JP3834602B2 - 抗血栓性多糖類をコーティングした高分子材料からなる医療用具 - Google Patents

抗血栓性多糖類をコーティングした高分子材料からなる医療用具 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、抗血液凝固性に優れた医療用具に関する。より詳しくには、プラズマ照射による開始グラフト重合技術を用いることにより、化学的官能基が乏しい高分子材料表面に反応性官能基を導入し、抗血栓性多糖類を固定化させた医療用具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
抗血栓性が要求される医療用具において、リンカー分子としてポリエチレンイミンを介して、ヘパリンが基材に固定化されたものが知られており、リンカーを架橋するための官能基導入方法と結合様式の違いにより、複数の基材処理手法が報告されている。
【0003】
例えば、(1) 過マンガン酸カリウムを含有する濃硫酸で硫酸基を導入した特公平3−70722、(2)(1)と同様に過マンガン酸カリウムを含む硫酸水溶液で処理した後、シランカップリング剤を使用してリンカーを共有結合させた特開平6−218038、(3) オゾン処理により酸化物官能基を与えた特開平6−105902、および(4) セリウムイオンの酸化力を主に用いてアクリル酸を重合させた特開平10−52488が挙げられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の特公平3−70722、および特開平6−218038の手法では、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)等の酸に弱い材質を使用した場合には、硫酸による基材そのものの溶解が見られ、一般によく用いられるポリカーボネート等の場合においても同様に、材質に与える影響が大きく、充分量の官能基の導入が期待されない。
【0005】
特開平6−105902によるオゾン処理法においては、反応の選択性および制御性の低さを伴い、リンカー分子との結合に有効な化学的官能基の導入は、基材の性質に大きく依存するため、基材の種類により官能基の密度が低い欠点を有する。
【0006】
また、特開平10−52488で特に推薦されるように、セリウムイオンの酸化力を用いたアクリル酸溶液のグラフト重合法では、反応過程で基材に与えられた活性点の損失が大きいため、基材表面でのグラフト重合反応よりアクリル酸自身による塊重合反応が優先的に起こり、形成されたアクリル酸重合体は基材表面から容易に剥離してしまう欠点がある。
【0007】
すなわち、上記に挙げた液相酸化反応を用いた基材への反応性官能基あるいはグラフト分子の導入は、基材高分子の化学構造に大きく依存するため、基材によっては充分な密度が得られない欠点を有している。
【0008】
このように従来より知られる手法においては、ポリカーボネート等の化学反応性に乏しい高分子材料に化学的官能基を導入し、さらにリンカー分子を介して多数のヘパリンを固定化する場合には、基材表面への官能基の導入密度が不充分であったため、結果としてヘパリンが十分に固定化することは不可能であった。
【0009】
従って、本発明は、化学反応性官能基が乏しい高分子材料表面に、抗血栓性多糖類が化学的に結合することができる必要十分量の化学反応性官能基を付加することによって、血液接触材料表面が抗血栓性多糖類で完全に被覆された、抗血栓性および抗血液凝固性に優れた医療用具を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明は、医療用具の基体をなす高分子材料の表面に、アニオン性グラフト分子を重合し、このグラフト層上にカオチン性高分子よりなるリンカー分子を介して血液接触表面をなす坑血栓性多糖類をコーティングすることにより坑血栓被膜を形成したものにおいて、この坑血栓被膜の表面部分におけるXPSによる硫黄含量S2p/C1sが0.040以上で且つ坑ファクターXa活性による初期固定化量が40×10ー3IU/cm2 以上としたことを特徴とする。
【0011】
なお、上記XPSによる硫黄含量S2p/C1sは密度を表す指標であり、坑ファクターXa活性による初期固定化量は活性を表す指標である。XPSによる硫黄含量S2p/C1sが0.040未満の場合は坑血栓性多糖類の被覆が疎となり、基体表面が部分的に露出するなどして坑血栓性が不十分となり、坑ファクターXa活性による初期固定化量が40×10ー3IU/cm2 未満でも活性不足により坑血栓性作用が不十分となる恐れがある。
【0012】
すなわち、血液接触材料表面に高密度、且つ高活性であって量、質とともに高位の抗血栓性多糖類を導入した高分子材料からなる医療用具であって、従来には坑血栓性多糖類の固定密度と活性を高レベルで両立させたものが存在していなかったのに対して、本発明はそれを実現する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図を参照しつつ詳細に説明する。
【0014】
図1は補助人工心臓における血液接触部を構成する用具の如き本発明の医療用具の表面断面構造を示す模式図であって、図中、1はポリカーボネートなどの高分子材料からなる基体、2はアクリル酸などのアニオン性グラフト分子、3はポリエイレンイミンなどのカオチン性高分子よりなるリンカー分子、4はヘパリンなどの坑血栓性多糖類を示す。
【0015】
また、上記構成要素の接合部位に示される+、−の記号は、各々の構成要素の帯電が正または負であることを示す。
【0016】
同図に示すように上記医療用具は、基体1の表面に、アニオン性グラフト分子2を重合し、このグラフト層上にカオチン性高分子よりなるリンカー分子3を介して血液接触表面をなす坑血栓性多糖類4をコーティングすることにより坑血栓被膜を形成した基本構成を有し、且つ、坑血栓性多糖類4をコーティングする最表層のXPSによる硫黄含量S2p/C1sが0.040以上で且つ坑ファクターXa活性による初期固定化量が40×10ー3IU/cm2 以上としたものである。
【0017】
なお、アニオン性グラフト分子2とリンカー分子3並びにリンカー分子3と坑血栓性多糖類4の結合は図に示すようにイオン結合が好ましい。ただし、共有結合であっても構わない。
【0018】
このような特徴を有する医療用具は次のような方法で作製可能である。
【0019】
ポリカーボネート等の化学的官能基が乏しい高分子材料に対して、プラズマ照射による開始グラフト技術を用いて、ラジカル重合性のアニオン性モノマーを気相グラフト重合させた後、アニオン性グラフトマトリックス上に一つのカチオン性リンカー高分子を多点接触による静電的相互作用によって結合させ、さらにヘパリン等の抗血栓性多糖類を最表面に化学的に固定させる。
【0020】
本発明は、あらゆる高分子材料に機能性分子を固定化する場合に適用されるが、特にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネートおよびポリスチレンなどの化学的官能基が乏しい汎用高分子材料を用いる場合に好適である。
【0021】
また、前記方法に使用するプラズマとは、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気の適当な減圧下(およそ101 〜10ー3to rr)において、13.56MHzの高周波を利用して発生させた、自由電子などに富んだ、紫外光成分を放射する高エネルギー状態を示す。
【0022】
この低温プラズマ照射は、高分子材料表面の活性化に有効であり、ラジカル重合性のモノマーをグラフト重合させるのに必要な活性部位、すなわちラジカルを基材に与えることができる。
【0023】
従って、任意の条件によりプラズマ照射技術を用いれば、基材を損傷することなく、液相酸化反応において官能基やグラフト分子の付加が困難であった化学的官能基が乏しい高分子材料に対して、効果的にグラフト重合をさせることが可能であり、官能基を導入するのに有利である。
【0024】
本発明に使用されるアニオン性グラフト分子は、揮発性を有するカルボキシル基含有ラジカル重合性ビニルモノマーより選択され、具体的には、アクリル酸、メチルアクリル酸およびビニル酢酸などが挙げられる。
【0025】
高分子材料表面にグラフト重合されたアニオン性高分子鎖は、カチオン性リンカー分子を固定するための多数のカルボキシル基を供給することができる。従って、アニオン性グラフト分子鎖とカチオン性リンカー分子の結合は、双方が有する大多数の官能基間で静電的相互作用が生じるため、多点接触型の強固なイオン結合が形成される。
【0026】
本発明に使用されるカチオン性リンカー分子は、ポリエチレンイミン、ポリアルキルアミンおよびポリアリールアミンなどのポリアミン官能性高分子であり、アミン官能基がグラフト分子鎖および抗血栓性多糖類のいずれのアニオン性官能基とも、高い反応性に富む利点を有している。
【0027】
リンカー分子の高分子量化によって、リンカー分子がアニオン性グラフト層からの溶出や遊離を抑制するため、リンカー分子の分子量は10,000以上であることが望ましい。
【0028】
本発明に使用される抗血栓性多糖類は、ヘパリン、ヘパラン硫酸、コンドロイチン硫酸、デキストラン硫酸およびこれらの誘導体より選択される。リンカー分子への抗血栓性多糖類の固定化は、イオン結合および共有結合のいずれであってもよい。
【0029】
共有結合の場合には、抗血栓性多糖類が基材表面に長期間に渡って安定的に固定されることが期待され、この場合には亜硝酸塩あるいは過ヨウ素酸塩で処理する方法により、抗血栓性多糖類にアルデヒド基を導入することができる。イオン結合の場合には、固定化において反応工程を簡略化できる利点を有する。
【0030】
このイオン結合の場合においても、アニオン性の抗血栓性多糖類はカチオン性リンカー分子と多点接触型の強固な静電的相互作用を保っており、表面から容易に遊離や溶出するようなことはなく、共有結合に劣らない安定性を示す。いずれの固定化方法においても、反応溶液のpHは、2.5〜7.0が望ましい。
【0031】
このような構成による本発明の医療用具は、低温プラズマ照射技術による基材へのラジカル生成によって、アニオン性ビニルモノマーを気相グラフト重合させており、基材ポリマーの機械的強度や特性をほとんど変性させることなく、多量に化学的官能基を導入することができ、しかも導入されたアニオン性グラフト層、カチオン性リンカー分子、および表面に固定された抗血栓性多糖類が、それぞれ多点接触型で強く静電的相互作用によって結合されているため、基材表面の抗血栓性および抗血液凝固性が長期に渡って持続するものである。
【0032】
本発明の医療用具としては、例えば人工心臓、血液ポンプ、血液回路などの血液接触材料を例示することができる。
【0033】
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0034】
【実施例1】
プラズマ照射技術によるポリカーボ
ネートへのアクリル酸グラフト分子鎖の導入
ポリカーボネートフィルム試験片(グッド フェロー社製, 厚み0.01mm)を、 PEARL KOGYO社製RP- 500高周波電源を使用してプラズマ照射(周波数13.56MHz, 入射電力30W, A rガス雰囲気下0.10to rr, 照射時間20se c)した。
【0035】
続いて、減圧下にある反応チャンバー(円筒縦型, φ45×140mm)中に、予め脱気されたアクリル酸蒸気を注入することにより、気相グラフト重合反応を1時間実施した。
【0036】
反応終了後、未反応のアクリル酸モノマーを除去するため、チャンバー内を真空吸引した後、フィルム表面は蒸留水にて洗浄し乾燥させた。これらの操作によるポリカーボネート表面へのアクリル酸のグラフト量は、およそ2.6×10ー3mg/cm2 であった。
【0037】
アクリル酸がグラフト重合されたポリ
カーボネートフィルムのヘパリン化反応
前記アクリル酸がグラフトされたポリカーボネートフィルムは、室温下にてポリエチレンイミンの(ポリサイエンス社製;分子量5〜10万)の0.1%水溶液(pH=9.0)に30分間浸漬させた後、蒸留水で3回洗浄し、乾燥させた。
【0038】
このポリエチレンイミンで被覆されたポリカーボネートフィルムは、ヘパリン(シグマ社製)を0.5mg/ml濃度で溶解させた生理食塩水と37℃で5時間反応させた後、蒸留水にて十分に洗浄し、デシケーター中にて表面を完全に乾燥させた。
【0039】
【比較例1】
一般的な酸化試薬を用いた基材処理およびヘパリン化
ポリカーボネートフィルム試験片を2g/lの過マンガン酸カリウムを含有する濃硫酸に2分間浸漬させることにより、フィルム表面に硫酸基を付加させた。
【0040】
フィルムは蒸留水で洗浄した後、実施例1と同様に、ポリエチレンイミンをリンカー分子に用いてヘパリンと反応させた。
【0041】
【比較例2】
セリウムイオン技術を用いた基材処理およびヘパリン化
ポリカーボネートフィルム試験片は、アルゴンガスの気流下で10%の過硫酸カリウム水溶液に70℃で30分間浸漬させた後、蒸留水で洗浄し乾燥させた。
【0042】
続いて、予め脱気させた40%のアクリル酸, 6mMの硝酸アンモニウムセリウム( IV)、 および0.06Mの硝酸よりなる混合液に、アルゴンガスの気流下で、フィルムを30℃で20分間反応させた。反応後、フィルムは0.05Mの酒石酸ナトリウム水溶液に浸漬させた後、蒸留水で洗浄した。
【0043】
1−エチル−3−ジメチルアミドプロピルカルボジイミドを使用して、このアクリル酸がグラフトされたフィルムにポリエチレンイミンを共有結合させた点を除けば、フィルムを実施例2と同様に、ポリエチレンイミンをリンカー分子に用いてヘパリンと反応させた。
【0044】
【評価1】
上記実施例1品と比較例1、2品にコーティングしたヘパリンについて以下の評価を行った。
【0045】
XPSによる固定化ヘパリンの検出
グラフトされたアクリル酸およびリンカー分子であるポリエチレンイミンを介して、ポリカーボネート基材上に固定されたヘパリンの存在を確認するため、本発明により得られたポリカーボネートフィルムの表面をX線光電子分光分析(XPS)により解析した。
【0046】
実施例品および比較例品の結果を図2に示す。
【0047】
ヘパリンは硫酸化部位を有するため、これに由来する硫黄元素を検出することによって、ヘパリンが基材の表面に固定されたことを確認できる。
【0048】
図2に示すように、実施例1品のフィルム表面は、比較例品と比べ2倍以上の0.04以上の高い硫黄含量を有することが確認された。
【0049】
すなわち、実施例1品は比較例よりもヘパリンの固定密度(量)が多いことを意味する。
【0050】
これらの相違は、実施例1品、比較例1、2品のいずれも、リンカー分子とヘパリンとの結合は同条件を用いて反応させていることから、ポリカーボネート基材への官能基の導入方法、導入量、および導入された官能基とリンカー分子の結合の相違のみによって生じたものである。
【0051】
したがって、プラズマ照射技術を用いたアクリル酸のグラフト分子鎖構造を有する本発明のヘパリン化方法は、硫黄含有量から明かであるように、ヘパリンの表面被覆率が最も高いことから、ヘパリンを高分子表面に固定するための最も優れた手法である。
【0052】
【評価2】
ヘパリン化ポリカーボネートフィルムの溶出試験
表面に固定化されたヘパリンの溶出特性および生理活性の持続安定性を確認するため、ヘパリン化ポリカーボネートフィルム片(表面積;10×10mm)は、50mlの生理食塩水あるいは牛血漿中において、37℃で6時間攪拌された。攪拌後、フィルムは蒸留水で十分に洗浄し乾燥させた。
【0053】
生理活性型ヘパリン固定量の定量
ポリカーボネートフィルム表面上に固定化されたヘパリンの結合量は、第一化学薬品(株)製「テストチーム ヘパリンS」キットを用いることにより、血液凝固系酵素である第Xa 因子の活性阻害を指標として算出した。実施例および比較例の結果を表1に示す。
【0054】
【表1】
Figure 0003834602
【0055】
表1に示すように、プラズマ照射技術を用いて基材処理を行った実施例1品のヘパリン化フィルムは、インキュベート前のヘパリン固定量(初期活性)が比較例と比べて高い値を示したばかりでなく、37℃で生理食塩水あるいは牛血漿に6時間接触させた後においても、高い抗血液凝固性を維持した。
【0056】
一方、比較例1、2品では、固定化されたヘパリンの生理活性が、経時的に著しく低下することが明白である。従って、これらヘパリン固定量および安定性の大きな相違は、リンカー分子を基材表面に架橋するための基材処理方法の違いのみによって現れたものであり、プラズマ照射技術を利用した本発明が、ヘパリン固定化の最も有効な手段であることが示された。
【0057】
【実施例2】
本発明の有効性をさらに確認するべく上記実施例1における装置や条件等を以下に変えた実施例を行った。
【0058】
・プラズマ装置:ULVAC製 RFS002高周波電源、MBX002A
マッチングボックス、AMC02Aオートマッチングコントローラのユニット・反応チャンバー:円筒横型、φ120×300mm
・(ヘパリン化条件は同一)
・入射電力:可変(20、30、50W)
・照射時間:10秒
この結果、坑血栓被膜の表面部分におけるXPSによる硫黄含量S2p/C1sが0.049で且つ坑ファクターXa活性による初期固定化量が40×10ー3IU/cm2 以上、安定性試験(6h)の生理食塩水、牛血漿ともに40×10ー3IU/cm2 以上であった。
【0059】
【発明の効果】
本発明によれば、血液接触材料表面に高密度、且つ高活性であって量、質とともに高位の抗血栓性多糖類を導入した高分子材料からなる医療用具を提供でき、高い抗血栓性および抗血液凝固性による著しく向上された耐久性を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の医療用具の構成を示すための表面部位断面の模式図である。
【図2】評価1の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 基体
2 アニオン性グラフト分子
3 リンカー分子
4 坑血栓性多糖類

Claims (2)

  1. 医療用具の基体をなす化学官能基の乏しい高分子材料の表面に、プラズマ照射によりラジカルを生成させた後、気相状態のモノマーからアニオン性モノマーをグラフト重合し、このグラフト層上にイオン結合により固定されたカオチン性高分子よりなるリンカー分子を介して血液接触表面をなす抗血栓性多糖類をコーティングすることにより抗血栓被膜を形成してなり、この抗血栓被膜の表面部分におけるXPSによる硫黄含量S2p/C1sが0.040以上で且つ抗ファクターXa活性による初期固定化量が40×10−3IU/cm 以上であることを特徴とする抗血栓性多糖類をコーティングした高分子材料からなる医療用具。
  2. ポリカーボネート基体の表面に、プラズマ照射によりラジカルを生成させた後、気相状態のモノマーからアニオン性モノマーをグラフト重合し、このグラフト層上にイオン結合により固定されたカオチン性高分子よりなるリンカー分子を介して血液接触表面をなす抗血栓性多糖類をコーティングすることにより抗血栓被膜を形成してなり、この抗血栓被膜の表面部分におけるXPSによる硫黄含量S2p/C1sが0.040以上で且つ抗ファクターXa活性による初期固定化量が40×10−3IU/cm 以上であることを特徴とする抗血栓性多糖類をコーティングしたポリカーボネートからなる血液循環ポンプ。
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