JP5506537B2 - 走行体に備えられた車側灯の検出方法、及びこの検出方法を用いて可動柵に備えられたドアの開閉を行う可動柵制御装置。 - Google Patents
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Description
図1に示すように、可動柵は、駅ホームの端部に停車又は通過する列車と駅ホーム上の乗客とを隔離するように設けられた隔壁であり、停車した列車の扉に対応する位置には、乗客が昇降するためのドアが設けられている。このドアの開閉は、通常、自動列車運転装置 (ATO) からの情報を基に行われるが、乗務員が操作することもある。
そこで、列車の外側壁に備えられた車側灯(車側表示灯)の点灯状況を基に、可動柵のドアの開閉を行う技術が開発されている(特許文献1などを参照)。
この特許文献1の画像入力装置を採用した上で、この画像入力装置から得られた列車の車側灯の点灯状態を可動柵の開閉に用いることで、簡便な方法で且つ設置費用を抑えた可動柵システムの敷設が可能となる。
翻って特許文献1の技術は、画像入力装置として、撮影装置もしくは受光センサを採用しているものの、撮影装置、受光センサが「カラー情報」を取得できるとの開示はない。また、カラー情報を取得できたとしても、得られたカラー情報を如何様に判定することで、「戸閉表示灯」の点灯状況を認識するかといった事項の開示はない。
すなわち、本発明に係る走行体に備えられた車側灯の検出方法は、画像処理を用いて走行体の外側壁に備えられた車側灯の点灯状態を検出する検出方法であって、前記車側灯を含む走行体の画像を撮像する撮像工程と、前記撮像工程で得られた画像から、所定閾値以上の輝度を有する高輝度領域を抽出する高輝度領域抽出工程と、前記高輝度領域抽出工程で得られた高輝度領域をラベリングするラベリング工程と、前記ラベリング工程によりラベリングされた前記高輝度領域に対して色識別を行う色識別工程と、前記色識別工程の結果に基づいて、前記高輝度領域が「戸閉表示灯」及び「非常灯」のいずれを示す領域であるかを識別すると共に、「戸閉表示灯」を示す高輝度領域の数を判定する車側灯判定工程と、を有していることを特徴とする。
前記車側灯判定工程は、前記色識別の結果に基づいて、前記高輝度領域が「戸閉表示灯」及び「非常灯」のいずれを示す領域であるかを識別してもよい。
また、本発明に係る可動柵制御装置は、可動柵が設置されたホームへ列車が到着した際に、画像センサにより前記列車の車側灯を撮像し、撮像された画像から車側灯の点灯状態を判別し、車側灯の点灯状態に応じて前記可動柵の開閉を制御する可動柵制御装置であって、上述の車側灯の検出方法を行うことで、点灯している「戸閉表示灯」の数を判定する車側灯判定部と、前記点灯している「戸閉表示灯」の数を基に、可動柵のドアに対する開閉指令を発するドア開閉判定部と、を有することを特徴とする。
また、前記ドア開閉判定部は、少なくとも2車両分以上の点灯している「戸閉表示灯」の数を基に、可動柵のドアに対する開閉指令を発するようにしてもよい。
なお、本発明に係る走行体に備えられた車側灯の検出方法の最も好ましい形態は、画像処理を用いて走行体の外側壁に備えられた車側灯の点灯状態を検出する検出方法であって、前記車側灯を含む走行体の画像を撮像する撮像工程と、前記撮像工程で得られた画像から、所定閾値以上の輝度を有する高輝度領域を抽出する高輝度領域抽出工程と、前記高輝度領域抽出工程で得られた高輝度領域をラベリングするラベリング工程と、前記ラベリング工程によりラベリングされた前記高輝度領域に対して色識別を行う色識別工程と、前記色識別工程の結果に基づいて、前記高輝度領域が「戸閉表示灯」及び「非常灯」のいずれを示す領域であるかを識別すると共に、「戸閉表示灯」を示す高輝度領域の数を判定する車側灯判定工程と、を有していて、前記色識別工程は、前記高輝度領域のRGB輝度データを所定の表色系データへと変換し、当該表色系データを基にして色識別を行うものであって、前記車側灯判定工程は、前記色識別の結果に基づいて、前記高輝度領域が「戸閉表示灯」及び「非常灯」のいずれを示す領域であるかを識別することを特徴とする。
本発明の実施形態における可動柵1は、新幹線や在来線、地下鉄などの駅ホームに設置されており、ここでは、走行体として軌道上を走行する列車を想定し、駅ホームに停車した列車に設けられた車側灯の点灯状況を検知し、その検知結果を基に可動柵1のドアを開閉する実施形態を示す。
この駅ホーム2には、駅ホーム2からの転落や走行体である列車3との接触事故防止などを目的とした安全対策の一つとして可動柵1(ホーム可動柵、ホームドア等)が備えられている。可動柵1は、駅ホーム2に停車又は駅ホーム2を通過する列車3と、駅ホーム2上の乗客とを隔離するように設けられた隔壁であり、停車した列車3の扉に対応する位置には、乗客が乗降するためのドア4が設けられている。
なお、説明において、可動柵1に備えられた開閉可能な扉のことを「ドア」と表記し、列車3に備えられた乗り降り用の扉のことを「扉」と表記する。
図1,図2に示す如く、可動柵制御装置5に備えられた画像センサ8は、RGBのそれぞれを撮像可能な3つのCCDやカラーCCD等を搭載したカメラ(カラービデオカメラ等)で構成されている。
ところで、本発明の可動柵制御装置5は、画像センサ8が設置された位置よりも列車3の進行方向の手前側において、列車3の進入を検出するための走行体センサ11を有している。
走行体センサ11として、超音波や赤外線を用いたドップラセンサを用いることで、列車3の進入のみならず、進入してきた列車3の停止(列車速度=0)を知ることができ、この走行体センサ11による停止検知を基に、上記した画像センサ8による撮像を行うとよい。
車側灯判定部9内には、フレームメモリが備えられており、所定時間間隔(例えば、1/30又は1/15秒)で取り込まれる2次元のフレーム画像(例えば、640ピクセル×480ピクセル)が蓄積される。このフレームメモリに蓄積された2次元のフレーム画像に対して、後述する「車側灯の検出処理」が実施され、車側灯の点灯状態、すなわち、戸閉表示灯6の点灯数や非常灯7の点灯数が判定される。
なお、車側灯判定部9及びドア開閉判定部10は、パソコン上で実行されるソフトウエア、又はDSP等で構成されるハードウエアから構成される。
図3に示されるフレーム画像において、太実線で囲まれたROIで示される領域は(以下、ROIという)、フレーム画像内で車側灯が存在する領域である。車側灯の位置は入線する列車3の種類ごとに異なるが、概ね車側面における窓又は扉の上部に設置されているので、入線する全ての列車の車側灯を含むようにROIのフレーム画像内における位置を予め設定しておくことができる。このROIの位置は、フレーム画像内のピクセル座標として、予め車側灯判定部9に設定される。
さらに、車側灯判定部9は、ラベリングを施した高輝度領域内の各ピクセル値(RGB輝度値)を、所定の表色系に変換した上で、色空間上にマッピングして、各高輝度領域の色を識別する(色識別工程)。
すなわち、RGB表色系では、色情報と輝度情報が混ざった形で表現されるので、正確な色認識が困難であることが多い。それ故、本実施形態では、色情報と輝度情報が分離された表色系(色空間)に変換する。
色差を表現するのに適した表色系(色空間)として、L*u*v*表色系及びL*a*b*表色系の2つがよく知られている。また、L*a*b*表色系に類似の表色系として、YCbCr表色系やYPbPr表色系が近年よく用いられている。
以上述べた色識別工程により得られた情報は、車側灯判定部9に送られる。
例えば、戸閉表示灯6は赤色であり、非常灯7は緑色であることを、予め車側灯判定部9に登録しておけば、マッピングの結果、ラベリングにおいて、番号1と番号3を与えられた高輝度領域が赤色を示していれば、番号1と番号3の高輝度領域が戸閉表示灯6に対応していると判別する。ラベリングにおいて、番号2と番号4を与えられた高輝度領域が緑色を示していれば、番号2と番号4の高輝度領域が非常灯7に対応していると判別することができ、点灯している戸閉表示灯6と非常灯7の数も判定することができる。
次に、車側灯判定部9で判定された情報(戸閉表示灯6や非常灯7の点灯状況)は、ドア開閉判定部10へと送られる。
図5(a)〜図5(c)はそれぞれ、車側灯判定工程までの画像処理を終えたROIを表しており、「ドア開閉の判定処理」に用いられる。図5のROIは、4つの戸閉表示灯6と4つの非常灯7を含んでおり、列車編成の内4輌分を示している。すなわち、1車両には、1つの戸閉表示灯6と1つの非常灯7が設置されているとする。
図5(b)は、列車3が停止した後、図5(a)の状態を経て、列車3の扉が開かれた後のROIを表しており、網掛け部分の4つの車側灯が点灯している状態を示している。このとき、上述の車側灯の検出処理における色識別により、点灯している4つの車側灯は、全て戸閉表示灯6であると識別できるので、4つの戸閉表示灯6が点灯し、4輌分全ての扉が開いていると判断でき、可動柵1のドア4を開くべきと判定する。
また、図7(a)は、列車3がホーム2に入線し、停止した直後のROIを表しており、網掛け部分の車側灯が1つだけ点灯している状態を示している。このとき、上述の車側灯の検出処理における色識別により、点灯している1つの車側灯は、非常灯7であると識別できるので、4つの戸閉表示灯6が点灯しておらず4輌分全ての扉が閉じていると判断できる。これによって、可動柵1のドア4はまだ開かずに、閉じた状態を保持するべきと判定する。
まず、可動柵制御装置5は、走行体センサ11等を用いて、列車3のホームへの入線と列車3の停止を検知する(S1)。
列車3の停止を検知すると、可動柵制御装置5の画像センサ8は、車両4輌分の車側灯を収めた2次元のフレーム画像を撮像し、ROIを切り出す(S2)。
続いて、可動柵制御装置5は、抽出された高輝度領域の数を判定し、車側灯が点灯しているか否かを判断する(S4)。
列車3の扉が開き、ステップS4において、ROIが図5(b)に示す状態であれば、可動柵制御装置5は、車側灯が点灯していると判断し、上述の車側灯の検出処理におけるラベリング工程を行う(S6)。
ステップS7で車側灯の色を識別した後、可動柵制御装置5は、ラベル番号を付した高輝度領域が戸閉表示灯6に対応するものであるか、非常灯7に対応するものであるかを判定し、さらに戸閉表示灯6及び非常灯7の点灯数を判定する(S8)。
ROIが図5(b)に示す状態であれば、点灯している車側灯の数と車両数は等しく4であるので、ステップS9で、可動柵制御装置5は、戸閉表示灯6の数が列車3の車両数以上であると判断する。この判断に基づいて、可動柵制御装置5は、可動柵1のドア4を開き(S10)、ステップS2に戻って本フローの動作を繰り返す。
ステップS11の判断で、ROIが図5(c)に示す状態であり、戸閉表示灯6の点灯数が閾値以下であれば、ステップS5に移行して、可動柵制御装置5は、可動柵1のドア4を閉じる。
ステップS5の動作によって可動柵1のドア4が閉じられた状態で、列車3の在線の有無を検知(ホームからの進出の有無を検知)し(S13)、列車3が進出したら一連の動作フローを終了する。
図6に示す可動柵制御装置5の動作フローを、図7〜図9に示す車側灯の状態に適用した場合について説明する。
このときのROIが、列車3の扉が未だ開かれていない状態であって、図7(a)に示すように非常灯7が1つ点灯している状態を表していれば、可動柵制御装置5は、車側灯が点灯していると判断する(S4)。この判断の結果、ステップS6〜ステップS8の処理を経て、戸閉表示灯6の点灯数と列車3の車両数とを比較する(S9)。図7(a)の状態であれば、戸閉表示灯6の点灯数は0、列車3の車両数は4であるので、ステップS11に移行する。ステップS11では、改めて戸閉表示灯6の点灯数が閾値以下であるか否かを判断する(S11)。今、戸閉表示灯6の点灯数が0であるので、ステップS5に移行して可動柵1のドア4を閉状態とする(S5)。
ここでは、図8(c)について説明する。図8(c)は、左から2両目の車両の扉が不完全に閉じられているため、戸閉表示灯6が点灯していることを示している。図8(c)に示すように、ROIが、戸閉表示灯6が1つ点灯している状態を表していれば、可動柵制御装置5は、車側灯が点灯していると判断する(S4)。この判断の結果、可動柵制御装置5は、ステップS6〜ステップS8の処理を経て、戸閉表示灯6の点灯数と列車3の車両数とを比較する(S9)。図8(c)の状態であれば、戸閉表示灯6の点灯数は1、列車3の車両数は4であるので、可動柵制御装置5の動作は、ステップS11に移行する。ステップS11で、可動柵制御装置5は、改めて戸閉表示灯6の点灯数が閾値以下であるか否かを判断する(S11)。閾値が0であった場合、可動柵制御装置5は、ステップS12に移行して、現在開かれている可動柵1のドア4を、開状態で維持する(S12)。一方、閾値が1以上であった場合、ステップS5に移行して、可動柵1のドア4を閉じる(S5)。
列車3がホームへ入線した後に、可動柵制御装置5は、ステップS1からステップS3の動作を行う。このときのROIが、列車3の扉が未だ開かれていない状態であって、図9(a)に示すように非常灯7が1つ点灯している状態を表していれば、可動柵制御装置5は、車側灯が点灯していると判断する(S4)。この判断の結果、ステップS6〜ステップS8の処理を経て、非常灯7を除いた戸閉表示灯6の点灯数と列車3の車両数とを比較する(S9)。図9(a)の状態であれば、戸閉表示灯6の点灯数は0、列車3の車両数は4であるので、ステップS11に移行する。ステップS11では、改めて戸閉表示灯6の点灯数が0であるか否かを判断する(S11)。今、戸閉表示灯6の点灯数が0であるので、ステップS5に移行して可動柵1のドア4を閉状態とする(S5)。
ところで、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
また、非常灯7が点灯していることを認識した場合、可動柵制御装置5が、駅係員や乗務員に非常灯7の点灯を知らせるような構成を有することは好ましい。
また、フレーム画像内で、所定の閾値より輝度の高い領域が存在する場合、当該領域の輝度値について前フレームとの差分を取り、その差分がある閾値を超えているときに、当該領域を車側灯の領域として抽出し、輝度値の差分が閾値を超えた最初のフレーム画像を取得したタイミングを車側灯の点灯タイミングを検知することもできる。言うまでもなく、フレーム画像からROIを切り取って、上記と同様に輝度値と閾値の差分を取ることでも、車側灯の領域を抽出し、車側灯の点灯タイミングを検知することができる。
2 駅ホーム
3 列車
4 ドア
5 可動柵制御装置
6 戸閉表示灯
7 非常灯
8 画像センサ
9 車側灯判定部
10 ドア開閉判定部
11 走行体センサ
Claims (4)
- 画像処理を用いて走行体の外側壁に備えられた車側灯の点灯状態を検出する検出方法であって、
前記車側灯を含む走行体の画像を撮像する撮像工程と、
前記撮像工程で得られた画像から、所定閾値以上の輝度を有する高輝度領域を抽出する高輝度領域抽出工程と、
前記高輝度領域抽出工程で得られた高輝度領域をラベリングするラベリング工程と、
前記ラベリング工程によりラベリングされた前記高輝度領域に対して色識別を行う色識別工程と、
前記色識別工程の結果に基づいて、前記高輝度領域が「戸閉表示灯」及び「非常灯」のいずれを示す領域であるかを識別すると共に、「戸閉表示灯」を示す高輝度領域の数を判定する車側灯判定工程と、
を有していて、
前記色識別工程は、前記高輝度領域のRGB輝度データを所定の表色系データへと変換し、当該表色系データを基にして色識別を行うものであって、
前記車側灯判定工程は、前記色識別の結果に基づいて、前記高輝度領域が「戸閉表示灯」及び「非常灯」のいずれを示す領域であるかを識別する
ことを特徴とする走行体に備えられた車側灯の検出方法。 - 可動柵が設置されたホームへ列車が到着した際に、画像センサにより前記列車の車側灯を撮像し、撮像された画像から車側灯の点灯状態を判別し、車側灯の点灯状態に応じて前記可動柵の開閉を制御する可動柵制御装置であって、
請求項1に記載の車側灯の検出方法を行うことで、点灯している「戸閉表示灯」の数を判定する車側灯判定部と、
前記点灯している「戸閉表示灯」の数を基に、可動柵のドアに対する開閉指令を発するドア開閉判定部と、
を有することを特徴とする可動柵制御装置。 - 前記撮像手段は、列車が停車するホーム上に備えられ、
前記列車に編成された各車両が備える車側灯を、列車編成における2車両以上にわたって同一画面内に撮像するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の可動柵制御装置。 - 前記ドア開閉判定部は、少なくとも2車両分以上の点灯している「戸閉表示灯」の数を基に、可動柵のドアに対する開閉指令を発することを特徴とする請求項3に記載の可動柵制御装置。
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