JP5492989B2 - 注射装置 - Google Patents

Description

背景
本発明は、安全かつ信頼性の高い方法で薬物を投与するための注射装置に関する。

ある程度の自動機能を有する注射装置の取扱いおよび安全面、ならびに緊急事態における即時の利用可能性が、この種の装置を開発する際に多くの注意を引く問題である。

これらの装置のうちのいくつかは、たとえば装置が注射部位に配置される前にユーザが引金ボタンに接触した場合の意図しない起動を回避するために、注射が起動される前に二段階操作のような安全面を有する。しかし、これらの解決策の多くは、相当に嵩張り、また、動作もしくは協動し、連続して互いにトリガし（trigging）、誤作動に繋がり得る多くの構成要素に依拠するかまたは装置が複雑となり、ゆえに使い勝手が良くない。

高度な自動操作を利用する１つの装置が国際出願公開ＷＯ０２／７４７７４に記載されている。当該装置は、注射器の前方端が注射部位に押付けられた場合にのみ、押しボタンによって注射、つまり貫通および注射を起動させることができる自動注射器である。注射器を当該部位に押付け、次いでボタンを押下げる順序でなければならない一種の２段階操作として設計される。他の順序のシーケンスは、装置の起動に繋がらない。これにより、単にボタンを押しても、ボタンを押し次いで前方端を押しても、注射器が偶発的に起動することができないことが確実となる。

米国特許第５，１３７，５１６号は、別の種類の自動的に操作される注射装置を開示する。ユーザは、まず内部シャフトおよびスリーブアセンブリを移動させるために、装置を皮膚に押付ける。次いで起動ボタンが押下げられ、ボタンアームに固定クリップのアームを広げさせる。これらのアームの分離によってプランジャロッドの頭部が解放され、次いで主コイルばねの力の下で前方に移動される。プランジャロッドは、まずシリンジばねの力に対抗してシリンジ全体を移動させる。針が皮膚を貫通すると、シリンジプランジャがプランジャロッドによって押下げられ、シリンジを空にする。特許考案の主ばねは、新たなシリンジアセンブリの再装填後に再発射され得る。そのような再装填は、シリンジピストンによって装置のプッシャロッドに直接加えられる力によって行われる。

上記の装置が良く機能し、高度な安全性および使い勝手の良さを示すことが分かっていても、そのような装置の改良に対する要望が常にあり、それらの中には、コストを下げると同時に装置の機能の信頼度を維持するかまたは一層改良するために製造および組立を単純化するための機構の設計がある。

概要
発明は、複雑でなく使用しやすく、使用の前、最中および後のいずれにおいても安全であり、高度な機能性を示す注射装置を提供する。

発明の一局面によれば、注射装置は、対向する近位および遠位端を有するおおむね細長い筒状のハウジングと、ハウジングの内部に摺動可能かつ同軸に配置され、ハウジングの近位端の外側においてある距離突出する針シールドスリーブと、針シールドスリーブに摺
動可能かつ同軸に配置されたシリンジ担体を含むシリンジ担体機構とを含み、上記シリンジ担体は、薬剤および針を有するシリンジを含み、さらに、ハウジングに摺動可能かつ同軸に配置され、上記針シールドスリーブに接続された第１の起動部材と、第１の起動部材に摺動可能かつ同軸に配置された作動部材と、作動部材およびシリンジ担体機構に摺動可能かつ同軸に配置された駆動機構とを含み、上記駆動機構は作動部材によって制御され、さらに、ハウジングの遠位端に摺動可能かつ同軸に配置され、作動部材に固定して接続された第２の起動部材を含み、第１および第２の起動部材は、起動部材が互いに当接している非起動位置から、上記起動部材が起動されるシーケンスとは無関係に起動部材が共同動作している起動位置まで、互いに同軸に移動可能であり、第１の起動部材が最初に活性化されて第２の起動部材が続いて活性化されるかまたは第２の起動部材が最初に活性化されて第１の起動部材が続いて活性化されるかのいずれかであり、作動部材は、起動位置においてのみ、針を貫通させるように上記シリンジ担体機構を移動させるために、かつ針を通って上記薬剤を送出するために駆動機構を解放することが可能である。

発明の別の局面によれば、駆動機構は、シリンジに作用するように配置されたプランジャロッドと、プランジャを駆動するように配置された第１の圧縮ばねとを含む。

発明のさらなる局面によれば、作動部材は、環状の内方に向けられた棚状部を有する可撓性の舌を含み、プランジャロッドは、棚状部が溝に嵌合するように棚状部の形状と共通の形状を有する周方向の溝を含む。

発明のさらに別の局面によれば、プランジャは、プランジャロッドの溝に位置する作動部材の舌の、内方に向けられた棚状部と、舌を包囲しかつ舌が径方向外方に移動することを防ぐ第１の起動部材とによって、第１の圧縮ばねの力に対抗して保持される。

発明のさらなる局面によれば、おおむね細長い筒状のハウジングは、遠位ハウジング部分と近位ハウジング部とを含み、遠位ハウジング部分は、作動部材の遠位部分の形状を有する貫通孔を有する環状の横断壁を含み、上記遠位部分は、作動部材の径方向外方に延在する停止棚状部の遠位面が環状の横断壁の近位面に当接するまで、上記貫通孔を通って遠位方向に突出する。

発明のさらに別の局面によれば、作動部材の径方向外方に延在する停止棚状部の遠位面は、送出が完了したことを示す可聴信号を与えるために、環状の横断壁の近位面に当たるように配置される。

注射器は、小型でありなおかつ信頼性の高い、あまり構成要素がない注射装置を得るために、多数の径方向かつ軸方向に共同動作する手段を含む。これは、作動部材および第１の起動部材が互いに相互作用し、駆動機構を径方向に保持しロックすることを示唆し、これは使用までの長期間駆動機構をロックし格納する安全な方法である。利点として、ユーザは使用前に装置を装備する必要はない。第１の起動部材に最終的に接続される針シールドスリーブを注射部位に押付けると、第１の起動部材は、作動部材に関して軸方向に移動するが、駆動機構が解放されるほどは移動しない。次いで駆動機構を解放するステップが装置の遠位端において第２の起動部材たとえば押しボタンによって行なわれ、駆動機構が解放され、それによりプランジャロッドが解放されてシリンジ内のストッパに作用するまで、当該作動部材を第１の起動部材に関して軸方向に移動させる。

装置には、針シールドが注射部位から回収されると針を包囲する延長された位置に針シールドを付勢する第２の圧縮ばねと、注射およびその後の廃棄後に偶発的な針刺しを回避するために、針シールドを当該延長位置にロックするためのロック機構とがさらに設けられる。装置は、注射／送出が終わった際に信号を与えるための可聴信号伝送機構も設けられ、それにより第１の圧縮ばねからの残留力は、作動部材の一部がハウジングの一部に当たるように作動部材を遠位方向に移動させるために使用される。

本発明によるこれらおよび他の局面ならびに利点は、以下の詳細な説明と添付の図面とから明らかとなるであろう。

図面の簡単な説明
発明の以下の詳細な説明において、添付の図面が参照される。

本発明に含まれる装置の斜視図を示す。 本発明に含まれる細長いハウジングのない装置の斜視図を示す。 本発明に含まれる装置の遠位部分の分解図を示す。 本発明に含まれる装置の近位部分の分解図を示す。 本発明に含まれる装置の遠位ハウジング部分の遠位図を示す。 図１の実施例の横断側面図の斜視図を示す。 図１に関して９０°の平面における図１の実施例の横断側面図の斜視図を示す。 図１に関して９０°の平面における図１の実施例の横断側面図である。 図１の実施例の横断側面図である。 針シールドが起動された際の図１の実施例の横断側面図である。 針シールドが起動された際の、図１に関して９０°の平面における図１の実施例の横断側面図である。 押しボタンが起動された際の図１の実施例の横断側面図である。 押しボタンが起動された際の、図１に関して９０°の平面における図１の実施例の横断側面図である。 針シールドおよび押しボタンの両方が起動された際の、図１に関して９０°の平面における図１の実施例の横断側面図である。 針シールドおよび押しボタンの両方が起動された際の、図１の実施例の横断側面図である。 注射が行なわれた後の図１の実施例の横断側面図である。 注射が行なわれた後の、図１に関して９０°の平面における図１の実施例の横断側面図である。

詳細な説明
本出願において、用語「遠位部分／端」は、装置の部分／端部または装置の部材の部分／端部を指し、装置の使用下において患者の送出部位から最も離れて位置する。対応して、用語「近位部分／端」は、装置の部品／端または装置の部材の部分／端を指し、装置の使用下において患者の送出部位に最も接近して位置する。

図面に示される本発明の実施例は注射装置であり、対向する近位および遠位端を有するおおむね細長い筒状のハウジングと、ハウジングの内部に摺動可能かつ同軸に配置され、ハウジングの近位端の外側においてある距離突出する針シールドスリーブと、針シールドスリーブに摺動可能かつ同軸に配置されたシリンジ担体を含むシリンジ担体機構とを含み、上記シリンジ担体は、薬剤および針を有するシリンジを含み、さらに、ハウジングに摺動可能かつ同軸に配置され、上記針シールドスリーブに接続された第１の起動部材と、第１の起動部材に摺動可能かつ同軸に配置された作動部材と、作動部材およびシリンジ担体機構に摺動可能かつ同軸に配置された駆動機構とを含み、上記駆動機構は作動部材によって制御され、さらに、ハウジングの遠位端に摺動可能かつ同軸に配置され、作動部材に固定して接続された第２の起動部材を含み、第１および第２の起動部材は、起動部材が互いに当接している非起動位置から、上記起動部材が起動されるシーケンスとは無関係に起動部材が共同動作している起動位置まで、互いに同軸に移動可能であり、作動部材は、起動位置においてのみ、針を貫通させるように上記シリンジ担体機構を移動させるために、かつ針を通って上記薬剤を送出するために駆動機構を解放することが可能である。

図１に見られるように、細長いハウジングは、近位ハウジング部分１２および遠位ハウジング部分１０を含む。近位ハウジング部分１２は、シリンジ１６を見るための細長い開口部１４を有して配置される。近位ハウジング部分の遠位端は、たとえば遠位近位部分の近位外面上の対応する係合手段と整合するように適合化された、たとえばその内面上の環状の凹部である係合手段を有して配置される。

以下針シールドと称する図２の針シールドスリーブ２０は、ある直径を有する第１の近位部分２２と、近位部分より大きな直径を有する第２の遠位部分２４とを含み、これらの部分は、図４の中間円錐形部分２６によって連結される。同じくシリンジを見るために、針シールドの両側に針シールドに沿って細長い２本の溝２８が配置される。図２。円錐形部分の内面上には、周方向棚状部３０が配置される。図４。針シールドの遠位端には２つの開口部３２が互いに対向して配置され、各開口部はやや内方に突出する可撓性の舌３４を有して配置される。図４。

針シールド２０の内部に摺動可能かつ同軸に配置されるシリンジ担体３６は、おおむね筒状体の形態を有する。図４。シリンジ担体の近位部分は、直径がより小さいネック部３８を有して配置される。図４。ネック部に隣接して、いずれかの側に切欠が作成されており、ガイド面を形成する。これらの表面は、針シールドに対するシリンジ担体の回転に対抗する停止機構を得るために、針シールドの内面の対応する形状と協動する。シリンジ担体の遠位端は２つの遠位方向に延在する舌４２を有して配置され、各舌は、開口部４４と、各開口部の遠位端上において内方に向けられた棚状部とを有して配置される。図４。シリンジ担体はさらに、シリンジ担体壁と内部に配置されるシリンジとの間に空間を得るために、その内面上において径方向内方に向けられたフランジを有して配置される。シリンジ担体機構は、保持部材６８をさらに含む。図３。その円周の周りに配置された環状の棚状部７２と、装置の遠位端の方に向けられた多数の可撓性の舌７８とを有するリング形状の本体７０を含み、各舌７８は、径方向内方に向けられた棚状部７４を有して配置される。

以下に記載されるように、ハウジングに摺動可能にかつ同軸に配置され、上記針シールドスリーブに接続される第１の起動部材１１０は筒状の形状を有し、その外面上の棚状部１１４で終端する円錐形部分１１２を有する近位端を含む。図３。棚状部１１４からある距離のところに、第１の環状リング１１６が外面上に配置される。図３。第２の環状リング１１８も、棚状部１１４からさらなる距離のところに配置される。図３。第１の起動部材の遠位端は、おおむね長方形状の少なくとも２つの対向して配置された切欠１２０を有して配置される。さらに、第１の起動部材の遠位端は、装置の遠位方向に延在する少なくとも２つの対向して配置されたガイド部材１２１も有して配置される。図３。

第１の起動部材１１０に摺動可能かつ同軸に配置される作動部材８０は、主として筒状の形状を有する。多数の長手方向に向けられた切欠８８が、可撓性の舌９０を形成するように作動部材の前方部分に配置される。図３。各可撓性の舌９０の近位端は、直径が拡大した帯形状部分８４に接触する傾斜した移行面８２を有する。図３。移行面８２に隣接する内面上には、環状の内方に向けられた棚状部８６が配置される。作動部材には、いずれかの側の外面から径方向外方に向けられた、２つの対向して配置された停止棚状部９２も設けられており、上記停止棚状部９２の幅は、第１の起動部材の切欠１２０の幅に相当する。図３。作動部材には、長手方向に延在するガイドトラック９４を形成する、いずれかの側の外面から径方向外方に向けられた少なくとも２つの対向する棚状部９１がさらに設けられており、各ガイドトラックは、第１の起動部材の各ガイド部材１２１と噛合うように配置される。図３。さらに、作動部材には、横断遠位端壁１００および２つの遠位方向に延在する係合手段１０１も設けられている。

作動部材とシリンジ担体機構とに摺動可能かつ同軸に配置される駆動機構は、シリンジのストッパに作用するように配置されたプランジャロッド６０と、プランジャロッドを駆動するように配置された第１の圧縮ばね（図示せず）とを含む。プランジャロッド６０は、使用されるシリンジ本体の内径より若干小さい外径を有するチューブとして形成される。プランジャ６０は、ある幅の周方向の溝６２を有して配置され、作動部材８０の環状の内方に向けられた棚状部８６と、保持部材の径方向内方に向けられた棚状部７４とが嵌合する。図３。第１の圧縮ばねは、プランジャロッドに、たとえばプランジャロッド（図示せず）の内部に配置され、ガイドロッド６６は、第１の圧縮ばねの内部に配置される。図３。

第２の起動部材１０２、たとえば押しボタンは、横断遠位壁の内面上に配置された対応する係合手段によって、作動部材８０の遠位方向に延在する係合手段１０１に固定して取付けられるように配置される。さらに、第２の起動部材は、遠位ハウジング部分から遠位方向に突出する遠位部を有する。第２の起動部材１０２は、２つの第１の舌１０４および装置の近位方向に向けられた少なくとも２つの第２の舌１０３も含み、各第１の舌１０４は、径方向内方に延在する棚状部１０５を有する。図３。

装置はさらに、第１の起動部材１１０上に同軸に配置される、以下針シールドばねと称する第２の圧縮ばね１２２を含む。針シールドばねの環状の近位端は第２の環状リング１１８上に静止して配置され、針シールドばねの環状の遠位端は、作動部材８０の停止棚状部９２の近位面上に静止して配置される。図２。

図５に見られるように、装置は、遠位ハウジング部分１０の内面上に配置される整合手段も含む。上記整合手段は、作動部材８０の遠位部分の形状を有する貫通孔２０１を有する環状の横断壁２００を含み、上記遠位部は、作動部材の停止棚状部９２の遠位面が環状の横断壁２００の近位面に当接するまで、上記貫通孔２０１を通って遠位方向に突出する。貫通孔２０１の形状により、第１の起動部材のガイド部材１２１を通過させることも可能となる。整合手段はさらに、横断壁２００の環状の遠位面に隣接する少なくとも２つの遠位方向かつ長手方向に延在する棚状部２０２を含み、各棚状部は、その遠位端において傾斜部を含む。また、各棚状部２０２の前方かつ所定の距離のところにおいて、遠位方向に延在する突出部２０３が環状の横断壁２００の遠位面から突出する。

発明に係る装置の機能について、図６〜図１２を参照して説明する。
装置が組立てられ、第１および第２の起動部材が互いに同軸に移動可能であるが、起動部材が互いに当接している非起動位置にあるとき、プランジャは、プランジャ６０の溝６２に位置する作動部材８０の舌９０の、内方に向けられた棚状部８６と、舌９０を包囲し、舌９０が径方向外方に移動することを防ぐ第１の起動部材１１０とによって、第１の圧縮ばねの力に対抗して保持される。図６。さらに、保持部材の棚状部７４も溝６２に配置される。図７。針シールドの前方端の一部が近位ハウジング部分の前方端を通って近位方向に突出するように、シリンジ１６、シリンジ担体３６および針シールド２０が近位ハウジング部分に同軸に配置される。図６。遠位ハウジング部分は、係合手段によって近位ハウジング部分に固定して取付けられ、細長い筒状のハウジングを形成する。シリンジ担体３６の各開口部４４の遠位端縁上の内方に向けられた棚状部は、保持部材６８の環状の棚状部７２の遠位端表面を通過し、同時に針シールド２０の舌３４が第１の起動部材１１０の棚状部１１４の遠位面に嵌合する。図８ａおよび図８ｂ。第２の起動部材１０２の径方向内方に延在する各棚状部１０５は作動部材８０の棚状部９１に当接し、第２の起動部材１０２の各第１の舌１０４の近位端は、第１の起動部材１１０のガイド部材１２１の各傾斜面に当接する。図６。さらに、第２の起動部材１０２の各第２の舌１０３の近位面は、遠位ハウジング部分の内面上において、横断壁２００の環状の遠位面に隣接して、各長手方向に延在する棚状部２０２の傾斜面に面する。図８ａ。

以下に記載されるように、第１および第２の起動部材は、起動部材が起動されるシーケンスと無関係に共同動作するように配置される。

第１の起動部材がまず起動され、その後第２の起動部材が起動される。
針シールドの突出する前方端部分が図９ａおよび図９ｂで第２の圧縮ばね１２２の力に対抗してまず近位ハウジング部分に遠位方向に押込まれると、針シールドの遠位端が第１の起動部材１１０の第１の環状リング１１６に接触し、その移動は第１の起動部材を遠位方向に移動させ、それによって第１の起動部材１１０の各ガイド部材１２１が第２の起動部材１０２の各第１の舌１０４の近位端の下に入り、帯形状部分８４の一部が第１の起動部材１１０の包囲から出る。図９ａ。しかし、第２の起動部材を押す前にユーザが注射部位から注射器を取除いた場合、圧縮ばね１２２が作動スリーブ１１０を押し、それにより針シールド２０を当初の位置に押戻すことになる。

第２の起動部材がまず起動され、その後第１の起動部材が起動される。
第２の起動部材が図１０ａおよび図１０ｂで近位方向に押されると、第２の起動部材１０２の各第１の舌１０４が第１の起動部材１１０の各ガイド部材１２１の上に来る。作動部材も近位方向に距離「Ｄ」移動され、それにより帯形状部分８４の一部が第１の起動部材１１０の包囲から出る。図１０ｂ。しかし、針シールドを注射部位に押付ける前にユーザが第２の起動部材を解放した場合、遠位ハウジング部分の内面上の各長手方向に延在する棚状部２０２の傾斜面に作用する第２の起動部材１０２の第２の舌１０３の弾性が、第２の起動部材をその当初の位置に押戻すことになる。

第１および第２の起動部材が、起動部材が互いに当接する非起動位置から、上記起動部材が起動されるシーケンスとは無関係に起動部材が共同動作している起動位置まで、互いに対して同軸に移動可能であり、作動部材は、起動位置においてのみ、針を貫通させるように上記シリンジ担体機構を移動させるために、かつ針を通って上記薬剤を送出するために駆動機構を解放することが可能である場合を以下に説明する。

上記のように後で針シールドを注射部位に押付ける前に、またはその後針カバーを注射部位に押付けた後のいずれかにおいて第２の起動部材が近位方向に押されると、これにより作動部材が近位方向に距離「Ｄ」移動され、それによって作動部材８０の帯形状部分８４が第１の起動部材１１０の包囲から完全に出て、作動手段の舌９０の弾性特性によって舌９０の近位端が径方向外方に屈曲し、棚状部８６をプランジャロッドの溝６２から外に移動させ、次いで圧縮された第１の圧縮ばねの力により自由に近位方向に移動する。図１１ａおよび図１１ｂ。作動部材８０の傾斜した移行遠位面８２は、第１の起動部材１１０の棚状部１１４の近位端表面に対して静止し、作動部材の停止棚状部９２の遠位面を、遠位ハウジング部分の環状横断壁２００の近位面から距離「Ｄ」のところに保持する。プランジャの近位方向への移動中に、保持部材６８の棚状部７４も溝から外に移動される。なぜなら、保持部材のアーム７８が作動機構の帯形状部分によって適所に保持されなくなるためである。

第１の圧縮ばねの力は、シリンジ１６のストッパを押すようにプランジャを付勢する。しかし、ストッパとシリンジ壁との間の摩擦、シリンジ内の液体の非圧縮性、および針を通るごく小さい流路により、当該力がシリンジとシリンジ担体とを近位方向に押すことになり、それにより針が患者の皮膚を貫通する。貫通は、ネック部を包囲するシリンジ担体の近位面が針シールド内部に配置された棚状部に当接すると停止する。第１の圧縮ばねからの力は、シリンジ内部のストッパを近位方向に移動させ、ストッパがシリンジの内部近位端に到達するまで、液体薬剤が患者に注射される。液体薬剤が注射され、プランジャロッドの遠位端が作動機構の棚状部８６を通過した後で、舌９０が径方向内方に移動される。第１の圧縮ばねは作動部材にも作用しており、かつ残留力を有するため、作動部材は第１の起動部材の内部において遠位方向に距離「Ｄ」移動され、それによって作動部材の停止棚状部９２の遠位面が遠位ハウジング部分の環状横断壁２００の近位面に当たり、送出たとえば注射が完了したことと、装置が注射部位から安全に取除くことができることとを示す可聴信号を患者に与える。

装置を注射部位から取除かれると、針シールドばねの力が第１の起動部材としたがってそれに接続されている針シールドとを近位方向に押し、それによって針シールドが近位ハウジング部分の前方端から近位方向に押出され、針を包囲する。

第１の起動部材の移動により、作動部材８０の帯形状部分８４が第１の起動部材の内面上に配置されたリブ１１１を通過する。図１２ｂ。リブは作動部材８０の帯形状部分８４の前方端に当接することになるため、これらのリブは、針シールドを遠位方向に装置に押込むいずれの試みも防ぐ。針シールドはこのようにしてロックされ、意図しない針刺しを防ぐ。

上記のとおり、駆動機構を解放するために、第２の起動部材およびしたがって作動部材の両方と、針シールドおよびしたがって第１の起動部材との移動が必要とされる。第２の起動部材が押下げられているものの針シールドが注射部位に押付けられていない場合は、貫通および注射動作は解放されない。また、針シールドが注射部位に押付けられているものの第２の起動部材は押下げられていない場合は、貫通および注射動作は解放されない。

上記し図面に示された実施例は、特許請求項によって定義される発明の非限定的な例と見なされるべきであると理解されるべきである。

Claims (8)

1. 注射装置であって、
   対向する近位および遠位端を有するおおむね細長い筒状のハウジングと、
   ハウジングの内部に摺動可能かつ同軸に配置され、ハウジングの近位端の外側においてある距離突出する針シールドスリーブ（２０）と、
   針シールドスリーブに摺動可能かつ同軸に配置されたシリンジ担体（３６）を含むシリンジ担体機構とを備え、前記シリンジ担体は、薬剤および針を有するシリンジ（１６）を含み、さらに、
   ハウジングに摺動可能かつ同軸に配置され、前記針シールドスリーブに接続された第１の起動部材（１１０）と、
   第１の起動部材に摺動可能かつ同軸に配置された作動部材（８０）と、
   作動部材およびシリンジ担体機構に摺動可能かつ同軸に配置された駆動機構とを備え、前記駆動機構は作動部材によって制御され、さらに、
   ハウジングの遠位端に摺動可能かつ同軸に配置され、作動部材に固定して接続された第２の起動部材（１０２）を備え、第１および第２の起動部材は、起動部材が互いに当接している非起動位置から、前記起動部材が起動されるシーケンスとは無関係に起動部材が共同動作している起動位置まで、互いに同軸に移動可能であり、第１の起動部材が最初に活性化されて第２の起動部材が続いて活性化されるかまたは第２の起動部材が最初に活性化されて第１の起動部材が続いて活性化されるかのいずれかであり、作動部材は、起動位置においてのみ、針を貫通させるように前記シリンジ担体機構を移動させるために、かつ針を通って前記薬剤を送出するために駆動機構を解放することが可能である、注射装置。
2. 駆動機構は、シリンジに作用するように配置されたプランジャロッド（６０）と、プランジャを駆動するように配置された第１の圧縮ばねとを含む、請求項１に記載の注射装置。
3. 作動部材（８０）は、環状の内方に向けられた棚状部（８６）を有する可撓性の舌（９０）を含み、プランジャロッドは、棚状部が溝に嵌合するように棚状部（８６）の形状と共通の形状を有する周方向の溝（６２）を含む、請求項２に記載の注射装置。
4. プランジャロッドは、プランジャロッド（６０）の溝（６２）に位置する作動部材（８０）の舌（９０）の、内方に向けられた棚状部（８６）と、舌（９０）を包囲しかつ舌（９０）が径方向外方に移動することを防ぐ第１の起動部材（１１０）とによって、第１の圧縮ばねの力に対抗して保持される、請求項３に記載の注射装置。
5. おおむね細長い筒状のハウジングは、遠位ハウジング部分と近位ハウジング部とを含み、遠位ハウジング部分は、作動部材（８０）の遠位部分の形状を有する貫通孔（２０１）を有する環状の横断壁（２００）を含み、前記遠位部分は、作動部材の径方向外方に延在する停止棚状部（９２）の遠位面が環状の横断壁（２００）の近位面に当接するまで、前記貫通孔（２０１）を通って遠位方向に突出する、請求項４に記載の注射装置。
6. 作動部材の径方向外方に延在する停止棚状部（９２）の遠位面は、送出が完了したことを示す可聴信号を与えるために、環状の横断壁（２００）の近位面に当たるように配置される、請求項５に記載の注射装置。
7. 第１の起動部材（１１０）の第２の環状リング（１１８）上で静止する環状の近位端と、作動部材（８０）の停止棚状部（９２）の近位面上で静止する環状の遠位端とを有する第２の圧縮ばね（１２２）をさらに備え、送出後に針シールドが注射部位から取除かれると、ばね（１２２）の力が第１の起動部材としたがってそれに接続された針シールドとを近位方向に押し、それによって針シールドが近位ハウジング部分の前方端から近位方向に押出され、針を包囲する、請求項６に記載の注射装置。
8. 第１の起動部材（１１０）は、ばね（１２２）が第１の起動部材としたがってそれに接続された針シールドとを近位方向に押すと作動部材（８０）の帯形状部分（８４）と相互作用するように配置されたリブをその内面上に含み、針シールドを遠位方向に装置に押込むいずれの試みも防ぐ、請求項７に記載の注射装置。

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