JP5491753B2 - 中性子グリッド及びその製造方法 - Google Patents
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Description
<中性子グリッドの構成>
図1は、受像体に中性子イメージインテンシファイア(中性子I.I.)を用い、中性子源として原子炉を用いた場合の中性子ラジオグラフィ測定系を示す構成図であり、図2は、図1に示す測定系を用いた際の被検体の透過画像を得るための説明図である。また、図3及び図4は、図1に示す測定系に用いた中性子グリッドの構成を示す図である。
次に、中性子グリッド15を構成する材料について述べる。図5は、横軸を元素の原子番号、縦軸に熱中性子質量吸収係数を示している。参考のためにX線100kVでの吸収計数を実線にて図中に示している。
上述した中性子グリッド15は単独で用いることもできるが、少なくとも2以上組み合わせ、各中性子グリッド15を構成するスペーサー151及び中性子吸収体152が交差するようにして積層して用いることもできる。この場合、一方向における散乱熱中性子nsの吸収除去のみならず、他方向における散乱熱中性子nsの吸収除去も行うことができる。例えば、2つの中性子グリッド15を各中性子グリッド15を構成するスペーサー151及び中性子吸収体152が互いに直交するようにすれば、X方向及びY方向の2方向において2次元的な散乱熱中性子nsの吸収除去を行うことができる。
次に、上述した中性子グリッド15の製造方法について説明する。
上述した中性子グリッド15を製造する第1の方法としては、中性子グリッド15を構成するスペーサー151を基板とし、この基板上に、中性子吸収体152を蒸着法を用いて形成するという操作を順次に繰り返し、目的とする中性子グリッド15を形成する方法である。この方法によれば、中性子吸収体152は膜体として形成されることになり、さらにこの膜体は前記蒸着法を用いていることに起因して構成原子が密に充填された状態となる。
上述した中性子グリッド15を製造する第2の方法としては、中性子吸収体152を、スペーサー151上に、粒径が10μm以下の酸化ガドリニウム(Gd2O3)及び酸硫化ガドリニウム(Gd2O2S)の少なくとも一方の粉末、又は粒径が10μm以下の濃縮ボロンを含む炭化ボロン(10B4C)及び窒化ボロン(10BN)の少なくとも一方の粉末をバインダーと混合し、スペーサー151上に沈降法によって形成するという操作を繰り返すことによって、目的とする中性子グリッド15を形成する方法を挙げることができる。
上述した中性子グリッド15を製造する第3の方法としては、中性子吸収体152を、スペーサー151上に、粒径が10μm以下の酸化ガドリニウム(Gd2O3)及び酸硫化ガドリニウム(Gd2O2S)の少なくとも一方の粉末、又は粒径が10μm以下の濃縮ボロンを含む炭化ボロン(10B4C)及び窒化ボロン(10BN)の少なくとも一方の粉末をバインダーと混合し、スペーサー151上に印刷法によって形成するという操作を繰り返すことによって、目的とする中性子グリッド15を形成する方法を挙げることができる。
図8に示すように、中性子発生源11(本例では点線源としている)から照射された熱中性子n1の照射方向と中性子グリッド15の集束方向とがずれているような場合、熱中性子n1は、スペーサー151及び中性子吸収体152の延在方向と略平行に入射せずに、所定の角度で交差するようにして入射するようになる。この状態では、熱中性子n1が中性子グリッド15を透過することができず、受像体16において被検体14(図8では図示せず)の透過画像を得ることができない。
11 中性子発生源
12 モデレータ
13 コリメータ
14 被検体
15 中性子グリッド
151 スペーサー
152 中性子吸収体
153、154 カバー材
16 受像体
Claims (5)
- 線源から照射される中性子を後方に配置した受像体に被検体を介して通す中性子グリッドであって、
第1の熱中性子質量減衰係数を有しAl,Sn,W,Au,Pb及びBiからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む複数のスペーサー、及び前記第1の熱中性子質量減衰係数に対して100倍以上の大きさの第2の熱中性子質量減衰係数を有し酸化ガドリニウム(Gd 2 O 3 )及び濃縮ボロンを含む炭化ボロン( 10 B 4 C)の少なくとも一方を含む膜体からなる前記複数の中性子吸収体と、
前記複数のスペーサー及び前記複数の中性子吸収体を上下方向において挟持するための一対のカバー材とを具え、
前記複数のスペーサー及び前記複数の中性子吸収体は、1次元的にそれぞれ交互に、かつ線源から放射状に入射する中性子に対して平行なテーパー状に延在して配置され、
前記膜体は、前記複数のスペーサーそれぞれの上に、酸化ガドリニウム(Gd 2 O 3 )及び濃縮ボロンを含む炭化ボロン( 10 B 4 C)の少なくとも一方を含む原料から蒸着法によって形成し、その厚さが5μm〜30μmの範囲の厚さであることを特徴とする、中性子グリッド。 - 前記カバー材は、W,Pb及びBiからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする、請求項1に記載の中性子グリッド。
- 請求項1または請求項2に記載の中性子グリッドを少なくとも2以上組み合わせ、各中性子グリッドを構成するスペーサー及び中性子吸収体が交差するようにして積層してなることを特徴とする、中性子グリッド。
- 請求項1〜3のいずれか一に記載の中性子グリッドと、
前記中性子グリッドの中心軸を中性子の照射方向と一致させるための制御駆動装置と、を具えることを特徴とする、中性子グリッド装置。 - 第1の熱中性子質量減衰係数を有しAl,Sn,W,Au,Pb及びBiからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む複数のスペーサー、及び前記第1の熱中性子質量減衰係数に対して100倍以上の大きさの第2の熱中性子質量減衰係数を有し酸化ガドリニウム(Gd 2 O 3 )及び濃縮ボロンを含む炭化ボロン( 10 B 4 C)の少なくとも一方を含む膜体からなる前記複数の中性子吸収体と、前記複数のスペーサー及び前記複数の中性子吸収体と上下方向において挟持するための一対のカバー材とを具え、前記複数のスペーサー及び前記複数の中性子吸収体は、1次元的にそれぞれ交互に、かつ線源から放射状に入射する中性子に対して平行なテーパー状に延在して配列されてなる中性子グリッドの製造方法であって、
前記複数のスペーサーそれぞれの上に、前記中性子吸収体を、酸化ガドリニウム(Gd2O3)及び濃縮ボロンを含む炭化ボロン(10B4C)の少なくとも一方を含む原料から、蒸着法により厚さ5μm〜30μmの範囲の膜体として形成することを特徴とする、中性子グリッドの製造方法。
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