JP5505539B1 - 抄紙機の運転方法及び抄紙機用プレス装置 - Google Patents

抄紙機の運転方法及び抄紙機用プレス装置 Download PDF

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Abstract

【課題】
湿紙の脱水性能を確保しながらフェルトの損傷を抑制することができるようにする。
【解決手段】
予め、フェルト41,42の圧縮率判定閾値及び回復率判定閾値を設定し、フェルト41,42が、圧縮率が圧縮率判定閾値以上、且つ回復率が回復率判定閾値以上の特定フェルトの場合には、フェルトサクションボックス8の作動を停止する。
【選択図】図2

Description

本発明は、プレスパートのプレス装置において湿紙を圧搾脱水するフェルトの損傷を抑制する抄紙機の運転方法及び抄紙機用プレス装置に関するものである。
抄紙機は、湿紙を圧搾することにより脱水するプレスパートを有する。このプレスパートには、複数段のニップ部を有するプレス装置が備えられており、各ニップ部では、対をなすプレスロールが無端状のフェルトを介して湿紙を押圧(プレス)しながら搬送する。これにより、湿紙は、ニップ部を通過するごとに含有されている水分がフェルトに吸収されて転移して、脱水される。
湿紙から吸水するフェルトは、プレスロール及びその他のロールに環状に巻き掛けられている。このフェルトには湿紙から吸収した水分や汚れなど(以下、「水分等」という)が蓄積することがある。フェルトに水分が蓄積していくとフェルト中の含水量が飽和して脱水性能が著しく低下してしまう。また、フェルトに汚れが蓄積していくと、汚れが蓄積した部分の脱水性能が低下し、脱水ムラ(脱水不良)が生じてしまう。そこで、ニップ部よりも下流のサクションボックスによって、フェルトに含有された水分等を除去する技術が開発されている。
このサクションボックスは、ボックス開口部に設けられたリップ部が走行するフェルトに接触した状態で配設され、リップ部によって囲まれた閉領域を真空吸引する。このようにして、フェルトに吸収された水分等を系外に除去している。
ただし、サクションボックスのリップ部が走行するフェルトに接触しているため、フェルトの摩耗及び脱毛(以下、これらをまとめて「損傷」という)が生じてしまう。そこで、リップ部の接触によるフェルトの損傷を抑制する技術が開発されている。このような技術が、例えば特許文献1及び2に開示されている。
特許文献1及び2には、サクションボックスのリップ部又はその表面の材質を特定することが示されている。特許文献1では、リップ部の材質を窒化珪素に特定し、特許文献2では、リップ部の表面材質をアルミナ−チタニア系の溶射被覆したものに特定している。これらの材質の特定により、フェルトの損傷を抑制することができるとしている。
しかし、上記のように、サクションボックスにおけるリップ部等の材質を特定したとしても、フェルトの損傷を抑制するには限度がある。
ところで、フェルトの損傷は、サクションボックスの真空吸引力に大きく影響され、サクションボックスの真空吸引力が大きいほど、フェルトがサクションボックスのリップ部に強く圧接するため、フェルトの損傷が促進されるので、サクションボックスの真空吸引力を弱める対策も考えられる。
これに関し、ニップ部においてフェルトを圧接することによって湿紙を圧搾するものではないが、特許文献3には、プレスパートにおいて、湿紙の搬送用に設けられたベルトの通気度を50〜1000cc/cm2/sに特定することが示されている。これにより、このベルトに付設するサクションボックスの真空圧を低く、即ち、大気圧に近くすることができ、サクションボックスの吸引力を弱めてフェルトの損傷を抑制することができるとしている。
この特許文献3に示されるベルトは、プレスロールにより湿紙に押圧されて吸水するものではなく、プレスパートにおいて湿紙を搬送するときに吸水するものである。ここでは、ベルトとしてワイヤパートで使用されるワイヤが使用されている。
しかし、ニップ部において特許文献3に示されるようなベルトを適用することはできず、搬送用のベルトの通気度をそのまま圧搾脱水用のフェルトのそれに適用することは不可能であり、サクションボックスの吸引力の低下にも限度がある。
特開2012−214947号公報 特開2004−131878号公報 特開平08−311791号公報
ところで、サクションボックスを使用しなければ、その真空吸引によるフェルトの損傷は当然ながら回避される。しかしながら、サクションボックスを使用しない場合には、前述のように、フェルトに水分等が蓄積していくおそれがあり、水分がフェルトに蓄積していくと脱水性能が著しく低下してしまい、汚れがフェルトに蓄積していくと脱水不良が生じてしまうおそれがある。
本発明の目的の一つは、上記のような課題に鑑み創案されたもので、湿紙の脱水性能を確保しながらフェルトの損傷を抑制することができるようにした、抄紙機の運転方法及び抄紙機用プレス装置を提供することである。
なお、この目的に限らず、後述する発明を実施する形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本発明の他の目的として位置づけることができる。
(1)上記の目的を達成するために、本発明の抄紙機の運転方法は、上流部に配置されフェルトを介して湿紙を押圧するロールニッププレスと、前記ロールニッププレスの前記フェルト中の水分を吸引する少なくとも1基のフェルトサクションボックスと、を有するプレス装置を装備した抄紙機の運転方法であって、前記フェルトの圧縮率判定閾値を25%、及び回復率判定閾値を30%とし、前記フェルトが、圧縮率が前記圧縮率判定閾値以上、且つ回復率が前記回復率判定閾値以上の特定フェルトの場合には、前記特定フェルトの耐用期間に亘って前記フェルトサクションボックスを非作動状態とすることを特徴としている。なお、前記上流部には、例えば、最上流部を適用することができ、また、最上流部又はその次(最上流部の直下流部)を適用することができる。
(2)前記プレス装置にはシュープレスを有し、前記ロールニッププレスは前記シュープレスの上流部に配置されていることが好ましい
)前記フェルトサクションボックスを、その作動時には前記特定フェルトに接触させ、その非作動時には前記特定フェルトから離隔させる移動機構を有し、前記フェルトサクションボックスの作動を停止する際には、前記移動機構を作動させ、前記フェルトサクションボックスを前記特定フェルトから離隔させることが好ましい。
)前記特定フェルトの通気度が15〜35cc/cm/sであることが好ましい。
)抄紙速度が500m/分以上であることが好ましい。
)また、本発明の抄紙機用プレス装置は、上流部に配置されフェルトを介して湿紙を押圧するロールニッププレスと、前記ロールニッププレスの前記フェルト中の水分を吸引する少なくとも1基のフェルトサクションボックスと、を有する抄紙機用プレス装置であって、前記フェルトの圧縮率判定閾値を25%、及び回復率判定閾値を30%とし、前記フェルトが、圧縮率が予め設定された圧縮率判定閾値以上、且つ回復率が予め設定された回復率判定閾値以上の特定フェルトの場合には、前記特定フェルトの耐用期間に亘って前記フェルトサクションボックスを非作動状態とする制御装置が装備されていることを特徴としている。なお、前記上流部には、例えば、最上流部を適用することができ、また、最上流部又はその次(最上流部の直下流部)を適用することができる。
)シュープレスを更に有し、前記ロールニッププレスは前記シュープレスの上流部に配置されていることが好ましい
)前記フェルトサクションボックスを、その作動時には前記特定フェルトに接触させ、その非作動時には前記特定フェルトから離隔させる移動機構を有し、前記制御装置は、前記フェルトサクションボックスの作動を停止する際に、前記移動機構を作動させ、前記フェルトサクションボックスを前記特定フェルトから離隔させることが好ましい。
)前記特定フェルトの通気度が15〜35cc/cm/sであることが好ましい。
10)抄紙速度が500m/分以上であることが好ましい。
本発明の抄紙機の運転方法によれば、フェルトが、圧縮率が圧縮率判定閾値以上、且つ、回復率が回復率判定閾値以上の特定フェルトである場合、ロールニッププレスにより湿紙に対して押圧されると十分に潰れ、この潰れが回復しやすい。フェルトが十分に潰れることにより、湿紙から水分及び汚れ(以下、「水分等」という)が確実に除去される。また、フェルトの潰れが回復しやすいため、フェルトの含水量が飽和してしまうことが回避される。さらに、潰れが回復したフェルトは、潰れ代が確保されており、その後に続く湿紙の水分等を確実に除去し、これが継続される。
このように、本発明の抄紙機の運転方法では、フェルトが特定フェルトである場合には、フェルトサクションボックスを作動させなくても、継続して湿紙から水分等を確実に除去することができる点に着目して、フェルト中の水分を吸引するフェルトサクションボックスの作動を停止している。したがって、フェルトが特定フェルトであれば、湿紙を確実に脱水しながら、フェルトの損傷を抑制することができる。
本発明の抄紙機用プレス装置によれば、上記した効果に加えて、制御装置がサクションボックスの作動を停止するため、サクションボックスの作動にかかる設定を要せず、抄紙機用プレス装置にかかる設定作業を軽減することができる。
本発明の各実施形態にかかる抄紙機の運転方法及び抄紙機用プレス装置が適用される抄紙機の一例を示す全体図である。 本発明の第1及び第2実施形態にかかる抄紙機用プレス装置を示す全体図である。 図2に示す抄紙機用プレス装置に設けられるフェルトサクションボックス及びこの移動機構を説明する模式図であり、(a)はフェルトに接触するフェルトサクションボックスを示し、(b)はフェルトから離隔したフェルトサクションボックスを示す。 本発明の第2実施形態にかかる抄紙機の運転方法及び抄紙機用プレス装置に用いる制御装置を示す模式図である。 本発明の第3及び第4実施形態にかかる抄紙機用プレス装置を示す全体図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
ここでは、第1実施形態としてのプレス装置を例示して抄紙機の運転方法としての発明を説明し、第2実施形態として第1実施形態と同一のプレス装置を例示して抄紙機の運転方法及び抄紙機用プレス装置としての発明を説明する。
<第1実施形態>
〔抄紙機〕
まず、本実施形態にかかる抄紙機の概要について説明する。
実施形態にかかる抄紙機は、図1に示すように、上流側から、フロースプレッダ1,ヘッドボックス2,フォーマパート3,プレスパート4,ドライヤパート5,カレンダーパート6,リールパート7を備えて構成される。
かかる抄紙機では、まず、フロースプレッダ1から供給されたパルプ懸濁液(紙原料液)がヘッドボックス2からフォーマパート3の長網テーブル上31のワイヤ32の入り口部分に噴射される。
フォーマパート3では、パルプ懸濁液はワイヤ32に載って移送されながらワイヤ32の網目を通して脱水されマット状にされ湿紙となる。この湿紙は、次工程のプレスパート4に移送される。
プレスパート4では、湿紙はフェルト41〜44等に付着しながら移送されニップ部N1〜N4においてフェルト41〜44を介して加圧され搾水される。プレスパート4で水分を除去され紙原料の濃度を高められた湿紙は、次工程のドライヤパート5に移送される。
ドライヤパート5では、蒸気等で加熱されたドライヤロール51,52が多数隣接して配置され、上面加熱用の多数のドライヤロール51の表面に湿紙の上面が押付けられ、下面加熱用の多数のドライヤロール52の表面に湿紙の下面が押付けられながら移送されることにより、湿紙は、水分を蒸発により除去されて乾燥した紙となる。この紙は、次工程のカレンダーパート6に移送される。
カレンダーパート6では、カレンダスタック61により、紙の表面にカレンダ処理を行なって、リールパート7に移送される。
リールパート7では、移送された紙がリール71にロール状に巻き取られる。
〔プレスパート〕
次に、本実施形態にかかるプレスパート4について説明する。
図2に示すように、プレスパート4には、何れも無端状の第1フェルト(ロールニッププレス用フェルト)41,第2フェルト(ロールニッププレス用フェルト)42,第3フェルト(シュープレス用フェルト)43,第4フェルト44が上流側から配備されてなる、抄紙機用プレス装置4Aが備えられている。以下、抄紙機用プレス装置4Aを説明する。なお、湿紙10は太線で示し、湿紙10の移送される方向を太線に重ねた矢印で示す。
なお、フェルト41〜44に関しては、詳細は図示しないが、主に、基布と、基布の製紙面に積層された表バット層と、基布の走行面に積層された裏バット層とを備えて構成されている。フェルト41〜44は、ロール間に進入する際に圧縮され、ロール間から離脱し圧縮が解放されると回復する。したがって、圧縮性及びその後の回復性を有している。また、フェルト41〜44はそれぞれ、フェルトに一般的な一定の通気度を有し、後述のサクションロールやフェルトサクションボックスが有効に機能するようになっている。
フェルトの通気度は、高くなるほど湿紙の水分等の排出作用が促進され、低くなるほど湿紙の平滑度を確保することができる。このため、湿紙の水分等の排出作用が促進され、また、湿紙の平滑度が確保されるように、通気度の範囲が設定されている。かかる通気度は、ニップ部の種類(ロールニップ,シュープレス)によってそれぞれ設定される。
ここでは、第1フェルト41及び第2フェルト42が15〜35cc/cm2/sの通気度を有し、第3フェルト43が10〜30cc/cm2/sの通気度を有する。なお、フェルトの通気度は、JIS L 1090に規定されるA法(フラジール形法)により得られる値である。
第1フェルト41は、サクションロール41A,1番プレストップロールとしてのサクションプレスロール45A,2番プレスロール46A及びガイドロール41b,41e〜41gに内周を圧接させ、センタロール46及びガイドロール41c,41dに外周を圧接させ、これらのロール41A,41b〜41g,45A,46A,46に案内されて、このうちの駆動ロールとして機能するロール41A,45A,46A,46に圧接しながら連れ回りして回転する。
第2フェルト42は、1番プレスボトムロール45B及びガイドロール42a〜42c,42eに内周を圧接させ、ガイドロール42d,42fに外周を圧接させ、これらのロール42a〜42f,45Bに案内されて、このうちの駆動ロールとして機能する1番プレスボトムロール45Bに圧接しながら連れ回りして回転する。
第3フェルト43は、3番プレスロールとしてのシューロール48及びガイドロール43a,43c〜43fに内周を圧接させ、センタロール46及びガイドロール42bに外周を圧接させ、これらのロール43a〜43f,48,46に案内されて、このうちの駆動ロールとして機能するセンタロール46に圧接しながら連れ回りして回転する。
第4フェルト44は、4番プレスボトムロール47B及びガイドロール44b〜44e,44gに内周を圧接させ、ガイドロール44f,44h及び4番プレストップロール47Aに外周を圧接させ、これらのロール44b〜44h,47B,47Aに案内されて、このうちの駆動ロールとして機能するロール47A,47Bに圧接しながら連れ回りして回転する。
サクションプレスロール45Aと1番プレスボトムロール45Bとの間には、第1フェルト41,湿紙10及び第2フェルト42が挟み付けられ、第1ニップ部N1が構成されている。この第1ニップ部N1はロールニッププレスでありニップ幅が小さいので、いわゆる線加圧で湿紙10等を加圧する。
2番プレスロール46Aとセンタロール46との間には、第1フェルト41及び湿紙10が挟み付けられ、第2ニップ部N2が構成されている。この第2ニップ部N2もロールニッププレスでありニップ幅が小さいので、いわゆる線加圧で湿紙10等を加圧する。
シューロール48とセンタロール46との間には、第3フェルト43及び湿紙10が挟み付けられ、第3ニップ部(シュープレス部)N3が構成されている。
この第3ニップ部N3はシュープレスであり、第3ニップ部N3を構成するシューロール48は、筒状のブランケット(粘弾性部材)48aとブランケット48aの内部に配設されたプレスシュー48bとをそなえている。プレスシュー48bが、ブランケット48aをカウンタロールとして機能するセンタロール46側に押圧することにより、ブランケット48aとセンタロール46との間に、湿紙10の走行方向に所定長さを有するニップ部が形成される。したがって、この第3ニップ部N3はニップ幅が大きく、いわゆる面加圧で湿紙10等を加圧する。
4番プレストップロール47Aと4番プレスボトムロール47Bとの間には、湿紙10及び第4フェルト44が挟み付けられ、第4ニップ部N4を構成している。この第4ニップ部N4はロールニッププレスでありニップ幅が小さいので、いわゆる線加圧で湿紙10等を加圧する。
また、サクションロール41Aは、クーチロール33a及びガイドロール33bに案内されるワイヤ32上の湿紙10に第1フェルト41が接触するように配置されており、この第1フェルト41が湿紙10に接触する部分に吸引部41aが配置され、ワイヤ32上の湿紙10を第1フェルト41側に吸引して第1フェルト41に付着させた状態で移送するようになっている。
サクションプレスロール45Aは、第1ニップ部N1の直下流部に吸引部45aを配置され、第1ニップ部N1を通過した湿紙10を、第2フェルト42から離して第1フェルト41に吸着させ、第1フェルト41に付着させた状態で第2ニップ部N2に移送するようになっている。
さらに、第3ニップ部N3を通過した湿紙10が、第3フェルト43から離れてセンタロール46側に進むように、ガイドロール44aが装備されている。このガイドレール44aは、センタロール46の表面の湿紙10を、ガイドロール44bで支持された第4フェルト44の最上流の箇所に案内するようになっている。
また、第4ニップ部N4を通過した湿紙10が、第4フェルト44から離れて4番プレストップロール47A側に進み、更に、次工程のドライヤパート5に進むように案内するガイドロール44iが装備されている。
したがって、プレスパート4に移送された湿紙10は、第1ニップ部N1,第2ニップ部N2,第3ニップ部N3,第4ニップ部N4を順に通過しながら、各ニップ部N1〜N4において加圧され搾水される。第1ニップ部N1においては、湿紙10の水分は一面(上面)及び他面(下面)の双方から第1フェルト41,第2フェルト42に吸水される。第2ニップ部N2においては、湿紙10の水分は一面から第1フェルト41に吸水される。第3ニップ部N3においては、湿紙10の水分は一面から第3フェルト43に吸水される。第4ニップ部N4においては、湿紙10の水分は他面から第4フェルト44に吸水される。この結果、湿紙10は、水分を除去され紙原料の濃度を高められて、次工程のドライヤパート5に移送される。
なお、サクションロール41A,サクションプレスロール45A,1番プレスボトムロール45B,2番プレスロール46A,センタロール46,4番プレストップロール47A,4番プレスボトムロール47B,シューロール48及びフェルト外周側に配置された一部のガイドロール41c,41d,43jの外周には、その付着した水などを掻き落とすドクタブレードが装備されている。これにより、ドクタブレードを備えた各ロールは、フェルト41〜44に対して常に清浄な表面状態で接触する。
〔フェルトサクションボックス〕
ところで、各フェルト41〜44には、湿紙10から吸収した水分や汚れ(紙繊維のくず等も含む)など(以下、これらを「水分等」と総称する)が蓄積することがある。フェルトに水分が蓄積していくとフェルト中の含水量が飽和して脱水性能が著しく低下してしまい、また、フェルトに汚れが蓄積していくと、汚れが蓄積した部分の脱水性能が低下し、脱水ムラ(脱水不良)が生じてしまう場合がある。
そこで、ニップ部よりも下流に、フェルト41〜44に含有された水分等を除去するフェルトサクションボックス(以下、単に「サクションボックス」と言う)8が装備されている。また、サクションボックス8に対してフェルト41〜44の移動方向上流側(以下、単に「上流側」と言う)には、ウェッティングシャワー81が装備され、ウェッティングシャワー81の上流側には、高圧摺動シャワー82が装備されている。
サクションボックス8は、図示しない真空ポンプ等のサクション発生源に図示しない開閉弁を介装された配管を通じて接続され、サクションボックス8を作動させ吸引を実施する際には、サクション発生源を作動させて、開閉弁を連通状態とする。なお、図3に示すように、サクションボックス8は、ボックス開口部8aに設けられたリップ部8bが走行するフェルト41〜44に接触した状態で配設され、リップ部8bによって囲まれた閉領域を真空吸引して、フェルト41〜44に吸収された水分等を系外に除去する。
ウェッティングシャワー81は、図示しない給水ポンプ等のシャワー水供給源に、図示しない開閉弁を介装された配管を通じて接続され、ウェッティングシャワー81を作動させる際には、シャワー水供給源を作動させて、開閉弁を連通状態とする。
高圧摺動シャワー82は、図示しない高圧ポンプ等の高圧シャワー水供給源に、図示しない開閉弁を介装された配管を通じて接続され、高圧摺動シャワー82を作動させる際には、高圧シャワー水供給源を作動させて、開閉弁を連通状態とする。
本実施形態では、ウェッティングシャワー81及び高圧摺動シャワー82は、サクションボックス8と連動して動作し、サクションボックス8を作動状態(オン)とすると、ウェッティングシャワー81及び高圧摺動シャワー82も作動状態(オン)となり、サクションボックス8を非作動状態(オフ)とすると、ウェッティングシャワー81及び高圧摺動シャワー82も非作動状態(オフ)となる。勿論、ウェッティングシャワー81及び高圧摺動シャワー82のそれぞれは、サクションボックス8と連動させずに単独で動作させることも可能である。
第1フェルト41には、上流側に高圧摺動シャワー82が1つ配置され、下流側にウェッティングシャワー81とサクションボックス8が2セット配置されて第1サクションボックス群8Aが構成されている。第2フェルト42には、上流側に高圧摺動シャワー82が1つ配置され、その下流側にウェッティングシャワー81が2つ、更にその下流にサクションボックス8が1つ配置されて第2サクションボックス群8Bが構成されている。第3フェルト43,第4フェルト44には、上流側に高圧摺動シャワー82が1つ配置され、その下流側にウェッティングシャワー81が1つ、更にその下流にサクションボックス8が2つ配置されてそれぞれ第3サクションボックス群8C,第4サクションボックス群8Dが構成されている。これらの高圧摺動シャワー82,ウェッティングシャワー81及びサクションボックス8は、適宜の組み合わせで使用することができる。ここでは、各フェルト41〜44毎に、グループ単位でサクションボックス群8A〜8Dがオンオフ操作される。
これにより、例えば、フェルト41のサクションボックス群8Aが作動状態となると、高圧摺動シャワー82により高圧水をフェルト41に噴射し、フェルト41の内部の汚れを表面に浮かせて、その後、ウェッティングシャワー81によってフェルト41内に水分を含ませて、サクションボックス8によって、水分と共に汚れを吸引し除去するようになっている。
また、各サクションボックス8には、サクションボックス8を、図3(a)に示すようにフェルト41〜44に接触した作動状態と、図3(b)に示すようにフェルト41〜44から離隔した非作動状態との間で、フェルト41〜44に対して離接方向に移動させる移動機構100が備えられている。ここでは、サクションボックス8を装置フレーム側の支持面102に固定する支持部材101に移動機構100が付設されている。この移動機構100の詳細は図示しないが、例えばエアシリンダ等のアクチュエータによって支持部材101の支持高さを変更してサクションボックス8を移動させるようになっている。
〔抄紙機の運転方法〕
本実施形態にかかる抄紙機の運転方法は、上記の抄紙機を用いて実施する。以下、抄紙機の運転方法について説明する。この運転方法は、オペレータの操作によって実施してもよく、また、制御装置によって実施してもよい。
なお、本実施形態では、紙原料液や抄紙速度等の抄紙機の運転条件を所定範囲内に設定して抄紙機の運転の実施するものとする。本実施形態では、抄紙速度の下限を500m/分とし、抄紙速度の上限を機械の限界速度とする。この抄紙速度は、高くなるに連れてフェルト41〜44の走行速度も高くなるため、フェルト41〜44に吸収された水分等に作用する遠心力が大きくなる。つまり、抄紙速度が高くなるに連れてフェルト41〜44からの水分等の除去が促進される。かかる抄紙速度が500m/分以上であれば、フェルト41〜44からの水分等の除去が促進される。
本運転方法の特徴は、抄紙機の運転時に、各サクションボックス8を作動状態とするか非作動状態とするかを、フェルト41〜44のフェルト特性に応じて選択することにある。
ここで、フェルト特性として、フェルトが圧縮しやすいかの圧縮特性と、圧縮したフェルトが回復しやすいかの回復特性とに着目する。両特性を数値化して判定できるように、圧縮特性については「圧縮率TC」を、回復特性については「回復率TR」を、それぞれ下記のように規定する。
「圧縮率TC」は、ニップ部におけるフェルトの潰れ度合を示すパラメータである。この「圧縮率TC」は、ここでは、下記の式(1)のように規定する。
C=100×(T1−T2)/T1 ・・・ (1)
上記の式(1)では、T1が加圧前のフェルトの厚みを示し、T2が加圧後のフェルトの厚みを示す。
「回復率TR」は、ニップ部において潰されたフェルトの回復度合(復元度合)を示すパラメータである。この「回復率TR」は、例えば下記の式(2)で表される。
R=100×(T3−T2)/T2 ・・・ (2)
上記の式(2)では、T2が上記の式(1)と同様に加圧後のフェルトの厚みを示し、T3が除圧後のフェルトの厚みを示す。「除圧後のフェルトの厚み」は、除圧した時点から所定時間が経過した後のフェルトの厚みである。
通常、サクションボックスを使用する目的は、フェルトに水分や汚れが蓄積していき、水分がフェルトに蓄積していくと脱水性能が著しく低下してしまい、汚れがフェルトに蓄積していくと脱水不良が生じてしまうおそれがあるためである。しかし、フェルト特性によっては、フェルトに水分や汚れが蓄積し難い場合があることが判明した。具体的には、「圧縮率TC」及び「回復率TR」が高いほど、フェルトに水分や汚れが蓄積し難いことが判明した。
フェルトに水分や汚れが蓄積し難ければ、サクションボックスを使用する必要はなく、サクションボックスを使用しなければ、サクションボックスの真空吸引によりサクションボックスのリップ部に強く圧接するフェルトのリップ部による損傷を回避できる。
ただし、フェルトを長く使用していくと、フェルトの水分や汚れの蓄積が次第に増加して性能が低下し、次工程に移送する湿紙の品質を十分に確保できなくなることも判明した。
そこで、サクションボックスを使用してフェルトが損傷した場合のフェルトの寿命(使用限界)と、サクションボックスを使用しないでフェルトの性能が湿紙品質を十分に確保できなくなるまで低下した場合のフェルトの寿命(使用限界)とを比較して、サクションボックスを使用しない場合の方がフェルトの寿命が長くなる場合には、サクションボックスを非作動とすることとしている。
上述のように、「圧縮率TC」及び「回復率TR」が高いほど、サクションボックスを使用しない場合のフェルトの寿命が長くなり、サクションボックスを使用する場合よりも使用しない場合の方がフェルトの寿命が長くなる「圧縮率TC」及び「回復率TR」の閾値が存在する。
本実施形態では、抄紙機の運転条件が所定範囲内である場合の「圧縮率判定閾値TPA」及び「回復率判定閾値TPB」を試験によって求めており、(A1)フェルト41〜44の「圧縮率TC」が「圧縮率判定閾値TPA」以上、且つ、(A2)フェルト41〜44の「回復率TR」が「回復率判定閾値TPB」以上であれば、サクションボックス8を非作動とすることとしている。
ただし、この閾値は、フェルトに押圧される湿紙の含有水分率によっても異なり、また、フェルトが通過するニップ部の種類(シュープレスかロールニッププレスか)によっても異なることが判明したので、フェルトの位置に応じて、また、ニップ部の種類に応じて、各閾値を設定することが好ましい。なお、湿紙の含有水分率が高いほどフェルトに水分や汚れが蓄積し易く、このため、閾値が高い値となる傾向があり、また、面加圧のシュープレスよりも線加圧のロールニッププレスの方がフェルトに水分や汚れが蓄積し易く、このため、閾値が高い値となる傾向がある。
そこで、フェルトの位置及びニップの種類に応じて、「圧縮率判定閾値TPA」及び「回復率判定閾値TPB」を予め設定しておき、抄紙機用プレス装置4Aのフェルトを掛け替える際には、その掛け替え後のフェルト41〜44が上述の(A1)及び(A2)の何れをも満たす特定フェルトである場合に、サクションボックス8の非作動設定(作動の停止操作)を実施するようにしている。なお、抄紙機は、種々の事前設定を行なっておき、メインスイッチによって起動を行なうものとするが、サクションボックス8の非作動設定は、この事前設定の一つとしてフェルトを掛け替えた場合にサクションボックス8の作動,非作動の設定を実施することが好ましい。また、サクションボックス8の非作動を設定した際には、サクションボックス8とフェルト41〜44とが接触又は離隔するように移動機構100の設定を実施することが好ましい。
本実施形態の場合、4つのフェルト41〜44があるので、各フェルト41〜44について、その位置及びニップの種類に応じて、「圧縮率判定閾値TPA」及び「回復率判定閾値TPB」を予め設定する。
フェルト41については、圧縮率判定閾値をTPA1に、回復率判定閾値をTPB1に、フェルト42については、圧縮率判定閾値をTPA2に、回復率判定閾値をTPB2に、フェルト43については、圧縮率判定閾値をTPA3に、回復率判定閾値をTPB3に、フェルト44については、圧縮率判定閾値をTPA4に、回復率判定閾値をTPB4に、それぞれ設定する。
上述のように、TPA1>TPA2>TPA4,TPB1>TPB2>TPB4の傾向があるが、ここでは、試験結果に基づいて、TPA1,TPA2をいずれも25%に、TPA4を20%にそれぞれ設定し、TPB1,TPB2をいずれも30%に、TPB4を25%にそれぞれ設定している。また、TPA3を20%に、TPB3を25%にそれぞれ設定している。
したがって、各フェルト41〜44について、その掛け替えの際に、それぞれの圧縮率判定閾値TPA及び回復率判定閾値TPBを用いて、(A1)圧縮率TCが圧縮率判定閾値TPAを上回り、且つ、(A2)回復率TRが回復率判定閾値TPBを上回っているかを判定し、条件(A1)及び(A2)の何れをも満たす特定フェルトである場合には、サクションボックス8の非作動設定(作動の停止操作)を実施するのである。
〔効果〕
本発明の第1実施形態にかかる抄紙機用プレス装置4Aは上述のように構成され、この抄紙機は上述の方法で運転されるため、以下の効果を得ることができる。
フェルト41〜44は、その「圧縮率TC」が「圧縮率判定閾値TPA」以上、且つ、「回復率TR」が「回復率判定閾値TPB」以上の特定フェルトである場合には、サクションボックス8を使用する場合よりも使用しない場合の方が長寿命になる。このため、フェルト41〜44が特定フェルトである場合に、サクションボックス8の作動を停止することにより、湿紙10の脱水性能を確保しながらフェルト41〜44の損傷を抑制することができる。さらに、サクションボックス8の作動にかかる電力を節減できる。さらにまた、サクションボックス8の作動停止によりフェルト41〜44の走行抵抗となる真空吸引が停止されるため、抄紙機用プレス装置4Aの駆動ロールの駆動にかかる電力も削減できる。
以下、フェルト41〜44のそれぞれについての効果を述べる。
第1フェルト41が、その「圧縮率TC」が25%以上、且つ、「回復率TR」が30%以上である特定フェルトである場合に、サクションボックス8の作動を停止することにより、湿紙10の脱水性能を確保しながら第1フェルト41の損傷を抑制することができる。
同様に、第2フェルト42が、その「圧縮率TC」が25%以上、且つ、「回復率TR」が30%以上である特定フェルトである場合に、サクションボックス8の作動を停止することにより、湿紙10の脱水性能を確保しながら第2フェルト42の損傷を抑制することができる。
これらのフェルト41,42は、その「圧縮率TC」及び「回復率TR」が下流側のフェルト43,44のそれよりも高いため、湿紙10からより確実に水分等を除去することができる。
また、第3フェルト43が、その「圧縮率TC」が20%以上、且つ、「回復率TR」が25%以上である特定フェルトである場合に、サクションボックス8の作動を停止することにより吸引が停止されるため、湿紙10の脱水性能を確保しながら第3フェルト43の損傷を抑制することができる。
また、第4フェルト44が、その「圧縮率TC」が20%以上、且つ、「回復率TR」が25%以上である特定フェルトである場合に、サクションボックス8の作動を停止することにより吸引が停止されるため、湿紙10の脱水性能を確保しながら第4フェルト44の損傷を抑制することができる。
これらのフェルト43,44は、その「圧縮率TC」及び「回復率TR」が上流側のフェルト41,42のそれよりも低いため、より多くのフェルトを適用することができ、汎用性を確保することができる。
サクションボックス8の非作動が設定された際に、移動機構100によりサクションボックス8をフェルト41〜44から離隔させれば、フェルト41〜44は、サクションボックス8により吸引されないだけでなく、サクションボックス8と接触しなくなる。したがって、サクションボックス8によるフェルト41〜44の損傷が回避される。
また、フェルト41〜44は、一般的な通気度を有するため、特殊なフェルトを用いることを要せず、汎用性を確保することができる。
また、抄紙速度が500m/分以上であるため、フェルト41〜44からの水分等の除去が促進されて、フェルト41〜44の含水量が飽和してしまうのを確実に回避することができる。
<第2実施形態>
次に、図4を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。本発明の第2実施形態は、第1実施形態で上述の抄紙機用プレス装置4A(図2参照)に制御装置90を追加したものである。この制御装置90は、上述の第1実施形態における〔抄紙機の運転方法〕を実施する制御装置の一例である。
なお、ここで説明する点を除いては第1実施形態の構成と同様の構成となっており、これらについては、同様の符号を付し、各部の説明を省略する。なお、制御装置90は、マイクロプロセッサやROM,RAM等を集積したLSIデバイスや組み込み電子デバイスとして構成される電子制御装置である。
制御装置90は、サクションボックス群8A〜8Dのそれぞれを制御するものである。具体的に言えば、制御装置90は、第1フェルト41に対応して設けられた第1サクションボックス群8Aと、第2フェルト42に対応して設けられた第2サクションボックス群8Bと、第3フェルト43に対応して設けられた第3サクションボックス群8Cと、第4フェルト44に対応して設けられた第4サクションボックス群8Dと、をそれぞれ制御する。
この制御装置90には、その出力側に制御対象となるサクションボックス群8A〜8Dがそれぞれ接続され、その入力側に入力部99が接続される。この入力部99は、オペレータによって操作され、制御装置90に圧縮率TC,回復率TRといったフェルト41〜44にかかるパラメータを入力するためのものである。
例えば、使用されるフェルト41〜44の品番が入力部99から制御装置90に入力されると、制御装置90は、フェルト41〜44の品番に紐付けられたパラメータを記憶するメモリを備えていれば、入力されたフェルト41〜44の品番に基づいてそのパラメータを取得することができる。または、入力部99によりフェルト41〜44のパラメータを制御装置90に直接入力することができる。
制御装置90は、その機能要素として、第1サクションボックス群8Aを制御する第1制御部90aと、第2サクションボックス群8Bを制御する第2制御部90bと、第3サクションボックス群8Cを制御する第3制御部90cと、第4サクションボックス群8Dを制御する第4制御部90dと、各制御部90a〜90dによって実施される非作動制御及び作動制御(何れも詳細を後述する)にかかる所定条件を判定する条件判定部91と、を有する。
この制御装置90では、条件判定部91によって所定の非作動条件の成立が判定されると、各制御部90a〜90dが非作動制御を実施する。一方、条件判定部91によって所定の非作動条件の不成立が判定されると、各制御部90a〜90dが作動制御を実施する。
条件判定部91は、制御部90a〜90dのそれぞれについて、非作動条件の成否を判定する。以下、条件判定部91によって成否判定される非作動条件について説明する。
〔非作動条件〕
非作動条件は、サクションボックス8の作動停止(非作動)にかかる条件である。この非作動条件は、第1実施形態で上述の(A1)及び(A2)の何れもが成立することを少なくとも含んでいる。すなわち、非作動条件は、(A1)及び(A2)の何れもの成立が条件判定部91により判定されると成立し、そうでなければ不成立となる。言い換えれば、フェルト41〜44が(A1)及び(A2)の何れもを満たす特定フェルトの場合に非作動条件が成立し、フェルト41〜44が特定フェルトでなければ非作動条件は不成立となる。
さらに、非作動条件には、下記の(B1)が含まれることが好ましい。
(B1)フェルト41〜44が使用限界に達していないこと。
本実施形態では、使用限界の判定に使用期間を用いており、「フェルト41〜44の使用期間が予め設定された所定期間内であること」としている。なお、使用限界の判定は、使用期間に替えて、例えば抄紙機用プレス装置4Aの実使用時間と平均抄紙速度との積で表わすことのできるフェルトの走行距離を用いてもよく、また、フェルト41〜44で処理された湿紙10の状態をセンサで検出して検出結果から使用限界を判定してもよい。
フェルトは、その使用期間が長くなるに連れて、圧縮率TCと回復率TRとが何れも低下する。これらの圧縮率TC及び回復率TRの低下度合は、上記の通気度,抄紙速度,フェルト41〜44の適用箇所及びニップ部N1〜N4のニップ圧などに依って変動する。
具体的に言えば、フェルトは、(C1)通気度が高くなるほど、(C2)抄紙速度が高いほど、(C3)上流側に配設されるほど、又は、(C4)ニップ圧が高いほど、圧縮率TC及び回復率TRの低下度合が大きくなる。上記(C1)では、通気度が高くなるほど所謂へたりを発生しやすくなるからである。また、上記(C2)及び(C4)では、抄紙速度又はニップ圧が高くなるほどフェルト41〜44の摩耗などによる損傷の進行がはやくなるからである。また、上記(C3)では、上流側に配設されたフェルト(例えばフェルト41,42)ほど湿紙からの吸水量が多く、これに伴う脱水量も多くなるため、汚れが蓄積しやすいからである。
湿紙の両面から水分等を除去するフェルト(ここではフェルト41,42に対応)よりも片面から水分等を除去するフェルト(ここではフェルト43,44に対応)の方が、圧縮率TC及び回復率TRの低下度合が大きくなる。また、湿紙の一面から水分等を除去するフェルト(ここではフェルト41,43に対応)よりも他面から水分等を除去するフェルト(ここではフェルト42,44に対応)の方が、圧縮率TC及び回復率TRの低下度合が大きくなる。その理由は、湿紙の片面から水分等を除去するフェルトや湿紙の他面から水分等を除去するフェルトは、汚れが蓄積しやすいからである。
このため、上記(B1)にかかる「所定期間」は、上記(A1)及び(A2)を満たすことができる期間として予め実験的又は経験的に設定されている。この所定期間は、通気度,抄紙速度や適用箇所を考慮して各フェルト41〜44のそれぞれに対応して設定することが好ましい。ただし、簡略化して所定期間を一律に設定してもよい。
なお、非作動条件には、少なくとも上記(A1),(A2)が含まれていればよく、その他の上記(B1)に加えて又は替えて、フェルト41〜44の厚みや材質などを考慮した種々の要件を加味してもよい。
〔「非作動制御」及び「作動制御」〕
次に、制御装置90の各制御部90a〜90dによってそれぞれ実施される「非作動制御」及び「作動制御」についてそれぞれ説明する。なお、制御部90a〜90dのそれぞれにより実施される「非作動制御」及び「作動制御」は、制御対象となるサクションボックス群8A〜8Dの配設箇所が異なるだけで、その制御内容は同様である。
非作動制御は、サクションボックス8の作動を停止させた場合の制御である。言い換えれば、非作動制御は、サクションボックス8を使用しない場合の制御である。この非作動制御では、高圧摺動シャワー82及びウェッティングシャワー81のそれぞれが作動停止されてフェルト41〜44への水の噴射が停止され、サクションボックス8の作動停止により真空吸引が停止される。このとき、好ましくは、移動機構100が作動されてサクションボックス8がフェルト41〜44から離隔される。
一方、作動制御は、サクションボックス8を作動させる場合の制御である。この作動制御では、高圧摺動シャワー82及びウェッティングシャワー81のそれぞれが作動されてフェルト41〜44に水が噴射され、サクションボックス8の作動によりフェルト41〜44から水分等が真空吸引される。このとき、移動機構100は非作動状態であり、サクションボックス8はフェルト41〜44に接触している。
〔効果〕
本発明の第2実施形態にかかる抄紙機用プレス装置は上述のように構成され、この抄紙機は上述の方法で運転されるため、以下の効果を得ることができる。
制御装置90により実施される非作動制御により、サクションボックス8の作動が停止された場合、湿紙10の脱水性能を確保しながらフェルト41〜44の損傷を抑制することができる。この非作動制御が、移動機構100が作動されてサクションボックス8がフェルト41〜44から離隔させるものであれば、サクションボックス8によるフェルト41〜44の損傷を回避することができる。このように、第1実施形態にかかる効果と同等の効果を得ることができる。
さらに、抄紙機用プレス装置4Aの制御装置90により、サクションボックス8の作動及びその停止(非作動)が制御されるため、サクションボックス8の作動及び非作動の設定を要せず、抄紙機用プレス装置4Aの事前設定を軽減することができる。
<第3実施形態>
〔抄紙機〕
本実施形態にかかる抄紙機の概要は、図1を参照して既に説明した第1実施形態のものと同様であり、第1実施形態との相違点は、プレスパート4の抄紙機用プレス装置104Aのみであるので、以下、第3実施形態にかかるプレスパート4について説明する。なお、ここで説明する点を除いては、第1実施形態で説明したものと同様になっており、これらについては、同様の符号を付し、各部の説明を省略する。
〔プレスパート〕
図5に示すように、本実施形態のプレスパート4に装備される抄紙機用プレス装置104Aは、何れも無端状の第1フェルト(ロールニッププレス用フェルト)141,第2フェルト(ロールニッププレス用フェルト)142,第3フェルト(シュープレス用フェルト)143が上流側から配備されている。なお、ここでも、湿紙10は太線で示し、湿紙10の移送される方向を太線に重ねた矢印で示す。
また、フェルト141〜143に関しては、詳細は図示しないが、主に、基布と、基布の製紙面に積層された表バット層と、基布の走行面に積層された裏バット層とを備えて構成されている。フェルト141〜143は、圧縮性及びその後の回復性を有しており、ロール間に進入する際に圧縮され、ロール間から離脱し圧縮を開放されると回復する。
また、フェルト141〜143はそれぞれ、フェルトに一般的な一定の通気度を有し、後述のサクションロールやフェルトサクションボックスが有効に機能するようになっている。ここでは、第1フェルト141及び第2フェルト142が15〜35cc/cm2/sの通気度を有し、第3フェルト143が10〜30cc/cm2/sの通気度を有する。なお、通気度は第1実施形態と同様に規定される。
第1フェルト141は、サクションロール141A,1番プレスボトムロールとしてのサクションプレスロール145A及びガイドロール141d〜141fに内周を圧接させ、ガイドロール141b,141c及びセンタロール146に外周を圧接させ、これらのロール141A,141b〜141f,145A,146に案内されて、このうちの駆動ロールとして機能するロール141A,145A,146に圧接しながら連れ回りして回転する。
第2フェルト142は、プレストップロールとしての2番プレスロール147,ガイドロール142a,142c〜142eに内周を圧接させ、センタロール146及びガイドロール142bに外周を圧接させ、これらのロール142a〜142e,146,147に案内されて、このうち駆動ロールとして機能するロール,146,147に圧接しながら連れ回りして回転する。
第3フェルト143は、3番プレスボトムロールとしてのシューロール148,ガイドロール143b〜143d,143fに内周を圧接させ、3番プレストップロールとしてのカウンタロール148C及びガイドロール143e,143gに外周を圧接させ、これらのロール142b〜143g,148,148Cに案内されて、このうち駆動ロールとして機能するカウンタロール148Cに圧接しながら連れ回りして回転する。
サクションプレスロール145Aとセンタロール146との間には、第1フェルト141及び湿紙10が挟み付けられ、第1ニップ部N11が構成されている。この第1ニップ部N11はロールニッププレスでありニップ幅が小さいので、いわゆる線加圧で湿紙10等を加圧する。
2番プレスロール147とセンタロール146との間には、第2フェルト142及び湿紙10が挟み付けられ、第2ニップ部N12が構成されている。この第2ニップ部N12もロールニッププレスでありニップ幅が小さいので、いわゆる線加圧で湿紙10等を加圧する。
シューロール148とカウンタロール148Cの間には、第3フェルト143及び湿紙10が挟み付けられ、第3ニップ部N13が構成されている。
この第3ニップ部N13はシュープレスであり、第3ニップ部N13を構成するシューロール148は、筒状のブランケット(粘弾性部材)148aとこの内部に配設されたプレスシュー148bとをそなえている。プレスシュー148bが、ブランケット148aをカウンタロールとして機能するセンタロール146側に押圧することにより、ブランケット148aとセンタロール146との間に、湿紙10の走行方向に所定長さを有するニップ部が形成される。したがって、この第3ニップ部N13はニップ幅が大きく、いわゆる面加圧で湿紙10等を加圧する。
また、サクションロール141Aは、クーチロール133a及びガイドロール133bに案内されるワイヤ132上の湿紙10に第1フェルト141が接触するように配置されており、この第1フェルト141が湿紙10に接触する部分に吸引部141aが配置され、ワイヤ132上の湿紙10を第1フェルト141側に吸引して第1フェルト141に付着された状態で移送するようになっている。
サクションプレスロール145Aは、第1ニップ部N11の直上流部に吸引部145aを配置され、湿紙10を第1フェルト141に確実に付着させた状態で第2ニップ部N12に進入させるようになっている。
さらに、第2ニップ部N12を通過した湿紙10が、第2フェルト142から離れるようにすべく、ガイドロール143aが装備されている。このガイドロール143aは、駆動ロールであり、ガイドロール143bで支持された第3フェルト143の最上流の箇所に湿紙10を案内するようになっている。
したがって、プレスパート4に移送された湿紙10は、第1ニップ部N11,第2ニップ部N12,第3ニップ部N13を順に通過しながら、各ニップ部N11,N12,N13おいて加圧され搾水される。第1ニップ部N11においては、湿紙10の水分が一面から第1フェルト141に吸水される。第2ニップ部N12においては、湿紙10の水分が一面から第2フェルト142に吸水される。第3ニップ部N13においては、湿紙10の水分が他面から第3フェルト143に吸水される。この結果、湿紙10は、水分を除去され紙原料の濃度を高められて、次工程のドライヤパート5に移送される。
なお、図示しないが、サクションロール141A,145A,センタロール146,シューロール148,カウンタロール148C及びフェルト外周側に配置された一部のガイドロールの外周には、その付着した水などを掻き落とすドクタブレードが装備されている。これにより、ドクタブレードを備えた各ロールは、フェルト141〜143に対して常に清浄な表面状態で接触する。
〔フェルトサクションボックス〕
第1実施形態と同様に、各フェルト141〜143には、湿紙10から吸収した水分や汚れ(紙繊維のくず等も含む)など(水分等)が蓄積することがある。フェルトに水分が蓄積していくとフェルト中の含水量が飽和して脱水性能が著しく低下してしまい、また、フェルトに汚れが蓄積していくと、汚れが蓄積した部分の脱水性能が低下し、脱水ムラ(脱水不良)が生じてしまう場合がある。
そこで、フェルト141〜143には、ニップ部N11,N12,N13よりも下流に、フェルト141〜143に含有された水分等を除去するサクションボックス8が装備されている。また、サクションボックス8に対してフェルト141〜143の移動方向上流側(以下、単に「上流側」と言う)には、ウェッティングシャワー81が装備され、ウェッティングシャワー81の上流側には、高圧摺動シャワー82が装備されている。
なお、サクションボックス8,ウェッティングシャワー81,高圧摺動シャワー82のそれぞれは、第1実施形態のものと同様であり、サクションボックス8については、第1実施形態と同様に、サクションボックス8を作動状態(図3(a)参照)と非作動状態(図3(b)参照)との間で移動させる移動機構100が備えられている。また、ウェッティングシャワー81及び高圧摺動シャワー82は、サクションボックス8と連動して動作する。
これらの高圧摺動シャワー82,ウェッティングシャワー81及びサクションボックス8は、適宜の組み合わせで使用することができるが、ここでは、フェルト141〜143に対して以下のように配設されている。
第1フェルト141には、上流側に高圧摺動シャワー82が1つ配置され、下流側にウェッティングシャワー81とサクションボックス8が2セット配置されて第1サクションボックス群18Aが構成されている。同様に、第2フェルト142には、上流側に高圧摺動シャワー82が1つ配置され、下流側にウェッティングシャワー81とサクションボックス8が2セット配置されて第2サクションボックス群18Bが構成されている。
また、第3フェルト141には、上流側に高圧摺動シャワー82が1つ配置され、下流側にウェッティングシャワー81とサクションボックス8が1セット配置されて第3サクションボックス群18Cが構成されている。
各サクションボックス群18A〜18Cは、グループ単位でオンオフ操作される。これにより、例えば、フェルト141のサクションボックス群8Aが作動状態となると、高圧摺動シャワー82により高圧水をフェルト141に噴射し、フェルト141の内部の汚れを表面に浮かせて、その後、ウェッティングシャワー81によってフェルト141内に水分を含ませて、サクションボックス8によって、水分と共に汚れを吸引し除去するようになっている。
〔抄紙機の運転方法〕
本実施形態にかかる抄紙機の運転方法は、上記の抄紙機を用いて実施する。以下、抄紙機の運転方法について説明する。この運転方法は、オペレータの操作によって実施してもよく、また、制御装置によって実施してもよい。
なお、本実施形態でも、第1実施形態と同様に、紙原料液や抄紙速度等の抄紙機の運転条件を所定範囲内に設定して抄紙機の運転の実施するものとする。
また、第1実施形態と同様に、フェルト特性として、圧縮特性については「圧縮率TC」を、回復特性については「回復率TR」を、それぞれ前述の式(1),(2)のように規定する。
また、抄紙機の運転条件が所定範囲内である場合の「圧縮率判定閾値TPA」及び「回復率判定閾値TPB」を試験によって求めており、(A1)フェルト141〜143の「圧縮率TC」が「圧縮率判定閾値TPA」以上、且つ、(A2)フェルト141〜143の「回復率TR」が「回復率判定閾値TPB」以上であれば、サクションボックス8を非作動とすることとしている。
フェルト141については、圧縮率判定閾値をTPA11に、回復率判定閾値をTPB11に、フェルト142については、圧縮率判定閾値をTPA12に、回復率判定閾値をTPB12に、フェルト143については、圧縮率判定閾値をTPA13に、回復率判定閾値をTPB13に、それぞれ設定する。
上述のように、TPA11>TPA12>TPA13,TPB11>TPB12>TPB13の傾向があるが、ここでは、試験結果に基づいて、TPA11,TPA12を何れも25%に、TPA13を20%にそれぞれ設定し、TPB11,TPB12を何れも30%に、TPB13を25%にそれぞれ設定している。
したがって、フェルトを掛け替える際に、それぞれの圧縮率判定閾値TPA及び回復率判定閾値TPBを用いて、上記の(A1)及び(A2)を判定し、各フェルト141〜143が条件(A1)及び(A2)の何れをも満たす特定フェルトである場合には、サクションボックス8の非作動の設定(作動の停止操作)を実施するのである。この設定の際には、サクションボックス8とフェルト141〜143とが接触又は離隔するように移動機構100の設定を実施することが好ましい。
〔効果〕
本発明の第3実施形態にかかる抄紙機用プレス装置は上述のように構成され、この抄紙機は上述の方法で運転されるため、以下の効果を得ることができる。
本発明の第3実施形態にかかる抄紙機用プレス装置は上述のように構成され、この抄紙機は上述の方法で運転されるため、以下の効果を得ることができる。
フェルト141〜143は、その「圧縮率TC」が「圧縮率判定閾値TPA」以上、且つ、「回復率TR」が「回復率判定閾値TPB」以上の特定フェルトである場合には、サクションボックス8を使用する場合よりも使用しない場合の方が長寿命になる。このため、フェルト141〜143が特定フェルトである場合に、サクションボックス8の作動を停止することにより、湿紙10の脱水性能を確保しながらフェルト141〜143の損傷を抑制することができる。さらに、サクションボックス8の作動にかかる電力を節減できる。さらにまた、サクションボックス8の作動停止によりフェルト141〜143の走行抵抗となる真空吸引が停止されるため、抄紙機用プレス装置104Aの駆動ロールの駆動にかかる電力も削減できる。
サクションボックス8の非作動が設定された際に、移動機構100によりサクションボックス8をフェルト141〜143から離隔させれば、フェルト141〜143は、サクションボックス8により吸引されないだけでなく、サクションボックス8と接触しなくなる。したがって、サクションボックス8によるフェルト141〜143の損傷を回避することができる。
また、フェルト141〜143は、一般的な通気度を有するため、特殊なフェルトを用いることを要せず、汎用性を確保することができる。
また、抄紙速度が500m/分以上であるため、フェルト141〜143からの水分等の除去が促進されて、フェルト141〜143の含水量が飽和してしまうのを確実に回避することができる。
<第4実施形態>
次に、図5を流用して、本発明の第4実施形態について説明する。本発明の第4実施形態は、第3実施形態で上述の抄紙機用プレス装置104Aに制御装置を追加したものである。この制御装置は、上述の第3実施形態における〔抄紙機の運転方法〕を実施する制御装置の一例である。
制御装置は、第2実施形態の制御装置90と制御対象が異なり、各サクションボックス群18A〜18Cを制御する。なお、ここで説明する点を除いては第2実施形態又は第3実施形態の構成と同様の構成となっている。
制御装置には、その出力側に制御対象となるサクションボックス群18A〜18Cがそれぞれ接続され、その入力側に入力部が接続される。この入力部は、オペレータによって操作され、制御装置に圧縮率TC,回復率TRといったフェルト141〜143にかかるパラメータを入力するためのものである。
例えば、使用されるフェルト141〜143の品番が入力部から制御装置に入力されると、制御装置は、フェルト141〜143の品番に紐付けられたパラメータを記憶するメモリを備えていれば、入力されたフェルト141〜43の品番に基づいてそのパラメータを取得することができる。または、入力部によりフェルト141〜143のパラメータを制御装置に直接入力することができる。
この制御装置は、サクションボックス群18A〜18Cについて、非作動条件の成否を判定し、この非作動条件の成立を判定すると非作動制御を実施し、非作動条件の非成立を判定すると作動制御を実施する。
本実施形態の非作動条件は、(A1)フェルト141〜143の「圧縮率TC」が「圧縮率判定閾値TPA」以上、且つ、(A2)フェルト141〜143の「回復率TR」が「回復率判定閾値TPB」以上の何れもが成立することを少なくとも含んでいる。言い換えれば、フェルト141〜143が(A1)及び(A2)の何れもを満たす特定フェルトである場合に非作動条件が成立し、フェルト141〜143が特定フェルトでなければ非作動条件は成立しない。
さらに、非作動条件には、(B1)フェルト141〜143が使用期限に達していないことが含まれることが好ましく、この(B1)にかかる「所定期間」は、第2実施形態のものと同様である。
非作動制御では、第2実施形態と同様に、サクションボックス8の作動停止により真空吸引が停止される。このとき、好ましくは、移動機構100が作動されてサクションボックス8がフェルト141〜143から離隔される。
一方、作動制御では、第2実施形態と同様に、サクションボックス8の作動によりフェルト141〜143から水分等が真空吸引される。このとき、移動機構100は非作動状態であり、サクションボックス8はフェルト141〜143に接触している。
〔効果〕
本発明の第4実施形態にかかる抄紙機用プレス装置は上述のように構成され、この抄紙機は上述の方法で運転されるため、以下の効果を得ることができる。
抄紙機用プレス装置104Aの制御装置により実施される非作動制御により、サクションボックス8の作動が停止された場合、湿紙10の脱水性能を確保しながらフェルト141〜43の損傷を抑制することができる。この非作動制御が、移動機構100が作動されてサクションボックス8がフェルト141〜143から離隔させるものであれば、サクションボックス8によるフェルト141〜143の損傷を回避することができる。このように、第3実施形態にかかる効果と同等の効果を得ることができる。
さらに、抄紙機用プレス装置4Aの制御装置により、サクションボックス8の作動及びその停止(非作動)が制御されるため、サクションボックス8の作動及び非作動の設定を要せず、抄紙機用プレス装置4Aの事前設定を軽減することができる。
以下、本発明を複数の実施例及び比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明は、実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
〈第2フェルトにかかる実施例〉
まず、第2フェルト42にかかる実施例1〜3及びこれらにかかる比較例Iを説明する。
実施例1〜3及び比較例Iのそれぞれは、上述の第1実施形態の抄紙機用プレス装置4Aのフェルトに、下記の表1に示す圧縮率TC,回復率TRの特性を有するフェルトを適用し、下記の条件(a1)〜(a6)のもとで、フェルトの使用期間(耐用期間)を評価したものである。
(a1)生産品目は、塗工紙用原紙である。
(a2)原紙の坪量範囲は、38.0〜66.3g/m2である。
(a3)平均抄紙速度は、1100m/分である。
(a4)第1ニッププレス部N1を通過する第2フェルトである。
(a5)第1プレスニップ部N1の線圧は、70kN/mである。
(a6)第2フェルト42のサクションボックス8による吸引の真空圧は、−45〜−30kpaである。
なお、「圧縮率TC」は上述の式(1)で表され、「回復率TR」は上述の式(2)で表されるが、データ採取開始直後(加圧前)のデータ10点分の平均値(20Hzでサンプリングしているので0.5秒分)を「T1」とし、加圧から圧力開放に転じる時点での厚み(最小値)を「T2」としている。また、圧力開放から2分経過後のフェルトにおけるデータ10点分の平均値を「T3」としている。
また、「圧縮率TC」及び「回復率TR」並びにこれらにかかる「圧縮率判定閾値TPA」及び「回復率判定閾値TPB」は、(i)測定装置として「テンシロン万能材料試験機(RTC-1250A,エー・アンド・デイ社製)」及び「レーザー変位計(LC-2440,キーエンス社製)」を使用し、(ii)測定条件として「加圧力:40kgf/cm2」及び「加圧速度:1mm/分」を定め、(iii)使用前のフェルトについて、その10cm四方のサンプル片を用いた。
実施例1の第2フェルト42は、「圧縮率TC」が26%であり、「回復率TR」が32%である。
実施例2の第2フェルト42は、「圧縮率TC」が36%であり、「回復率TR」が49%である。
実施例3の第2フェルト42は、「圧縮率TC」が45%であり、「回復率TR」が70%である。
一方、比較例Iの第2フェルト42は、「圧縮率TC」が24%であり、「回復率TR」が27%である。
これらの実施例1〜3では、サクションボックス8を使用せずに、具体的に言えば、サクションボックス8を第2フェルト42に接触させつつ真空吸引せずに第2フェルト42の使用期間を評価した。ただし、比較例Iでは、当初はサクションボックス8を使用しなかったものの、第2フェルト42の汚れの蓄積により脱水不良が発生したため、途中からサクションボックス8を使用して真空吸引を実施した。
このようにして、下記の表1に示す第2フェルト42の使用期間の評価結果を得た。
Figure 0005505539
なお、上記の表1にかかる第2フェルト42の「使用期間」は、比較例Iのそれを基準(100)とした場合の相対値を示している。
表1に示されるように、実施例1〜3にかかる第2フェルト42の使用期間は、比較例Iのそれに比較して長いことがわかる。具体的には、「圧縮率TC」及び「回復率TR」が高くなるに連れて、第2フェルト42の使用期間が長いことがわかる。これより、実施例1〜3にかかる第2フェルト42は、比較例Iのそれに比較して損傷が抑制されているものと推測することができる。また、「圧縮率TC」及び「回復率TR」が高くなるほど、第2フェルト42の損傷が抑制されるものと推測することができる。
また、表1に示されるように、実施例1の「圧縮率TC」(26%)と比較例Iの「圧縮率TC」(24%)との略中間に、サクションボックス8を使用せずに第2フェルト42を使用可能な圧縮率判定閾値TPA2があると推測することができるので、この圧縮率判定閾値TPA2を25%に設定している。同様に、実施例1の「回復率TR」(32%)と比較例Iの「回復率TR」(27%)との略中間に、サクションボックス8を使用せずに第2フェルト42を使用可能な回復率判定閾値TPB2があると推測することができるので、この圧縮率判定閾値TPA2を30%に設定している。
このように、上述の第1実施形態及び第2実施形態において、圧縮率判定閾値TPA2が25%であり、回復率判定閾値TPB2が30%であることが、表1に示す実施例1〜3及び比較例Iからも裏付けられる。
〔その他〕
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
上述の第1実施形態〜第4実施形態に示した抄紙機の運転方法は、ロールニッププレスを有する種々の抄紙機に適用することができる。例えば、抄紙機にロールニッププレスが複数設けられる場合には、複数のロールニッププレスの一部に本運転方法を適用してもよい。
上述の第1及び第3実施形態では、シュープレスよりも上流部に配置された2基のロールニッププレスに本運転方法を適用するものを例示したが、これに限らず、シュープレスを備えていないが上流部(もちろん最上流部を含む)にロールニッププレスが配置された抄紙機用プレス装置に、本運転方法を適用してもよい。この場合、ロールニッププレスが複数配置されているときには、その一部全て又は全部に本運転方法を適用することができる。具体的に言えば、最上流部のロールニッププレスにかかるフェルトに対応するサクションボックス群について作動制御を実施し、最上流部の直下流に配置されたロールニッププレスにかかるフェルトに対応するサクションボックス群について非作動制御を実施してもよい。
同様に、本発明の抄紙機用プレス装置にかかる制御装置は、抄紙機にロールニッププレスが複数設けられる場合には、複数のロールニッププレスの一部を制御する構成としてもよい。
上述の第2及び第4実施形態では、制御装置により非作動制御及び作動制御が実施されるものを示したが、これらの非作動制御及び作動制御の実施内容をオペレータの手動操作により実施してもよい。
非作動制御は、サクションボックス8の作動停止により真空吸引を停止するものに限らず、サクションボックス8による真空吸引力を弱めるものでもよい。この場合、フェルト41〜44,141〜143,241〜243から更に確実に水分等を除去することができる。
さらに、非作動制御は、上述の圧縮率TC及び回復率TRといった各パラメータが湿紙10の脱水性能の低下を示すに連れて、サクションボックス8を作動停止させた状態から作動させて真空吸引力を強めていくものでもよい。この場合、フェルト41〜44,141〜143,241〜243を長期に亘って使用することができる。この際、抄紙機用プレス装置4Aの事前設定操作が増加することがなく、抄紙機用プレス装置4Aにかかる設定作業を軽減することができる。
4 プレスパート
4A 抄紙機用プレス装置
41 第1フェルト
42 第2フェルト
43 第3フェルト
44 第4フェルト
8 フェルトサクションボックス
81 ウェッティングシャワー
82 高圧摺動シャワー
100 移動機構
N1 第1ニップ部(ロールニッププレス)
N2 第2ニップ部(ロールニッププレス)
N3 第3ニップ部(シュープレス)
N4 第4ニップ部(ロールニッププレス)
90 制御装置

Claims (10)

  1. 上流部に配置されフェルトを介して湿紙を押圧するロールニッププレスと、前記ロールニッププレスの前記フェルト中の水分を吸引する少なくとも1基のフェルトサクションボックスと、を有するプレス装置を装備した抄紙機の運転方法であって、
    記フェルトの圧縮率判定閾値を25%、及び回復率判定閾値を30%とし
    前記フェルトが、圧縮率が前記圧縮率判定閾値以上、且つ回復率が前記回復率判定閾値以上の特定フェルトの場合には、前記特定フェルトの耐用期間に亘って前記フェルトサクションボックスを非作動状態とする
    ことを特徴とする、抄紙機の運転方法。
  2. 前記プレス装置にはシュープレスを有し、前記ロールニッププレスは前記シュープレスの上流部に配置されている
    ことを特徴とする、請求項1記載の抄紙機の運転方法
  3. 前記フェルトサクションボックスを、その作動時には前記特定フェルトに接触させ、その非作動時には前記特定フェルトから離隔させる移動機構を有し、
    前記フェルトサクションボックスの作動を停止する際には、前記移動機構を作動させ、前記フェルトサクションボックスを前記特定フェルトから離隔させる
    ことを特徴とする、請求項1又は2記載の抄紙機の運転方法。
  4. 前記特定フェルトの通気度が15〜35cc/cm/sである
    ことを特徴とする、請求項1〜の何れか1項に記載の抄紙機の運転方法。
  5. 抄紙速度が500m/分以上である
    ことを特徴とする、請求項1〜の何れか1項に記載の抄紙機の運転方法。
  6. 上流部に配置されフェルトを介して湿紙を押圧するロールニッププレスと、前記ロールニッププレスの前記フェルト中の水分を吸引する少なくとも1基のフェルトサクションボックスと、を有する抄紙機用プレス装置であって、
    前記フェルトの圧縮率判定閾値を25%、及び回復率判定閾値を30%とし、前記フェルトが、圧縮率が前記圧縮率判定閾値以上、且つ回復率が前記回復率判定閾値以上の特定フェルトの場合には、前記特定フェルトの耐用期間に亘って前記フェルトサクションボックスを非作動状態とする制御装置が装備されている
    ことを特徴とする、抄紙機用プレス装置。
  7. シュープレスを更に有し、前記ロールニッププレスは前記シュープレスの上流部に配置されている
    ことを特徴とする、請求項記載の抄紙機用プレス装置
  8. 前記フェルトサクションボックスを、その作動時には前記特定フェルトに接触させ、その非作動時には前記特定フェルトから離隔させる移動機構を有し、
    前記制御装置は、前記フェルトサクションボックスの作動を停止する際に、前記移動機構を作動させ、前記フェルトサクションボックスを前記特定フェルトから離隔させる
    ことを特徴とする、請求項6又は7記載の抄紙機用プレス装置。
  9. 前記特定フェルトの通気度が15〜35cc/cm/sである
    ことを特徴とする、請求項6〜8の何れか1項に記載の抄紙機用プレス装置。
  10. 抄紙速度が500m/分以上である
    ことを特徴とする、請求項6〜9の何れか1項に記載の抄紙機用プレス装置。
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