以下、本発明の一実施の形態の構成を図1ないし図7を参照して説明する。
図6において、11はいわゆるキャニスタ型の電気掃除機を示し、この電気掃除機11は、管部12と、この管部12が着脱可能に接続される掃除機本体13とを有している。
管部12は、掃除機本体13に連通接続される接続管部15と、この接続管部15の先端側に連通する可撓性を有するホース体16と、このホース体16の先端側に設けられた手元操作部17と、この手元操作部17の先端側に着脱可能に接続される延長管18と、この延長管18の先端側に着脱可能に接続される吸込口体としての床ブラシ19とを備えている。
手元操作部17には、把持部21がホース体16側へと突出し、この把持部21には、操作用の設定ボタン22が複数設けられている。
また、掃除機本体13は、本体ケース25を備え、この本体ケース25の内部には、図示しない隔壁が設けられている。そして、この隔壁の後側には、電動送風機27を収容する図示しない電動送風機室、および、電源コード31を出し入れ可能に巻回した図示しないコードリールを収容するコードリール室がそれぞれ区画されているとともに、隔壁の前側には、電動送風機27の吸込側に連通する本体集塵室35が区画され、この本体集塵室35に、集塵袋である紙パック、あるいはサイクロン分離装置などの集塵装置である集塵カップなどの集塵部が着脱可能に配置されている。また、隔壁には、本体集塵室35と電動送風機室とを連通する図示しない通気孔が形成されている。
本体ケース25は、例えば合成樹脂などにより形成され、上側が開口した下ケース37と、この下ケース37の上側後部である電動送風機室およびコードリール室を覆う上ケース38と、この上ケース38あるいは下ケース37に対して上下方向に回動可能に軸支され本体集塵室35を開閉可能とする本体蓋39とを備えている。そして、下ケース37の両側方には、掃除機本体13の走行用の大径の走行輪41(一方のみ図示)が回転自在に軸支されている。
上ケース38は、後部に、電動送風機室の下流側に連通する図示しない排気孔と、電源コード31を本体ケース25の外部に導出するための図示しないコード導出口とがそれぞれ開口形成されている。
本体蓋39は、後端側が回動可能に軸支されている。また、この本体蓋39には、接続管部15が接続される本体吸込口43が形成されている。したがって、この本体吸込口43は、本体ケース25の前部に位置している。
そして、電動送風機27は、図5に示すように、電動機であるモータ45と、このモータ45に接続されて回転される遠心ファン46と、これらモータ45と遠心ファン46との間に位置する整流板であるディフューザ47と、遠心ファン46およびディフューザ47の一部を覆う略円筒状のファンカバー48とを備えており、掃除機本体13の本体ケース25内に収容された図示しない制御手段により動作が制御される。なお、以下、便宜的に、モータ45側を下側、遠心ファン46側(ファンカバー48側)を上側として説明する。
モータ45は、本体部であるモータ本体部51と、このモータ本体部51を保持する胴体ケースとしてのフレーム52と、このフレーム52に取り付けられた一対のブラシ装置53とを有している。
モータ本体部51は、平面視で枠状の固定子55の内方に、回転子56が配置されて構成されている。
固定子55は、ステータ、あるいはフィールドとも呼ばれるもので、固定子本体としての平面視四角形状のフィールドコア61と、このフィールドコア61の所定位置に巻回された界磁巻線62とを有し、フレーム52とディフューザ47との間に配設されている。
フィールドコア61は、鉄板を多数積層して形成され、中心部に、回転子56が挿入される開口部64が開口されている。この開口部64は、内周側が回転子56の外周面に所定の間隙を介して対向している。
界磁巻線62は、フィールドコア61の開口部64の周囲に固定極であるN極およびS極を形成するものである。
また、回転子56は、ロータ、あるいは電機子すなわちアーマチュアとも呼ばれるもので、回転中心となる出力軸である回転軸66と、この回転軸66と一体に設けられた整流子67および回転子本体としてのアーマチュアコア68とを一体的に有している。
回転軸66は、軸方向の一端部である上端部が、ディフューザ47に挿通され、この上端部に遠心ファン46が接続されている。また、この回転軸66は、両端側がベアリング71,72によりそれぞれ回転自在に保持されている。
整流子67は、ブラシ装置53と摺接する複数の整流子片75を外周に備えており、回転軸66の下端側に位置している。
アーマチュアコア68は、例えば複数の鉄板を積層して形成された鉄心部77と、この鉄心部77の両端部を挟む絶縁体78とを有し、整流子67よりも上方に位置して固定子55の内周側に配置されている。また、このアーマチュアコア68の周囲には、リード線が巻回されており、コイルであるアーマチュアコイル79が構成されている。
アーマチュアコイル79は、固定子55の界磁巻線62により形成される固定極に対して磁気的に吸引あるいは反発される回転極であるN極あるいはS極を形成するもので、多数のリード線を巻回して形成され、各リード線の端部が、それぞれ整流子67の各整流子片75に電気的に接続されている。
また、フレーム52は、略有底円筒状の第1フレーム81とこの第1フレーム81の上端部に径方向に沿って配置された第2フレーム82とを有している。
第1フレーム81は、例えば金属、あるいは合成樹脂などにより形成され、内部にフィールドコア61を保持している。また、この第1フレーム81の上端部には、外側へとフランジ状に屈曲されたフランジ部84が形成されている。さらに、この第1フレーム81の下端部には、ベアリング71を保持するモータヘッド部85が凹設されている。そして、この第1フレーム81には、各ブラシ装置53が取り付けられるブラシ取付孔86が互いに対向する位置に開口形成されているとともに、これらブラシ取付孔86の間の位置に、複数の排気口87が開口形成されている。
第2フレーム82は、例えば金属、あるいは合成樹脂などにより形成され、両端部がねじ89を介して第1フレーム81の上端側のフランジ部84に固定されている。また、この第2フレーム82の中心部には、ベアリング72を内側に保持するベアリング保持部91が上側へと突出するように形成されており、このベアリング保持部91の外側が、ディフューザ47を固定する部分となっている。
各ブラシ装置53は、長手状のカーボンブラシ93と、このカーボンブラシ93の長手方向の一端側を保持するブラシ保持器94と、このブラシ保持器94に収容されカーボンブラシ93を長手方向の他端側へと付勢する付勢部材としてのばね95と、ブラシ保持器94に設けられカーボンブラシ93、家庭用商用交流電源、あるいは電池などの図示しない電源部、および、界磁巻線62側に電気的に接続された端子96とをそれぞれ有している。そして、ブラシ保持器94とともにカーボンブラシ93が第1フレーム81のブラシ取付孔86にねじ97を介して取り付けられ、カーボンブラシ93の長手方向の他端側がばね95の付勢により整流子片75に弾性的に摺接して電気的に接続されている。
遠心ファン46は、回転軸66と一体的に回転するもので、この回転により生じる空気との摩擦により発生する熱に対する耐熱性を有するように、例えばアルミニウムなどの金属によって形成されている。また、遠心ファン46は、円板状に設けられた第1プレートとしての第1シュラウドである下部ファンプレート105、この下部ファンプレート105に対して所定の間隙を介して略平行に対向し吸込口106を備えた円板状の第2プレートとしての第2シュラウドである上部ファンプレート107、および、これらファンプレート105,107の間に一体に設けられた平面視で渦巻状のブレードとしての動翼である複数のファン翼108を備えている。
下部ファンプレート105は、中心部に孔部113が開口形成されており、この孔部113に回転軸66が挿通されている。そして、この下部ファンプレート105は、中心側がファンワッシャ115,116により挟持され、これらファンワッシャ115,116および孔部113に挿通された回転軸66の先端に固定手段であるナット117が取り付けられることにより、回転軸66と一体的に接続されている。
上部ファンプレート107は、吸込口106の周囲へと上方に向けて湾曲状に湾曲されている。
各ファン翼108は、それぞれ遠心ファン46の中心側である一端側から外周側である他端側へと、遠心ファン46の回転方向に対して後側へと円弧状に湾曲して形成されており、互いに遠心ファン46の周方向に均等に配置されている。
また、ディフューザ47は、遠心ファン46から外周側へと吹き出された空気を整流してモータ45側へと導くもので、例えば合成樹脂などにより射出成形されており、モータ45と遠心ファン46との間に位置している。このディフューザ47は、図4および図5に示すように、平面視で略円形板状の整流板本体であるベース部121と、このベース部121の一主面である上面から上方へと突出した複数の第1整流ブレードとしての第1静翼である上流側静翼122と、ベース部121の他主面である下面から下方へと突出した複数の第2整流ブレードとしての第2静翼である下流側静翼123とを有している。そして、このディフューザ47は、ファンカバー48の内径よりも小さい外径を有している。換言すれば、このディフューザ47は、ファンカバー48に対して内周側に離間されている。このため、ディフューザ47の外方には、ファンカバー48との間に、共通風路125が区画されている。
ベース部121には、遠心ファン46が嵌合する平面視で円形状の嵌合凹部127が形成されている。したがって、このベース部121の嵌合凹部127の周囲である外周縁の上面には、各上流側静翼122が配置される平面視で円環状の段部128が形成されている。また、嵌合凹部127の略中心域には、下側へと窪んだ窪み部131が形成されている。この窪み部131の略中心部には、第2フレーム82のベアリング保持部91が下側から挿入される保持孔部132が開口形成されている。また、窪み部131の保持孔部132の両側には、ディフューザ47を第2フレーム82に固定するためのねじ133が上側から挿入されるねじ孔134が穿設されている。
各上流側静翼122は、可撓性を有する薄板状に形成されており、段部128の内縁部から外縁部に亘って配置されている。各上流側静翼122の上流端側は、段部128の内縁部に位置し、ベース部121に一体的に固定されているとともに、各上流側静翼122の下流端側は、段部128の外縁部に位置して、ベース部121に対して自由端状となっている。また、これら上流側静翼122は、上流端から下流端へと、段部128の平面視での接線方向に対して図4に示す時計回り方向に円弧状に湾曲している。さらに、各上流側静翼122は、ディフューザ47の周方向に互いに略均等に離間されて配置されている。すなわち、上流側静翼122は、全体として、図4に示す時計回り方向への渦巻状に配置されている。また、各上流側静翼122は、上端部がファンカバー48に対して気密に密着している。このため、互いに隣り合う上流側静翼122,122間には、ファンカバー48との間に、遠心ファン46から吹き出された空気を外周側へと整流する風路としての第1風路である上流側風路136がそれぞれ区画されている。
より詳細には、各上流側静翼122は、図1および図2に示すように、少なくとも時計回り方向前側に隣接する上流側静翼122の上流端部122aに対向する位置122bよりも若干上流撚りの位置から下流端側の下流部122cがベース部121に対して自由端状であり、この下流部122cに連続する上流端側の上流部122dがベース部121に対して固定されている。また、これら上流側静翼122は、ベース部121の段部128に形成された円弧溝状の凹部137に下流部122cの下端部、すなわちベース部121側の部分が嵌合しており、この凹部137内を、この凹部137に対して摺接するように移動可能となっている。そして、各上流側静翼122は、凹部137内で移動した状態でもベース部121と気密に密着しており、空気が通過する隙間などが形成されないように構成されている。
なお、これら上流側静翼122は、ディフューザ47を成形する際に、ベース部121と上流部122dとを一体成形し、下流部122cをベース部121に対して離間するように成形してもよいし、予め可撓性を有する部材によりベース部121と別体で成形した後、上流部122dのみをベース部121の段部128に接着剤などにより一体的に固定するように構成してもよい。
また、各凹部137は、各上流側静翼122の内側の位置に側壁137aを有し各上流側静翼122の外側の位置に側壁137bを有することで各上流側静翼122の移動範囲を規制するものである。したがって、各上流側静翼122は、位置122bよりも若干上流側の位置を支点として下流部122cが、凹部137内で内方および外方へと側壁137a,137bにより移動が規制されるように構成されている。そして、各凹部137の側壁137aは、風量0(無風)の状態、換言すれば電動送風機27(図5)の停止状態での各上流側静翼122の位置をそれぞれ規定している。このため、各凹部137は、各上流側静翼122の位置122bよりも若干上流側の位置からベース部121の段部128の外周縁部に亘って連続する円弧状に形成されている。
また、上流側風路136は、上流側から下流側へと徐々に拡開されるように形成されており、全ての上流側風路136の下流側が共通風路125に連通している。すなわち、各上流側風路136は、上流側の断面積が最も狭く形成されている。また、これら上流側風路136は、上流側静翼122の下流部122cがベース部121に対して変位することにより、断面積が可変するように構成されている。具体的に、上流側風路136は、風量が相対的に大きいとき、図1の想像線に示すように、遠心ファン46から外周側へと吹き出される空気に押されて各上流側静翼122の下流部122cが外方へと開くように弾性的に可撓変形して移動することで、各上流側静翼122に隣接する他の上流側静翼122の上流端部122aに対向する位置136aでの断面積(上流側風路136内を通過する空気の流れ方向に略直交する方向に沿う断面積)が相対的に拡大され、風量が相対的に小さいとき、図1の実線に示すように、遠心ファン46から外周側へと吹き出される空気に抗して各上流側静翼122の下流部122cが内方へと閉じるように復帰変形して移動することで、断面積が相対的に縮小されるように構成されている。
また、図4および図5に示すように、下流側静翼123は、ベース部121の他主面の外縁部から中心側へと連続して形成されており、ベース部121に対して一体形成されている。すなわち、各下流側静翼123の上流端部は、ベース部121の外縁部に位置し、各下流側静翼123の下流端側は、ベース部121の中心側に位置して、上流端から下流端へと、平面視で上流側静翼122に対して交差するように円弧状に湾曲して形成されている。また、各下流側静翼123は、ディフューザ47の周方向に互いに略均等に離間されて配置されている。このため、互いに隣り合う下流側静翼123,123間には、各上流側風路136からディフューザ47の外周側へと吹き出されたら空気を内周側(モータ45側)へと整流する第2風路である下流側風路138がそれぞれ区画されている。
下流側風路138は、上流側から下流側へと略風路断面積が一定となるように形成されており、全ての下流側風路138の上流側が共通風路125に連通している。また、これら下流側風路138の下流側は、第1フレーム81の内部に連通している。
なお、上流側静翼122と下流側静翼123とは、互いの枚数が異なっており、例えば本実施の形態では上流側静翼122が13枚、下流側静翼123が16枚形成されている。そして、このように上流側静翼122と下流側静翼123との枚数が異なっていることにより、図3に示すように、上流側風路136の下流開口136bの位置と、下流側風路138の上流開口138aの位置とは、ディフューザ47(ベース部121)の周縁部において、周方向に互いにずれている。したがって、図1の想像線に示すように上流側静翼122が移動(変形)した場合でも、これら上流側風路136の下流開口136bの位置と下流側風路138の上流開口138aとの位置関係は、互いにずれている。このため、上流側風路136の下流開口136bから下流側風路138の上流開口138aへの空気の流れが上流側静翼122の移動(変形)により悪化することはない。
また、図4および図5に示すファンカバー48は、例えばアルミニウムなどの金属によりプレス成形されており、モータ45のフレーム52の第1フレーム81のフランジ部84の外周縁部に圧入嵌合される円筒状のファンカバー本体141と、このファンカバー本体141の軸方向の一端である上端側に連続する端面部としての整流部である縮径部142とを一体に有している。
ファンカバー本体141は、ファンカバー48をフレーム52に対して取り付けた状態でディフューザ47の外周側に対向する部分であり、内周面が共通風路125を区画している。また、このファンカバー本体141には、周方向に沿って長孔状の通気口144が複数形成されている。
通気口144は、共通風路125とファンカバー48の外部(電動送風機27の外部)とを連通するもので、ファンカバー本体141の上流側風路136の下流側に対向する位置に、周方向に略均等に離間されて配置されている。また、全ての通気口144は、例えば互いに略等しい開口面積を有しており、これら通気口144の間のファンカバー本体141は、壁部145となっている。さらに、全ての通気口144は、長手寸法(周方向寸法)L1および上下寸法L2が互いに等しく設定されている。また、各通気口144は、各壁部145に対して周方向の長さが大きく形成されている。換言すれば、各通気口144の長手寸法(周方向寸法)L1は、通気口144,144間の距離L3よりも大きく設定されている。さらに、各通気口144は、ファンカバー48の径方向に向けて開口している。
ここで、通気口144は、例えば12個形成されている。換言すれば、通気口144と上流側風路136とは、互いに一方が他方に対して非整数倍の異数、好ましくは互いに素となるように形成されている。したがって、この通気口144と、ディフューザ47の上流側風路136の下流開口136bとの位置は、それぞれ周方向に互いにずれており、通気口144と上流側風路136の下流開口136bとの対向面積、換言すれば、周方向に沿う対向長さが、それぞれ異なっている。すなわち、通気口144と上流側風路136の下流開口136bとの対向面積は、ディフューザ47の周方向にランダムに(非周期的に)ばらついている。
縮径部142は、外周側から内周側へと、密着部としての額縁部147および吸気口区画部としての傾斜部148が連続して配置され、この傾斜部148の中央部に、丸孔状の吸気口149が開口形成されている。
額縁部147は、ディフューザ47の各上流側静翼122の上端部が下面に密着される平面視で円環状の部分であり、中心軸方向に対して略直交する方向に沿って平面状に形成されている。また、この額縁部147は、上面が隔壁の後部にモータクッションなどのシール体を介して気密に保持されている。このため、吸気口149が、隔壁の通気孔に気密に接続される。
傾斜部148は、外周縁部が額縁部147に対して上方に段差状に突出した段差部151となっており、この段差部151から中心側、すなわち吸気口149側に向けて徐々に上方へと突出するように傾斜し、かつ、吸気口149の外縁部で上方へと軸方向に沿って突出するように形成されている。ここで、この傾斜部148の段差部151は、ディフューザ47の嵌合凹部の位置に対応しており、遠心ファン46の外周縁部に対して若干外方へと離間されている。また、この傾斜部148の吸気口149の下側には、シール部材153が取り付けられており、このシール部材153が、遠心ファン46の吸込口106の外縁部に圧接されている。このため、吸気口149は、遠心ファン46の吸込口106に対して気密に接続されている。
次に、上記一実施の形態の掃除動作を説明する。
作業者が図6に示す把持部21を把持して所定の設定ボタン22を操作すると、制御手段が電動送風機27を設定ボタン22で設定した動作モードで駆動させる。
このとき、図5に示す電動送風機27において、固定子55では、電源部から供給され制御手段によって位相角制御された電源により、界磁巻線62およびフィールドコア61を介して、N極およびS極の固定極が開口部64に臨んで周方向に交互に形成される。
回転子56では、電源部から供給された電源がカーボンブラシ93を介して整流子67へと供給されることで、この整流子67の各整流子片75と接続されたアーマチュアコイル79にそれぞれN極、あるいはS極の回転極が発生する。
この結果、固定子55側の固定極に対して回転子56側の回転極が磁気的に吸引・反発することで、開口部64内で回転子56が周方向に回動する。
そして、回転子56の回転に伴い、カーボンブラシ93に接触する整流子67の整流子片75が変化することにより、アーマチュアコイル79に形成される回転極の極性が切り換わることで、固定子55側の固定極との磁気的な吸引・反発がさらに継続されて、回転子56がさらに回動する。
これら動作を繰り返すことで、回転子56が周方向に継続して回転する。
この回転子56の回転に伴い、回転軸66に接続された遠心ファン46が回転し、ファンカバー48の吸気口149から吸込口106を介して空気をファンプレート105,107間に吸い込み、この吸い込んだ空気を、遠心ファン46の外周側へと吹き出す。
この遠心ファン46から吹き出された空気は、ディフューザ47の上流側静翼122,122間の各上流側風路136によりディフューザ47の外周方向へと渦巻状に整流される。
このとき、各上流側風路136に流れ込む風量が相対的に大きい場合には、図1の想像線に示すように各上流側静翼122の下流部122cが外方へと開くように凹部137内を移動して、各上流側風路136の位置136aでの断面積が相対的に拡大する。この結果、真空度が若干低下するものの、上流側風路136を通過させる風量を確保できる。一方、各上流側風路136に流れ込む風量が相対的に小さい場合には、図1の実線に示すように各上流側静翼122の下流部122cが内方へと閉じるように凹部137内を移動して、各上流側風路136の位置136aでの断面積が相対的に縮小する。この結果、少ない風量時でも真空度を確保できる。したがって、真空度と風量との積で設定される電動送風機27の吸込仕事率が大きい風量帯域幅が相対的に広くなる。例えば、図7のグラフに示すように、上記電動送風機27の吸込仕事率P1が所定の吸込仕事率P以上となる風量帯域幅W1は、真空度を高めることにより吸込仕事率を確保する従来例の電動送風機、すなわち従来例の真空度型の電動送風機の吸込仕事率P2での所定の吸込仕事率P以上となる風量帯域幅W2、および、風量を増加させることにより吸込仕事率を確保する従来例の電動送風機、すなわち従来例の風量型の電動送風機での吸込仕事率P3での所定の吸込仕事率P以上となる風量帯域幅W3よりも、それぞれ広くなる。
この後、図4および図5に示す各上流側風路136により整流された空気は共通風路125に流入し、一部が壁部145に接触しながら通気口144を介してファンカバー48の外部である電動送風機室へと排出されるとともに、残りの他部が、ディフューザ47の外周側から、下流側静翼123,123間の各下流側風路138へと流入する。そして、各下流側風路138へと流入した空気は、ディフューザ47の中心側へと渦巻状に整流され、第2フレーム82の両側などから第1フレーム81内へと吸い込まれ、モータ45を内部から直接冷却しつつ排気口87からフレーム52の外部である電動送風機室へと排出される。
このとき、各上流側風路136を通過する風量が相対的に大きい場合には、上記のとおり、各上流側静翼122の下流部122cがファンカバー本体141の内周面へと相対的に近づくように、換言すれば下流部122cの端部のファンカバー本体141の内周面に対する傾斜角度が相対的に大きくなるように移動している(図1の想像線)。このため、図1の矢印A1に示すように、これら上流側静翼122により整流されて共通風路125へと流入する空気の方向において、ファンカバー本体141の内周面に対して交差する成分(法線方向の成分)が相対的に大きくなる。この結果、通気口144を介してファンカバー48の外部へと排出される空気の量が相対的に増加し、各下流側風路138へと流入する空気が相対的に減少する。一方、各上流側風路136を通過する風量が相対的に小さい場合には、各上流側静翼122の下流部122cがファンカバー本体141の内周面から相対的に離間されるように、換言すれば下流部122cの端部のファンカバー本体141の内周面に対する傾斜角度が相対的に小さくなるように移動している(図1の実線)。このため、図1の矢印A2に示すように、これら上流側静翼122により整流されて共通風路125へと流入する空気の方向において、ファンカバー本体141の内周面に沿う(周方向の成分)が相対的に大きくなる。この結果、通気口144を介してファンカバー48の外部へと排出される空気の量が相対的に減少し、各下流側風路138へと流入する空気が相対的に増加する。
すなわち、各上流側風路136を通過する風量が相対的に大きい場合には、通気口144を介してファンカバー48の外部へと空気をより多く排出して、電動送風機27の吸込仕事率をより向上する。このとき、各下流側風路138へと流入する空気の比率は相対的に下がるものの、各上流側風路136を通過した空気の総量が大きいため、各下流側風路138へと流入する空気の総量は低下せず、モータ45の冷却効率が確保される。また、各上流側風路136を通過する風量が相対的に小さい場合には、通気口144を介して必要以上にファンカバー48の外部へと空気を排出しないようにして、各下流側風路138へと流入する空気の比率を相対的に上げることで、モータ45の冷却効率が確保される。
そして、電動送風機室へと排出された空気は、図示しない排気孔を介して本体ケース25(図6)の外部へと吹き出される。この結果、電動送風機27の吸込側に負圧が発生する。
この負圧の作用により、床ブラシ19の先端側から床面上の塵埃を空気とともに吸い込むと、この吸い込まれた空気は吸込風となり、塵埃とともに床ブラシ19から延長管18、ホース体16および本体吸込口43を経由して、集塵部へと吸い込まれ、この集塵部で塵埃が捕集される。
掃除が終了すると、作業者が所定の設定ボタン22を操作することで、制御手段が電動送風機27の駆動を停止させる。
このように、各上流側静翼122に隣接する他の上流側静翼122の少なくとも上流端部122aに対向する位置136aでの上流側風路136の断面積を通過風量の増減に対応して増減させることにより、風量が相対的に少ない場合には真空度を相対的に増加させて真空度型の電動送風機に近づけ、風量が相対的に多い場合には相対的に真空度を減少させて風量を確保した風量型の電動送風機に近づけて、風量と真空度との積により設定される吸込仕事率を広い風量帯域幅で確保でき、所定以上の吸込仕事率を得ることが可能な風量帯域幅を広げることができる。
具体的に、可撓性を有する上流側静翼122の上流端側である上流部122dをベース部121に固定し、少なくとも隣接する他の上流側静翼122の上流端側に対向する位置122bから下流端側である下流部122cをベース部121に対して可動的とすることにより、風量の増加に伴って上流側静翼122が弾性的に可撓変形して移動することで上流側風路136の位置136aでの断面積を増加させ、風量の減少に伴って上流側静翼122が復帰変形して移動することで上流側風路136の位置136aでの断面積を減少させるので、通過風量の増減に対応して上流側風路136の断面積を増減させる構成を、容易に形成できる。
また、ベース部121に、上流側静翼122の移動によりこれら上流側静翼122と摺接するとともに、これら上流側静翼122の移動範囲を規制する凹部137を形成することにより、上流側風路136に流入した空気が上流側静翼122の移動に伴ってこれら上流側静翼122とベース部121との隙間などから漏れることを確実に防止できるとともに、上流側静翼122が必要以上に移動することを確実に防止できる。
さらに、ファンカバー48のディフューザ47の外周側に対向する内周面に通気口144を周方向に複数形成することにより、通過風量に応じた上流側静翼122の移動に伴う通気口144に対する角度の変化を利用して、風量が相対的に大きい場合には、通気口144から外部へと排出される空気の割合を相対的に増加させて、モータ45の冷却効率を確保しつつ吸込仕事率をより向上できるとともに、風量が相対的に小さい場合には、通気口144から外部へと排出される空気の割合を相対的に減少させ、モータ45内へとより多くの空気を流して、モータ45の冷却効率を確保できる。
そして、上記電動送風機27を電気掃除機11に用いることにより、所望の吸込仕事率が異なる複数機種の電気掃除機11に対して電動送風機27のみで対応することも可能となり、吸込仕事率が異なる電動送風機を多機種用意する必要がない。しかも、電気掃除機11では、集塵部での集塵量に対応して風量が絶えず変化するので、幅広い風量帯域で高い吸込仕事率を得ることができる上記電動送風機27を用いることで、電気掃除機11の吸塵性能を高めることが可能になる。
なお、上記一実施の形態において、電気掃除機11の細部は、上記構成に限定されるものではない。
さらに、電動送風機27は、電気掃除機11だけでなく、産業用のブロワあるいはポンプなどに用いることもできる。