JP5485857B2 - 電力管理システム - Google Patents

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Description

本発明は、電力管理システムに関するものである。
電力需要家が支払う電気料金は、1年間を通じての最大需要電力を基準として決定されるため、電気料金を抑制するためには、最大需要電力を下げる必要がある。そこで、電力需要家側では電力使用量を抑制し、電力使用量が契約電力量以下になるようなデマンド制御を行っている。デマンド制御の制御対象となる電気機器は、快適性を向上させるために用いられる機器であって、且つ、一時的に動作を停止させたり抑制させたりしても支障がない機器であり、一般的には空調機器が制御対象となる。
ここで、電力使用量が増加して契約電力を超えそうな場合、電力使用量が大きいほど、短時間でデマンド制御を行う必要があるが、ネットワーク経由で制御される電気機器や、赤外線リモコン又は無線通信で制御される電気機器をデマンド制御対象とする場合、このような制御方式では制御時間の即時性が担保されないため、デマンド制御が間に合わず、電力使用量が契約電力を超過する可能性があった。また過電流などで電力使用量が契約電力を超過すると、アンペアブレーカが作動して、全停電が発生する可能性もあった。
そこで、電力使用量が所定量を超えると、蓄電池から放電させて電気機器に給電することで、商用電源系統からの入力電力を契約電力以下に抑制するようにした電力供給システムが従来提案されている(例えば特許文献1参照)。この電力供給システムでは、電力使用量が所定の閾値を超えると、蓄電池から放電させるとともに、蓄電池の残量を報知して、ユーザによるデマンド制御を促している。また蓄電池の残量が所定量を下回ると、所定の電気機器のデマンド制御を開始して、電力使用量が契約電力を超えないようにしている。
特開2008−67439号公報
上記文献に開示された電力供給システムでは、電力使用量が閾値以上になると、蓄電池が放電を開始するが、蓄電池の残量が所定量を下回るまでデマンド制御が行われないため、蓄電池に蓄電容量の大きいものを使用する必要がある。また、蓄電池の残量が所定量を下回った時点でデマンド制御を開始しており、蓄電池の残量が無くなる前に電力使用量を抑制しなければならないから、電力抑制制御に比較的長時間を要する制御手段では対応できない可能性があった。したがって、即時性を担保できない電気機器(例えばネットワーク経由や赤外線リモコンで制御される電気機器)をデマンド制御の制御対象とすることはできなかった。
本発明は上記課題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、蓄電容量が十分でない蓄電池を使用したり、デマンド制御に即時性が担保されない制御手段を使用した場合でも、電力使用量を契約電力内に抑制できる電力管理システムを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の電力管理システムは、複数の電気機器と、計測手段と、機器制御手段と、蓄電池と、残量検出手段と、放電制御手段を備える。
計測手段は、複数の電気機器による電気使用量を計測する。機器制御手段は、少なくとも1つの電気機器の電気使用量を抑制する電力抑制制御を行う。蓄電池は、系統電源に連系して電気機器に給電する。残量検出手段は蓄電池の蓄電残量を検出する。放電制御手段は蓄電池からの放電を制御する。さらに、計測手段によって計測された電気使用量が所定の閾値以上になると、放電制御手段が蓄電池から放電させて電気機器に給電する。蓄電池の放電時に残量検出手段によって検出された蓄電残量が所定量未満になると、放電制御手段は、蓄電池から放電可能な放電可能時間を求め、機器制御手段は、放電可能時間内に電気使用量が閾値を下回るように電力抑制制御を行う。
この電力管理システムにおいて、電力抑制制御の制御対象が複数種類あり、機器制御手段は、放電可能時間に応じて、電力抑制制御を実行する制御対象を変更することも好ましい。
この電力管理システムにおいて、機器制御手段が、一部の制御対象について電力抑制制御を実行すると、放電制御手段が、電力抑制制御の実行後に、計測手段で計測された電気使用量と残量検出手段で検出された蓄電残量とに基づいて、放電可能時間を再度求めることも好ましい。
この電力管理システムにおいて、放電可能時間が所定の閾値時間よりも短い場合、機器制御手段は、1回の電力抑制制御で電気使用量が閾値未満に低下するように、複数の制御対象について電力抑制制御を一度に実行することも好ましい。
この電力管理システムにおいて、計測手段は、電気機器毎に電気使用量を計測しており、機器制御手段は、計測手段によって計測された電気機器毎の電気使用量に基づいて、電力抑制制御を一度に実行する複数の制御対象として、これら複数の制御対象による電気使用量の合計が閾値を超過している超過分以上となるように、複数の制御対象を選択することも好ましい。
この電力管理システムにおいて、放電制御手段は、電力抑制制御が開始されてから電気使用量が閾値を下回るまでの間、蓄電池からの放電で電気機器を動作可能な蓄電残量を最低残量として求め、当該最低残量以上に所定量を設定するのも好ましい。
この電力管理システムにおいて、計測手段によって計測された電気使用量が閾値以上になったことを報知するとともに、放電可能時間を報知する報知手段を備えることも好ましい。
本発明によれば、蓄電残量が所定量未満である場合に電気使用量が閾値以上になると、放電制御手段は、蓄電池から放電させて電気機器に給電するとともに、機器制御手段は、放電可能時間内に電気使用量が閾値を下回るように電力抑制制御を実行する。したがって、蓄電容量が比較的小さい蓄電池を使用したり、機器制御手段として即時性の低い制御手段を使用した場合でも、蓄電残量が無くなる前に電力抑制制御を確実に完了させることができる。よって、電気使用量が契約電力を超えてアンペアブレーカが作動する事態を回避することができる。
本実施形態の電力管理システムの要部を示すブロック図である。 同上の電力管理システムのシステム構成図である。 同上の電力管理システムの動作を説明するフローチャートである。
以下では、本発明に係る電力管理システムを戸建て住宅の配電システムに適用した実施形態について、図面に基づいて説明する。尚、以下では本発明を戸建て住宅に適用した実施形態について説明するが、本発明を集合住宅に適用することを妨げるものではない。
図2は配電システムのシステム構成図である。この配電システムは、蓄電池1と、太陽電池2と、電力変換ユニット10と、直流分電盤20と、交流分電盤30と、電力監視装置40と、赤外線リモコン装置50と、表示パネル60とを主要な構成として備えている。尚、本実施形態では蓄電池1を充電する電源として太陽電池2を備えているが、風力発電設備や燃料電池などの電源を備えていてもよい。
交流分電盤30は、主幹ブレーカ31と、複数の分岐ブレーカ32と、連系用ブレーカ33と、センサ部34とを盤内に収納する。主幹ブレーカ31の一次側には、宅外から引込盤70を介して宅内に引き込まれた系統電源の電源線L1が接続される。分岐ブレーカ32の一次側は主幹ブレーカ31の二次側配線に接続されており、二次側に接続される交流負荷(電気機器)35への電力供給をオン/オフする。連系用ブレーカ33は、宅内の分散電源(例えば太陽電池2)を系統電源に連系又は解列する機能を有している。センサ部34は、主幹ブレーカ31を介して入力される入力電流及び入力電圧を検出する。センサ部34によって検出された入力電流及び入力電圧をもとに電力計測部36(計測手段)が系統電源からの入力電力を計測しており、入力電力の計測結果を例えば特定小電力無線により電力監視装置40へ無線送信する。尚、本実施形態では主幹ブレーカ31のみにセンサ部34を設けて入力電力を計測しているが、分岐ブレーカ32の二次側にセンサ部34を設けてもよく、電力計測部36で分岐回路毎の電気使用量を計測してもよい。
直流分電盤20は、主幹ブレーカ21と、複数の分岐ブレーカ22を盤内に収納している。主幹ブレーカ21の一次側には、電力変換ユニット10からの直流電力線が接続されており、電力変換ユニット10から所定の電圧値の直流電圧が供給される。分岐ブレーカ22の一次側は主幹ブレーカ21の二次側配線に接続されており、二次側に接続される直流負荷23への電力供給をオン/オフする。
電力変換ユニット10は、PV(Photovoltaic)用DC/DCコンバータ11と、充放電用DC/DCコンバータ12と、給電用DC/DCコンバータ13と、インバータ14と、制御部15を備える。
制御部15は、電力監視装置40との間で無線通信を行う無線通信インタフェース(例えば特定小電力無線など)を備え、電力監視装置40からの制御信号に応じて各DC/DCコンバータ11〜13及びインバータ14の動作を制御する。
PV用DC/DCコンバータ11は、太陽電池2の発電電力を所定電圧値の直流電力に変換し、内部配線L2を介して充放電用DC/DCコンバータ12、給電用DC/DCコンバータ13又はインバータ14へ出力する。
充放電用DC/DCコンバータ12は、蓄電池1への充放電を制御する機能を有している。蓄電池1の充電時、DC/DCコンバータ12は、PV用DC/DCコンバータ11から入力される直流電源の電流値及び電圧値を充電に適した電流、電圧に変換して蓄電池1を充電する。蓄電池1の放電時は、DC/DCコンバータ12は、蓄電池1からの入力を所定の電圧値に変換して給電用DC/DCコンバータ13又はインバータ14に供給する。
給電用DC/DCコンバータ13は、PV用DC/DCコンバータ11又は充放電用DC/DCコンバータ12から入力される直流電力を、直流負荷23に適した所定の電圧値に変換して直流分電盤20に供給する。
インバータ14は、PV用DC/DCコンバータ11又は充放電用DC/DCコンバータ12から内部配線L2を介して入力される直流電力を交流(例えばAC100V)に変換して、交流分電盤30に供給する。
蓄電池1には、太陽電池2の発電電力の余剰分が蓄電される。そして、電気使用量が所定の閾値以上になると、蓄電池1から放電させて交流に変換し、系統電源と連系して交流負荷に電力を供給する。
次に電力監視装置40について図2のブロック図を参照して説明する。電力監視装置40は、演算処理部41と、例えば特定小電力無線からなる無線通信インタフェース(無線通信I/F)42と、表示制御部43と、メモリ44を備える。
演算処理部41は例えばマイクロコンピュータからなり、マイクロコンピュータの演算機能によって機器制御部41aと放電制御部41bが構成される。機器制御部41aは、電力使用量が増大すると電気機器35a,35bの電力抑制制御(デマンド制御)を行う。また放電制御部41bは、電力変換ユニット10を用いて蓄電池1からの放電を制御する。
無線通信インタフェース42は、上述した電力変換ユニット10、電力計測部36、赤外線リモコン装置50との間で無線通信を行う。尚、電気機器35aが無線通信機能を備えておらず、赤外線通信機能のみ備えている場合、電力監視装置40は無線通信インタフェース42から赤外線リモコン装置50へ制御信号を無線送信する。そして、赤外線リモコン装置50は、電力監視装置40から受信した制御信号を電気機器35aへ赤外線信号で送信しており、電力監視装置40からの制御信号が赤外線リモコン装置50によって無線中継される。また、電気機器35b自体が無線通信機能を備えている場合、電力監視装置40は無線通信インタフェース42から電気機器35bへ無線信号を直接送信させる。
表示制御部43は、演算処理部41から入力される表示制御信号に応じて、報知手段たる表示パネル60の表示内容を制御する。
次に、この電力管理システムの動作について説明する。
日照によって太陽電池2が発電すると、PV用DC/DCコンバータ11がMPPT(Maximum Power Point Tracking)制御等を行って、太陽電池2から電力を取り出す。直流負荷23及び交流負荷35で電力が消費される場合、PV用DC/DCコンバータ11の出力はDC/DCコンバータ13及びインバータ14に出力される。DC/DCコンバータ13では、PV用DC/DCコンバータ11の出力を直流負荷23に適合した電圧に変換し、直流分電盤20を介して直流負荷23に供給する。またインバータ14は、PV用DC/DCコンバータ11の出力を、安定な交流電源(例えばAC100V)に変換して交流分電盤30に出力し、系統電源と連系して交流負荷35に給電する。
ここで、太陽電池2の発電電力が、負荷(直流負荷23及び交流負荷35)で消費される消費電力を上回っている場合、本システムでは発電電力の余剰分(余剰電力)を交流電源系統に逆潮させて売電する代わりに、蓄電池1に充電する。すなわち、電力変換ユニット10では、太陽電池2の発電電力に余剰分が発生すると、充放電用DC/DCコンバータ12に充電動作を行わせて、蓄電池1を充電させる。なお交流負荷35での消費電力が、電力変換ユニット10から供給される電力を上回っている場合は、不足分は系統電源から供給されることになる。
このように本システムでは、交流負荷35での消費電力が太陽電池2からの供給分を上回っていると、不足分を商用交流電源から買電するのであるが、商用交流電源からの買電電力量が契約電力を超えると、アンペアブレーカが作動して全停電が発生する。そこで、買電電力量(電気使用量)が、契約電力量よりも少し低めの値に設定された閾値以上になると、電気機器の電気使用量を抑制する電力抑制制御が行われるようになっている。ここで、電力監視装置40による電力抑制制御の動作を図3のフローチャートに基づいて説明する。
電力計測部36は、所定のサンプリング間隔で、センサ部34の出力から電力使用量を計測しており、電力使用量(電気使用量)の計測結果を電力監視装置40に無線送信する(S1)。
電力監視装置40では、無線通信I/F42が電力計測部36から無線送信された電力使用量の計測結果を取り込むと、演算処理部41が電力使用量の計測結果と所定の閾値との高低を比較する(S2)。ここで、上記の閾値は、電気事業者との契約電力量よりも少し低めの電力量に設定されている。
S2の判断で電力使用量の計測結果が閾値未満であれば(S2のNo)、S1に戻って電力使用量の計測を継続する。一方、電力使用量の計測結果が閾値以上であれば(S2のYes)、演算処理部41の放電制御部41bは、蓄電池1の蓄電分を放出させる放電指令を無線通信I/F42から電力変換ユニット10へ送信させる。電力変換ユニット10の制御部15は、電力監視装置40からの放電指令を受信すると、充放電用DC/DCコンバータ12及びインバータ14を動作させ、蓄電池1から放出させた直流電力を交流に変換し、系統電源と連系して交流負荷35に給電させる(S3)。このように、電気使用量が閾値を超過した場合、閾値を超過した分を蓄電池1から放電させることで、蓄電池1が放電して交流負荷35に給電する間は、電気使用量が閾値以内に抑えられる。したがって、この間に電力使用量が契約電力量を超過することはなく、過電流状態となってアンペアブレーカが作動することはないから、全停電が発生することはない。ここにおいて、電気使用量が閾値を超過した場合に蓄電池1が放電し、系統電源に連系して電気機器35に給電する動作を「ピークアシスト」という。
また蓄電池1は、蓄電残量を検出する残量検出手段(図示せず)を備え、放電時に所定の時間間隔で検出した蓄電残量が電力変換ユニット10の制御部15に送られる。電力変換ユニット10の制御部15は、蓄電池1から蓄電残量のデータを受け取ると、この蓄電残量のデータを電力監視装置40へ無線送信させる。電力監視装置40では、無線通信I/F42が電力変換ユニット10から送信された蓄電残量のデータを受信すると、演算処理部41が、無線通信I/F42の受信した蓄電残量と、メモリ44に記憶された所定量との高低を比較する(S4)。
ここで、蓄電残量が所定量以上であれば(S4のYes)、演算処理部41は、蓄電残量と電力使用量とをもとに蓄電池1によりバックアップ可能な時間(放電可能時間)を求める。そして、演算処理部41では、表示制御部43を用いて電気使用量が閾値以上になったことを報知するとともに、この放電可能時間を表示パネル60(報知手段)に表示させた後(S5)、S4に戻って蓄電残量の監視を継続する。尚、放電可能時間を報知する手段としては、表示パネル60による画面表示に限定されるものではなく、音声合成ICやスピーカなどの音声通知手段を用いて放電可能時間を音声で報知してもよい。
一方、S4において蓄電残量が所定量未満であれば(S4のNo)、演算処理部41の機器制御部41aが、制御対象の電気機器35の電力抑制制御を実行する制御命令を無線通信I/F42から無線送信させ、電力抑制制御を開始させる(S6)。
ここで、放電制御部41bは、蓄電残量と電力使用量をもとに放電可能時間を求め、機器制御部41aは、放電可能時間内に電力使用量が上記閾値を下回るように電力抑制制御の制御命令を出力する。例えば蓄電残量が16.7Wh、閾値電力が5kW、電力使用量が6kWの場合、閾値を超過した分(1kW)を蓄電池1の蓄電残量で賄える放電可能時間は16.6(Wh)÷1(kW)≒60(秒)と算出される。したがって、機器制御部41aは、60秒以内に電力抑制制御を完了させるように制御命令を出力する。無線通信I/F42から送信された電力抑制制御の制御命令は、赤外線通信機能のみを有する電気機器35aには赤外線リモコン装置50を介して送信され、無線通信機能を有する電気機器35bには直接送信される。電力抑制制御の制御命令を受信した電気機器35a,35bは動作を停止するか、又は、消費電力がより低い動作状態に切り替わることで、電力抑制制御を実行する。
なお、電力抑制制御を行う際に、制御対象となる複数台の電気機器に優先順位を設定しておき、電気使用量が閾値未満となるまで、優先順位の高い電気機器から順番に電気機器の電力抑制制御を行うようにしてもよい。例えば表1に示すように、電力抑制制御の対象となるリビングエアコン、リビング床暖房、和室エアコンの3つの電気機器に優先順位が割り当てられている場合、リビングエアコン→リビング床暖房→和室エアコンの順番で電気使用量が閾値を下回るまで電力抑制制御が行われることになる。この場合、制御対象である複数の電気機器を一度に電力抑制制御する場合に比べ、必要度合いの低い電気機器から順番に電力抑制制御が実行されるので、電力抑制制御を実行する電気機器を最小限にすることができる。
Figure 0005485857
S6で電力抑制制御を開始した後、電力監視装置40の演算処理部41は、電力計測部36から送信される電力使用量をモニタしており、蓄電池1に放電を停止させても、電力使用量が閾値未満に収まるか否かを判断する(S7)。ここで、電力抑制制御が完了しておらず、蓄電池1が放電を停止すると電力使用量が閾値以上になる間は(S7のNo)、演算処理部41は蓄電池1からの放電を継続させる。一方、電力抑制制御が完了し、蓄電池1が放電を停止しても電力使用量が閾値未満に収まれば(S7のYes)、演算処理部41の機器制御部41aは電力抑制制御を終了させる制御命令を無線通信I/F42から無線送信させる。また演算処理部41の放電制御部41bは蓄電池1の放電を終了させる制御命令を無線通信I/F42から無線送信させる(S8)。この時、電力抑制制御を行っていた電気機器35a,35bは、電力抑制制御を終了する制御命令を受信すると、電力抑制動作を終了して、電力抑制制御を実行する前の動作状態に復帰する。また電力変換ユニット10の制御部15は、放電を停止させる制御命令を受けて、蓄電池1からの放電を停止させる。したがって、電力抑制制御によって電気使用量が閾値未満となるまで抑制されると、電力抑制制御の終了制御と、蓄電池1からの放電を終了させる制御とが自動的に行われる。
尚、本実施形態では電力抑制制御を実行した結果、電気使用量が閾値未満に低下すると、複数の電気機器の電力抑制制御を同時に終了させているが、複数の電気機器35を予め設定された優先順位にしたがって順番に電力抑制制御から復帰させてもよい。また、電力抑制制御を実行した結果、電気使用量が閾値未満に低下した場合に、各電気機器35の電力抑制制御を自動的に終了させる必要はなく、ユーザの終了操作で電力抑制制御を終了するようにしてもよい。
また、図3のS5では放電可能時間を文字や音声で報知しているが、放電可能時間を報知した後、電力抑制制御を開始する前に、需要家自身による電気機器の停止操作を待ってもよい。また放電可能時間を報知する際に、蓄電池1が放電を停止しても電気使用量を閾値未満に収めるための具体的な方策を需要家に対して報知してもよい。例えば「3分以内にIH調理器具を停止して下さい」とか「10分以内に電気自動車の充電を停止して下さい」などの具体的な方策を提示して、動作を停止させる電気機器35を需要家自身に選択させてもよい。この場合、IH調理器具や電気自動車の充電用コンセントのように、電気使用量の大きい回路に対して負荷遮断手段を設ける必要がなく、大電流が流れる回路に負荷遮断手段を設けるコストを低減できる。
以上説明したように、本実施形態の電力監視システムでは、電力計測部36で計測された電気使用量が所定の閾値以上になると、放電制御部41bが蓄電池1から放電させて電気機器35a,35bに給電する。また蓄電池1からの放電時に蓄電池1の蓄電残量が所定量未満になると、放電制御部41bが蓄電池1から放電可能な放電可能時間を求め、機器制御部41aは、放電可能時間内に電気使用量が閾値を下回るように電力抑制制御を実行する。
これにより、蓄電容量が比較的小さい蓄電池1を使用したり、機器制御部41aとして即時性の低い制御手段(例えば無線制御や赤外線リモコン制御やネットワーク制御などの制御手段)を使用した場合でも、蓄電残量が無くなる前に電力抑制制御を確実に完了させることができる。よって、電気使用量が契約電力を超えてアンペアブレーカが作動する事態を回避することができ、電気料金の低減を図ることができる。
ところで、電力抑制制御の制御対象が複数種類ある場合、機器制御部41aでは、上記の放電可能時間に応じて、実行する電力抑制制御の制御対象を変更することも好ましい。
例えば蓄電池1の蓄電残量が16.6Wh、閾値が5kW、電力使用量が6kWの場合、閾値を超過した分(=1kW)を蓄電池1からの放電で賄える時間(放電可能時間)は、16.6(Wh)÷1(kW)≒60(秒)となる。したがって、放電可能時間の60秒以内に電力抑制制御を完了する必要がある。ここで、個々の電気機器ごとに電力抑制制御が可能であり、優先順位にしたがって、即時性が高く且つ消費電力の大きいリビングエアコンが最初にオフ制御されたとする。リビングエアコンのオフ制御が完了すると、超過電力量が0.3kWに低下する。またリビングエアコンのオフ制御に30秒かかったため、蓄電池1の蓄電残量は8.3kWに低下する。ここで、蓄電池1による通電可能時間を再計算すると、8.3(Wh)÷0.3(kW)≒100(秒)となるので、優先順位が2番目のリビング床暖房のオフ制御は100秒以内に行えばよい。
このように、即時性が比較的高く消費電力の大きい電気機器の電力抑制制御を最初に行うことで、通電可能時間をさらに延ばすことができ、即時性が比較的低い電気機器については時間的に余裕を持たせた状態で電力抑制制御を行えるようになる。
また、機器制御部41aが一部の制御対象について電力抑制制御を実行すると、放電制御部41bは、電力抑制制御の実行後に、電力計測部36で計測された電気利用量と、蓄電池1から送信された蓄電残量をもとに、放電可能時間を再度求めている。一部の制御対象について電力抑制制御を実行すると、それによって、放電可能時間が変化するので、電力抑制制御を実行した後に放電可能時間を再度求めることで、放電可能時間が延びた場合には余裕をもって、その後の電力抑制制御を実行することができる。
また上述のように、放電可能時間に比較的余裕がある場合は優先順位にしたがって電気機器を順番にオフさせていけばよいが、放電可能時間に余裕がなく、放電可能時間が所定の閾値時間よりも短い場合、1回の電力抑制制御で複数の電気機器をオフさせて、電気使用量を閾値以下に低下させる必要がある。この場合、1回の電力抑制制御で閾値以下に低下させるために、どの電気機器をオフさせればよいか判断する必要がある。そこで、分岐回路毎にセンサ部34を設け、電力計測部36がセンサ部34の検出結果をもとに分岐回路毎の電力使用量を計測することとする。そして、機器制御部41aでは、各電気機器の電力使用量をもとに、各電気機器の優先順位にしたがって何番目までの電気機器をオフ制御(電力抑制制御)すれば、全体の電力使用量が閾値以下になるかを判断し、これらの電気機器を1度にオフすることで、放電可能時間に余裕が無い場合でも放電可能時間内に電力抑制制御を完了することができる。
このように、放電可能時間が所定の閾値時間よりも短い場合、機器制御部41aでは、1回の電力抑制制御で電気使用量が閾値未満に低下するように、複数の制御対象について電力抑制制御を一度に実行しているので、短時間で電気使用量を閾値未満に低下させることができる。
なお、上記の例では優先順位の高い方から複数台の電気機器を一度に停止させることで電気使用量を閾値未満に抑制しているが、電力計測部36で計測された分岐回路毎、すなわち電気機器毎の電気使用量をもとに、電力抑制制御を一度に実行する複数の電気機器として、これら複数の電気機器による電気使用量の合計が閾値を超過している超過分以上となるように、複数の電気機器を選択してもよい。このようにして電力抑制制御を一度に実行する電気機器を選択することで、電気使用量が閾値以上となっている場合に、選択された電気機器を一度に停止させることで、電気使用量の超過分を削減して、電気使用量を閾値未満に確実に抑制することができる。
また、上記の例では電気使用量が閾値以上になった場合に、選択された複数台の電気機器を一度に停止させることで電気使用量を閾値未満に低減させているが、各電気機器が消費電力の異なる複数の動作モードを備えている場合、選択された複数台の電気機器を、より消費電力の少ない動作モードに切り換えることで、電気使用量を閾値未満に抑制してもよい。この場合、電力監視装置40の演算処理部41は、各々の電気機器について、各動作モードでの消費電力を電力計測部36が計測した結果をメモリ44に記憶させておく。電気使用量が閾値以上になると、機器制御部41aでは、メモリ44に記憶された各電気機器の各動作モードにおける消費電力に基づいて、動作モードを低電力側に切り替えることで削減可能な電気使用量を電気機器毎に求め、電気使用量の削減分の合計が上記閾値を超過した分以上となるように複数台の電気機器を選択する。そして、機器制御部41aは、選択した複数台の電気機器を低電力側の消費モードに一度に切り換えることで、電気使用量の超過分を削減し、電気使用量を閾値未満に確実に抑制することができる。尚、演算処理部41aが、各電気機器について各動作モードでの消費電力を実測した値をメモリ44に記憶させる代わりに、予め各動作モードでの消費電力(設計値)をメモリ44に記憶させておいてもよい。また、電気機器毎に各動作モードでの消費電力をメモリ44に記憶させる代わりに、動作モードを低電力側に切り換えることによって削減される電気使用量の削減分(実測値又は設計値)をメモリ44に記憶させておき、これらのデータをもとに電気使用量の合計値を閾値以下に抑制するために、動作モードを低電力側に切り替える電気機器を選択してもよい。
以上のように、蓄電池1の放電可能時間に応じて電力抑制制御を実行する制御対象を変更することで、放電可能時間内に電力抑制制御を確実に完了することができる。
また、本実施形態では電気使用量が閾値以上になると蓄電池1から放電させ、その後、蓄電残量が所定量未満になると電力抑制制御を開始しているが、上記所定量は電力抑制制御が完了するまでに蓄電残量が零にならないような値に設定する必要がある。ここで、電力監視装置40の演算処理部41では、電力抑制制御を開始してから電気使用量が閾値を下回るまでの間、蓄電池1からの放電で電気機器を動作可能な蓄電残量を最低残量として求め、この最低残量以上に上記の所定量を設定することも好ましい。
例えば、閾値電力を5kW、電気機器による電気使用量のピーク値を7kW、電力抑制制御が完了するまでの時間が最長で30秒とすると、超過電力の2kWを蓄電池1から30秒間放電するのに必要な蓄電残量は2(kW)×30(秒)≒16.7(Wh)となる。したがって、上記所定量を16.7Wh以上に設定しておけば、電力抑制制御の実行中に蓄電残量が零になることはない。なお、電気使用量のピーク値は過去の電気使用量の最大値をメモリ44に記憶しておき、この値と閾値電力および制御時間の設定値から所定量を演算してもよいし、ユーザが設定したピーク時電気使用量をもとに所定量を設定してもよい。
このように、電力抑制制御を実行中に蓄電池の蓄電残量が零にならないような最低残量を求めておき、この最低残量以上の値を上記の所定量として設定しておけば、電力抑制制御を開始してから電力抑制制御が完了するまでの間に、蓄電残量が零になることはなく、電気使用量が契約電力を超えて全停電を招くことがない。
1 蓄電池
10 電力変換ユニット
15 制御部(残量検出手段)
35a,35b 電気機器
36 電力計測部(計測手段)
40 電力監視装置
41a 機器制御部(機器制御手段)
41b 放電制御部(放電制御手段)

Claims (7)

  1. 複数の電気機器と、
    複数の前記電気機器による電気使用量を計測する計測手段と、
    少なくとも1つの前記電気機器の電気使用量を抑制する電力抑制制御を行う機器制御手段と、
    系統電源に連系して前記電気機器に給電する蓄電池と、
    前記蓄電池の蓄電残量を検出する残量検出手段と、
    前記蓄電池からの放電を制御する放電制御手段とを備え、
    前記計測手段によって計測された電気使用量が所定の閾値以上になると、前記放電制御手段が前記蓄電池から放電させて前記電気機器に給電し、
    前記蓄電池の放電時に前記残量検出手段によって検出された蓄電残量が所定量未満になると、前記放電制御手段は、蓄電池から放電可能な放電可能時間を求め、前記機器制御手段は、前記放電可能時間内に前記電気使用量が前記閾値を下回るように前記電力抑制制御を行うことを特徴とする電力管理システム。
  2. 前記電力抑制制御の制御対象が複数種類あり、前記機器制御手段は、前記放電可能時間に応じて、前記電力抑制制御を実行する制御対象を変更することを特徴とする請求項1記載の電力管理システム。
  3. 前記機器制御手段が、一部の制御対象について前記電力抑制制御を実行すると、前記放電制御手段が、前記電力抑制制御の実行後に、前記計測手段で計測された電気使用量と前記残量検出手段で検出された蓄電残量とに基づいて、前記放電可能時間を再度求めることを特徴とする請求項2記載の電力管理システム。
  4. 前記放電可能時間が所定の閾値時間よりも短い場合、前記機器制御手段は、1回の電力抑制制御で前記電気使用量が前記閾値未満に低下するように、複数の前記制御対象について前記電力抑制制御を一度に実行することを特徴とする請求項2記載の電力管理システム。
  5. 前記計測手段は、前記電気機器毎に電気使用量を計測しており、前記機器制御手段は、前記計測手段によって計測された前記電気機器毎の電気使用量に基づいて、前記電力抑制制御を一度に実行する複数の制御対象として、これら複数の制御対象による電気使用量の合計が前記閾値を超過している超過分以上となるように、複数の制御対象を選択することを特徴とする請求項4記載の電力管理システム。
  6. 前記放電制御手段は、前記電力抑制制御が開始されてから前記電気使用量が前記閾値を下回るまでの間、前記蓄電池からの放電で前記電気機器を動作可能な蓄電残量を最低残量として求め、この最低残量以上に前記所定量を設定したことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の電力管理システム。
  7. 前記計測手段によって計測された電気使用量が前記閾値以上になったことを報知するとともに、前記放電可能時間を報知する報知手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の電力管理システム。
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