しかしながら、特許文献1、2に開示されたブロック構築体は、個々のガラスブロックの外周面に、全体がゴムや合成樹脂等の材料で四角形枠状に一体形成された目地本体を取り付け、隣接するガラスブロックの目地本体を密接させて補強材で締め付けを行う構成とされている。このような構成によれば、止水性能を向上させる点で有利となるが、目地本体の材質として、施工性、水密気密性能でシリコーンゴムを使用することが好適であるため、コストが高くなる欠点があるのみならず、室内で水密性能を問われない場合に過剰品位になるという問題を有している。しかも、この構成によれば、各ガラスブロックの周囲を目地本体で覆わねばならいため、施工が面倒且つ煩雑になると共に、隣接するガラスブロックの相互間で二個の目地本体が密接している関係上、目地幅が必然的に大きくなる。そのため、目地材として重量増を招くのは勿論のこと、コストの高騰をも招き、さらにはブロック構築体としてガラスの面積比が小さくなるため、デザイン上好ましくないという問題をも有している。
また、特許文献3に開示されたブロック構築体は、ガラスブロックの周縁輪郭を形成するために略C型断面を備えるアルミニウム製の外形棒体が必要となり、周縁輪郭部の納まりが制限されたり、アルミニウム製外形棒体自体が目立ちすぎるためデザイン上好ましくない。さらに、アルミニウム製水平部材には端部に接続要素が取り付けられているが、周辺部材や水平部材、ガラスブロックの精度が良くないと連結できなくなり、施工が困難となる。さらに、連結作業数が大量であり、施工が面倒且つ煩雑となって施工スピードが上がらないという問題を有している。しかも、接続要素が取り付けられていることから、重量増やコスト高を招くばかりでなく、目地幅が大きくなり、これに起因してガラス面積比が小さくなるため、デザイン上好ましくない仕上がりになる。
さらに、特許文献4、5に開示されたブロック構築体によれば、多くの部材および組立作業を必要とするので、施工が面倒且つ煩雑になり、製造コストが高くなるという問題がある。しかも、透明ブロックが個々に枠体で保持され、この枠体が、透明ブロックの側面を取り囲む筒状の周辺部と、周辺部の外側に突出して設けられた出縁部とからなる中空状の部材である。そのため、重量増やコスト高を招くのはもとより、目地幅が大きくなって、ガラス面積比が小さくなるため、デザイン上好ましくないという問題を有している。
本発明は、上記事情に鑑み、目地材として薄肉の部材を使用しても十分な機能を発揮できるようにして、施工の容易化や軽量化さらにはコストの削減を図ると共に、目地幅を可及的に小さくしてブロックの意匠面の面積比を大きくすることによりデザイン上優れたものとするブロック構築体およびその施工方法を提供することを技術的課題とする。
上記技術的課題を解決するために創案された本発明は、意匠面の縁部からこれに対向する意匠面の縁部に連なる側面部が、その幅方向における意匠面側の端部及びこれに対向する意匠面側の端部に平坦面をなす支持面をそれぞれを有し且つそれら支持面の幅方向相互間に該支持面よりも窪んでなる凹部を有するブロックを複数個縦横に整列配置させると共に、隣接するブロックの各側面部の相互間に目地材を介設してなるブロック構築体であって、前記目地材が、平板状体で構成されて、その幅方向中間部位に、長手方向に延びる凸部が形成され、その幅方向両端部位に、板厚よりも幅方向寸法が長尺であって長手方向に延びる中実平板状の平面部がそれぞれ形成されてなり、該目地材の前記凸部が、隣接するガラスブロックの各側面部の幅方向中間部位に存する相互間隙間に収容されると共に、該目地材の前記平面部が、隣接するブロックの各側面部の支持面相互間をそれぞれ閉塞し、前記目地材の平面部の幅方向端面が、前記ブロックの意匠面よりも幅方向中央側に奥まって位置し、前記目地材の平面部の表裏両面全域が平坦面で形成され、且つ、前記目地材の平面部と前記ブロックの支持面との間のみに接触圧が作用していることに特徴づけられる。
このような構成によれば、隣接するブロックの相互間に介設される目地材が、平板状体で構成され、その幅方向両端部位に、板厚よりも幅方向寸法が長尺であって長手方向に延びる中実平板状の平面部がそれぞれ形成されると共に、該平面部の表裏両面(板厚方向両面)の全域が平坦面で形成され、且つ目地材の平面部のみにブロックから平面接触による接触圧が作用するように構成されている。これにより、目地材を各ブロックの相互間に介設するための作業が簡単になり、施工の簡素化が図られると共に、コストが安価となり、且つ軽量化をも図ることが可能となる。しかも、目地材を構成する平板状体の幅方向両端部位に形成された平面部の端部が、隣接するブロックの両側面部の幅方向両端部位の相互間を閉塞し、目地材の平面部の幅方向端面が、ブロックの意匠面よりも幅方向中央側に奥まって位置している。そして、目地材の幅方向端部における平面部の表面と裏面とが、隣接するブロックにおける両側面部の幅方向端部に形成された支持面にそれぞれ平面接触していることと相俟って、目地幅が平板状体の平面部の板厚と同等となることにより極めて小さくなり、これに伴ってブロック構築体におけるガラス面積比が大きくなって、デザイン上極めて優れたものとなる。
この場合、前記目地材の平面部の幅方向端面が、前記ブロックの意匠面に対して、該ブロックの意匠面から前記支持面の幅方向中央側の端部までの距離L1の1/6〜1/2の範囲に位置してブロック構築体全体の意匠面を構成していることが好ましい。
すなわち、目地材の平面部の幅方向端面が、ブロックの意匠面から上記の距離L1の1/6以上奥側に位置していると、ブロック構築体の意匠面を構成した際に、寸法以上に目地幅を小さく見せることが可能であり、デザイン上優れたものとなる。一方、目地材の平面部の幅方向端面が、ブロックの意匠面から上記の距離L1の1/2以内の範囲に位置していると、ブロック構築体の意匠面を構成した際に、更に寸法以上に目地幅を小さく見せることが可能であり、また目地材の材料費を抑えることも可能であり、好ましいものである。しかしながら、当該端面が、ブロックの意匠面から上記の距離L1の1/2を超えて奥になると、目地材の平面部とブロックの支持面との接触面積が小さくなりブロックの破損原因になるため好ましくない。したがって、目地材の幅方向端面が、上記の数値範囲内に位置していると、デザイン面の好適化、材料費の抑制、ブロックの破損防止の点で重要である。
なお、目地材を構成する平板状体の幅方向両端部位に形成されている平面部の厚みは、1〜5mm程度にすることができるので、目地幅も1〜5mm程度にすることができる。また、平面部の板厚を変更することにより、容易に目地幅を変更できるという利点も享受することができる。なお、各目地材は、サッシ用のアルミ合金等の金属材料単体、またその複合材料又は炭素繊維、ガラスチョップドストランド等の短繊維により強化された耐変形性を有する樹脂複合材料の押出成型加工、ゴム材料の押出成形加工や金属材料の引き抜き成型加工或いはプレス加工によって容易に製作することができる。また、これらを組み合わせた複合材料から作製することができる。
また、目地材が、金属材料単体、金属材料同士の複合体、金属材料と樹脂又はゴムの複合体、樹脂同士の複合体、樹脂とゴムの複合体又はゴム同士の複合体よりなる平板状体で構成されていることが、強度と性能のバランスが取りやすく、またデザインのバリエーションが増えるため非常に好ましい。
以上の構成において、前記目地材のうち横方向に沿う目地材は、平板状体の幅方向中間部位に長手方向に延びる凹部が形成され、該目地材の前記凹部の形成領域が、隣接する複数のブロックの各側面部の幅方向中間部位に存する相互間隙間に連通した状態で存在していることが好ましい。
このようにすれば、横方向に隣接するブロックの各側面部の幅方向中間部位に存する相互間隙間において、横方向に沿う目地材の凹部を有効利用して各種の物品(横方向の長さが複数のブロックの幅方向全長に亘る長さの物品など)を保持することが可能となる。
また、前記整列配置された複数個のブロックを取り囲む枠体の両側部内面にプレート材をそれぞれ装着し、この両プレート材の内面側に、縦方向に延びる嵌合用凹部をそれぞれ形成すると共に、この両嵌合用凹部に、L字形をなす一対のアンカーピースの縦面部をそれぞれ嵌合させ、且つ、この両アンカーピースの横面部を、横方向に沿う前記目地材の凹部の長手方向両端部にそれぞれ嵌合させることが好ましい。
このようにすれば、枠体の両側部内面に装着したプレート材と、横方向に沿う目地材とが、アンカーピースによって連結された状態となるため、両者の連結構造が簡単になるばかりでなく、連結作業も容易化される。
また、前記プレート材の嵌合用凹部に、アンカーピースの縦面部の両側を拘束して案内する鉤状凸部が対向して形成されてなることが好ましい。
このようにすれば、枠体の両側部内面に装着したプレート材に、アンカーピースを容易に拘束した状態で案内して、上下方向に移動させることで、プレート材と目地材との連結作業がさらに容易化される。
さらに、前記ブロックが透光性ガラスよりなるものであり、前記隣接するブロックの各側面部の相互間において、前記目地材の幅方向中間部位に形成された何れかの凹部の内側に発光部品が組み込まれていることが好ましい。
このようにすれば、隣接する透光性ガラスよりなるブロックの相互間に小型のフィラメントランプ、放電ランプ、或いはLED等の発光部品を組み込むに際して、目地材が邪魔になることなく、その発光部品を目地材で適正に保持することが可能となる。
また、前記隣接する透光性ガラスよりなるブロックの各側面部の相互間において、前記目地材の幅方向中央部位の凹部が、前記ブロックの溶着部との干渉を回避していることが好ましい。
このようにすれば、ガラスブロックの溶着部は、その側面から突出しているが、目地材は、その突出部と干渉することなく、各ガラスブロックの側面の相互間に適切に介設された状態となる。
さらに、前記隣接するガラスブロックの各側面部の相互間において、前記目地材の前記両平面部の幅方向中央側寄り部位に形成された表面側および裏面側の凸部が、前記両ガラスブロックの各側面部にそれぞれ近接していることが好ましい。
このようにすれば、ガラスブロックの側面部は、幅方向中央部に移行するに連れて漸次窪んでいることから、ガラスブロックの側面部の幅方向両端部位に対応して目地材の幅方向両端部に平面部が形成され、その平面部の幅方向中央側寄り部位における表面側および裏面側に形成された凸部が、隣接するガラスブロックの各側面部にそれぞれ近接することにより、両ガラスブロックの幅方向相対移動が凸部により規制されて、平面部との相互作用により両ガラスブロックの適正な位置決めがなされる。そして、これに伴って、少ない材料でビスなどの接続要素を用いることなく簡単に組み上げることが可能となる。
また、横方向に沿う前記目地材が、前記枠体の両側部内面に装着された両プレート材の相互間を延びるように配列されると共に、これらの目地材が、補強材を兼用していることが好ましい。
このようにすれば、ブロック構築体を製作していく過程において、相対的に下段の複数個のブロックを各相互間に縦方向に沿う目地材を介設させて横方向に隣接配置させた後、それらのブロックの上面に跨って横方向に沿う目地材を配置し、然る後、その上段の複数個のブロックを同様に横方向に隣接配置させていけばよいことになり、施工性の向上が図られる。しかも、この横方向に沿う目地材は、一枚の平板状体に長手方向に延びる凸部および凹部を形成したものであるため、断面二次モーメントがH型鋼に近いものとなり、その長手方向に対しては十分な強度を有することになる。したがって、補強筋等の補強材としての役割を兼ねることができ、部品点数を確実に削減することが可能となる。なお、縦方向に沿う目地材は、相対的に短い寸法となり、凹部は形成されていなくてもよい。
以上の構成において、前記透光性ガラスよりなるブロックの側面が透明であると共に、前記目地材が着色されていることが好ましい。
このようにすれば、着色された目地材から、透明のガラスブロックの内部を通して意匠面(前面および後面)に発色を投影させることが可能となり、一種独特の美観が得られ、優れた装飾効果を発揮することが可能となる。なお、このような利点を得る上では、前記プレート材をも着色することが好ましい。
また、上記技術的課題を解決するために創案された本発明に係る方法は、意匠面の縁部からこれに対向する意匠面の縁部に連なる側面部が、その幅方向における意匠面側の端部及びこれに対向する意匠面側の端部に平坦面をなす支持面をそれぞれを有し且つそれら支持面の幅方向相互間に該支持面よりも窪んでなる凹部を有するブロックを複数個縦横に整列配置させるに際して、隣接するブロックの相互間に目地材を介設しつつ施工を行うブロック構築体の施工方法において、前記目地材として、平板状体で構成されて、その幅方向中間部位に、長手方向に延びる凸部が形成されると共に、その幅方向両端部位に、板厚よりも幅方向寸法が長尺であって長手方向に延びる中実平板状の平面部がそれぞれ形成され、且つ該平面部の表裏両面全域が平坦面で形成されてなるものを使用すると共に、該目地材の前記凸部が、隣接するブロックの各側面部の幅方向中間部位に存する相互間隙間に収容され、且つ、該目地材のそれぞれの前記両平面部の幅方向端部が、隣接するブロックの各側面部の幅方向両端部位における相互間をそれぞれ閉塞し、前記目地材の平面部の幅方向端面が、前記ブロックの意匠面よりも幅方向中央側に奥まって位置し、且つ、前記目地材の平面部と前記ブロックの支持面との間のみに接触圧が作用するように、複数個のブロックを縦横に整列配置させることに特徴づけられる。
このような方法によれば、本発明に係るブロック構築体について冒頭で述べた基本的構成についての説明事項(作用効果を含む)と実質的に同一の説明事項となるので、ここではその記載を省略する。
この場合、前記目地材の平面部の幅方向端面が、前記ブロックの意匠面に対して、該ブロックの意匠面から前記支持面の幅方向中央側の端部までの距離L1の1/6〜1/2の範囲に位置してブロック構築体全体の意匠面を構成することが好ましい。
このような方法によれば、本発明に係るブロック構築体のうち、既述の実質的な構成要素がこの方法と同一のブロック構築体についての説明事項(作用効果を含む)と実質的に同一の説明事項となるので、ここではその説明を省略する。
以上のように本発明によれば、隣接するブロックの相互間に介設される目地材が、平板状体で構成され、その幅方向両端部位に、板厚よりも幅方向寸法が長尺であって長手方向に延びる中実平板状の平面部がそれぞれ形成されると共に、該平面部の表裏両面の全域が平坦面で形成され、且つ目地材の平面部のみにブロックから平面接触による接触圧が作用することから、目地材を各ブロックの相互間に介設するための作業が簡単になり、施工の簡素化が図られると共に、コストが安価となり、且つ軽量化をも図ることが可能となる。しかも、目地材を構成する平板状体の幅方向両端部位に形成された平面部の端部が、隣接するブロックの両側面部の支持面相互間を閉塞し、目地材の平面部の幅方向端面が、ブロックの意匠面よりも幅方向中央側に奥まって位置しているため、目地材の平面部の表面と裏面とが隣接するブロックにおける両側面部の支持面にそれぞれ平面接触していることと相俟って、目地幅が平板状体の平面部の板厚と同等となることにより極めて小さくなり、これに伴ってブロック構築体におけるガラス面積比が大きくなって、デザイン上極めて優れたものとなる。
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。図1〜図7は、本発明の第1実施形態に係るガラスブロック構築体及びその構成要素並びにその施工方法の実施状況を例示している。
図1(A)に示すように、本実施形態に係る建築用のガラスブロック構築体10は、アルミニウム等の金属からなる四本の角パイプPにより構成された矩形額縁状をなす枠体1の内周側に、複数個(図例では三段×三列の計九個)のガラスブロック5が縦横に整列して配置されている。これらのガラスブロック5のうち、最下段の複数個のガラスブロック5と、これらに縦方向に隣接する中段の複数個のガラスブロック5との相互間には、横方向に沿う単一の長尺な目地材(以下、横目地材という)6が配設されている。また、中段の複数個のガラスブロック5と、これらに縦方向に隣接する上段の複数個のガラスブロック5との相互間にも、同様の横目地材6が配設されている。一方、最下段の横方向に隣接するガラスブロック5の相互間と、中段の横方向に隣接するガラスブロック5の相互間と、最上段の横方向に隣接するガラスブロック5の相互間には、ガラスブロック5の一辺の長さに相当する短尺な目地材(以下、縦目地材という)7がそれぞれ配設されている。そして、全てのガラスブロック5の各隣接相互間の目地幅は、1〜5mmとされている。
図1(B)に拡大して示すように、横目地材6は、平板状体で構成され、その幅方向両端部位に、板厚よりも幅方向寸法が長尺であって且つ長手方向(紙面と直交する方向)に延びる中実平板状の平面部6aが形成されている。この平面部6aは、表裏両面の全域が平坦面であって、隣接するガラスブロック5の両側面部5dの平坦面をなす支持面5fに平面接触すると共に、両支持面5fの相互間を閉塞している。そして、目地材6の平面部6aとガラスブロック5の支持面5fとの間にのみ接触圧が作用している。さらに、ガラスブロック5は、目地材6の幅方向端面6fがブロック意匠面である額縁部5bの表面に対して6mm(L2)奥に位置しており、ブロック構築体10の意匠面10aを構成している。ガラスブロック5の支持面5fの奥側端部から目地材6の平面部6aの幅方向端面6fまでの距離L1が12mmであるので、額縁部5bの表面から目地材6の幅方向端面6fまでの距離L2はL1/2になっている。
枠体1の上辺および左右両側辺を構成する三本の角パイプPの内面には、アングル材2がドリルビスNでそれぞれ固定されると共に、これらのアングル材2の内側部分には、プレート材4がビスN1でそれぞれ固定され、且つ、枠体1の下辺を構成する一本の角パイプPの内面には、下地材3がドリルビスNで固定されている(図1(A)参照)。そして、これら三枚のプレート材4と一枚の下地材3とによって、複数個のガラスブロック5の四方外周が包囲されている。この場合、枠体1の左右両側辺の内側に存するプレート材4には、アンカーピース9を用いて横目地材6の両端がそれぞれ連結されている(図7(B)参照)。
上述のガラスブロック構築体10の構成要素について説明すると、ガラスブロック5は、図2(A)、(B)に示すように、一対の有底無蓋状をなす箱状ガラス成形体5aを、互いの開放端で溶着一体化して作製されたものであって、前面および後面にそれぞれ透光面5cを有している。そして、ガラスブロック5の前面側および後面側には、透光面5cの外周側を取り囲む矩形の額縁部5bがそれぞれ形成され、本実施形態では、額縁部5bの表面が意匠面とされている。したがって、ガラスブロック5の側面部5dは、前面側の意匠面の縁部からこれに対向する後面側の意匠面の縁部に連なって形成され、その幅方向両端部位(額縁部5b)が最も外周側に突出しており、且つ幅方向中央側に移行するに連れて漸次内周側に窪むと共に、幅方向中央の溶着部5eが僅かに外周側に突出している。なお、この溶着部5eは、熱加工による歪みを有する部位であるために外力や衝撃等から保護すべく本来ならば保護コーティングされるが、本実施形態では、隣接するガラスブロック5の相互間に装備される発光部品からの光や、横、縦目地材6、7の素材色または着色を、透光面5cに投影させるため、溶着部5eを含む側面部5dを透明にしている。
また、横、縦目地材6、7は何れも、図3(A)、(B)、(C)に示すように、一枚の平板状体の幅方向中間部位において、長手方向に延びる凹部および凸部が表面側および裏面側に形成されている。詳述すると、同図(A)、(B)に示すように、平板状体の裏面側には、幅方向中央部位に、幅が全幅の1/5〜1/2で深さが1〜5mmの長尺幅凹部6bが長手方向全長に亘って形成されると共に、幅方向両端部位に、中実平板状の平面部6aが長手方向全長に亘ってそれぞれ形成されている。さらに、これら平面部6aのそれぞれの幅方向中央側寄り部位には、肉厚および突出寸法が板厚に近い(大きくかけ離れていない)突起状凸部6dが裏面側および表面側に形成されている。また、同図(B)、(C)に示すように、平板状体における上述の長尺幅凹部6bの形成領域の幅方向中央には、短尺幅凹部6cが長手方向全長に亘って形成されると共に、長尺幅凹部6bの幅方向両側には、一対の中尺幅嵌合用凹部6eが長手方向全長に亘って形成されている。なお、これらの目地材6、7は、金属または樹脂からなるものであって、本実施形態では、アルミ合金を押出成型することによりシルバー色に形成されてなる。また、上述の下地材3は、実質的にこれらの目地材6、7と同一の構成とされている。
さらに、三枚のプレート材4は何れも、図4(A)、(B)に示すように、平板状体の幅方向中間部位に、凹部および凸部が形成されている。詳述すると、平板状体の表面側には、幅方向中央部位に、長尺幅嵌合用凹部4dが長手方向全長に亘って形成されると共に、幅方向両端部位に、平面部4bが長手方向全長に亘ってそれぞれ形成されている。そして、それら平面部4bのそれぞれの幅方向中央側寄り部位には、肉厚および突出寸法が板厚に近い(大きくかけ離れていない)短突起状凸部4cが表面側のみに形成されている。さらに、短突起状凸部4cの内側の長尺幅嵌合用凹部4dの両側には、対向配置された鉤状凸部4f、4fが形成されている。また、プレート材4である平板状体の裏面側には、幅方向中央部位に、突出寸法が長尺な長突起状凸部4aが長手方向全長に亘って形成されると共に、その長突起状凸部4aから両側に離隔した部位に保持突起状凸部4eがそれぞれ長手方向全長に亘って形成されている。なお、これらのプレート材4は、金属または樹脂からなるものであって、本実施形態では、アルミ合金を押出成型することによりシルバー色に形成されてなる。
また、アンカーピース9は、図5(A)〜(D)に示すように、L字型を呈する部材であって、縦方向に沿う幅広の縦面部9aと、この縦面部9aの幅方向両端部からそれぞれ相互に離隔して横方向に延びる一対の幅狭の横面部9bとを一体形成したものである。そして、横面部9bの外側(縦面部9aへの連結部近傍)には切り欠き部9cが形成されている。なお、このアンカーピース9は、金属または樹脂からなるものであって、本実施形態では、肉厚が1.5mmの鋼(ステンレス鋼:例えばSUS304)からなるL型材を加工して形成されたものである。
以上の構成要素を組み付けることにより得られるガラスブロック構築体10は、以下に示すような構成とされる。
図6(A)に符号Aを付した部位の拡大図を参酌して、ガラスブロック構築体10の上端部においては、枠体1の上辺を構成する角パイプPの内面(下面)にドリルビスNにより固定されたアングル材2の縦面部と、プレート材4の長突起状凸部4aとがビスN1により固定されると共に、そのプレート材4の幅方向両端側部分と角パイプPの内面との間にはそれぞれガスケット8が介設され、これらのガスケット8は、プレート材4の保持突起状凸部4eによってそれぞれ位置決め保持されている。また、プレート材4の幅方向両端部位に形成された平面部4bのそれぞれの端部が、ガラスブロック5の側面部5dにおける幅方向両端部を構成する額縁部5bの外周面(支持面)に平面接触すると共に、プレート材4の両平面部4bの幅方向中央側寄り部位にそれぞれ形成された短突起状凸部4cが、ガラスブロック5の側面部5dにおける額縁部5bの外周面(支持面)の幅方向中央側寄り位置に近接して、ガラスブロック5の位置決めがなされている。さらに、ガラスブロック5の側面部5dの中央側領域とプレート材4との相互間に介在しているLED等の発光部品Lと電源ケーブルKとが、プレート材4の長尺幅嵌合用凹部4dにより幅方向移動を規制されて保持されている。
図6(A)に符号Bを付した部位の拡大図を参酌して、ガラスブロック構築体10の上下方向中間部においては、横目地材6の幅方向両端部位に形成された平面部6aのそれぞれの端部の表裏面が、隣接するガラスブロック5の側面部5dにおける額縁部5bの外周面(支持面)にそれぞれ平面接触すると共に、横目地材6の両平面部6aの幅方向中央側寄り部位にそれぞれ形成された表面側および裏面側の突起状凸部6dが、隣接するガラスブロック5の側面部5dにおける額縁部5bの外周面(支持面)の幅方向中央側寄り位置にそれぞれ近接して、隣接するガラスブロック5の相互間の幅方向位置決めがなされている。さらに、隣接するガラスブロック5における側面部5dの中央側領域の相互間に介在しているLED等の発光部品Lと電源ケーブルKとが、横目地材6の長尺幅凹部6bにより幅方向移動を規制されて保持されると共に、上段のガラスブロック5の幅方向中央に存する溶着部5eと横目地材6との干渉が、横目地材6の幅方向中央部位の短尺幅凹部6cによって回避されている。
図6(A)に符号Cを付した部位の拡大図を参酌して、ガラスブロック構築体10の下端部においては、枠体1の下辺を構成する角パイプPの内面(上面)に、上記の横目地材6を表裏逆にしてなる下地材3が、その幅方向中央部位に形成された長尺幅凹部6bの裏面を当接させた状態でドリルビスNにより固定されている。そして、この下地材3の幅方向両端部位に形成された平面部6aの端部の上面が、ガラスブロック5の側面部5dにおける額縁部5bの外周面(支持面)5fに平面接触すると共に、下地材3の両平面部6aの幅方向中央側寄り部位にそれぞれ形成された表面側および裏面側の突起状凸部6dが、ガラスブロック5の側面部5dにおける額縁部5bよりも幅方向中央側寄り部位と角パイプPの内面とにそれぞれ近接および当接して、ガラスブロック5と角パイプPとの相互間を位置決めしている。
さらに、図7(A)に示すように、縦目地材7は、上記の横目地材6と同一の断面形状を呈している。そして、図7(B)に示すように、アンカーピース9の縦面部9aが、枠体1の左右両側辺の角パイプPに固定されるプレート材4の長尺幅嵌合用凹部4dに嵌合して、対向配置された鉤状凸部4f、4fにより水平方向移動を規制された状態で上下動を案内される構成である。さらに、このアンカーピース9の一対の横面部9bは、横目地材6の一対の中尺幅嵌合用凹部6eにそれぞれ嵌合されることにより、プレート材4と横目地材6とが連結されている。
次に、本実施形態に係るガラスブロック構築体10の施工方法を説明する。
先ず、図7(A)を参酌して、枠体1の上辺および左右辺を構成する角パイプPの内面にそれぞれアングル材2をドリルビスNで固定すると共に、枠体1の下辺を構成する角パイプPの内面に下地材3をビスN1で固定する。その後、左右のアングル材2にそれぞれプレート材4を取り付けるが、この時点では余裕をもって取り付けておき、所要の施工が終了した時点で強く確実に締め付けるようにする。そして、左右のプレート材4の各々に対向配置された鉤状凸部4f、4f間に、予め必要な全てのアンカーピース9を嵌め込み、施工に支障のない上部にテープなどで仮に固定しておく。
次に、下辺の下地材3の上に、側面塗装が施されていない三個のガラスブロック5を、それぞれの隣接相互間に縦目地材7を介設した状態で取り付けることにより、最下段のガラスブロック列を形成する。そして、この最下段の三個のガラスブロック5の上に、それらの横方向全長に亘って単一の横目地材6を載せると共に、左右のプレート材4の長尺幅嵌合用凹部4dに予め仮固定しておいたアンカーピース9を一対ずつ取り外し、鉤状凸部4f、4f間を下方に移動させて、横目地材6の一対の中尺幅嵌合用凹部6eに各アンカーピース9の一対の横面部9bを嵌合させることにより、両プレート材4に対して横目地材6を固定する。これ以後は、二段目および三段目についても同様の作業を行う。
この後、両端に存するガラスブロック5と左右辺の角パイプPとの間の目地にそれぞれ楔を入れて目地幅調整を行い、左右のアングル材2とプレート材4とをビスN1で強く確実に締め付ける。また、最上段の三個のガラスブロック5の上に、その横方向全長に亘って単一のプレート材4を設置し、そのプレート材4と枠体1の上辺側のアングル材2とをビスN1で固定する。そして、最終段階として、両端に存するガラスブロック5と左右辺の角パイプPとの間にそれぞれガスケット8を嵌め込むと共に、最上段のガラスブロック5と上辺の角パイプPとの間にもガスケット8を嵌め込むことにより、ガラスブロック構築体10の施工を終了する。
なお、上記の実施形態では、枠体1を金属製の四本の角パイプPで構成したが、木造建築や木製壁面を施工する場合には、枠体1を杉材等の四本の木材で構成してもよい。この場合には、枠体の左右辺と上辺とを構成する木材のそれぞれの内面に、上記と同様のアングル材2を木ねじからなるビスで固定すると共に、下辺を構成する木材の内面に、上記と同様の下地材3を木ねじからなるビスで固定する。その後の施工は、実質的に上記実施形態に係るガラスブロック構築体10と同様である。
また、上記実施形態では、プレート材4、横目地材6および縦目地材7をシルバー色にしたが、これらに黒色の染色アルマイト処理を施すことにより、細く黒色の目地部を形成するようにしてもよく、或いは、これらにブロンズ色の染色アルマイト処理を施すことにより、細くブロンズ色の目地部を形成するようにしてもよい。
図8〜図10は、本発明の第2実施形態に係るガラスブロック構築体及びその構成要素を例示している。図8に示すように、本実施例に係る建築用のブロック構築体20は、アルミニウム等の金属からなる四本の角パイプPにより構成された矩形額縁状をなす枠体1の内周側に、複数個(図例では三段×三列の計九個)の意匠面21aに貫通孔部21cを有する有孔レンガブロック21が縦横に整列して配置されている。これらの有孔レンガブロック21のうち、最下段の複数個の有孔レンガブロック21と、これらに縦方向に隣接する中段の複数個の有孔レンガブロック21との相互間には、横方向に沿う単一の長尺な目地材(以下、横目地材という)26が配設されている。また、中段の複数個の有孔レンガブロック21と、これらに縦方向に隣接する上段の複数個の有孔レンガブロック21との相互間にも、同様の横目地材26が配設されている。一方、最下段の横方向に隣接する有孔レンガブロック21の相互間と、中段の横方向に隣接する有孔レンガブロック21の相互間と、最上段の横方向に隣接する有孔レンガブロック21の相互間には、有孔レンガブロック21の一辺の長さに相当する短尺な目地材(以下、縦目地材という)7がそれぞれ配設されている。
そして、全ての有孔レンガブロック21の各隣接相互間の目地幅は、1〜5mmとされている。また、目地材26の幅方向端部に設けられた支持部材26aには、全領域が平坦面をなし且つ有孔レンガブロック21の支持面21eと平面接触する中実平板状の平面部と、この平面部の幅方向中央寄り位置に表裏両側に突設された突起状凸部26cとが形成されている。さらに、支持部材26aの平面部の端面(外端面)6dは、有孔レンガブロック21の意匠面21aに対して3mm(L2)奥に位置しており、ブロック構築体20の意匠面20aを構成している。当該ブロック21の支持面21eの幅方向中央側端部から意匠面21aまでの距離L1は12mmであるので、その意匠面21aから目地材26の幅方向端面26fの距離L2はL1/4になっている。
有孔レンガブロック21は、図9(A)に示すように、意匠面21aが90×90mm、側面21bの奥行き寸法が100mm、貫通孔部21cの孔径が47mmである。
横目地材26は、図10に示すように、支持部材26aと、接続板26bとからなり、接続板26bを交換することで、多種のブロックに対応できるものである。
次に、本実施形態に係るガラスブロック構築体20の施工方法を説明する。
先ず、図7(A)を参酌して、枠体1の上辺および左右辺を構成する角パイプPの内面にそれぞれアングル材2をドリルビスNで固定すると共に、枠体1の下辺を構成する角パイプPの内面に下地材3をビスN1で固定する。その後、左右のアングル材2にそれぞれプレート材4を取り付けるが、この時点では余裕をもって取り付けておき、所要の施工が終了した時点で強く確実に締め付けるようにする。左右のプレート材4の各々に対向配置された鉤状凸部4f、4f間に、予め必要な全てのアンカーピース9を嵌め込み、施工に支障のない上部にテープなどで仮に固定しておく。
次に、下辺の下地材3の上に、側面塗装が施されていない三個の有孔レンガブロック21を、それぞれの隣接相互間に縦目地材7を介設した状態で取り付けることにより、最下段のガラスブロック列を形成する。そして、この最下段の三個の有孔レンガブロック21の上に、それらの横方向全長に亘って単一の横目地材26を載せると共に、左右のプレート材4の長尺幅嵌合用凹部4dに予め仮固定しておいたアンカーピース9を一対ずつ上下動可能な状態とし、鉤状凸部4f、4f間を下方に移動させて、横目地材26の一対の中尺幅嵌合用凹部26eに各アンカーピース9の一対の横面部9bを嵌合させることにより、両プレート材4に対して横目地材26を固定する。これ以後は、二段目および三段目についても同様の作業を行う。
この後、両端に存する有孔レンガブロック21と左右辺の角パイプPとの間の目地にそれぞれ楔を入れて目地幅調整を行い、左右のアングル材2とプレート材4とをビスN1で強く確実に締め付ける。また、最上段の三個の有孔レンガブロック21の上に、その横方向全長に亘って単一のプレート材4を設置し、そのプレート材4と枠体1の上辺側のアングル材2とをビスN1で固定する。そして、最終段階として、両端に存する有孔レンガブロック21と左右辺の角パイプPとの間にそれぞれガスケット8を嵌め込むと共に、最上段の有孔レンガブロック21と上辺の角パイプPとの間にもガスケット8を嵌め込むことにより、ガラスブロック構築体20の施工を終了する。