JP5501832B2 - 永久磁石及び永久磁石の製造方法 - Google Patents

永久磁石及び永久磁石の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、永久磁石及び永久磁石の製造方法に関する。
近年、ハイブリッドカーやハードディスクドライブ等に使用される永久磁石モータでは、小型軽量化、高出力化、高効率化が要求されている。そして、上記永久磁石モータにおいて小型軽量化、高出力化、高効率化を実現するに当たって、永久磁石モータに埋設される永久磁石について、更なる磁気特性の向上が求められている。尚、永久磁石としてはフェライト磁石、Sm−Co系磁石、Nd−Fe−B系磁石、SmFe17系磁石等があるが、特に残留磁束密度の高いNd−Fe−B系磁石が永久磁石モータ用の永久磁石として用いられる。
ここで、永久磁石の製造方法としては、一般的に粉末焼結法が用いられる。ここで、粉末焼結法は、先ず原材料を粗粉砕し、ジェットミル(乾式粉砕)や湿式ビーズミル(湿式粉砕)により微粉砕した磁石粉末を製造する。その後、その磁石粉末を型に入れて、外部から磁場を印加しながら所望の形状にプレス成形する。そして、所望形状に成形された固形状の磁石粉末を所定温度(例えばNd−Fe−B系磁石では800℃〜1150℃)で焼結することにより製造する。
特許第3298219号公報(第4頁、第5頁)
また、永久磁石は化学量論組成(例えばNd−Fe−B系磁石ではNdFe14B)に近づけることによって、磁石特性が向上することが知られている。従って、永久磁石を製造する際の磁石原料の各元素の含有量は、化学量論組成に基づく含有量(例えばNd:26.7wt%、Fe(電解鉄):72.3wt%、B:1.0wt%)とすることが行われていた。
ここで、Nd−Fe−B系磁石の製造において生じる問題として、焼結された合金中にα−Feが生成することが挙げられる。原因としては、化学量論組成に基づく含有量からなる磁石原料合金を用いて永久磁石を製造した場合に、製造過程で希土類元素が酸素と結び付き、化学量論組成に対して希土類元素が不足する状態となることが挙げられる。さらに、α−Feが、焼結後も磁石中に残存すれば、磁石の磁気特性の低下をもたらす。
そこで、磁石原料に含まれる希土類元素の含有量を、予め化学量論組成に基づく含有量よりも多くすることが考えられる。しかし、その方法では磁石原料を粉砕した後に磁石組成が大きく変動することとなり、粉砕後に磁石組成を変更する必要が生じていた。
一方、永久磁石の磁気特性は、磁石の磁気特性が単磁区微粒子理論により導かれるために、焼結体の結晶粒径を微小にすれば磁気性能が基本的に向上することが知られている。そして、焼結体の結晶粒径を微小にするためには、焼結前の磁石原料の粒径も微小にする必要がある。
ここで、磁石原料を粉砕する際に用いられる粉砕方法の一つである湿式ビーズミル粉砕は、容器の中にビーズ(メディア)を充填して回転させ、原料を溶媒に混入したスラリーを加えて、原料を摺りつぶして粉砕する方法である。そして、湿式ビーズミル粉砕を行うことによって、磁石原料を微小な粒径範囲(例えば0.1μm〜5.0μm)まで粉砕することが可能となる。
しかしながら、微小な粒径範囲まで粉砕された磁石粒子は、粒子表面に欠陥が存在する。そして、粒子表面に欠陥がある状態で焼結を行うと、焼結後の磁石において結晶粒子表面のアモルファス成分が多くなり、磁場配向度(即ち、残留磁束密度)が低下する問題があった。
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、粉砕後の磁石粉末を加熱することによって、磁石粒子の表面を再生し、残留磁束密度の向上を図る一方で、製造過程で希土類元素が酸素と結び付いたとしても、化学量論組成に対して希土類元素が不足することなく、焼結後の永久磁石中にα−Feが生成されることを抑制することが可能となり、磁気性能を向上させることが可能な永久磁石及び永久磁石の製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため本願の請求項1に係る永久磁石は、構造式M−(OR)(式中、Mは希土類元素であるNd、Pr、Dy、Tbの内、少なくとも一種を含む。Rは炭素数2〜6のアルキル基のいずれかであり、直鎖でも分枝でも良い。xは任意の整数である。)で表わされる有機金属化合物を磁石原料と共に溶媒中でビーズミルにより粉砕し、前記磁石原料を粉砕した磁石粉末を得るとともに前記磁石粉末の粒子表面に前記有機金属化合物を付着させる工程と、粉砕された前記磁石粉末を含む前記溶媒を真空乾燥により乾燥させ、前記溶媒を揮発させることによって前記有機金属化合物が粒子表面に付着された前記磁石粉末を得る工程と、前記有機金属化合物が粒子表面に付着された前記磁石粉末を加熱することによって粒子表面を再生する工程と、前記粒子表面が再生された磁石粉末を成形することにより成形体を形成する工程と、前記成形体を焼結する工程と、により製造されることを特徴とする。
また、請求項2に係る永久磁石は、請求項1に記載の永久磁石において、前記粒子表面を再生する工程は、酸素分圧が10Pa以下の雰囲気において600℃〜1000℃の温度範囲で前記磁石粉末を所定時間保持することを特徴とする。
また、請求項3に係る永久磁石は、請求項1又は請求項2に記載の永久磁石において、前記有機金属化合物を形成する金属が、焼結後に前記永久磁石の粒界に偏在していることを特徴とする。
また、請求項4に係る永久磁石の製造方法は、構造式M−(OR)(式中、Mは希土類元素であるNd、Pr、Dy、Tbの内、少なくとも一種を含む。Rは炭素数2〜6のアルキル基のいずれかであり、直鎖でも分枝でも良い。xは任意の整数である。)で表わされる有機金属化合物を磁石原料と共に溶媒中でビーズミルにより粉砕し、前記磁石原料を粉砕した磁石粉末を得るとともに前記磁石粉末の粒子表面に前記有機金属化合物を付着させる工程と、粉砕された前記磁石粉末を含む前記溶媒を真空乾燥により乾燥させ、前記溶媒を揮発させることによって前記有機金属化合物が粒子表面に付着された前記磁石粉末を得る工程と、前記有機金属化合物が粒子表面に付着された前記磁石粉末を加熱することによって粒子表面を再生する工程と、前記粒子表面が再生された磁石粉末を成形することにより成形体を形成する工程と、前記成形体を焼結する工程と、を有することを特徴とする。
また、請求項5に係る永久磁石の製造方法は、請求項4に記載の永久磁石の製造方法において、前記粒子表面を再生する工程は、酸素分圧が10Pa以下の雰囲気において600℃〜1000℃の温度範囲で前記磁石粉末を所定時間保持することを特徴とする。
前記構成を有する請求項1に記載の永久磁石によれば、永久磁石の製造工程で、粉砕後の磁石粉末を加熱することによって、磁石粒子の表面を再生することができる。その結果、磁石粒子の表面の欠陥を減少させることによって、磁石粒子のアモルファス成分を減少させ、磁場配向時の配向率を向上させることが可能となり、残留磁束密度の向上を図ることができる。その結果、永久磁石の磁気性能を向上させることが可能となる。
また、請求項1に記載の永久磁石によれば、製造過程で希土類元素が酸素と結び付いたとしても、化学量論組成に対して希土類元素が不足することなく、焼結後の永久磁石中にα−Feが生成されることを抑制することが可能となる。また、粉砕前後で磁石組成が大きく変動しないので粉砕後に磁石組成を変更する必要なく、製造工程を簡略化することができる。
また、請求項2に記載の永久磁石によれば、永久磁石の製造工程で、酸素分圧が10Pa以下の雰囲気において600℃〜1000℃の温度範囲で磁石粉末を加熱することによって、磁石粒子の表面を適切に再生することができる。
また、請求項3に記載の永久磁石によれば、例えば、MとしてDy、Tbを用いた場合には、磁気異方性の高いDyやTbが焼結後に磁石の粒界に偏在するので、粒界に偏在されたDyやTbが粒界の逆磁区の生成を抑制することで、保磁力の向上が可能となる。また、DyやTbの添加量が従来に比べて少なくすることができ、残留磁束密度の低下を抑制することができる。
また、請求項4に記載の永久磁石の製造方法によれば、粉砕後の磁石粉末を加熱することによって、磁石粒子の表面を再生することができる。その結果、磁石粒子の表面の欠陥を減少させることによって、磁石粒子のアモルファス成分を減少させ、磁場配向時の配向率を向上させることが可能となり、残留磁束密度の向上を図ることができる。その結果、製造される永久磁石の磁気性能を向上させることが可能となる。
また、請求項4に記載の永久磁石の製造方法によれば、製造過程で希土類元素が酸素と結び付いたとしても、化学量論組成に対して希土類元素が不足することなく、焼結後の永久磁石中にα−Feが生成されることを抑制することが可能となる。また、粉砕前後で磁石組成が大きく変動しないので粉砕後に磁石組成を変更する必要なく、製造工程を簡略化することができる。
更に、請求項5に記載の永久磁石の製造方法によれば、酸素分圧が10Pa以下の雰囲気において600℃〜1000℃の温度範囲で磁石粉末を加熱することによって、磁石粒子の表面を適切に再生することができる。
本発明に係る永久磁石を示した全体図である。 本発明に係る永久磁石の粒界付近を拡大して示した模式図である。 本発明に係る永久磁石の製造方法における製造工程を示した説明図である。
以下、本発明に係る永久磁石及び永久磁石の製造方法について具体化した実施形態について以下に図面を参照しつつ詳細に説明する。
[永久磁石の構成]
先ず、本発明に係る永久磁石1の構成について説明する。図1は本発明に係る永久磁石1を示した全体図である。尚、図1に示す永久磁石1は円柱形状を備えるが、永久磁石1の形状は成形に用いるキャビティの形状によって変化する。
本発明に係る永久磁石1としては例えばNd−Fe−B系磁石を用いる。また、図2に示すように、永久磁石1は磁化作用に寄与する磁性相である主相11と、非磁性で希土類元素の濃縮した低融点のMリッチ相12(Mは希土類元素であるNd、Pr、Dy、Tbの内、少なくとも一種を含む。)とが共存する合金である。図2は永久磁石1を構成するNd磁石粒子を拡大して示した図である。
ここで、主相11は化学量論組成であるNdFe14B金属間化合物相(Feは部分的にCoで置換しても良い)が高い体積割合を占めた状態となる。一方、Mリッチ相12は同じく化学量論組成であるMFe14B(Feは部分的にCoで置換しても良い)よりMの組成比率が多い金属間化合物相(例えば、M2.0〜3.0Fe14B金属間化合物相)からなる。また、Mリッチ相12には磁気特性向上の為、Co、Cu、Al、Si等の他元素を少量含んでも良い。
そして、永久磁石1において、Mリッチ相12は、以下のような役割を担っている。
(1)融点が低く(約600℃)、焼結時に液相となり、磁石の高密度化、即ち磁化の向上に寄与する。(2)粒界の凹凸を無くし、逆磁区のニュークリエーションサイトを減少させ保磁力を高める。(3)主相を磁気的に絶縁し保磁力を増加する。
従って、焼結後の永久磁石1中におけるMリッチ相12の分散状態が悪いと、局部的な焼結不良、磁性の低下をまねくため、焼結後の永久磁石1中にはMリッチ相12が均一に分散していることが重要となる。
また、Nd−Fe−B系磁石の製造において生じる問題として、焼結された合金中にα−Feが生成することが挙げられる。原因としては、化学量論組成に基づく含有量からなる磁石原料合金を用いて永久磁石を製造した場合に、製造過程で希土類元素が酸素と結び付き、化学量論組成に対して希土類元素が不足する状態となることが挙げられる。ここで、α−Feは、変形能を有し、粉砕されずに粉砕機中に残存するため、合金を粉砕する際の粉砕効率を低下させるだけでなく、粉砕前後での組成変動、粒度分布にも影響を及ぼす。さらに、α−Feが、焼結後も磁石中に残存すれば、磁石の磁気特性の低下をもたらす。
そして、上述した永久磁石1におけるNdやMを含む全希土類元素の含有量は、上記化学量論組成に基づく含有量(26.7wt%)よりも0.1wt%〜10.0wt%、より好ましくは0.1wt%〜5.0wt%多い範囲内であることが望ましい。具体的には、各成分の含有量はNd:25〜37wt%、M:0.1〜10.0wt%、B:1〜2wt%、Fe(電解鉄):60〜75wt%とする。永久磁石1中の希土類元素の含有量を上記範囲とすることによって、焼結後の永久磁石1中にMリッチ相12を均一に分散することが可能となる。また、製造過程で希土類元素が酸素と結び付いたとしても、化学量論組成に対して希土類元素が不足することなく、焼結後の永久磁石1中にα−Feが生成されることを抑制することが可能となる。
尚、永久磁石1中の希土類元素の含有量が上記範囲よりも少ない場合には、Mリッチ相12が形成され難くなる。また、α−Feの生成を十分に抑制することができない。一方、永久磁石1中の希土類元素の組成が上記範囲より多い場合には、保磁力の増加が鈍化し、かつ残留磁束密度が低下してしまい、実用的ではない。
また、本発明では、粉砕開始時の磁石原料中におけるNdやMを含む全希土類元素の含有量は、上記化学量論組成に基づく含有量(26.7wt%)である。そして、後述のように磁石原料をビーズミルで湿式粉砕する際に、溶媒中にM−(OR)(式中、Mは希土類元素であるNd、Pr、Dy、Tbの内、少なくとも一種を含む。Rは炭素数2〜6のアルキル基のいずれかであり、直鎖でも分枝でも良い。xは任意の整数である。)で表わされるMを含む有機金属化合物(例えば、ネオジウムエトキシド、ジスプロシウムプロポキシド、テルビウムプロポキシドなど)を添加し、湿式状態で磁石粉末に混合する。その結果、有機金属化合物添加後の磁石粉末に含まれる希土類元素の含有量は、上記化学量論組成に基づく含有量(26.7wt%)よりも0.1wt%〜10.0wt%、より好ましくは0.1wt%〜5.0wt%多い範囲内となる。また、溶媒中に添加することによって、Mを含む有機金属化合物を溶媒中で分散させ、Nd磁石粒子の粒子表面にMを含む有機金属化合物を均一付着することが可能となり、焼結後の永久磁石1においてMリッチ相12を均一に分散することが可能となる。
ここで、上記M−(OR)(式中、Mは希土類元素であるNd、Pr、Dy、Tbの内、少なくとも一種を含む。Rは炭素数2〜6のアルキル基のいずれかであり、直鎖でも分枝でも良い。xは任意の整数である。)の構造式を満たす有機金属化合物として金属アルコキシドがある。金属アルコキシドとは、一般式M(OR)(M:金属元素、R:有機基、n:金属又は半金属の価数)で表される。また、金属アルコキシドを形成する金属又は半金属としては、Nd、Pr、Dy、Tb、W、Mo、V、Nb、Ta、Ti、Zr、Ir、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Cd、Al、Ga、In、Ge、Sb、Y、lanthanideなどが挙げられる。但し、本発明では特に、希土類元素であるNd、Pr、Dy、Tbを用いる。
また、アルコキシドの種類は特に限定されることなく、例えば、メトキシド、エトキシド、プロポキシド、イソプロポキシド、ブトキシド、炭素数4以上のアルコキシド等が挙げられる。但し、本発明では後述のように低温分解で残炭を抑制する目的から、低分子量のものを用いる。また、炭素数1のメトキシドについては分解し易く、取扱いが困難であるので、特に炭素数が2〜6のアルコキシドであるエトキシド、メトキシド、イソプロポキシド、プロポキシド、ブトキシドなどを用いることが好ましい。
以上のように本発明では、磁石原料をビーズミルで湿式粉砕する際に、溶媒中に有機金属化合物を添加することによって希土類元素の含有量を増加させる。この方法では、粉砕前に磁石原料に含まれる希土類元素の含有量を予め化学量論組成に基づく含有量よりも多くする方法と比較して、粉砕前後で磁石組成が大きく変動しない利点がある。従って、粉砕後に磁石組成を変更する必要がない。
また、圧粉成形により成形された成形体を適切な焼成条件で焼成すれば、Mが主相11内へと拡散浸透(固溶化)することを防止できる。それにより、本発明では、Mを添加したとしてもMによる置換領域を外殻部分のみとすることができる。その結果、結晶粒全体としては(すなわち、焼結磁石全体としては)、コアのNdFe14B金属間化合物相が高い体積割合を占めた状態となる。それにより、その磁石の残留磁束密度(外部磁場の強さを0にしたときの磁束密度)の低下を抑制することができる。
また、主相11の結晶粒径は0.1μm〜5.0μmとすることが望ましい。尚、主相11とMリッチ相12の構成は、例えばSEMやTEMや3次元アトムプローブ法により確認することができる。
また、MとしてDy又はTbを用いれば、磁石粒子の粒界にDy又はTbを偏在化することが可能となる。そして、粒界に偏在されたDyやTbが粒界の逆磁区の生成を抑制することで、保磁力の向上が可能となる。また、DyやTbの添加量が従来に比べて少なくすることができ、残留磁束密度の低下を抑制することができる。
[永久磁石の製造方法]
次に、本発明に係る永久磁石1の製造方法について図3を用いて説明する。図3は本発明に係る永久磁石1の製造方法における製造工程を示した説明図である。
先ず、化学量論組成に基づく分率のNd−Fe−B(Nd:26.7wt%、Fe(電解鉄):72.3wt%、B:1.0wt%)からなる、インゴットを製造する。その後、インゴットをスタンプミルやクラッシャー等によって200μm程度の大きさに粗粉砕する。若しくは、インゴットを溶解し、ストリップキャスト法でフレークを作製し、水素解砕法で粗粉化する。それによって、粗粉砕磁石粉末31を得る。
次いで、粗粉砕磁石粉末31をビーズミルによる湿式法で所定範囲の粒径(例えば0.1μm〜5.0μm)に微粉砕するとともに溶媒中に磁石粉末を分散させ、スラリー42を作製する。尚、湿式粉砕は磁石粉末0.5kgに対してトルエン4kgを溶媒として用いる。また、湿式粉砕中に磁石粉末に対して、希土類元素を含む有機金属化合物を添加する。それにより、希土類元素を含む有機金属化合物を磁石粉末と共に溶媒中で分散させる。尚、溶解させる有機金属化合物としては、M−(OR)(式中、Mは希土類元素であるNd、Pr、Dy、Tbの内、少なくとも一種を含む。Rは炭素数2〜6のアルキル基のいずれかであり、直鎖でも分枝でも良い。xは任意の整数である。)に該当する有機金属化合物(例えば、ネオジウムエトキシド、ジスプロシウムプロポキシド、テルビウムプロポキシドなど)を用いる。また、添加する希土類元素を含む有機金属化合物の量は特に制限されないが、前記したように永久磁石に含まれる希土類元素の含有量が化学量論組成に基づく含有量(26.7wt%)よりも0.1wt%〜10.0wt%、より好ましくは0.1wt%〜5.0wt%多くなる範囲とするのが好ましい。
尚、詳細な分散条件は以下の通りである。
・分散装置:ビーズミル
・分散メディア:ジルコニアビーズ
また、粉砕に用いる溶媒としては、特に制限はなく、イソプロピルアルコール、エタノール、メタノールなどのアルコール類、ペンタン、ヘキサンなどの低級炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレンなど芳香族類、ケトン類、それらの混合物等が使用できる。
その後、生成したスラリー42を成形前に真空乾燥などで事前に乾燥させ、乾燥した磁石粉末43を取り出す。その後、乾燥した磁石粉末43を低酸素雰囲気下において600℃〜1000℃で数時間(例えば5時間)保持することにより、磁石粉末43を構成する各磁石粒子の再生を行う。尚、加熱処理中の酸素分圧が10Pa以下の条件で行うこととする。それによって、磁石粉末43を構成する各磁石粒子の表面を再生することができ、磁石粒子の表面の欠陥を減少させることが可能となる。
その後、再生処理が行われた磁石粉末44を成形装置50により所定形状に圧粉成形する。尚、圧粉成形には、上記の乾燥した微粉末をキャビティに充填する乾式法と、溶媒などでスラリー状にしてからキャビティに充填する湿式法があるが、本発明では乾式法を用いる場合を例示する。
図3に示すように、成形装置50は、円筒状のモールド51と、モールド51に対して上下方向に摺動する下パンチ52と、同じくモールド51に対して上下方向に摺動する上パンチ53とを有し、これらに囲まれた空間がキャビティ54を構成する。
また、成形装置50には一対の磁界発生コイル55、56がキャビティ54の上下位置に配置されており、磁力線をキャビティ54に充填された磁石粉末44に印加する。印加させる磁場は例えば1MA/mとする。
そして、圧粉成形を行う際には、先ず乾燥した磁石粉末44をキャビティ54に充填する。その後、下パンチ52及び上パンチ53を駆動し、キャビティ54に充填された磁石粉末44に対して矢印61方向に圧力を加え、成形する。また、加圧と同時にキャビティ54に充填された磁石粉末44に対して、加圧方向と平行な矢印62方向に磁界発生コイル55、56によってパルス磁場を印加する。それによって、所望の方向に磁場を配向させる。尚、磁場を配向させる方向は、磁石粉末44から成形される永久磁石1に求められる磁場方向を考慮して決定する必要がある。
また、湿式法を用いる場合には、キャビティ54に磁場を印加しながらスラリーを注入し、注入途中又は注入終了後に、当初の磁場より強い磁場を印加して湿式成形しても良い。また、加圧方向に対して印加方向が垂直となるように磁界発生コイル55、56を配置しても良い。
次に、圧粉成形により成形された成形体を焼結する焼結処理を行う。焼結処理では、所定の昇温速度で800℃〜1180℃程度まで昇温し、2時間程度保持する。この間は真空焼成となるが真空度としては10−4Torr以下とすることが好ましい。その後冷却し、再び600℃で2時間熱処理を行う。そして、焼結の結果、永久磁石1が製造される。
以上説明したように、本実施形態に係る永久磁石1及び永久磁石1の製造方法では、粗粉砕された磁石粉末を、M−(OR)(式中、Mは希土類元素であるNd、Pr、Dy、Tbの内、少なくとも一種を含む。Rは炭素数2〜6のアルキル基のいずれかであり、直鎖でも分枝でも良い。xは任意の整数である。)に該当する有機金属化合物とともに溶媒中でビーズミルにより粉砕し、磁石粒子表面に対して均一に有機金属化合物を付着させる。その後、乾燥した磁石粉末を低酸素雰囲気下において600℃〜1000℃で数時間保持することにより、磁石粉末43を構成する各磁石粒子の再生を行う。更に、再生された磁石粉末を成形し、800℃〜1180℃で焼成を行うことによって永久磁石1を製造する。その結果、磁石粒子の表面を再生することによって磁石粒子の表面の欠陥を減少させることが可能となる。それにより、磁石粒子のアモルファス成分を減少させ、磁場配向時の配向率を向上させることが可能となり、残留磁束密度の向上を図ることができる。その結果、永久磁石1の磁気性能を向上させることが可能となる。
また、粒子再生の為の加熱処理では、酸素分圧が10Pa以下の雰囲気において600℃〜1000℃の温度範囲で磁石粉末を加熱するので、磁石粒子の表面を適切に再生することができる。
また、ビーズミルによる湿式粉砕時において、磁石粉末に対してM−(OR)x(式中、Mは希土類元素であるNd、Pr、Dy、Tbの内、少なくとも一種を含む。Rは炭素数2〜6のアルキル基のいずれかであり、直鎖でも分枝でも良い。xは任意の整数である。)で示される有機金属化合物を湿式状態で添加することによって、磁石の粒子表面に対して均一に有機金属化合物を付着させた後に、成形及び焼結を行うので、製造過程で希土類元素が酸素と結び付いたとしても、化学量論組成に対して希土類元素が不足することなく、焼結後の永久磁石中にα−Feが生成されることを抑制することが可能となる。また、粉砕前後で磁石組成が大きく変動しないので粉砕後に磁石組成を変更する必要なく、製造工程を簡略化することができる。
尚、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
また、磁石粉末の粉砕条件、混練条件、粒子再生の為の加熱条件、焼結条件などは上記実施例に記載した条件に限られるものではない。
例えば、本実施例では粒子再生の為の加熱条件を、低酸素雰囲気下での直接加熱により行っているが、プラズマ、高周波等の外部エネルギによる加熱により行っても良い。
1 永久磁石
11 主相
12 Mリッチ相

Claims (5)

  1. 構造式M−(OR)
    (式中、Mは希土類元素であるNd、Pr、Dy、Tbの内、少なくとも一種を含む。Rは炭素数2〜6のアルキル基のいずれかであり、直鎖でも分枝でも良い。xは任意の整数である。)
    で表わされる有機金属化合物を磁石原料と共に溶媒中でビーズミルにより粉砕し、前記磁石原料を粉砕した磁石粉末を得るとともに前記磁石粉末の粒子表面に前記有機金属化合物を付着させる工程と、
    粉砕された前記磁石粉末を含む前記溶媒を真空乾燥により乾燥させ、前記溶媒を揮発させることによって前記有機金属化合物が粒子表面に付着された前記磁石粉末を得る工程と、
    前記有機金属化合物が粒子表面に付着された前記磁石粉末を加熱することによって粒子表面を再生する工程と、
    前記粒子表面が再生された磁石粉末を成形することにより成形体を形成する工程と、
    前記成形体を焼結する工程と、
    により製造されることを特徴とする永久磁石。
  2. 前記粒子表面を再生する工程は、酸素分圧が10Pa以下の雰囲気において600℃〜1000℃の温度範囲で前記磁石粉末を所定時間保持することを特徴とする請求項1に記載の永久磁石。
  3. 前記有機金属化合物を形成する金属が、焼結後に前記永久磁石の粒界に偏在していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の永久磁石。
  4. 構造式M−(OR)
    (式中、Mは希土類元素であるNd、Pr、Dy、Tbの内、少なくとも一種を含む。Rは炭素数2〜6のアルキル基のいずれかであり、直鎖でも分枝でも良い。xは任意の整数である。)
    で表わされる有機金属化合物を磁石原料と共に溶媒中でビーズミルにより粉砕し、前記磁石原料を粉砕した磁石粉末を得るとともに前記磁石粉末の粒子表面に前記有機金属化合物を付着させる工程と、
    粉砕された前記磁石粉末を含む前記溶媒を真空乾燥により乾燥させ、前記溶媒を揮発させることによって前記有機金属化合物が粒子表面に付着された前記磁石粉末を得る工程と、
    前記有機金属化合物が粒子表面に付着された前記磁石粉末を加熱することによって粒子表面を再生する工程と、
    前記粒子表面が再生された磁石粉末を成形することにより成形体を形成する工程と、
    前記成形体を焼結する工程と、
    を有することを特徴とする永久磁石の製造方法。
  5. 前記粒子表面を再生する工程は、酸素分圧が10Pa以下の雰囲気において600℃〜1000℃の温度範囲で前記磁石粉末を所定時間保持することを特徴とする請求項4に記載の永久磁石の製造方法。
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