JP5505299B2 - 抗血栓性表面 - Google Patents

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Description

本発明は、生体適合性、特に抗血栓性(抗血液凝固性)に優れた表面を有する積層体、更には該積層体により表面が被覆された部分を有する医療機器に関する。
近年、医学の進歩とともに数多くの医療機器が開発されているが、それらのうち、血液と接触する医療機器たとえば、カテーテルや人工心肺、人工腎臓、人工心臓弁、血液浄化システムは高分子材料や金属材料から構成されている。これらの医療機器は血液と接触した場合にその表面において血液を凝固させ、血栓の原因になる場合があり、医療機器の使用中の性能低下、さらには臨床上の問題となる場合があった。
それらを解決するために、従来様々な抗血栓性表面が開発されてきた。例えば、抗血栓材であるヘパリンを種々の方法で表面に固定する方法であり、表面を陽イオン化して陰イオン化されているヘパリンを結合させる方法、リンカー分子を介してヘパリンを表面に固定する方法等である(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、ヘパリンのような生理活性物質を使うことは、製造の管理、操作が煩雑なこと、適用できる表面が限定されること、生理活性物質が失活したら効果を失う等の欠点を有している。
また、その他の方法としてウレタン等の樹脂によりミクロ相分離させた表面や、親水性表面、特に親水性の高分子材料を表面にグラフト重合させる方法が知られている(例えば、特許文献2参照。)。しかし、ミクロ相分離構造表面は、良好な抗血栓性を発現させるために適当な相分離状態に制御することが必要で、そのような相分離を発現させる条件は限られている。特にウレタン樹脂の場合、粘度が高いため、薄くし難く、微細な表面には不適であった。親水性表面を作製する方法としては、材料表面に放射線照射やグロー放電処理を行い、アクリルアミドやエチレングリコールなどの親水性モノマーをグラフト重合することにより表面を親水性とし、生体適合性を向上させる方法が一般に知られている。しかし、この方法では、装置が高価なため経済性に劣ったり、薄くし難かったり、中空状の内面や複雑な形状を有する場合には均質にグラフトすることが困難であったり、親水性高分子自体をグラフトすることは困難であるなど多くの欠点を有している。
特開2000−279511号公報 特開昭60−092764号公報
上記のように、これまで抗血栓表面は種々検討されてきているが、生理活性物質を用いる表面は、適用できる表面が限定され、失活の管理を行わないといけない欠点があった。また、高分子材料のミクロ相分離化、親水化による方法では、薄い抗血栓表面を得ることが難しく、微細な構造、精度が求められる医療機器に用いることができないことがあった。例えば、血管内治療時に血管内に配置されて、飛散する血管壁や血栓、アテローム等の塞栓原因物質を捕捉する血管内フィルターでは、それ自体が血栓発生の原因にならないようにフィルター部分を抗血栓化することが望ましいが、目の粗さが約100μm程度と非常に細かく、かつ畳まれた状態で目的の場所まで運ばれ、治療箇所で展開するという変形に耐えられる性質も必要なため、数μm程度の厚さになる通常の高分子材料による抗血栓性表面では目詰まりの原因になったり、剥がれが起こったりして適用は非常に困難である。また、内視鏡等の診断または治療を目的として体内に挿入される光学的機能を有する医療機器では、レンズやレンズ保護フィルターに血栓が付着するとその観察能力であるところの光学的機能の低下が起こることからそれを防ぐ目的で抗血栓表面が適用されることが好ましいが、透明性や光学機能に影響をなるべく与えない薄いコーティングが望まれていた。
本発明は、従来の技術が有する上記課題に鑑みてなされるものであり、優れた抗血栓を示す表面を有する抗血栓性積層体、更にはこれを有する医療機器を提供することを目的とする。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意研究した結果、帯電状態の異なる高分子化合物を交互に積層させ、表面に微細で立体的な凹凸を形成させることで、優れた抗血栓性の表面を有する積層体が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明(1)は、帯電状態の異なる高分子化合物が交互に積層されて形成された高分子層から構成され、前記高分子層が、ポリカチオンの層とポリアニオンの層が交互に積層されて形成されており、前記ポリカチオンの層にはポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDDA)が含まれ、ポリアニオンの層にはポリアクリル酸(PAA)とポリビニルアルコール(PVA)が含まれており、表面に微細で立体的な凹凸が形成されていることを特徴とする抗血栓性積層体である。
また、本発明(2)は、立体的な凹凸がテクスチャー構造である抗血栓表面に関する。
また、本発明(3)は、立体的な凹凸の深さが15nmから200nmである抗血栓表面に関する。
また、本発明(4)は、立体的な凹凸の山脈間ピーク距離が200nmから2μmである抗血栓性積層体に関する。
また、本発明(5)は、立体的な凹凸の表面粗さ(二乗平均粗さ:RMS)が2nmから40nmである抗血栓性積層体に関する。
また、本発明(6)は、前記高分子層の厚さが200nmから5000nmである抗血栓性積層体に関する。
また、本発明(7)は、積層された最外層がポリアクリル酸(PAA)とポリビニルアルコール(PVA)を含有して形成されている抗血栓性積層体に関する。
また、本発明()は、表面が前記抗血栓性積層体により被覆されている部分を有する医療機器である。
また、本発明()は、該医療機器が血管内に配置されるフィルターである。
また、本発明(10)は、体内に挿入される光学的機能を有する医療機器で、該光学的機能を有する部分が抗血栓性積層体により被覆されている部分を有する医療機器である。
また、本発明(11)は、被成膜材料の表面に、帯電状態の異なる高分子化合物を交互に積層する前記抗血栓性積層体を製造する方法である。
本発明(1)〜()は、帯電状態の異なる高分子化合物が交互に積層されて形成された高分子層から構成され、表面に微細で立体的な凹凸が形成されていることから、従来に無い抗血栓性の表面を有する積層体を提供することができる。また、このような抗血栓性積層体は、例えば帯電状態の異なる高分子化合物を交互に吸着していく交互吸着法により製造することが可能で、用いる高分子の濃度やpH値、吸着時間の制御により、非常に薄い膜にもかかわらず、立体な凹凸(テクスチャー構造)を発現させることが可能なため、従来に無い薄さ、塗布性をも有する抗血栓性表面を提供できる。テクスチャーとは本来、物体の表面に見られる規則的・不規則的な「模様」のことであり、本発明においては立体的な凹凸に伴い、不規則ではあるが概ねの大きさがそろった模様が出現し、これを立体的なテクスチャー構造と称している。
また、本発明()によれば、従来に無い抗血栓性の表面を有する医療機器を提供することができる。また、例えば前記交互吸着法により製造する場合は、非常に薄く、かつ細かい構造体の表面であっても前記抗血栓性積層体によりその表面を被覆可能であることにより、これまで抗血栓性の表面を形成し難かったため設計が難しかった医療機器にも抗血栓性の表面を形成可能とする。
また、本発明()によれば、従来に無い抗血栓性の表面を有するフィルターを提供することができる。また、例えば前記交互吸着法により製造する場合は、非常に薄く、かつ細かい構造体の表面であっても前記抗血栓性積層体によりその表面を被覆可能であるため、塞栓原因物質を捕捉する目的で血管内に配置されるフィルターの表面を抗血栓性の表面を有する積層体で被覆可能であることから、フィルターの目詰まりを起こさない、フィルターの折り畳み、展開の変形に耐えられる血栓が発生し難い実用的なフィルターを提供可能とする。
また、本発明(10)によれば、従来に無い抗血栓性の表面を有する医療機器を提供することができる。また、例えば前記交互吸着法により製造する場合は、非常に薄く、かつ細かい構造体の表面であっても前記抗血栓性積層体によりその表面を被覆可能であるため、医療機器が診断または治療を目的として体内に挿入される光学的機能を有する医療機器の表面を抗血栓性の表面を有する積層体で被覆可能であることから、該光学的機能の低下を起こさない医療機器を提供可能とする。
また、本発明(11)によれば、被成膜材料に容易に従来に無い抗血栓性の表面を形成することができ、特に前記交互吸着法により製造する場合は、所定の電荷を有する高分子化合物を含むコーティング液の濃度を非常に薄くできるため、非常に薄く、かつ細かい構造体の表面にも抗血栓性の表面を形成することができる。

交互吸着膜の製造原理を示す概念図である。 実施例1の表面SEM画像である。 比較例1の表面SEM画像である。 比較例2の表面SEM画像である。 比較例3の表面SEM画像である。 比較例6の表面SEM画像である。 実施例4の表面SEM画像である。 実施例5の表面SEM画像である。 実施例6の表面SEM画像である。 実施例7の表面SEM画像である。 比較例7の表面SEM画像である。
以下に本発明に係る抗血栓性積層体と医療機器の最良の実施形態を説明する。本発明は、帯電状態の異なる高分子化合物が交互に積層されて形成された高分子層から構成され、表面に微細で立体的な凹凸が形成されていることを特徴とする抗血栓性積層体である。この表面は帯電状態の異なる高分子を交互に吸着していく交互吸着法で作製することが可能で、もともと複合有機薄膜を作製する方法として、1992年にG.デッカーらによって発表された(Decher.G, Hong.J.D. and J.Schmit: Thin Solid Films, 210/211, p.831(1992))方法であり、その作成プロセスにおいて、交互吸着(Layer-by-Layer Electrostatic Self-Assembly)の手法が利用される。
G.デッカーらによって発表された基本的な方法によれば、まず、プラスの電荷を有する電解質高分子化合物(カチオン)の水溶液と、マイナスの電荷を有する電解質高分子化合物(アニオン)の水溶液とが別々の容器に用意される。そして、これらの容器に、初期表面電荷を与えた基板(被成膜材料)を交互に浸すことにより、基板上に多層構造を有しながら非常に厚みの小さい複合有機薄膜(交互吸着膜)が得られる。たとえば、被成膜材料としてガラス基板を用いた場合、このガラス基板の表面を親水処理して表面にOH基を導入して、初期表面電荷としてマイナスの電荷を与える。そして、この表面がマイナスに帯電した基板を、プラスの電荷を有する電解質高分子化合物水溶液に浸せば、クーロン力により、少なくとも表面電荷が中和されるまでプラスの電荷を有する電解質高分子化合物が基板表面に吸着し、1層の厚みがナノメートルオーダーの極めて厚みの小さい薄膜(以下、超薄膜という)が形成される。こうして形成された超薄膜の表面部分は、プラスに帯電していることになる。そこで、今度はこの基板をマイナスの電荷を有する電解質高分子化合物水溶液に浸せば、クーロン力によりマイナスの電荷を有する電解質高分子化合物が吸着し、前記薄膜の表面に別の1層の超薄膜が形成されることになる。このようにして、基板を2つの容器に交互に浸すことにより、プラスの電荷を有する電解質高分子化合物からなる超薄膜層とマイナスの電荷を有する電解質高分子化合物からなる超薄膜層とを交互に成膜することができ、多層構造をもった非常に厚みの小さい複合有機薄膜を形成することができる。
最近では、M.F.ルブナーらによって、この交互吸着膜の製造を自動化する技術も発表されており(A.C.Fon, O.Onitsuka, M.Ferreira, B.R. Hsieh and M.F.Rubner: J. Appl. Phys. 79(10) 15 May 1996 )、交互吸着膜の自動製造装置の構成が提案されている。この装置を用いれば、被成膜材料となる基板がロボットアームにより2つの水槽に交互に浸されるので、基板上に交互吸着膜が自動的に成膜される。また、本願発明者らによって、膜厚を正確に制御する成膜方法が、国際公開第00/13806号パンフレットに開示されている。
図1は、交互吸着膜の製造原理を示す概念図である。図1において、被成膜材料として、たとえばガラス、シリコン、金属(ステンレス等)などの基板101を用意し、その表面を親水処理して表面にOH基を導入して、初期表面電荷としてマイナス(−)の電荷104を与える(図1の(a)参照。)。続いて、このマイナスに帯電した基板101の表面にプラスの電荷を有する電解質高分子化合物と接触させると、基板101表面にプラスの電荷を有する電解質高分子化合物がクーロン力により吸着し、ポリカチオンの層が形成されることになる。図1の(b)は、プラスの電荷を有する電解質高分子化合物102が吸着し、最外層の表面がプラス(+)の電荷105に帯電した状態を示す概念図である。次いで、この基板をマイナスの電荷を有する電解質高分子化合物103と接触させると、前記ポリカチオンの層が形成された基板表面にマイナスの電荷を有する電解質高分子化合物がクーロン力により吸着し、ポリアニオンの層が形成されることになる。図1の(c)は、マイナスの電荷を有する電解質高分子化合物103がプラスの電荷を有する電解質高分子化合物102の上に吸着して積層し、最外層の表面がマイナス(−)の電荷106に帯電した状態を示す概念図である。
このように、基板101に交互に異なる電荷をもった高分子化合物を接触させてゆけば、基板101の表面には、プラスの電荷を有する電解質高分子化合物からなる層(ポリカチオンの層)とマイナスの電荷を有する電解質高分子化合物からなる層(ポリアニオンの層)とが交互に成膜されてゆくことになり、最終的に多層構造をもった交互吸着積層体が形成される。この吸着処理に用いる電解質高分子化合物の濃度やpH値、吸着時間などの条件によって、高分子内のセグメント間のクーロン力による反発が大きくなったり小さくなったり変化するため、分子の充填密度およびその分布は、これらの条件によりコントロール可能である。したがって、これらの条件の設定を適切に選択することによって、非常に薄い膜を形成することも、比較的厚い膜を形成することも可能になり、表面の凹凸形成、微細で立体的な凹凸、例えばテクスチャー構造を制御することができる。
前記テクスチャー構造はその構成要素の集合体であり、その構成要素の大きさは抗血栓性が発現されれば特に制限はないが、抗血栓効果を高めるために構成要素の長さ方向、幅共に10μ以下であることが好ましく、さらには構成要素の長さ(構成要素の長い方の長さとする)が3μm以下、幅(構成要素の短い方の長さを幅とする)が500nm以下であることが好ましく、構成要素の長さ、幅が3μm〜50nmの間であることが最も好ましい。また、立体的な凹凸の深さは抗血栓性積層体の厚さにも依存するが、抗血栓性の特性を効果的に発揮させる観点から、15nmから200nmであることが好ましい。また、交互吸着された高分子層すなわち抗血栓性積層体の厚さが200nmから5000nmであることが、上記表面特性を発揮しやすくかつ実用的にも有用性が高いため好ましい。
抗血栓性積層体の表面に形成される微細で立体的な凹凸、ないしは前記テクスチャー構造の上記の寸法は、レーザー表面測定器や触針式表面形状測定器(DEKTAK等)で測定できるが、SEMで表面、断面を直接観察することでも簡単に測定可能である。
また、良好な抗血栓性発現のため、立体的な凹凸の山脈間ピーク距離が200nmから2μmであることが好ましく、200nmより短かったり、2μmより長いと抗血栓性が低下または発現しなくなる傾向にある。ここで立体的な凹凸の山脈間ピーク距離とは、原子間顕微鏡で測定した凹凸の隣り合う凸のピーク間の距離であり、実施例記載の装置、プログラムにおいて「平均」の測定条件で求められる。また、良好な抗血栓性発現のため、立体的な凹凸の表面粗さ(二乗平均粗さ:RMS)が2nmから40nmであることが好まく、2nmより短かったり、40nmより長いと抗血栓性が低下または発現しなくなる傾向にある。このような立体的な凹凸の表面粗さ(二乗平均粗さ:RMS)も同様にして、原子間力顕微鏡により測定することができる。
また、上記特性を有する表面を形成しやすくかつ製造面での容易性、安定性の観点から積層回数は30回以内であることが好ましく、20回以内であることがより好ましい。積層する高分子化合物についても帯電性が異なる高分子化合物を種々適用できるが、医療機器への適用を想定するにあたっては、安全性の高い高分子化合物を用いることが好ましく、ポリカチオンの層にはポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDDA)、ポリアニオンの層にはポリアクリル酸(PAA)とポリビニルアルコール(PVA)を含有するものが好適に用いられる。また、血栓の主要原因の一つであるフィブリノーゲンがマイナスの荷電を持つことから反発させるためにも最外層はマイナスの電荷を持つほうが好ましく、最外層がPAAとPVAを含有して形成したものであることが好ましい。また、表面は親水性が高いほうが好ましく、表面の水接触角度が60°以下であることが好ましい。
また、本発明の抗血栓性積層体は血液と接触する可能性のある医療機器の表面を被覆する際に用いられるが、特に、薄いこと、細かい構造にも塗布可能なこと、透明であること、が求められる医療機器に好ましく適用される。特に、塞栓原因物質を捕捉する目的で血管内に配置されるフィルターは、血流内にフィルターが展開して置かれ、その細かい孔部分に血球が衝突しながら高速で通過するため血栓が発生しやすいが、孔部分の直径が100μm程度で非常に細かく、かつ畳まれた状態で目的の場所まで運ばれ、治療箇所で展開するという変形に耐えられる性質も必要なため、数μm程度の厚さになる通常の高分子材料により被覆されて形成された抗血栓性の表面では目詰まりの原因になったり、剥がれが起こったりして適用は非常に困難であるため、本発明の抗血栓性積層体が好ましく適用される。
さらに、内視鏡等の診断または治療を目的として体内に挿入される光学的機能を有する医療機器では、レンズやレンズ保護フィルターに血栓が付着するとその観察能力であるところの光学的機能の低下が起こることから、それを防ぐ目的で抗血栓性の表面が形成されるようにその表面が被覆される場合があるが、観察能力を低下させないために透明性が求められることはもちろんである。加えて体内に挿入される医療機器は小径であることが多く、レンズなども非常に小さいため、コーティングを施す場合はその厚さの影響を受けやすいため透明かつ薄いコーティングが必要であり、本発明の抗血栓性積層体が好ましく適用される。
以下に本発明に係るより具体的な実施例について詳説する。
(実施例1)
予めマイナスに帯電させたガラス基板を100mMのポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDDA)溶液に15分浸漬してポリカチオン層を形成、その後リンス用の純水に2分、1分、1分と3回浸漬した後、ポリビニルアルコール(PVA:分子量1500 1wt%)とポリアクリル酸(PAA:分子量90000 20mM)の1:1混合溶液に15分間浸漬してポリアニオン層を形成、その後リンス用の純水に2分、1分、1分と3回浸漬した。上記を20回(積層回数20)繰り返してガラス基板上に最外層がマイナスに帯電しているPVA、PAA表面を得た。表面のSEM画像を、図2に示す。表面は図2に示されるように凹凸を有した立体的なテクスチャー構造をとっていた。この時、SEMで測定した立体的なテクスチャー構造の構成単位長さ201は平均3μm以下、幅202は平均500nm以下、深さ方向の凹凸が200nm、交互に積層された高分子層の厚さは5000nmであった。
(比較例1)
予めマイナスに帯電させたガラス基板を100mMのポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDDA)溶液に15分浸漬してポリカチオン層を形成、その後リンス用の純水に2分、1分、1分と3回浸漬した後、ポリスチレンスルホン(PSS:分子量70000 濃度100mM)の溶液に15分間浸漬してポリアニオン層を形成、その後リンス用の純水に2分、1分、1分と3回浸漬した。上記を20回繰り返してガラス基板上に最外層がマイナスに帯電しているPSS表面を得た。表面のSEM画像を、図3に示す。表面は図に示されるように凹凸はなく平滑であった。
(比較例2)
予めマイナスに帯電させたガラス基板を100mMのポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDDA)溶液に15分浸漬してポリカチオン層を形成、その後リンス用の純水に2分、1分、1分と3回浸漬した後、Titanium(IV) bis (ammonium lactato) dihydroxide(TALH: 濃度1wt%)の溶液に15分間浸漬してポリアニオン層を形成、その後リンス用の純水に2分、1分、1分と3回浸漬した。上記を19回繰り返した後、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDDA)溶液により処理を行い、最外層がプラスに帯電しているPDDA表面を得た。表面のSEM画像を、図4に示す。表面は図に示されるように凹凸はなく平滑であった。
(比較例3)
予めマイナスに帯電させたガラス基板を10mMのポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDDA)溶液に15分浸漬してポリカチオン層を形成、その後リンス用の純水に2分、1分、1分と3回浸漬した後、ポリビニルアルコール(PVA:分子量1500 1wt%)とポリアクリル酸(PAA:分子量90000 20mM)の1:1混合溶液にGultaraldehydeを加え3wt%にした溶液に15分間浸漬してポリアニオン層を形成、その後リンス用の純水に2分、1分、1分と3回浸漬した。上記を20回繰り返してガラス基板上に最外層がマイナスに帯電しているPVA、PAA表面を得た。表面のSEM画像を、図5に示す。表面は図に示されるように凹凸はなく平滑であった。
(比較例4)
上記実施例1に使用したガラス基板(処理無し)を比較として用いた。
(実施例2)
予めマイナスに帯電させた、塞栓原因物質を捕捉する目的で血管内に配置されるカテーテル状医療機器のフィルター部分(304ステンレス鋼 線形 20μm 目開き100μm)に、実施例1と同様の操作を行い、積層回数20回でフィルター上に実施例1と同様の最外層がマイナスに帯電しており、表面が凹凸を有した立体的なテクスチャー構造をとるPVA、PAA表面を得た。この時、SEMで測定した立体的なテクスチャー構造の構成単位長さは平均3μm以下、幅は平均500nm以下、深さ方向の凹凸が70nm、交互に積層された高分子層の厚さは1000nmであった。
(実施例3)
予めマイナスに帯電させた、塞栓原因物質を捕捉する目的で血管内に配置されるカテーテル状医療機器のフィルター部分(304ステンレス鋼 線形 20μm 目開き100μm)に、実施例1と同様の操作を行い、積層回数5回でフィルター上に実施例1と同様の最外層がマイナスに帯電しており、表面が凹凸を有した立体的なテクスチャー構造をとるPVA、PAA表面を得た。この時、SEMで測定した立体的なテクスチャー構造の構成単位長さは平均3μm以下、幅は平均500nm以下、深さ方向の凹凸が15nm、交互に積層された高分子層の厚さは200nmであった。
(比較例5)
予めマイナスに帯電させた、塞栓原因物質を捕捉する目的で血管内に配置されるカテーテル状医療機器のフィルター部分(304ステンレス鋼 線形 20μm 目開き100μm)に、浸漬回数が5回であることを除き比較例3と同様の操作を行い、フィルター上に実施例3と同様の最外層がマイナスに帯電しているが、凹凸のないPVA、PAA表面を得た。
(比較例6)
上記実施例2に使用したフィルター(処理無し)を比較として用いた。表面のSEM画像を、図6に示す。
(実施例4)
積層回数が3回であることを除き実施例2と同様の操作を行い、積層回数3回でフィルター上に実施例1と同様の最外層がマイナスに帯電しており、表面が凹凸を有した立体的なテクスチャー構造をとるPVA、PAA表面を有する抗血栓性積層体により被覆されたフィルターを得た。この時、SEMで測定した立体的なテクスチャー構造の構成単位長さは平均3μm以下、幅は平均500nm以下であった。表面のSEM画像を、図7に示す。また、原子間力顕微鏡(Digital Instruments社製 Atomic Force Microscopy NanoScope IIIa、解析ソフトウエア Veeco Instruments社製 Nano
Scope IIIa Version 5.30 r3sr3)を用いて測定した立体
的なテクスチャー構造の山脈間ピーク距離(平均)は200nm、深さ方向の凹凸(bearing)が15.8nm、表面粗さ(二乗平均粗さ:RMS)が2.47nmであった。
(実施例5)
積層回数が10回であることを除き実施例2と同様の操作を行い、積層回数10回でフィルター上に実施例1と同様の最外層がマイナスに帯電しており、表面が凹凸を有した立体的なテクスチャー構造をとるPVA、PAA表面を有する抗血栓性積層体により被覆されたフィルターを得た。この時、SEMで測定した立体的なテクスチャー構造の構成単位長さは平均3μm以下、幅は平均500nm以下であった。表面のSEM画像を、図8に示す。また、実施例4と同様にして原子間力顕微鏡を用いて測定した立体的なテクスチャー構造の山脈間ピーク距離(平均)は1μm、深さ方向の凹凸(bearing)が133nm、表面粗さ(二乗平均粗さ:RMS)が37.6nmであった。
(実施例6)
積層回数が15回であることを除き実施例2と同様の操作を行い、積層回数15回でフィルター上に実施例1と同様の最外層がマイナスに帯電しており、表面が凹凸を有した立体的なテクスチャー構造をとるPVA、PAA表面を有する抗血栓性積層体により被覆されたフィルターを得た。この時、SEMで測定した立体的なテクスチャー構造の構成単位長さは平均3μm以下、幅は平均500nm以下であった。表面のSEM画像を、図9に示す。また、実施例4と同様にして原子間力顕微鏡を用いて測定した立体的なテクスチャー構造の山脈間ピーク距離(平均)は2μm、深さ方向の凹凸(bearing)が42.2nm、表面粗さ(二乗平均粗さ:RMS)が33.0nmであった。
(実施例7)
積層回数が30回であることを除き実施例2と同様の操作を行い、積層回数30回でフィルター上に実施例1と同様の最外層がマイナスに帯電した、表面が凹凸を有した立体的なテクスチャー構造をとるPVA、PAA表面を得た。この時、SEMで測定した立体的なテクスチャー構造の構成単位長さは平均4μmより大きく、幅は平均500nm以上であった。表面のSEM画像を、図10に示す。また、実施例4と同様にして原子間力顕微鏡を用いて測定した立体的なテクスチャー構造の山脈間ピーク距離(平均)は7.5μmであった。深さ方向の凹凸(bearing)が14nm、表面粗さ(二乗平均粗さ:RMS)が35.5nmであった。
(比較例7)
積層回数が1回であることを除き実施例2と同様の操作を行い、積層回数1回でフィルター上に実施例1と同様の最外層がマイナスに帯電しており、表面が凹凸を有した立体的なテクスチャー構造をとるPVA、PAA表面を有する抗血栓性積層体により被覆されたフィルターを得た。この時、SEMで測定した立体的なテクスチャー構造は観察されなかった。表面のSEM画像を、図11に示す。また、実施例4と同様にして原子間力顕微鏡を用いて測定した立体的なテクスチャー構造の山脈間ピーク距離(平均)は測定不可能であり、深さ方向の凹凸(bearing)が7.8nm、表面粗さ(二乗平均粗さ:RMS)が1.46nmであった。
(評価1)
上記、実施例1の抗血栓表面および比較例1から4をヒトの血漿由来フィブリノーゲンと180分間接触させた後、フィブリノーゲンの付着を目視、表面ゼータ電位、光透過率で評価した。実施例1は、目視でフィブリノーゲンの付着は無く、表面ゼータ電位も接触前の−30mVから変化無く、光透過率も変化なく、血栓形成の第一段階であるフィブリノーゲンの付着が全く起こらないことが判った。比較例1は、目視でフィブリノーゲンの付着が確認され、表面ゼータ電位は接触前の−70mVからフィブリノーゲン特有のゼータ電位である−5mVまで変化、光透過率も約5%低下した。比較例2は、目視でフィブリノーゲンの付着が確認され、表面ゼータ電位は接触前の+40mVからフィブリノーゲン特有のゼータ電位である−5mVまで変化、光透過率も約5%低下した。比較例3は、目視でフィブリノーゲンの付着が確認され、表面ゼータ電位は接触前の−25mVからフィブリノーゲン特有のゼータ電位である−5mVまで変化、光透過率も約5%低下した。比較例4は、目視でフィブリノーゲンの付着が確認され、表面ゼータ電位は接触前の−80mVからフィブリノーゲン特有のゼータ電位である−5mVまで変化、光透過率も約5%低下した。実施例1の抗血栓表面が本発明の効果である抗血栓性を発現することが確認された。
(評価2)
仔ブタ頚動脈より血液を導入し、静脈に返血する内径3mmシリコンチューブの血流回路を組み立てた。ヘパリン投与によりACTを100〜200になるようにコントロールした上で、シリコンチューブ内に評価対象のフィルター、実施例2、3および比較例5、6を順次配置して評価した。通血後、電磁血流計により血流量をカテーテル型のフィルターの想定使用時間15分まで経時的に記録。血栓発生によりフィルターがつまり血流量が無くなるまでの時間とその時点でのフィルター上の血栓発生状態を観察した。実施例2、3は、通血開始直後の血流量約130ml/分から15分後まで血流量の変化は無く、評価終了後もフィルター上に血栓の発生は全く無かった。比較例5のフィルターは、通血開始直後の血流量約130ml/分から2分後には0になり、評価終了後のフィルターは、発生した血栓によって閉塞していた。比較例6のフィルターは、通血開始直後の血流量約130ml/分から2分後には約70ml/分まで血流量が低下、5分後には0になった。評価終了後のフィルターは、発生した血栓によって閉塞していた。
実施例2、3の本発明の抗血栓表面が適用された医療機器であるフィルターが本発明の効果を発現し、優れた抗血栓性を有するフィルターとして機能することが確認された。
(評価3)
仔ブタ頚動脈より血液を導入し、静脈に返血する内径3mmシリコンチューブの血流回路を組み立てた。ヘパリン投与によりACTを100〜150になるようにコントロールした上で、シリコンチューブ内に評価対象のフィルター、実施例4、5、6、7および比較例6、7を順次配置して評価した。通血後、電磁血流計により血流量をカテーテル型のフィルターの想定使用時間15分まで経時的に記録した。血栓発生によりフィルターがつまり血流量が半減するまでの時間を測定した。実施例4、5、6は、通血開始直後から15分後まで血流量が半減した例は無く、評価終了後もフィルター上に血栓の発生は全く無かった。実施例7のフィルターは、通血開始から14分で血流量が半減したが、フィルターの想定使用時間15分までフィルターがつまることはなかった。一方、比較例6のフィルターは、通血開始から2分で血流量が半減した。比較例7のフィルターは、通血開始から6分で血流量が半減した。また何れの比較例も、フィルターの想定使用時間15分以内にフィルターが完全につまり使用不能となった。
実施例4、5、6の本発明の抗血栓性積層体により表面が被覆された医療機器であるフィルターが本発明の効果を発現し、優れた抗血栓性を有するフィルターとして機能することが確認された。
符号の説明
101 基板
102 プラスの電荷を有する電解質高分子化合物
103 マイナスの電荷を有する電解質高分子化合物
104 マイナス(−)の電荷
105 プラス(+)の電荷
106 マイナス(−)の電荷
201 立体的なテクスチャー構造の構成単位長さ
202 立体的なテクスチャー構造の構成単位幅

Claims (11)

  1. 帯電状態の異なる高分子化合物が交互に積層されて形成された高分子層から構成され、
    前記高分子層が、ポリカチオンの層とポリアニオンの層が交互に積層されて形成されており、前記ポリカチオンの層にはポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDDA)が含まれ、ポリアニオンの層にはポリアクリル酸(PAA)とポリビニルアルコール(PVA)が含まれており、
    表面に微細で立体的な凹凸が形成されていることを特徴とする抗血栓性積層体。
  2. 立体的な凹凸がテクスチャー構造である請求項1に記載の抗血栓性積層体。
  3. 立体的な凹凸の深さが15nmから200nmである請求項1に記載の抗血栓性積層体。
  4. 立体的な凹凸の山脈間ピーク距離が200nmから2μmである請求項1に記載の抗血栓性積層体。
  5. 立体的な凹凸の表面粗さ(二乗平均粗さ:RMS)が2nmから40nmである請求項1に記載の抗血栓性積層体。
  6. 前記高分子層の厚さが200nmから5000nmである請求項1に記載の抗血栓性積層体。
  7. 積層された最外層がポリアクリル酸(PAA)とポリビニルアルコール(PVA)を含有して形成されている請求項1から6のいずれかに記載の抗血栓性積層体。
  8. 表面が、請求項1からのいずれかに記載の抗血栓性積層体により被覆されている部分を有することを特徴とする医療機器。
  9. 医療機器が血管内に配置されるフィルターである請求項記載の医療機器。
  10. 体内に挿入される光学的機能を有する医療機器で、該光学的機能を有する部分が抗血栓性積層体により被覆されている部分を有する請求項記載の医療機器。
  11. 被成膜材料の表面に、帯電状態の異なる高分子化合物を交互に積層することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の抗血栓性積層体を製造する方法。
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