JP5504492B2 - 緊張材の軸力測定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、緊張材の軸力測定方法に関し、特に、地中に埋設され、ナットにより固定される緊張材の軸力測定方法に関する。
たとえば、地下空洞を利用した発電所において使用されるアンカーなど、地中に埋設される緊張材が従来から知られている。安全かつ長期的に構造物を利用するためには、維持管理手法を確立することが必要である。
特開2007−155475号公報(特許文献1)には、地中に埋設されたグランドアンカー(緊張材)の露出部分に磁歪センサを押し当てて磁歪測定を行ない、測定された磁歪値に基づいて、グランドアンカーに作用している緊張力を検出することが示されている。
特開2007−155475号公報
特許文献1では、磁歪法による検出電圧と緊張荷重との相関関係を予め求めておき、現地での磁歪測定により出力された電圧と、上記相関関係に関する情報とに基づいて、既設のグランドアンカーの緊張力を検出するとされている。
しかしながら、周辺岩盤の挙動によっては、グランドアンカーの緊張力が増大した後、この緊張力が減少することがある。上記緊張力が最大となった時に、上記露出部分の一部が塑性変形すると、その後、荷重が減少しても、歪は完全には戻り切らない。このため、緊張力が増大しつつある状態と、測定箇所が塑性変形するまで緊張力が増大した後にその緊張力が減少した状態とでは、磁歪測定の出力電圧が同じであっても、実際の緊張力(軸力)は異なる。
特許文献1に記載の緊張力検出方法では、このような事情が考慮されておらず、この方法では、現在の軸力を必ずしも正確に測定することができない。また、ナットの一部が塑性変形するまで軸力が増大した後に該軸力が減少した場合、過去に受けた最大荷重を検出することができない。
本発明は、上記のような課題に鑑みて為されたものであり、本発明の1つの目的は、緊張材が過去に受けた最大荷重を正確に測定することが可能な緊張材の軸力測定方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、緊張材に現在作用する正確な軸力を測定することが可能な緊張材の軸力測定方法を提供することにある。
本発明に係る緊張材の軸力測定方法は、地中に埋設され、ナットにより固定される緊張材の軸力測定方法である。
1つの局面では、上記の軸力測定方法は、ナットの側面における軸方向に並ぶ複数の測定箇所に磁歪センサを当接させて各々の測定箇所における磁歪センサの出力電圧を測定するステップと、複数の測定箇所における磁歪センサの出力電圧からなる曲線の形状に基づいて、緊張材の埋設後に該緊張材が受けた最大荷重を推定するステップとを備える。
1つの実施態様では、上記軸力測定方法において、最大荷重を推定するステップは、複数の測定箇所における磁歪センサの出力電圧がピークを示す位置に基づいて、上記最大荷重を推定することを含む。
1つの実施態様では、上記軸力測定方法において、複数の測定箇所における磁歪センサの出力電圧がナットの上側から地中側に向けて増加した後減少する場合には、複数の測定箇所における磁歪センサの出力電圧がナットの上側から地中側に向けて略単調増加する場合と比較して、上記最大荷重が相対的に高いことを検出する。なお、本願明細書において『ナットの上側』とは、地中側の逆側を意味する。
他の局面では、上記の軸力測定方法は、ナットに当接させた磁歪センサの出力電圧に基づいて緊張材が受ける荷重を推定するための複数の数式を準備するステップと、ナットの側面における軸方向に並ぶ複数の測定箇所に磁歪センサを当接させて各々の測定箇所における磁歪センサの出力電圧を測定するステップと、複数の測定箇所における磁歪センサの出力電圧からなる曲線の形状に基づいて、上記複数の数式のうちから、緊張材が受ける現在の荷重を推定するための数式を選定するステップと、複数の測定箇所における磁歪センサの出力電圧のうち少なくとも1つの出力電圧に基づいて、選定された上記数式から緊張材が受ける現在の荷重を推定するステップとを備える。
1つの実施態様では、上記軸力測定方法において、現在の荷重を推定するステップは、複数の測定箇所における磁歪センサの出力電圧がピークを示す位置と、複数の測定箇所における磁歪センサの出力電圧のうち少なくとも1つの出力電圧とに基づいて、現在の荷重を推定することを含む。
1つの実施態様では、上記軸力測定方法において、複数の測定箇所のうち、ナットの軸方向中心に最も近い測定箇所における磁歪センサの出力電圧に基づいて現在の荷重を推定する。
本発明によれば、1つの効果として、緊張材が過去に受けた最大荷重を正確に測定することが可能な緊張材の軸力測定方法を提供することができる。また、他の効果として、緊張材に現在作用する正確な軸力を測定することが可能な緊張材の軸力測定方法を提供することができる。
本発明の1つの実施の形態に係る地中アンカーの概略図である。 ナットに軸力を作用させた状態での磁歪センサによる計測結果を示す図(その1)である。 ナットに軸力を作用させた状態での磁歪センサによる計測結果を示す図(その2)である。 ナットに軸力を作用させた状態での磁歪センサによる計測結果を示す図(その3)である。 ナットに軸力を作用させた状態での磁歪センサによる計測結果を示す図(その4)である。 ナットに軸力を作用させた状態での磁歪センサによる計測結果を示す図(その5)である。 ナットに軸力を作用させた状態での磁歪センサによる計測結果を示す図(その6)である。 本発明の1つの実施の形態に係る緊張材の軸力測定方法における磁歪センサによる測定箇所を示す図である。 室内実験での各荷重状態におけるナットの各位置での磁歪センサによる計測結果を示す図(その1)である。 室内実験での各荷重状態におけるナットの各位置での磁歪センサによる計測結果を示す図(その2)である。 室内実験での各荷重状態におけるナットの各位置での磁歪センサによる計測結果を示す図(その3)である。 室内実験での各荷重状態におけるナットの各位置での磁歪センサによる計測結果を示す図(その4)である。 室内実験での各荷重状態におけるナットの各位置での磁歪センサによる計測結果を示す図(その5)である。 室内実験での各荷重状態におけるナットの各位置での磁歪センサによる計測結果を示す図(その6)である。 現地計測によるナットの各位置での磁歪センサによる計測結果を示す図(その1)である。 現地計測によるナットの各位置での磁歪センサによる計測結果を示す図(その2)である。 現地計測によるナットの各位置での磁歪センサによる計測結果を示す図(その3)である。 現地計測によるナットの各位置での磁歪センサによる計測結果を示す図(その4)である。 現地計測によるナットの各位置での磁歪センサによる計測結果を示す図(その5)である。 現地計測によるナットの各位置での磁歪センサによる計測結果を示す図(その6)である。 現地計測によるナットの各位置での磁歪センサによる計測結果を示す図(その7)である。 図15〜図21に示す計測結果を総合して示す図である。 ナット側面における電圧分布の特徴を模式的に示す図である。 本発明の1つの実施の形態に係る緊張材の軸力測定方法を示すフロー図(その1)である。 本発明の1つの実施の形態に係る緊張材の軸力測定方法を示すフロー図(その2)である。 本発明の1つの実施の形態に係る緊張材の軸力測定方法を示すフロー図(その3)である。
以下に、本発明の実施の形態について説明する。なお、同一または相当する部分に同一の参照符号を付し、その説明を繰返さない場合がある。
なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、以下の実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本発明にとって必ずしも必須のものではない。
本実施の形態に係る緊張材の軸力測定方法は、たとえば地中アンカーの軸力測定に適用されるものである。地中アンカーは、たとえば、地下空洞を利用した発電施設に用いられるものであり、地下発電所空洞の壁面から岩盤内に挿入されるものである。
図1は、本実施の形態に係る地中アンカーの概略図である。図1に示すように、地中アンカーは、軸力が作用する『緊張材』としてのケーブル1と、アンカープレート2と、ナット3とを含む。ケーブル1の一方端は、定着部4において岩盤に定着される。ケーブル1の他方端は、アンカープレート2に挿入されており、該他方端に、ナット3が螺着される。ケーブル1の上記他方端と、アンカープレート2と、ナット3とは、岩盤から露出している。
ケーブル1には、その軸方向の引張力(軸力)が導入される。この際、ナット3は、螺合関係にあるケーブル1から、図1中右側に向かう力を受け、その反力として、アンカープレート2から図1中左側に向かう力を受ける。この結果、ナット3には、圧縮応力が作用する。ここで、ケーブル1の軸力が増大すると、これに対応して、ナット3の圧縮応力も増大する。本実施の形態に係る軸力測定方法は、この性質を利用して、岩盤に埋設された既設のケーブル1の軸力を測定するものである。すなわち、本実施の形態に係る軸力測定方法は、ケーブル1の軸力とナット3に生じる圧縮応力との相関関係を予め求めた上で、磁気ひずみ応力測定法(磁歪法)を用いて現地にてナット3の応力を測定し、その測定結果と上記相関関係とに基づいて、ケーブル1の現在の軸力等を推定するものである。なお、本願発明者は、予めナット3の残留応力測定を行ない、アンカープレート2等と比較して、製品ごとのばらつきの割合が比較的低く、ケーブル1の軸力を推定するための計測対象として適していることを確認している。
また、上記磁歪法は、検出コイルが巻回されたプローブをナット3に当接させ、磁化電流を流し、応力によって誘起された磁気異方性のために磁位が変化することで検出コイルに生じる電圧を検出し、その検出された電圧を換算して応力を求めるものであるが、磁歪法自体は、一般に広く知られた方法であるので、その方法およびそれに用いる装置についての詳細な説明は省略する。
次に、ケーブル1の軸力とナット3に生じる圧縮応力との相関関係の求め方の一例について説明する。
本願発明者は、実験室内において、ケーブルおよびアンカープレートからナットに作用する圧縮荷重の大きさを順次変化させながら、各々の大きさの荷重ごとに、ナットにおける複数(ここでは6つ)の側面における所定の測定箇所(ここでは側面の中心)で磁歪計測を行なった。ここでは、表1に示すように、同タイプの6つのナットA〜Fに対し、異なる3パターンの荷重変動を与えて、磁歪計測を行なった。図2〜図7は、この計測結果を示す図である。
Figure 0005504492
なお、図2〜図7は、それぞれ、ナットA〜Fの計測結果を示すものであり、図2〜図7において、『Face1』〜『Face6』は、ナットの6つの側面における各々の計測結果を示すものであり、『Ave』は、6つの側面における計測結果の平均を示すものである。
図2〜図7に示すように、上記計測結果は、手作業によるバラつきや各ナットの特性のバラつきに起因する若干のガタつきを有するものの、各ナットの『Ave』曲線を見れば、ほぼ安定した計測結果が得られていることが分かる。
また、図2〜図7に示すように、ナットに作用する荷重を増大させると、それに応じて磁歪センサにより計測される電圧も変化(ここでは減少)するが、その後荷重を減少させたとき、磁歪センサにより計測される電圧は、完全には元に戻らない。すなわち、図2〜図7に示す曲線は、荷重が増加する状態(本願明細書では、『載荷状態』と称する。)と、一旦増加した荷重が減少する状態(本願明細書では、『除荷状態』と称する。)とで、荷重(kN)−電圧(V)曲線が、異なる形状を有している。なお、図2〜図7における右上側の曲線が、載荷状態における曲線であり、図2〜図7における左下側に位置する曲線が、除荷状態における曲線である。
このように、ケーブルが載荷状態にあるか除荷状態にあるかで、ケーブルの軸力(kN)と磁歪センサの出力電圧(V)との相関関係が異なる。したがって、磁歪センサの出力電圧が同じであっても、ケーブルが載荷状態にある場合と除荷状態にある場合とで、推定されるべきケーブルの軸力は異なる。他方、ケーブルの現在の軸力が同じでも、そのケーブルが載荷状態にある場合と除荷状態にある場合とで、磁歪センサの出力電圧は異なる。さらに、後述のとおり、除荷状態に続く2回目以降の載荷状態では、1回目の載荷状態とは異なる傾向が示される。従って、ケーブルの荷重履歴を把握しなければ、磁歪センサの出力電圧から現在の荷重を必ずしも正確に推定することはできない。
上記のような現象は、ナットに作用する荷重が一定値以上に増大したときに、ナットの一部が塑性変形するためであると考えられる。塑性変形した部分は、その後に荷重が減少しても、歪は完全には元に戻らないから、除荷状態における荷重(kN)−電圧(V)曲線は、載荷状態における荷重(kN)−電圧(V)曲線と異なる形状となる。
なお、本願発明者は、図2〜図7に示す計測結果、および、その他の幾つかの計測結果に基づいて、1回目の載荷状態における荷重(kN)−電圧(V)の一例を求めた。この一例では、荷重(kN)を『y』、電圧(V)を『x』として、
y=892.33x4+1603.1x3+223.88x2−1215.8x+137.57・・・(1)
となる。除荷状態における曲線についても、載荷状態の場合と同様に、図2〜図7に示す計測結果等から求めることができる。
次に、図8を用いて、本実施の形態に係るケーブルの軸力測定方法における磁歪センサによる測定箇所について説明する。本実施の形態に係る軸力測定方法は、図8に示すように、ナット3の軸方向に複数設けた測定箇所において磁歪測定を行なうことを特徴とするものである。図8に示すように、本実施の形態では、『1』〜『5』の5つの測定箇所において磁歪測定を行なう。なお、図8において、『3』の測定箇所は、ナット3の側面の中心に位置し、『2』および『4』の測定箇所は、『3』の測定箇所からそれぞれ5mmずつ軸方向にシフトした位置にあり、『1』および『5』の測定箇所は、『2』および『4』の測定箇所からそれぞれ5mmずつ軸方向にシフトした位置にある。これにより、ナット3の軸方向に5mmずつ離れた5つの測定箇所が設定される。
なお、図8の例では、図8における下側が、アンカープレートに近い側(地中側)である。すなわち、図8の例では、『1』の測定箇所が岩盤から最も遠い測定箇所であり、『5』の測定箇所が岩盤に最も近い測定箇所である。
本願発明者は、実験室内において、ケーブルおよびアンカープレートからナットに作用する圧縮荷重の大きさを順次変化させながら、各々の大きさの荷重ごとに、ナットにおける上記複数(ここでは5つ)の測定箇所で磁歪計測を行なった。ここでは、表2に示すように、同タイプの6つのナットG〜Lに対し、異なる3パターンの荷重変動を与えて、磁歪計測を行なった。図9〜図14は、この計測結果を示す図である。
Figure 0005504492
なお、図9〜図14は、それぞれ、ナットG〜Lの計測結果を示すものであり、図9〜図14において、『Load』および『Unload』は、それぞれ、載荷状態および除荷状態を示すものであり、『0kN』,『294kN』,・・・・,『980kN』は、それぞれ、ナットに作用する荷重の大きさを示すものであり、『1st』および『2nd』は、それぞれ、1回目および2回目の載荷状態/除荷状態であることを示すものである。
図9〜図14に示す計測結果から分かるように、1回目の載荷状態で、荷重がさほど大きくない場合(具体的には『(1st)Load−294kN』の場合)は、『1』から『5』の測定箇所に向けて、電圧が略単調減少(すなわち、応力が略単調増加)する傾向にある。しかし、荷重が一定以上増大した場合(具体的には『(1st)Load−686kN』等の場合)は、電圧分布にピーク値が生じ、アンカープレートに近い『5』の測定箇所の周辺で塑性変形が生じていることが分かる。この傾向は、さらに荷重を増大させた場合(具体的には『(1st)Load−784kN』等の場合)も維持され、さらに、一旦除荷した後、再度載荷状態となって荷重がさほど大きくない場合(具体的には、図11〜図14に示す『2ndLoad−294kN』の場合)にも維持される。
また、図9,図10に示す結果と、図11〜図14に示す結果とを比較すると、図9,図10の『Unload−0kN』の形状は、図11〜図14に示す『1stUnload−0kN』の形状に対しては、その傾向が必ずしも一致しないが、同じく図11〜図14に示す『2ndUnload−0kN』の形状に対しては、その傾向がよく一致する。図9,図10の例では、最大荷重が980kNであるのに対し、図11〜図14の例では、1回目の載荷の最大荷重が686kNまたは784kNであり、2回目の載荷の最大荷重が980kNである。この結果から、載荷/除荷の回数に関わらず、過去に受けた最大荷重の大きさにより、除荷された状態での電圧分布曲線の形状の傾向が決定されることが分かる。
このように、軸方向に複数の測定箇所を設けて、磁歪センサによる出力電圧の分布曲線を分析することで、ケーブルに作用する荷重履歴(特に、これまでに受けた最大荷重)を知ることができる。この結果、磁歪センサの出力電圧(ここでは、ナット側面の中心に位置する『3』の測定結果)と、上記図2〜図7に示す実験結果等から算出された荷重(kN)−電圧(V)の相関関係とに基づいて、ケーブルの軸力を推定することが可能である。
本願発明者は、現地計測により、複数(ここでは7つ)のアンカーに設けられたナットにおける上記複数(ここでは5つ)の測定箇所で磁歪計測を行なった。
なお、図15〜図21は、それぞれ、アンカー『ア』〜『キ』の計測結果を示すものであり、図15〜図21において、『Face1』〜『Face6』は、ナットの6つの側面における各々の計測結果を示すものであり、『Ave』は、6つの側面における計測結果の平均を示すものである。さらに、図22は、図15〜図21に示す計測結果(『Ave』曲線)を総合して示す図である。
図15〜図17を参照(併せて図22を参照)して、アンカー『ア』〜『ウ』については、『5』の測定箇所において出力電圧の絶対値が大きく低下しており、施工時に対して荷重が増大し、アンカープレート側でナットの一部が塑性変形していることが分かる。
図18,図19を参照(併せて図22を参照)して、アンカー『エ』,『オ』については、アンカー『ア』〜『ウ』(図15〜図17)と比較して、『5』の測定箇所における出力電圧の絶対値の低下量が小さく、アンカー『ア』〜『ウ』と比較して、アンカー『エ』,『オ』では、施工時からの荷重の増加はさほど大きくないことが分かる。
図20を参照(併せて図22を参照)して、アンカー『カ』については、出力電圧の絶対値が全体的に低いが、やはり、『5』の測定箇所において出力電圧の絶対値が低下しているため、施工時に対して荷重がやや増加していると考えられる。
図21を参照(併せて図22を参照)して、アンカー『キ』については、ナットの6面における電圧値のばらつきが大きいが、6面の平均値は、ナットの軸方向全体に亘って低い絶対値を示しているため、施工時から一貫して低荷重であったと考えられる。なお、図21において、ナットの6面における電圧値のばらつきが大きいのは、ケーブルの軸方向とアンカープレートとが直角に設けられていない等の境界条件によるものであると考えられる。6面における測定を行なうことにより、このような境界条件に起因する測定誤差を低減することが可能である。
上述のように、アンカー『ア』〜『キ』は、それぞれ異なる状態に置かれていることが分かるが、いずれの場合も、上述した式(1)によりケーブルの軸力を推定することが可能な範囲であると考えられる。式(1)のxに、アンカー『ア』〜『キ』の『3』の測定箇所の出力電圧を代入して求めた推定荷重を表3に示す。また、本願発明者は、この推定荷重の妥当性を検討するため、現地において、アンカー『エ』,『オ』,『キ』のリフトオフ荷重を求めたので、併せて表3に示す。なお、リフトオフ荷重とは、現地において、ジャッキを用いてアンカーのケーブルを引張り、ナットがアンカープレートから離れ始めたときの荷重であり、ケーブルに現在作用する実際の荷重に相当するものである。
Figure 0005504492
表3を参照して、アンカー『エ』,『オ』,『キ』のいずれの場合も、上述した推定荷重と実際に測定されたリフトオフ荷重とがよく一致する。これにより、上記軸力推定方法の妥当性が示される。
図23は、ナット側面における電圧分布の特徴を模式的に示す図である。図23を用いて、上述した内容を総括的に説明する。
図23において、曲線Aは、ケーブルが大きな荷重を受けたことがない場合の電圧の典型的な分布を示すものであり、領域A0は、大きな荷重を受けたことがない場合の電圧の分布領域を示すものである。同じく、曲線Bは、曲線Aの場合と比較して、ケーブルに作用する荷重が増加している場合(載荷状態にある場合)の電圧分布を示すものである。同じく、曲線Cは、ケーブルに作用する荷重が一定値(たとえば588kN)以上に達し、ナット下部(アンカープレートに近い部分)から局所的に塑性化が始まった段階の電圧分布を示すものであり、点C0は、局所的な塑性化が始まった後に現れる電圧分布のピークポイントを示すものである。同じく、曲線Dは、ケーブルに作用する荷重がさらに増加し、電圧分布のピーク(点D0)が曲線Cの場合と比較して左(ナット上側)に移行している段階の電圧分布を示すものである。同じく、曲線Eは、過去に大きな荷重を受け、その後除荷された時の電圧分布を示すものである。曲線Eは、電圧分布のピーク(点E0)がナット上部に位置し、ナット下部の電圧が大きいという特徴を有する。
図23に示すように、ケーブルに作用する荷重が比較的小さい時(曲線B)は、電圧分布は所謂三角形分布となる。荷重が一定値以上になると、ナット下部から塑性化が始まり、電圧分布にピークが現れる(曲線C)。その後、荷重が増加すると、ピークの位置がナット上側に移動し、それより下側の部分の電圧の絶対値は小さくなる(曲線D)。その状態から除荷されると、ピークの位置は若干ナット上側に移動しながら、それより下側の部分の電圧が大きくプラス側に移行する(曲線E)。
このように、本実施の形態では、磁歪センサの出力電圧がピークを示す位置に基づいて、最大荷重を推定している。
また、本実施の形態では、複数の測定箇所における磁歪センサの出力電圧がナットの上側から地中側に向けて増加した後に減少する場合(図23におけるC,D,Eの場合)に、複数の測定箇所における磁歪センサの出力電圧がナットの上側から地中側に向けて略単調増加する場合(図23におけるBの場合)と比較して、ケーブルが過去に受けた最大荷重が相対的に高いことを検出している。
また、本実施の形態では、複数の測定箇所における磁歪センサの出力電圧がピークを示す位置(図23におけるC0,D0,E0)と、複数の測定箇所における磁歪センサの出力電圧のうち1つの出力電圧(図8における『3』における出力電圧)とに基づいて、現在の荷重を推定している。
以上に詳述したように、本願発明者の検討により、磁歪センサの出力電圧分布の特徴と、ケーブルが受ける現在の荷重および過去に受けた最大荷重との間に相関関係があることが判明したため、リフトオフ荷重を求められなかったアンカー等についても、より詳細な検討を行なうことができることが判明した。この軸力測定方法を用いることにより、数多くのアンカーについて計測を行なうことができるので、その結果を総合的に分析することで、周辺岩盤の挙動をより詳細に把握し、地下空洞全体の安全管理に資することができる。
上述した内容について要約すると、以下のようになる。すなわち、本実施の形態に係る軸力測定方法は、地中に埋設され、ナット3により固定されるケーブル1(緊張材)の軸力測定方法であって、1つの例としては、図24に示すように、過去に受けた最大荷重を推定する(S12)ものであり、他の例としては、図25に示すように、現在の軸力を推定する(S22)ものであり、さらに他の例としては、図26に示すように、過去に受けた最大荷重および現在の軸力の両方を推定する(S32)ものである。
すなわち、図24に示す例は、ナット3の側面における軸方向に並ぶ複数の測定箇所(たとえば図8に示す5箇所)に磁歪センサを当接させて各々の測定箇所における磁歪センサの出力電圧を測定するステップ(S11)と、複数の測定箇所における磁歪センサの出力電圧からなる曲線の形状(たとえば図15〜図21に示す曲線の形状)に基づいて、ケーブル1の埋設後に該ケーブル1が受けた最大荷重を推定するステップ(S12)とを備える。
また、図25に示す例は、ナット3の側面における軸方向に並ぶ複数の測定箇所(たとえば図8に示す5箇所)に磁歪センサを当接させて各々の測定箇所における磁歪センサの出力電圧を測定するステップ(S21)と、複数の測定箇所における磁歪センサの出力電圧からなる曲線の形状(たとえば図15〜図21に示す曲線の形状)と、複数の測定箇所における磁歪センサの出力電圧のうち1つの出力電圧(たとえば図8に示す『3』における出力電圧)とに基づいて、ケーブル1が受ける現在の荷重を推定するステップとを備える。
また、図26に示す例は、ナット3の側面における軸方向に並ぶ複数の測定箇所(たとえば図8に示す5箇所)に磁歪センサを当接させて各々の測定箇所における磁歪センサの出力電圧を測定するステップ(S31)と、複数の測定箇所における磁歪センサの出力電圧からなる曲線の形状(たとえば図15〜図21に示す曲線の形状)に基づいて、ケーブル1の埋設後に該ケーブル1が受けた最大荷重を推定するとともに、複数の測定箇所における磁歪センサの出力電圧からなる曲線の形状(たとえば図15〜図21に示す曲線の形状)と、複数の測定箇所における磁歪センサの出力電圧のうち1つの出力電圧(たとえば図8に示す『3』における出力電圧)とに基づいて、ケーブル1が受ける現在の荷重を推定するステップ(S32)とを備える。
なお、ケーブルが受ける現在の荷重を推定する際に参照する磁歪センサの出力電圧は必ずしも1つである必要はなく、2箇所以上の測定箇所における磁歪センサの出力電圧に基づいて現在の荷重を推定してもよい。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 ケーブル、2 アンカープレート、3 ナット、4 定着部。

Claims (6)

  1. 地中に埋設され、ナットにより固定される緊張材の軸力測定方法であって、
    前記ナットの側面における軸方向に並ぶ複数の測定箇所に磁歪センサを当接させて各々の前記測定箇所における前記磁歪センサの出力電圧を測定するステップと、
    前記複数の測定箇所における前記磁歪センサの出力電圧からなる曲線の形状に基づいて、前記緊張材の埋設後に該緊張材が受けた最大荷重を推定するステップとを備えた、緊張材の軸力測定方法。
  2. 前記最大荷重を推定するステップは、前記複数の測定箇所における前記磁歪センサの出力電圧がピークを示す位置に基づいて、前記最大荷重を推定することを含む、請求項1に記載の緊張材の軸力測定方法。
  3. 前記複数の測定箇所における前記磁歪センサの出力電圧が前記ナットの上側から地中側に向けて増加した後減少する場合には、前記複数の測定箇所における前記磁歪センサの出力電圧が前記ナットの上側から地中側に向けて略単調増加する場合と比較して、前記最大荷重が相対的に高いことを検出する、請求項2に記載の緊張材の軸力測定方法。
  4. 地中に埋設され、ナットにより固定される緊張材の軸力測定方法であって
    前記ナットに当接させた磁歪センサの出力電圧に基づいて前記緊張材が受ける荷重を推定するための複数の数式を準備するステップと、
    前記ナットの側面における軸方向に並ぶ複数の測定箇所に前記磁歪センサを当接させて各々の前記測定箇所における前記磁歪センサの出力電圧を測定するステップと、
    前記複数の測定箇所における前記磁歪センサの出力電圧からなる曲線の形状に基づいて、前記複数の数式のうちから、前記緊張材が受ける現在の荷重を推定するための数式を選定するステップと、
    前記複数の測定箇所における前記磁歪センサの出力電圧のうち少なくとも1つの出力電圧に基づいて、選定された前記数式から前記緊張材が受ける現在の荷重を推定するステップとを備えた、緊張材の軸力測定方法。
  5. 前記現在の荷重を推定するステップは、前記複数の測定箇所における前記磁歪センサの出力電圧がピークを示す位置と、前記複数の測定箇所における前記磁歪センサの出力電圧のうち少なくとも1つの出力電圧とに基づいて、前記現在の荷重を推定することを含む、請求項4に記載の緊張材の軸力測定方法。
  6. 前記複数の測定箇所のうち、前記ナットの軸方向中心に最も近い測定箇所における前記磁歪センサの出力電圧に基づいて前記現在の荷重を推定する、請求項5に記載の緊張材の軸力測定方法。
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