JP5486908B2 - 拡幅部のトンネル覆工コンクリート用の養生装置 - Google Patents

拡幅部のトンネル覆工コンクリート用の養生装置 Download PDF

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Description

この発明は、トンネル覆工コンクリートの養生装置の技術分野に属し、更に云えば、非常駐車帯を形成するために構築される拡幅部のトンネル覆工コンクリート用の養生装置に関する。
拡幅部以外の一般部のトンネル覆工コンクリートの養生装置に関する発明は種々開示され、実施に供されている。そのなかでも、近年、初期強度を増大させ、且つコンクリート表面のひび割れ、剥離、剥落をできるだけ防止して、コンクリートの品質改善に努めることを目的とする発明が種々開示されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
この特許文献1〜3に開示された前記一般部のトンネル覆工コンクリート(以下、一般部覆工コンクリートと略す場合がある。)の養生装置は、共通して、一般部覆工コンクリートの内面形状より一回り小さく、同内面形状と相似するアーチ形状に鋼材を骨組みしてなるアーチフレームと、アーチフレームに設けられた加湿設備と、アーチフレームの外周面を覆った防水シートと、アーチフレームの下端部、又はアーチフレームを支持する支保部材の下端部に設けられた車輪とで構成されている。
ところで、750m以上の長大なトンネル坑内には、図13に示したように、交通事故や火災等における非常時の駐車帯として、一般部のトンネルNよりトンネル断面を大きく(拡幅)して駐車帯を確保し、安全性の向上や緊急時の避難対応を目的として設けられる非常駐車帯(幅2〜3m程度、全長30〜40m程度)Kが、750〜800m間隔毎に設けられている。
この非常駐車帯(拡幅部)Kのトンネル覆工コンクリートの打設は、拡幅部を除く一般部Nのトンネル覆工コンクリートの打設及び養生をトンネル全長にわたり行った後に行われるが、拡幅部Kのトンネル覆工コンクリート(以下、拡幅部覆工コンクリートと略す場合がある。)の養生は、以下の理由で、現状では実施されない場合が多かった。
1)一般部覆工コンクリートは無筋コンクリート構造で構築されるのに対し、拡幅部覆工コンクリートは鉄筋コンクリート構造で構築される。よって、トンネル覆工コンクリートのひび割れ抵抗性が無筋コンクリート構造よりも良好であるため、鉄筋コンクリート構造である拡幅部覆工コンクリートの養生は実施してもさほど効果に変わりがないと考えられていた。
2)拡幅部のトンネル断面と一般部のトンネル断面とはその形態が大きく異なる(本願の図1と図9を対比して参照)ため、一般部覆工コンクリート用の養生装置を、拡幅部の養生にそのまま用いることはできなかった。よって、拡幅部専用の養生装置を新たに製造する必要があるが、750〜800m毎に30〜40m程度と極めて短い部分にしか適用できない拡幅部専用の養生装置は、大掛かりで製造コストが嵩むので、費用対効果の面で効率がよくなかった。
特開2000−73696号公報 特開2004−285803号公報 特開2008−223372号公報
拡幅部覆工コンクリートは、鉄筋コンクリート構造で実施されているものの、無養生ではコンクリート表面にひび割れが発生するという事例が、近年少なからず報告されている。この問題は、コンクリートの剥離、剥落、および鉄筋の錆を生じ、コンクリートの品質が急激に低下する虞があるので、無視できないものとなっている。
よって、近年では、拡幅部覆工コンクリートであっても養生を行う必要性があると認識されるようになってはいるが、拡幅部の養生に好適な養生装置に係る発明は、現状では見聞しない。
本発明の目的は、一般部覆工コンクリート用の養生装置を基礎として、経済的、且つ合理的に設計変更(改造)することにより、一般部覆工コンクリートの養生と同程度の高い養生効果を実現できる、トンネルの拡幅部覆工コンクリート用養生装置を提供することである。
上記背景技術の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係るトンネルの拡幅部覆工コンクリート用養生装置は、一般部覆工コンクリート用養生装置を利用して構築したトンネルの拡幅部覆工コンクリート用養生装置であって、
前記一般部覆工コンクリート用養生装置は、拡幅部を除く一般部覆工コンクリートの内面形状の内側に一定の間隔をあけた相似形状に鋼材を骨組みしてなるアーチフレームと、加湿設備と、アーチフレームの外周面を覆った防水シートと、車輪とを備えて成ること、
前記拡幅部覆工コンクリート用養生装置は、前記一般部覆工コンクリート用養生装置を基礎として、当該一般部覆工コンクリート用養生装置のトンネル軸方向の前端部及び後端部に位置するアーチフレームの天端部から拡幅部側の下端部にかけて漸次せいの高いエアバルグ支持用部材が放射方向に着脱自在に立設され、当該アーチフレームの外周面及びエアバルグ支持用部材の上端部に、エアバルグ据付用部材が、拡幅部覆工コンクリートの内面形状と相似するアーチ形状で、送風機により膨張されたエアバルグが拡幅部覆工コンクリートの内面に密着するのに適正な間隔を確保して着脱自在に設けられ、前記エアバルグ据付用部材の上面に前記エアバルグが着脱自在に据え付けられ、さらにエアバルグ据付用部材と当該アーチフレームとの隙間を塞ぐ端部遮蔽シートが鉛直方向に張設されて、拡幅部覆工コンクリートを養生可能な構成とされていること、
一般部覆工コンクリートを養生する場合は、前記拡幅部覆工コンクリート用養生装置から、前記エアバルグ支持用部材、前記エアバルグ据付用部材、前記エアバルグ、および、前記端部遮蔽シートを取り外して、前記一般部覆工コンクリート用養生装置に戻すことが可能な構成とされていることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1に記載したトンネルの拡幅部覆工コンクリート用養生装置において、前記一般部覆工コンクリート用養生装置は、一般部覆工コンクリートの内面形状より一回り小さく、同内面形状と相似するアーチ形状に鋼材を骨組みしてなるアーチフレームと、アーチフレームに設けられた加湿設備と、アーチフレームの外周面を覆った防水シートと、アーチフレームの下端部、又はアーチフレームを支持する支保部材の下端部に設けられた車輪とからなることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載したトンネルの拡幅部覆工コンクリート用養生装置において、前記エアバルグは、形状変化追従性と耐久性に優れたナイロンタフタ製であることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一に記載したトンネルの拡幅部覆工コンクリート用養生装置において、前記加湿設備は、噴霧管と噴霧ノズルとからなり、前記噴霧ノズルは、平均粒子径が30〜65μの微霧を噴霧する性能を有し、当該微霧が拡幅部覆工コンクリートの内面に当たらないような取付角度及び噴霧角度とされ、拡幅部覆工コンクリートの内面と、防水シートと、膨張されたエアバルグと、端部遮蔽シートとで形成した密閉空間内を微霧で充満させるのに適正な取付ピッチおよび噴霧量とされていることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項4に記載したトンネルの拡幅部覆工コンクリート用養生装置において、前記噴霧ノズルは、その先端と拡幅部覆工コンクリートの内面との間隔を250〜400mmに確保する高さに継ぎ足し可能な構成であることを特徴とする。
本発明に係るトンネルの拡幅部覆工コンクリート用養生装置は、以下の効果を奏する。
1)トンネル軸方向の前端部と後端部に設けたエアバルグを膨張させて拡幅部覆工コンクリートの内面に沿って密着させると、トンネル軸方向の全長にわたり、拡幅部覆工コンクリートの内面とアーチフレームの外周面を覆う防水シートとが形成する空間を、送風機により膨張させたエアバルグと端部遮蔽シートとで外気を遮断して密閉する密閉空間を形成することができる。よって、前記密閉空間内の温度を、水とセメントの水和反応の最大値と同等値(通常15〜40℃の範囲内)に恒常的に保持できる保温養生を実現することができる。
2)噴霧ノズルの平均粒子径、取付角度、噴霧角度、取付ピッチ、および噴霧量を適正な条件で実施するので、前記密閉空間内の湿度を99〜100%に保持することができる。よって、施工後にひび割れを生じさせることがなく、勿論コンクリート内に配筋される鉄筋が錆びる虞もなく、品質および耐久性に非常に優れた拡幅部覆工コンクリートを実現できる。また、噴霧ノズルから噴霧する微霧が拡幅部覆工コンクリートに直接当たる虞がないので、施工後に斑模様が生じることもなく、美観に優れた拡幅部覆工コンクリートを実現できる。
3)前記エアバルグは、形状変化追従性と耐久性に優れたナイロンタフタ製を用いて実施する場合には、エアバルグを拡幅部覆工コンクリートの内面と密着させたままの膨張させた状態で、密閉空間を維持しつつ移動させることができる。したがって、最適な保温養生と湿潤養生を保持しつつ効率的、且つ合理的に連続養生を行うことができる。
4)要するに、拡幅部覆工コンクリート用養生装置による養生は、750m以上の長大なトンネルに発生する例外的措置であるが、本発明は、一般部覆工コンクリート用養生装置を基礎として、経済的、且つ合理的に改造することにより簡易に実用化でき、一般部覆工コンクリート用養生装置による養生と同程度の高い養生効果を実現できるほか、用済み後ないし通常時は一般部覆工コンクリート用養生装置に戻して使用できるので、費用対効果に優れ、実用価値が高い。
本発明に係るトンネルの拡幅部覆工コンクリート用養生装置を示した正面図である。 本発明に係るトンネルの拡幅部覆工コンクリート用養生装置を概略的に示した鳥瞰図である。 一般部覆工コンクリート用養生装置を拡幅部覆工コンクリート用養生装置に改造するにあたり、一般部覆工コンクリート用養生装置の後端部(又は前端部)にエアバルグ支持用部材を設けた状態を示した部分斜視図である。 一般部覆工コンクリート用養生装置を拡幅部覆工コンクリート用養生装置に改造するにあたり、一般部覆工コンクリート用養生装置のアーチフレームの外周面及びエアバルグ支持用部材の上端部に、エアバルグ据付用部材を設けた状態を示した部分斜視図である。 図4に係るエアバルグ据付用部材の上面にエアバルグを据え付けた状態を示した部分斜視図である。 エアバルグ据付用部材の上面にエアバルグを設けた状態を示した立面図である(図5のW−W線矢視参照) アーチフレームにエアバルグ支持用部材を設けるバリエーションを示した立面図である。 本発明に係るトンネルの拡幅部覆工コンクリート用養生装置の基礎となる一般部覆工コンクリート用養生装置を示した側面図である。 図8のX−X線矢視断面図である。 図8のY−Y線矢視断面図である。 加湿設備(噴霧管および噴霧ノズル)の設置状態を示した斜視図である。 噴霧ノズルの噴霧状態を示した立面図である。 非常駐車帯(トンネルの拡幅部)を有するトンネルを概略的に示した平面図である。
次に、本発明に係るトンネルの拡幅部覆工コンクリート用養生装置(以下、拡幅部用養生装置と略す場合がある。)の実施例を図面に基づいて説明する。
図1〜図7は、前記拡幅部用養生装置の概要を示している。この拡幅部用養生装置10は、一般部覆工コンクリート用養生装置を利用して構築したものであり、拡幅部を除く一般部覆工コンクリート19(図9参照)の内面形状の内側に一定の間隔をあけた相似形状に鋼材17、18を骨組みしてなるアーチフレーム11と、加湿設備12と、アーチフレーム11の外周面を覆った防水シート13と、車輪14とを備えて成る一般部覆工コンクリート用養生装置(以下、一般部用養生装置と略す場合がある。)20を基礎として、当該一般部覆工コンクリート用養生装置20のトンネル軸方向の前端部及び後端部に位置するアーチフレーム11(鋼材17、18)の拡幅部側にエアバルグ支持用部材1が放射方向に着脱自在に立設され、当該アーチフレーム11の外周面及びエアバルグ支持用部材1の上端部に、エアバルグ据付用部材2が、拡幅部覆工コンクリート9の内面形状と相似するアーチ形状で、送風機(図示省略)により膨張されたエアバルグ3が拡幅部覆工コンクリート9の内面に密着するのに適正な間隔を確保して着脱自在に設けられ、前記エアバルグ据付用部材2の上面に前記エアバルグ3が着脱自在に据え付けられ、さらにエアバルグ据付用部材2と当該アーチフレーム11との隙間を塞ぐ端部遮蔽シート4(図2の斜線部参照)が鉛直方向に張設されてなる。
前記拡幅部用養生装置10を構築するにあたり、その基礎となる一般部用養生装置20の具体的構成は後述するが、基本的構成として、一般部覆工コンクリート19の内面形状より一回り小さく、同内面形状と相似するアーチ形状に鋼材を骨組みしてなるアーチフレーム11と、アーチフレーム11に設けられた加湿設備12と、アーチフレーム11の外周面を覆った防水シート13と、アーチフレーム11を支持する支保部材15の下端部(又はアーチフレーム11の下端部)に設けられた車輪14とを備えていれば適用可能である。要するに、本発明に係る拡幅部用養生装置10は、上記した先行技術文献(特許文献)1〜3に係る一般部用養生装置20を基礎として改造することができる。
先ず、図2に示したように、前記一般部用養生装置20のトンネル軸方向の前端部及び後端部に位置するアーチフレーム11の拡幅部側にそれぞれ、複数(図示例では7本)のエアバルグ支持用部材1を放射方向に立設する作業を行う。
以下、前記一般部用養生装置20のトンネル軸方向の後端部の構造を、図3〜図7に基づいて説明する。前端部の構造は後端部の構造と同様であるため、図示及び説明は適宜省略する。
前記エアバルグ支持用部材1は、図6に示したように、縦断面L形状の鋼材が好適に用いられ、その下端の突き出し部をアーチフレーム11を構成するアーチ部材(鋼材)18の下面に当てがい、ボルト等の接合手段で接合して放射状に立設されている。ただし、エアバルグ支持用部材1の取付部位は、アーチフレーム11の後端部の構成に応じて適宜変更可能であり、例えば図7に示したように、水平部材(鋼材)17の下面に接合して実施することもできる。
前記エアバルグ支持用部材1は、エアバルグ3を安定した状態で支持するために設けられるものであり、その配置間隔、使用本数、及び所要高さは、図示例(図1、図4等参照)に限定されるものではなく、適用する拡幅部覆工コンクリート9の形態に応じて適宜設計変更して使用される。具体的には、当該エアバルグ支持用部材1の上端部に設けられるエアバルグ据付用部材2を、適正な部位に配設できることを条件に適宜設計変更される。なお、エアバルグ支持用部材1の前記所要高さは必然的に、アーチフレーム11の天端部から拡幅部側の下端部にかけて漸次せいの高い鋼材が用いられる。
次に、図1と図4に示したように、前記アーチフレーム11の外周面及びエアバルグ支持用部材1の上端部に、エアバルグ据付用部材2を、拡幅部覆工コンクリート9の内面形状と相似するアーチ形状で、且つ送風機により膨張されたエアバルグ3が拡幅部覆工コンクリート9の内面に隙間なく密着するのに適正な間隔(本実施例では、均等に400mm程度)を確保して設置する作業を行う。
前記エアバルグ据付用部材2は、図6と図7に示したように、幅200mm程度の平板状の鋼材が好適に用いられ、拡幅部側に設けたエアバルグ支持用部材1の上端部にボルト、溶接等の接合手段で接合して取り付けられている。
一方、前記一般部用養生装置10を構成するアーチフレーム11の外周面については、既にエアバルグ据付用部材2が設けられている場合はそのまま利用し、設けられていない場合には、後端部に位置するアーチフレーム11の外周面に沿って、ボルト、溶接等の接合手段でエアバルグ据付用部材2を直付けする。
かくして、前記エアバルグ据付用部材2は全体として、図1に示したように、拡幅部覆工コンクリート9の内面形状と相似するアーチ形状に形成されるのである。なお、前記エアバルグ据付用部材2は、通常、複数の平板状の鋼材を突き合わせ接合することにより全体として湾曲した形状に形成される。
ちなみに、本実施例に係るエアバルグ据付用部材2は、拡幅部覆工コンクリート9の内面に対し、均等に400mm程度の間隔をあけて配設されるがこの限りではなく、当該間隔は、使用するエアバルグ3の膨張時の幅に応じて適宜設計変更される。エアバルグ据付用部材(平板状の鋼材)2の幅は、勿論200mm程度に限定されず、使用するエアバルグ3の大きさに応じて適宜増減される。
次に、エアバルグ据付用部材2の上面に両面接着テープ(図示省略)を止着する等の手段でエアバルグ3を据え付ける作業を行うと共に、エアバルグ据付用部材2と前記アーチフレーム11との隙間(図2の斜線部参照)を塞ぐ端部遮蔽シート4を、接着テープ(図示省略)を止着する等の手段で鉛直方向に張設する作業を行う。
前記エアバルグ3は、その左右の両端部がトンネル構内の地面と70〜100cm程度の重ね代C(図1参照)を形成する程度の長さで実施されている。
本実施例に係るエアバルグ3は、形状変化追従性と耐久性に優れたナイロンタフタ製を用いて実施している。
また、本実施例に係るエアバルグ3は、一例として、60Hzで5.5m/分に調整した電動送風機の連続運転により膨張させる構成で実施している。
さらに、本実施例に係るエアバルグは、前記電動送風機により膨張させると前記拡幅部覆工コンクリート9の内面に隙間なく密着するように、1体当たりの長さが10〜30cm程度の筒状で、拡幅部覆工コンクリート9の内面と当接する部位が当該内面の形状とほぼ一致する曲率で形成されたエアバルグ片(図示省略)を一連に繋ぎ合わせ(縫い合わせ)、且つその両端部を閉塞して製造されている。具体的に、個々の筒状のエアバルグ片は、トンネル正面方向から見ると、拡幅部覆工コンクリート9の内面に当接する部位を上辺とし、前記エアバルグ据付用部材2に当接する部位を下辺とするほぼ倒立台形状(バームクーヘン形状)に近似する形状で実施されている。
このように、前記エアバルグ3を複数のエアバルグ片を一連につなぎ合わせて製造する意義は、スプリングラインを境界線として上半と下半に区別され、3心円または2心円等で施工されるトンネル独特の特殊な中空断面形状に適宜対応させて製造することにより、エアバルグ3を確実に隙間なく拡幅部覆工コンクリート9の内面に密着させるためである。
なお、本実施例に係るエアバルグ3は、膨張時の径が600mm程度、全長は拡幅部覆工コンクリート9の形態に応じて適宜設計変更して実施される。前記エアバルグ3の厚さは、250デニールが好適に用いられるが、これに限定されるものではない。
端部遮蔽シート4は、非通気性、保温性、耐久性に優れた材質を採用している。ちなみに、本実施例に係る端部遮蔽シート4は、軽量で、耐久性に非常に優れたポリプロピレンシート層にポリエチレンクロスやポリプロピレンクロス等の樹脂クロスよりなる樹脂クロス層を積層した積層シートで実施されている。
かくして、本発明に係る拡幅部用養生装置10は、エアバルグ3を膨張させて拡幅部覆工コンクリート9の内面に沿って密着させると、拡幅部用養生装置10のトンネル軸方向の全長L(図2参照)にわたり、拡幅部覆工コンクリート9の内面とアーチフレーム11全体を覆う防水シート13とが形成する空間を、前端部及び後端部に設けた膨張させたエアバルグ3、3と端部遮蔽シート4、4とで外気を遮断して密閉する密閉空間が形成される。よって、前記密閉空間内の温度を、水とセメントの水和反応の最大値と同等値(通常15〜40℃の範囲内)に恒常的に保持できる保温養生を実現することができる。
以下に、拡幅部養生装置10の基礎となる一般部用養生装置20の具体的構成を、図8〜図12に基づいて説明する。ちなみに図8は、一般部覆工コンクリート19の養生装置20の側面図を示している。図9は、図8のX−X線矢視断面図を示している。図10は、図8のY−Y線矢視断面図を示している。
図8に示したように、一般部覆工コンクリート19を養生する場合は、通常、10.5mの長さを1スパンSとして3スパン(又は2スパン)の養生装置20を用いるが、本発明に係る拡幅部養生装置10の基礎とする場合は、その中の1スパン分(本実施例では最後端部)の養生装置20のみ用いて行う。ちなみに、図8中の符号30はセントルを示し、符号31は圧力ポンプを示し、符号32は発電機を示している。
前記一般部用養生装置20のアーチフレーム11は、一般部覆工コンクリート19の内面形状と相似するアーチ形状でトンネル軸方向へ並設された複数のアーチ部材18と、前記複数のアーチ部材18に溶接等の接合手段で接合された複数の水平部材17とで構成されている。
本実施例に係るアーチ部材18は、径が60mmの中空の角形鋼管、或いは丸形鋼管を複数本(図示例では5本)用い、トンネル軸方向へ所要の間隔をあけて並設し、全長10.5m程度(所謂1スパンS)の一般部用養生装置20の骨組みを形成している。
前記アーチ部材18は、一般部覆工コンクリート19の内面との間隔を300〜450mm(図示例では400mm程度)確保して並設されている。前記間隔を300〜450mm確保した理由は、密閉する空間内の温度を水とセメントの水和反応の最大値と同等値に保持するには、間隔を300〜500mmとする必要があること、及び450mmより間隔が大きいとトンネル掘削車の走行スペースを確保しづらいことを考慮したからである。
本実施例に係る水平部材17は、径が30mmの中空の丸形鋼管、或いは角形鋼管を用い、前記アーチ部材18の周方向の外側に沿って、当該アーチ部材18を安定した状態で拘束するのに必要な本数(図示例では17本)をバランス良く配設している。
なお、前記アーチ部材18及び水平部材17の使用本数は勿論この限りではなく、養生装置20の形態に応じて適宜増減して実施可能である。また、使用する一般部養生装置20の全長は1スパンに限定されるものではなく、2スパン分以上の長さで実施することもできるし、1スパン当たりの長さも前記10.5mのほか、6m、9m、12mで実施することもできる。
前記アーチフレーム11の外周面を覆う防水シート13(図1、図9参照)は、非通気性のシートを用いることはもとより、保温性、耐久性、形状変化追従性に優れた材質を採用する。ちなみに、本実施例に係る防水シート13は、前記端部遮蔽シート4と同様に、軽量で、耐久性に非常に優れたポリプロピレンシート層にポリエチレンクロスやポリプロピレンクロス等の樹脂クロスよりなる樹脂クロス層を積層した積層シートで実施されている。
前記防水シート13の大きさについては、前記アーチ部材18と水平部材17からなる骨組み(アーチフレーム11)の外周部をすべて覆うように弛みなく張設された状態で、その左右の両端部がそれぞれ、外気と遮断するべく、トンネル構内の地面と70〜100cm程度の重ね代Bを形成する寸法とされている。さらに、その端縁部は、一般部用養生装置20の走行等に起因する跳ね上がりを確実に防止するべく、20cm程度折り返すことにより錘の役割を担っている。
前記防水シート14はさらに、透明又は半透明の積層シートで実施することにより、作業員の目視により、後述する噴霧ノズル22の噴霧状況を逐一チェックできる工夫が施されている。
本実施例では、アーチフレーム11を支持する支保部材15の下端部に車輪14を設けた構成の一般部養生装置20を基礎としているが、この限りではなく、上記特許文献3で開示したような、アーチフレーム11の両端部の下端部に車輪14を設けた構成の一般部養生装置20を基礎とすることもできる。
前記支保部材15は、複数の鋼材を溶接、ボルト等の接合手段で組み立てられ、当該アーチフレーム11を支持するのに十分な剛性で実施される。
前記車輪14は、トンネル構内の地面上に敷設されたレール16(又は溝形鋼のフランジ)に沿って走行可能な構成とされている。ちなみに、当該一般部用養生装置20は、2名程度の作業員の力で楽にレール上を走行させることができる。
なお、図1、図9、及び図10の符号25は、送風管を示している。
アーチフレーム11に設けた加湿設備12は、本実施例では図11と図12に示したように、噴霧管21と、噴霧管21に設けた噴霧ノズル22とで実施している。前記噴霧管21は、前記アーチ部材18のトンネル周方向に沿って所定の間隔(本実施例では3.5〜4.0m程度)をあけてバランスよく複数箇所(図示例では4カ所)配置され、それぞれ、図11に示したように、その近傍に位置する水平部材17の軸線に沿ってほぼ平行に取り付けられている。また、各噴霧管12には、軸線方向に所定の間隔をあけて複数(図示例では3カ所)の噴霧ノズル22が設備されている。
前記噴霧管21を水平部材17に取付ける手法は種々あるが、本実施例では、噴霧管21と水平部材17とを包持する重ね合わせ継手24を用いて取付けている。ちなみに本実施例に係る噴霧管21は、管径が10mm程度、1本あたりの長さが7m程度で実施されている。
前記噴霧ノズル22は、前記防水シート13から突き出して前記一般部覆工コンクリート19の内面へ向けた配置で、且つ当該内面と噴霧ノズル22の先端との間隔を250〜400mm確保して噴霧管21に設備されている。ちなみに、前記噴霧ノズル22を貫通させた防水シート13の開口部は接着テープ等(図示省略)で閉塞されている。
前記噴霧ノズル22は、具体的に、固定式の二股アダプタ23を介して噴霧管21に設備されている。前記二股アダプタ23は、前記噴霧管21に3m程度のピッチP(図12参照)で3カ所設けられ、各二股アダプタ23には、2個の噴霧ノズル22が設けられている。要するに、本実施例に係る噴霧ノズル22は、1本の噴霧管21に6個ずつの計24個用いて実施している。
前記二股アダプタ23に装着される2個の噴霧ノズル22は、図12に示したように、一般部覆工コンクリート19の内面に対して、直角となる姿勢から、トンネル軸方向Zに互いに80度ずつ外向きに傾斜させた取付角度で実施されている。なお、前記二股アダプタ23は、回転式の二股アダプタでも実施可能ではあるが、トンネル覆工コンクリート19(9)の養生は一般に長期間にわたり行われるため、故障する虞のない固定式の二股アダプタ23が好適に用いられる。
また、前記噴霧ノズル22は、微霧の噴霧平均粒子径が35〜60μm、ノズル径が11mmで、ノズル1個当たりの噴霧量が1〜2リットル/時間で噴霧する性能を有し、当該微霧が一般部覆工コンクリート19の内面に当たらないような取付角度及び噴霧角度とされ、一般部覆工コンクリート19の内面と防水シート13とが形成する空間内を微霧で充満させるのに適正な取付ピッチおよび噴霧量とされ、前記空間を密閉空間とした場合に、99〜100%の湿度に保持する湿潤養生が可能な構成とされている。
前記微霧の噴霧平均粒子径を35〜60μmの範囲内とする意義は、35μm未満とすると、前記密閉空間内の湿度を99〜100%に保持するには噴霧ノズル22の設置ピッチを狭くして個数を増やす必要があるなど不経済であること、60μmを超えると、トンネル構内の地盤に水(養生水)が垂れ落ちて泥濘化する虞がありこれを防止する必要があること、を考慮した結果である。
ちなみに、前記噴霧ノズル22に水を供給する圧力ポンプ31(図8参照)は、噴霧ノズル22の粒径(性能)および設置数量に応じて適正な能力を選定する。前記噴霧量1〜2リットル/時間を実現するには、三相200V・750Wの圧力ポンプ(高圧ポンプ)31が好適である。この高圧ポンプ31を発電機32で作動させて貯水タンク(図示省略)から水を供給するのである。また、施工場所により上水を使用できず、現地発生水や河川水を用いる必要がある場合は、噴霧ノズル22の目詰まりを防止し、連続噴霧を可能ならしめるべく、特殊なフィルターを2枚程装着した圧力ポンプ31を用いて実施することが好ましい。
以上が拡幅部用養生装置10の基礎となる一般部用養生装置20の具体的構成であるが、本実施例に係る一般部用養生装置20には、さらに、図10に示したように、トンネル軸方向の後端部に位置するアーチフレーム11の周方向に沿ってエアバルグ据付用部材2が直付けされ、当該部材2の上面に一般部覆工コンクリート19用のエアバルグ26が着脱自在に取り付けられた構成とされている。一般部覆工コンクリート19用のエアバルグ26は、一般部覆工コンクリート19の養生を終えた後に取り外される。
したがって、前記一般部用養生装置20を基礎として構成された拡幅部用養生装置10によれば、そのトンネル軸方向の前端部と後端部に新設したエアバルグ3、3を膨張させて前記拡幅部覆工コンクリート9の内面に沿って密着させると、拡幅部用養生装置10のトンネル軸方向の全長L(図2参照)にわたり、拡幅部覆工コンクリート9の内面と前記アーチフレーム11の外周面を覆った防水シート13とが形成する空間を、膨張させたエアバルグ3、3と端部遮蔽シート4、4とで外気を遮断して密閉する密閉空間を形成することができる。よって、前記密閉空間内の温度を、水とセメントの水和反応の最大値と同等値(通常15〜40℃の範囲内)に恒常的に保持できる保温養生を実現することができる。
また、一般部用養生装置20の噴霧ノズル22の平均粒子径、取付角度、噴霧角度、取付ピッチ、および噴霧量を上記した条件で実施するので、前記密閉空間内の湿度を99〜100%に保持することができる。よって、施工後にひび割れを生じさせることがなく、勿論、拡幅部覆工コンクリート9内に配筋される鉄筋が錆びる虞もなく、品質および耐久性に非常に優れた拡幅部覆工コンクリート9を実現できる。また、噴霧ノズル22から噴霧する微霧が拡幅部覆工コンクリート9に直接当たる虞がないので、施工後に斑模様が生じることもなく、美観に優れた拡幅部覆工コンクリート9を実現できる。
なお、前記噴霧ノズル22は、その先端と拡幅部覆工コンクリート9の内面との間隔を250〜400mmに確保する高さに適宜継ぎ足して実施することにより、一般部覆工コンクリート19に対して行う構成と近似する構成で湿潤養生を行うこともできる。
次に、上記構成の拡幅部用養生装置10を用いて、拡幅部覆工コンクリート9を養生する手順を具体的に説明する。
先ず、拡幅部を除く一般部のトンネル覆工コンクリート19の養生を、上記構成の一般部用養生装置20を用いてトンネル全長にわたり行った後、1スパンSに分離した一般部用養生装置20を、一般部覆工コンクリート19用のエアバルグ26を取り外した状態で、拡幅トンネルK1(図13参照)の手前の位置まで移動させる。なお、図13に付した数値は、非常駐車帯の標準寸法を示している。
次に、拡幅部覆工コンクリート打設装置(図示省略)を組み立て、拡幅部覆工コンクリート9の打設を行い、前記装置の型枠を取り外して露出させた全長10m程度の拡幅部覆工コンクリート9の養生区間K1に、前記一般部用養生装置20を若干移動させて停止させ、一般部用養生装置20を基礎として拡幅部用養生装置10へ改造する作業を行う。
具体的には、上記したように、そのトンネル軸方向の前端部及び後端部に位置するアーチフレーム11(水平部材17、又はアーチ部材18)の拡幅部側に前記エアバルグ支持用部材1を放射方向に立設し、前記アーチフレーム11の外周面及びエアバルグ支持用部材1の上端部に、エアバルグ据付用部材2を、拡幅部覆工コンクリート9の内面形状と相似するアーチ形状で、電動送風機で膨張させたエアバルグ3が拡幅部覆工コンクリート9の内面に隙間なく密着するのに適正な間隔を確保して設け、前記エアバルグ据付用部材2の上面にエアバルグ3を据え付け、さらにエアバルグ据付用部材2と当該アーチフレーム11との隙間を塞ぐ端部遮蔽シート4を鉛直方向に張設する作業を行う。当該作業を終えた後に前記エアバルグ3、3を膨張させる。
そうすると、拡幅部用養生装置10のトンネル軸方向の全長L(図2参照)にわたり、拡幅部覆工コンクリート9の内面と前記アーチフレーム11の外周面を覆う防水シート13とが形成する空間を、前記膨張したエアバルグ3、3と端部遮蔽シート4、4とで外気を遮断して密閉する密閉空間を形成することができる。よって、前記密閉空間内の温度を、水とセメントの水和反応の最大値と同等値(通常15〜40℃の範囲内)に恒常的に保持できる保温養生を実現することができる。
また、前記噴霧ノズル22の平均粒子径、取付角度、噴霧角度、取付ピッチ、および噴霧量を上記した条件で実施するので、前記密閉空間内の湿度を99〜100%に保持することができる。よって、施工後にひび割れを生じさせることがなく、勿論、拡幅部覆工コンクリート9内に配筋される鉄筋が錆びる虞もなく、品質および耐久性に非常に優れた拡幅部覆工コンクリート9を実現できる。また、噴霧ノズル22から噴霧する微霧が拡幅部覆工コンクリート1に直接当たる虞が一切ないので、施工後に斑模様が生じることもなく、美観に優れた拡幅部覆工コンクリート9を実現できる。
前記保温養生と湿潤養生を併用して行う養生期間は通常、7日以上実施される。拡幅トンネルの養生は、一般トンネルの養生と違い、一通りトンネル施工を終えた後の仕上げの段階で行われる。よって、通常、工期に厳しい制約が課されないので、ひび割れを生じさせる虞が一切ない十分な期間(例えば、1スパン毎に3週間程度)を割り当てることができる。
この養生期間を終える直前に、次の養生区間K2に、拡幅部覆工コンクリート打設装置により、拡幅部覆工コンクリート9の打設を行う。しかる後、養生を終えた前記拡幅部用養生装置10を作業員が手動で前進させて、次の養生区間K2で停止させる。
拡幅部用養生装置10の前記エアバルグ3は、形状変化追従性と耐久性に優れたナイロンタフタ製を用いて実施している。よって、本発明に係る拡幅部用養生装置10は、エアバルグ3を拡幅部覆工コンクリート9の内面と密着させたままの膨張させた状態で、密閉空間を維持しつつ移動させることができる。よって、最適な保温養生と湿潤養生を保持しつつ効率的、且つ合理的に連続養生を行うことができるのである。
以上の工程を連続して繰り返し行うことにより、拡幅部トンネルのK1〜K3の養生区間にわたり、ひび割れが生じることも一切なく、斑模様のない、高品質で美観に優れたトンネル覆工コンクリートを実現することができる。当該拡幅部の養生を終えた後は、他の拡幅部がある場合は、前記エアバルグ支持用部材1、エアバルグ据付用部材2、及びエアバルグ3を一旦取り外して移動させた後、当該他の拡幅部を、上記した工程と同様の工程を行い養生するのである。
図13に示したように、拡幅部(非常駐車帯)の始端部K4と終端部K5は、漸次、幅が拡径又は縮径するテーパー状に形成されている。この部位の養生は、始端部K4を養生する場合は、一般部用養生装置20の一端部(図示例では後端部)に、一般部覆工コンクリート19用のエアバルグ26を取り付け、他端部(図示例では前端部)のみを図1に示したような設計変更を行った拡幅部養生装置を構築して養生する。一方、終端部K5を養生する場合は、一般部用養生装置20の一端部(図示例では前端部)に、一般部覆工コンクリート19用のエアバルグ26を取り付け、他端部(図示例では後端部)のみを図1に示したような設計変更を行った拡幅部養生装置を構築して養生する。
以上に実施例1、2を図面に基づいて説明したが、本発明は、図示例の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のために言及する。
例えば、前記噴霧ノズル22に係る平均粒子径、取付角度、噴霧角度、取付ピッチ、および噴霧量については、もちろん本実施例に限定されるものではなく、拡幅部覆工コンクリート9の内面と前記防水シート13とが形成する空間を、膨張したエアバルグ3、3と端部遮蔽シート4、4とで密閉する密閉空間内の湿度を99〜100%に保持できることを条件に、適宜設計変更して実施することができる。
1 エアバルグ支持用部材
2 エアバルグ据付用部材
3 エアバルグ
4 端部遮蔽シート
9 拡幅部覆工コンクリート
10 拡幅部用養生装置
11 アーチフレーム
12 加湿設備
13 防水シート
14 車輪
15 支保部材
16 レール
17 水平部材
18 アーチ部材
19 一般部覆工コンクリート
20 一般部用養生装置
21 噴霧管
22 噴霧ノズル
23 二股アダプタ
24 重ね合わせ継手
25 送風管
26 エアバルグ
30 セントル
31 圧力ポンプ
32 発電機

Claims (5)

  1. 一般部覆工コンクリート用養生装置を利用して構築したトンネルの拡幅部覆工コンクリート用養生装置であって、
    前記一般部覆工コンクリート用養生装置は、拡幅部を除く一般部覆工コンクリートの内面形状の内側に一定の間隔をあけた相似形状に鋼材を骨組みしてなるアーチフレームと、加湿設備と、アーチフレームの外周面を覆った防水シートと、車輪とを備えて成ること、
    前記拡幅部覆工コンクリート用養生装置は、前記一般部覆工コンクリート用養生装置を基礎として、当該一般部覆工コンクリート用養生装置のトンネル軸方向の前端部及び後端部に位置するアーチフレームの天端部から拡幅部側の下端部にかけて漸次せいの高いエアバルグ支持用部材が放射方向に着脱自在に立設され、当該アーチフレームの外周面及びエアバルグ支持用部材の上端部に、エアバルグ据付用部材が、拡幅部覆工コンクリートの内面形状と相似するアーチ形状で、送風機により膨張されたエアバルグが拡幅部覆工コンクリートの内面に密着するのに適正な間隔を確保して着脱自在に設けられ、前記エアバルグ据付用部材の上面に前記エアバルグが着脱自在に据え付けられ、さらにエアバルグ据付用部材と当該アーチフレームとの隙間を塞ぐ端部遮蔽シートが鉛直方向に張設されて、拡幅部覆工コンクリートを養生可能な構成とされていること、
    一般部覆工コンクリートを養生する場合は、前記拡幅部覆工コンクリート用養生装置から、前記エアバルグ支持用部材、前記エアバルグ据付用部材、前記エアバルグ、および、前記端部遮蔽シートを取り外して、前記一般部覆工コンクリート用養生装置に戻すことが可能な構成とされていることを特徴とする、トンネルの拡幅部覆工コンクリート用養生装
    置。
  2. 前記一般部覆工コンクリート用養生装置は、一般部覆工コンクリートの内面形状より一回り小さく、同内面形状と相似するアーチ形状に鋼材を骨組みしてなるアーチフレームと、アーチフレームに設けられた加湿設備と、アーチフレームの外周面を覆った防水シートと、アーチフレームの下端部、又はアーチフレームを支持する支保部材の下端部に設けられた車輪とからなることを特徴とする、請求項1に記載したトンネルの拡幅部覆工コンクリート用養生装置。
  3. 前記エアバルグは、形状変化追従性と耐久性に優れたナイロンタフタ製であることを特徴とする、請求項1又は2に記載したトンネルの拡幅部覆工コンクリート用養生装置。
  4. 前記加湿設備は、噴霧管と噴霧ノズルとからなり、前記噴霧ノズルは、平均粒子径が30〜65μの微霧を噴霧する性能を有し、当該微霧が拡幅部覆工コンクリートの内面に当たらないような取付角度及び噴霧角度とされ、拡幅部覆工コンクリートの内面と、防水シートと、膨張されたエアバルグと、端部遮蔽シートとで形成した密閉空間内を微霧で充満させるのに適正な取付ピッチおよび噴霧量とされていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載したトンネルの拡幅部覆工コンクリート用養生装置。
  5. 前記噴霧ノズルは、その先端と拡幅部覆工コンクリートの内面との間隔を250〜400mmに確保する高さに継ぎ足し可能な構成であることを特徴とする、請求項4に記載したトンネルの拡幅部覆工コンクリート用の養生装置。
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