JP5488733B2 - 導電性ポリアミド繊維および導電ブラシ - Google Patents
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Description
本発明は、電子写真記録方式の乾式複写機やファクシミリ、プリンター等に用いられる導電性ポリアミド繊維および導電ブラシに関する。
電子写真複写機等に静電潜像形式に重要な要素の帯電部および感光体に残った残トナーや電荷を除去するためのクリーニング部、トナーに電荷を付与する供給部には導電性のローラーが多く使用されている。しかし、近年高画質化やカラー用途が増加しており、トナー粒子の小粒化が進んでいる。この小粒化したトナーを用いると、シリコーンやポリウレタンで構成された導電性のローラーでは、ローラーの表面の気泡にトナーが入り込みローラー表面が硬くなったり、トナーが融着してなるトナーフィルミングによりローラー表面の抵抗値が高くなる問題があった。
このため、セルロース系の導電糸を用いた導電ブラシが特許文献1に提案されている。しかし、セルロース系の導電糸を用いた場合、繊維の吸水率が高いため、湿度の変化によって糸の抵抗値が変化する。そのため、ブラシの抵抗値が変わり、帯電ムラが発生する問題があった。
このため、特許文献2では熱水処理前後の電気抵抗値の差、熱水収縮率が特定範囲にあるポリアミドやポリエステル系導電糸を用いた導電ブラシが提案されている。しかし、実施例に示されているナイロン6導電糸を用いた導電ブラシでは、セルロース系導電糸よりも温湿度変化に対し抵抗値変化が小さくなるものの、近年のカラー化により更なる抵抗値変化の抑制が必要であるものであった。
そのため、特許文献3記載の発明のようにナイロン12などの吸湿性の少ないポリアミド導電糸を用いた提案がある。しかし、ナイロン12は融点が180℃と低いため、ブラシに加工する際の熱セット性が悪く、長時間印字をしなかった場合に感光体やロールに接した機構の場合、ブラシの接している部分の形状が変化し、次に印字する際に均一な帯電が出来ない等の問題があった。また、感光体の表面は導電性の有機被膜を用いる場合が大きいが、吸湿性の少ないポリエチレンテレフタレート系の導電糸を用いた導電ブラシを用いると、繊維のコシが高く導電ブラシやクリーニングブラシとして用いた場合、感光体を傷付ける問題があった。
ところで、最近地球的規模での環境に対する意識向上に伴い、非石油由来の繊維素材の開発が切望されている。従来のポリアミド等の合成繊維は石油資源を主原料としていることから、石油資源が将来枯渇すること、また石油資源の大量消費により生じる地球温暖化が大きな問題として取り上げられている。二酸化炭素を大気中から取り込み成長する植物を原料とすることで、二酸化炭素の循環により地球温暖化を抑制できることが期待できると共に、資源枯渇の問題も解決できる可能性がある。よって、近年では植物資源のプラスチック、すなわちバイオマス由来のプラスチック(以下、バイオマスプラと記載)に注目が集まっている。バイオマスプラの代表的なものとして、ポリ乳酸等の脂肪族ポリエステルが挙げられ、研究開発が本格化しているが、耐熱性、耐摩耗性、耐加水分解性などの諸特性がポリアミド繊維と比べて低いため、プリンターや複写機のような要求特製の高い用途への適用は困難であった。
本発明は、従来のポリアミド6導電糸からなる導電ブラシよりも湿度変化による抵抗値変化が少なく、かつ形状安定性が高い導電ブラシを提供しかつ地球環境に配慮した導電性ポリアミド繊維を提供することを課題とする。
上述した本発明の目的は、以下の構成により達成される。
(1)セバシン酸単位を主成分とするジカルボン酸単位を有するポリアミドと導電性カーボンで構成されるポリアミド繊維であって、導電性カーボンの含有量がポリアミド繊維中10〜40質量%であり、該繊維の寸法安定率が0.5%以下であることを特徴とする導電性ポリアミド繊維。
(2)導電性ポリアミド繊維の平衡水分率が2質量%以下である(1)記載の導電性ポリアミド繊維。
(3)導電性ポリアミド繊維がナイロン610、ナイロン510からなるものである(1)〜(2)のいずれか記載の導電性ポリアミド繊維。
(4)さらに高級脂肪酸化合物を0.5〜5質量%含有してなる(1)〜(3)のいずれか記載の導電性ポリアミド繊維。
(5)高級脂肪酸化合物がステアリン酸化合物であることを特徴とする(4)記載の導電性ポリアミド繊維。
(6)高級脂肪酸化合物がステアリン酸化金属塩であることを特徴とする(4)または(5)記載の導電性ポリアミド繊維。
(7)高級脂肪酸化合物がステアリン酸亜鉛であることを特徴とする(4)〜(6)のいずれか記載の導電性ポリアミド繊維。
本発明によれば、以下に説明するとおり、湿度変化による抵抗値変化が少なく、かつ長時間印字を停止した場合のブラシ形状変化の少ない導電ブラシを得ることができる。
以下、本発明の導電性ポリアミド繊維についてさらに詳細に説明する。
本発明の導電性ポリアミド繊維に用いるポリアミドとしては、セバシン酸単位を主成分とするジカルボン酸単位を有するポリアミドであることが必要である。セバシン酸単位を主成分とするジカルボン酸単位を有するポリアミドとすることで、吸湿性や熱収縮が低くなることから、吸湿に対する形状安定性により、印字を停止から起動とした時や、温湿度による環境変化があっても導電ブラシ先端と感光体やローラーとの距離が一定に保たれ、帯電均一性や環境安定性が高くなる。また、ナイロン6からなる導電ブラシの場合は、寸法変化を加味して、導電ブラシを感光体やローラーに近づける必要があるが、セバシン酸単位を主成分とするジカルボン酸単位を有するポリアミドは、吸湿による寸法変化が少なくなるため、導電ブラシを感光体やローラーへの押しつけ量が少なくなり、導電ブラシの摩耗や、トナーの蓄積が低減し寿命が長くなる。また、セバシン酸単位を主成分とするジカルボン酸単位を有するポリアミドは低収縮であるため、原糸から導電ブラシ形成までの比抵抗変化が小さくなり、生産に有利となる。さらにセバシン酸は、ヒマシ油の種子から精製されるため、地球環境にも優れた素材である。
本発明に用いるポリアミドを構成するジカルボン酸成分は、上述のとおりセバシン酸単位を主成分とするものであり、ジカルボン酸単位中80モル%以上がセバシン酸単位であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましく、全てセバシン酸単位であることが最も好ましい。セバシン酸単位以外のジカルボン酸単位を構成するジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等が挙げられる。
ジアミン単位としては、特に制限はなく、ジアミン単位を構成するジアミンとしては、炭素数2以上のジアミン成分、好ましくは炭素数4〜10、より好ましくは4〜6のジアミン成分が挙げられ、具体的には、プトレシン、1,5−ペンタンジアミン、ヘキサメチレンジアミントリメチレンジアミン、ノナンジアミン、メチルペンタンジアミン、フェニレンジアミン、エタンブトール等が挙げられる。
また、本発明の効果を損なわない範囲であれば、アミノカルボン酸、ラクタム類を共重合することも可能であり、その含有量は、ジアミンとジカルボン酸で構成する単位とアミノカルボン酸(もしくはラクタム類)単位の合計に対し、10モル%以下であることが好ましい。
本発明で用いるセバシン酸単位を主成分とするジカルボン酸単位を有するポリアミドとしては、ナイロン210、ナイロン310、ナイロン410、ナイロン510、ナイロン610、ナイロン910などが好ましく挙げられ、ナイロン410、ナイロン510、ナイロン610、ナイロン910がより好ましく、、ナイロン410、ナイロン510、ナイロン610がさらに好ましく挙げられる。この中でも重合性が安定し、かつ、カーボンブラックの分散性に優れた導電性ポリアミド繊維を与える観点からナイロン510およびナイロン610が好ましい。
セバシン酸単位を主成分とするジカルボン酸単位を有するポリアミドは、相対粘度で2〜4が好ましい。相対粘度は、ポリアミド樹脂1質量%の98%濃硫酸溶液中、オストワルド粘度計を用いて25℃で測定する。相対粘度が2未満では、繊維の強度が低く導電ブラシとした場合に繊維が切断し、帯電ムラや、印字の欠点となる問題がある。相対粘度が4を越えると、ポリアミド中にカーボンブラック等の導電性カーボンを分散させる際や、溶融して押し出す際に、カーボンストラクチャーにシェアが掛かり、ストラクチャーが破壊し、導電性ポリアミドの比抵抗値が高くなる問題が発生する。好ましくは2.5〜3.5である。
本発明においてポリアミド繊維中の導電性カーボンの含有量は、10〜40質量%であることが必要である。導電性カーボンの含有量が10質量%未満であると、ポリアミド繊維の比抵抗値が高くなり、導電性がなくなり電荷を付与できないため導電性ブラシとして機能しない。また、導電性カーボンの含有量が40質量%を超えるとポリアミド繊維の製造において曳糸性が低下し、製造が困難となる。好ましくは15〜35質量%である。
導電性カーボンとしては、カーボンブラック、カーボンナノチューブ等が挙げられるが、カーボンブラックが好ましく用いられる。
ここで用いるカーボンブラックは、例えばアセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラックなど導電性を有する粉末体であれば特に制限はないが、粉末粒子の大きさが小さく、比較的均一である点で、ファーネスブラックが好ましい。粒子が大きいと、紡糸時の濾過圧上昇の抑制や、紡糸時の糸切れ、繊維の強度の向上を考慮すると、2μm以下のものを用いることが好ましい。
本発明の導電性ポリアミド繊維は寸法安定率が0.5%以下であることが必要である。ここでいう寸法安定率とは、20℃×65%RHの繊維長に対する、30℃×90%RHの糸長の変化率をいう。なお、具体的な測定および算出方法の詳細は後述のとおりとする。寸法安定率が0.5%を超えると、ブラシに接しているローラーへの圧力が変化するため、帯電ブラシやトナー供給ブラシに用いた場合、帯電濃度が変化する問題がある。また、繊維のコシが変化するためクリーニングブラシに用いた場合、トナーの除去性能が変化する問題がある。
ポリアミドにおける寸法安定率の不良は、水分子によりアミド基の水素結合が外れるために起こる現象である。
このため、本発明で用いる導電性ポリアミドは、平衡水分率が2質量%以下のポリアミドを用いることが好ましい。ここでいう平衡水分率とは、脱油した繊維を乾燥し、20℃×65%RHに24時間放置したときに吸湿した水分率をいう。平衡水分率が2質量%を超えると寸法安定性が高くなるばかりでなく、繊維に水分が付着することにより、抵抗値が変化するため、湿度が変化したときにブラシの抵抗値が変化する問題がある。
ポリアミド内の導電性カーボンを含有せしめる方法としては、ポリアミドペレットへ導電性カーボンをブレンドし溶融する方法、ポリアミドペレットへ高濃度の導電性カーボンを含有するマスタペレットをブレンドし溶融する方法、溶融状態のポリアミドへ導電性カーボンを添加し混練する方法、溶融状態のポリアミドへ溶融状態の高濃度の導電性カーボンを含有するポリアミドを混練する方法などが挙げられる。
本発明の導電性ポリアミド繊維を構成する繊維の製造方法は、本発明の導電性ポリアミド繊維が得られる限り特に限定はしないが、例えば、溶融紡糸による製造方法について、二工程法(未延伸糸を一旦巻き取った後に延伸する方法)、一工程である高速紡糸法(紡糸速度を4000m/分以上のように高速として実質的に延伸工程を省略する方法、POYの製造)、高速紡糸延伸法(紡糸−延伸工程を連続して行う方法)等がある。中でも、二工程法が好ましく、導電性カーボンを含有したポリアミド樹脂を溶融し、口金吐出孔から吐出し、冷却、給油の後、1000m/分以下の速度で一旦巻き取り未延伸糸を得る。
得られた未延伸糸を、延伸倍率2.5〜3.5、熱延伸温度100〜190℃で巻き取り、比抵抗値が(温度20℃、湿度30%RH)103〜108Ωcmの延伸糸(ポリアミド長繊維)を得る。なお、上記において比抵抗値は導電性ポリアミド長繊維を1000デシテックスの束状にして、測定糸長10cmとして、65%RHの湿度で18時間以上放置し、振動容量型超絶縁計で電気抵抗を測定し、糸長および糸質量から比抵抗値を算出した。上記比抵抗値は導電性カーボンの濃度により変化し、導電性カーボンの濃度が高いと比抵抗値が低くなり、導電性カーボンの濃度が低いと比抵抗値が高くなる。
得られた未延伸糸を、延伸倍率2.5〜3.5、熱延伸温度100〜190℃で巻き取り、比抵抗値が(温度20℃、湿度30%RH)103〜108Ωcmの延伸糸(ポリアミド長繊維)を得る。なお、上記において比抵抗値は導電性ポリアミド長繊維を1000デシテックスの束状にして、測定糸長10cmとして、65%RHの湿度で18時間以上放置し、振動容量型超絶縁計で電気抵抗を測定し、糸長および糸質量から比抵抗値を算出した。上記比抵抗値は導電性カーボンの濃度により変化し、導電性カーボンの濃度が高いと比抵抗値が低くなり、導電性カーボンの濃度が低いと比抵抗値が高くなる。
本発明の導電性ポリアミド繊維は、本発明の効果を損なわない範囲において種々の添加剤を含んでも良い。この添加剤を例示すれば、マンガン化合物、マグネシウム化合物などの安定剤、可塑剤、高級脂肪酸化合物などの滑剤、難燃剤、繊維状強化剤、酸化防止剤、耐光剤などである。この中でも特に、高級脂肪酸化合物は導電性カーボンを含有したポリアミドの溶融ポリマー流動性が向上するために、導電性カーボンを分散させる際や、溶融して押し出す際に、カーボンストラクチャーのシェアが低減されるため、導電性ポリアミドの比抵抗値が低くなる。このため、導電性カーボンの含有量を少なくできるため、導電性ポリアミド繊維の強度が高くなり、紡糸糸切れやブラシを作成するための加工において、毛羽や糸切れを抑制できる。また、これまでの導電性ブラシでは、印字枚数を重ねるとブラシ内にトナーが蓄積し、ブラシ表面の抵抗値が高くなるため、印字濃度が薄くなる問題があったが、高級脂肪酸化合物を含有することにより繊維表面の摩擦を低減させ、ブラシ内にトナーが蓄積するのを抑制し、印字枚数を増やすことができる。高級脂肪酸化合物の添加量はポリアミド繊維中に0.5〜5質量%であることが好ましく、0.5〜3質量%がより好ましく、さらには0.5〜2.8質量%であることが好ましい。高級脂肪酸化合物の添加量が0.5質量%未満ではポリアミドの溶融ポリマーの流動性が向上しない。高級脂肪酸化合物の添加量が3質量%を越えると、溶融ポリマーの曳糸性が低下し、紡糸での糸切れが多発する。高級脂肪酸化合物の例としては、炭素数10〜30、好ましくは15〜20であることが好ましく、飽和、不飽和いずれでもよいが、飽和の高級脂肪酸化合物であることが好ましい。化合物の形態としては、例えば金属塩(例えばアルカリ金属塩、もしくはアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩など、好ましくはアルカリ土類金属塩)、アンモニウム塩、エステル等が挙げられるが、なかでも金属塩が好ましい。金属塩の金属種としては、カルシウム、亜鉛、マグネシウム、バリウム、アルミニウム等を好ましく挙げることができる。
高級脂肪酸化合物の具体的例としては、アラキドン酸化合物、イソステアリン酸化合物、ウンデシレン酸化合物、オレイン酸化合物、ステアリン酸化合物、パルミチン酸化合物、ベヘニン酸化合物、ミリスチン酸化合物、ラウリン酸化合物、ラノリン脂肪酸化合物、硬質ラノリン脂肪酸化合物、軟質ラノリン脂肪酸化合物、リノール酸化合物、リノレン酸化合物などが挙げられるが、この中でもステアリン酸化合物は、安価で個体の物が多くポリアミド内に含有させる場合に容易である。
なかでもさらに、ステアリン酸化合物の中でも、金属化合物は少量の添加でポリアミドの溶融ポリマー流動性が向上するためより好ましい。このステアリン酸金属化合物を例示すれば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸アルミニウムなどがある。また、ステアリン酸化合物とともに、パルミチン酸化合物、ミリスチン酸化合物等その他の高級脂肪酸化合物と併用することも可能である。この中でもステアリン酸亜鉛は、さらに少量でポリアミドの溶融ポリマー流動性が向上するためより好ましい。
得られたポリアミド導電糸は金属シャフトに静電気植毛したり、織物にして起毛加工した布帛を金属に巻きつける等で導電ブラシとする。電子写真記録方式の乾式複写機用の導電ブラシとは非接触コロナ放電にかわって感光体に接触帯電させる印加ブラシや、感光体上に残存した電荷およびトナーを除去するクリーニングブラシ、感光体へのトナーの吸着を促進させるために、トナーカートリッジ内でトナーに電荷を与えるトナー供給ブラシ、感光体に供給したトナーを印刷用紙に転写させるために、印刷用紙に逆電荷を付与する転写ブラシである。
本発明の導電性ポリアミドは、融点が200℃以上であることが好ましい。ポリアミド導電糸をブラシに加工する際、静電気植毛により導電ブラシとする場合は、接着剤の乾燥に熱を掛ける。また織物にして起毛加工した布帛を金属に巻きつける等で導電ブラシにする場合は、織物の状態で基布を熱でセットしたり、導電ブラシの仕上げ加工として熱により毛先の方向をセットするために熱を掛ける。この時、導電性ポリアミドの融点が200度未満であると、乾燥やセットする温度を低くする必要があるため、加工の時間が長くなったり、また、特に導電ブラシの毛先をセットする場合は、セット温度が低いとセット性が十分でないため、時間と共に導電ブラシの形状が変化する問題がある。
静電気植毛により導電ブラシとする場合は、導電性ポリアミドを、トウ(連続フィラメントの収束)の形態とした後、80〜98℃の熱水で30〜60分間熱処理を行い、ギロチンカッターなどのカッティングマシンにより短繊維とする。製造工程中の熱水処理は、導電性ポリアミドを収縮させ、電気抵抗値のバラツキを小さくするばかりでなく、導電性フロックおよび導電ブラシとした後に、経時による抵抗値の変化を小さくする効果がある。また、短繊維のカット面はカッティングマシン構造や刃物と繊維の関係により決定されるが、導電性カーボンを含有したポリアミド繊維と刃物が直角に接触し、繊維軸に対して直角にカットされることが好ましい。この時、通常のトウの状態でカットすると刃物の圧力でトウがつぶれ、繊維の位置が移動しカットされ繊維の長さばらつきが生じやすいため、繊維が移動しないようにトウを紙やフィルム等に巻き、巻いた状態のままカットする方法や、樹脂製の容器にトウを充填し、容器ごとカットする等、カット時に繊維が動きにくいようにすることが好ましい。なお、カットした紙やフィルム、樹脂製の容器等は篩いによって除去するとよい。さらに、トウにする繊維を束ねるが、束ねる量を少なくすればカット時の繊維の移動が少なくなるため、繊維の長さばらつきが低減するが、作業は増えるためトウに束ねる繊度は50〜500万デシテックスになる様に束ねることが好ましい。なお、フロックの飛昇性の点から、導電性フロックとしての短繊維にねじれや湾曲がないことが好ましい。
導電性フロックは、基材に接着剤を塗布して、静電気を利用して植毛される。静電気植毛は、高電圧による電界に微少な物体が介在するとき、電気的影響を受ける。この電気的影響とは、その微少な物体が荷電して一方の極から他方の極に吸引されることである。すなわち、金属に直流高圧を印可するとき、その間には電界(E)が生じる。この電界の大きさは、電圧(V)とその距離(d)であるとき、E=V/dの関係を持ち、この電界内に存在する小物体の電荷(q)は、吸引力(F)=Eqで与えられる力を受けて引っ張られる。フロックはこの小物体のことを言う。静電気植毛では、正電極が高圧極、負電極が接地極(アース極)と呼ばれ、電界の大きさは高圧発生器によって所定の電圧Vを与える。静電気植毛は、極間・極面に並行に基材を置き、両極間飛昇中に接着剤が塗布された基材にフロックが基材に対して直角に突き刺さる。そのため、フロックの電荷(q)により飛昇性が決まるのである。
導電性フロックとは上記導電性ポリアミドを短繊維状にカットし電着処理剤を付与したものである。電着処理剤の付与量は導電性フロックの灰分量を指標にすると、1〜7質量%であることが好ましい。灰分量とは、JISが定める化学繊維ステープル試験法の灰分法(JIS L 1015(1999))により算出される。
電着処理剤とは、静電気植毛を行うため、電荷を持たせるための処理剤であり、具体的には、短繊維が電界内において良好な飛昇効果を持たせるために電気的に作用する処理剤である。電着処理剤の付与が少なすぎると、導電性カーボンを含有したポリアミド繊維固有の抵抗値により導電性フロックの表面抵抗値が低く飛昇性が悪くなる。電着処理剤の付与が多すぎると、電着処理時の乾燥工程において結晶が析出し、静電気植毛時に植毛室壁面に結晶が付着し金属腐食を起こしたり、また接着剤のゲル化を促進したりして、導電性フロックの接着強度を極端に低下させる問題が発生する。好ましくは、3〜5質量%である。
導電性フロックを構成する電着処理剤としては、例えば、タンニン酸や塩化ナトリウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸ソーダー、炭酸ジルコニウムなどの無機塩類や、アニオン活性剤、ノニオン活性剤などの界面活性剤や、コロイダルシリカなどの有機珪素、アルミナゾルなどが挙げられる。電着処理剤に無機塩類や帯電防止効果のある界面活性剤を用いて、導電ブラシとする場合、乾式複写機やプリンター等では感光体やトナーの表面処理剤は有機成分で形成させているため、成分によっては表面を変質させ、印字の品質が悪くなる場合がある。このため、感光体やトナーの表面処理剤と反応しない方がよい点と、さらには電気伝導度、誘電率、分離性の点から、有機珪素やアルミナゾルが好ましい。
導電性フロックの電着処理は、特に限定しないが、例えば、短繊維状にカットされたポリアミド短繊維を、水などのバインダーで希釈した電着処理剤の水溶液に浸し電着処理する。また、電着処理剤の水溶液は、水溶液の粘度や電着処理の効率から30〜100g/Lを用いる事が好ましい。
電着処理剤は有機珪素を含むことが好ましく、中でもコロイダルシリカが好ましい。コロイダルシリカは特に水への分散性に優れるため、短繊維への均一な電着処理が容易である。また、コロイダルシリカはポリアミドの水酸基と特異的に結合するために、摩擦による脱落が少ないからである。
また、電着処理剤は有機珪素のみの水溶液でもよいが、さらには、コロイダルシリカとアルミナゾルの混合水溶液を付与することがより好ましい。コロイダルシリカとアルミナゾルは、混合性が良く、高電圧をかけた時に、高い電荷を得やすく、かつフロックの分離性に優れた導電性フロックを得ることができるからである。また、比抵抗値が106Ωcm未満の導電性カーボンを含有したポリアミド繊維を使用する場合、高電圧をかけても通電し電荷が得られず飛昇性が低下するが、コロイダルシリカとアルミナゾルの混合水溶液を付与することにより、フロック表面の抵抗値が106〜108Ωcmとなり、飛昇性が向上する。コロイダルシリカとアルミナゾルを混合する方法は、粘度の上昇を抑え均一な分散が得られることから、コロイダルシリカとアルミナゾルをそれぞれ水溶液とした状態で混合することが好ましい。また、混合する比率は、均一な分散が得られ、かつフロック表面の抵抗値を目標の抵抗値とできることから、コロイダルシリカとアルミナゾルが6:1〜3:1が好ましい。
電着処理を施した導電性フロックは、回転式の脱水機を用いて脱水後、100〜130℃で30〜60分乾燥後、篩いを実施し繊維長を一定の長さに揃える。
本発明の導電性フロックの繊維長は、0.1〜5mmが好ましい。フロック長が5mmを越えると、フロック製品同士が絡み合い、静電気植毛の際に基材に垂直に植毛されずに導電ブラシとした場合にフロックが抜ける問題が発生する。フロック長が0.1mm未満では導電性の低い接着剤と感光体やローラーへの距離が近いため、導電性フロックを介さずにスパークが発生し感光体やローラーが破損する問題が発生する。
導電性フロックの直径は、導電性フロックと基材に塗布した接着剤層に投錨する力と静電気植毛加工した時の植毛密度の関係から10〜60μmであることが好ましい。
本発明の導電ブラシとは、前記導電性フロックを静電気植毛加工にて作成された導電ブラシであり、静電気除去や、電荷の付与、ゴミなどを除去する用途に用いられる。
静電気植毛からなる導電ブラシは、円柱の金属棒である芯材に接着材を塗布し、10K〜50KVの電圧を掛け静電気植毛により導電性フロックを植毛し、乾燥、除毛、必要に応じてシャーリングを行い、ブラシに仕立てる。金属棒である芯材は導電性があれば特に限定しないが、好ましくはステンレスが用いられる。接着剤は特に限定しないが、例えば、アクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、合成ゴムおよび天然ゴム等を主成分とし、好ましくはアクリルが用いられる。また、接着剤には導電性カーボン等導電性を有する物質を含有させ、導電性を有する接着剤が好ましい。
織物からなる導電ブラシは、パイルとして製織した後、導電性を有するバッキング剤でバッキングした後、幅10〜30mmにカットしたパイルテープを、円柱の金属棒にバイアスに巻き付けるか、単に板にパイル織物を張り付けてブラシ状に仕立てることにより得られる。
織物にして起毛加工した布帛を金属に巻きつける等で導電ブラシにする場合は、導電性ポリアミドをパイル織りにより起毛布として製織する。ここで導電性ポリアミドは、W織りされてパイル糸として基布に起立させる。基布とは導電性ポリアミドをパイル糸として起立させる土台であり、生地に用いる繊維は導電性であっても絶縁性であっても良いが、コストとの兼ね合いから、絶縁性の繊維が好ましく用いられる。生地に用いる繊維としては、ポリエステルの紡績糸が好ましく用いられる。上記により得られた起毛布は、基布の経時での収縮を防ぐために120〜200℃程度の加熱炉に通して乾燥加熱処理する。加熱炉の温度が低すぎると、基布が経時で収縮し、パイル密度にバラツキが発生し導電性ブラシとしたときに導電性ブラシの抵抗値のバラツキの原因となる。また、導電性繊維を起立させた生地の収縮が起こらないため、生地の収縮による導電性繊維の固定が不安定となり、起立させた導電性繊維が生地から抜けて脱落する恐れがある。一方、加熱炉の温度が高すぎると、導電性繊維が溶融するか収縮しすぎて、導電性ブラシの抵抗値のバラツキの原因となる。
上記の乾燥加熱処理された起毛布は、導電性ブラシとしてのブラシ抵抗値を安定化させ、導電性繊維の抜け・脱落防止の観点から、後処理としてコーティング処理に付される。
コーティング処理は、起毛布の導電性繊維が起立した反対側の生地に導電性コーティング剤を塗布し、塗布後に50〜100℃程度の温度で乾燥されて行われる。なお、導電性コーティング剤の乾燥後の体積固有抵抗値は通常、10〜500Ωcmであることが好ましい。
コーティング処理は、起毛布の導電性繊維が起立した反対側の生地に導電性コーティング剤を塗布し、塗布後に50〜100℃程度の温度で乾燥されて行われる。なお、導電性コーティング剤の乾燥後の体積固有抵抗値は通常、10〜500Ωcmであることが好ましい。
導電性コーティング剤は、バインダー(ポリマー)、バインダーが溶解可能な溶媒あるいはバインダーを含む水性分散液(エマルジョン液)、導電性物質からなり、これらがあらかじめ均一に混合されている。
バインダーとして用いられるポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体との共重合体、ニトリル基含有ビニル重合体と共役ジエン単量体との共重合体、アクリル酸エステル共重合体、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体等を用いることができる。中でも、芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体との共重合体を用いることが好ましく、その具体例としては、スチレンとブタジエンの共重合体を挙げることができる。共重合体の単量体組成比や分子量には、特に限定はなく、これらは、公知の方法で製造できる。
導電性物質としては、カーボンブラック、グラファイトカーボン、炭素繊維、金属粉、金属ウィスカー等を用いることができる。この中でも、入手容易性、取り扱い易さ等の点から、カーボンブラックが好ましく用いられる。
次に、前記方法で得られた導電性ブラシ用起毛布をハサミ等で裁断し、例えば、幅20mm、長さ400mmのリボン状の起毛布を得る。そして、導電性のあるシャフト、例えば外径8mm、長さ250mmのステンレス製シャフトに部分的に両面テープを貼り付ける(全面に絶縁性の両面テープを貼り付けた場合は、起毛布とシャフトの間に電気が流れなくなる。)。この両面テープは絶縁性のものであっても良いし、導電性があっても良い。リボン状の起毛布を、前記のステンレス鋼製シャフトに、シャフトの長手方向に対して、傾斜をつけて螺旋状巻き上げ、起毛布を両面テープにより、シャフトの表面に固定する。
次に、シャフトを中心に回転させながら120〜200度程度の熱板にブラシの毛先を接触させ、毛先を同一方向にセットさせる導電性ブラシとする。この時、スチームを当てながらセットさせても良い。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。なお、実施例中の測定方法は、以下の方法を用いた。
A.寸法安定率
20℃×65%RHの環境下に24時間放置した試料を1.125mの捲尺機で20回巻きカセとし、1/30g/dtexの荷重を掛け試長を測定する。次いで、30℃×90%RHの環境下に24時間放置し、1/30g/dtexの荷重を掛け試長を測定し、次式より算出する。
Sa=(LH−LL)/LL×100 (1)
Sa:寸法安定率(%)
LH: 30℃×90%RHでの試長
LL:20℃×65%RHでの試長。
20℃×65%RHの環境下に24時間放置した試料を1.125mの捲尺機で20回巻きカセとし、1/30g/dtexの荷重を掛け試長を測定する。次いで、30℃×90%RHの環境下に24時間放置し、1/30g/dtexの荷重を掛け試長を測定し、次式より算出する。
Sa=(LH−LL)/LL×100 (1)
Sa:寸法安定率(%)
LH: 30℃×90%RHでの試長
LL:20℃×65%RHでの試長。
B.平衡水分率
JISが定める化学繊維フィラメント試験法、JIS L 1013(1999)、灰分法で測定し、次の(1)式で算出した。
Re=(M0―M1)/M1 (2)
Re: 平衡水分率(質量%)
M0:20℃×65%RHに24時間放置したときの試料の質量(g)
M1:試料の絶乾質量(g)。
JISが定める化学繊維フィラメント試験法、JIS L 1013(1999)、灰分法で測定し、次の(1)式で算出した。
Re=(M0―M1)/M1 (2)
Re: 平衡水分率(質量%)
M0:20℃×65%RHに24時間放置したときの試料の質量(g)
M1:試料の絶乾質量(g)。
C.ポリアミド繊維の比抵抗値
超絶縁抵抗計(川口電気製 TERAOHMMETER R-503)を用いてポリアミド繊維試長10cm間に100(V)の電圧を掛け、温度20℃、湿度30%RHの条件下での電気抵抗値(Ω/cm)を測定し、下式(1)から算出した。
RS=R×D/(10×L×SG)×10−5 (2)
RS:比抵抗(Ωcm)
R:電気抵抗値(Ω)
D:10000m当たりの糸質量
L:試長(cm)
SG:糸密度(g/cm3)。
超絶縁抵抗計(川口電気製 TERAOHMMETER R-503)を用いてポリアミド繊維試長10cm間に100(V)の電圧を掛け、温度20℃、湿度30%RHの条件下での電気抵抗値(Ω/cm)を測定し、下式(1)から算出した。
RS=R×D/(10×L×SG)×10−5 (2)
RS:比抵抗(Ωcm)
R:電気抵抗値(Ω)
D:10000m当たりの糸質量
L:試長(cm)
SG:糸密度(g/cm3)。
D.紡糸糸切れ
導電性ポリアミドを280℃で溶融し、1口金当たり1糸条の丸孔口金より吐出量約40gで吐出し、冷却、給油、速度800m/minにて巻取りを実施した。これを1t紡糸した時の糸切れ回数を次の基準で評価した。
◎:3回/t未満、○:4〜8回/t未満、△:9〜15回/t未満、×:16回/t以上。
導電性ポリアミドを280℃で溶融し、1口金当たり1糸条の丸孔口金より吐出量約40gで吐出し、冷却、給油、速度800m/minにて巻取りを実施した。これを1t紡糸した時の糸切れ回数を次の基準で評価した。
◎:3回/t未満、○:4〜8回/t未満、△:9〜15回/t未満、×:16回/t以上。
E. 印刷画像
複写機を20℃×65%RHと30℃×90%RHの環境下で24時間放置後、同環境下で電子写真学会が発行するテストチャートを複写し、それぞれ1000枚印字し、1000枚目の印刷状態(かすれ、スジ)をそれぞれ比較し、下記の、次の基準で10人が評価した。
10点:差異なし(かすれもスジもない)
5点:やや差異が見られる(目立たないが、かすれ、スジがある。)
1点:差異が見られる(かすれ、スジが明確に観察される。)
これを10人分合計した点数で次の基準で分類した。
◎:75点以上
○:50点以上75点未満
△:25点以上50点未満
×:25点未満
F.印字耐久性
複写機を20℃×65%RHの環境下で24時間放置後、電子写真学会が発行するテストチャートを10000枚印字し、1枚目と10000枚目の印刷状態(かすれ、スジ)をそれぞれ比較し、下記の、次の基準で10人が評価した。
10点:差異なし(かすれもスジもない)
5点:やや差異が見られる(目立たないが、かすれ、スジがある。)
1点:差異が見られる(かすれ、スジが明確に観察される。)
これを10人分合計した点数で次の基準で分類した。
◎:75点以上
○:50点以上75点未満
△:25点以上50点未満
×:25点未満
G.導電ブラシ抵抗値
ステンレス金属板4上にブラシ1を置き、ブラシの芯材に片側25gの重り3を両側に載せ、抵抗計5(TOAKDD社製 SM−8213)を用いて10V印可した時の抵抗値を測定した。測定は、20℃×65%RHおよび30℃×90%RHの環境下にブラシを24時間放置し、それぞれの環境で測定した。
複写機を20℃×65%RHと30℃×90%RHの環境下で24時間放置後、同環境下で電子写真学会が発行するテストチャートを複写し、それぞれ1000枚印字し、1000枚目の印刷状態(かすれ、スジ)をそれぞれ比較し、下記の、次の基準で10人が評価した。
10点:差異なし(かすれもスジもない)
5点:やや差異が見られる(目立たないが、かすれ、スジがある。)
1点:差異が見られる(かすれ、スジが明確に観察される。)
これを10人分合計した点数で次の基準で分類した。
◎:75点以上
○:50点以上75点未満
△:25点以上50点未満
×:25点未満
F.印字耐久性
複写機を20℃×65%RHの環境下で24時間放置後、電子写真学会が発行するテストチャートを10000枚印字し、1枚目と10000枚目の印刷状態(かすれ、スジ)をそれぞれ比較し、下記の、次の基準で10人が評価した。
10点:差異なし(かすれもスジもない)
5点:やや差異が見られる(目立たないが、かすれ、スジがある。)
1点:差異が見られる(かすれ、スジが明確に観察される。)
これを10人分合計した点数で次の基準で分類した。
◎:75点以上
○:50点以上75点未満
△:25点以上50点未満
×:25点未満
G.導電ブラシ抵抗値
ステンレス金属板4上にブラシ1を置き、ブラシの芯材に片側25gの重り3を両側に載せ、抵抗計5(TOAKDD社製 SM−8213)を用いて10V印可した時の抵抗値を測定した。測定は、20℃×65%RHおよび30℃×90%RHの環境下にブラシを24時間放置し、それぞれの環境で測定した。
実施例1
ナイロン610(東レ株式会社製CM2001、相対粘度2.7)に、平均粒径0.035μmのカーボンブラックとして、ファーネスブラックを含有量20質量%となるように練り込み導電性ナイロン610ペレットを製造した。次いで溶融温度280℃で溶融し、孔径0.3mmの丸孔口金から吐出し、冷却させた後、紡糸油剤を水で希釈し糸条付着量が0.7%となるように給油し、引取速度800m/分で未延伸糸を巻取った。この時の紡糸糸切れは1回/tで、○であった。つづいて温度25℃、絶対湿度16.6g/m3 の環境下で48時間未延伸糸をエージングした後、延伸機の供給ローラ速度200m/分、熱板温度170℃、延伸ローラ速度500m/分で延伸し、続いてダウンツイスターを用いて繊維に15t/mのヨリを掛け170デシテックス20フィラメント導電性ポリアミド繊維を得た。得られた導電性ポリアミド繊維の比抵抗値は108Ωcmであった。得られた導電性ポリアミド繊維を1周3mのカセ採り機を用いて、1万回カセ採りを行い、約170万デシテックスのトウの形態とした後、98℃の熱水で30分間熱処理を行い、引っ張り強さ0.5Nのクラフト紙でトウを巻き、ギロチンカッターにて繊維長1.5mm短繊維状にカットし導電性ポリアミド短繊維を得た。得られた導電性ポリアミド短繊維に、電着処理剤として、コロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製 スノーテックス−O)50g/L水溶液とアルミナゾル(日産化学工業株式会社製 アルミナゾル−100)50g/L水溶液を混合比6:1の割合で混合した40℃の水溶液に30分に浸し、電着加工を施した。次に、120℃で5分間乾燥後、40メッシュの金網で篩いを実施し繊維の直径30μmの導電性フロックを得た。
ナイロン610(東レ株式会社製CM2001、相対粘度2.7)に、平均粒径0.035μmのカーボンブラックとして、ファーネスブラックを含有量20質量%となるように練り込み導電性ナイロン610ペレットを製造した。次いで溶融温度280℃で溶融し、孔径0.3mmの丸孔口金から吐出し、冷却させた後、紡糸油剤を水で希釈し糸条付着量が0.7%となるように給油し、引取速度800m/分で未延伸糸を巻取った。この時の紡糸糸切れは1回/tで、○であった。つづいて温度25℃、絶対湿度16.6g/m3 の環境下で48時間未延伸糸をエージングした後、延伸機の供給ローラ速度200m/分、熱板温度170℃、延伸ローラ速度500m/分で延伸し、続いてダウンツイスターを用いて繊維に15t/mのヨリを掛け170デシテックス20フィラメント導電性ポリアミド繊維を得た。得られた導電性ポリアミド繊維の比抵抗値は108Ωcmであった。得られた導電性ポリアミド繊維を1周3mのカセ採り機を用いて、1万回カセ採りを行い、約170万デシテックスのトウの形態とした後、98℃の熱水で30分間熱処理を行い、引っ張り強さ0.5Nのクラフト紙でトウを巻き、ギロチンカッターにて繊維長1.5mm短繊維状にカットし導電性ポリアミド短繊維を得た。得られた導電性ポリアミド短繊維に、電着処理剤として、コロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製 スノーテックス−O)50g/L水溶液とアルミナゾル(日産化学工業株式会社製 アルミナゾル−100)50g/L水溶液を混合比6:1の割合で混合した40℃の水溶液に30分に浸し、電着加工を施した。次に、120℃で5分間乾燥後、40メッシュの金網で篩いを実施し繊維の直径30μmの導電性フロックを得た。
次に円柱のステンレス製金属棒である芯材に導電性カーボンを含有したアクリル樹脂の接着剤を塗布し、2万Vの電圧を掛け、ダウンメソッドにより静電気植毛を行い、180℃で乾燥、除毛、シャーリングの工程を得てブラシに仕立てた。得られた導電ブラシの抵抗値は20℃×65%RHでは109Ω、30℃×90%RHでは109Ωであった。得られた導電性ブラシを電子写真記録方式の乾式複写機用のトナー供給ブラシに組み込み複写しテストチャートを複写した結果、印刷画像は◎であった。
実施例2
ナイロン610に平均粒径0.035μmのカーボンブラックとしてファーネスブラックを含有量25質量%となるように練り込んだ以外は実施例1と同様に導電性ポリアミド繊維、導電性フロック、導電性ブラシを作成した。その結果を表1に示す。
ナイロン610に平均粒径0.035μmのカーボンブラックとしてファーネスブラックを含有量25質量%となるように練り込んだ以外は実施例1と同様に導電性ポリアミド繊維、導電性フロック、導電性ブラシを作成した。その結果を表1に示す。
実施例3
ナイロン610に平均粒径0.035μmのカーボンブラックとしてファーネスブラックを含有量30質量%となるように練り込んだ以外は実施例1と同様に導電性ポリアミド繊維、導電性フロック、導電性ブラシを作成した。その結果を表1に示す。
ナイロン610に平均粒径0.035μmのカーボンブラックとしてファーネスブラックを含有量30質量%となるように練り込んだ以外は実施例1と同様に導電性ポリアミド繊維、導電性フロック、導電性ブラシを作成した。その結果を表1に示す。
実施例4
1,5−ペンタジアミンとセバシン酸の等モル塩を重合缶に投入し、投入した全原料と同質量の純水を加え、重合缶内を十分窒素置換した後、撹拌しながら加温を開始した。缶内圧力は最大2MPaに調整しながら最終到達温度は270℃とした。目的の相対粘度になるように重合時間を調整し、溶融ポリマーは水浴中に吐出し、ストランドカッターでペレタイズした。得られたペレットを80℃、12時間の条件で真空乾燥し、ポリアミドをナイロン510(相対粘度2.7)にした以外は実施例2と同様に導電性ポリアミド繊維、導電性フロック、導電性ブラシを作成した。その結果を表1に示す。
1,5−ペンタジアミンとセバシン酸の等モル塩を重合缶に投入し、投入した全原料と同質量の純水を加え、重合缶内を十分窒素置換した後、撹拌しながら加温を開始した。缶内圧力は最大2MPaに調整しながら最終到達温度は270℃とした。目的の相対粘度になるように重合時間を調整し、溶融ポリマーは水浴中に吐出し、ストランドカッターでペレタイズした。得られたペレットを80℃、12時間の条件で真空乾燥し、ポリアミドをナイロン510(相対粘度2.7)にした以外は実施例2と同様に導電性ポリアミド繊維、導電性フロック、導電性ブラシを作成した。その結果を表1に示す。
参考例1
実施例2と同様の導電性ポリアミド繊維を、ポリエステル繊維を綾織してなる生地に起
立させるように、パイル織りにて起毛布として織り上げた。次に起毛布を180℃に調整された加熱炉に一分間通して、乾燥加熱処理した。次に起毛布の導電性ポリアミド繊維にブラッシング処理をし、起毛布の生地側に導電性コーティング剤を塗布した。導電性コーティング剤は、イオン交換水100質量部、スチレン30質量部、1,3−ブタジエン60質量部、ノニオン性界面活性剤(花王(株)社製、商品名「エマルゲン985」)3質量部、および過酸化カリウム2.75質量部を撹拌混合して、重合用モノマー乳化物を得た。反応器に、重合用モノマー乳化物を入れて、温度を70℃に昇温して、重合を開始させた。重合開始から1時間後に、系の温度を80℃に昇温した後、5時間重合を継続した。重合転化率は98%であった。次いで、残留モノマーを常法により除去した後、固形分濃度を45.5%に調整して、共重合体ラテックスを得た。ラテックスの粒径は、0.185μmであった。このラテックス(固形分換算)100質量部に、固形分濃度38.5%のカーボンブラックの水分散液(固形分換算)100質量部とカルボキシメチルセルロース1.44質量部とを混合し、導電性コーティング剤を得た。このコーティング剤の体積固有抵抗値は、1.7×102Ωcmであった。
実施例2と同様の導電性ポリアミド繊維を、ポリエステル繊維を綾織してなる生地に起
立させるように、パイル織りにて起毛布として織り上げた。次に起毛布を180℃に調整された加熱炉に一分間通して、乾燥加熱処理した。次に起毛布の導電性ポリアミド繊維にブラッシング処理をし、起毛布の生地側に導電性コーティング剤を塗布した。導電性コーティング剤は、イオン交換水100質量部、スチレン30質量部、1,3−ブタジエン60質量部、ノニオン性界面活性剤(花王(株)社製、商品名「エマルゲン985」)3質量部、および過酸化カリウム2.75質量部を撹拌混合して、重合用モノマー乳化物を得た。反応器に、重合用モノマー乳化物を入れて、温度を70℃に昇温して、重合を開始させた。重合開始から1時間後に、系の温度を80℃に昇温した後、5時間重合を継続した。重合転化率は98%であった。次いで、残留モノマーを常法により除去した後、固形分濃度を45.5%に調整して、共重合体ラテックスを得た。ラテックスの粒径は、0.185μmであった。このラテックス(固形分換算)100質量部に、固形分濃度38.5%のカーボンブラックの水分散液(固形分換算)100質量部とカルボキシメチルセルロース1.44質量部とを混合し、導電性コーティング剤を得た。このコーティング剤の体積固有抵抗値は、1.7×102Ωcmであった。
得られた導電性ブラシ用起毛布を、はさみにより裁断することにより、幅20mm、長さ400mmのリボン状の起毛布とし、外径8mm、長さ250mmのステンレス製シャフトに部分的に絶縁性の両面テープを貼り付け、その上に、リボン状の起毛布をシャフトの長さ方向に対して、傾斜角度をつけて巻き上げ、起毛布をシャフトの表面に固定した。
シャフトの端部で余った起毛布を、はさみにより切り取り、導電性ブラシを得た。その結果を表1に示す。
シャフトの端部で余った起毛布を、はさみにより切り取り、導電性ブラシを得た。その結果を表1に示す。
実施例6
ナイロン610に平均粒径0.035μmのカーボンブラックとしてファーネスブラックを含有量20質量%と、ステアリン酸亜鉛(日本油脂株式会社製 ジンクステアレートGP)を含有量1質量%となるように練り込んだ以外は実施例1と同様に導電性ポリアミド繊維、導電性フロック、導電性ブラシを作成した。その結果を表1に示す。
ナイロン610に平均粒径0.035μmのカーボンブラックとしてファーネスブラックを含有量20質量%と、ステアリン酸亜鉛(日本油脂株式会社製 ジンクステアレートGP)を含有量1質量%となるように練り込んだ以外は実施例1と同様に導電性ポリアミド繊維、導電性フロック、導電性ブラシを作成した。その結果を表1に示す。
実施例7
ナイロン610に平均粒径0.035μmのカーボンブラックとしてファーネスブラックを含有量20質量%と、ステアリン酸カルシウム(日本油脂株式会社製 カルシウムステアレートGP)を含有量1質量%となるように練り込んだ以外は実施例1と同様に導電性ポリアミド繊維、導電性フロック、導電性ブラシを作成した。その結果を表1に示す。
ナイロン610に平均粒径0.035μmのカーボンブラックとしてファーネスブラックを含有量20質量%と、ステアリン酸カルシウム(日本油脂株式会社製 カルシウムステアレートGP)を含有量1質量%となるように練り込んだ以外は実施例1と同様に導電性ポリアミド繊維、導電性フロック、導電性ブラシを作成した。その結果を表1に示す。
実施例8
ナイロン610に平均粒径0.035μmのカーボンブラックとしてファーネスブラックを含有量20質量%と、ステアリン酸マグネシウム(日本油脂株式会社製 マグネシウムステアレートGR)ジンクステアレートGP)を含有量1質量%となるように練り込んだ以外は実施例1と同様に導電性ポリアミド繊維、導電性フロック、導電性ブラシを作成した。その結果を表1に示す。
ナイロン610に平均粒径0.035μmのカーボンブラックとしてファーネスブラックを含有量20質量%と、ステアリン酸マグネシウム(日本油脂株式会社製 マグネシウムステアレートGR)ジンクステアレートGP)を含有量1質量%となるように練り込んだ以外は実施例1と同様に導電性ポリアミド繊維、導電性フロック、導電性ブラシを作成した。その結果を表1に示す。
実施例9
ナイロン610に平均粒径0.035μmのカーボンブラックとしてファーネスブラックを含有量20質量%と、ステアリン酸亜鉛(日本油脂株式会社製 ジンクステアレートGP)を含有量0.5質量%となるように練り込んだ以外は実施例1と同様に導電性ポリアミド繊維、導電性フロック、導電性ブラシを作成した。その結果を表1に示す。
ナイロン610に平均粒径0.035μmのカーボンブラックとしてファーネスブラックを含有量20質量%と、ステアリン酸亜鉛(日本油脂株式会社製 ジンクステアレートGP)を含有量0.5質量%となるように練り込んだ以外は実施例1と同様に導電性ポリアミド繊維、導電性フロック、導電性ブラシを作成した。その結果を表1に示す。
実施例10
ナイロン610に平均粒径0.035μmのカーボンブラックとしてファーネスブラックを含有量20質量%と、ステアリン酸亜鉛(日本油脂株式会社製 ジンクステアレートGP)を含有量2質量%となるように練り込んだ以外は実施例1と同様に導電性ポリアミド繊維、導電性フロック、導電性ブラシを作成した。その結果を表1に示す。
ナイロン610に平均粒径0.035μmのカーボンブラックとしてファーネスブラックを含有量20質量%と、ステアリン酸亜鉛(日本油脂株式会社製 ジンクステアレートGP)を含有量2質量%となるように練り込んだ以外は実施例1と同様に導電性ポリアミド繊維、導電性フロック、導電性ブラシを作成した。その結果を表1に示す。
実施例11
ナイロン610に平均粒径0.035μmのカーボンブラックとしてファーネスブラックを含有量20質量%と、ステアリン酸亜鉛(日本油脂株式会社製 ジンクステアレートGP)を含有量3質量%となるように練り込んだ以外は実施例1と同様に導電性ポリアミド繊維、導電性フロック、導電性ブラシを作成した。その結果を表1に示す。
ナイロン610に平均粒径0.035μmのカーボンブラックとしてファーネスブラックを含有量20質量%と、ステアリン酸亜鉛(日本油脂株式会社製 ジンクステアレートGP)を含有量3質量%となるように練り込んだ以外は実施例1と同様に導電性ポリアミド繊維、導電性フロック、導電性ブラシを作成した。その結果を表1に示す。
実施例12
ナイロン610に平均粒径0.035μmのカーボンブラックとしてファーネスブラックを含有量20質量%と、ステアリン酸亜鉛(日本油脂株式会社製 ジンクステアレートGP)を含有量5質量%となるように練り込んだ以外は実施例1と同様に導電性ポリアミド繊維、導電性フロック、導電性ブラシを作成した。その結果を表1に示す。
ナイロン610に平均粒径0.035μmのカーボンブラックとしてファーネスブラックを含有量20質量%と、ステアリン酸亜鉛(日本油脂株式会社製 ジンクステアレートGP)を含有量5質量%となるように練り込んだ以外は実施例1と同様に導電性ポリアミド繊維、導電性フロック、導電性ブラシを作成した。その結果を表1に示す。
実施例13
ナイロン510に平均粒径0.035μmのカーボンブラックとしてファーネスブラックを含有量20質量%と、ステアリン酸亜鉛(日本油脂株式会社製 ジンクステアレートGP)を含有量1質量%となるように練り込んだ以外は実施例4と同様に導電性ポリアミド繊維、導電性フロック、導電性ブラシを作成した。その結果を表1に示す。
ナイロン510に平均粒径0.035μmのカーボンブラックとしてファーネスブラックを含有量20質量%と、ステアリン酸亜鉛(日本油脂株式会社製 ジンクステアレートGP)を含有量1質量%となるように練り込んだ以外は実施例4と同様に導電性ポリアミド繊維、導電性フロック、導電性ブラシを作成した。その結果を表1に示す。
比較例1
ナイロン610に平均粒径0.035μmのカーボンブラックとしてファーネスブラックを含有量5質量%となるように練り込んだ以外は実施例1と同様に導電性ポリアミド繊維、導電性フロック、導電性ブラシを作成した。その結果を表2に示す。
ナイロン610に平均粒径0.035μmのカーボンブラックとしてファーネスブラックを含有量5質量%となるように練り込んだ以外は実施例1と同様に導電性ポリアミド繊維、導電性フロック、導電性ブラシを作成した。その結果を表2に示す。
比較例2
ナイロン610に平均粒径0.035μmのカーボンブラックとしてファーネスブラックを含有量45質量%となるように練り込んだ以外は実施例1と同様に導電性ポリアミド繊維、導電性フロック、導電性ブラシを作成した。その結果を表2に示す。
ナイロン610に平均粒径0.035μmのカーボンブラックとしてファーネスブラックを含有量45質量%となるように練り込んだ以外は実施例1と同様に導電性ポリアミド繊維、導電性フロック、導電性ブラシを作成した。その結果を表2に示す。
比較例3
ポリアミドをナイロン6(相対粘度2.73)にした以外は実施例2と同様に導電性ポリアミド繊維、導電性フロック、導電性ブラシを作成した。その結果を表2に示す。
ポリアミドをナイロン6(相対粘度2.73)にした以外は実施例2と同様に導電性ポリアミド繊維、導電性フロック、導電性ブラシを作成した。その結果を表2に示す。
比較例4
ポリアミドをナイロン12(相対粘度1.05)にした以外は実施例2と同様に導電性ポリアミド繊維、導電性フロック、導電性ブラシを作成した。その結果を表2に示す。
ポリアミドをナイロン12(相対粘度1.05)にした以外は実施例2と同様に導電性ポリアミド繊維、導電性フロック、導電性ブラシを作成した。その結果を表2に示す。
比較例5
ポリアミドをナイロン6(相対粘度2.73)にした以外は実施例2と同様に導電性ポリアミド繊維を作成し、参考例1と同様に織物起毛加工にて導電性ブラシを作成した。その結果を表2に示す。
ポリアミドをナイロン6(相対粘度2.73)にした以外は実施例2と同様に導電性ポリアミド繊維を作成し、参考例1と同様に織物起毛加工にて導電性ブラシを作成した。その結果を表2に示す。
表1、表2に示すように、実施例1〜4の導電性カーボンブラックを10〜40質量%含有した導電性ポリアミドは、比抵抗値が104〜108Ωcmとなり静電気植毛加工にて作成された導電性ブラシとして適正な抵抗値が得られる。また、実施例1〜4の平衡水分率0.8〜2質量%となり湿度変化によるブラシ抵抗値の変化が少なくなり、印刷画像が優れることが解る。また、静電気植毛、織物起毛加工等、導電ブラシの製法が異なっても湿度変化によるブラシの抵抗値変化は同じ傾向を示す。
また、実施例6〜7の導電性ポリアミドにステアリン酸化合物を添加することにより、導電性ポリアミド繊維の比抵抗値が低下し、さらに、印刷耐久性が向上する。
また、ステアリン酸亜鉛を0.5質量%あるいは2質量%含有した導電性ポリアミドは、紡糸糸切れが1.5回、ステアリン酸亜鉛を3質量%含有した導電性ポリアミド(実施例11)は、紡糸糸切れが5回/t、ステアリン酸亜鉛を5質量%含有した導電性ポリアミド(実施例12)は、紡糸糸切れが8回/tであり、ステアリン酸亜鉛の含有量は5質量%より少ない方が操業性が改善される傾向を示した。
これに対し、導電性カーボンを5質量%含有した導電性ポリアミド(比較例1)は、導電ブラシとしたときのブラシ抵抗値が1010Ωと高いため、トナーの供給ができず印字不能であった。カーボンブラックとしてファーネスブラックを45質量%含有した導電性ポリアミド(比較例2)は、紡糸糸切れが30回/tと操業性が低く生産に耐えうるもの
ではない。
ではない。
また、ポリアミドにナイロン6を用いた導電性ポリアミド繊維(比較例3、比較例5)は、寸法安定率が0.7%、平衡水分率が2.7質量%と高いため、特に高湿度下での印刷画像の悪化が目立っていた。すなわちナイロン6を用いた導電性ポリアミド繊維は、湿度変化によるブラシ抵抗値の変化が大きく印刷画像が悪くなることが解る。
また、ポリアミドにナイロン12を用いた導電性ポリアミド(比較例4)は、静電気植毛後の乾燥工程で導電性ポリアミドの単糸が融着し、ブラシ抵抗値の測定は不能であった。
本発明は、電子写真記録方式の乾式複写機やファクシミリ、プリンター等に用いられるポリアミド導電糸および導電ブラシに関する。
1 芯材に静電気植毛された導電性フロック
2 芯材
3 おもり
4 ステンレス金属板
5 抵抗計
2 芯材
3 おもり
4 ステンレス金属板
5 抵抗計
Claims (4)
- セバシン酸単位を主成分とするジカルボン酸単位を有するポリアミドと導電性カーボンで構成されるポリアミド繊維であって、導電性カーボンの含有量がポリアミド繊維中10〜40質量%であり、該繊維の寸法安定率が0.5%以下であり、静電気植毛加工にて作成される導電ブラシに用いられることを特徴とする導電性ポリアミド繊維。
- 導電性ポリアミド繊維の平衡水分率が2質量%以下である請求項1記載の導電性ポリアミド繊維。
- 導電性ポリアミド繊維がナイロン610、ナイロン510から選択されるものである請求項1〜2のいずれか記載の導電性ポリアミド繊維。
- 請求項1〜3のいずれか記載の導電性ポリアミド繊維を用いて静電気植毛加工にて作成された導電ブラシ。
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