JP5489422B2 - カテコール基が導入されたジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体の製造方法及びその製造のための中間体 - Google Patents

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Description

本発明は、抗酸化剤として有用である下記式(I)
[式中、R及びRは、独立に、水素、アルキル基のいずれかを表すか、又はR及びRは一緒になってメチレンジオキシ基を形成し、R,R,R,R,R及びRは、独立に、水素、水酸基、アルコキシ基、O-(グルコース)n(n=1〜3である)、O-(ラムノシルグルコース)、O-キシロース、O-アラビノース、O-グルクロン酸のいずれかを表す]
に示されるカテコール基が導入されたジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体の製造方法、及びその製造方法において有用な中間体に関する。
生体にとって酸素は必要不可欠なものであるが、酸素が生体内で還元されて活性酸素と呼ばれる一群の反応性の高い分子種になると、生体内でタンパク質、核酸、脂質などの標的分子を酸化し、障害を与えることが知られている。生物はこの酸素による障害を防ぐため、活性酸素の生成量を低く保ち、さらに生成した活性酸素を消去することによって標的分子の酸化を防いでいる。
植物体に広く存在するカテキン、ケルセチン、エラグ酸のようなポリフェノール化合物は、分子内にカテコール基を有しているため、一般的に抗酸化活性があるとされている。しかしながら、2単位のC−C構造(フェニルプロパノイド)が酸化重合した化合物であるリグナン化合物に分類されるセサミン、セサミノール、セサモリン、ピレジノール、オイデスミン、ポドフィロトキシン等の化合物の多くは、それらの化学構造中に存在するフェノール基又はカテコール基がメチレンジオキシ基やメトキシ基として保護されており、抗酸化活性が弱い。そのため、リグナン化合物分子中の保護されたフェノール、特にカテコール基を脱保護する方法が種々検討されてきた。
非特許文献1には、メチレンジオキシフェニル基を、臭化アルミニウム(AlBr)とエタンチオール(CHCHSH)を用いた分解反応に付すことよりカテコール基に変換できることが記載されているが、特許文献1には、メチレンジオキシフェニル基を有しかつベンジルエーテル基を有するリグナン化合物、例えばセサミンに対して上記分解反応を適用すると、ベンジル位が優先的に反応して開裂するためカテコール基を生成できないことが記載されている。この問題点を解消するための方法として、特許文献1は、超臨界水を用いることによってリグナン化合物分子中に存在するメチレンジオキシ基を選択的に加水分解する方法を開示している。また、この方法によりセサミン及びエピセサミンから得られたカテコール基を有するリグナン化合物が、原料のセサミン及びエピセサミンより高い抗酸化活性を有することも示されている。しかしながら、この方法においては、反応収率が低く、また、超臨界水を生成するための高温及び高圧に耐え得る特殊な装置が必要であった。
また、特許文献2及び3には、メチレンジオキシフェニル基とベンジルエーテル部分とを有するリグナン化合物であるセサミン、セサミノール又はセサミノール配糖体を含む発酵原料をアスペルギルス属微生物を用いて発酵させることにより、セサミンカテコール体、セサミンジカテコール体またはセサミノールカテコール体を製造できることが記載されている。しかしながら、これら文献の実施例によると、発酵処理に長時間を要するにも関わらず、原料のリグナン化合物から対応するカテコール化合物への変換率は満足できるものではなかった。
上記のように、これまでに開示されている、メチレンジオキシフェニル基を有するリグナン化合物のメチレンジオキシ基を選択的に除去することのできる方法は、実用的に満足できるものではなかった。
特開2001−139579号公報 特開2005−23125号公報 特開2005−22999号公報 Chem. Lett., 97, 1979
本発明の目的は、カテコール基が導入されたジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体の、簡便で高収率な製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を行った結果、アセトキシメチレンジオキシフェニル基を有するジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体が、カテコール基が導入されたジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体の重要中間体となることを見出した。そして、このアセトキシメチレンジオキシフェニル基を有するジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体を酸加水分解することにより、簡便に高収率で目的とする化合物が製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
1.下記式(I’)
[式中、R及びRは、独立に、水素、アルキル基のいずれかを表すか、又はR及びRは一緒になってアセトキシメチレンジオキシ基若しくはメチレンジオキシ基を形成し、R、R、R、R、R及びRは、独立に、水素、水酸基、アルコキシ基、O-(グルコース)n(n=1〜3である)、O-(ラムノシルグルコース)、O-キシロース、O-アラビノース、O-グルクロン酸のいずれかを表す]に示すアセトキシメチレンジオキシフェニル基を有するジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体を酸加水分解することを特徴とする、下記式(I)
[式中、R及びRは、独立に、水素、アルキル基のいずれかを表すか、又はR及びRは一緒になってメチレンジオキシ基を形成し、R、R、R、R、R及びRは、独立に、水素、水酸基、アルコキシ基、O-(グルコース)n(n=1〜3である)、O-(ラムノシルグルコース)、O-キシロース、O-アラビノース、O-グルクロン酸のいずれかを表す]
に示すカテコール基が導入されたジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体の製造方法;
2.前記カテコール基が導入されたジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体が、下記式(II)
又は下記式(III)
に示す化合物である、1に記載の製造方法;
3.前記加水分解が、有機酸の存在下で行われるものである、1又は2に記載の製造方法;
4.前記有機酸が酢酸である、3に記載の製造方法;
5.前記アセトキシメチレンジオキシフェニル基を有するジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体(I’)が、下記式(VI)
[式中、R及びRは、独立に、水素、アルキル基のいずれかを表すか、又はR及びRは一緒になってメチレンジオキシ基を形成し、R、R、R、R、R及びRは、独立に、水素、水酸基、アルコキシ基、O-(グルコース)n(n=1〜3である)、O-(ラムノシルグルコース)、O-キシロース、O-アラビノース、O-グルクロン酸のいずれかを表す]に示すメチレンジオキシフェニル基を有するジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体のアセトキシ化により製造されたものである、1〜4のいずれかに記載の製造方法;
6.前記アセトキシ化に用いる酸化剤が、四酢酸鉛(Pb(OAc)4)である、5に記載の製造方法;
7.前記アセトキシ化に用いる酸化剤の量が、原料となるメチレンジオキシフェニル基を有するジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体(VI)の1.5〜3.0当量である、5又は6に記載の製造方法;
8.前記メチレンジオキシフェニル基を有するジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体(VI)が、ゴマ由来のリグナン化合物である、5〜7のいずれかに記載の製造方法;
9.前記メチレンジオキシフェニル基を有するジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体(VI)が、下記式(VII)
の化合物である、5〜7のいずれかに記載の製造方法;
10.前記メチレンジオキシフェニル基を有するジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体(VI)がセサミン又はエピセサミンである、8に記載の製造方法;
11.前記アセトキシメチレンジオキシフェニル基を有するジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体(I’)が、下記式(IV)
又は下記式(V)
に示す化合物である、1〜10のいずれかに記載の製造方法;
12.下記式(IV)
又は下記式(V)
に示されるアセトキシメチレンジオキシフェニル基を有するジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体;及び
13.下記式(I’)
[式中、R及びRは、独立に、水素、アルキル基のいずれかを表すか、又はR及びRは一緒になってアセトキシメチレンジオキシ基若しくはメチレンジオキシ基を形成し、R、R、R、R、R及びRは、独立に、水素、水酸基、アルコキシ基、O-(グルコース)n(n=1〜3である)、O-(ラムノシルグルコース)、O-キシロース、O-アラビノース、O-グルクロン酸のいずれかを表す]に示すアセトキシメチレンジオキシフェニル基を有するジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体の、下記式(I)
[式中、R及びRは、独立に、水素、アルキル基のいずれかを表すか、又はR及びRは一緒になってメチレンジオキシ基を形成し、R、R、R、R、R及びRは、独立に、水素、水酸基、アルコキシ基、O-(グルコース)n(n=1〜3である)、O-(ラムノシルグルコース)、O-キシロース、O-アラビノース、O-グルクロン酸のいずれかを表す]に示すカテコール基が導入されたジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体の製造のための使用;
である。
尚、本明細書において、「アルキル基」とは、好ましくは炭素原子1〜6個を有する直鎖又は分岐鎖のアルキル基を意味し、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、3−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、及びn−ヘキシル基等が含まれる。
また、本明細書において、「アルコキシ基」とは、好ましくは炭素原子1〜6個を有する直鎖または分枝鎖のアルコキシ基を意味し、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基などの既に定義したアルキル基をアルキル部分として有するものが含まれる。
本発明により、メチレンジオキシフェニル基を有するジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体、特に天然物から入手可能なゴマ由来のリグナン化合物から、高い抗酸化活性を有するカテコール基が導入されたジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体を高収率で簡便に得ることができる。例えば、本発明により、セサミン類のカテコール体を高い収率で簡便に提供することができる。抗酸化活性を有するリグナン化合物は、生体内で発生する活性酸素の消去のため、又は飲食物や医薬品などの安定化のために用いることができる。
発明を実施するための形態
(酸加水分解反応)
本発明の製造方法は、下記式(I’)
[式中、R及びRは、独立に、水素、アルキル基のいずれかを表すか、又はR及びRは一緒になってアセトキシメチレンジオキシ基若しくはメチレンジオキシ基を形成し、R、R、R、R、R及びRは、独立に、水素、水酸基、アルコキシ基、O-(グルコース)n(n=1〜3である)、O-(ラムノシルグルコース)、O-キシロース、O-アラビノース、O-グルクロン酸のいずれかを表す]に示すアセトキシメチレンジオキシフェニル基を有するジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体(本明細書中、アセトキシ化化合物と表記することもある)から、下記式(I)
[式中、R及びRは、独立に、水素、アルキル基のいずれかを表すか、又はR及びRは、メチレンジオキシ基を形成し、R、R、R、R、R及びRは、独立に、水素、水酸基、アルコキシ基、O-(グルコース)n(n=1〜3である)、O-(ラムノシルグルコース)、O-キシロース、O-アラビノース、O-グルクロン酸のいずれかを表す]
に示すカテコール基が導入されたジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体を簡便に高収率で製造できる方法を提供するものであり、前記カテコール基の導入のための酸加水分解反応を含むことを特徴とするものである。
上記式(I)に示される化合物の中でも、本発明の製造方法は、特に下記式(II)
及び/又は(III)
に示す化合物(本明細書中、「セサミン類のカテコール体」と表記することもある)の製造に好適に用いることができる。
本発明の製造方法における酸加水分解反応では、(一つ又は複数の)アセトキシメチレンジオキシフェニル基中のアセトキシメチレン部分が開裂されて、(一つ又は複数の)カテコール基が生成される。代表例として、アセトキシメチレンジオキシフェニル基を有するジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体が、モノアセトキシセサミン類又はジアセトキシセサミン類である場合の反応式を、以下のスキーム1に示す。
酸加水分解反応は、酸の存在下、適当な溶媒中で、攪拌下又は無攪拌で行われる。用いる酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸;酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の有機酸;及びこれらの酸を水又はアルコール等の希釈剤で希釈したもの;等が挙げられる。また、酸として、気体状態の塩化水素又は臭化水素を用いることもできる。
酸の使用量は、アセトキシメチレンジオキシフェニル基を有するジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体1重量部に対して、通常、0.005〜0.1重量部、好ましくは0.01〜0.07重量部である。
用いる溶媒としては、水;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等のアルコール類;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素;n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;等が挙げられる。
上記酸及び溶媒としては、特に酢酸水溶液が好ましく用いられ、その濃度は、10〜100容量%が好ましく、70〜90容量%がさらに好ましい。
酸加水分解反応の反応温度は、通常、−20℃〜100℃、好ましくはー10℃〜50℃程度である。
酸加水分解の反応の終点は、例えば、薄層クロマトグラフィーにて反応を追跡しながら行い、出発物質であるアセトキシメチレンジオキシフェニル基を有するジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体が完全に消費された時点を反応の終点とすることができる。用いる酸の種類や濃度、反応温度等により異なるが、通常、酸加水分解反応には、5分から10時間を要する。
酸加水分解反応終了後は、通常の後処理を行い、カラムクロマトグラフィー、蒸留法、結晶化等の公知の精製方法により、目的とするカテコール基を有するジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体を単離してもよいが、未精製物をそのまま用いてもよい。しかしながら、本発明のカテコール基を有するジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体は、健康食品や医薬品において用いることが望まれるため、精製によって少なくとも鉛等の人体に悪影響を及ぼし得る不純物を取り除くことが好ましい。
(アセトキシメチレンジオキシフェニル基を有するジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体の製造)
上記加水分解反応の出発物質となるアセトキシメチレンジオキシフェニル基を有するジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体(I’)は、メチレンジオキシフェニル基を有するジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体をアセトキシ化することにより製造できる。このような、式(I’)の化合物に対応する原料は、式(VI)
[式中、R及びRは、独立に、水素、アルキル基のいずれかを表すか、又はR及びRは一緒になってメチレンジオキシ基を形成し、R、R、R、R、R及びRは、独立に、水素、水酸基、アルコキシ基、O-(グルコース)n(n=1〜3である)、O-(ラムノシルグルコース)、O-キシロース、O-アラビノース、O-グルクロン酸のいずれかを表す]
により表される。
原料となるメチレンジオキシフェニル基を有するジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体としては、ゴマ由来のリグナン化合物が挙げられ、具体的には、セサミン、セサミノール、セサモリン等が例示できる。なお、本発明では上記のリグナン化合物の異性体(例えばエピセサミン)やその異性体との混合物も原料として使用することができる。中でも、本発明においては、原料としてセサミンまたはエピセサミンを好適に使用することができる。例えば、セサミンの一群の異性体を一般式で表すと、以下の通りとなる(この一群の化合物を、本明細書においては「セサミン類」とも表記する)。
ここで、前記リグナン化合物は、例えば、特開平3−27319号公報に記載されている方法によりゴマ油等の原料から抽出することができる。或いは、リグナン化合物を含む原料、例えば、ゴマ種子、ゴマ粕、ゴマ油、又はゴマの脱臭スカムを原料として用いることもできる。
これらリグナン化合物を包含するメチレンジオキシフェニル基を有するジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体をアセトキシ化して、アセトキシメチレンジオキシフェニル基を有するジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体を製造する。アセトキシ化の反応は、リグナン化合物(メチレンジオキシフェニル基を有するジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体)のメチレンジオキシフェニル基を酸化してアセトキシ基を導入することにより行われる。アセトキシ基が導入できる酸化剤としては、四酢酸鉛(Pb(OAc)4)、第2酢酸水銀(Hg(OAc) 2)、第2酢酸銅(Cu(OAc) 2)又は酢酸タリウム(Tl(OAc)3)を用いることができるが、中でも、酢酸の存在下でPb(OAc)4を1.5〜3.5当量使用した反応では、ベンジル位が反応して開裂することがなく、メチレンジオキシフェニル基のアセトキシ化が高い割合で起こるため好ましい。
反応溶媒としては、ベンゼンが好ましく、無水ベンゼンが特に好ましい。アセトキシ化の反応温度は、副反応が起きない限り制限されないが、通常、0℃〜100℃、好ましくは室温〜90℃、より好ましくは50℃〜80℃である。
アセトキシ化の反応の終点は、液体クロマトグラフィーにて反応を追跡し、出発原料であるメチレンジオキシフェニル基を有するジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体(リグナン化合物)の消費に変化が見られなくなった時点を反応の終点とすることで判定できる。用いる酸化剤の種類や濃度、反応温度等により異なるが、アセトキシ化の反応には、通常、15分〜24時間、好ましくは30分〜3時間程度を要する。
代表例として、メチレンジオキシフェニル基を有するジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体が、セサミン又はエピセサミンである場合のアセトキシ化の反応を、以下のスキーム2A及び2Bに示す。
セサミン類のように、原料となるジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体のメチレンジオキシフェニル基が2つ以上存在する場合には、アセトキシ化反応の程度を制御することで得られる化合物の性状を制御することが可能である。具体的には、酸化剤の量の調節等により、導入されるアセトキシ基含量を制御できる。例えば、原料物質としてセサミン類を用いた場合、モノアセトキシセサミン類又はジアセトキシセサミン類が得られるが、それら生成物の比率は、用いる酸化剤の量によって変動することが、本発明者らにより確認されている。セサミン類を原料とし、酸化剤としてPb(OAc)4を用いた場合には、Pb(OAc) 4の量をより多くするとアセトキシ基含量の高い化合物(すなわち、複数のアセトキシ基を有する化合物)を得ることができる。具体的には、セサミン類の2.5〜3.5当量のPb(OAc)4を用いた場合、生成物の75〜99%に相当するジアセトキシセサミン類を得ることができる。ただし、3.5当量よりもPb(OAc) 4が多くなると、アセトキシ化化合物の生成は少なくなっていく。一方、Pb(OAc)4が少ない場合、具体的にはセサミン類の1.5〜2.5当量のPb(OAc) 4を用いた場合、生成物の20〜50%に相当するモノアセトキシセサミン類を得ることができる。
上記のようにして得られたアセトキシ化化合物は、カテコール基を有するジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体を製造するための中間体として有用であり、その後の加水分解反応における出発物質として利用される。当該中間体は、加水分解反応において用いる前に必要に応じてカラムクロマトグラフィー、蒸留、再結晶等の公知の方法により精製してもよい。しかしながら、製造工程の煩雑さを避けるために、精製することなく次の工程に用いてもよい。
なお、メチレンジオキシフェニル基を有するジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体のアセトキシ化化合物は、必ずしも上記の方法により製造する必要はない。入手可能な原料から他の方法を用いて当該アセトキシ化化合物を得ることができる場合には、そのアセトキシ化化合物を次の加水分解反応に用いてもよい。
(カテコール基が導入されたジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体の用途)
本発明の方法で得られるカテコール基が導入されたジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体は、活性酸素の影響により体内で生じる発癌、炎症、虚血性臓器障害、動脈硬化などの種々の障害や疾患、老化に対する治療用及び/または予防用組成物中の活性成分として使用することができる。抗酸化組成物の投与経路は、経口投与が最も好ましいが、静脈内投与、腹腔内投与、皮下投与、筋肉内投与などであってもよい。経口投与に適した製剤には、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、溶液剤、シロップ剤などが含まれるが、これらに限定されない。治療用及び/または予防用組成物には、薬剤的に許容できる担体として、当該技術分野で公知の適当な賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着香料、着色剤、溶解補助剤、懸濁剤、コーティング剤などを含んでもよい。
本発明の方法で得られたカテコール基が導入されたジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体は、皮膚または粘膜の老化、発癌または炎症、もしくは皮膚の日焼けなどの皮膚または粘膜に関する種々の症状を治療しまたは改善するための経皮投与用外用医薬品または化粧品として使用することができる。外用医薬品または化粧品として適した財形としては溶液剤、パップ剤、貼布剤などが含まれる。外用医薬品には、薬剤的に許容できる担体として、賦形剤、着香料、着色剤、溶解補助剤、懸濁剤などを含んでもよい。
本発明の方法により得られるカテコール基が導入されたジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体は、飲食品の形態で提供することもできる。この場合には、当該化合物(カテコール基が導入されたジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体)を含み抗酸化作用を有する食品添加物及び飲食品として、並びにそれを添加した抗酸化作用を有する健康食品として実施することが好適である。それらは、公知の甘味料、酸味料、ビタミン等の各種成分と混合してユーザーの嗜好に合う製品とすればよい。このような食品または飲料には、当該化合物(カテコール基が導入されたジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体)の他に、ビタミン剤、カルシウムなどの無機成分、アルコール類などを追加してもよい。これら飲食品には、抗酸化作用を有する旨の表示を容器や説明書に付した機能性食品(特定保健用食品や条件付き特定保健用食品が含まれる)も含まれる。表示場所は容器またはそれに添付した指示書などが挙げられるが、これらに限られない。容器には、瓶、缶、ペットボトル、プラスチックボトル、紙パック等が含まれるが、それらに限定されない。また、表示の方法には、印刷、刻印、シール等が含まれるが、それらに限定されない。また、飲食品は、ペットの餌として加工したペットフード等や動物飼料等でもよい。
本発明を以下の実施例によりさらに詳しく説明するが、これにより本発明の範囲を限定するものではない。本発明の方法を種々変更、修飾して使用することが当業者には可能であり、これらも本発明の範囲に含まれる。
実施例1
反応1:ジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体のアセトキシ化
ジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体として、セサミン(MW354.36)を使用した。セサミン177mg(0.50mmol)を、フラスコ中の予めモレキュラーシーブで乾燥させたベンゼン5mlに溶解し、四酢酸鉛(MW443.38)を0.75〜1.75mmol(1.5〜3.5当量)加え、フラスコにジムロート冷却管、塩化カルシウム乾燥管を装着し、70℃の油浴中で撹拌下1時間加熱した。その後、反応液を酢酸エチルで希釈して分液ロートに移し、酢酸エチル溶液を蒸留水で2回洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、綿栓ろ過により硫酸ナトリウムを除き、そして溶媒を減圧留去した。得られた残さは精製することなく混合物の状態で次の反応に使用したが、この時点での平均的な回収量は200mg程度であった。また、得られた生成物(反応1で得られた生成物を「生成物1」という)中に含まれる式(IV’)
のモノアセトキシセサミン(SAc−1)及び式(V')
のジアセトキシセサミン(SAc−2)の比率を下記の条件で逆相HPLCにより測定した。
HPLC条件
カラム:μBondasphere5C18(φ3.9×15cm、Waters)
流速 :0.8ml/分
グラジェント:40〜60%B/20分、溶媒A:H2O、溶媒B:CH3CN
検出波長:280nm
保持時間:約16.7分(セサミン)、約18.3分(SAc−1)、約19.6分(SAc−2)
測定結果を、用いた四酢酸鉛(Pb(OAc) 4)量と共に表1及び表2に示す。ここで、表1は、ナカライテスク株式会社のPb(OAc) 4(純度85%)を用いた場合で、表2はAldrich社のPb(OAc) 4(純度95%)を用いた場合の結果である。
Pb(OAc) 4をセサミンの1.5〜3.5当量用いた場合には、いずれも比較的高い比率でアセトキシ化化合物(SAc−1、SAc−2)が生成し、生成物1中のアセトキシ化化合物は、合計で74モル%以上であった。特に、Pb(OAc) 4をセサミンの2.5〜3.5当量用いた場合には、生成物中のアセトキシ化化合物の合計量は99モル%以上であった。Pb(OAc) 4の使用量が増加するにつれてSAc−1の生成量が低下し、SAc−2の生成量が増加した。
ここで、生成物1中のアセトキシ化化合物の構造は、LC/MS/MS(図1,2,3,4)及びH NMRにより確認した。
LC/MS/MS条件
カラム:C30-UG-5(2.0×50mm) 野村化学
移動相:A:水、B:CH3CN、C:100mM酢酸アンモニウム
グラジェント:0-10分でB:45-80%、C:10%
流速:0.25ml/分
検出:ESI、陽イオンモード
SAc−1については、質量分析(LC/MS/MS)においてm/z430 [M+NH4]を、プロダクトイオンとしてm/z353[M+H-CH3COOH]を検出した(図1、2)。SAc−2については、質量分析においてm/z 488[M+NH4]を、プロダクトイオンとしてm/z411[M+H-CH3COOH]及びm/z368を検出した(図3、4)。図5にPb(OAc) 4を2.0当量使用した際のH NMRスペクトルを、図6にPb(OAc) 4を3.5当量使用した際のH NMRスペクトルを示す。
より厳密に精製されたSAc−1及びSAc−2を取得するためには、例えば、上記のHPLC又はLC/MS/MSにおけるLC条件でクロマトグラフィーを行なってそれら化合物を分取してもよいし、常法に従ってカラムクロマトグラフィーを行なってもよい。
実施例2
反応2:アセトキシ化化合物の酸加水分解
実施例1の反応1で得た生成物1(200mg)を80%酢酸5mlに溶解し、室温で15分間放置した。溶媒を減圧留去した後、少量の蒸留水を加え減圧留去する操作を酢酸臭がほぼなくなるまで数回繰り返した。残さにエタノールを約5ml加えて溶解し、エタノールを減圧留去して水分を除き、酸加水分解物(反応2で得られた生成物を「生成物2」という)を得た。
この生成物2から、式(II’)
のセサミンのモノカテコール体(SC−1)及び式(III’)
のセサミンのジカテコール体(SC−2)を以下の方法により単離・同定した。
まず、シリカゲル(和光純薬製ワコーゲルC−400HG)5gを、クロロホルムに懸濁し、カラム管に充填してシリカゲルカラム(φ1.5cm×7.8cm)を作成した。生成物2はクロロホルムにやや溶けにくいため、メタノールに溶解し、シリカゲルを1g加えてから溶媒を減圧留去することによってシリカゲルに吸着させた。この生成物2が吸着したシリカゲルをクロロホルムに懸濁し、先に調製したシリカゲルカラムの上端に載せ、溶媒を用いて溶出を開始した。溶出はクロロホルム100%から始め、メタノール濃度を1%ずつ順次上げていく段階的濃度勾配法により行った。SC−1は2〜3%MeOH/CHClで、SC−2は4〜5%MeOH/CHClで溶出した。
得られたSC−1及びSC−2の1H NMRデータは、J.Agric.Food.Chem 2003, 51, 1666-1670に記載の式(II’)及び( III’)の化合物の1H NMRデータとそれぞれ一致し、質量分析により陰イオンモードでSC−1はm/z 341 [M-H]、SC−2はm/z329[M-H]を検出した。これより、本反応によりセサミンのモノカテコール及びジカテコール体が生成したことが確認された。
表3に、反応1及び反応2によるSC−1及びSC−2の収率を示した。
表3から明らかなとおり、本発明の製造方法により、高い収率でセサミンのモノカテコール体及びジカテコール体が得られた。また、モノカテコール体を生成するためには、原料となるメチレンジオキシフェニル基を有するジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体(セサミン)の好ましくは1.5〜3.0当量、好ましくは1.5〜2.0当量の四酢酸鉛を用いる必要があることが明らかとなった。また、ジカテコール体を生成するためには、原料となるメチレンジオキシフェニル基を有するジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体(セサミン)の好ましくは1.5〜3.0当量、好ましくは2.0〜3.0当量の四酢酸鉛を用いる必要があることが明らかとなった。
実施例3
ジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体のアセトキシ化及び酸加水分解(2)
エピセサミン177mg(0.5mmol)を用いて、実施例1及び2と同様の操作により、エピセサミンのカテコール体を得た。
アセトキシ化工程においては、四酢酸鉛(Pb(OAc)4)を0.75mmol(1.5当量)用いて70℃で2時間反応を行い、下記式のモノアセトキシエピセサミン(Epi−SAc−1)、ジアセトキシエピセサミン(Epi−SAc−2)及びエピセサミンを含む生成物3を得た。
この生成物3のHPLC分析結果を表4に示す。HPLC分析条件は、実施例1に記載のHPLC条件と同じであり、各成分の保持時間は以下の通りであった。Epi−SAc−1:約20.0分及び約20.3分(表4においては、これらピークの和を示す);Epi−SAc−2:約21.1分;エピセサミン:約18.8分。
生成物3中のアセトキシ化化合物の分子量は、LC/MS/MSにより確認した。
LC/MS/MS条件
カラム:ACQUITY BHC C18 (2.1×100mm, 1,7μ) Waters
移動相:A:10mM ギ酸アンモニウム(pH3.0)、B:CH3CN
グラジエント:0-1min B:20%, 1-5min B:20-50%, 5-15min B:50%
流速:0.2ml/min
検出:ESI, 陽イオンモード
Epi−SAc−1(保持時間:約11.3分および約11.5分)については、質量分析(LC/MS/MS)において、m/z430 [M+NH4]を、プロダクトイオンとしてm/z353[M+H-CH3COOH]を検出した。Epi−SAc−2(保持時間:約12.1分)については、質量分析においてm/z 488[M+NH4]を、プロダクトイオンとしてm/z411[M+H-CH3COOH]及びm/z368を検出した。
尚、Epi−SAc−1とEpi−SAc−2は、下記の条件で薄層クロマトグラフィー(TLC)により分離し、構造を1H NMRにより確認した。測定装置はJEOL JNM-EX400であった。
TLC条件
PLCプレート(20×20cm):シリカゲル60 F2549 MERCK社
展開溶媒:酢酸エチルエステル:ヘキサン=3:7(0.2% トリエチルアミン含有)
抽出溶媒:酢酸エチルエステル(0.1% トリエチルアミン含有)
Epi−SAc−1(異性体混合物) 1H NMR(400MHz、CDCl):δ7.70, 7.69, 7.68ppm (s, 1H)、6.73-7.29ppm (m, 6H)、5.96, 5.95ppm (s, 2H)、4.84ppm (m, 1H)、4.40ppm (m, 1H)、4.10ppm (m, 1H)、3.82ppm (m, 2H)、3.30ppm (m, 2H)、2.89ppm (m, 1H)、2.13, 2.11, 2.10ppm (s, 3H)
Epi−SAc−2 1H NMR(400MHz、CDCl):δ7.70,7.69ppm (s, 2H)、6.78-7.28ppm (m, 6H)、4.85ppm(m, 1H)、4.46ppm(m, 1H)、4.11ppm(m, 1H)、3.85ppm(m, 2H)、3.30ppm(m, 2H)、2.88ppm(broad, 1H)、2.13, 2.11, 2.10ppm(s, 6H)
次に、上記生成物3を酸加水分解反応に付し、下記式のモノカテコールエピセサミン(Epi−SC−1)及びジカテコールエピセサミン(Epi−SC−2)を得た。
精製のために、実施例2に記載の条件に準じてカラムクロマトグラフィーを行なった。Epi−SC−1は1〜2%MeOH/CHClで、Epi−SC−2は2〜3%MeOH/CHClで溶出した。Epi−SC−1及びEpi−SC−2の収率(アセトキシ化及び加水分解の2工程の通し収率)は、それぞれ42.7%(2異性体の合計)及び25.7%であった。
尚、Epi−SC−1の2つの異性体は、下記のHPLC条件により分離することができた。
HPLC条件
カラム:C30-UG-5(20×50mm)
流速 :5.0ml/分
アイソクラティック:55% メタノール
検出波長:280nm
異性体の保持時間:約65.6分(Epi−SC−1−1という)及び約72.8分(Epi−SC−1−2という)
得られたEpi−SC−1−1、Epi−SC−1−2及びEpi−SC−2の構造は、LC/MS/MS及びH NMRにより確認した。
LC/MS/MS条件(フローインジェクション導入法にて分析)
移動相:A:10mM ギ酸アンモニウム(pH3.0)、B:CH3CN
アイソクラティック:B:50%
流速:0.15ml/分
検出:ESI、陰イオンモード
Epi−SC−1−1およびEpi−SC−1−2については、質量分析(LC/MS/MS)においてm/z341 [M-H]を、プロダクトイオンとしてm/z176を検出した(図7、8)。Epi−SC−2については、質量分析においてm/z 329[M-H]を、プロダクトイオンとしてm/z137を検出した(図9、10)。Epi−SC−1−1、Epi−SC−1−2、Epi−SC−2はDMSO-d6に溶解して1H NMR, 13C NMR, 1H{13C}-HSQC, 1H{13C}-HMBC, NOESY, ROESYおよびDQF-COSYを、DMX-500(BRUKER)で測定した。図11に、これらのデータから確認された、各化合物の構造と、1H NMRのピークの帰属の結果を示す。
SAc−1のマススペクトルを示す図である。 SAc−1 m/z430 [M+NH4]のプロダクトイオンを示す図である。 SAc−2のマススペクトルを示す図である。 SAc−2 m/z488[M+NH4]のプロダクトイオンを示す図である。 四酢酸鉛をセサミンの2.0当量用いた場合におけるSAc−1及びSAc−2の混合物の1H NMRスペクトルを示す図である。 四酢酸鉛をセサミンの3.5当量用いた場合(主生成物がSAc−2)における1H NMRスペクトルを示す図である。 Epi−SC−1−1、Epi−SC−1−2のマススペクトルを示す図である。 Epi−SC−1−1、Epi−SC−1−2 m/z341 [M-H]のプロダクトイオンを示す図である。 Epi−SC−2のマススペクトルを示す図である。 Epi−SC−2 m/z329 [M-H] のプロダクトイオンを示す図である。 Epi−SC−1−1、Epi−SC−1−2、Epi−SC−2の構造と1H NMRのピークの帰属結果である。

Claims (14)

  1. 下記式(VI)
    [式中、R1及びR2は一緒になってメチレンジオキシ基を形成し、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、独立に、水素、水酸基、アルコキシ基、O-(グルコース)n(n=1〜3である)、O-(ラムノシルグルコース)、O-キシロース、O-アラビノース、O-グルクロン酸のいずれかを表す]に示すメチレンジオキシフェニル基を有するジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体を、当該誘導体(VI)の1.5〜3.0当量の酸化剤を用いてアセトキシ化して、
    下記式(I’)
    [式中、R1及びR2は一緒になってアセトキシメチレンジオキシ基若しくはメチレンジオキシ基を形成し、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、独立に、水素、水酸基、アルコキシ基、O-(グルコース)n(n=1〜3である)、O-(ラムノシルグルコース)、O-キシロース、O-アラビノース、O-グルクロン酸のいずれかを表す]に示すアセトキシメチレンジオキシフェニル基を有するジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体を得ること、及び
    当該誘導体(I’)を酸加水分解することを特徴とする、下記式(I)
    [式中、R1及びR2は、独立に、水素を表すか、又はR1及びR2は一緒になってメチレンジオキシ基を形成し、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、独立に、水素、水酸基、アルコキシ基、O-(グルコース)n(n=1〜3である)、O-(ラムノシルグルコース)、O-キシロース、O-アラビノース、O-グルクロン酸のいずれかを表す]に示すカテコール基が導入されたジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体の製造方法。
  2. 前記カテコール基が導入されたジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体(I)が、下記式(II)
    又は下記式(III)
    に示す化合物である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記加水分解が、有機酸の存在下で行われるものである、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記有機酸が酢酸である、請求項3に記載の製造方法。
  5. 前記アセトキシ化に用いる酸化剤が、四酢酸鉛(Pb(OAc)4)である、請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 前記アセトキシ化に用いる四酢酸鉛の量が、原料となるメチレンジオキシフェニル基を有するジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体(VI)の1.5〜2.5当量である、請求項に記載の製造方法。
  7. 前記アセトキシ化に用いる四酢酸鉛の量が、原料となるメチレンジオキシフェニル基を有するジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体(VI)の2.5〜3.0当量である、請求項に記載の製造方法。
  8. 前記メチレンジオキシフェニル基を有するジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体(VI)が、ゴマ由来のリグナン化合物である、請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
  9. 前記メチレンジオキシフェニル基を有するジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体(VI)が、下記式(VII)
    の化合物である、請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
  10. 前記メチレンジオキシフェニル基を有するジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体(VI)がセサミン又はエピセサミンである、請求項8又は9に記載の製造方法。
  11. 前記アセトキシメチレンジオキシフェニル基を有するジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体(I’)が、下記式(IV)
    又は下記式(V)
    に示す化合物である、請求項1〜10のいずれかに記載の製造方法。
  12. アセトキシ化反応を30分〜3時間行う、請求項1〜11のいずれかに記載の製造方法。
  13. 下記式(IV)
    又は下記式(V)
    に示されるアセトキシメチレンジオキシフェニル基を有するジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体。
  14. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の製造方法における、下記式(I’)
    [式中、R1及びR2は一緒になってアセトキシメチレンジオキシ基若しくはメチレンジオキシ基を形成し、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、独立に、水素、水酸基、アルコキシ基、O-(グルコース)n(n=1〜3である)、O-(ラムノシルグルコース)、O-キシロース、O-アラビノース、O-グルクロン酸のいずれかを表す]に示すアセトキシメチレンジオキシフェニル基を有するジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体の使用
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