JP5487859B2 - 含フッ素硬化性樹脂、活性エネルギー線硬化型塗料組成物及びその硬化物 - Google Patents

含フッ素硬化性樹脂、活性エネルギー線硬化型塗料組成物及びその硬化物 Download PDF

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Description

本発明は、硬化塗膜表面に優れた防汚性を付与することができ、フッ素系界面活性剤、フッ素系表面改質剤として用いることができる含フッ素硬化性樹脂に関する。また、該含フッ素硬化性樹脂を用いた活性エネルギー線硬化型塗料組成物及びその硬化物に関する。
フッ素系界面活性剤又はフッ素系表面改質剤はレベリング性、濡れ性、浸透性、ブロッキング防止性、滑り性、撥水撥油性、防汚性などに優れる点から、各種コーティング材料、表面改質剤等に広く使用されている。
このフッ素系界面活性剤又はフッ素系表面改質剤(以下、これらを併せて単に「フッ素系界面活性剤」という。)を配合した活性エネルギー線硬化型塗料を塗布、硬化させて得られる硬化塗膜は、優れた表面特性を発現する一方で、加熱、加湿、酸・アルカリ等の薬品への暴露、汚れ除去のための洗浄等によって、フッ素系界面活性剤の一部が硬化塗膜表面から脱離又は揮発しやすくなり、その結果、製造ラインが汚染されたり、塗膜表面の防汚性が低下したりするという問題があった。
例えば、液晶ディスプレイ用偏光板におけるトリアセチルセルロース(TAC)フィルム等の保護フィルムのコート材の分野では、フィルム表面に指紋や汚れに対する防汚性を具備させるために、フッ素系界面活性剤が添加された紫外線硬化型ハードコート材が該保護フィルム表面にコーティングされている。ところが、該保護フィルムは、ハードコート材を塗布した側の反対面に接着性向上を目的としてケン化処理(強アルカリ処理)を施されるところ、この際、ハードコート面へのケン化液の接触が避けられず、表面層中に存在するフッ素系界面活性剤が強アルカリで分解され、防汚性が低下するという問題があった。
また、液晶ディスプレイ用カラーフィルターに使用されるブラックマトリックス用の塗料・インキ又はブラックレジストや、赤・緑・青の3色の色画素を形成する着色材料には、塗膜形成後の撥液性を向上させるために、フッ素系界面活性剤を添加した活性エネルギー線硬化型樹脂組成物が用いられている。しかしながら、特にブラックマトリックスをレジスト方式で形成する際は、紫外線照射による硬化後、230℃×30分といった高温条件で熱セット処理が施されるために、表面からフッ素系界面活性剤の成分の一部が揮発し、表面の撥液性が低下する他、その揮発物によって他の部位や製造ラインが汚染される等の問題が生じていた。
そこで、このような塗料表面の機能低下を防止するために、フッ素化アルキル基を有するモノアクリレートを、活性水素を有するアクリル系単量体と共重合させ、次いで、得られた重合体にイソシアネート基を有するアクリル系単量体を反応させて得られる不飽和基を有する重合型フッ素系界面活性剤が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、ジイソシアネートの3量体であるトリイソシアネート化合物に水酸基含有パーフルオロポリエーテルと水酸基含有アクリル系単量体とを反応させたパーフルオロポリエーテル基含有ウレタンアクリレートをフッ素系界面活性剤として用いることが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、前記特許文献1記載の重合型フッ素系界面活性剤は、フッ化アルキル基がペンダント状に重合鎖に結合しているため、前記した強アルカリ処理によって依然として分解・脱離しやすく、防汚性が低下しやすく、特に汚れが一旦付着した後は容易に拭き取ることができず、汚れの除去が極めて困難なものであった。一方、前記特許文献2記載のパーフルオロポリエーテル基含有ウレタンアクリレートは、3官能性イソシアネート化合物に対して水酸基含有パーフルオロポリエーテルと水酸基含有アクリル系単量体とを適切な割合で反応させることが困難であって、パーフルオロポリエーテルのみ有する化合物や、アクリロイル基のみ有する化合物が多量に生成してしまうため、工業的に製造することが困難なものであった。
特開2007−246696号公報 特許第3963169号公報
本発明が解決しようとする課題は、硬化塗膜表面に優れた防汚性を付与することができ、フッ素系界面活性剤として用いることができる含フッ素硬化性樹脂を提供することである。また、塗布、硬化させた後に塗膜表面からの前記フッ素系界面活性剤又はその分解物の揮発や脱離を防止することでき、防汚性等の表面性能の安定性を向上することのできる活性エネルギー線硬化型塗料組成物及びその硬化物を提供することである。
本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖とその両末端にメタクリロイルオキシ基とを有する化合物と、重合性不飽和二重結合を導入可能な官能基を有するラジカル重合性不飽和単量体とを共重合させた後、前記官能基に重合性不飽和二重結合を導入したラジカル重合性樹脂をフッ素系界面活性剤、あるいは、塗膜形成成分として用いることにより、防汚性に代表される塗膜の表面性能が飛躍的に向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖とその両末端にメタクリロイルオキシ基とを有する化合物(A)と、反応性官能基(b)を有するラジカル重合性不飽和単量体(B)とを必須の単量体成分として共重合させて得られる重合体(P)に、前記官能基(b)と反応性を有する官能基(c)とラジカル重合性不飽和基とを有する化合物(C)を反応させて得られるラジカル重合性樹脂で、該ラジカル重合性樹脂の樹脂構造中に含まれるポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖が、フッ素原子を1鎖あたり25〜80個含有するラジカル重合性樹脂(I)であることを特徴とする含フッ素硬化性樹脂を提供するものである。
さらに、本発明は、前記含フッ素硬化性樹脂を配合した活性エネルギー線硬化型塗料組成物、及び該塗料組成物を基材に塗布し、活性エネルギー線を照射して硬化させてなる硬化物を提供するものである
本発明の含フッ素硬化性樹脂は、フッ素系界面活性剤として活性エネルギー線硬化型塗料組成物に配合することにより、該塗料組成物の硬化塗膜に防汚性等の表面性能を付与することができる。また、本発明の含フッ素硬化性樹脂は、加熱、加湿、酸・アルカリ等の薬品への暴露、汚れ除去のための洗浄等によって、硬化塗膜から含フッ素硬化性樹脂又はその分解物の揮発や脱離が生じにくいため、非常に安定した防汚性等の表面性能を塗膜表面に付与することができる。
特に、強アルカリ処理後の防汚性の低下を抑制できるため、強アルカリ処理が施される用途に有用である。具体的には、液晶ディスプレイの偏光板用保護フィルムに用いられるトリアセチルセルロース(TAC)フィルムは、ハードコート材を塗布した側の反対面の接着性向上を目的としてケン化処理(強アルカリ処理)を施されているため、このハードコート材として用いる活性エネルギー線硬化型塗料組成物に本発明の含フッ素硬化性樹脂をフッ素系界面活性剤として配合することで、ケン化処理後の防汚性の低下を防止することができる。
上記のTACフィルムに用いるハードコート材以外に、防汚性が要求される保護フィルムや、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等のフラットパネルディスプレイに用いられる反射防止フィルム、防眩フィルムなどに有用である。また、防眩フィルムのハードコート材では、ハードコート材を硬化させる前に凹凸の表面形状の金型に接触させた後、金型と反対側から活性エネルギー線を照射して硬化し、ハードコートの表面をエンボス加工する転写法に用いるハードコート材にも適用できる。
さらに、液晶ディスプレイのカラーフィルターに用いられるRGBの各画素を形成するカラーレジストインク及びブラックマトリックスを形成するブラックレジストインク;タッチパネル、携帯電話の筐体、携帯電話の液晶ディスプレイ等に用いるハードコート材;光ファイバクラッド材、光学レンズ、光導波路等の光学部材などに幅広く利用することが可能である。
図1は、実施例1で得られたラジカル重合性樹脂(I−1)のIRスペクトルのチャート図である。 図2は、実施例1で得られたラジカル重合性樹脂(I−1)の13C−NMRのチャート図である。 図3は、実施例1で得られたラジカル重合性樹脂(I−1)のGPCのチャート図である。 図4は、実施例2で得られたラジカル重合性樹脂(I−2)のIRスペクトルのチャート図である。 図5は、実施例2で得られたラジカル重合性樹脂(I−2)の13C−NMRのチャート図である。 図6は、実施例2で得られたラジカル重合性樹脂(I−2)のGPCのチャート図である。
本発明の含フッ素硬化性樹脂は、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖とその両末端にメタクリロイルオキシ基とを有する化合物(A)と、反応性官能基(b)を有するラジカル重合性不飽和単量体(B)とを必須の単量体成分として共重合させて得られる重合体(P)に、前記官能基(b)と反応性を有する官能基(c)とラジカル重合性不飽和基とを有する化合物(C)を反応させて得られるラジカル重合性樹脂(I)からなるものである。
まず、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖とその両末端にメタクリロイルオキシ基とを有する化合物(A)について説明する。前記化合物(A)が有するポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖としては、炭素原子数1〜3の2価フッ化炭素基と酸素原子が交互に連結した構造を有するものが挙げられる。炭素原子数1〜3の2価フッ化炭素基は、一種類であっても良いし複数種の混合であっても良く、具体的には、下記構造式1で表されるものが挙げられる。
Figure 0005487859
(上記構造式1中、Xは下記構造式a〜dであり、構造式1中の全てのXが同一構造のものであってもよいし、また、複数の構造がランダムに又はブロック状に存在していてもよい。また、nは繰り返し単位を表す1以上の数である。)
Figure 0005487859
これらの中でも特に塗膜表面の汚れの拭き取り性が良好となって防汚性に優れた塗膜が得られる点から前記構造式aで表されるパーフルオロメチレン構造と、前記構造bで表されるパーフルオロエチレン構造とが共存するものがとりわけ好ましい。ここで、前記構造式aで表されるパーフルオロメチレン構造と、前記構造bで表されるパーフルオロエチレン構造との存在比率は、モル比率(構造a/構造b)が1/4〜4/1となる割合であることが防汚性の点から好ましく、また、前記構造式1中のnの値は3〜40の範囲であること、特に6〜30が好ましい。
また、前記ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖は、汚れ拭き取り性と滑り性が優れる点と非フッ素系硬化性樹脂組成物への溶解性を向上させやすい点からポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖1本に含まれるフッ素原子の合計が18〜200個の範囲であることが好ましく、25〜80個の範囲であることが特に好ましい。
次に、前記化合物(A)が、その構造中に有するポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖の両末端に存在するメタクリロイルオキシ基は、下記構造式U−1で表されるものである。
Figure 0005487859
前記化合物(A)の例としては、下記構造式A−1〜A−5で表されるものが挙げられる。なお、下記の各構造式中における「−PFPE−」は、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖を示す。
Figure 0005487859
これらの中でも特に化合物(A)自体の工業的製造が容易であり、また、重合体(P1)を製造する際の重合反応も容易である点から前記構造式A−1、A−3で表されるものが好ましい。
上記化合物(A)を製造するには、例えば、両末端に水酸基を1つずつ有するパーフルオロポリエーテルに対して、メタクリル酸クロライドを脱塩酸反応させて得る方法、メタクリル酸を脱水反応させて得る方法、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートをウレタン化反応させて得る方法、両末端にカルボキシル基を1つずつ有するパーフルオロポリエーテルに対して、グリシジルメタクリレートをエステル化反応させて得る方法が挙げられる。これらのなかでも、両末端に水酸基を1つずつ有するパーフルオロポリエーテルに対して、メタクリル酸クロライドを脱塩酸反応させて得る方法と、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートをウレタン化反応させて得る方法が合成上得られやすい点で特に好ましい。
前記反応性官能基(b)を有するラジカル重合性不飽和単量体(B)としては、アクリル系単量体、芳香族ビニル系単量体、ビニルエステル系単量体、マレイミド系単量体等が挙げられる。本発明では、前記ラジカル重合性不飽和単量体(B)の重合体の側鎖にラジカル重合性不飽和基を導入する必要から、前記単量体成分の一部又は全部に反応性官能基(b)を有するものを用いる。また、本発明では、後述する通り、前記ラジカル重合性不飽和単量体(B)を重合させる際、前記化合物(A)とともに共重合させる。
ここで、前記したラジカル重合性不飽和単量体(B)が有する反応性官能基(b)としては、水酸基、イソシアネート基、エポキシ基、カルボキシル基等が挙げられ、該ラジカル重合性不飽和単量体(B)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタレート、末端水酸基含有ラクトン変性(メタ)アクリレート等の水酸基含有不飽和単量体;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)エチルイソシアネート、1,1−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等のイソシアネート基含有不飽和単量体;グリシジルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル等のエポキシ基含有不飽和単量体;(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、マレイン酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有不飽和単量体;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和二重結合を有する酸無水物が挙げられる。
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレートとアクリレートの一方又は両方をいい、「(メタ)アクリル酸」とは、メタクリル酸とアクリル酸の一方又は両方をいう。
上記ラジカル重合性不飽和単量体(B)と共重合し得るその他のラジカル重合性不飽和単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−n−ペンチル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等の(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン等の芳香族ビニル類;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド類などが挙げられる。
ここで、前記重合体(P)を製造する方法は、前記化合物(A)、及び、反応性官能基(b)を有するラジカル重合性不飽和単量体(B)、更に必要によりその他のラジカル重合性不飽和単量体を、有機溶剤中、ラジカル重合開始剤を使用して重合させる方法が挙げられる。ここで用いる有機溶媒としては、ケトン類、エステル類、アミド類、スルホキシド類、エーテル類、炭化水素類が好ましく、具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、キシレン等が挙げられる。これらは、沸点、相溶性、重合性を考慮して適宜選択される。ラジカル重合開始剤としては、例えば過酸化ベンゾイル等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等が例示できる。さらに必要に応じてラウリルメルカプタン、2−メルカプトエタノ−ル、チオグリセロール、エチルチオグリコ−ル酸、オクチルチオグリコ−ル酸等の連鎖移動剤を使用することができる。
得られる重合体(P)の分子量は、重合中に架橋不溶化が起こらない範囲となる必要があり、高分子量化しすぎると架橋不溶化が起こる場合がある。その範囲内において、最終的に得られるラジカル重合性樹脂の1分子中の重合性不飽和基の個数が多くなる点で、重合体(P)は数平均分子量(Mn)が800〜3,000、特に1,000〜2,500の範囲であることが好ましく、また、重量平均分子量(Mw)が1,500〜40,000、特に2,000〜30,000の範囲であることが好ましい。
上記のようにして得られる重合体(P)に、前記官能基(b)と反応性を有する官能基(c)と2つ以上のラジカル重合性不飽和基とを有する化合物(C)を反応させることにより、目的とするラジカル重合性樹脂(I)が得られる。
前記化合物(C)が有する官能基(c)としては、例えば、水酸基、イソシアネート基、エポキシ基、カルボキシル基等が挙げられる。官能基(b)が水酸基である場合には、官能基(c)としてイソシアネート基、カルボキシル基、カルボン酸ハライド基、エポキシ基が挙げられ、反応性官能基(b)がイソシアネート基である場合には、官能基(c)として水酸基が挙げられ、反応性官能基(b)がエポキシ基である場合には、官能基(c)としてカルボキシル基、水酸基が挙げられ、反応性官能基(b)がカルボキシル基である場合には、官能基(c)としてエポキシ基、水酸基が挙げられる。
このような化合物(C)としては、具体的には、前記した反応性官能基(b)を有するラジカル重合性不飽和単量体(B)として例示したものの他、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートが挙げられる。
これらの中でも特に紫外線照射での重合硬化性が好ましい点から、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、アクリル酸が好ましい。
前記重合体(P)に、前記官能基(b)と反応性を有する官能基(c)とラジカル重合性不飽和基とを含有する化合物(C)を反応させる方法は、化合物(C)中のラジカル重合性不飽和基が重合しない条件で行えば良く、例えば温度条件を30〜120℃の範囲に調節して反応させることが好ましい。この反応は触媒や重合禁止剤の存在下、必要により有機溶剤の存在下に行うことが好ましい。
例えば、前記官能基(b)が水酸基であって前記官能基(c)がイソシアネート基である場合、又は、前記官能基(b)がイソシアネート基であって前記官能基(c)が水酸基である場合、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール、ヒドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール等を使用し、ウレタン化反応触媒としてジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、オクチル酸錫、オクチル酸亜鉛等を使用し、反応温度40〜120℃、特に60〜90℃で反応させる方法が好ましい。また、前記官能基(b)がエポキシ基であって前記官能基(c)がカルボキシル基である場合、又は、前記官能基(b)がカルボキシル基であって前記官能基(c)がエポキシ基である場合は、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール、ヒドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール等を使用し、エステル化反応触媒としてトリエチルアミン等の第3級アミン類、塩化テトラメチルアンモニウム等の第4級アンモニウム類、トリフェニルホスフィン等の第3級ホスフィン類、塩化テトラブチルホスホニウム等の第4級ホスホニウム類等を使用し、反応温度80〜130℃、特に100〜120℃で反応させることが好ましい。
上記反応で用いられる有機溶媒はケトン類、エステル類、アミド類、スルホキシド類、エーテル類、炭化水素類が好ましく、具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、キシレン等が挙げられる。これらは、沸点、相溶性を考慮して適宜選択すればよい。
以上詳述したラジカル重合性樹脂(I)は、前記ラジカル重合性樹脂(I)の数平均分子量(Mn)が1,000〜5,000の範囲であることが好ましく、1,500〜4,000の範囲であることがより好ましい。また、重量平均分子量(Mw)が3,000〜50,000の範囲であることが好ましく、4,000〜40,000の範囲であることが好ましい。前記ラジカル重合性樹脂(I)のMn及びMwをこれらの範囲にすることで、前記ラジカル重合性樹脂(I)の製造時におけるゲル化を防止でき、高架橋で防汚性に優れた塗膜性能を発現するものとできる。
ここで、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)はGPC測定に基づきポリスチレン換算した値である。なお、GPCの測定条件は以下の通りである。
[GPCの測定条件]
測定装置 :東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」、
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HHR−H」(6.0mmI.D.×4cm)
+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR」(7.8mmI.D.×30cm)
+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR」(7.8mmI.D.×30cm)
+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR」(7.8mmI.D.×30cm)
+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR」(7.8mmI.D.×30cm)
検出器: ELSD(オルテック製「ELSD2000」)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」
測定条件: カラム温度 40℃
展開溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 : 前記「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
(使用ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
試料:樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)。
また、前記ラジカル重合性樹脂(I)は、該樹脂中に含有するフッ素原子の含有比率であるフッ素含有率は、2〜35質量%の範囲が硬化塗膜の防汚性の点から好ましい。なお、フッ素含有率は、原料中に含まれるフッ素原子の含有比率を算出したものである。
さらに、ラジカル重合性樹脂(I)中のラジカル重合性不飽和基の含有量は、ラジカル重合性不飽和基当量が200〜600g/eq.となる割合であることが、硬化塗膜の防汚性に優れる点から好ましく、とりわけ300〜500g/eq.の範囲であることが特に好ましい。
前記ラジカル重合性樹脂(I)である本発明の含フッ素硬化性樹脂は、それ自体を活性エネルギー線硬化型塗料組成物の主剤として用いることができるが、極めて優れた表面改質性能を有しているため、活性エネルギー線硬化型塗料組成物に添加するフッ素系界面活性剤として用いることで、硬化塗膜に優れた防汚性を付与できる。
本発明の活性エネルギー線硬化型塗料組成物は、本発明の含フッ素硬化性樹脂を配合したものであるが、その主成分しては、活性エネルギー線硬化型樹脂(II)又は活性エネルギー線硬化性単量体(III)を含有する。なお、本発明の活性エネルギー線硬化型塗料組成物において、活性エネルギー線硬化型樹脂(II)と活性エネルギー線硬化性単量体(III)とは、それぞれ単独で用いてもよいが、併用しても構わない。また、本発明の含フッ素硬化性樹脂は、当該活性エネルギー線硬化型塗料組成物において、フッ素系界面活性剤として用いることが好ましい。
前記活性エネルギー線硬化型樹脂(II)は、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、アクリル(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられるが、本発明では、特に透明性や低収縮性等の点からウレタン(メタ)アクリレート樹脂が好ましい。
ここで用いるウレタン(メタ)アクリレート樹脂は、脂肪族ポリイソシアネート化合物又は芳香族ポリイソシアネート化合物とヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート化合物とを反応させて得られるウレタン結合と(メタ)アクリロイル基とを有する樹脂が挙げられる。
前記脂肪族ポリイソシアネート化合物としては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2−メチルペンタメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシリレンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート等が挙げられ、また、芳香族ポリイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート等が挙げられる。
一方、ヒドロキシ基含有アクリレート化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート等の2価アルコールのモノ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート等の3価のアルコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート、あるいは、これらのアルコール性水酸基の一部をε−カプロラクトンで変性した水酸基含有モノ及びジ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の1官能の水酸基と3官能以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、あるいは、該化合物をさらにε−カプロラクトンで変性した水酸基含有多官能(メタ)アクリレート;ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート化合物;ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシブチレン−ポリオキシプロピレンモノ(メタ)アクリレート等のブロック構造のオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート化合物;ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート等のランダム構造のオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
上記した脂肪族ポリイソシアネート化合物又は芳香族ポリイソシアネート化合物とヒドロキシ基含有アクリレート化合物との反応は、ウレタン化触媒の存在下、常法により行うことができる。ここで使用し得るウレタン化触媒は、具体的には、ピリジン、ピロール、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミンなどのアミン類、トリフェニルホスフィン、トリエチルホスフィンなどのホフィン類、ジブチル錫ジラウレート、オクチル錫トリラウレート、オクチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジアセテート、オクチル酸錫などの有機錫化合物、オクチル酸亜鉛などの有機金属化合物が挙げられる。
これらのウレタンアクリレート樹脂の中でも特に脂肪族ポリイソシアネート化合物とヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート化合物とを反応させて得られるものが硬化塗膜の透明性に優れ、かつ、活性エネルギー線に対する感度が良好で硬化性に優れる点から好ましい。
次に、不飽和ポリエステル樹脂は、α,β−不飽和二塩基酸又はその酸無水物、芳香族飽和二塩基酸又はその酸無水物、及び、グリコール類の重縮合によって得られる硬化性樹脂であり、α,β−不飽和二塩基酸又はその酸無水物としては、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロルマレイン酸、及びこれらのエステル等が挙げられる。芳香族飽和二塩基酸又はその酸無水物としては、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ニトロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸及びこれらのエステル等が挙げられる。脂肪族あるいは脂環族飽和二塩基酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、グルタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸及びこれらのエステル等が挙げられる。グリコール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチルプロパン−1,3−ジオール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、エチレングリコールカーボネート、2,2−ジ−(4−ヒドロキシプロポキシジフェニル)プロパン等が挙げられ、その他にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等の酸化物も同様に使用できる。
次に、エポキシビニルエステル樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂のエポキシ基に(メタ)アクリル酸を反応させて得られるものが挙げられる。これらの活性エネルギー線硬化型樹脂(II)は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
前記活性エネルギー線硬化性単量体(III)としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、数平均分子量が150〜1000の範囲にあるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、数平均分子量が150〜1000の範囲にあるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスルトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスルトールペンタ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート等の脂肪族アルキル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジプロピレングルコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングルコール(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリブチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリスチリルエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロデカトリエン(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、等が挙げられる。
これらのなかでも特に硬化塗膜の硬度に優れる点からトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスルトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトールテトラ(メタ)アクリレート等の3官能以上の多官能(メタ)アクリレートが好ましい。これらの活性エネルギー線硬化性単量体(III)は、これらは、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
本発明の活性エネルギー線硬化型塗料組成物において、本発明の含フッ素硬化性樹脂をフッ素系界面活性剤又はフッ素系表面改質剤として使用する場合、その使用量は、前記活性エネルギー線硬化型樹脂(II)及び活性エネルギー線硬化性単量体(III)の合計100質量部に対して、0.01〜10質量部の範囲であることが好ましく、0.1〜5質量%の範囲であることがより好ましい。本発明の含フッ素硬化性樹脂の使用量がこの範囲であれば、レベリング性、撥水撥油性、防汚性を十分なものにすることができ、該塗料組成物の硬化後の硬度や透明性も十分なものとすることができる。
本発明の活性エネルギー線硬化型塗料組成物は、基材に塗布後、活性エネルギー線を照射することで硬化塗膜とすることができる。この活性エネルギー線とは、紫外線、電子線、α線、β線、γ線のような電離放射線をいう。この活性エネルギー線として紫外線を用いる場合には、活性エネルギー線硬化型組成物中に光重合開始剤(IV)を添加する。また、必要であればさらに光増感剤を添加する。一方、電子線、α線、β線、γ線のような電離放射線を用いる場合には、光重合開始剤や光増感剤を用いなくても速やかに硬化するので、特にこれらを添加する必要はない。
前記光重合開始剤(IV)としては、分子内開裂型光重合開始剤及び水素引き抜き型光重合開始剤が挙げられる。分子内開裂型光重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン類;2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド等のアシルホスフィンオキシド系化合物;ベンジル、メチルフェニルグリオキシエステル等が挙げられる。
一方、水素引き抜き型光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル−4−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系化合物;ミヒラ−ケトン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン系化合物;10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン等が挙げられる。
上記の光重合開始剤(IV)の中でも、活性エネルギー線硬化型塗料組成物中の前記活性エネルギー線硬化性樹脂(II)及び活性エネルギー線硬化性単量体(III)との相溶性に優れる点から、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、及びベンゾフェノンが好ましく、特に、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが好ましい。これらの光重合開始剤(IV)は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
また、前記光増感剤としては、例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン等のアミン類、o−トリルチオ尿素等の尿素類、ナトリウムジエチルジチオホスフェート、s−ベンジルイソチウロニウム−p−トルエンスルホネート等の硫黄化合物などが挙げられる。
これらの光重合開始剤及び光増感剤の使用量は、活性エネルギー線硬化型組成物中の不揮発成分100質量部に対し、各々0.01〜20質量部が好ましく、0.1〜15質量%がより好ましく、0.3〜7質量部がさらに好ましい。
さらに、本発明の活性エネルギー線硬化型塗料組成物は、用途、特性等の目的に応じ、本発明の効果を損なわない範囲で、粘度や屈折率の調整、あるいは、塗膜の色調の調整やその他の塗料性状や塗膜物性の調整を目的に各種の配合材料、例えば、各種有機溶剤、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、石油樹脂、フッ素樹脂等の各種樹脂、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリエチレン、ポリプロピレン、カーボン、酸化チタン、アルミナ、銅、シリカ微粒子等の各種の有機又は無機粒子、重合開始剤、重合禁止剤、帯電防止剤、消泡剤、粘度調整剤、耐光安定剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、防錆剤、スリップ剤、ワックス、艶調整剤、離型剤、相溶化剤、導電調整剤、顔料、染料、分散剤、分散安定剤、シリコーン系、炭化水素系界面活性剤等を併用することができる。
上記の各配合成分中、有機溶媒は、本発明の活性エネルギー線硬化型塗料組成物の溶液粘度を適宜調整する上で有用であり、特に薄膜コーティングを行うためには、膜厚を調整することが容易となる。ここで使用できる有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;メタノール、エタノール、イソプロパノール、t−ブタノール等のアルコール類;酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類などが挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
ここで有機溶媒の使用量は、用途や目的とする膜厚や粘度によって異なるが、硬化成分の全質量に対して、質量基準で、0.5〜2倍量の範囲であることが好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化型塗料組成物を硬化させる活性エネルギー線としては、上記の通り、紫外線、電子線、α線、β線、γ線のような電離放射線であるが、具体的なエネルギー源又は硬化装置としては、例えば、殺菌灯、紫外線用蛍光灯、カーボンアーク、キセノンランプ、複写用高圧水銀灯、中圧又は高圧水銀灯、超高圧水銀灯、無電極ランプ、メタルハライドランプ、自然光等を光源とする紫外線、又は走査型、カーテン型電子線加速器による電子線等が挙げられる。
これらの中でも特に紫外線であることが好ましく、酸素等による硬化阻害を避けるため、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で、紫外線を照射することが好ましい。また、必要に応じて熱をエネルギー源として併用し、紫外線にて硬化した後、熱処理を行ってもよい。
本発明の活性エネルギー線硬化型塗料組成物の塗工方法は用途により異なるが、例えば、グラビアコーター、ロールコーター、コンマコーター、ナイフコーター、エアナイフコーター、カーテンコーター、キスコーター、シャワーコーター、ホイーラーコーター、スピンコーター、ディッピング、スクリーン印刷、スプレー、アプリケーター、バーコーター等を用いた塗布方法、あるいは各種金型を用いた成形方法等が挙げられる。
本発明の活性エネルギー線硬化型塗料組成物は、TACフィルムに代表される液晶ディスプレイ用偏光板用保護フィルム用のコート材や、液晶ディスプレイ用カラーフィルター(以下、「CF」という。)に使用されるRGBの各画素を形成するための塗料、インク又はカラーレジスト;CFのブラックマトリックス用の塗料、インキ又はブラックレジスト;タッチパネル用ハードコート材、携帯電話筐体又は携帯電話の液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ用ハードコート材、光ファイバクラッド材、光学レンズ、導波路、DVDやブルーレイなどの光学記録媒体、液晶封止材、各種光学用シール材、各種保護膜、光学用接着剤、各種光学部品、反射防止膜、反射防止層への防汚性付与剤、各種建材への防汚性付与剤として幅広く利用することが可能である。これらのなかでもとりわけ、液晶ディスプレイ用偏光板の保護フィルムのコート材や、CFに使用されるRGBの各画素を形成用又はブラックマトリックス用の塗料・インキ又はカラー及びブラックレジストとしてとりわけ有用である。
特に液晶ディスプレイ用偏光板の保護フィルム用コート材用途のうち、アンチグレア系コート材として本発明の活性エネルギー線硬化型塗料組成物を用いる場合、上記した各組成のうち、シリカ微粒子、アクリル樹脂微粒子、ポリスチレン樹脂微粒子等の無機又は有機微粒子を、本発明の活性エネルギー線硬化型塗料組成物中の硬化成分の全質量の0.1〜0.5倍量となる割合で配合することで防眩性に優れたものとなるため好ましい。
以下に本発明を具体的な実施例を挙げてより詳細に説明する。
[IRスペクトル]
装置:サーモエレクトロン社製「NICOLET380」
各実施例で得られた樹脂溶液をATR法にて測定。
13C−NMR測定条件]
装置:日本電子株式会社製 AL−400
溶媒:アセトン−d
[GPC測定条件]
測定装置:東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」、
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HHR−H」(6.0mmI.D.×4cm)
+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR」(7.8mmI.D.×30cm)
+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR」(7.8mmI.D.×30cm)
+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR」(7.8mmI.D.×30cm)
+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR」(7.8mmI.D.×30cm)
検出器:ELSD(オルテック製「ELSD2000」)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」
測定条件:カラム温度 40℃
展開溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準試料:前記「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
(使用ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
試料:樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)。
(合成例1)
撹拌装置、温度計、冷却管、滴下装置を備えたガラスフラスコに、下記構造式(X−1)で表される両末端水酸基含有パーフルオロポリエーテル化合物(X−1)20質量部、溶媒としてジイソプロピルエーテル10質量部、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.006質量部及び中和剤としてトリエチルアミン3.3質量部を仕込み、空気気流下にて攪拌を開始し、フラスコ内を10℃に保ちながらメタクリル酸クロライド3.1質量部を2時間かけて滴下した。滴下終了後、10℃で1時間攪拌し、昇温して30℃で1時間攪拌した後、50℃に昇温して10時間攪拌することにより反応を行い、ガスクロマトグラフィー測定にてメタクリル酸クロライドの消失が確認された。
Figure 0005487859
(式中、aの平均が5、bの平均が8であり、フッ素原子の数が平均46である。また、GPCによる数平均分子量は1,500である。)
次いで、溶媒としてジイソプロピルエーテル72質量部を追加した後、イオン交換水72質量部を混合して攪拌してから静置し水層を分離させて取り除く方法による洗浄を3回繰り返した。次いで、脱水剤として硫酸マグネシウム8質量部を添加して1日間静置することで完全に脱水した後、脱水剤を濾別してろ液を得た。このろ液の溶媒を減圧下で留去することによって、化合物(A)として下式で表される単量体(A−1−1)20.8質量部を得た。
Figure 0005487859
(実施例1)
撹拌装置、温度計、冷却管、滴下装置を備えたガラスフラスコに、溶媒としてメチルイソブチルケトン57.3質量部を仕込み、窒素気流下にて攪拌しながら105℃に昇温した。次いで、合成例1で得た単量体(A−1−1)19.6質量部と、2−ヒドロキシエチルメタクリレート37.7質量部と、ラジカル重合開始剤としてt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート8.6質量部及び溶媒としてメチルイソブチルケトン115質量部を混合した開始剤溶液123.6質量部との3種類の滴下液をそれぞれ別々の滴下装置にセットし、フラスコ内を105℃に保ちながら同時に2時間かけて滴下した。滴下終了後、105℃で10時間攪拌した後、減圧下で溶媒を留去することによって、重合体(P−1)60質量部を得た。
次いで、溶媒としてメチルエチルケトン97.3質量部、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.05質量部及びウレタン化触媒としてオクチル酸スズ0.04質量部を仕込み、空気気流下で攪拌を開始し、60℃を保ちながら2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート39.7質量部を1時間で滴下した。滴下終了後、60℃で1時間攪拌した後、80℃に昇温して5時間攪拌することにより反応を行った結果、IRスペクトル測定によりイソシアネート基の吸収ピークの消失が確認された。次いで、溶媒としてメチルエチルケトン2.4質量部を加え、ラジカル重合性樹脂(I−1)50質量%含有のメチルエチルケトン溶液199.4質量部を得た。このラジカル重合性樹脂(I−1)の分子量をGPC(ポリスチレン換算分子量)で測定した結果、数平均分子量2,200、重量平均分子量6,200、最大分子量10万、フッ素含有率は11質量%、ラジカル重合性不飽和基当量は357g/eq.であった。
(実施例2)
撹拌装置、温度計、冷却管、滴下装置を備えたガラスフラスコに、溶媒としてメチルイソブチルケトン68.7質量部を仕込み、窒素気流下にて攪拌しながら105℃に昇温した。次いで、合成例1で得た単量体(A−1−1)40質量部と、2−ヒドロキシエチルメタクリレート28.7質量部と、ラジカル重合開始剤としてt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート10.3質量部及び溶媒としてメチルイソブチルケトン137.4質量部を混合した開始剤溶液147.7質量部との3種類の滴下液をそれぞれ別々の滴下装置にセットし、フラスコ内を105℃に保ちながら同時に2時間かけて滴下した。滴下終了後、105℃で10時間攪拌した後、減圧下で溶媒を留去することによって、重合体(P−2)71.8質量部を得た。
次いで、溶媒としてメチルエチルケトン100.0質量部、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.05質量部及びウレタン化触媒としてオクチル酸スズ0.04質量部を仕込み、空気気流下で攪拌を開始し、60℃を保ちながら2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート29.7質量部を1時間で滴下した。滴下終了後、60℃で1時間攪拌した後、80℃に昇温して5時間攪拌することにより反応を行った結果、IRスペクトル測定によりイソシアネート基の吸収ピークの消失が確認された。次いで、溶媒としてメチルエチルケトン1.5質量部を加え、ラジカル重合性樹脂(I−2)50質量%含有のメチルエチルケトン溶液203質量部を得た。このラジカル重合性樹脂(I−2)の分子量をGPC(ポリスチレン換算分子量)で測定した結果、数平均分子量3,100、重量平均分子量14,000、最大分子量100万、フッ素含有率は22質量%、ラジカル重合性不飽和基当量は476g/eq.であった。
(比較例1)
撹拌装置、温度計、冷却管、滴下装置を備えたガラスフラスコに、溶媒としてメチルイソブチルケトン69質量部を仕込み、窒素気流下にて攪拌しながら105℃に昇温した。次いで、下記式(Y−1)で表されるフッ素化アルキル基含有アクリレート40質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート28.8質量部及び溶媒としてメチルイソブチルケトン69質量部を混合した単量体溶液137.8質量部と、ラジカル重合開始剤としてt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート3.4質量部及び溶媒としてメチルイソブチルケトン22.5質量部を混合した開始剤溶液25.9質量部との2種類の滴下液をそれぞれ別々の滴下装置にセットし、フラスコ内を105℃に保ちながら同時に3時間かけて滴下した。滴下終了後、105℃で10時間攪拌し、重合体溶液232.7質量部を得た。
Figure 0005487859
次いで、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.1質量部、ウレタン化触媒としてオクチル酸スズ0.05質量部を仕込み、空気気流下で60℃を保ちながら2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート31.2質量部を1時間で滴下した。滴下終了後、60℃で1時間攪拌した後、80℃に昇温して5時間攪拌することにより反応を行った結果、IRスペクトル測定によりイソシアネート基の消失が確認された。次いで、溶媒の一部を減圧留去し、ラジカル重合性樹脂(Z−1)50質量%含有のメチルイソブチルケトン溶液203.4質量部を得た。このラジカル重合性樹脂(Z−1)の分子量をGPC(ポリスチレン換算分子量)で測定した結果、数平均分子量3,000、重量平均分子量7,000、最大分子量4万であった。
(比較例2)
撹拌装置、温度計、冷却管、滴下装置を備えたガラスフラスコに、合成例1で用いた両末端水酸基含有パーフルオロポリエーテル化合物(X−1)20質量部、溶媒としてジイソプロピルエーテル20質量部、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.02質量部及び中和剤としてトリエチルアミン3.1質量部を仕込み、空気気流下にて攪拌を開始し、フラスコ内を10℃に保ちながらアクリル酸クロライド2.7質量部を1時間かけて滴下した。滴下終了後、10℃で1時間攪拌し、昇温して30℃で1時間攪拌した後、50℃に昇温して10時間攪拌することにより反応を行い、ガスクロマトグラフィー測定にてアクリル酸クロライドの消失が確認された。
次いで、溶媒としてジイソプロピルエーテル40質量部を追加した後、イオン交換水80質量部を混合して攪拌してから静置し水層を分離させて取り除く方法による洗浄を3回繰り返した。次いで、脱水剤として硫酸マグネシウム8質量部を添加して1日間静置することで完全に脱水した後、脱水剤を濾別してろ液を得た。このろ液の溶媒を減圧下で留去することによって、下式で表される単量体(Y−2)21.5質量部を得た。
Figure 0005487859
次いで、撹拌装置、温度計、冷却管、滴下装置を備えた別のガラスフラスコに、溶媒としてメチルイソブチルケトン63質量部を仕込み、窒素気流下にて攪拌しながら105℃に昇温した。次いで、(Y−2)21.5質量部と、2−ヒドロキシエチルメタクリレート41.3質量部と、ラジカル重合開始剤としてt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート9.4質量部及び溶媒としてメチルイソブチルケトン126質量部を混合した開始剤溶液135.4質量部との3種類の滴下液をそれぞれ別々の滴下装置にセットし、フラスコ内を105℃に保ちながら同時に2時間かけて滴下した。滴下終了後、105℃で10時間攪拌した後、減圧下で溶媒を留去することによって、重合体(Z−2)67.5質量部を得た。
次いで、溶媒としてメチルエチルケトン74.7質量部、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.1質量部及びウレタン化触媒としてジブチルスズジラウレートオクチル酸スズ0.06質量部を仕込み、空気気流下で攪拌を開始し、60℃を保ちながら2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート44.8質量部を1時間で滴下した。滴下終了後、60℃で1時間攪拌した後、80℃に昇温して5時間攪拌することにより反応を行った結果、IRスペクトル測定によりイソシアネート基の吸収ピークの消失が確認された。次いで、溶媒としてメチルエチルケトン37.4質量部を加え、ラジカル重合性樹脂(Z−2)50質量%含有のメチルエチルケトン溶液224.6質量部を得た。このラジカル重合性樹脂(Z−2)の分子量をGPC(ポリスチレン換算分子量)で測定した結果、数平均分子量1,900、重量平均分子量4,700、最大分子量5万であった。
(活性エネルギー線硬化型塗料組成物のベース樹脂組成物の調製)
紫外線硬化型塗料組成物として、5官能無黄変型ウレタンアクリレート50質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート50質量部、酢酸ブチル25質量部、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバスペシャリティーケミカルズ社製「イルガキュア184」)5質量部、溶剤としてトルエン54質量部、2−プロパノール28質量部、酢酸エチル28質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル28質量部を混合し溶解させて、活性エネルギー線硬化型塗料組成物のベース樹脂組成物を得た。
(実施例3,4及び比較例3,4)
上記で得られたベース樹脂組成物268質量部に、実施例1,2及び比較例1,2で得られたラジカル重合性樹脂の50質量%溶液の2質量部(樹脂分として1質量部)をフッ素系界面活性剤として加えて均一に混合して、活性エネルギー線硬化型塗料組成物を得た。次いで、この活性エネルギー線硬化型塗料組成物をバーコーターNo.13を用いて、厚さ80μmのTACフィルムに塗布した後、60℃の乾燥機に5分間入れて溶剤を揮発させ、紫外線硬化装置(窒素雰囲気下、高圧水銀灯使用、紫外線照射量2kJ/m)にて硬化させ、実施例3,4及び比較例3,4として塗工フィルムを作製した。また、フッ素系界面活性剤を添加していない活性エネルギー線硬化型塗料組成物についても同様に塗工フィルムを作製し、比較例5とした。
得られた塗工フィルムの塗工表面に対する水及びn−ドデカンの接触角を測定することで、強アルカリ水処理前の撥水撥油性を評価した。
また、紫外線硬化後にフィルムを70℃の強アルカリ水溶液(2mol/lのKOH水溶液)に1分間浸漬処理した後、純水で洗浄し、100℃×3分で乾燥させた後、室温で放冷した塗工フィルムについても、塗工表面に対する水及びn−ドデカンの接触角を測定することで、強アルカリ水処理後の撥水撥油性を評価した。これらの評価結果を表1に示す。
Figure 0005487859
本発明の含フッ素硬化性樹脂である実施例1及び2で得られたラジカル重合性樹脂(I−1)及び(I−2)を添加した実施例3及び4の活性エネルギー線硬化型塗料組成物の硬化塗膜は、水の接触角が105〜106°と非常に高く、強アルカリ水で処理しても水及びn−ドデカンの接触角をほぼ維持した。一方、比較例1及び2で得られたラジカル重合性樹脂(Z−1)及び(Z−2)を用いた比較例3及び4では、強アルカリ水処理後の水及びn−ドデカンの接触角に低下が見られた。なお、何も添加しなかった比較例5は、強アルカリ水処理の有無に関係なく、水及びn−ドデカンの接触角は低かった。

Claims (6)

  1. ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖とその両末端にメタクリロイルオキシ基とを有する化合物(A)と、反応性官能基(b)を有するラジカル重合性不飽和単量体(B)とを必須の単量体成分として共重合させて得られる重合体(P)に、前記官能基(b)と反応性を有する官能基(c)とラジカル重合性不飽和基とを有する化合物(C)を反応させて得られるラジカル重合性樹脂で、該ラジカル重合性樹脂の樹脂構造中に含まれるポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖が、フッ素原子を1鎖あたり25〜80個含有するラジカル重合性樹脂(I)であることを特徴とする含フッ素硬化性樹脂。
  2. 前記ラジカル重合性単量体(B)が有する反応性官能基(b)が水酸基であり、かつ、前記化合物(C)が有する官能基(c)がイソシアネート基である請求項1記載の含フッ素硬化性樹脂。
  3. 請求項1又は2記載の含フッ素硬化性樹脂を、基材に塗布し、活性エネルギー線を照射して硬化させてなることを特徴とする硬化物。
  4. 請求項1又は2記載の含フッ素硬化性樹脂、及び、活性エネルギー線硬化型樹脂(II)又は活性エネルギー線硬化性単量体(III)を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型塗料組成物。
  5. 請求項1又は2記載の含フッ素硬化性樹脂をフッ素系界面活性剤又はフッ素系表面改質剤として用いる請求項4記載の活性エネルギー線硬化型塗料組成物。
  6. 請求項又は記載の活性エネルギー線硬化型塗料組成物を、基材に塗布し、活性エネルギー線を照射して硬化させてなることを特徴とする硬化物。
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