JP5488791B2 - 電波暗室 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば電子機器からの放射ノイズレベルの測定評価を行うための電波暗室に関する。
電子機器の普及や移動体通信を中心とする電波利用の拡大に伴い、電子機器から放射されるノイズや通信電波が他の電子機器に悪影響を及ぼす問題が生じている。このため、電子機器からの放射ノイズレベルについて世界的に規制する動きがある。
電子機器からの放射ノイズレベルを測定評価する試験場として、電波暗室が広く利用されている。電波暗室の天井面及び壁面には電波吸収体が配置され、床面(金属面)以外からの電波反射が極めて小さい空間を実現している。
電波暗室に使用される電波吸収体としては、磁性損失により電波を吸収するフェライトタイルや、誘電損失により電波を吸収する誘電性損失体、さらに両者を組み合わせた複合型電波吸収体等が用いられる。
電波暗室の試験場としての適合性は、サイトアッテネーションを測定することにより評価される。サイトアッテネーションの測定は、送受信アンテナの間隔を所定距離(3m法では3m、10m法では10m)とした状態で、送信アンテナ高さを固定、受信アンテナ高さを1mから4mまで走査して、得られる受信電界の最大値を計測することにより行われる。電波暗室におけるサイトアッテネーション測定値と理想的なサイトアッテネーション(理論値)とを比較してその偏差が±4dBの範囲内であれば、放射ノイズの測定場として適しているとされる。但し、理論値との偏差が小さいほど精度の高い放射ノイズ測定が行えるため、偏差が±3dBの範囲内であることを要求するユーザーも多い。
サイトアッテネーションの測定は水平偏波と垂直偏波で行う。アンテナ(ダイポールアンテナやバイコニカルアンテナ)の指向性から、水平偏波では天井面及び2つの妻壁面(図13において斜線でハッチングされた壁面)からの反射波の影響が支配的となる。一方、垂直偏波では2つの側壁面(図14において斜線でハッチングされた壁面)と2つの妻壁面からの反射波の影響が支配的となる。
妻壁面については、電波がほぼ垂直に入射するため、垂直入射特性に優れた電波吸収体を配置することが望ましい。一方、天井面及び側壁面については、電波が斜めに入射するため、斜入射特性に優れた電波吸収体を配置することが望ましい。ここで、前述したアンテナの指向性から、斜入射の中でもTE波(電界が入射面に垂直)に対する電波反射を抑えることが重要となる。
下記特許文献1は、天井面と側壁面にTE波に対する斜入射特性が優れた電波吸収体を配置することが望ましい点を指摘している。下記特許文献2は、電波吸収体としてフェライトタイルを使用する電波暗室において、天井面及び側壁面のフェライトタイルの厚さを全面的に厚くすることでTE波に対する斜入射特性を良くすることを開示している。
特開平2−12996号公報 特開平6−310892号公報
上記特許文献2のように天井面及び側壁面のフェライトタイルの厚さを全面的に厚くした場合、TE波に対する斜入射特性は良くなっても、材料使用量の観点からコスト高になるという問題がある。さらに、垂直偏波における側壁面への入射を考えると、送信アンテナ高さは低い位置(1m又は1.5m)に固定のため、受信アンテナ高さが低い位置の場合は反射点は側壁面の低い位置となり入射面はほぼ水平でTE波成分がほとんどである(図15)が、受信アンテナ高さが高い位置になって反射点が側壁面の高い位置に移動するにつれて入射面は傾いてTM波成分の割合が増えてくる(図16)。従って、側壁面の高い位置についてはTE波に対する斜入射特性が良くなるように設計した電波吸収体を配置することがよいとは限らない。一般に、フェライトタイルの厚さを垂直入射で最適となる厚さより厚くした場合は、TE波に対する斜入射特性は良くなるものの、TM波に対する斜入射特性は反対に悪くなる(図17)。
本発明はこうした状況を認識してなされたものであり、その目的は、TE波に対する反射係数の大きさが小さい(TE波に対する斜入射特性が優れた)電波吸収体の設置領域を側壁面のうちの好適な一部の領域に限定することで、同電波吸収体の設置領域を側壁面の全面とする場合と比較してコストを低減でき、かつ必要なサイトアッテネーション特性も確保することが可能な電波暗室を提供することにある。
本発明の第1の態様は、電波暗室である。この電波暗室は、
天井面及び壁面に電波吸収体を配置した電波暗室であって、
前記壁面は、相互に対向する側壁面と、相互に対向する妻壁面とからなり、
前記側壁面に配置された電波吸収体は複数のタイル状の磁性損失体を含み、
前記複数のタイル状の磁性損失体は全体として、前記側壁面の横方向の少なくとも一部の領域に、床面側から天井面側に向かって連続的に薄くなる部分を有する。
第1の態様の電波暗室において、前記一部の領域は、本電波暗室内に設置する電波の放射源及び受信アンテナの設置点における鉛直線をそれぞれ前記側壁面に対して略垂直に投影した場合の2つの投影線に挟まれる特定領域であるとよい。
前記複数のタイル状の磁性損失体が全体として床面側から天井面側に向かって連続的に薄くなる部分を有する領域が、前記特定領域に限定されていてもよい。
本発明の第2の態様は、電波暗室である。この電波暗室は、
天井面及び壁面に電波吸収体を配置した電波暗室であって、
前記壁面は、相互に対向する側壁面と、相互に対向する妻壁面とからなり、
前記側壁面に配置された電波吸収体は複数のタイル状の磁性損失体を含み、
前記複数のタイル状の磁性損失体は全体として、前記側壁面の横方向の少なくとも一部の領域で、床面側から天井面側に向かって段階的に薄くなる。
第2の態様の電波暗室において、前記一部の領域は、本電波暗室内に設置する電波の放射源及び受信アンテナの設置点における鉛直線をそれぞれ前記側壁面に対して略垂直に投影した場合の2つの投影線に挟まれる特定領域であってもよい
前記複数のタイル状の磁性損失体が全体として床面側から天井面側に向かって段階的に薄くなる領域が、前記特定領域に限定されていてもよい。
少なくとも前記一部の領域で、前記側壁面に配置された電波吸収体のうち床面から所定高さ以内に存在する第1の部分の前記磁性損失体が、前記所定高さを超えた範囲に存在する第2の部分の前記磁性損失体よりも厚くてもよい。
前記所定高さが3mであってもよい
記側壁面に配置された電波吸収体は、前記磁性損失体の前面に誘電損失体を配置したものであり、
前記誘電損失体の長さが、少なくとも前記一部の領域で、床面側から天井面側に向かって段階的に短くなってもよい。
記磁性損失体がフェライト焼結体であってもよい。
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法やシステムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明の第1の態様によれば、TE波に対する反射係数の大きさが小さい(TE波に対する斜入射特性が優れた)電波吸収体の設置領域が側壁面の横方向の少なくとも一部の領域のうちTE波成分の割合が大きい床面側に限定されることとなるため、同電波吸収体の設置領域を前記側壁面の全面とする場合と比較してコストを低減でき、かつ必要なサイトアッテネーション特性も確保することが可能となる。
本発明の第2の態様によれば、厚さの厚いフェライトタイルの設置領域が側壁面の横方向の少なくとも一部の領域のうちTE波成分の割合が大きい床面側に限定されることとなるため、厚さの厚いフェライトタイルの設置領域を前記側壁面の全面とする場合と比較してコストを低減でき、かつ必要なサイトアッテネーション特性も確保することが可能となる。
本発明の第3の態様によれば、長さの長い誘電損失体の設置領域が側壁面の横方向の少なくとも一部の領域のうちTE波成分の割合が大きい床面側に限定されることとなるため、長さの長い誘電損失体の設置領域を前記側壁面の全面とする場合と比較してコストを低減でき、かつ必要なサイトアッテネーション特性も確保することが可能となる。
本発明の第1の実施の形態に係る電波暗室の概念的説明図。 図1の部分的な拡大断面図(電波吸収体としてフェライトタイルを用いた場合)。 図1の部分的な拡大断面図(電波吸収体としてフェライトタイルの前面に誘電損失体を配置したものを用いた場合)。 本発明の第2の実施の形態に係る電波暗室の概念的説明図。 図4の部分的な拡大断面図(電波吸収体としてフェライトタイルを用いた場合)。 第2の実施の形態に関し、フェライトタイルの厚さを3段階以上とした場合の部分的な拡大断面図。 本発明の第3の実施の形態に係る電波暗室の概念的説明図。 本発明の実施例に係る電波暗室の概念的説明図。 同実施例で用いる電波吸収体A,BのTE波に対する斜入射特性(入射角度45°)を示す特性図。 同電波吸収体A,BのTM波に対する斜入射特性(入射角度45°)を示す特性図。 同実施例に係る電波暗室の垂直偏波におけるサイトアッテネーション特性の測定値(理論値との偏差)を示す特性図。 誘電損失体の長さを95cmとした場合及び130cmとした場合の斜入射特性(入射角度45°)を示す特性図((A)はTE波、(B)はTM波)。 電波暗室における妻壁面の説明図。 電波暗室における側壁面の説明図。 受信アンテナ高さが低い位置の場合の入射波の模式的説明図。 受信アンテナ高さが高い位置の場合の入射波の模式的説明図。 2種類の厚さのフェライトタイルの斜入射特性を示す特性図((A)はTE波、(B)はTM波)。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を詳述する。なお、各図面に示される同一又は同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は発明を限定するものではなく例示であり、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る電波暗室100の概念的説明図である。電波暗室100は、天井面11と、相互に対向する側壁面12,13(図1において斜線でハッチングして示される)と、相互に対向する妻壁面14,15とに電波吸収体が設置され、床面17は金属面となっている。側壁面12,13は、送信アンテナ21(又は供試機器(EUT:Equipment Under Test))の設置点と受信アンテナ22の設置点とを直線で結んだ測定軸に対して略平行な壁面である。また、妻壁面14,15は、送信アンテナ21の設置点と受信アンテナ22の設置点の背後に位置する壁面である。なお、電波吸収体は金属板等の電波反射体で裏打ちされていてもよい。
妻壁面14,15に配置された電波吸収体は、垂直入射用に設計されたものである。一方、天井面11に配置された電波吸収体は、妻壁面14,15に配置された電波吸収体よりも所定周波数範囲かつ所定入射角範囲の斜入射TE波に対する反射係数(以下「TE波反射係数」)の大きさが小さい(TE波に対する斜入射特性が優れた)ものである。そして、側壁面12,13に配置された電波吸収体は、TE波反射係数の大きさが側壁面12,13の横方向の全領域で床面17側から天井面11側に向かって連続的に大きくなるものである。例えば、側壁面12,13に配置された電波吸収体の下端部分(床面17に最も近い部分)のTE波反射係数は天井面11に配置された電波吸収体のTE波反射係数と等しく、側壁面12,13に配置された電波吸収体の上端部分(天井面11に最も近い部分)のTE波反射係数は妻壁面14,15に配置された電波吸収体のTE波反射係数と等しくなるようにする。
上記所定周波数範囲は、例えば30MHz乃至100MHzである。これは、サイトアッテネーションの測定において理想的なサイトアッテネーション(理論値)との偏差が大きくなりやすいのは高周波領域よりも低周波領域であることを考慮したものである。なお、下限(30MHz)は規格に準拠している。
上記所定入射角範囲は、例えば35°乃至50°である。これは、電波暗室の設計上、送受信アンテナの配置を考えると実際に考慮すべき範囲は上記角度範囲内になることを踏まえたものである。
電波暗室100に用いられる電波吸収体は、フェライト焼結体からなるフェライトタイル等の磁性損失体である。ここで、磁性損失体の厚さを垂直入射に対する整合厚さよりも厚くした方が、TE波反射係数の大きさを小さくすることができる(薄いと大きくなる)。また、電波吸収体が誘電損失体である又は磁性損失体の前面に誘電損失体を配置したものである場合、TE波反射係数の大きさは誘電損失体の長さを長くするほど小さくなる(短くするほど大きくなる)。
図2は、図1の部分的な拡大断面図(電波吸収体としてフェライトタイルを用いた場合)である。本図の例では、側壁面12に配置する電波吸収体は磁性損失体としてのフェライトタイル25であり、フェライトタイル25の厚さは床面17側から天井面11側に向かって連続的に薄くなるようにしている。最も薄い部分は、例えば垂直入射に対する整合厚さと同様にする。なお、フェライトタイル25の厚さは、床面17側から天井面11側に向かう全領域で連続的に薄くなっている必要はなく、床面17側から天井面11側に向かう中間の一部の領域(床面17からの高さ方向の一部)のみで連続的に薄くなっていてもよい。
図3は、図1の部分的な拡大断面図(電波吸収体としてフェライトタイルの前面に誘電損失体を配置したものを用いた場合)である。本図の例では、側壁面12に配置する電波吸収体はフェライトタイル25の前面に例えば中空角錐状(好ましくは四角錐状)の誘電損失体27を配置したものであり、誘電損失体27の長さは床面17側から天井面11側に向かって段階的に短くなるようにする。誘電損失体は、発泡ポリスチロールや発泡ポリウレタン等の基材(低誘電率誘電体)にカーボンやグラファイト等の導電材料を含有させた材料からなる。なお、誘電損失体単独で電波吸収体を構成してもよい。また、図2,図3には示されないが、フェライトタイル25の裏側は、電波暗室100の内面に貼られた金属板で裏打ちされている。
本実施の形態によれば、下記の効果を奏することができる。
(1) 側壁面12,13に配置された電波吸収体を、TE波反射係数の大きさが側壁面12,13の横方向の全領域で床面17側から天井面11側に向かって連続的に大きくなるものとしているため、側壁面12,13の全面に(床面17側から天井面11側の全領域に)床面17側と同様にTE波反射係数の大きさが小さい(TE波に対する斜入射特性が優れた)電波吸収体を配置する場合と比較してコスト低減(材料費低減)を図ることが可能となる。
(2) 側壁面12,13に配置された電波吸収体はTE波反射係数が天井面11側に行くほど大きくなるものの、図16で既述のように反射点が側壁面の高い位置に移動するにつれて入射面が傾いてTE波成分の割合が減る(TM波成分の割合が増える)ため、TE波反射係数の傾斜がサイトアッテネーション特性に与える影響は比較的小さく、電波暗室として必要なサイトアッテネーション特性を確保可能である。
(第2の実施の形態)
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る電波暗室200の概念的説明図である。本実施の形態の電波暗室200は、第1の実施の形態の電波暗室と比較して、側壁面12,13に配置された電波吸収体のTE波反射係数の大きさが床面17側から天井面11側に向かって段階的(不連続すなわち離散的)に大きくなるものである点で相違し、その他の点で一致している。以下、相違点について説明する。
電波暗室200において、側壁面12,13の横方向の全領域で、側壁面12,13に配置された電波吸収体のうち床面から所定高さ以内に存在する第1の部分のTE波反射係数の大きさが、前記所定高さを超えた範囲に存在する第2の部分のTE波反射係数の大きさよりも小さくなっている。電波吸収体としてフェライトタイルを用いる場合は、図5に示すように、フェライトタイル25の厚さを、床面から所定高さ以内に存在する第1の部分31では厚く、前記所定高さを超えた範囲に存在する第2の部分32では例えば垂直入射に対する整合厚さと同程度に薄くする。なお、フェライトタイル25の前面に誘電損失体を配置してもよい。
上記所定高さは例えば3mである。これは、一般にサイトアッテネーション特性の評価の際に送信アンテナ高さは低い位置(1m又は1.5m)に固定で受信アンテナ高さは1mから4mまでの範囲であることを考慮すると、高さ3m以内においてTE波反射係数の大きさが小さいことが好ましいためである。
なお、フェライトタイル25の厚さは、図5に示すような2段階に限らず、図6に示すような3段階又はそれ以上であってもよい。いずれにしても、床面から高さ3mまでにおいてはフェライトタイル25の厚さが最大であるとよい。また、最も天井面11側に位置する部分では垂直入射に対する整合厚さと同程度に薄くするとよい。なお、図5,図6には示されないが、フェライトタイル25の裏側は、電波暗室200の内面に貼られた金属板で裏打ちされている。
本実施の形態も、第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。また、フェライトタイル25の厚さを連続的に変化させる場合と比較して加工容易性が高くて好ましいといえる。
(第3の実施の形態)
図7は、本発明の第3の実施の形態に係る電波暗室300の概念的説明図である。本実施の形態の電波暗室300は、第1又は第2の実施の形態の電波暗室と比較して、側壁面12,13に配置された電波吸収体のTE波反射係数の大きさが床面17側から天井面11側に向かって連続的に大きくなる部分がある又は段階的に大きくなる領域が、側壁面12,13の横方向の全領域ではなく特定領域32,33に限定されている点で相違し、その他の点で一致している。なお、特定領域32,33以外の領域には垂直入射用に設計された電波吸収体を配置する。
特定領域32,33は、送信アンテナ21の設置点における鉛直線と受信アンテナ22の設置点における鉛直線とを側壁面12,13に対して略垂直に投影した場合の2つの投影線に挟まれる領域(図7において斜線でハッチングして示される)である。電波吸収体としてフェライトタイルを用いる場合は、特定領域32,33において、図2に示されるようにフェライトタイル25の厚さを床面17側から天井面11側に向かって連続的に薄くし、又は、図5若しくは図6に示されるようにフェライトタイル25の厚さを床面17側から天井面11側に向かって段階的に薄くする。特定領域32,33以外の領域では、フェライトタイル25の厚さを垂直入射に対する整合厚さと同様にする。なお、フェライトタイル25の前面に誘電損失体を配置してもよい。
本実施の形態によれば、特定領域32,33による反射電波の影響がその他の領域によるものと比較して大きいことに着目して上記の構成としたことで、TE波反射係数の大きさが小さい(TE波に対する斜入射特性が優れた)電波吸収体の配置領域をさらに減らしてコスト低減を図りつつ、電波暗室として必要なサイトアッテネーション特性を確保可能である。
図8は、本発明の実施例に係る電波暗室400の概念的説明図である。本実施例では、フェライトタイルと誘電損失体を組み合せた以下の2種類の複合型電波吸収体を用いた。
1.電波吸収体A… 厚さ5.5mmのフェライトタイルの前面に長さ95cm誘電損失体を配置したもの(垂直入射用の設計)。
2.電波吸収体B… 厚さ6.5mmのフェライトタイルの前面に長さ95cm誘電損失体を配置したもの。
※電波吸収体A,Bはいずれも、背面が金属板(電波反射体)で裏打ちされているものとする。
電波吸収体A,Bの配置箇所は次のとおりとした。
・妻壁面14,15:電波吸収体A
・天井面11:電波吸収体B
・側壁面12,13(床面から高さH[m]以下の領域):電波吸収体B
・側壁面12,13(床面から高さH[m]を超える領域):電波吸収体A
※図8において斜線でハッチングして示した部分が電波吸収体Bの配置箇所。
図9は、実施例で用いる電波吸収体A,BのTE波に対する斜入射特性(入射角度45°)を示す特性図である。本図より、電波吸収体Aと比較して厚いフェライトタイルを使用した電波吸収体BのほうがTE波に対する斜入射特性が30MHz乃至100MHzにおいて優れていることが分かる。なお、100MHzを超えると電波吸収体AのほうがTE波に対する斜入射特性が優れている部分もあるが、サイトアッテネーションの測定において理想的なサイトアッテネーション(理論値)との偏差が大きくなりやすいのは高周波領域よりも低周波領域であることを考えれば、ほとんど問題にならないといえる。図10は、実施例で用いる電波吸収体A,BのTM波に対する斜入射特性(入射角度45°)を示す特性図である。TE波の場合とは逆に、TM波に対しては電波吸収体Aのほうが優れた斜入射特性となっている。
図11は、実施例に係る電波暗室400の垂直偏波におけるサイトアッテネーション特性の測定値(理論値との偏差)を示す特性図である。測定は、上記のとおりの電波吸収体A,Bの配置で高さH[m]を0m,1m,2m,3m,4m,8.6mとし、送信アンテナ高さを1m及び1.5mとした場合のそれぞれについて、送信アンテナ及び受信アンテナ間の距離は10mで固定し、かつ受信アンテナ高さを1mから4mまで走査して、30MHz乃至300MHzの周波数範囲で行った。本図に示される測定結果は、測定値が理論値と比較してプラス側に最も大きくずれている周波数におけるの偏差(同図において「MAX」と記される)とマイナス側に最も大きくずれている周波数における偏差(同図において「MIN」と記される)とを上記各場合について求めてグラフにしたものである。なお、H=8.6mは、側壁面12,13の全面に電波吸収体Bを配置した場合である。
本図から分かるように、側壁面12,13における電波吸収体Bの配置領域を床面から高さ3mより上に広げても(H>3mとしても)サイトアッテネーション特性の測定値はほとんど変わらない。従って、電波吸収体Bの配置領域は高さ3m以下に制限して差し支えないといえる。また、H=1m,2mであっても偏差は概ね±3dB以内となっており、サイトアッテネーション特性は良好といえる。
なお、TE波に対する斜入射の反射係数を良くする方法として、フェライトタイルの厚さを厚くする他に、誘電損失体の長さを長くしてもよい。図12は、誘電損失体の長さを95cmとした場合及び130cmとした場合の斜入射特性(入射角度45°)を示す特性図であり、(A)はTE波に対する場合を、(B)はTM波に対する場合を示す。ここで、フェライトタイルの厚さは5.5mmで統一している。なお、フェライトタイルの背面は、金属板(電波反射体)で裏打ちされている。同図(A)より、誘電損失体の長さが長いほうがTE波に対する斜入射特性が30MHz乃至100MHzにおいて優れていることが分かる。
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、実施の形態の各構成要素には請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは当業者に理解されるところである。
11 天井面
12,13 側壁面
14,15 妻壁面
17 床面
21 送信アンテナ
22 受信アンテナ
25 フェライトタイル
27 誘電損失体
100, 200, 300, 400 電波暗室

Claims (10)

  1. 天井面及び壁面に電波吸収体を配置した電波暗室であって、
    前記壁面は、相互に対向する側壁面と、相互に対向する妻壁面とからなり、
    前記側壁面に配置された電波吸収体は複数のタイル状の磁性損失体を含み、
    前記複数のタイル状の磁性損失体は全体として、前記側壁面の横方向の少なくとも一部の領域に、床面側から天井面側に向かって連続的に薄くなる部分を有する、電波暗室。
  2. 請求項1に記載の電波暗室において、前記一部の領域は、本電波暗室内に設置する電波の放射源及び受信アンテナの設置点における鉛直線をそれぞれ前記側壁面に対して略垂直に投影した場合の2つの投影線に挟まれる特定領域であることを特徴とする、電波暗室。
  3. 請求項2に記載の電波暗室において、前記複数のタイル状の磁性損失体が全体として床面側から天井面側に向かって連続的に薄くなる部分を有する領域が、前記特定領域に限定されていることを特徴とする、電波暗室。
  4. 天井面及び壁面に電波吸収体を配置した電波暗室であって、
    前記壁面は、相互に対向する側壁面と、相互に対向する妻壁面とからなり、
    前記側壁面に配置された電波吸収体は複数のタイル状の磁性損失体を含み、
    前記複数のタイル状の磁性損失体は全体として、前記側壁面の横方向の少なくとも一部の領域で、床面側から天井面側に向かって段階的に薄くなる、電波暗室。
  5. 請求項4に記載の電波暗室において、前記一部の領域は、本電波暗室内に設置する電波の放射源及び受信アンテナの設置点における鉛直線をそれぞれ前記側壁面に対して略垂直に投影した場合の2つの投影線に挟まれる特定領域であることを特徴とする、電波暗室。
  6. 請求項5に記載の電波暗室において、前記複数のタイル状の磁性損失体が全体として床面側から天井面側に向かって段階的に薄くなる領域が、前記特定領域に限定されていることを特徴とする、電波暗室。
  7. 請求項4から6のいずれかに記載の電波暗室において、少なくとも前記一部の領域で、前記側壁面に配置された電波吸収体のうち床面から所定高さ以内に存在する第1の部分の前記磁性損失体が、前記所定高さを超えた範囲に存在する第2の部分の前記磁性損失体よりも厚いことを特徴とする、電波暗室。
  8. 請求項7に記載の電波暗室において、前記所定高さが3mであることを特徴とする、電波暗室。
  9. 請求項1から8のいずれか一項に記載の電波暗室において、
    前記側壁面に配置された電波吸収体は、前記磁性損失体の前面に誘電損失体を配置したものであり、
    前記誘電損失体の長さが、少なくとも前記一部の領域で、床面側から天井面側に向かって段階的に短くなることを特徴とする、電波暗室。
  10. 請求項1から9のいずれか一項に記載の電波暗室において、前記磁性損失体がフェライト焼結体であることを特徴とする、電波暗室。
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