JP5486500B2 - 光安定化シリコーン液体 - Google Patents

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Description

(関連出願への相互参照)
本出願は、2007年9月6日に出願された米国仮特許出願第60/935,917号の優先権による恩恵を主張する。同優先出願の内容全体を本明細書中参考のため援用する。
(開示の分野)
本開示は、主に日焼け防止および光防護のためのシリコーンポリマー液体およびシリコーンポリマー液体含有組成物に関する。より詳細には、本開示は、光防護(UV吸収)化合物の光安定化のための、ペンダントα−シアノ−β,β−ジフェニルアクリラート誘導体を含むシリコーンポリマーに関する。
(関連技術の簡単な説明)
紫外線放射(光)は、ヒトの皮膚に対する多様な種類の慢性および急性の損傷の原因となり得る。波長が約280nmまたは290nm〜約320nm(UV−B)の紫外線光への過度の露出は、日焼けの原因となり得、過度の露出が慢性的に続いた場合、皮膚癌および免疫系の低下の原因となり得る。UV−B放射は、DNA構造を化学的に変化させることにより、DNAに対する損傷を起こすことができる。UV−A放射(約320nm〜約400nm)およびUV−B放射は、皮膚中のコラーゲン繊維およびビタミンAを損傷させ得、その結果、皮膚の弾力性の低下および皮膚の老化の加速が発生し得る。
さらに、太陽または人工光源からの紫外線放射は、成分(例えば、ポリマー、色素または染料)の構造中の化学結合を変化させることにより、光活性物質(例えば、光活性色素および染料)を含むコーティングを損傷させ得る。このような光分解は、退色、光沢の損失、およびコーティングの物理的特性および保護特性の損失の原因となり得る。
組成物(例えば、日焼け止めおよびコーティング)中にUV吸収化合物および光防護化合物を含めた場合、上記のようなUV放射による悪影響を低減させることができる。これらの光防護化合物は、発色団含有有機分子であることが多いが、これらの光防護化合物そのものが光分解しやすく、その後、さらなるUV光をほとんどあるいは全く吸収できなくなる。これらの光防護分子を光安定化させるためには、これらの分子が基底状態に戻る速度を光分解発生速度よりも高速にしなければならない。日焼け防止分子の光励起状態をクエンチする公知の光安定化日焼け止め添加剤(例えば、オクトクリレン)がある。例えば、オクトクリレンは、アヴォベンゾンを光安定化させることが知られている。
ジベンゾイルメタン誘導体(例えば、アヴォベンゾン)を含む化粧品用日焼け止め組成物を光安定化させるためには、少なくとも1重量%のα−シアノ−β,β−ジフェニルアクリラート(例えば、オクトクリレン)が必要であり、ジベンゾイルメタン誘導体に対するα−シアノ−ββ−ジフェニルアクリラートのモル比が4:5であることが必要となる。明らかなことではあるが、組成物中の光防護分子の重量パーセンテージが増加した場合、光安定化分子の重量パーセンテージも増加させなければならず、これらの増加に起因して、当該分子を含む組成物の化粧品特性および/または構造特性が劣化し得る。
オクトクリレンはジベンゾイルメタン誘導体をある程度まで光安定化させることができるものの、光活性組成物の分野において、光活性材料を光安定化させる1つ以上の化合物を発見する必要性が未だに存在する。さらに、材料および皮膚保護のために、光安定化が向上した化合物も必要とされている。
極めて驚くべきことに、α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリラート基(好適にはアルコキシ置換α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリラート基)を含むシリコーンポリマーは、UV吸収化合物の量と比較してローディング量が低い場合も、UV吸収有機分子を効率的に光安定化させることが分かった。さらに、本開示のシリコーン液体により、UV吸収有機分子によって提供される光防護が向上し、これにより、十分なUV保護を提供するために必要なローディングが低減する。
(発明の要旨)
本明細書中開示されるのは、光分解性UV吸収化合物によって提供される光防護および前記光分解性UV吸収化合物の光安定性を向上させるシリコーン液体およびその組成物である。
本明細書中記載される組成物および方法の1つの局面は、光分解性UV吸収化合物または光分解性ポリマーの重量に基づいて有効量(例えば、0.05%〜25%)(好適には、0.1〜10%)だけ化学式(I)の化合物を前記UV吸収化合物または光分解性ポリマーに付加することにより、前記UV吸収化合物または光分解性ポリマーの光分解を低減させる方法を提供することである。
本明細書中記載される組成物および方法の別の局面は、化学式(I)の化合物の付加により、光防護化合物(例えば、ジベンゾイルメタン誘導体)を含む光分解性UV吸収化合物または光分解性ポリマーを光安定化させる方法を提供することである。
本明細書中記載される組成物および方法のさらに別の局面は、化学式(I)の化合物の付加により、光防護化合物(例えば、ジベンゾイルメタン誘導体)を含まない光分解性UV吸収化合物または光分解性ポリマーを光安定化させる方法を提供することである。
本明細書中記載される組成物および方法のさらに別の局面は、化学式(I)の化合物の付加による相乗効果を通じて、光安定化化合物(例えば、オクトクリレン)を含む光分解性UV吸収化合物または光分解性ポリマーの光安定性を向上させる方法を提供することである。
当業者であれば、以下の詳細な説明を図面、例および添付の特許請求の範囲と共に読めば、本明細書中記載される組成物および方法のさらなる特徴は明らかである。
図1は、照射への露出前後の日焼け止め化学処方の比較であり、日焼け止め化学処方のUV吸光度と、照射時のUV吸光度の低減と、前記日焼け止め化学処方に対してシリコーン液体が有する光防護および光安定化効果を示す図である。
本開示のより深い理解のために、以下の詳細な説明および添付図面を参照すべきである。 添付の図面は、照射への露出前後の日焼け止め化学処方の比較であり、日焼け止め化学処方のUV吸光度と、照射時のUV吸光度の低減と、前記日焼け止め化学処方に対してシリコーン液体が有する光防護および光安定化効果を示す。シリコン液体およびオクトクリレンの混合物によって提供される相乗的光安定性はおよそ100%にもなった。
前記開示のシリコーン液体は多様な形態の実施形態を受け入れることができ、(本明細書中以下に説明する)図面中、本発明の特定の実施形態が図示されているが、本開示は例示的なものとして意図されており、本発明を本明細書中記載および図示される前記特定の実施形態に限定することは意図していないことが理解される。
(発明の詳細な説明)
本明細書中、範囲は、「約」または「およそ」の後に続く特定値から「約」または「およそ」の後に続く別の特定値までとして示され得る。このような範囲が示される場合、別の実施形態は、前記特定の値からおよび/または前記他方の特定の値までを含む。同様に、「約」という先行詞によって近似値として値が示された場合、前記特定の値は別の実施形態を形成することが理解される。
本発明は、主に光防護および光安定化のためのシリコーン液体ならびにその組成物に関する。本明細書中記載のシリコーン液体は、シリコーンポリマーに結合した光安定化発色団を含む。前記シリコーン液体を別のUV吸収性光分解性化合物と共に含む組成物は、向上した光安定性を有し、およびより長期の光防護を提供する。
本明細書中記載されるシリコーン液体は、1つ以上の特定の光安定化発色団をシリコーンポリマーと結合させることにより、作製することができる。前記シリコーンポリマーと共有結合して本明細書中記載の光安定化シリコーンポリマーを形成する光安定化発色団は、化学式(I)の化合物である。
ここで、Rはメトキシまたはエトキシ基であり、R’は有機リンカーであり、k、l、mおよびnは整数であり、kおよびlは0または1に等しく、kおよびlのどちらともが1に等しいということはなく、mは1〜約10の範囲の整数であり、nは2〜約20の範囲の整数である。非限定的例として、前記光安定化発色団は、以下の特定の構造を持ち得る。
適切な有機リンカー(R’)としては、例えば、直鎖状、環状および/または分岐アルキル鎖、芳香族基を含むアルキル鎖、芳香族基、グリコレート、ジアルキルチオエーテル、ジアルキルアミン、およびその混合物があり得る。好適な有機リンカーは、直鎖状アルキル鎖、分岐アルキル鎖およびグリコレートである。詳細には、有機リンカーは、1〜20個の炭素原子を有する基であり得、個別にまたは以下のフラグメント(CH2、CH2CH2、CH2CH2CH2、CH2CH(CH3)CH2、CH2C(CH32CH2、CH2OCH2、CH2CH2OCH2CH2)の混合物からアセンブルされ得る。非限定的例を挙げると、エチル(CH2CH2)、エチレングリコレート(CH2CH2OCH2CH2)、2−メチルプロピル(CH2CH(CH2)CH2)、およびエチルプロピルグリコレート(CH2CH2OCH2CH2CH2)がある。詳細には、分岐アルキル鎖が好適であり、1つの好適な分岐アルキル鎖は、22−ジメチルプロピル(CH2C(CH32CH2)である。
光安定化発色団を調製するための適切なプロセスについて説明してきた。簡単に言うと、クネーフェナーゲル反応を通じて置換ベンゾフェノンをエチルシアノアクリレートと反応させることにより、前記光安定化発色団に対する前駆体を調製する。その後、エステル化反応により、化学式(I)の光安定化発色団が得られる。
さらに関連する光安定化発色団を挙げると、シリコン原子へ結合する別の官能基を含む分子がある。例えば、アルキン含有発色団のシリコンへの付加が報告されている。詳細には、シリコン原子に結合する多様な官能基が当業者に知られており、そのような官能基が本明細書中適用可能である(ただし、その結果得られたシリコーン液体の光防護特性および光安定化特性が悪影響を受けない場合)。
本明細書中、前記光安定化発色団は、光安定化シリコーン液体(「シリコーン液体」)を提供する直鎖状または環状シリコーンポリマーに結合する。前記直鎖状シリコーンポリマーは、以下の一般的化学式(II)または(III)のいずれかを持ち得る。
あるいは、前記シリコーンポリマーは、直鎖状、ランダム、シリコーン共重合体であり得る。シリコーンポリマーの場合、Xは反応性官能基を示し、この反応性官能基は、前記光安定化発色団に結合される光安定化発色団含有化合物と置換されるかまたは反応する。化学式(II)または(III)のシリコーンポリマーは直鎖状シリコーンポリマーであり、x、yおよびzは整数である。
第1の実施形態において、化学式(I)の発色団のkおよびlはどちらもゼロに等しく、化学式(II)のシリコーン液体の整数xは60〜2000の範囲内であり得、整数yは5〜100の範囲内であり得、x/yの比は少なくとも10である。好適には、整数xは60〜300の範囲内であり、整数yは6〜30の範囲内であり、より好適には、整数xは60〜150の範囲内であり、さらにより好適には、整数xは60〜100の範囲内である。一例として、xは約60〜約100であり、yは5〜10であり、ここで、x/yの比は常に少なくとも10である。好適には、前記x/yの比は約10/1〜約15/1である。さらに、化学式(II)はメチル置換シリコーンポリマーを示すが、他の置換は、当該分野の当業者によって理解される。適切なSiポリマー置換基を挙げると、C1−C10アルキル、フェニルおよび3,3,3−トリフルオロプロピルがあり、これらは全て、前記ポリマーのSi原子に任意の位置において結合可能である。さらに、前記メチル基の部分的置換が利用可能であり、当業者にとって公知である。
本明細書中記載される組成物および方法の第2の実施形態において、化学式(I)の発色団のkまたはlは1に等しく(Rは、アルコキシ(好適にはメトキシまたはエトキシ)である)、化学式(II)のシリコーン液体の整数xおよび整数yは2〜2000の整数であり、同じかまたは異なり、前記x/yの比は任意の数であり得、好適には0.5/1〜約50/1であり得る。
化学式(III)のシリコーンポリマーは直鎖状シリコーンポリマーであり、zは整数である。上記した第1の実施形態において(化学式(I)の発色団基中にアルコキシがなく、kおよびlは0に等しい)、整数zは約50〜約1000の範囲内であり得る。好適には、整数zは60〜300の範囲内であり、より好適には整数zは60〜100の範囲内である。さらに、化学式(III)はメチル置換ポリマーを示しているが、当該分野の当業者によって理解されるように、他の置換も可能である。適切な置換を挙げると、C1−C10アルキル、フェニル、および3,3,3−トリフルオロプロピル、ならびに前記メチル基の部分的置換がある。
上記した第2の実施形態において、化学式(I)の1つのRは前記発色団基中のアルコキシであり、zは任意の整数(好適には2〜2000、より好適には5〜100)であり得る。
化学式IVの直鎖状ランダムシリコーン共重合体は、2個のポリマーエンドキャップ(E)と、少なくとも2つの異なる内部基(mer(A)およびmer(B)として示す)とで構成されたポリマーである。
これらのエンドキャップ(E)は同一であるかまたは異なり得、かつ、前記光安定化発色団へ結合される反応性官能基を個別に含み得る。例えば、化学式IlおよびIIIと同様に、これらのエンドキャップ(E)は、トリメチルシリル基(−Si(CH33)またはジメチルシリル−官能性基(−Si(CH32)(X))であり得る。mer(A)は好適には、化学式−O−Si(CH32−を有する。mer(B)は好適には、化学式−O−Si(CH3)(X)−を有する。さらに、化学式IlおよびIIIと同様に、前記エンドキャップおよび前記内部基上のメチル基は、上述したように、適用可能な置換と置換可能である。さらに、前記内部基のmer(A)をmer(B)に加算した合計(例えば、mer(A)+mer(B)、ここで、化学式(I)の発色団基のうち1つのRはアルコキシではない)は、60〜約2000の範囲内であり、好適には、前記合計は60〜300の範囲内であり、より好適には60〜約150の範囲内であり、さらにより好適には80〜120の範囲内である。mer(A):mer(B)の比は好適には約10:1である。化学式(I)の発色団基のうち1つのRがアルコキシである場合、mer(A)およびmer(B)の合計は任意の数であり得、好適には2〜1000であり得、より好適には5〜100であり得る。
前記光安定化発色団および前記シリコーンポリマーに応じて、前記光安定化発色団を前記シリコーンポリマーに結合させる方法は異なる。前記シリコーンポリマーが水素化物(Si−H)官能基を有する場合、標準的なヒドロキシル化反応を用いることができる。さらに、ヒドロキシル化反応を、アルケニルおよびアルキニル官能性を含む光安定化発色団と共に行うことができる。アルケニル含有光安定化発色団の例は、上記に示されており、化学式(I)に対応することが多い。前記光安定化発色団を前記シリコーンポリマーに結合させるための他の方法は、当業者の一員にとって明らかである。
本明細書中記載される組成物および方法の利点全てを達成するために、上記したシリコーン液体を1つ以上の光分解性でありかつ光吸収性の化合物と組み合わせ、これにより、前記シリコーンポリマーは、前記光分解性化合物を光安定化させる。さらに、前記シリコーン液体を皮膚科学的に受容可能な材料(例えば、日焼け止め)と組み合わせて、光安定化性を付与するかまたは光防護性を向上または改善することができる。例えば、シリコーン液体、シリコーン液体含有材料および他の材料を組み合わせて、光安定化された、塑性、ガラス、クリーム、ローション、ゲル、非粘性液体および/または粘性液体の組成物を提供することができる。
好適には、前記シリコーン液体は、化粧品用途として受容可能な材料と組み合わされる。これらの化粧品用途として受容可能な材料を挙げると、皮膚軟化剤、安定剤、乳化剤、増粘剤、保湿剤、界面活性剤、防腐剤、ビタミン、消泡剤、香料、抗刺激剤、他の有機変性シリコーン、キレート剤、乳白剤、極性油、非極性油、ワックス、アルコール、ポリオール、推進剤、着色剤および色素がある。
さらに、好適な組成物を挙げると、シリコーン液体を1つ以上のジベンゾイルメタン誘導体と組み合わせたものがある。ジベンゾイルメタン誘導体の例を挙げると、2−メチルジベンゾイルメタン、4−メチルジベンゾイルメタン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、4−tert−ブチルジベンゾイルメタン、2,4−ジメチルジベンゾイルメタン、2,5−ジメチルジベンゾイルメタン、4,4’−ジイソプロピルジベンゾイルメタン、4,4’−ジメトキシジベンゾイルメタン、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2−メチル−5−イソプロピル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2−メチル−5−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2,4−ジメチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、および2,6−ジメチル−4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンがある。
さらなる組成物の例を挙げると、前記シリコーン液体を他の光活性化合物と組み合わせたものがある。光活性化合物の例を挙げると、p−アミノ安息香酸および塩およびその誘導体、アントラニル酸塩およびその誘導体、サリチル酸塩およびその誘導体、桂皮酸およびその誘導体、ジヒドロキシ桂皮酸およびその誘導体、ショウノウおよび塩およびその誘導体、トリヒドロキシ桂皮酸およびその誘導体、ジベンザールアセトンナフトールスルホン酸および塩およびその誘導体、ベンザールアセトフェノンナフトールスルホン酸および塩およびその誘導体、ジヒドロキシ−ナフトエ酸およびその塩、ナフタレンジカルボン酸、誘導体、二量体、オリゴマー、ポリマー、および塩およびその組み合わせ、o−ヒドロキシジフェニルジスルホネートおよび塩およびその誘導体、p−ヒドロキシジフェニルジスルホネートおよび塩およびその誘導体、クマリンおよびその誘導体、ジアゾール誘導体、キニーネ誘導体およびその塩、キノリン誘導体、ヒドロキシ置換ベンゾフェノン誘導体、メトキシ置換ベンゾフェノン誘導体、尿酸誘導体、ビロ尿酸誘導体、タンニン酸およびその誘導体、ヒドロキノン、ベンゾフェノン誘導体、1,3,5−トリアジン誘導体、フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸塩および塩およびその誘導体、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸および塩およびその誘導体、メチレンビス−ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールおよび塩およびその誘導体、ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンおよび塩およびその誘導体、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエートおよび塩およびその誘導体がある。
当業者に理解されるように、シリコーン液体を含む皮膚化粧品用組成物は、1つ以上の膜形成ポリマー、レオロジー変性剤、可塑剤、構造剤、粘度調整剤、増粘剤、ゲル化剤、界面活性剤、抗加齢成分(例えば、環境性老化または内因性老化に起因する小じわおよびしわの出現を低減するのに有用な成分(例えば、植物抽出物、短鎖ペプチド))、モイスチャライザーおよび/または保湿剤、セルフタンニング剤(例えば、ジヒドロキシアセトン)、およびビタミンおよび/またはビタミン誘導体も含み得る。これらの成分は、the International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook(第11版、発行元:the Cosmetics Fragrance and Toiletries Association)および米国特許第6,492,326号および第6,277,892号および米国特許出願公開第2004/0180020号および第2005/0142095号中に羅列されている。
驚くべきことに、前記シリコーン液体を光防護材料または光防護化合物を含む材料にさらに付加すると、前記材料および/または化合物の光安定性が向上した。重要なこととして、前記光安定性の付加により、前記材料またはその装用者をUV放射から完全に保護するために必要な光防護化合物の量が低減した。
(例)
以下の例は、本発明を例示するために提供するものであり、本発明の範囲を限定することを意図していない。
光防護発色団を調製するための1つの一般的方法は、以下に概略を述べる特定の手順から理解することができる。大型フラスコ中に、4−エトキシベンゾフェノンおよびエチルシアノアセテートを1:1.35の比で混合する。その後、これらの材料を5:1のトルエンおよび酢酸の混合物中に溶解させ、その後、アンモニウムアセテート触媒を0.1モル当量付加する。この混合物を加熱し、反応時に形成された水は全て反応混合物から蒸留させる。その後、前記反応混合物を室温まで冷却し、エチルアセテートを付加して固体を溶解させ、前記混合物を水で洗浄する。その後、溶媒を蒸留によって除去する。最終固体生成物を熱メタノールまたはトルエン/メタノール混合物のいずれかから再結晶させる。全体的反応の概要を以下に示す。
その後、前記エチルα−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレートは、これを触媒(例えば、モノブチルスズジヒドロキシクロライド(C49)Sn(OH)2Cl)の存在下で10−ウンデセン−1−オールで処理することにより、化学式(I)の光安定化発色団に変換することができる。反応物質および触媒を約150℃〜約200℃(好適には約180℃〜約190℃)の温度で5〜6時間加熱する。その後、余分な10−ウンデセン−1−オールを真空下で除去し、シリカゲル、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムおよび酸化カリウムの混合物を付加する。その後、生成物を濾過によって得る。この反応から得られた生成物は極めて高純度であることが観察され、例えば、分析によれば、このような生成物の1つは純度は99.81%であり、含水量も約0.028%と極めて低く、ガードナー色スケールが3.5であった。
化学式(I)の別の光安定化発色団は、先ず例えばエチルα−シアノ−β,β−ジフェニルアクリラートを2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)で処理することにより、作製することができる。ここで、5倍の余分なネオペンチルグリコールを前記エチルα−シアノ−β,β−ジフェニルアクリラートおよび触媒量の炭酸ナトリウムと組み合わせる。この混合物を加熱し、反応によって生成されたエタノールを蒸留によって除去する。反応が完了したら、トルエンを付加し、溶液がまだ熱いうちに前記炭酸ナトリウムを濾過除去する。前記生成物溶液を水で数回洗浄し、その後、前記溶液を濃縮して、生成物を結晶化させる。その後、この生成物を10−ウンデセン酸、およびメタンスルホン酸でトルエン中で処理および加熱し、前記反応時に形成された水は全て前記混合物から蒸留される。その後、この生成物混合物をNaCl溶液で水中で2回洗浄する。その後、この生成物を濾過し、乾燥させる。前記手順によって得られた最終的な光安定化発色団の純度は99%よりも高く、それ以上精製は不要である。上記した反応全体の概要を以下に示す。
標準的なヒドロシリル化反応を用いて、本発明のシリコーン液体を作製することができる。この種の反応は当業者に公知であり、一般的に米国特許第6,841,649号(O’Lenick Jr.に付与)中に記載されている。同文献の開示内容全体を本明細書中参考のために援用する。
一般的なヒドロシリル化手順では、化学式(I)の光安定化発色団と水素化物官能性を含むシリコーンポリマーとを、主に溶媒(典型的には、イソドデカンまたはシクロペンタシロキサン)中で混合する。その後、前記混合物の温度を約50℃まで上昇させ、Karnstedt触媒を付加する(Karnstedt触媒は、当業者にとって公知の商品であり、米国特許第3,715,334号中に記載されている)。完了するまで反応を継続させ、その後、重炭酸ナトリウムを付加する。その後、生成物を4ミクロンパッドを通じて濾過する。溶媒を用いる場合、前記生成物を前記溶媒中に残してもよいし、あるいは、前記溶媒を真空蒸留によって除去してもよい。
予想外なことに、本発明のシリコーン液体を第2の光安定化材料(例えば、オクトクリレン)と日焼け防止化学処方中で組み合わせて用いた場合、本発明のシリコーン液体は相乗的な光安定化効果を持つことが観察された。この相乗効果については、シリコーン液体およびオクトクリレンの混合物を有する化学処方(A)と、オクトクリレンのみを含みシリコーン液体を含まない化学処方(B)と、シリコーン液体のみを含みおよびオクトクリレンを含まない化学処方(C)と、シリコーン液体およびオクトクリレンのいずれも含まない化学処方(D)とについて、UVA、UVBおよびSPF保護の損失を測定することにより、観察を行った。真夏日の35MED当量の真昼の日差し(より詳細には、アルバカーキ、NMの7月3日の真昼の日差し)の照射の前後のこれらの日焼け止めエマルジョン化学処方についての例示的な比較用測定を以下および図面に示す。
化学処方の例A〜Dをそれぞれ、以下の一般的手順で作製した。先ず、アヴォベンゾン、サリチル酸オクチル、ホモサレート、ベンゾフェノン−3、オクトクリレン、シリコーン液体およびフェニルエチルベンゾエートを混合し、90℃まで加熱した。次に、VP/エイコセン共重合体、セテアリルアルコール、ステアレス−21、ステアレス−2、セチルリン酸カリウム&水添パーム油脂肪酸グリセリドを順次付加する。別の容器中で、2ナトリウムEDTAおよびグリセリンを前記水に付加し、前記溶液を90℃まで加熱した。その後、第1の混合物を前記水混合物に付加し、温度が55℃未満になるまで強く撹拌する。冷却後、ベンジルアルコール、メチルパラベンおよびプロピルパラベンの混合物を前述の混合物に付加する。次に、アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム共重合体を付加し、その後、オクテニルコハク酸デンプンアルミニウムを付加する。最後に、ジメチコン(350cSt)およびメチルトリメチコンを付加し、前記混合物を均一になるまで混合する。
上記記述はひとえに明確な理解のためのものであり、当業者にとって本発明の範囲内における変形が明らかであり得るため、上記記述を限定的に理解すべきではない。

Claims (18)

  1. ジベンゾイルメタン誘導体を含む、光分解性UV吸収化合物を光安定化させる方法であって、シリコーン液体を前記光分解性化合物に光安定化量だけ付加する工程を含む、方法。
    ここで、前記シリコーン液体は化学式(2)
    を持ち、xは60〜150の範囲の整数であり、yは6〜30の範囲の整数であり、x:yの比は10:1〜20:1の範囲内であり、Xは化学式(3)
    を持ち、kとlとは0またはkとlとの一方は1に等しく他方が0であり、Rはアルコキシ、R’は有機リンカーであり、mは1に等しく、nは2〜20の範囲の整数である光安定化発色団であり、前記有機リンカーは、CH、CHCH、CHCHCH、CHCH(CH)CH、CHC(CHCH、CHOCH、CHCHOCHCH、およびその混合物からなる群から選択される。
  2. ジベンゾイルメタン誘導体を含む、光分解性UV吸収化合物を光安定化させる方法であって、
    シリコーン液体を前記光分解性化合物に光安定化量だけ付加する工程を含む、方法。
    ここで、前記シリコーン液体は、化学式(IV)

    の光安定化発色団置換直鎖状のランダム共重合体を含むものであり、
    前記ランダム共重合体は、エンドキャップ(E)、複数のmer(A)単位、および複数のmer(B)単位を含み、前記エンドキャップ(E)は、−Si(CHおよび−Si(CH(X)からなる群から独立して選択され、前記mer(A)単位は−OSi(CH−であり、前記mer(B)単位は−OSi(CH)(X)−であり、前記mer(A):mer(B)の単位数の比は少なくとも10:1であり、前記mer(A)単位数およびmer(B)単位数の合計は80〜300の範囲内であり、Xは化学式(6)
    で、Rはメトキシおよびエトキシからなる群から選択され、R’は有機リンカーであり、kとlとは0またはkとlとの一方は1に等しく他方が0であり、mは1に等しく、nは2〜20の範囲の整数である光安定化発色団であり、前記有機リンカーは、CH、CHCH、CHCHCH、CHCH(CH)CH、CHC(CHCH、CHOCH、CHCHOCHCH、およびその混合物からなる群から選択される。
  3. 前記mer(A)およびmer(B)の単位数の合計は80〜150の範囲内である、請求項2記載の方法。
  4. 前記mer(A)およびmer(B)の単位数の合計は80〜120の範囲内である、請求項3に記載の方法。
  5. 前記有機リンカーはCHC(CHCHである、請求項2に記載の方法。
  6. 前記ジベンゾイルメタン誘導体は、2−メチルジベンゾイルメタン、4−メチルジベンゾイルメタン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、4−tert−ブチルジベンゾイルメタン、2,4−ジメチルジベンゾイルメタン、2,5−ジメチルジベンゾイルメタン、4,4’−ジイソプロピルジベンゾイルメタン、4,4’−ジメトキシジベンゾイルメタン、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2−メチル−5−イソプロピル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2−メチル−5−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2,4−ジメチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2,6−ジメチル−4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、およびその組み合わせからなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
  7. サリチル酸およびその誘導体である光活性化合物をさらに含む、請求項2記載の方法。
  8. x:yの比は10:1である、請求項1記載の方法。
  9. xは60〜100の範囲の整数である、請求項1記載の方法。
  10. xは60である、請求項記載の方法。
  11. xは80である、請求項記載の方法。
  12. xは100である、請求項記載の方法。
  13. 前記有機リンカーはCHC(CHCHである、請求項1に記載の方法。
  14. 前記ジベンゾイルメタン誘導体は、2−メチルジベンゾイルメタン、4−メチルジベンゾイルメタン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、4−tert−ブチルジベンゾイルメタン、2,4−ジメチルジベンゾイルメタン、2,5−ジメチルジベンゾイルメタン、4,4’−ジイソプロピルジベンゾイルメタン、4,4’−ジメトキシジベンゾイルメタン、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2−メチル−5−イソプロピル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2−メチル−5−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2,4−ジメチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2,6−ジメチル−4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、およびその組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  15. サリチル酸およびその誘導体である光活性化合物をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  16. ジベンゾイルメタン誘導体を含む、光分解性UV吸収化合物を光安定化させる方法であって、シリコーン液体を前記光分解性化合物に光安定化量だけ付加する工程を含む、方法。
    ここで、前記シリコーン液体は化学式(2)
    を持ち、xは100であり、x:yの比は10:1〜15:1の範囲内であり、Xは化学式(3)
    を持ち、kとlとは0またはkとlとの一方は1に等しく他方が0であり、Rはメトキシまたはエトキシの群、R’はCH、CHCH、CHCHCH、CHCH(CH)CH、CHC(CHCH、CHOCH、CHCHOCHCH、およびその混合物からなる群から選択される有機リンカーであり、mは0〜10の範囲の整数であり、nは2〜20の範囲の整数である光安定化発色団である。
  17. 光分解性UV吸収化合物に第2の光安定化剤を付加する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
  18. 前記第2の光安定化剤は、光安定化作用を提供するオクトクリレンである、請求項17記載の方法。
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