JP5502648B2 - 臭素系難燃剤の判定方法およびプログラム - Google Patents
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Description
本発明の実施形態は、臭素系難燃剤の判定方法およびプログラムに関する。
電子機器、電気機器に含まれる有害物質の使用量は、RoHS指令(Restriction on Hazardous Substances、電気・電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限指令)によって規定されている。
臭素系難燃剤のポリブロモビフェニル(Polybromo Biphenyl,PBB)は、RoHS指令の規制対象物質であるため、現在、日本国内で製造されている電子機器にはほぼ使用されていない。一方、規制対象外物質であるテトラブロモビスフェノール A−2、3−ジブロモプロピルエーテル(TBBPA)は、PBBに代わる臭素系難燃剤として電子機器等の製品に広く使用されている。工場で製造された電子機器は、出荷前にRoHS指令の規制対象物質が含まれていないか測定する必要があるが、PBBとTBBPAは質量数が非常に近似しているため、簡易的な分析手法では識別が難しいとされている。
従来、PBBとTBBPAとを識別するには、RoHS指令により規定されている、ガスクロマトグラフ質量分析法(GC/MS)(特許文献1参照)、または、液体クロマトグラフ質量分析法(LC/MS)(特許文献2参照)による測定が用いられている。これらのGC/MS測定、LC/MS測定では、規制対象物質を高い精度で定量的に検出できるが、一方で、試料を有機溶剤で溶解しなければならない等、試料の前処理が煩雑であり、検査時間および検査コストがかかってしまう。従って、全品検査に用いるスクリーニング検査としては不向きであるといえる。
そこで近年、スクリーニング検査に用いる測定方法として、イオン付着質量分析法(Ion Attachment Mass Spectroscopy、IAMS)による検査測定が注目されている(特許文献3参照)。IAMS測定では、試料の溶解等の煩雑な前処理は不要であり、固体のサンプルをそのまま測定に用いることができるため、GC/MS測定やLC/MS測定に比べて検査時間および検査コストを抑えることが可能である。ただし、IAMS測定はRoHS指令により定められた最終検査方法ではないため、PBBが検出された場合には、RoHS指令により最終検査方法として定められたGC/MS測定やLC/MS測定によって再度精密に検査する必要がある。しかしながらTBBPAが検出された場合には、LoHS規制をクリアしているとして検査に合格したと判定することができるので、基準を満たしている製品の合格判定を効率的に行うことができる。
IAMS測定では、広範囲の質量数に亘ってイオンの検出を行うスキャン測定が行われる。スキャン測定においてPBBの質量数近傍でピークが検出された場合には、高分解能モードであるプロファイル測定や、質量数の範囲を制限して高分解能モードで測定を行うSIM(Selected Ion Monitoring)測定が行われる。
しかしながら、IAMS測定によってPBBとTBBPAとを識別する場合には、スキャン測定を行った後に、SIM測定またはプロファイル測定を行わなければならず、測定が2段階となり検査作業が煩雑となり、検査に時間がかかるという課題がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、RoHS規制対象物質であるPBBとRoHS規制対象物質ではないTBBPAとを、簡便かつ迅速に識別することのできる臭素系難燃剤の判定方法およびプログラムを提供することを目的とする。
実施形態の臭素系難燃剤の判定方法は、イオン付着型質量分析装置で得られたデータを解析するデータ解析装置で実行される臭素系難燃剤の判定方法であって、第1判定工程と判定工程とを含む。第1判定工程では、第1判定手段が、第1の質量数におけるピーク強度に対する、第2の質量数におけるピーク強度の比である第1ピーク強度比が、第1の範囲内であるか否かを判定する。判定工程では、判定手段が、前記第1ピーク強度比が前記第1の範囲内である場合に、被検査体であるサンプルは規制対象ではない臭素系難燃剤を含んでいると判定する。
また、実施形態のプログラムは、イオン付着型質量分析装置で得られたデータを解析するコンピュータを、第1判定手段と、判定手段として機能させる。第1判定手段は、第1の質量数におけるピーク強度に対する、第2の質量数におけるピーク強度の比である第1ピーク強度比が、第1の範囲内であるか否かを判定する。判定手段は、前記第1ピーク強度比が前記第1の範囲内である場合に、被検査体であるサンプルは規制対象ではない臭素系難燃剤を含んでいると判定する。
<質量分析装置>
図1は、本実施の形態にかかるイオン付着質量分析装置1(以降では、質量分析装置1と称する)の構成を示す概略図である。図1に示すように、質量分析装置1には、イオン化室2と、質量分析室4と、イオン化室2と質量分析室4との間に設けられた差動排気室3とが設けられている。イオン化室2と差動排気室3との間は仕切り板5で仕切られており、差動排気室3と質量分析室4との間は仕切り板6で仕切られている。また、仕切り板5、6の中心部には開孔部7、8が設けられており、この開孔部7、8を通して検出ガスが各室間を移動できるようになっている。
図1は、本実施の形態にかかるイオン付着質量分析装置1(以降では、質量分析装置1と称する)の構成を示す概略図である。図1に示すように、質量分析装置1には、イオン化室2と、質量分析室4と、イオン化室2と質量分析室4との間に設けられた差動排気室3とが設けられている。イオン化室2と差動排気室3との間は仕切り板5で仕切られており、差動排気室3と質量分析室4との間は仕切り板6で仕切られている。また、仕切り板5、6の中心部には開孔部7、8が設けられており、この開孔部7、8を通して検出ガスが各室間を移動できるようになっている。
差動排気室3および質量分析室4には、ターボ分子ポンプ等の真空ポンプ16が接続されており、ゲートバルブを調整するなどして、各室内の圧力が所定の圧力となるまで各室内のガスを排気する。具体例としては、質量分析室4は10−3Paまで排気され、差動排気室3は、0.1Pa〜1Pa程度まで排気される。
差動排気室3は、10Pa〜1000Paであるイオン化室2の空間と、1×10−3Pa以下である高真空の質量分析室4の空間とを接続または遮断するために設けられている。真空ポンプ16で差動排気室3内のガスを排気すると、開孔部7を介してイオン化室2も排気され、これによりイオン化室2の圧力が100Pa程度まで減少する。これにより、イオン化室2と差動排気室3との間に圧力差が生じ、イオン化室2内のガスは差動排気室3内に流出することとなる。
イオン化室2には、試料容器10を保持するためのダイレクトプローブ9が接続されている。試料容器10には、分析試料、または、被検出物質に応じた分析標準試料(以降、特に限定しない場合にはともに試料と称する)を収容することができる。
図2は、ダイレクトプローブ9の先端部を拡大した概略図である。図2に示すように、ダイレクトプローブ9には複数の試料容器10を設置することが可能となっており、1つの試料の分析が終了した後に、ダイレクトプローブ9を所定の距離だけスライドして、別の試料の分析を続けて行うことができる。分析する試料は試料容器10には収まるサイズにカットして試料容器10に入れればよく、酸性溶液に溶解させるなどの煩雑な前処理は不要である。
また、ダイレクトプローブ9は、イオン化室2に対して抜き差し可能に設けられてあり、試料をセッティングする場合にはダイレクトプローブ9をイオン化室2から引き出して試料容器10に試料を載置し、その後ダイレクトプローブ9をイオン化室2内に差し込んでから真空ポンプ16を稼動させて真空引きを行う。これにより、イオン化室2を大気に暴露することなく試料のセッティングができ、イオン化室2やその他の室内の真空度を高く保つことができる。
図1に示すように、イオン化室2は、試料容器10を加熱する加熱機構11を備えている。加熱機構11としては、例えば、赤外ランプや赤外レーザ等を用いることができる。加熱機構11によって試料が加熱されると、試料の成分が気化し、成分に応じたガスが試料から発生する。
また、イオン化室2には、イオンエミッタ12が設けられており、イオンエミッタ12の近傍には、イオンエミッタ12を加熱するためのフィラメント13が設けられている。フィラメント13に電流が流されて温度が上昇し、イオンエミッタ12が加熱されると、イオンエミッタ12から金属イオン(例えば、リチウムイオン(Li+))がイオン化室2内に放出される。
尚、イオンエミッタ12が放出する金属イオンはLi+に限定されるものではなく、その他の例としては、カリウムイオン(K+)、ナトリウムイオン(Na+)、ルビジウムイオン(Rb+)、セシウムイオン(Cs+)、アルミニウムイオン(Al+)、ガリウムイオン(Ga+)、インジウムイオン(In+)等が放出されるとしてもよい。
そして、放出された金属イオンは試料から発生したガスに付着し、イオン化検出ガス(荷電粒子)となる。金属イオンが付着した分析試料の成分は、電荷を帯びた荷電粒子として、イオンエミッタ12から水平方向に放出され、質量分析室4内に進行する。
質量分析室4は、質量分析計15を備えている。図1では質量分析計15として四重極型(Qポール型)の質量分析計を示しているが、質量分析計15のタイプはこれに限定されるものではなく、磁場偏向型、飛行時間型(TOF)など、その他のタイプの質量分析計を用いるとしてもよい。質量分析計15は、質量分析室4内に飛来した荷電粒子(イオン化検出ガス)について、質量数ごとの検出強度を検出する。
本実施形態の質量分析装置1は、質量分析装置1で測定されたマススペクトルの解析を行うデータ解析装置20を備えている。
図3は、データ解析装置20の構成を示すブロック図である。データ解析装置20は、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。図3に示すように、データ解析装置20は、CPU31などの制御装置と、ROM(Read Only Memory)32やRAM33などの記憶装置と、HDD34、CDドライブ装置35などの外部記憶装置と、ディスプレイ装置36などの表示装置と、キーボード37やマウス38などの入力装置と、各種インタフェース(I/F)39とを主に備えており、これらがバス40を介して接続されている。
また、データ解析装置20は、I/F39を介して、質量分析装置1の真空ポンプ16、ゲートバルブ(不図示)、加熱機構11、イオンエミッタ12、フィラメント13、開孔部7,8、静電レンズ14、質量分析計15等と接続されており、これらを制御する制御装置としても機能する。
尚、データ解析装置20と制御装置とは別に設けるとしてもよい。例えば、質量分析装置1に接続される制御装置とは別に、一般的なパーソナルコンピュータをデータ解析装置20として用いるとしてもよい。この場合、データ解析装置20と質量分析装置1とは接続されていなくてもよく、質量分析装置1で測定されたスペクトルデータを記憶媒体やLAN等の通信回線等によってデータ解析装置20のHDD等にコピーして、データ解析および本実施の形態の判定工程を行うとしてもよい。
<臭素系難燃剤の判定方法>
(1)PBBおよびTBBPAのスペクトルパターンにおけるピーク強度比の相違
次に、本実施の形態にかかる臭素系難燃剤の判定方法の根拠となる、PBBおよびTBBPAのスペクトルパターンの解析結果について説明する。発明者らは、スペクトルパターンによってPBBとTBBPAとを識別するために、臭素(Br)の同位体である79Brの天然存在比(0.5069)および81Brの天然存在比(0.4931)に基づいて、IAMS測定のスキャン測定で得られるスペクトルパターンを理論的に計算した。
(1)PBBおよびTBBPAのスペクトルパターンにおけるピーク強度比の相違
次に、本実施の形態にかかる臭素系難燃剤の判定方法の根拠となる、PBBおよびTBBPAのスペクトルパターンの解析結果について説明する。発明者らは、スペクトルパターンによってPBBとTBBPAとを識別するために、臭素(Br)の同位体である79Brの天然存在比(0.5069)および81Brの天然存在比(0.4931)に基づいて、IAMS測定のスキャン測定で得られるスペクトルパターンを理論的に計算した。
図4は、PBBの一例として、Deca−BBについて理論的に計算されたIAMSのスペクトルパターンである。また、図5は、TBBPAについて理論的に計算されたIAMSのスペクトルパターンである。図4および図5では、質量数が950m/zのピーク強度を1として他のピークのピーク強度比を各質量数に対してプロットしている。
図4および図5に示すように、計算の結果、PBBとTBBPAのスペクトルパターンは互いに異なる形状となることが判明した。例えば、図4および図5に示すように、PBBとTBBPAとでは、質量数950m/zのピーク強度に対する質量数951m/zのピーク強度の強度比が互いに異なっている。また、PBBとTBBPAとでは、質量数953m/zのピーク強度に対する質量数954m/zのピーク強度の強度比が互いに異なっている。
図6は、PBBまたはTBBPAを含む物質について、質量数950m/zのピーク強度を1として他のピークのピーク強度比を各質量数に対してプロットしたグラフである。PBB(PS)は、ポリスチロール(PS)樹脂に所定量のPBBを混合して作製したサンプルであり、PBB(PE)は、ポリエチレン(PE)樹脂に所定量のPBBを混合して作製したサンプルである。同様に、TBBPA(PS)、TBBPA(PE)は、PS樹脂、PE樹脂にそれぞれ所定量のTBBPAを混合して作製したサンプルである。
図6に示すように、質量数が948m/z、950m/z、952m/z、954m/zでは、PBBとTBBPAとの間でピーク強度比の差はそれほどない。他方、質量数949m/z、951m/z、953m/zでは、PBBとTBBPAとの間でピーク強度比に差が出ている。
そこで、発明者らは、所定の質量数において、PBBにおけるピーク強度比と、TBBPAにおけるピーク強度比とに有意差があるか否かを調査するために、PBBとTBBPAを含んだサンプルを用いて統計的手法の1つであるt検定を行った。
図7は、PBB、TBBPAの夫々において、質量数950m/zのピーク強度I950に対する質量数951m/zのピーク強度I951の比であるピーク強度比I951/I950の分布(t分布)を示す分布図である。図7に示したA1、A4は、PBB、TBBPA夫々におけるピーク強度比I951/I950の平均値を示している。
図7に示すように、TBBPAにおけるピーク強度比I951/I950の分布は0.55程度から1.1まで広範囲に渡って広がっているが、PBBにおけるピーク強度比I951/I950の分布は閾値Sh1よりも小さい値にほぼ収まっている。
即ち、ピーク強度比I951/I950の値が、閾値Sh1より大きい場合には、サンプルに含まれている臭素系難燃剤はTBBPAである可能性が高く、PBBである可能性は低い。
図8は、PBB、TBBPAの夫々において、質量数953m/zのピーク強度I953に対する、質量数954m/zのピーク強度I954の比であるピーク強度比I954/I953の分布(t分布)を示す分布図である。図8に示したA2、A3は、PBB、TBBPA夫々におけるピーク強度比I954/I953の平均値を示している。
図8に示すように、TBBPAにおけるピーク強度比I954/I953の分布は、0.5程度から1.5程度まで広範囲に渡って広がっているが、PBBにおけるピーク強度比I954/I953は閾値Sh3よりも大きい値に収まっている。また、100%ではないが、PBBにおけるピーク強度比I954/I953は閾値Sh2よりも大きい値にほぼ収まっている。
即ち、ピーク強度比I954/I953の値が、閾値Sh2以下である場合には、サンプルに含まれている臭素系難燃剤はTBBPAである可能性が高く、PBBである可能性は低い。
また、ピーク強度比I954/I953の値が、閾値Sh3以下である場合には、閾値Sh2以下である場合よりも、サンプルに含まれている臭素系難燃剤はTBBPAである可能性がさらに高く、PBBである可能性はさらに低い。
従って、例えばピーク強度比I951/I950またはピーク強度比I954/I953等の値を判定することにより、質量数が950m/z近傍のスペクトルがPBBによるスペクトルなのか、TBBPAによるスペクトルなのかを識別することができる。また、これにより、被検査体であるサンプルに対して、規制対象の臭素系難燃剤であるPBBを含んでいる可能性の有無を判定することができる。
(2)本実施の形態の判定方法
本実施の形態にかかる臭素系難燃剤の判定方法は、データ解析装置20が本実施の形態にかかるプログラムを実行することで実行される。
本実施の形態にかかる臭素系難燃剤の判定方法は、データ解析装置20が本実施の形態にかかるプログラムを実行することで実行される。
図10は、データ解析装置20の機能的構成を示すブロック図である。実際のハードウェアとしては、CPU31がROM32から本実施の形態にかかるプログラムをRAM33に読み出して実行することにより、図10に示すように、第1判定部21、第2判定部22、第3判定部23、PBB判定部24を含む制御部30が主記憶装置上に生成されるようになっている。
本実施形態のデータ解析装置20で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
また、本実施形態のデータ解析装置20で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態のデータ解析装置20で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。また、本実施形態のプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
第1判定部21は、第1判定工程において、質量数950m/z(第1の質量数)におけるピーク強度I950に対する、質量数951m/z(第2の質量数)におけるピーク強度I951の比である第1ピーク強度比I951/I950の値が、第1の範囲内であるか否か、即ち、閾値Sh1より大きいか否かを判定する。
PBB判定部24は、判定工程において、第1ピーク強度比I951/I950が閾値Sh1より大きい場合に、サンプルに含まれている臭素系難燃剤はRoHS指令による規制対象物質ではないTBBPAであり、規制対象物質であるPBBを含む可能性は無いと判定する。
好適な実施形態としては、閾値Sh1は、0.4以上で0.7以下の範囲内にある値を設定することが好ましい。さらに好適な実施形態としては、閾値Sh1として、PBBを含むサンプルにおけるピーク強度比I951/I950の平均値A1に標準偏差σの2倍を加算した値として、例えば0.65を用いることがより好ましい。
図6で示したように、PBBとTBBPAとでピーク強度比が異なる質量数は複数存在する。そこで、好適な実施形態としては、第1ピーク強度比を用いた第1判定工程に加えて、第1ピーク強度比とは異なる第2ピーク強度比を用いて第2判定工程を行い、サンプルにPBBが含まれるか否かを2段階で判定することが好ましい。
第2判定部22は、第2判定工程において、質量数953m/z(第3の質量数)におけるピーク強度I953に対する、質量数954m/z(第4の質量数)におけるピーク強度I954の比である第2ピーク強度比I954/I953の値が、閾値Sh2以下(第2の範囲内)であるか否かを判定する。
そして、PBB判定部24は、判定工程において、第1ピーク強度比I951/I950が閾値Sh1より大きく、かつ、第2ピーク強度比I954/I953が閾値Sh2以下である場合に、サンプルに含まれている臭素系難燃剤はRoHS指令による規制対象物質ではないTBBPAであり、規制対象物質であるPBBを含んでいる可能性は無いと判定する。
好適な実施形態としては、閾値Sh2は、1.0以上で1.5以下の範囲内にある値を設定することが好ましい。さらに好適な実施形態としては、閾値Sh2として、PBBを含むサンプルにおけるピーク強度比I954/I953の平均値A2から標準偏差σを減算した値として、例えば1.1を用いることが好ましい。
図8に示したように、PBBの有無を判定するための閾値は、同一のピーク強度比(例えば、I954/I953)に対して1つだけとは限らず、PBBではない確率の高さに応じて複数設定することができる。そこで、好適な実施形態としては、第2の範囲よりも狭く、第2の範囲よりもPBBではない確率が高い範囲を、第3の範囲としてさらに設定することが好ましい。
第3判定部23は、第3判定工程において、第2ピーク強度比I954/I953の値が第3の範囲内であるか否か、即ち、閾値Sh3以下であるか否かを判定する。
PBB判定部24は、判定工程において、第1ピーク強度比I951/I950が第1の範囲外であっても、第2ピーク強度比I954/I953が閾値Sh3以下であれば、サンプルに含まれている臭素系難燃剤はTBBPAであり、PBBを含んでいる可能性は無いと判定する。
好適な実施形態としては、閾値Sh3は、0.9以上で1.0以下の範囲内にある値を設定することが好ましい。即ち、閾値Sh3で設定される第3の範囲は、閾値Sh2で設定される第2の範囲よりも、PBBである確率が低いことが好ましい。さらに好適な実施形態としては、閾値Sh3として、PBBを含むサンプルにおける第2ピーク強度比I954/I953の平均値A2から標準偏差σの2倍を減算した値であり、TBBPAを含むサンプルにおける第2ピーク強度比I954/I953の平均値A3に標準偏差σを加算した値として、例えば0.96を用いることがより好ましい。
これにより、比較的厳しい判定条件の第1判定工程で「PBBである可能性が有る」と判定された場合であっても、第3判定工程によって「PBBである可能性は無い」と判定し直すことが可能となり、サンプルは検査に合格したと判定することができる。従って、より多くのPBBが含有されていないサンプルに対して、RoHS規制に合格していると判定することができ、GC/MS法等による精密検査の検査数をより削減することができる。
(3)PBBとTBBPAとの判別工程の手順
次に、本実施の形態のデータ解析装置20が行うPBBとTBBPAとの判別工程の手順について説明する。図9は、本実施の形態のデータ解析装置20が行うPBBとTBBPAとの判別工程を説明するフローチャートである。
次に、本実施の形態のデータ解析装置20が行うPBBとTBBPAとの判別工程の手順について説明する。図9は、本実施の形態のデータ解析装置20が行うPBBとTBBPAとの判別工程を説明するフローチャートである。
まず、上述のようにダイレクトプローブ9をイオン化室2から引き出して、PBBが含まれているか否かを調査したいサンプルを試料容器10に載置し、ダイレクトプローブ9をイオン化室2に差し込んだ後に、真空ポンプ16を稼動させる。(サンプルのセッティング)
そして、データ解析装置20はサンプルについてスキャン測定を行う(ステップS1)。スキャン測定とは、質量数を広範囲(例えば、2m/z〜1000m/z)に亘って大まかに走査(スキャン)する定性分析測定である。具体的には、質量数あたりの検出時間を短くしたり、質量数の分解能を例えば1m/zに下げたりして上述の範囲の質量数をスキャンし、各質量数の成分が検出されるか否かを定性的に検査する。スキャン測定は分解能は低いが、広範囲に亘って各質量数のイオンの有無を高速で検査することができる。
ここで、PBBの質量数は943.1m/zであり、質量数7のLi+が付着した場合の質量数は950.1m/zとなる。一方、TBBPAの質量数は943.6m/zであり、Li+が付着した場合の質量数は950.6m/zとなる。従って、PBBあるいはTBBPAが検出される場合には、950m/z近傍にピークが検出されることとなる。そこでまず、950m/z近傍に検出強度のピークが検出されるか否かを判定するために、ステップS1においてサンプルのスキャン測定が行われる。尚、スキャン測定では、上述のように質量数の分解能を1m/zに下げているため、質量数の差が0.5であるPBBとTBBPAとを質量数の差のみで判別することはできない。
そして、データ解析装置20は、各質量数の検出強度を記憶領域に読み込んで解析することにより、質量数950m/zにピークが検出されたか否かを判定する(ステップS2)。そして、質量数950m/zにピークが検出されなかった場合(ステップS2:No)には、質量数950m/z近傍のスペクトルはTBBPAによるものであり、RoHS規制対象物質であるPBBを含んでいないので、検査結果は合格となる(ステップS9)。
一方、質量数950m/zにピークが検出された場合(ステップS2:Yes)には、スキャン測定で得られたスペクトルデータから、ピーク強度I950、I951、I953、I954を読み取る(ステップS11)。
そして、第1ピーク強度比I951/I950が閾値Sh1の0.65より大きいか判定する(ステップS12)。閾値Sh1より大きい場合(ステップS12:Yes)には、第2ピーク強度比I954/I953が閾値Sh2の1.1以下であるか判定する(ステップS15)。閾値Sh2以下である場合(ステップS15:Yes)には、質量数950m/z近傍のスペクトルはTBBPAによるものであり、サンプルはPBBを含む可能性が無いと判定し、合格判定とする(ステップS9)。
一方、閾値Sh1以下である場合(ステップS12:No)には、第2ピーク強度比I954/I953が閾値Sh3の0.96以下であるか判定する(ステップS13)。閾値Sh3以下である場合(ステップS13:Yes)には、質量数950m/z近傍のスペクトルはTBBPAによるものであり、サンプルはPBBを含む可能性が無いと判定し、合格判定とする(ステップS9)。また、閾値Sh3より大きい場合(ステップS13:No)には、サンプルはPBBを含む可能性があると判定し、グレー判定とする(ステップS14)。
このように、本実施形態によれば、標準試料を用いない定性分析測定であるスキャン測定(図9のステップS1)を1回行うだけで、PBBとTBBPAとを識別することができる。従って、RoHS規制対象物質であるPBBと、RoHS規制対象物質ではないTBBPAとを、簡便かつ迅速に識別することができるという効果を奏する。また、本実施の形態では、従来一般的に用いられているイオン付着型質量分析装置をそのまま用いることができるため、装置に変更を加えずとも上述の効果を得ることができる。
尚、好適な実施形態としては、スキャン測定を行う前に、PBBおよびTBBPAの標準物質を用いて質量分析計15のキャリブレーションを行っておくことが好ましい。これにより、質量数に対するピーク位置のずれを0.5m/z未満に抑えて、ピーク強度比を正確に算出することができる。尚、このキャリブレーションは、スキャン測定ごとに行う必要はなく、質量分析装置1を起動する毎に行えばよい。
尚、上述では、第1判定工程で第1ピーク強度比I951/I950の値について判定した後に、第2判定工程で第2ピーク強度比I954/I953の値について判定を行っているが、判定工程の順序はこれに限定されるものではない。例えば、第2判定工程を先に行い、その後に第1判定工程を行うとしてもよい。
また、上述では、第1ピーク強度比はI951/I950、第2ピーク強度比はI954/I953として説明したが、第1ピーク強度比および第2ピーク強度比はI951/I950、I954/I953に限定されるものではない。第1ピーク強度比をI954/I953とし、第2ピーク強度比をI951/I950、としても良いし、その他の質量数におけるピーク強度をとって新たなピーク強度比を第1ピーク強度比または第2ピーク強度比としてもよい。
また、上述では第1判定工程および第2判定工程により2段階の判定工程を行っているが、判定工程の数はこれに限定されるものではない。上述のようにその他のピーク強度比による判定をさらに行って、3段階以上の判定工程を行うとしてもよい。
以下に本実施の形態をさらに詳細に説明するために実施例を示すが、本発明は実施例に限定されるものではない。尚、符号は図1および図2を参照して説明した質量分析装置1の構成に対応している。
(1)PBB含有試料の作製
PBBは現在製造される製品には使用されていないため、PSやPE等の樹脂粉末にPBB(DeBB)の試薬を滴下して、この混合粉末をPBB含有試料として試料容器10に収容した。尚、PBB含有試料は20個作製した。
PBBは現在製造される製品には使用されていないため、PSやPE等の樹脂粉末にPBB(DeBB)の試薬を滴下して、この混合粉末をPBB含有試料として試料容器10に収容した。尚、PBB含有試料は20個作製した。
(2)TBBPA含有試料の作製
TBBPA含有試料は2種類の作製方法によって作製した。1種類目としては、PSやPE等の樹脂粉末にTBBPA(TBBPA−bis(2,3−dibromopropylether))の試薬を滴下して、この混合粉末をTBBPA含有試料として試料容器10に収容した。また、2種類目としては、樹脂部分にTBBPA(TBBPA−bis(2,3−dibromopropylether))が含まれている電子機器等の製品の一部を用意し、これを試料容器10内に収容できるサイズにカットして、TBBPA含有試料とした。尚、TBBPA含有試料は60個作製した。
TBBPA含有試料は2種類の作製方法によって作製した。1種類目としては、PSやPE等の樹脂粉末にTBBPA(TBBPA−bis(2,3−dibromopropylether))の試薬を滴下して、この混合粉末をTBBPA含有試料として試料容器10に収容した。また、2種類目としては、樹脂部分にTBBPA(TBBPA−bis(2,3−dibromopropylether))が含まれている電子機器等の製品の一部を用意し、これを試料容器10内に収容できるサイズにカットして、TBBPA含有試料とした。尚、TBBPA含有試料は60個作製した。
(3)IAMSスキャン測定
上述のように作製したサンプルに対して、スキャン測定および本実施の形態にかかる臭素系難燃剤の判定工程を行った。加熱機構11の昇温条件は、初期温度10℃から170℃までは、128℃/minの昇温速度で昇温し、170℃から測定温度の290℃までは、64℃/minの昇温速度で昇温した。290℃において2.5分保持した後、イオンエミッタ12およびフィラメント13を稼動させてスキャン測定を開始した。尚、イオン源の温度は210℃とした。
上述のように作製したサンプルに対して、スキャン測定および本実施の形態にかかる臭素系難燃剤の判定工程を行った。加熱機構11の昇温条件は、初期温度10℃から170℃までは、128℃/minの昇温速度で昇温し、170℃から測定温度の290℃までは、64℃/minの昇温速度で昇温した。290℃において2.5分保持した後、イオンエミッタ12およびフィラメント13を稼動させてスキャン測定を開始した。尚、イオン源の温度は210℃とした。
(4)検査結果
得られた結果を表1ないし表4に示す。尚、表中において、グレー判定とは「PBBを含む可能性がある」旨の判定である。また、合格判定とは「PBBを含む可能性が無い」旨の判定である。
得られた結果を表1ないし表4に示す。尚、表中において、グレー判定とは「PBBを含む可能性がある」旨の判定である。また、合格判定とは「PBBを含む可能性が無い」旨の判定である。
表1は、PBB含有試料に対する判定結果を示す表である。表1に示すように、本実施例では、20個のサンプル全てに対してグレー判定と判定された。従って、PBB含有試料については100%の検査精度でPBBを検出することができた。
表2ないし表4は、TBBPA含有試料に対する判定結果を示す表である。本実施例では、サンプル番号33、36、52、57の4つがグレー判定と誤判定されたが、この4つを除くその他の56個のサンプルについては、合格判定と判定された。従って、全60個中56個を正しく判定できたこととなり、93%の検査精度で判定することができた。
本実施の形態では、上述のように9割程度のTBBPA含有試料について、PBBではなくTBBPAとして判定することができた。従って、本実施の形態では誤判定された1割程度のサンプルについてのみGC/MS測定などRoHS規定で定められた精密検査を行えばよく、従来IAMS測定に要していた検査時間の9割程度を削減することができた。
従って、RoHS規制対象物質であるPBBとRoHS規制対象物質ではないTBBPAとを、簡便かつ迅速に識別することができた。
また、本実施の形態では、TBBPA含有試料に対してPBB含有の可能性があると誤判定することはあっても、PBB含有試料に対してPBB含有の可能性は無いと誤判定することは無かった。従って、PBBの検出漏れはなく、安全な判定を行うことができた。
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
1 イオン付着質量分析装置
2 イオン化室
3 差動排気室
4 質量分析室
5、6 仕切り板
7、8 開孔部
9 ダイレクトプローブ
10 試料容器
11 加熱機構
12 イオンエミッタ
13 フィラメント
14 静電レンズ
15 質量分析計
16 真空ポンプ
20 データ解析装置
30 制御部
21 第1判定部
22 第2判定部
23 第3判定部
24 PBB判定部
2 イオン化室
3 差動排気室
4 質量分析室
5、6 仕切り板
7、8 開孔部
9 ダイレクトプローブ
10 試料容器
11 加熱機構
12 イオンエミッタ
13 フィラメント
14 静電レンズ
15 質量分析計
16 真空ポンプ
20 データ解析装置
30 制御部
21 第1判定部
22 第2判定部
23 第3判定部
24 PBB判定部
Claims (10)
- イオン付着型質量分析装置で得られたデータを解析するデータ解析装置で実行される臭素系難燃剤の判定方法であって、
第1判定手段が、第1の質量数におけるピーク強度に対する、第2の質量数におけるピーク強度の比である第1ピーク強度比が、第1の範囲内であるか否かを判定する第1判定工程と、
判定手段が、前記第1ピーク強度比が前記第1の範囲内である場合に、被検査体であるサンプルは規制対象ではない臭素系難燃剤を含んでいると判定する判定工程と、
を含むことを特徴とする臭素系難燃剤の判定方法。 - 第2判定手段が、第3の質量数におけるピーク強度に対する、第4の質量数におけるピーク強度の比である第2ピーク強度比が、第2の範囲内であるか否かを判定する第2判定工程をさらに含み、
前記判定手段は、前記第1ピーク強度比が前記第1の範囲内であり、かつ、前記第2ピーク強度比が前記第2の範囲内である場合に、前記サンプルは前記規制対象ではない臭素系難燃剤を含んでいると判定すること、
を特徴とする請求項1記載の臭素系難燃剤の判定方法。 - 前記第1判定工程において、前記第1の質量数は950m/zであり、前記第2の質量数は951m/zであり、前記第1の範囲内である場合とは前記第1ピーク強度比が第1閾値より大きい場合であり、
前記第2判定工程において、前記第3の質量数は953m/zであり、前記第4の質量数は954m/zであり、前記第2の範囲内である場合とは前記第2ピーク強度比が第2閾値以下である場合であり、
前記判定手段は、前記第1ピーク強度比が第1閾値より大きい場合であり、前記第2ピーク強度比が第2閾値以下である場合には、前記サンプルは前記規制対象ではない臭素系難燃剤であるTBBPAを含んでいると判定すること、
を特徴とする請求項2記載の臭素系難燃剤の判定方法。 - 第3判定手段が、第5の質量数におけるピーク強度に対する、第6の質量数におけるピーク強度の比である第3のピーク強度比が、第3の範囲内であるか否かを判定する第3判定工程をさらに含み、
前記判定手段は、前記第1ピーク強度比が前記第1の範囲外であっても、前記第3のピーク強度比が前記第3の範囲内である場合に、前記サンプルは前記規制対象ではない臭素系難燃剤を含んでいると判定すること、
を特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の臭素系難燃剤の判定方法。 - 前記第3判定工程において、前記第5の質量数は953m/zであり、前記第6の質量数は954m/zであり、前記第3の範囲内である場合とは前記第3のピーク強度比が第3閾値以下となる場合であり、
前記判定手段は、前記第1ピーク強度比が第1閾値以下であり、前記第3のピーク強度比が第3閾値以下である場合には、前記サンプルは前記規制対象ではない臭素系難燃剤であるTBBPAを含んでいると判定すること、
を特徴とする請求項4に記載の臭素系難燃剤の判定方法。 - 前記第1判定工程において用いられる前記第1閾値は、0.4以上で0.7以下の範囲内にある値であり、
前記第2判定工程において用いられる前記第2閾値は、1.0以上で1.5以下の範囲内にある値であること、
を特徴とする請求項3ないし5のいずれか1つに記載の臭素系難燃剤の判定方法。 - 前記第1判定工程において用いられる前記第1閾値は0.65であり、
前記第2判定工程において用いられる前記第2閾値は1.1であり、
前記判定手段は、前記第1ピーク強度比が0.65より大きい場合であり、前記第2ピーク強度比が1.1以下である場合には、前記サンプルは前記規制対象ではない臭素系難燃剤であるTBBPAを含んでいると判定すること、
を特徴とする請求項5記載の臭素系難燃剤の判定方法。 - 前記第3判定工程において用いられる前記第3閾値は、0.9以上で1.0以下の範囲にある値であること、
を特徴とする請求項5ないし7のいずれか1つに記載の臭素系難燃剤の判定方法。 - 前記第3判定工程において用いられる前記第3閾値は0.96であり、
前記判定手段は、前記第1ピーク強度比が0.65以下であり、前記第3ピーク強度比が0.96以下である場合には、前記サンプルは前記規制対象ではない臭素系難燃剤であるTBBPAを含んでいると判定すること、
を特徴とする請求項8記載の臭素系難燃剤の判定方法。 - イオン付着型質量分析装置で得られたデータを解析するコンピュータを、
第1の質量数におけるピーク強度に対する、第2の質量数におけるピーク強度の比である第1ピーク強度比が、第1の範囲内であるか否かを判定する第1判定手段と、
前記第1ピーク強度比が前記第1の範囲内である場合に、被検査体であるサンプルは規制対象ではない臭素系難燃剤を含んでいると判定する判定手段と、
として機能させるためのプログラム。
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