込むのに用いる充填材料401の量)を変えることにより、包み込まれた布帛層400のさまざまな力学特性と音響特性を実現できることがわかるであろう。一実施態様では、充填材料401として、熱可塑性材料及び/又は熱硬化性材料が可能である。充填材料401は、THV、FEP、PTFE、PES、EFEP、PET、PEEK、PEI、PC、LCP、又はこれらの組み合わせを含むことができる。熱可塑性材料の一例はTHV(例えば3M社(セントポール、ミネソタ州、アメリカ合衆国)から市販されているDyneon(登録商標)THV)である。多孔質PTFEとTHVを含む一実施態様では、PTFEとTHVの組み合わせは、これら2つの材料の音響インピーダンスと音響伝播速度が十分に近いためこれら2つの材料の界面で大きな反射が起こらないという利点をもたらすことができる。
図5に移ると、音響減衰材料部材500は、第一の追加層501と、第二の追加層502を含むことができ、これらの層は包み込まれた布帛層400と相互連結することができる。別の一実施態様では、音響減衰材料部材500は、単一の追加層501を含むが、第二の追加層502を含むことはできない。追加層501と502は、あらかじめ決めることのできる空孔を有するポリマーを含むことができる。追加層501と502は、追加の音響減衰能力と追加の力学的強度を提供することができる。THVの中に包み込まれた多孔質PTFE繊維からなる布帛層を含む材料の一例は、W.L.ゴア&アソシエイツ社(ニューアーク、デラウェア州、アメリカ合衆国)が製造しているTenaraである。
図6は、図5に示した音響減衰材料部材500からなる2つの層が結合材料層601によって結合されている一実施態様の断面図である。結合材料層601は、接着ポリマー(例えばエポキシ)を含むことができる。図6に示した実施態様を実現した一例では、各々の音響減衰材料部材500は、多孔質PTFE繊維(例えば繊維602)と多孔質PTFE追加層603からなる。結合材料層601は厚さが0.025mm未満であり、各々の音響減衰材料部材500は厚さが約0.38mmであった。より厚い例えば0.05mmの結合材料層も使用できる。
図7に示した音響減衰材料の一実施態様では、2枚のシート701と702(各々図4の包み込まれた布帛層400に似ていて、多孔質ポリマー繊維布帛からなる包み込まれた層を含む)を、結合層703(例えばエポキシ)を用いて互いに結合し、音響減衰材料700を形成することができる。この音響減衰材料700は、可撓性を維持していて、特別な音響減衰特性を持つ。
格子間空間のあるポリマー繊維からなる布帛層を含む少なくとも一つの層を含む上に説明した材料は、音響減衰のさまざまな用途に使用できる。このような材料は、超音波プローブ(例えば上に説明した図1の超音波プローブ)で使用できよう。このような材料は、音響減衰の他の用途に使用してもよい。
図8Aは、支持材料からなる複数のシート802(例えば膜及び/又はフィルム)と交互に配置された複数の多孔質ポリマーシート801(例えば膜)を含む音響減衰材料800の断面図である。このような音響減衰材料800は、例えば音響エネルギーを減衰させるのに使用できよう(例えば超音波プローブでの超音波エネルギーの減衰)。多孔質ポリマーシート801の多孔質ポリマーとして、すでに説明した一種類以上の多孔質ポリマーが可能である。多孔質ポリマーシートは、多孔質ポリマー不織布を含むことができる。支持材料からなるシート802は、例えばセラミック材料、ポリマー、金属、又はこれらの組み合わせを含むことができる。支持材料からなるシート802がポリマーを含む実施態様では、ポリマーとして熱硬化性ポリマー又は熱可塑性ポリマーが可能である。例えばポリマーとして、エポキシ又はフルオロポリマーが可能である。
支持材料からなるシート802は、多孔質ポリマーシート801よりも堅固であってよい。この点に関し、音響減衰材料800では、多孔質ポリマーシート801が実質的な音響の減衰を提供し、支持材料からなるシート802が、多孔質ポリマーシート801単独で実現できるよりも大きな強度を提供することができる。この点に関し、支持材料802は、押しつぶしに対する抵抗力と曲げ弾性率を多孔質ポリマーシート801よりも大きくすることができる。例えば支持材料802の曲げ弾性率は、多孔質ポリマーシート801の少なくとも二倍にすることができる。また、例えば多孔質ポリマーシート801の曲げ弾性率は20MPA未満にできるのに対し、音響減衰材料800の正味の曲げ弾性率は40MPAよりも大きくすることができる。
音響減衰材料800の個々のシートは、個別に構成した後、互いに貼り合わせて音響減衰材料800を形成することができる。このラミネート構造の層は、接着剤を用いて互いに結合することができる。このラミネート構造の層は、そのラミネートを処理し、支持材料からなるシート802がいくらか多孔質ポリマーシート801に吸収されるようにすることによって互いに結合することができる。
ラミネート構造の層は、キャリアの上に載せた接着層を用いて互いに結合することができる。接着剤は、感圧性のもの(例えばアクリル樹脂をベースとした感圧性接着剤)が可能である。例えば互いに近接の多孔質ポリマーシート801からなる層と支持材料からなるシート802の間に両面テープ803からなる薄い層を配置することができよう。シートを積層させるのに当業者に知られている他の方法も利用できる。
支持材料からなるシート802と多孔質ポリマーシート801の厚さを変えてさまざまな力学特性と音響特性を実現できる。例えば図8Aに示したように、多孔質ポリマーシート801の厚さは、支持材料からなるシート802よりも薄くすることができる。他の実施態様では、どのシートも同じ厚さにすること、又は多孔質ポリマーシート801を支持材料からなるシート802よりも厚くすることができる。
一実施態様では、各々の多孔質ポリマーシート801は、800ミクロン未満の厚さを持つことができ、支持材料からなる各シート802は、500ミクロン未満の厚さを持つことができる。例えば各々の多孔質ポリマーシート801は1〜800ミクロンの厚さを持つことができ、支持材料からなる各シート802は厚さを1〜500ミクロンにすることができる。特別な一実施態様では、各々の多孔質ポリマーシート801は厚さを約30ミクロンにすることができ、支持材料からなる各シート802は厚さを約25ミクロンにすることができる。
図8Aに示した音響減衰材料800は、個々の層が全体構造と同じ向きである構成を示している。図8Bは、支持材料からなる複数のシート805と交互に配置された複数の多孔質ポリマーシート804を含む音響減衰材料808の断面図である。図8Bに示した実施態様では、個々の層804、805の向きは、音響減衰材料808の全体構造の向きに対してある角度807傾いている。この角度807を変えてさまざまな音響特性と力学特性を実現できる。音響減衰材料808の頂部及び/又は底部にオプションのシール層806を追加し、多孔質ポリマーシート804及び/又は支持材料からなるシート805のエッジが周囲の環境にさらされないようにすることができる。音響減衰材料800と808に存在する層の量を図8A及び図8Bに示したのとは変えてもよい。
図8Aの構成では、音響減衰材料800の第一の側面8一0から音響減衰材料800の第二の側へと伝わる音波ビームが、多孔質ポリマーシート(例えば多孔質ポリマーシート801)からなる複数の層を通過せねばならないようにされている。図8Bの構成の角度807と音響減衰材料808の全体構造の方向は、音響減衰材料808の第一の側面8一2から音響減衰材料808の第二の側813に伝わる音波ビームが多孔質ポリマーシート(例えば多孔質ポリマーシート804)からなる複数の層を通過せねばならないように選択することができる。
支持材料からなる複数のシートと交互に配置された複数の多孔質ポリマーシートを含む図8Aと図8Bを参照して説明した材料は、音響を減衰させる多彩な用途で使用できる。このような材料は、1MHzでの正味の音響減衰を少なくとも25dB/cmにすることが可能であり、100kHz〜100MHzの周波数を持つ音響エネルギーを減衰させることができる。このような材料は、上に説明した図1の超音波プローブのような超音波プローブで使用することができる。このような材料は、音響を減衰させる他の用途でも使用できる。
図9は、複数の貫通穴(例えば貫通穴901)を含む多孔質ポリマーからなるシート900を含む音響減衰材料の一区画の断面の等角図である。一実施態様では、シート900は厚さを1〜200ミクロンにすることができる。シート900の多孔質ポリマーとして、すでに説明した一つ以上のポリマーが可能である。一実施態様では、シート900は、多孔質PTFE及び/又は他の多孔質ポリマー(例えばウレタン、シリコーン、フルオロポリマー、ポリスチレン、ポリオレフィン)を含むことができる。シート900は、多孔質ポリマー不織布を含むことができる。
穴のサイズ(例えば穴の面積又は直径)、穴の数、穴のパターンをすべて変化させ、以下に説明する特定の材料特性を実現することができる。図10は、図9に示したシート900を切断線B-Bに沿って切断した断面図である。穴は、当業者に知られている適切な任意の手段(例えばレーザー穿孔)で作り出すことができる。穴は、一様に分布していても、一様でない分布をしていてもよい。穴はすべてが同じサイズでも、個々の穴のサイズが異なっていてもよい。
図11は、堅固な複合材料1100の一実施態様の断面図である。堅固な複合材料1100は、複数の多孔質ポリマーシート層(例えば音響減衰材料からなるシート900)と、音響減衰材料からなる追加のシート1101を含んでいる。追加のシート1101は同じ材料を含むことができ、シート900と同じ貫通穴特性を持っていてもよい。図11からわかるように、多孔質ポリマーシートは、支持材料からなる層1102と交互に配置することができる。支持材料からなる層1102は、多孔質ポリマーシート900、1101の貫通穴の少なくとも一部を占めることもできる。この点に関し、支持材料からなる層1102は、三次元的に相互に連結された堅固なマトリックスを形成することができる。多孔質ポリマーシート900、1101の間にある支持材料からなる層1102の厚さは、例えば1〜200ミクロンが可能である。
支持材料層1102と音響減衰材料からなる層を交互に配置する組み合わせにより、例外的な音響減衰特性と力学特性を持つ複合材料1100が得られる。この点に関し、支持材料からなる層1102は、例えばエポキシ、THV、FEP、PES、EFEP、PTFE、PET、PEEK、PEI、PC、LCP、又はこれらの組み合わせを含むことができて、押しつぶしに対する抵抗力と曲げ弾性率を多孔質ポリマーシート900、1101よりも大きくすることができる。例えば支持材料からなる層1102の曲げ弾性率は、多孔質ポリマーシート900、1101の少なくとも二倍が可能である。また、例えば多孔質ポリマーシート900、1101の曲げ弾性率は20MPA未満が可能であるのに対し、複合材料1100の正味の曲げ弾性率は40MPAよりも大きくできる。
したがって複合材料1100は、支持材料からなる層1102から力学的強度を得ることができるのに対し、多孔質ポリマーシート900、1101から音響減衰特性を得ることができる。この複合材料は、1MHzでの正味の音響減衰を少なくとも25dB/cmにすることが可能であり、100kHz〜100MHzの周波数を持つ音響エネルギーを減衰させることができる。
複合材料1100の力学特性と音響特性は、異なる層の厚さと、多孔質ポリマーシートに存在する穴の構成を変えることによって変化させることができる。例えば図11からわかるように、2枚のシート900、1101の穴は揃っていない。一般に、多孔質ポリマーシート900、1101は、支持材料からなる層1102よりも著しく大きな音響減衰率を持つことになろう。したがって堅固な複合材料1100を通過する音響エネルギーは主として支持材料からなる層1102の構造を通過することになる。多孔質ポリマーシート900、1101の穴を互い違いにすることにより、支持材料からなる層1102を通過する音響エネルギーは曲がりくねった経路に従わざるをえなくなる。この点に関し、頂面一103から複合材料1100の中を通って底面1104に伝わるあらゆる音波ビームは、多孔質ポリマーシート900、1101の少なくとも一部を通過せねばならない。すると、多孔質ポリマーシート900、1101の穴が一直線になっていて、支持材料からなる層1102を通過する音響エネルギーが複合材料1100の中で直線的な経路に従うことができる場合と比べて音響エネルギーがより多く減衰されることになる。
多孔質ポリマーシートの穴の整列状態と同様、穴のサイズと数を変えて望む音響減衰特性と望む力学特性をバランスさせることができる。例えば一般に貫通穴がより大きいと、複合材料1100をより堅固でより強力にすることができる。貫通穴をより大きくしたり貫通穴の数をより多くしたりすると、堅固な複合材料1100の中を通過する音響エネルギーの経路をより広くすることにもなる。その結果、全体的な音響減衰がより少ない、より堅固でより強力な複合材料1100が得られる。
それに加え、上に説明したのと同様、連続気泡式ポリマーを用いる場合には、多孔質ポリマー層へのエポキシのいくらかの吸収が起こる可能性がある。連続気泡式ポリマーの空孔のサイズが所定の値よりも小さいか、独立気泡ポリマーを用いる場合には、実質的に吸収が起こらない可能性がある。吸収が実際に起こる場合には、多孔質ポリマー層の厚さを薄くする、及び/又は多孔質ポリマー層900、1101の貫通穴のサイズを大きくするのと同様の効果があろう。
さらに、一般に、支持材料が多孔質ポリマー層の空孔の一部に吸収されている領域は、多孔質ポリマー層で支持材料が存在していない領域よりも著しく堅固になる。例えば支持材料が多孔質ポリマー層の空孔の一部に吸収されている領域は、曲げ弾性率が多孔質ポリマー層で支持材料がない領域の二倍よりも大きくなる可能性がある。
吸収の程度は、処理と取り扱いの影響を受ける可能性がある。例えば多孔質PTFEを含む実施態様では、複合材料1100の製造中に多孔質PTFEを溶媒で湿らせた後に支持材料からなる層1102と接触させると、支持材料が多孔質PTFEに吸収される程度を大きくすることができる。それに加え、製造中又は製造後に複合材料1100に何らかの圧縮力を加えると、支持材料からなる層1102を多孔質ポリマー層900、1101に吸収させることができる。複合材料1100に対する圧縮力によって多孔質ポリマー層900、1101を押しつぶすこともできる(例えば恒常的な圧縮)。
図11に示した複合材料1100は、2つの多孔質ポリマー層900、1101を含んでいる。別の実施態様は、単一の多孔質ポリマー層、又は3つ以上の多孔質ポリマー層を含むことができる。例えばエポキシ層と交互に配置した3つの多孔質PTFE層を用いて音響減衰材料の一実施態様を構成した。平均直径が0.14mmで多孔質PTFE層の全表面積の約107%がカバーされる複数の穴を、ドリルで各々の多孔質PTFE層に設けた。一つのサンプルでは、個々の多孔質PTFE層の穴を非常によく揃えて配置した。このサンプルの音響減衰を測定すると、1MHzで375dB/cmであった。別のサンプルでは、個々の多孔質PTFE層の穴があまりよく揃っていないようにした。よく揃っていないこのサンプルの音響減衰を測定すると、1MHzで431dB/cmであった。
エポキシ層と交互に配置した2つの多孔質PTFE層を用いて別の一実施態様を構成した。多孔質PTFE層は複数の穴を含んでいた。この実施態様は、50psiで圧縮したときに可塑変形を示さなかった。多孔質PTFE層に複数の穴がない同様の一実施態様は、50psiで圧縮したときに約3%の可塑変形を示す可能性がある。
上に説明した貫通穴(例えば貫通穴901)の代わりに盲穴にすることができる。このような構成だと、複合材料1100の中を通過する連続的な支持材料音響経路がなくなる。
穴(例えば貫通穴)を含む多孔質ポリマーからなる少なくとも一枚のシートを有する上に説明した材料は、音響を減衰させるさまざまな用途に使用できる。このような材料は、超音波プローブ(例えば上に説明した図1の超音波プローブ)で使用できる。このような材料は、音響減衰の他の用途にも使用できる。実際、このような材料は、音響エネルギーを減衰させることが望ましい多彩な用途で用いることができる。
上に説明した各々の音響減衰材料は、特定の用途で必要とされるサイズよりも大きいマスターシートとして製造することができる。例えば複数の個別の超音波変換器システムのための十分な材料を含む超音波変換器におけるバッキング材料として使用するため、音響減衰材料からなるマスターシートを製造することができる。マスターシートは、例えば、個別の超音波変換器システムで使用するための個別の区画に分離することができる。その方法は、個別の区画の露出したエッジをシール材料(例えばエポキシ及び/又は熱可塑性フルオロポリマー)でシールする工程を含んでいてもよい。
音響減衰材料の個々の区画を製造する(例えばマスターシートを製造しない)実施態様では、その方法は、音響減衰材料の露出したエッジをシール材料(例えばエポキシ及び/又は熱可塑性フルオロポリマー)でシールする工程を含んでいてもよい。
上に説明した音響減衰材料の各々において、多孔質ポリマーは、支持に用いる材料よりも著しく大きな音響減衰能力を持つことができる。例えば多孔質ポリマーの音響減衰能力は、支持材料の二倍よりも大きくできる。それに加え、支持材料は、多孔質ポリマーよりも著しく堅固にすることができる(例えば剛性がより大きい)。例えば支持材料は、多孔質ポリマーの二倍の曲げ弾性率を持つことができる。さらに、多孔質ポリマーは、空孔率を少なくとも5%にすることができる。例えば多孔質ポリマーは、空孔の率を5〜85%にすることができる。
上に説明した材料は、例えば音響エネルギーを制御することが望ましいシステムで使用できる。それに加え、上に説明した材料は単位厚さ当たりの減衰が比較的大きいため、所定の厚さの減衰材料でより大きな減衰を実現すること、又は減衰が比較的小さな材料で望む量の減衰を利用することができる。後者の能力は、微細化が望ましい用途で特に有利である。特に、超音波プローブ(その一例が、図1を参照してすでに説明したものである)では、一つ以上の能動(例えば圧電)素子によって生成される音響エネルギーを制御するため一般に減衰材料が用いられる。上に説明した材料を超音波変換器で使用すると、例えば現在のプローブとサイズが同じで性能がより優れたプローブ、及び/又はより小さな変換器プローブが可能になる。
図12は、超音波プローブアセンブリ1200の斜視図である。プローブアセンブリ1200は、ハウジング1201とケーブル1202を含んでいる。ケーブル1202は、超音波イメージング装置(図示せず)と相互連結されている。一般に、プローブアセンブリ1200は、ハウジング1201の中に収容されていてプローブアセンブリ1200の一端に沿ってプローブアセンブリ面1203を通って超音波エネルギーを伝えることのできる複数の超音波変換器を含んでいる。音波の形態になった超音波エネルギーは、患者の外表面又は患者の内部構造に向けることができる。音波はさまざまな内部構造と相互作用して反射される可能性がある。次に、これらの反射をプローブアセンブリ1200によって検出し、超音波イメージング装置によって患者の内部構造の画像として表示することができる。
プローブアセンブリ1200は、イメージング容積1208を走査することができる。これは、一次元変換器アレイを可動部材に取り付けることによって実現できる。一般に、一次元変換器アレイは、縦軸1205に沿った複数の変換器要素を有する単一の行を含んでいる。電子的制御を通じ、音響エネルギーのビームを縦軸1205に沿って走査させることができる。音響エネルギーの一部は反射されて変換器アレイに戻り、音響エネルギーから電気信号へと変換される。次に、その電気信号を、音響エネルギーによって走査した領域の二次元画像に変換することができる。プローブアセンブリ1200は、横軸1204に沿って機械式走査(例えば回転)が可能な一次元変換器アレイを含むことができる。したがって縦軸1205に沿った電子的走査と横軸1204に沿った変換器アレイの機械的走査の組み合わせを通じ、イメージング容積1208全体を音響エネルギーのビームで走査することができる。反射されて変換器アレイに戻るエネルギーは、イメージング容積1208の三次元画像に変換することができる。
プローブアセンブリ1200の変換器アレイは、横軸1204に沿って機械式走査(例えば回転)が可能な二次元変換器アレイにすることができる。アレイには回転軸(例えば横軸1204)に垂直な方向の長さがあることを利用し、伝わる音響エネルギーをさらに制御することができる。例えば横軸1204に沿った変換器を用いて音響エネルギーの形を整えることで、側部のローブを小さくするとともに、横軸1204に沿った集束を改善することができる。
図13に移ると、一次元超音波変換器システム1300の概略断面図が示されている。超音波変換器システム1300は、縦軸1305と横軸1304を有する。これらの軸は、例えば図12のプローブアセンブリの各々縦軸1205及び横軸1204と同様である。超音波変換器システム1300は、超音波信号を伝えること、及び/又は受け取ることができる。
一般に、当業者に知られているように、変換器1315(活性層(例えば圧電層1306)と、その層に付着させるオプションの任意のマッチング層(以下に説明する))は、縦軸1305に沿って所定数の離散した区画(例えば区画1309a〜1309n。ただしnは、離散した区画の所定の数を表わす)に分割することができる。離散した各々の区画が変換器要素になることができる(例えば離散した区画1309aが一つの変換器要素になることができる)。離散した区画を互いに電気的に接続し、2つ以上の離散した区画が単一の変換器要素として動作するようにできる(例えば離散した区画1309aと13009bを電気的に接続し、単一の変換器要素として機能するようにできる)。バッキング1313も存在していてよい。
図13は、縦軸1305に沿ってまっすぐな超音波変換器システム1300を示している。超音波変換器システム1300は、縦軸1305に沿って曲がっていてもよい。この曲がりは、例えば個々のまっすぐな変換器要素を縦軸1305に沿って互いにある角度に配置することによって実現できる。図13は、横軸1304に沿って平坦な超音波変換器システム1300の個々の変換器要素も示している。別の構成では、超音波変換器システム1300の個々の変換器要素は、横軸1304に沿って曲がっていてもよい。
変換器1315は、圧電層1306を含むことができる。圧電層1306は、圧電材料層1320と、第一の電極層1321と、第二の電極層1322を含むことができる。圧電材料層1320は、セラミックをベースとした材料(例えばジルコン酸チタン酸亜鉛(PZT))を含むことができる。第一の電極層1321は、一つ以上の導電性材料層を含むことができる。同様に、第二の電極層1322は、一つ以上の導電性材料層を含むことができる。第一の電極層1321で個々の変換器要素の各々に接続されている部分は、その個々の変換器要素の信号電極として機能することができる。同様に、第二の電極層1322で個々の変換器要素の各々に接続されている部分は、その個々の変換器要素のグラウンド電極として機能することができる。
一般に、信号電極とグラウンド電極は図13に示したように配置され、グラウンド電極は、圧電材料層1320で画像化領域と向かい合った側に来る。信号電極とグラウンド電極の位置は逆にしてもよい。そのような実施態様では、信号層をシールドするため追加のグラウンド層を設ける必要がある可能性がある。グラウンド電極は、図13に示したような個別の電極でもよいし、個々の変換器要素各々の上に位置するグラウンド材料からなる一つの連続層でもよい。個々の変換器要素の電極は、音波の生成と感知が可能な電子回路と相互連結することができる。
オプションの音響マッチング層を圧電層1306と相互連結してもよい。図13の超音波変換器システム1300には、圧電層1306と相互連結されたオプションの第一のマッチング層1307とオプションの第二のマッチング層1308が示されている。オプションのマッチング層の存在とその数は、図13に示した構成と異なっていてもよい。変換器1315は、圧電層1306と、その層に付着したオプションのあらゆるマッチング層を含んでいる。
圧電層1306として、電気エネルギーを力学エネルギーに変換したり、力学エネルギーを電気エネルギーに変換したりできる力学的に活性な層が可能である。すでに説明したように、圧電層1306は、グラウンド電極と信号電極に挟まれたPZT材料層を含むことができる。音波信号を発生させることのできる多彩な成分と材料で圧電層1306の少なくとも一部を置き換えることができる。そのような成分と材料として、セラミック材料、強誘電材料、複合材料、キャパシタ微細加工超音波変換器(CMUT)、圧電微細加工超音波変換器(PMUT)や、これらの任意の組み合わせがある。具体的な成分、動作の電気機械的原理、材料に関係なく、力学的に活性な層は、電気エネルギーを力学エネルギーに、力学エネルギーを電気エネルギーに変換する手段を含むことができる。この手段は、音響面1314と、個別に制御できる複数の変換器要素とを有する。一般に、イメージングの目的で使用できる超音波信号を発生させるための当業者に知られているあらゆるシステムを力学的に活性な層で使用することができる。
図13に戻ると、個別の離散した区画の各々は、変換器1315のダイシングの間に形成される切り口(例えば離散した区画1309cと1309dの間の切り口1310)によって隣の離散した区画から分離することができる。切り口は、充填材料で満たしてもよい。それに加え、一つ以上の音響レンズを音響面1314と相互連結してもよい。
圧電層1306は音響エネルギーを放出するため、いくらかの音響エネルギーがバッキング1313の中に入ることになる。このような音響エネルギーはイメージング容積1208には向かわないため、減衰させることが望ましい。この音響エネルギーを減衰させると、反射されて圧電層1306に戻る音響エネルギーの量を減らすのに役立つ。反射されるこのような音響エネルギーは、イメージング容積1208から反射されて圧電層1306に戻る音響エネルギーと干渉する可能性があるため、画像の品質が低下する可能性がある。
バッキング1313は、中間層1301を含むことができる。中間層1301は、超音波変換器の当業者に知られている材料(例えばエポキシ、シリコーンゴム、タングステン、アルミニウム酸化物、雲母、ミクロスフェア、又はこれらの組み合わせ)を含むことができる。バッキング1313は、第二の層1302も含むことができる。第二の層1302は、減衰が大きい材料にすることができる。それは例えば、多孔質ポリマーでできた繊維(例えばその繊維は多孔質PTFEで製造できる)からなる布帛層を含むすでに説明した材料である。例えば第二の層1302は、図6及び/又は図7を参照して説明した音響減衰材料を含むことができる。
図14は、変換器とフレームのアセンブリ1400の図である。変換器とフレームのアセンブリ1400は、フレーム1401に取り付けられた図13の超音波変換器システム1300を備えている。図13を参照して上に説明したように、超音波変換器システム1300は、変換器アレイ1315と、中間層1301と、第二の層1302を含むことができる。変換器とフレームのアセンブリ1400は、例えば図12のプローブアセンブリ1200の中に取り付けることができる。変換器とフレームのアセンブリ1400は、フレーム回転軸1402のまわりを回転できるように取り付けることができる。このようなシステムでは、すでに説明したように、音響ビームは、縦軸1405に沿って電子的に操縦することと、フレーム回転軸1402のまわりを変換器とフレームのアセンブリ1400を回転させることによって機械的に操縦することができる。モータ又はそれ以外の装置(図示せず)を用いて変換器とフレームのアセンブリ1400をフレーム回転軸1402のまわりを回転させることができる。
変換器アレイ1300を図12のプローブアセンブリ面1203と音響的にカップルさせるため、変換器とフレームのアセンブリ1400を流体(例えば液体)の中に浸すことができる。流体は、図12のプローブアセンブリ1200のハウジング1201に収容することができる。
上に指摘したように、変換器とフレームのアセンブリ1400をハウジング1201の中で回転させ、横軸1204に沿って音響ビームを走査することができる。さらに、上に指摘したように、変換器とフレームのアセンブリ1400は液体の中に浸すことができる。このようなシステムでは、変換器とフレームのアセンブリ1400のサイズ及び/又は重量を小さくすることが有利であろう。変換器とフレームのアセンブリ1400を浸した流体が原因でその変換器とフレームのアセンブリ1400が移動しにくくなるが、変換器とフレームのアセンブリ1400のサイズを小さくすることにより、その移動に対する抵抗力を小さくすることができる。変換器とフレームのアセンブリ1400の重量を軽くすることにより、変換器とフレームのアセンブリ1400の慣性を小さくすることができる。変換器とフレームのアセンブリ1400の運動に対する抵抗力及び/又は慣性を小さくすると、特に、位置の精度が高まり、運動応答時間が短くなり、モータに必要とされるパワーが少なくなる。
したがって上に説明したように、多孔質ポリマー繊維からなる少なくとも一つの布帛層を組み込んだバッキングを従来の超音波変換器用バッキング材料(例えばシリコーンゴム)の代わりに用いると、重量とサイズが小さくなるという利点を得ることができる。同様に、従来の超音波変換器用バッキング材料を多孔質ポリマー繊維からなる少なくとも一つの布帛層を組み込んだ同様のサイズのバッキングで置き換えると、そのバッキングの音響減衰能力を増大させることができる。
さらに、多孔質ポリマー繊維からなる上記の布帛層は可撓性を持つため、曲がった変換器アレイ(例えば図14の変換器アレイ1300)を効率的に製造することが可能になる。例えば図14の変換器アレイ1300は、最初は平坦な変換器アレイとして製造することができる。この点に関し、圧電材料からなる平坦な連続層を、多孔質ポリマー繊維からなる少なくとも一つの布帛層を含むバッキングと相互連結することができる。圧電材料を切断して個別の変換器アレイ要素を形成した後、このアセンブリを曲がった面(例えば変換器とフレームのアセンブリ1400のフレーム1401の曲面1403)と相互連結することができる。その後、切断プロセスの結果として生じる切り口を満たしてもよい。
図13に戻ると、第一の電極層1321と第二の電極層1322は、さまざまな方法で超音波イメージング装置に電気的に接続することができる。例えば個々の変換器要素各々(例えば離散した区画1309a〜1309n)を第一の電極層1321に電気的に接続することは、変換器1315のエッジに沿って第一の電極層1321を電気的に接続することによって実現できる。例えば離散した区画1309cの第一の電極層1321は、離散した区画1309cの露出した端部1303と相互連結することができる。
図15は、超音波イメージング装置を変換器1315の離散した区画の第一の電極層1321に電気的に接続する別の方法を示している。図15は、図13の超音波変換器システム1300を図13の切断線C-Cに沿って切断した断面図に、複数の電気的接続線1501a〜1501nを追加した図である。複数の電気的接続線1501a〜1501nの各々は、中間層1301と第二の層1302を貫通して延びている。例えば電気的接続線1501aは、離散した区画1309aの第一の電極層1321に電気的に接続され、中間層1301と第二の層1302を貫通して延びている。電気的接続線1501aの露出部1503は、離散した区画1309aの第一の電極層1321に電気的に接続されている。露出部1503は、当業者に知られている方法を利用して超音波イメージング装置に電気的に接続することができる。あるいは電気的接続線1501a〜1501nは、第二の層1302の底面1504を超えて延びることはできない。そのような構成では、電気的接続線1501a〜1501nは、当業者に知られている方法(例えばワイヤボンディング)を利用して超音波イメージング装置と相互連結することができる。
電気的接続線1501a〜1501nは、中間層1301と第二の層1302の中を通過する穴を最初に設けることによって形成できる。これは、例えばレーザー穿孔によって実現できる。次に、(例えばメッキ法によって)穴に導電性材料を満たす。電気的接続線線1501a〜1501nは、単一の電気的接続線が複数の離散した区画に電気的に接続される構成にすることができる。例えば電気的接続線1501aは、離散した区画1309aと1309bに電気的に接続することができる。このような構成では、離散した区画1309aと1309bが合わさって単一の変換器要素を形成できるため、電気的接続線1501bは存在しなくてもよい。電気的接続線1501a〜1501nは、これらの電気的接続線が電気的に接続されている離散した区画に向かわせることができる。
図16は、超音波イメージング装置を変換器1315の離散した区画の第一の電極層1321に電気的に接続する別の方法を示している。図16は、超音波変換器アセンブリで用いるためのバッキングアセンブリ1600の概略図である。繰り返しを避けるため、変換器アレイは図16には示しておらず、バッキングアセンブリ1600だけを示してある。バッキングアセンブリ1600は、図13の超音波変換器システム1300と同じ向きに描いてある。
図16のバッキングアセンブリ1600は、中間層1601と第二の層1602を含んでいる。超音波変換器システム1300に関して上に説明したのと同様、中間層1601は、超音波変換器の設計の当業者に知られている材料を含むことができ、第二の層1602は、減衰が大きい材料(例えば多孔質ポリマーで製造された繊維からなる布帛層を含むすでに説明した材料)にすることができる。バッキングアセンブリ1600は、相互連結アセンブリ1603を含んでいる。相互連結アセンブリ1603は、絶縁材料1604と個々の導電性部材を含むことができる。相互連結アセンブリ1603は、図16に示してあるように中間層1601と第二の層1602の区画の間に配置することができる。図16では線1607に沿った区画を切断し、相互連結アセンブリ1603の内部の詳細を明らかにしてある。
個々の導電性部材として、個別のワイヤ(例えばワイヤ1605)が可能である。個別のワイヤは、絶縁材料の中にあって個々の変換器要素に向かうスロット(例えばスロット1606)の中に配置することができる。この点に関し、相互連結アセンブリ1603は、バッキングアセンブリ1600の中を通過する複数の電気的接続線を含むことができる。絶縁材料1604は、中間層1601と同じ材料を含むことができる。
図1に関して上に指摘したように、音響減衰材料114は、超音波プローブ100の中の他の面に沿って配置してもよい。図12に示した実施態様におけるのと同様、上に説明した音響減衰材料を用いてハウジング1201及び/又はプローブアセンブリ1200内の他の部品を覆うことができる。上に説明した音響減衰材料をこのように応用すると、超音波変換器アレイ(例えば図13の変換器アレイ1300)に入射する望ましくない音響エネルギーの量を減らして画像の品質を向上させるのに役立つ。一般に、上に説明した音響減衰材料は、その音響減衰材料の表側ある面と向かい合って接し、その音響減衰材料の裏側が流体(例えば空気又は水)と接触するように配置することができる。このような配置では、音響減衰材料は、その面から発する音響エネルギーと、流体を通って伝わって音響減衰材料の裏側に入射する音響エネルギーを吸収することができる。
図17に移ると、超音波変換器システム1700の概略断面図が提示されている。図17では線1711と1712に沿って一部を切り取り、超音波変換器システム1700の内部の詳細を明らかにしてある。超音波変換器システム1700は、縦軸1705と横軸1704を有する。超音波変換器システム1700は所定数の離散した区画で構成されており、それを図17では離散した区画1709a〜1709nとして示してある(ただしnは離散した区画の所定の数を表わす)。超音波変換器システム1700は、n個の変換器からなる単一の行を持つ一次元アレイとして示してある(ただしnは離散した区画の所定の数を表わす)。あるいは超音波変換器システム1700は、多数の行と多数の列に配置された離散した区画の二次元アレイを含んでいてもよい。
一般に、当業者に知られているように、変換器1715(圧電層1706と、その層に付着したオプションの任意のマッチング層からなる)は、所定数の離散した区画に分割することができ、それを図17では縦軸に沿って配置した離散した区画1709a〜1709nとして示してある。図13を参照して説明したのと同様、離散したこれら区画は、各々が変換器要素を形成するか、電気的にまとめられて2つ以上の離散した区画が一つの変換器要素を形成するようにできる。あとで説明するバッキング1701も存在してよい。
変換器1715は圧電層1706を含むことができる。圧電層1706は、圧電材料層1720と、第一の電極層1721と、第二の電極層1722を含むことができる。圧電材料層1720は、セラミックをベースとした材料を含むことができる。第一の電極層1721は、一つ以上の導電性材料層を含むことができる。同様に、第二の電極層1722は、一つ以上の導電性材料層を含むことができる。第一の電極層1721で個々の変換器要素に接続される部分は、個々の変換器要素のための信号電極として機能することができる。同様に、第二の電極層1722はグラウンド電極として機能することができる。個々の変換器要素電極は、音波の発生と感知が可能な電子回路と相互連結することができる。
オプションの音響マッチング層は、圧電層1706と相互連結することができる。図17の超音波変換器システム1700は、オプションの単一のマッチング層1707を示している。オプションのマッチング層の存在と数は、図17に示した構成とは異なっていてもよい。変換器1715は、圧電層1706と、その層に付着したオプションの任意のマッチング層を含んでいる。
圧電層1706として、電気エネルギーを力学エネルギーに、力学エネルギーを電気エネルギーに変換できる力学的に活性な層が可能であり、図13の圧電層1306を参照して上に説明した任意の材料を含むことができる。図17の変換器1715は音響面1714を含んでいる。個々の変換器要素の各々は、変換器1715のダイシング中に形成される切り口(例えば離散した区画1709cと1709dの間の切り口1710)によって隣の要素から分離することができる。
超音波変換器システム1700のバッキング1701は、図11を参照して上に説明した複合材料を含むことができる。この点に関し、バッキング1701は、支持材料1702からなる層と交互に配置された一枚以上の多孔質ポリマーシート(例えばシート1703a、1703b、1703c)を含むことができる。支持材料は、例えばエポキシを含むことができる。各々の多孔質ポリマーシート1703a、1703b、1703cは、多孔質PTFEを含むことができる。各々の多孔質ポリマーシート1703a、1703b、1703cは、複数の貫通穴(例えば貫通穴1708)を含むことができる。その複数の貫通穴は、少なくとも一部を支持材料1702で満たすことができる。
図17は、多孔質ポリマーシート1703a、1703b、1703cという3つの層を含むバッキング1701を示している。さまざまな実施態様では、単一の多孔質ポリマーシート、又は2枚の多孔質ポリマーシート、又は4枚以上の多孔質ポリマーシートを使用することができる。多孔質ポリマーシートの穴のパターンは、図17に示したのとは異なっていてもよい。穴のサイズ、数、パターンを変えて望む力学特性及び/又は音響特性を実現することができる。
図17からわかるように、支持材料1702は、多孔質ポリマーシート1703a、1703b、1703cを完全に包み込んでいる。このような構成は、個々の多孔質ポリマーシート1703a、1703b、1703cをあらかじめ切断した後、それらを支持材料1702の中に包み込むことによって実現できる。
あるいはバッキング1701は、単一の超音波変換器システム1700に必要であるよりも大きなサイズに製造することができる。例えば単一の超音波変換器システム1700に必要であるよりも数倍大きなバッキング材料からなるシートを用意することができる。同様のサイズの圧電材料層を、バッキング材料からなるそのシートと、望ましい可能性があるオプションの任意のマッチング層とに相互連結することができる。次にこのアセンブリをダイシングし、圧電材料からなるストリップの間に切り口を形成する。その後、切り口が満たされた状態にしてもよい。次に、このアセンブリ全体を切断して個々の超音波変換器システム(例えば図17の超音波変換器システム1700)にすることができよう。
この点に関し、バッキング1701を(例えばスライシングによって)小さくして最終サイズにし、個々の多孔質ポリマーシート1703a、1703b、1703cのエッジがバッキング1701の辺に沿って露出された状態にする。超音波変換器システム1700の用途と作業環境に応じ、個々の多孔質ポリマーシート1703a、1703b、1703cのエッジは、露出されたままにするか、製造工程において(例えばエポキシ層をバッキング1701のエッジの周囲に配置することによって)エッジをシールすることができる。エッジをシールし、例えば物質が多孔質ポリマーシートの空孔に入るのを阻止したり、追加の力学的強度を与えたりすることができる。
個々の変換器要素への超音波変換器システム1700の電気的接続は、図13の超音波変換器システム1300に関して上に説明したのと同様の方法で実現できる。例えば個々の変換器要素各々の第一の電極層1721への電気的接続は、変換器1715のエッジに沿って第一の電極層1721に電気的に接続することによって実現できる。例えば第一の電極層1721への電気的接続は、図15(例えばバッキング1701の中を通過する穴を開けてメッキする)と図16(例えば相互連結アセンブリ1603と同様の相互連結アセンブリを用いる)を参照して説明したのと同様の方法でバッキング1701を通じて電気的に接続することによって実現できる。
超音波変換器システム1700は、例えば超音波プローブの中に配置されると、音響面1714が超音波プローブの外側部分の近くに位置するような方向を向けることができる。したがって超音波変換器システム1700の後面(例えばバッキング1701で圧電層1706とは反対側を向いた後面)は、超音波プローブの外側部分とは向き合わず、超音波プローブの内側部分を向くことができる。この点に関し、バッキング1701の後面は、例えば空気を含む可能性のある超音波プローブの内部環境にさらされていてもよい。
図17は、縦軸1704に沿ってまっすぐになった超音波変換器システム1700を示している。別の構成では、超音波変換器システム1700の個々の変換器要素が縦軸1704に沿って曲がっていてもよい。
図17は、図9〜図11を参照して説明した材料と同様のバッキング1701を有する超音波変換器システム1700を示している。超音波変換器システム1700は、図8Aと図8Bを参照して説明したバッキング材料を用いて構成してもよいことに注意されたい。
図18と図19は、図17の超音波変換器システム1700の一応用例を示している。図18は、超音波変換器を含むカテーテル1800を示している。カテーテル1800は、超音波変換器を取り囲む外側シェル1801と、相互連結用チューブ1802を備えている。チューブ1802は、超音波変換器を超音波イメージング装置(図示せず)と電気的に接続する導電経路を収容することができる。カテーテル1800内の超音波変換器は、縦軸1805と縦軸1804に沿った方向に向けることができるため、イメージング面1808全体を音響エネルギーのビームで掃引することができる。
音波の形態になった超音波エネルギーは、患者の内部構造に向けることができる。音波はさまざまな内部構造と相互作用して反射される可能性がある。そのような反射をカテーテル1800内の超音波変換器によって検出し、超音波イメージング装置によって患者の内部構造の画像として表示することができる。
図19は、図18に示したカテーテル1800の切断線D-Dに沿った断面図である。超音波変換器システム1700は、変換器1715とバッキング1701を含んでおり、外側シェル1801の中に配置される。カテーテル1800は、超音波変換器システム1700に電気的に接続するための電気的接続アセンブリ1904も含んでいる。電気的接続アセンブリ1904としては、例えばW.L.ゴア&アソシエイツ社(ニューアーク、デラウェア州、アメリカ合衆国)から入手できるゴア(登録商標)マイクロフラットリボンケーブルが可能である。カテーテル1800は、作業チャネル1905も含んでいてよい。
バッキング1701は、例えば図8A〜図11を参照して説明した実施態様に従って構成することができる。バッキング1701は、単位厚さあたりの減衰が(従来の超音波変換器のバッキング材料と比べて)大きい多孔質ポリマーシートで構成できるため、従来からあるバッキング材料(例えばエポキシ、シリコーンゴム)でできた同様の減衰能力を持つバッキングよりも薄くできる。より薄くて堅固なバッキング1701にはいくつかの利点がある。例えば丸いカテーテル(例えばカテーテル1800)では、バッキングが薄くなるため、超音波変換器システム1700の最大幅を大きくすることができる。また、バッキングが薄くなるため、カテーテル内で他の部品のために利用できるスペースが増加する、及び/又はカテーテルの全体的なサイズを小さくできる。バッキング1701が堅固であることも、追加の支持部材を必要とせずに変換器1715を支持する、及び/又は位置決めするのに有利である。さらに、バッキング1701を通じて変換器1715に電気的に接続する上記の方法では、変換器1715のエッジに沿った電気的な接続が必要ないため、変換器1715とバッキング1701がカテーテル1800の外側シェル1801まで、又はその近くまで広がっていてもよい。
この明細書に記載した音響減衰材料は、さまざまな場所で使用することができる。上に指摘したように、この音響減衰材料は、プローブアセンブリ1200のハウジング1201の内側を覆うのに使用できる。図20は、音響減衰材料2001が支持構造物2002と相互連結されて(例えばエポキシを用いて結合されて)音響エネルギー吸収パネル2000を形成している一実施態様を示している。このようなパネル2000は、音響エネルギーを吸収することを目的として多彩な場所に配置することができる。例えばこのパネルは、音響エネルギーのレベルを下げたい所定の容積内に配置することができる。パネル2000は、上に説明した一種類以上の音響減衰材料を含むことができる。
図21は、音響エネルギーを減衰させる方法のフローダイヤグラムである。このフローダイヤグラムは個々の工程を特定の順番で示しているが、単なる例示を目的としているため、工程の順番を図21に示したのとは変えてもよい。第一の工程2101は、ある部材を、音響エネルギーを減衰させるべき経路に配置する操作を含んでいる。この部材は、多孔質ポリマーと支持材料を含むことができる。多孔質ポリマーは、PTFE、ウレタン、ポリスチレン、シリコーン、フルオロポリマー、ポリオレフィン(例えばポリエチレン、ポリプロピレン)、又はこれらの組み合わせを含むことができる。
多孔質ポリマーは、布帛繊維からなる一つ以上の層の形態が可能である。支持材料が布帛繊維の間の空隙の一部を占めていてもよい。
多孔質ポリマーは、不織布シートからなる個別の層が複数ある形態にすることができる。例えば多孔質ポリマーからなる複数の層は、支持材料からなる複数の層と交互に配置することができる。シートは、連続でも、穴が開いていてもよい。シートに穴が開いている実施態様では、支持材料が穴の少なくとも一部を満たしていてもよい。
配置には、部材をある面と隣り合うように配置し、その部材の前面をその面と接触させることを含むことができる。配置には、部材を所定の容積内に配置してその所定の容積内の音響エネルギーを減衰させることを含むことができる。
第二の工程2102では、部材内で音響エネルギーの少なくとも一部を吸収することが可能である。部材が一つの表面に近接させて配置されている実施態様では、吸収に、その面から発する音響エネルギーの吸収と、部材内でその部材の裏面に入射する音響エネルギーの吸収を含むことができる。
第3の工程2103では、支持材料を用いて多孔質ポリマーを支持することができる。これは、例えば支持材料からなるマトリックスの中に多孔質ポリマー布帛からなる層を包み込むことによって、又は多孔質ポリマーからなる複数の層を支持材料からなる複数の層と交互に配置することによって実現できる。
図22は、超音波変換器の裏面に入射する音響エネルギーを減らす方法のフローダイヤグラムである。このフローダイヤグラムは個々の工程を特定の順番で示しているが、単なる例示を目的としているため、工程の順番を図22に示したのとは変えてもよい。音響エネルギーは、100kHz〜100MHzの周波数を持つことができる。
第一の工程2201は、多孔質ポリマーを含む材料からなる層を用意する操作を含んでいる。多孔質ポリマーは、多孔質ポリマー布帛でも多孔質ポリマー不織布でもよい。その材料層は、前面と後面を有することができる。その材料層は、支持材料も含んでいてよい。多孔質ポリマー布帛を含む実施態様では、多孔質ポリマー布帛からなる層を支持材料からなるマトリックスの中に包み込むことができる。
多孔質ポリマー不織布を含む実施態様では、多孔質ポリマー不織布は、複数のシートが支持材料からなる複数のシートと交互に配置された形態にすることができる。シートは、連続でも、穴が開いていてもよい。シートに穴が開いている実施態様では、支持材料が穴の少なくとも一部を満たしていてもよい。
第二の工程2202では、材料の前表面が超音波変換器の裏面の隣にあって互いに向かい合う関係になるようにその材料を配置することができる。材料の後表面は流体(例えば気体)と接触していてもよい。流体としては、例えば超音波プローブの中、又は超音波変換器を収容したカテーテルの中に含まれる空気が可能である。
次の工程2203では、超音波変換器の裏面から発する音響エネルギーを吸収することができる。次の工程2204では、材料の後表面に入射する音響エネルギーを吸収することができる。この点に関し、吸収されるエネルギーが超音波変換器の裏面に到達したり、超音波変換器の動作を妨げたりしないようにできる。
上の詳細な説明では一般に音響減衰材料と超音波プローブアセンブリに関する実施態様を記載したが、この明細書に記載した実施態様は、音響の減衰が望ましい他の用途や、他の構成の超音波変換器で使用することができる。
上に記載した実施態様に対する追加の変更や拡張は、当業者には明らかであろう。そのような変更や拡張は、以下の請求項に規定されている本発明の範囲に含まれるものとする。

Claims (21)

  1. 音響面と後面とを有する活性層であって、該活性層が少なくとも一つの超音波変換器要素を含み、該後面が該音響面に対して該活性層の反対側に在る、活性層、及び、
    該後面と相互に連結されるバッキングであって、該バッキングが、多孔性を有するポリマーを含む複数の膜の各々と、複数の支持層とを含み、該複数の膜が該複数の支持層と交互に配置される、バッキング、を含み、
    該複数の膜の各々が、該膜の一方の側から他方の側に延在する複数の貫通穴を含み、
    該複数の膜の一つの少なくとも幾つかの貫通穴は、隣接する膜のいずれかの貫通穴と整列状態ではなく、
    該複数の支持層が含む共通のポリマー支持材料で、該複数の膜の該複数の貫通穴の少なくとも一部分が充填されて、
    該複数の支持層の曲げ弾性率が該複数の膜の曲げ弾性率よりも大きい、
    超音波変換器システム。
  2. 前記少なくとも一つの超音波変換器要素の少なくとも一つが平面である、請求項1に記載の超音波変換器システム。
  3. 前記少なくとも一つの超音波変換器要素の少なくとも一つが曲線状である、請求項1に記載の超音波変換器システム。
  4. 前記バッキングが1MHzで少なくとも25dB/cmの音響減衰を提供する、請求項1に記載の超音波変換器システム。
  5. 該複数の支持層の曲げ弾性率が該複数の膜の曲げ弾性率の少なくとも2倍の大きさである、請求項1に記載の超音波変換器システム。
  6. 前記一つ膜の前記複数の貫通孔の過半数が、隣接する不織布膜の任意の貫通孔と整列状態ではない、請求項1に記載の超音波変換器システム。
  7. 前記一つの膜の前記複数の貫通孔の全てが、前記隣接する不織布膜の前記貫通孔と整列状態ではない、請求項6に記載の超音波変換器システム。
  8. 前記ポリマーが、PTFE、ウレタン、ポリスチレン、フルオロポリマー、シリコーン及びポリオレフィンからなる群から選択される、請求項1に記載の超音波変換器システム。
  9. 前記ポリマーがPTFEである、請求項8に記載の超音波変換器システム。
  10. 前記共通のポリマー支持材料が、エポキシ、THV、FEP、PTFE、PES、EFEP、PET、PEEK、PEI、PC及びLCPからなる群から選択される、請求項8に記載の超音波変換器システム。
  11. 前記複数の膜の各々が1から200μm(ミクロン)の厚みであり、前記複数の支持層の各々が1から200μm(ミクロン)の厚みである、請求項1に記載の超音波変換器システム。
  12. 前記複数の膜の各々と前記複数の支持層とが、前記活性層に平行に配置される、請求項1に記載の超音波変換器システム。
  13. 前記複数の膜の各々と前記複数の支持層とが、前記活性層に対して所定の角度で配置される、請求項1に記載の超音波変換器システム。
  14. 前記複数の膜が各々、1から800μm(ミクロン)の厚みを有し、前記複数の支持層が、各々、1から500μm(ミクロン)の厚みを有する、請求項1に記載の超音波変換器システム。
  15. 前記ポリマーが、PTFE、ウレタン、ポリスチレン、フルオロポリマー、シリコーン及びポリオレフィンからなる群から選択される、請求項14に記載の超音波変換器システム。
  16. 前記ポリマーがPTFEである、請求項15に記載の超音波変換器システム。
  17. 前記バッキングが1MHzで少なくとも25dB/cmの音響減衰を提供し、
    前記複数の支持層の曲げ弾性率が前記複数の膜の曲げ弾性率の少なくとも2倍の大きさである
    請求項15に記載の超音波変換器システム。
  18. 前記複数の支持層が、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、フルオロポリマー及びエポキシからなる群から選択される材料を含む、請求項15に記載の超音波変換器システム。
  19. さらに、隣接する前記複数の膜の1つ及び複数の支持層の1つとの間に配置される複数の相互連結層を含み、該複数の相互連結層の各々が、
    第一表面と第二表面とを有する接着剤キャリア、
    該第一表面上に配置される第一接着剤層及び、
    該第二表面上に配置される第二接着剤層を含む、
    請求項14に記載の超音波変換器システム。
  20. 前記複数の相互連結層が、前記近接の膜と前記支持層とを互いに結び付ける働きをすることが可能である、請求項19に記載の超音波変換器システム。
  21. さらに、前記バッキングを通過する複数の連続的な経路を含み、前記複数の連続的な経路が導電性材料で少なくとも一部分を充填し、該複数の連続的な経路の各々が前記バッキングを通過する導電性経路を提供する働きをすることが可能である、請求項1に記載の超音波変換器システム。
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