以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施の形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施の形態のポリアミド組成物は、
(A)ポリアミドと、
(B)酸化チタンと、を含有する。
[(A)ポリアミド]
本実施の形態において用いられる(A)ポリアミドは、下記(a)及び(b)を重合させたポリアミドである。
(a)脂環族ジカルボン酸を少なくとも50モル%含むジカルボン酸、
(b)主鎖が分岐構造のジアミン(2つのアミノ基(−NH2基)間の鎖が直鎖構造でなく側鎖を有した構造であるジアミンをいう。)を少なくとも50モル%含むジアミン。
本実施の形態において、ポリアミドとは主鎖中にアミド(−NHCO−)結合を有する重合体を意味する。
(a)ジカルボン酸
本実施の形態に用いられる(a)ジカルボン酸は、少なくとも50モル%の脂環族ジカルボン酸を含むが(ジカルボン酸全モル数基準)、脂環族ジカルボン酸のモル%が上記値であることにより、耐熱性、流動性、靭性、低吸水性、及び剛性等を同時に満足する、ポリアミドを得ることができる。
(a−1)脂環族ジカルボン酸(脂環式ジカルボン酸とも記される。)としては、例えば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、及び1,3−シクロペンタンジカルボン酸等の、脂環構造の炭素数が3〜10、好ましくは5〜10の脂環族ジカルボン酸が挙げられる。
脂環族ジカルボン酸は、無置換でも置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、及びtert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基等が挙げられる。
脂環族ジカルボン酸としては、耐熱性、低吸水性、及び剛性等の観点で、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸であることが好ましい。
脂環族ジカルボン酸としては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
脂環族ジカルボン酸には、トランス体とシス体の幾何異性体が存在する。原料モノマーとしての脂環族ジカルボン酸は、トランス体とシス体のどちらか一方を用いてもよく、トランス体とシス体の種々の比率の混合物として用いてもよい。
脂環族ジカルボン酸は、高温で異性化し一定の比率になることや、シス体の方がトランス体に比べて、ジアミンとの当量塩の水溶性が高いことから、原料モノマーとしては、トランス体/シス体比がモル比として、好ましくは50/50〜0/100であり、より好ましくは40/60〜10/90であり、さらに好ましくは35/65〜15/85である。
脂環族ジカルボン酸のトランス体/シス体比(モル比)は、液体クロマトグラフィー(HPLC)や核磁気共鳴分光法(NMR)により求めることができる。
本実施の形態に用いられる(a)ジカルボン酸における(a−2)脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、2,2−ジメチルコハク酸、2,3−ジメチルグルタル酸、2,2−ジエチルコハク酸、2,3−ジエチルグルタル酸、グルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸、及びジグリコール酸等の炭素数3〜20の直鎖又は分岐状飽和脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、及び5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の無置換又は種々の置換基で置換された炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。
種々の置換基としては、例えば、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のアリールアルキル基、クロロ基及びブロモ基等のハロゲン基、炭素数1〜6のシリル基、並びにスルホン酸基及びその塩(ナトリウム塩等)等が挙げられる。
脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸を共重合する場合としては、耐熱性、流動性、靭性、低吸水性、及び剛性等の観点で、脂肪族ジカルボン酸を用いることが好ましく、より好ましくは、炭素数が6以上である脂肪族ジカルボン酸を用いる。
中でも、耐熱性及び低吸水性等の観点で、炭素数が10以上である脂肪族ジカルボン酸が好ましい。炭素数が10以上である脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、及びエイコサン二酸等が挙げられる。中でも、耐熱性等の観点で、セバシン酸及びドデカン二酸が好ましい。
脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸としては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(a)ジカルボン酸成分として、さらに、本実施の形態の目的を損なわない範囲で、トリメリット酸、トリメシン酸、及びピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸を含んでもよい。多価カルボン酸としては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(a)ジカルボン酸中の(a−1)脂環族ジカルボン酸の割合(モル%)は、少なくとも50モル%である。脂環族ジカルボン酸の割合は、50〜100モル%であり、60〜100モル%であることが好ましく、さらに好ましくは70〜100モル%であり、特に好ましくは、100モル%である。脂環族ジカルボン酸の割合が、少なくとも50モル%であることにより、耐熱性、低吸水性、及び剛性等に優れるポリアミドとすることができる。
(a)ジカルボン酸中の(a−2)脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸の割合(モル%)は、0〜50モル%であり、0〜40モル%であることが好ましい。
(a)ジカルボン酸成分として、炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸を含む場合には、(a−1)脂環族ジカルボン酸が50〜99.9モル%及び(a−2)炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸が0.1〜50モル%であることが好ましく、(a−1)脂環族ジカルボン酸が60〜95モル%及び(a−2)炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸が5〜40モル%であることがより好ましく、(a−1)脂環族ジカルボン酸が80〜95モル%及び(a−2)炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸が5〜20モル%であることがさらに好ましい。
本実施の形態において、(a)ジカルボン酸としては、上記ジカルボン酸として記載の化合物に限定されるものではなく、上記ジカルボン酸と等価な化合物であってもよい。ジカルボン酸と等価な化合物としては、上記ジカルボン酸に由来するジカルボン酸構造と同様のジカルボン酸構造となり得る化合物であれば特に限定されるものではなく、例えば、ジカルボン酸の無水物及びハロゲン化物等が挙げられる。
(b)ジアミン
本実施の形態に用いられる(b)ジアミンは、主鎖が分岐構造のジアミン(主鎖から分岐した置換基を持つジアミン)を少なくとも50モル%含む(ジアミン全モル数基準)。
(b)ジアミンとして、主鎖が分岐構造のジアミンを少なくとも50モル%含むことにより、流動性、靭性、及び剛性等を同時に満足する、ポリアミドを得ることができる。
主鎖から分岐した置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、及びtert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基等が挙げられる。
(b−1)主鎖が分岐構造のジアミンとしては、例えば、2−メチルペンタメチレンジアミン(2−メチル−1,5−ジアミノペンタンとも記される。)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2−メチルオクタメチレンジアミン、及び2,4−ジメチルオクタメチレンジアミン等の炭素数3〜20の分岐状飽和脂肪族ジアミン等が挙げられる。
主鎖が分岐構造のジアミンとしては、耐熱性及び剛性等の観点で、2−メチルペンタメチレンジアミンであることが好ましい。主鎖が分岐構造のジアミンとしては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施の形態に用いられる(b)ジアミンの(b−2)主鎖が分岐構造のジアミン以外のジアミンとしては、例えば、脂肪族ジアミン、脂環族ジアミン、及び芳香族ジアミン等が挙げられる。
脂肪族ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、及びトリデカメチレンジアミン等の炭素数2〜20の直鎖飽和脂肪族ジアミン等が挙げられる。
脂環族ジアミン(脂環式ジアミンとも記される。)としては、例えば、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、及び1,3−シクロペンタンジアミン等が挙げられる。
芳香族ジアミンとしては、芳香族を含有するジアミンであり、例えば、メタキシリレンジアミン等が挙げられる。
主鎖が分岐構造のジアミン以外のジアミンとしては、耐熱性、流動性、靭性、低吸水性、及び剛性等の観点で、好ましくは脂肪族ジアミン及び脂環族ジアミンであり、より好ましくは、炭素数4〜13の直鎖飽和脂肪族ジアミンであり、さらに好ましくは、炭素数6〜10の直鎖飽和脂肪族ジアミンであり、よりさらに好ましくはヘキサメチレンジアミンである。主鎖が分岐構造のジアミン以外のジアミンとしては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(b)ジアミン成分として、さらに、本実施の形態の目的を損なわない範囲で、ビスヘキサメチレントリアミン等の3価以上の多価脂肪族アミンを含んでもよい。多価脂肪族アミンとしては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(b)ジアミン中の(b−1)主鎖が分岐構造のジアミンの割合(モル%)は、少なくとも50モル%である。すなわち、主鎖が分岐構造のジアミンの割合は、50〜100モル%であり、60〜100モル%であることが好ましい。より好ましくは、この割合は80〜100モル%であり、さらに好ましくは、85〜100モル%であり、特に好ましくは90〜100モル%、もっとも好ましくは100モル%である。主鎖が分岐構造のジアミンが、少なくとも50モル%であることにより、流動性、靭性、及び剛性に優れるポリアミドとすることができる。
(b)ジアミン中の(b−2)主鎖が分岐構造のジアミン以外のジアミンの割合(モル%)は、0〜50モル%であり、0〜40モル%であることが好ましい。
(a)ジカルボン酸の添加量と(b)ジアミンの添加量は、同モル量付近であることが好ましい。重合反応中の(b)ジアミンの反応系外への逃散分もモル比においては考慮して、(a)ジカルボン酸全体のモル量1に対して、(b)ジアミン全体のモル量は、0.9〜1.2であることが好ましく、より好ましくは0.95〜1.1であり、さらに好ましくは0.98〜1.05である。
(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸
(A)ポリアミドは、靭性の観点で、(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸をさらに共重合させることができる。なお、本実施の形態に用いられる(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸とは、重(縮)合可能なラクタム及び/又はアミノカルボン酸を意味する。
(A)ポリアミドが、(a)ジカルボン酸、(b)ジアミン、並びに(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸を重合させたポリアミドである場合には、(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸は、炭素数が4〜14のラクタム及び/又はアミノカルボン酸が好ましく、炭素数6〜12のラクタム及び/又はアミノカルボン酸を用いることがより好ましい。
ラクタムとしては、例えば、ブチロラクタム、ピバロラクタム、ε−カプロラクタム、カプリロラクタム、エナントラクタム、ウンデカノラクタム、及びラウロラクタム(ドデカノラクタム)等が挙げられる。中でも、靭性の観点で、ε−カプロラクタム、ラウロラクタム等が好ましく、ε−カプロラクタムがより好ましい。
アミノカルボン酸としては、例えば、前記ラクタムが開環した化合物であるω−アミノカルボン酸やα,ω−アミノ酸等が挙げられる。
アミノカルボン酸としては、ω位がアミノ基で置換された炭素数4〜14の直鎖又は分岐状飽和脂肪族カルボン酸であることが好ましく、例えば、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、及び12−アミノドデカン酸等が挙げられ、アミノカルボン酸としては、パラアミノメチル安息香酸等も挙げられる。
ラクタム及び/又はアミノカルボン酸としては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸の添加量(モル%)は、(a)、(b)及び(c)の各モノマー全体のモル量に対して、0〜20モル%であることが好ましい。
(a)ジカルボン酸と(b)ジアミンからポリアミドを重合する際に、分子量調節のために公知の末端封止剤をさらに添加することができる。
末端封止剤としては、例えば、モノカルボン酸、モノアミン、無水フタル酸等の酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル類、及びモノアルコール類等が挙げられ、熱安定性の観点で、モノカルボン酸、及びモノアミンが好ましい。末端封止剤としては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
末端封止剤として使用できるモノカルボン酸としては、アミノ基との反応性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、及びイソブチル酸等の脂肪族モノカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸等の脂環族モノカルボン酸;並びに安息香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、及びフェニル酢酸等の芳香族モノカルボン酸等が挙げられる。モノカルボン酸としては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
末端封止剤として使用できるモノアミンとしては、カルボキシル基との反応性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、及びジブチルアミン等の脂肪族モノアミン;シクロヘキシルアミン及びジシクロヘキシルアミン等の脂環族モノアミン;並びにアニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、及びナフチルアミン等の芳香族モノアミン等が挙げられる。モノアミンとしては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(a)ジカルボン酸及び(b)ジアミンの組み合わせは、下記に限定されるものではないが、(a−1)少なくとも50モル%以上の脂環族ジカルボン酸及び(b−1)少なくとも50モル%以上の2−メチルペンタメチレンジアミンの組み合わせが好ましく、(a−1)少なくとも50モル%以上の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸及び(b−1)少なくとも50モル%以上の2−メチルペンタメチレンジアミンがより好ましい。
これらの組み合わせをポリアミドの成分として重合させることにより、耐熱性、流動性、靭性、低吸水性、及び剛性に優れることを同時に満足するポリアミドとすることができる。
(A)ポリアミドにおいて、脂環族ジカルボン酸構造は、トランス異性体及びシス異性体の幾何異性体として存在する。
ポリアミド中における脂環族ジカルボン酸構造のトランス異性体比率は、ポリアミド中の脂環族ジカルボン酸全体中のトランス異性体である比率を表し、トランス異性体比率は、好ましくは50〜85モル%であり、より好ましくは50〜80モル%であり、さらに好ましくは60〜80モル%である。
(a−1)脂環族ジカルボン酸としては、トランス体/シス体比(モル比)が50/50〜0/100である脂環族ジカルボン酸を用いることが好ましいが、(a)ジカルボン酸と(b)ジアミンの重合により得られるポリアミドとしては、トランス異性体比率が50〜85モル%であることが好ましい。
トランス異性体比率が上記範囲内にあることにより、ポリアミドは、高融点、靭性及び剛性に優れるという特徴に加えて、高いガラス転移温度(Tg)による熱時剛性と、通常では耐熱性と相反する性質である流動性と、高い結晶性を同時に満足するという性質を持つ。
ポリアミドのこれらの特徴は、(a)少なくとも50モル%以上の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、(b)少なくとも50モル%以上の2−メチルペンタメチレンジアミンの組み合わせからなり、かつトランス異性体比率が50〜85モル%であるポリアミドで特に顕著である。
本実施の形態において、トランス異性体比率は、以下の実施例に記載の方法により測定することができる。
(A)ポリアミドは、特に限定されるものではなく、(a)少なくとも50モル%の脂環族ジカルボン酸を含むジカルボン酸と、(b)少なくとも50モル%の、主鎖が分岐構造のジアミンを含むジアミンと、を重合させる工程を含む、ポリアミドの製造方法により製造することができる。
(A)ポリアミドの製造方法としては、ポリアミドの重合度を上昇させる工程を、さらに含むことが好ましい。
ポリアミドの製造方法としては、例えば、以下に例示するように種々の方法が挙げられる。
1)ジカルボン酸・ジアミン塩又はその混合物の水溶液又は水の懸濁液を加熱し、溶融状態を維持したまま重合させる方法(以下、「熱溶融重合法」と略称する場合がある。)、
2)熱溶融重合法で得られたポリアミドを融点以下の温度で固体状態を維持したまま重合度を上昇させる方法(以下、「熱溶融重合・固相重合法」と略称する場合がある。)、
3)ジアミン・ジカルボン酸塩又はその混合物の、水溶液又は水の懸濁液を加熱し、析出したプレポリマーをさらにニーダー等の押出機で再び溶融して重合度を上昇させる方法(以下、「プレポリマー・押出重合法」と略称する場合がある。)、
4)ジアミン・ジカルボン酸塩又はその混合物の、水溶液又は水の懸濁液を加熱、析出したプレポリマーをさらにポリアミドの融点以下の温度で固体状態を維持したまま重合度を上昇させる方法(以下、「プレポリマー・固相重合法」と略称する場合がある。)、
5)ジアミン・ジカルボン酸塩又はその混合物を固体状態を維持したまま重合させる方法(以下、「固相重合法」と略称する場合がある)、
6)ジカルボン酸と等価なジカルボン酸ハライド成分とジアミン成分を用いたて重合させる方法「溶液法」。
ポリアミドの製造方法において、ポリアミドの流動性の観点から、脂環族ジカルボン酸のトランス異性体比率を85%以下に維持して重合することが好ましく、特に、80%以下に維持することにより、さらに色調や引張伸度に優れ、高融点のポリアミドを得ることができる。
ポリアミドの製造方法において、重合度を上昇させてポリアミドの融点を上昇させるために、加熱の温度を上昇させたり、加熱の時間を長くする必要が生ずるが、その場合、加熱によるポリアミドの着色や熱劣化による引張伸度の低下が起こる場合がある。また、分子量の上昇する速度が著しく低下する場合がある。
ポリアミドの着色や熱劣化による引張伸度の低下を防止することができるため、トランス異性体比率を80%以下に維持して重合することが好適である。
ポリアミドを製造する方法としては、トランス異性体比率を85%以下に維持することが容易であるため、また、得られるポリアミドの色調に優れるため、1)熱溶融重合法、及び2)熱溶融重合・固相重合法によりポリアミドを製造することが好ましい。
ポリアミドの製造方法において、重合形態としては、バッチ式でも連続式でもよい。
重合装置としては、特に限定されるものではなく、公知の装置、例えば、オートクレーブ型の反応器、タンブラー型反応器、及びニーダー等の押出機型反応器等が挙げられる。
ポリアミドの製造方法としては、特に限定されるものではなく、以下に記載するバッチ式の熱溶融重合法によりポリアミドを製造することができる。
バッチ式の熱溶融重合法としては、例えば、水を溶媒として、ポリアミド成分((a)ジカルボン酸、(b)ジアミン、及び、必要に応じて、(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸)を含有する約40〜60質量%の溶液を、110〜180℃の温度及び約0.035〜0.6MPa(ゲージ圧)の圧力で操作される濃縮槽で、約65〜90質量%に濃縮して濃縮溶液を得る。次いで、該濃縮溶液をオートクレーブに移し、容器における圧力が約1.5〜5.0MPa(ゲージ圧)になるまで加熱を続ける。その後、水及び/又はガス成分を抜きながら圧力を約1.5〜5.0MPa(ゲージ圧)に保ち、温度が約250〜350℃に達した時点で、大気圧まで降圧する(ゲージ圧は、0MPa)。大気圧に降圧後、必要に応じて減圧することにより、副生する水を効果的に除くことができる。その後、窒素等の不活性ガスで加圧し、ポリアミド溶融物をストランドとして押し出す。該ストランドを、冷却、カッティングしてペレットを得る。
ポリアミドの製造方法としては、特に限定されるものではなく、以下に記載する連続式の熱溶融重合法によりポリアミドを製造することができる。
連続式の熱溶融重合法としては、例えば、水を溶媒としてポリアミド成分を含有する約40〜60質量%の溶液を、予備装置の容器において約40〜100℃まで予備加熱し、次いで、濃縮槽/反応器に移し、約0.1〜0.5MPa(ゲージ圧)の圧力及び約200〜270℃の温度で約70〜90%に濃縮して濃縮溶液を得る。該濃縮溶液を約200〜350℃の温度に保ったフラッシャーに排出し、その後、大気圧まで降圧する(ゲージ圧は、0MPa)。大気圧に降圧後、必要に応じて減圧する。その後、ポリアミド溶融物は押し出されてストランドとなり、冷却、カッティングされペレットとなる。
本実施の形態における(A)ポリアミドのポリマー末端は以下のように分類し、定義される。即ち、1)アミノ末端、2)カルボン酸末端、3)環状アミノ末端、4)封止剤による末端、5)その他の末端である。
1)アミノ末端は、ポリマー末端に結合したアミノ基(−NH2基)であり、原料のジアミンに由来する。
2)カルボン酸末端は、ポリマー末端に結合したカルボキシル基(−COOH基)であり、原料のジカルボン酸に由来する。
3)環状アミノ末端は、ポリマー末端に結合した環状アミノ基(式1で表される基)である。式中でRはピペリジン環を構成する炭素に結合する置換基を示し、水素原子、メチル基、エチル基、t−ブチル基、また、原料のペンタメチレンジアミン骨格を有するジアミンの脱アンモニア反応により環化したピペリジンがポリマー末端に結合してもこの環状アミノ基の末端となる。これらの構造は、モノマーとして、ペンタメチレンジアミン骨格を有するものを含む場合にとることがある。
4)封止剤による末端は、重合時に添加した、カルボン酸又はアミンによりポリマー末端が封止されている。
5)その他の末端は、1)から4)に分類されないポリマー末端であり、アミノ末端が脱アンモニア反応して生成した末端やカルボン酸末端から脱炭酸反応して生成した末端等が考えられる。
本実施の形態においては、3)環状アミノ末端の量は30μ当量/g以上65μ当量/g以下であることが好ましい。また、30μ当量/g以上60μ当量/g以下であることがより好ましく、35μ当量/g以上55μ当量/g以下であることがさらに好ましい。環状アミノ末端の量が上記の範囲であることにより、ポリアミドの靭性、耐加水分解性、及び加工性を向上することができる。
環状アミノ末端の量は、1H−NMRを用いて測定することができる。例えば、窒素の複素環の窒素原子に隣接する炭素に結合する水素とポリアミド主鎖のアミド結合の窒素原子に隣接する炭素に結合する水素の積分比を基に算出することができる。
環状アミノ末端は、環状アミンとカルボン酸末端が脱水反応することによって生成するか、アミノ末端がポリマー分子内で脱アンモニア反応することによって生成する。
環状アミンは末端封止剤として添加することも可能であるし、ポリアミドの原料のペンタメチレンジアミン骨格を有するジアミンが脱アンモニア反応して環化して反応系中で生成することも可能である。本実施の形態における、環状アミノ末端は、原料のジアミンに由来することが好ましい。末端封止剤として重合初期に添加することは低分子量のカルボン酸末端を重合初期の段階で封止することになるため、ポリアミドの重合反応速度を低くし結果として高分子量体が得られにくい原因になるのに対して、反応の途中で生成する環状アミンであれば重合後期に生成することによりポリアミドの高分子量体を得ることはより容易になる。
環状アミノ末端を生成する、環状アミンはポリアミドの重合反応の際に副生物として生成する。この環状アミンの生成については、反応温度が高いほど反応速度も向上する。よって、本実施の形態における(A)ポリアミドの環状アミノ末端を一定量にするためには、環状アミンの生成を促す必要があり、ポリアミドの重合の反応温度は300℃以上であることが好ましく、320℃以上であることがさらに好ましい。
これら環状アミノ末端をある一定量に調整するためには、重合温度、重合工程中の上記300℃以上の時間や、環状構造を形成するアミンの添加量等を適宜調整することで制御することができる。
本実施の形態においては、2)アミノ末端の量は20〜100μ当量/gであることが好ましい。25〜70μ当量/gであることがさらに好ましい。アミノ末端の量が上記の範囲であることにより、ポリアミドの耐加水分解性、及び熱滞留安定性を向上することができる。
本実施の形態における(A)ポリアミドの分子量としては、25℃の硫酸相対粘度ηrを指標とできる。
本実施の形態における(A)ポリアミドの分子量は、靭性及び剛性等の機械物性並びに成形性等の観点で、JIS−K6920に従って測定した98%硫酸中濃度1%、25℃の硫酸相対粘度ηrにおいて、好ましくは1.5〜7.0であり、より好ましくは1.7〜6.0であり、さらに好ましくは1.9〜5.5である。
25℃の硫酸相対粘度の測定は、下記実施例に記載するように、JIS−K6920に準じて行うことができる。
本実施の形態における(A)ポリアミドの融点は、以下に詳述するTm2として、耐熱性の観点から、270〜350℃であることが好ましい。融点Tm2は、好ましくは270℃以上であり、より好ましくは275℃以上であり、さらに好ましくは280℃以上である。また、融点Tm2は、好ましくは350℃以下であり、より好ましくは340℃以下であり、さらに好ましくは335℃以下であり、よりさらに好ましくは330℃以下である。
(A)ポリアミドの融点Tm2を270℃以上とすることにより、耐熱性に優れるポリアミドとすることができる。また、(A)ポリアミドの融点Tm2を350℃以下とすることにより、押出、成形等の溶融加工でのポリアミドの熱分解等を抑制することができる。
本実施の形態における(A)ポリアミドの融解熱量ΔHは、耐熱性の観点から、好ましくは10J/g以上であり、より好ましくは14J/g以上であり、さらに好ましくは18J/g以上であり、よりさらに好ましくは20J/g以上である。
本実施の形態における(A)ポリアミドの融点(以下に詳述するTm1又はTm2)及び融解熱量ΔHの測定は、JIS−K7121に準じて行うことができる。
融点及び融解熱量の測定装置としては、例えば、PERKIN−ELMER社製Diamond−DSC等が挙げられる。
本実施の形態における(A)ポリアミドのガラス転移温度Tgは、90〜170℃であることが好ましい。ガラス転移温度は、好ましくは90℃以上であり、より好ましくは100℃以上であり、さらに好ましくは110℃以上である。また、ガラス転移温度は、好ましくは170℃以下であり、より好ましくは165℃以下であり、さらに好ましくは160℃以下である。
(A)ポリアミドのガラス転移温度を90℃以上とすることにより、耐熱性や耐薬品性に優れるポリアミドとすることができる。また、(A)ポリアミドのガラス転移温度を170℃以下とすることにより、外観のよい成形品を得ることができる。
ガラス転移温度の測定は、下記実施例に記載するように、JIS−K7121に準じて行うことができる。
ガラス転移温度の測定装置としては、例えば、PERKIN−ELMER社製Diamond−DSC等が挙げられる。
[(B)酸化チタン]
(B)酸化チタンとしては、例えば、酸化チタン(TiO)、三酸化二チタン(Ti2O3)、及び二酸化チタン(TiO2)等が挙げられる。中でも、二酸化チタンが好ましい。
これら酸化チタンの結晶構造に特に制限はないが、耐光性の観点から好ましくはルチル型である。
酸化チタンの数平均粒子径は、靭性、押出加工性の観点から、0.1〜0.8μmとされ、より好ましくは0.15〜0.4μmであり、さらに好ましくは0.15〜0.3μmである。
これら酸化チタンの数平均粒子径は、電子顕微鏡写真法により測定することができる。例えば、ポリアミド樹脂組成物を電気炉に入れて、含まれる有機物を焼却処理し、残渣分から、例えば100本以上の酸化チタンを任意に選択し、電子顕微鏡で観察して、これらの粒子径を測定することにより数平均粒子径を測定して求めることが可能である。
酸化チタンは、例えば、硫酸チタン溶液を加水分解するいわゆる硫酸法によって得ても、あるいはハロゲン化チタンを気相酸化するいわゆる塩素法によって得てもよく、特に制限は無い。
酸化チタン粒子の表面は、コーティングされることが好ましい。最初に無機コーティング、次いで無機コーティング上に適用される有機コーティングでコーティングされることがより好ましい。酸化チタン粒子は当該分野で公知のいかなる方法を使用してコーティングされてもよい。無機コーティングとしては金属酸化物を含むことが好ましい。有機コーティングとしては、カルボン酸類、ポリオール類、アルカノールアミン類及び/又は有機ケイ素化合物の1つ又は複数を含んでいることが好ましい。中でも耐光性、フィルム加工性の観点から、ポリオール類、有機ケイ素化合物がより好ましく、加工時の発生ガスの低減の観点から、有機ケイ素化合物がさらに好ましい。
有機コーティングとしての使用のために本発明で用いることができるカルボン酸類の例には、アジピン酸、テレフタル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ポリヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、サリチル酸、リンゴ酸及びマレイン酸が含まれる。これらカルボン酸類のエステルや金属塩であっても良い。金属塩としては、アルミニウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩等が挙げられる。
有機コーティングとしての使用のために本発明で用いることができるアルカノールアミン類としては、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン等が、それらの誘導体としては、それらの酢酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩等の有機酸塩等である。
有機コーティングとしての使用のために本発明で用いることができるポリオール類として、具体的には、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ジトリメチロールプロパン、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリスリトール等が挙げられ、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンが好ましい。
有機コーティングとしての使用のために本発明で用いることができる有機ケイ素化合物として、例えば、オルガノシラン類、オルガノポリシロキサン類、オルガノシラザン類が挙げられる。
具体的には、オルガノシラン類としては(a)アミノシラン(アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等)、(b)エポキシシラン(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等)、(c)メタクリルシラン(γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン等)、(d)ビニルシラン(ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等)、(e)メルカプトシラン(3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等)、(f)クロロアルキルシラン(3−クロロプロピルトリエトキシシラン等)、(g)アルキルシラン(n−ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルメチルジメトキシシラン、ヘキシルメチルジエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等)、(h)フェニルシラン(フェニルトリエトキシシラン等)、(i)フルオロアルキルシラン(トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン等)等、又はそれらの加水分解生成物が挙げられる。
また、オルガノポリシロキサン類としては(a)ストレート型ポリシロキサン(ジメチルポリシロキサン、メチル水素ポリシロキサン、メチルメトキシポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等)、(b)変性型ポリシロキサン(ジメチルポリシロキサンジオール、ジメチルポリシロキサンジハイドロジェン、側鎖又は両末端アミノ変性ポリシロキサン、側鎖又は両末端又は片末端エポキシ変性ポリシロキサン、両末端又は片末端メタクリル変性ポリシロキサン、側鎖又は両末端カルボキシル変性ポリシロキサン、側鎖又は両末端又は片末端カルビノール変性ポリシロキサン、両末端フェノール変性ポリシロキサン、側鎖又は両末端メルカプト変性ポリシロキサン、両末端又は側鎖ポリエーテル変性ポリシロキサン、側鎖アルキル変性ポリシロキサン、側鎖メチルスチリル変性ポリシロキサン、側鎖高級カルボン酸エステル変性ポリシロキサン、側鎖フルオロアルキル変性ポリシロキサン、側鎖アルキル・カルビノール変性ポリシロキサン、側鎖アミノ・両末端カルビノール変性ポリシロキサン等)等、又はそれらの共重合体が挙げられる。さらに、オルガノシラザン類としてはヘキサメチルシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン等が挙げられる。
上記有機ケイ素化合物の中でも、疎水性の官能基、例えば、メタクリル基(−OCOC(CH3)=CH2)、ビニル基(−CH=CH2)、アルキル基(−R)、アリール基(−Ph、−Ar等)、カルボン酸エステル基(−OCOR)、アシル基(−COR)、ポリエーテル基(−(R1O)n(R2O)mR3)、フッ素含有基(−(CH2)nCF3、−(CF2)nCF3等)等を有する有機ケイ素化合物がより好ましく、疎水性官能基を有するオルガノシラン類又はオルガノポリシロキサン類であれば更に好ましい。
これら有機ケイ素化合物の中でも、炭素数が4〜10のアルキルシラン、その加水分解生成物、ジメチルポリシロキサン、メチル水素ポリシロキサンから選ばれる少なくとも一種であればいっそう好ましい。アルキルシランとして、アルキル基の中で炭素数が最大のものが6(ヘキシル基)であるアルキルシランを用いると、より一層分散性と耐熱性とに優れる。尚、オルガノシラン類の加水分解生成物とは、オルガノシラン類が有する加水分解性基が加水分解されてシラノールになったもの、シラノール同士が縮重合してダイマー、オリゴマー、ポリマーになったものを言う。
無機コーティングの例としては、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、リン、亜鉛、希土類元素等の酸化物及び水和酸化物を含む金属酸化物及び水和酸化物が挙げられる。中でも好ましい金属酸化物は耐光性の観点からシリカ、アルミナ、ジルコニアであり、より好ましくはシリカ、アルミナである。これら無機コーティングは1種類の金属酸化物であっても良いし、2種類以上の組み合わせであっても良い。
無機コーティングとしては、該酸化チタン全量100質量%に対し、0.25〜50質量%であることが好ましく、0.25〜10質量%であることがより好ましく、1〜10質量%であることがさらに好ましい。
酸化チタンは、強熱減量に特に制限はないが、酸化チタン全量100質量%に対し、0.7〜2.5質量%の範囲であることが、押出加工性の観点から好ましい。より好ましくは0.7〜2.0質量%であり、さらに好ましくは0.8〜1.5質量%である。ここで、強熱減量とは、酸化チタンを120℃で4時間乾燥させて、表面の付着水分を除去した後、650℃にて2時間加熱処理した際の重量減少率により算出することができる。
なお、これら酸化チタンとしては、1種類を用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(A)ポリアミドと(B)酸化チタンの配合量としては、ポリアミド組成物100質量%に対し、(A)ポリアミドを55〜95質量%、(B)酸化チタンを5〜45質量%であることが白色度の観点から好ましく、より好ましくは、(A)ポリアミドを65〜85質量%、(B)酸化チタンを15〜35質量%である。
本実施の形態においては、光安定性の観点から、(C)アミン系光安定剤をさらに含有していてもよい。
[(C)アミン系光安定剤]
アミン系光安定剤としては、以下に制限されないが、例えば、4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルアセトキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−フェノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(エチルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(シクロヘキシルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)カーボネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)オキサレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)マロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アジペート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)テレフタレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)カーボネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)オキサレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)マロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アジペート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)テレフタレート、N,N’−ビス−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル−1,3−ベンゼンジカルボキシアミド、1,2−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)エタン、α,α’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−p−キシレン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルトリレン−2,4−ジカルバメート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ヘキサメチレン−1,6−ジカルバメート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレート、N,N’,N’’,N’’’−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,4−トリカルボキシレート、1−[2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}ブチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、及び1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエタノールとの縮合物が挙げられる。本実施の形態では、これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらアミン系光安定剤の中でも、分子量が2,000未満の低分子型であることが、光安定性のより一層の向上の観点から好ましい。より好ましくは、分子量は1,000未満である。
また、アミン系光安定剤は、N−H型(アミノ基に水素が結合していることを示す)、N−R型(アミノ基にアルキル基が結合していることを示す)、NOR型(アミノ基にアルコキシ基が結合していることを示す)等のタイプがあるが、中でもN−H型であることが光安定性のより一層の向上の観点から好ましい。
これらアミン系光安定剤の中でも、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)カーボネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)オキサレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)マロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アジペート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)テレフタレート、N,N’−ビス−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル−1,3−ベンゼンジカルボキシアミド、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラートが好ましく、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、N,N’−ビス−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル−1,3−ベンゼンジカルボキシアミド、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラートがより好ましく、N,N’−ビス−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル−1,3−ベンゼンジカルボキシアミドがさらに好ましい。
ポリアミド組成物中のアミン系光安定剤の配合量は、ポリアミド組成物100質量%に対して好ましくは0〜1質量%であり、より好ましくは0.01〜1質量%であり、さらに好ましくは0.1〜1質量%である。上記の範囲内の場合、光安定性、耐熱エージング性を一層向上させることができ、さらに発生ガス量を低減させることができる。
本実施の形態においては、熱安定性の観点から、(D)フェノール系熱安定剤をさらに含有していてもよい。
[(D)フェノール系熱安定剤]
フェノール系熱安定剤としては、以下に制限されないが、例えば、ヒンダートフェノール化合物が挙げられる。フェノール系熱安定剤、中でもヒンダードフェノール化合物は、ポリアミド等の樹脂や繊維に耐熱性や耐光性を付与する性質を有する。
ヒンダードフェノール化合物としては、以下に制限されないが、例えば、N,N’−へキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド)、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピニロキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサピロ[5,5]ウンデカン、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、及び1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸が挙げられる。本実施の形態では、これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、耐熱エージング性向上の観点から、好ましくはN,N’−へキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド)]である。
ポリアミド組成物中のフェノール系熱安定剤の配合量は、ポリアミド組成物100質量%に対して好ましくは0〜1質量%であり、より好ましくは0.01〜1質量%であり、さらに好ましくは0.1〜1質量%である。上記の範囲内の場合、耐熱エージング性を一層向上させ、さらに発生ガス量を低減させることができる。
本実施の形態においては、強度剛性等の機械物性の観点から、(E)無機充填材をさらに含有していてもよい。
[(E)無機充填材]
(E)無機充填材としては、特に限定されるものではないが、例えば、ガラス繊維や炭素繊維、ケイ酸カルシウム繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、ガラスフレーク、タルク、カオリン、マイカ、ハイドロタルサイト、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、リン酸一水素カルシウム、ウォラストナイト、シリカ、ゼオライト、アルミナ、ベーマイト、水酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸ナトリウム、ケイ酸マグネシウム、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト、黄銅、銅、銀、アルミニウム、ニッケル、鉄、フッ化カルシウム、雲母、モンモリロナイト、膨潤性フッ素雲母、及びアパタイト等が挙げられる。これらの中でも、ガラス繊維やチタン酸カリウム繊維、タルク、ウォラストナイト、カオリン、マイカ、炭酸カルシウム及びクレーからなる群から選ばれる1種以上であることが、機械的強度、外観、白色度等の観点から好ましい。
ガラス繊維や炭素繊維としては、断面が真円状でも扁平状でもよい。扁平状の断面としては、例えば、長方形、長方形に近い長円形、楕円形、長手方向の中央部がくびれた繭型等が挙げられる。また、扁平率は、繊維断面の長径をD2、繊維の断面の短径をD1とするとき、D2/D1で表される。(真円状は扁平率約1となる)
ガラス繊維や炭素繊維の中でも、優れた機械的強度特性をポリアミド樹脂組成物に付与できるという観点から、数平均繊維径が3〜30μmであり、且つ前記樹脂組成物において、重量平均繊維長が100〜750μmであり、重量平均繊維長と数平均繊維径とのアスペクト比(L/D)が10〜100であるものが、さらに好ましく用いられる。
また、板状成形品の反りの低減、耐熱性、靭性、低吸水性、耐熱エージング性の観点から、扁平率は、扁平率が1.5以上であることが好ましい。より好ましくは1.5〜10.0、さらに好ましくは2.5〜10.0であり、特に好ましくは3.1〜6.0である。扁平率が極端に大きい場合、他の成分との混合の他、混練、成形等の処理の際、破砕されてしまう場合があり、所望する効果が小さくなる場合がある。
扁平率が1.5以上のガラス繊維や炭素繊維の太さは、任意であるが、繊維の断面の短径D1が0.5〜25μm、繊維の断面の長径D2が1.25〜250μmであることが好ましい。細すぎる場合は繊維の紡糸が困難な場合があり、太すぎる場合は樹脂との接触面積の減少等により成形品の強度が低下する場合がある。短径D1は3μm以上が好ましい。更には、短径D1が3μm以上で且つ扁平率が3より大きい値であることが好ましい。
これらの扁平率が1.5以上のガラス繊維や炭素繊維は、例えば、特公平3−59019号公報、特公平4−13300号公報、特公平4−32775号公報等に記載の方法で製造することが出来る。特に、底面に多数のオリフィスを有するオリフィスプレートにおいて、複数のオリフィス出口を囲み、当該オリフィスプレート底面より下方に延びる凸状縁を設けたオリフィスプレート、又は、単数もしくは複数のオリフィス孔を有するノズルチップの外周部先端から下方に延びる複数の凸状縁を設けた異形断面ガラス繊維紡糸用ノズルチップを使用して製造された扁平率が1.5以上のガラス繊維が好ましい。これらの繊維状強化材は、繊維ストランドをロービングとしてそのまま使用してもよく、さらに切断工程を得て、チョップドガラスストランドとして使用してもよい。
ここで、本明細書における数平均繊維径及び重量平均繊維長は、例えば、ポリアミド樹脂組成物を電気炉に入れて、含まれる有機物を焼却処理し、残渣分から、例えば100本以上のガラス繊維を任意に選択し、SEMで観察して、これらのガラス繊維の繊維径を測定することにより数平均繊維径を測定するとともに、倍率1000倍でのSEM写真を用いて繊維長を計測することにより重量平均繊維長を求める方法がある。
上記のガラス繊維や炭素繊維を、シランカップリング剤等により表面処理してもよい。前記シランカップリング剤としては、特に制限されないが、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランやN−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノシラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランやγ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプトシラン類;エポキシシラン類;ビニルシラン類が挙げられる。中でも、上記の列挙成分から選択される1種以上であることが好ましく、アミノシラン類がより好ましい。
また、上記のガラス繊維や炭素繊維については、さらに集束剤として、カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体と前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体、エポキシ化合物、ポリウレタン樹脂、アクリル酸のホモポリマー、アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマー、並びにこれらの第1級、第2級及び第3級アミンとの塩、並びにカルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体と前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体を含む共重合体等を含んでもよい。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、ポリアミド樹脂組成物の機械的強度の観点から、カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体と前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体、エポキシ化合物及びポリウレタン樹脂、並びにこれらの組み合わせが好ましく、カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体と前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体及びポリウレタン樹脂、並びにこれらの組み合わせがより好ましい。
カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体と前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体のうち、前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体としては、以下に制限されることはないが、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸や無水シトラコン酸が挙げられ、中でも無水マレイン酸が好ましい。一方、前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体とは、カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体とは異なる不飽和ビニル単量体をいう。前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体としては、以下に制限されないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、2,3−ジクロロブタジエン、1,3−ペンタジエン、シクロオクタジエン、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレートが挙げられる。中でもスチレンやブタジエンが好ましい。
これらの組み合わせの中でも、無水マレイン酸とブタジエンとの共重合体、無水マレイン酸とエチレンとの共重合体、及び無水マレイン酸とスチレンとの共重合体、並びにこれらの混合物よりなる群から選択される1種以上であることがより好ましい。
また、カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体と前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体は、重量平均分子量が2,000以上であることが好ましい。また、ポリアミド樹脂組成物の流動性向上の観点から、より好ましくは2,000〜1,000,000であり、さらに好ましくは2,000〜500,000である。なお、本明細書における重量平均分子量は、GPCにより測定した値である。
エポキシ化合物としては、以下に制限されないが、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブテンオキサイド、ペンテンオキサイド、ヘキセンオキサイド、ヘプテンオキサイド、オクテンオキサイド、ノネンオキサイド、デセンオキサイド、ウンデセンオキサイド、ドデセンオキサイド、ペンタデセンオキサイド、エイコセンオキサイド等の脂肪族エポキシ化合物;グリシド−ル、エポキシペンタノ−ル、1−クロロ−3,4−エポキシブタン、1−クロロ−2−メチル−3,4−エポキシブタン、1,4−ジクロロ−2,3−エポキシブタン、シクロペンテンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、シクロヘプテンオキサイド、シクロオクテンオキサイド、メチルシクロヘキセンオキサイド、ビニルシクロヘキセンオキサイド、エポキシ化シクロヘキセンメチルアルコール等の脂環族エポキシ化合物;ピネンオキサイド等のテルペン系エポキシ化合物;スチレンオキサイド、p−クロロスチレンオキサイド、m−クロロスチレンオキサイド等の芳香族エポキシ化合物;エポキシ化大豆油;及びエポキシ化亜麻仁油が挙げられる。
ポリウレタン樹脂は、集束剤として一般的に用いられるものであれば特に制限されないが、例えば、m−キシリレンジイソシアナート(XDI)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)(HMDI)やイソホロンジイソシアナート(IPDI)等のイソシアネートと、ポリエステル系やポリエーテル系のジオールとから合成されるものが好適に使用できる。
アクリル酸のホモポリマー(ポリアクリル酸)としては、重量平均分子量は1,000〜90,000であることが好ましく、より好ましくは1,000〜25,000である。
ポリアクリル酸は塩形態であってもよい。かかるポリアクリル酸の塩として、第一級、第二級又は第三級のアミンが挙げられる。以下に制限されないが、例えば、トリエチルアミン、トリエタノールアミンや、グリシン等が挙げられる。中和度は、他の併用薬剤(シランカップリング剤等)との混合溶液の安定性向上の観点や、アミン臭低減の観点から、20〜90%とすることが好ましく、40〜60%とすることがより好ましい。
塩を形成するポリアクリル酸の重量平均分子量は、特に制限されるものではないが、3,000〜50,000の範囲であることが好ましい。ガラス繊維や炭素繊維の集束性向上の観点から、3,000以上が好ましく、樹脂組成物とした際の機械的特性向上の観点から、50,000以下が好ましい。
アクリル酸と共重合体を形成するモノマーとしては、以下に制限されないが、例えば、アクリル酸、マレイン酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イソクロトン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸やメサコン酸等の水酸基及び/又はカルボキシル基を有するモノマーから選ばれる1種以上が挙げられる(但し、アクリル酸のみの場合を除く)。好ましくは、上記したモノマーのうちエステル系モノマーを1種以上有する。
アクリル酸のポリマーは、アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマーであってもよく、い。前記アクリル酸と共重合体を形成するモノマーとしては、以下に制限されないが、例えば、水酸基及び/又はカルボキシル基を有するモノマーのうち、アクリル酸、マレイン酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イソクロトン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸及びやメサコン酸から選ばれるよりなる群から選択される1種以上が挙げられる(但し、アクリル酸のみの場合を除く)。好ましくは、上記したモノマーのうちエステル系モノマーを1種以上有する。
ポリアクリル酸のポリマー(ホモポリマー及びコポリマーを共にも含む)は塩の形態であっても構わないよい。アクリル酸のポリマーの塩としては、以下に制限されないが、第一級、第二級又は第三級のアミンが挙げられる。以下に制限されないが、具体例としては、トリエチルアミン、トリエタノールアミンやグリシンが挙げられる。中和度は、他の併用薬剤(シランカップリング剤等)との混合溶液の安定性向上や、アミン臭低減の観点から、20〜90%とすることが好ましく、40〜60%とすることがより好ましい。
塩を形成するアクリル酸のポリマーの重量平均分子量は、特に制限されないが、3,000〜50,000の範囲であることが好ましい。ガラス繊維や炭素繊維の集束性向上の観点から、3,000以上が好ましく、樹脂組成物とした際の機械的特性向上の観点から、50,000以下が好ましい。
ガラス繊維や炭素繊維は、上記の集束剤を、公知のガラス繊維や炭素繊維の製造工程において、ローラー型アプリケーター等の公知の方法を用いて、ガラス繊維や炭素繊維に付与して製造した繊維ストランドを乾燥することによって連続的に反応させて得られる。前記繊維ストランドをロービングとしてそのまま使用してもよく、さらに切断工程を得て、チョップドガラスストランドとして使用してもよい。
かかる集束剤は、ガラス繊維又は炭素繊維100質量%に対し、固形分率として0.2〜3質量%相当を付与(添加)することが好ましく、より好ましくは0.3〜2質量%付与(添加)する。ガラス繊維や炭素繊維の集束を維持する観点から、集束剤の添加量が、ガラス繊維又は炭素繊維100質量%に対し、固形分率として0.2質量%以上であることが好ましい。一方、ポリアミド樹脂組成物の熱安定性向上の観点から、3質量%以下であることが好ましい。また、ストランドの乾燥は切断工程後に行ってもよく、又はストランドを乾燥した後に切断してもよい。
ガラス繊維や炭素繊維以外の無機充填材としては、強度及び剛性、表面外観の観点から、ウォラストナイト、カオリン、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム、クレーが好ましく使用できる。より好ましくは、ウォラストナイト、カオリン、マイカ、タルクであり、更に好ましくは、ウォラストナイト、マイカであり、もっとも好ましくはウォラストナイトである。これら無機充填材は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ガラス繊維や炭素繊維以外の無機充填材の粒径は、靭性、表面外観の観点で、0.01〜38μmが好ましい。0.03〜30μmがより好ましく、0.05〜25μmがさらに好ましく、0.1〜20μmがよりさらに好ましく、0.15〜15μmがもっとも好ましい。
平均粒径を38μm以下にすることにより、靭性、表面外観に優れるポリアミド組成物にすることができる。また、0.1μm以上にすることにより、コスト面、粉体のハンドリング面と物性のバランスに優れる。
また、無機充填材の中でも、ウォラストナイトのような針状の形状を持つものに関しては、平均繊維径を平均粒径とする。さらに、断面が円でない場合はその長さの最大値を繊維径とする。
針状の形状を持つものの重量平均繊維長と数平均繊維径とのアスペクト比(L/D)に関しては、成形品外観、射出成形機等の金属性パーツの磨耗の観点から、1.5〜10が好ましく、2.0〜5がさらに好ましく、2.5〜4がよりさらに好ましい。
また、本発明に用いるガラス繊維や炭素繊維以外の無機充填材は通常の表面処理剤、例えばシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤等のカップリング剤等で表面処理を施したものを使用しても差し支えない。シラン系カップリング剤としてはエポキシシランカップリング剤を好ましく挙げることができる。また、ポリアルコキシシロキサンとエポキシシランカップリング剤との混合物及び/又はポリアルコキシシロキサンとエポキシシランカップリング剤との反応物も好ましく使用することができる。このような表面処理剤は、予め無機充填材表面に処理することもできるし、ポリアミドと無機充填材を混合する際に添加してもかまわない。また、好ましい表面処理剤の量は、無機充填材に対して0.05質量%〜1.5質量%の範囲である。
ポリアミド組成物中の無機充填材の配合量は、ポリアミド組成物100質量%に対して、好ましくは0〜25質量%であり、より好ましくは1〜25質量%であり、さらに好ましくは2〜20質量%である。上記の範囲内の場合、強度、剛性と靭性をバランス良く保つことができる。
本実施の形態においては、本実施の形態の目的を損なわない範囲で、リン系熱安定剤を配合することができる。
[リン系熱安定剤]
リン系熱安定剤としては、以下に制限されないが、例えば、ペンタエリスリトール型ホスファイト化合物、トリオクチルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、トリスイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、フェニルジ(トリデシル)ホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、ジフェニル(トリデシル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(ブトキシエチル)ホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−テトラ−トリデシル)ジホスファイト、テトラ(C12〜C15混合アルキル)−4,4’−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、4,4’−イソプロピリデンビス(2−t−ブチルフェニル)・ジ(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ビフェニル)ホスファイト、テトラ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタンジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル)ジホスファイト、テトラ(C1〜C15混合アルキル)−4,4’−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、トリス(モノ、ジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、4,4’−イソプロピリデンビス(2−t−ブチルフェニル)・ジ(ノニルフェニル)ホスファイト、9,10−ジ−ヒドロ−9−オキサ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ホスファイト、水素化−4,4’−イソプロピリデンジフェニルポリホスファイト、ビス(オクチルフェニル)・ビス(4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル))・1,6−ヘキサノールジホスファイト、ヘキサトリデシル−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ジホスファイト、トリス(4、4’−イソプロピリデンビス(2−t−ブチルフェニル))ホスファイト、トリス(1,3−ステアロイルオキシイソプロピル)ホスファイト、2、2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、2,2−メチレンビス(3−メチル−4,6−ジ−t−ブチルフェニル)2−エチルヘキシルホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスファイト、及びテトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスファイトが挙げられる。本実施の形態では、これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記の列挙したものの中でも、耐熱エージング性の一層の向上及び発生ガスの低減という観点から、ペンタエリスリトール型ホスファイト化合物、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトが好ましい。前記ペンタエリスリトール型ホスファイト化合物としては、以下に制限されないが、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・フェニル・ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・メチル・ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・2−エチルヘキシル・ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・イソデシル・ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・ラウリル・ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・イソトリデシル・ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・ステアリル・ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・シクロヘキシル・ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・ベンジル・ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・エチルセロソルブ・ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・ブチルカルビトール・ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・オクチルフェニル・ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・ノニルフェニル・ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・2,6−ジ−t−ブチルフェニル・ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・2,4−ジ−t−ブチルフェニル・ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・2,4−ジ−t−オクチルフェニル・ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・2−シクロヘキシルフェニル・ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−アミル−4−メチルフェニル・フェニル・ペンタエリストリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−アミル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、及びビス(2,6−ジ−t−オクチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが挙げられる。本実施の形態では、これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記で列挙したペンタエリスリトール型ホスファイト化合物の中でも、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−アミル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、及びビス(2、6−ジ−t−オクチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが好ましく、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトがより好ましい。
リン系熱安定剤を用いる場合、ポリアミド組成物中のリン系熱安定剤の配合量は、ポリアミド組成物100質量%に対して、0.01〜1質量%であり、より好ましくは0.1〜1質量%である。上記の範囲内の場合、耐熱エージング性を一層向上させ、さらに発生ガス量を低減させることができる。
本実施の形態においては、本実施の形態の目的を損なわない範囲で、リン化合物を配合することができる。
[リン化合物]
リン化合物としては、以下に制限されないが、例えば、1)リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、およびそれらの分子内および/又は分子間縮合物、2)リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、およびそれらの分子内および/又は分子間縮合物の金属塩類等から選ばれる1種以上が挙げられる。
前記1)のリン酸、亜リン酸、次亜リン酸、およびそれらの分子内および/又は分子間縮合物とは、例えばリン酸、ピロリン酸、メタリン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ピロ亜リン酸、二亜リン酸などを挙げることができる。
前記2)リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、およびそれらの分子内および/又は分子間縮合物の金属塩類とは、前記1)のリン化合物と周期律表第1族及び第2族、マンガン、亜鉛、アルミニウムとの塩を挙げることができる。
より好ましいリン化合物は、リン酸金属塩類、亜リン酸金属塩類あるいは次亜リン酸金属塩類、およびそれらの分子内および/又は分子間縮合物から選ばれる1種以上であり、更に好ましくは、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸から選ばれるリン化合物と、周期律表第1族及び第2族、マンガン、亜鉛、アルミニウムから選ばれる金属との塩、およびそれらの分子内および/又は分子間縮合物であることが好ましい。特に好ましくは、リン酸、亜リン酸および次亜リン酸から選ばれるリン化合物と周期律表第1族及び第2族から選ばれる金属とからなる金属塩であり、例えば、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸一カルシウム、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、ピロリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カルシウム、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カルシウム等が挙げられ、これらの無水塩、水和物が挙げられる。これらの中でも次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カルシウムがもっとも好ましい。
リン化合物を用いる場合、ポリアミド組成物中のリン化合物の配合量は、ポリアミド組成物100質量%に対して、0.01〜1質量%であり、より好ましくは0.05〜1質量%である。上記の範囲内の場合、耐熱変色性を一層向上させることができる。
[ポリアミド組成物に含まれうる他の成分]
上記した成分の他に、本実施の形態の効果を損なわない範囲で、必要に応じてさらに他の成分を添加してもよい。
以下に制限されないが、例えば、顔料及び染料等の着色剤(着色マスターバッチ含む)、離型剤、難燃剤、フィブリル化剤、潤滑剤、蛍光増白剤、可塑化剤、銅化合物、ハロゲン化アルカリ金属化合物、酸化防止剤、安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、流動性改良剤、充填剤、補強剤、展着剤、核剤、ゴム、強化剤並びに他のポリマー等を混合してもよい。ここで、上記した他の成分はそれぞれ性質が大きく異なるため、各成分についての、本実施の形態の効果をほとんど損なわない好適な含有率は様々である。そして、当業者であれば、上記した他の成分ごとの好適な含有率は容易に設定可能である。
本実施の形態におけるポリアミド組成物の製造方法としては、前記(A)ポリアミドと(B)酸化チタンとを混合する方法であれば、特に限定されるものではない。
ポリアミドと酸化チタンの混合方法として、例えば、ポリアミドと酸化チタンとをタンブラー、ヘンシェルミキサー等を用いて混合し溶融混練機に供給し混練する方法や、単軸又は2軸押出機で溶融状態にしたポリアミドに、サイドフィダーから酸化チタンを配合する方法等が挙げられる。
(E)無機充填材を配合する場合も同様の方法が用いることができ、ポリアミド等と混合して溶融混練機に供給して供給する方法や、単軸又は2軸押出機で溶融状態にしたポリアミドと酸化チタンに、サイドフィダーから無機充填材を配合する方法等が挙げられる。
ポリアミド組成物を構成する成分を溶融混練機に供給する方法は、すべての構成成分を同一の供給口に一度に供給してもよいし、構成成分をそれぞれ異なる供給口から供給してもよい。
溶融混練温度は、樹脂温度にして250〜375℃程度であることが好ましく、溶融混練時間は、0.25〜5分程度であることが好ましい。
溶融混練を行う装置としては、特に限定されるものではなく、公知の装置、例えば、単軸又は2軸押出機、バンバリーミキサー、及びミキシングロール等の溶融混練機を用いることができる。
本実施の形態のポリアミド組成物の25℃の硫酸相対粘度ηr、融点Tm2、融解熱量ΔH、ガラス転移温度Tgは、前記ポリアミドにおける測定方法と同様の方法により測定することができる。また、ポリアミド組成物における測定値が、前記ポリアミドの測定値として好ましい範囲と同様の範囲にあることにより、耐熱性、成形性、及び耐薬品性に優れるポリアミド組成物を得ることができる。
本実施の形態のポリアミド組成物の成形品は、公知の成形方法、例えばプレス成形、射出成形、ガスアシスト射出成形、溶着成形、押出成形、吹込成形、フィルム成形、中空成形、多層成形、及び溶融紡糸等、一般に知られているプラスチック成形方法を用いて得ることができる。
本実施の形態のポリアミド組成物から得られる成形品は、耐熱性、成形性、機械的強度、及び低吸水性に優れる。したがって、本実施の形態のポリアミド組成物は、自動車用、電気及び電子用、産業資材用、及び日用及び家庭品用等の各種部品材料として、また、押出用途等に好適に用いることができる。
自動車用としては、特に限定されるものではなく、例えば、吸気系部品、冷却系部品、燃料系部品、内装部品、外装部品、及び電装部品等に用いられる。
自動車吸気系部品としては、特に限定されるものではなく、例えば、エアインテークマニホールド、インタークーラーインレット、エキゾーストパイプカバー、インナーブッシュ、ベアリングリテーナー、エンジンマウント、エンジンヘッドカバー、リゾネーター、及びスロットルボディ等が挙げられる。
自動車冷却系部品としては、特に限定されるものではなく、例えば、チェーンカバー、サーモスタットハウジング、アウトレットパイプ、ラジエータータンク、オイルネーター、及びデリバリーパイプ等が挙げられる。
自動車燃料系部品では、特に限定されるものではなく、例えば、燃料デリバリーパイプ及びガソリンタンクケース等が挙げられる。
内装部品としては、特に限定されるものではなく、例えば、インストルメンタルパネル、コンソールボックス、グローブボックス、ステアリングホイール、及びトリム等が挙げられる。
外装部品としては、特に限定されるものではなく、例えば、モール、ランプハウジング、フロントグリル、マッドガード、サイドバンパー、及びドアミラーステイ、ルーフレール等が挙げられる。
電装部品としては、特に限定されるものではなく、例えば、コネクタやワイヤーハーネスコネクタ、モーター部品、ランプソケット、センサー車載スイッチ、及びコンビネーションスイッチ等が挙げられる。
電気及び電子用としては、特に限定されるものではなく、例えば、コネクター、スイッチ、リレー、プリント配線板、電子部品のハウジング、コンセント、ノイズフィルター、コイルボビン、及びモーターエンドキャップ等に用いられる。
産業機器用としては、特に限定されるものではなく、例えば、ギヤ、カム、絶縁ブロック、バルブ、電動工具部品、農機具部品、エンジンカバー等に用いられる。
日用及び家庭品用としては、特に限定されるものではなく、例えば、ボタン、食品容器、及びオフィス家具等に用いられる。
押し出し用途としては、特に限定されるものではなく、例えば、フィルム、シート、フィラメント、チューブ、棒、及び中空成形品等に用いられる。
以下、本実施の形態を実施例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本実施の形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例に用いた原材料及び測定方法を以下に示す。なお、本実施例において、1Kg/cm2は、0.098MPaを意味する。
[原材料]
本実施例において下記化合物を用いた。
(A)ポリアミド原料として
(a)ジカルボン酸
(a−1)1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)(商品名:1,4−CHDA HPグレード(トランス体/シス体=25/75)(イーストマンケミカル社製))
(a−2)テレフタル酸(TPA)(和光純薬工業社製)
(a−3)アジピン酸(ADA)(和光純薬工業社製)
(a−4)ドデカン二酸(C12DA)(和光純薬工業社製)
(b)ジアミン
(b−1)2−メチルペンタメチレンジアミン(2MPD)(東京化成工業製)
(b−2)ヘキサメチレンジアミン(HMD)(和光純薬工業社製)
(b−3)1,9−ノナメチレンジアミン(NMD)(アルドリッチ社製)
(b−4)2−メチルオクタメチレンジアミン(2MOD)(特開平05−17413号公報に記載されている製法を参考にして製造した。)
(B)酸化チタン
(B−1)TiO2−1
数平均粒子径:0.21μm
コーティング:アルミナ、シリカ、シロキサン化合物
強熱減量:1.21質量%
(B−2)TiO2−2
数平均粒子径:0.21μm
コーティング:アルミナ、シリカ、ポリオール化合物
強熱減量:1.19質量%
(B−3)TiO2−3
数平均粒子径:0.25μm
コーティング:アルミナ、ジルコニア、シロキサン化合物
強熱減量:1.43質量%
(B−4)TiO2−4
数平均粒子径:0.25μm
コーティング:アルミナ、シリカ、シロキサン化合物
強熱減量:2.61質量%
(B−5)TiO2−5
商品名:タイペーク(登録商標)CR−63(石原産業社製)
数平均粒子径:0.21μm
コーティング:アルミナ、シリカ、シロキサン化合物
強熱減量:0.43質量%
(B−6)TiO2−6
数平均粒子径:1.0μm
コーティング:アルミナ、シリカ、ポリオール化合物
強熱減量:1.10質量%
(C)アミン系光安定剤(HALS)
(C−1)HALS−1
商品名:Nylostab(登録商標)S−EED(クラリアント社製)
分子量:443
(C−2)HALS−2
商品名:TINUVIN(登録商標)770DF(チバ社製)
分子量:481
(C−3)HALS−3
商品名:アデカズタブ(登録商標)LA−57(ADEKA社製)
分子量:791
(C−4)HALS−4
商品名:CHIMASSORB(登録商標)119FL(チバ社製)
分子量:2286の化合物(90質量%)と3100〜4000の化合物(10質量%)の混合物
(D)フェノール系熱安定剤
商品名:IRGANOX(登録商標)1098(チバ社製)
(E)無機充填材
(E−1)ガラス繊維
商品名:ECS 03T−275H(日本電気硝子社製)
平均繊維径10μmφ、カット長3mm
(E−2)ウォラストナイト
商品名:NYGLOS8(NYCO社製)
平均繊維径8μm
(E−3)タルク
商品名:PKP−80(富士タルク社製)
平均粒子径14μm
(F)リン化合物
商品名:次亜リン酸ナトリウム一水和物(和光純薬工業社製)
(G)核剤
(G−1)窒化ホウ素
商品名:デンカボロンナイトライドSP−7(電気化学工業社製)
[ポリアミド成分量の計算]
(a−1)脂環族ジカルボン酸のモル%は、(原料モノマーとして加えた(a−1)脂環族ジカルボン酸のモル数/原料モノマーとして加えた全ての(a)ジカルボン酸のモル数)×100として、計算により求めた。
(b−1)主鎖から分岐した置換基を持つジアミンのモル%は、(原料モノマーとして加えた(b−1)主鎖が分岐構造のジアミンのモル数/原料モノマーとして加えた全ての(b)ジアミンのモル数)×100として、計算により求めた。
なお、上記式により計算する際に、分母及び分子には、追添分として加えた(b−1)主鎖が分岐構造のジアミンのモル数は含まれない。
[測定方法]
(1)融点Tm1、Tm2(℃)
JIS−K7121に準じて、PERKIN−ELMER社製Diamond−DSCを用いて測定した。測定条件は、窒素雰囲気下、試料約10mgを昇温速度20℃/minでサンプルの融点に応じて300〜350℃まで昇温したときに現れる吸熱ピーク(融解ピーク)の温度をTm1(℃)とし、昇温の最高温度の溶融状態で温度を2分間保った後、降温速度20℃/minで30℃まで降温し、30℃で2分間保持した後、昇温速度20℃/minで同様に昇温したときに現れる吸熱ピーク(融解ピーク)の最高ピーク温度を融点Tm2(℃)とし、その全ピーク面積を融解熱量ΔH(J/g)とした。なお、ピークが複数ある場合には、ΔHが1J/g以上のものをピークとみなした。例えば、融点295℃、ΔH=20J/gと融点325℃、ΔH=5J/gの二つのピークが存在する場合、融点Tm2は325℃とし、ΔH=25J/gとした。
(2)トランス異性体比率
ポリアミド30〜40mgをヘキサフルオロイソプロパノール重水素化物1.2gに溶解し、1H−NMRで測定した。1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の場合、トランス異性体に由来する1.98ppmのピーク面積とシス異性体に由来する1.77ppmと1.86ppmのピーク面積の比率からトランス異性体比率を求めた。
(3)ガラス転移温度Tg(℃)
JIS−K7121に準じて、PERKIN−ELMER社製Diamond−DSCを用いて測定した。測定条件は、試料をホットステージ(Mettler社製EP80)で溶融させて得られた溶融状態のサンプルを、液体窒素を用いて急冷し、固化させ、測定サンプルとした。そのサンプル10mgを用いて、昇温スピード20℃/minの条件下、30〜350℃の範囲で昇温して、ガラス転移温度を測定した。
(4)環状アミノ末端量
ポリマー末端に結合した環状アミノ基の量は、1H−NMRを用いて測定した。窒素の複素環の窒素原子に隣接する炭素に結合する水素のシグナル(化学シフト値3.5〜4.0ppm)とポリアミド主鎖のアミド結合の窒素原子に隣接する炭素に結合する水素のシグナル(化学シフト値3.0〜3.5ppm)の積分比を用いて算出した。その際に使用する、総末端数はGPC(ヘキサフルオロプロパノール溶媒、PMMA標準サンプル換算)で測定したMnを用いて、2/Mn×1000000(μ当量/g)として計算した。
(5)25℃の硫酸相対粘度ηr
JIS−K6810に準じて実施した。具体的には、98%硫酸を用いて、1%の濃度の溶解液((ポリアミド1g)/(98%硫酸100mL)の割合)を作成し、25℃の温度条件下で測定した。
(6)酸化チタンの強熱減量
酸化チタンを120℃で4時間乾燥させて、表面の付着水分を除去した後、デシケーター中で30分間静置し冷却した。続いて、磁性るつぼに約10g精秤し、650℃の電気炉にて2時間加熱した。加熱後、デシケーター中で30分間静置し冷却した後、重量を測定した。加熱前後の重量減少率を算出し、強熱減量とした。
(7)曲げたわみ量(mm)
実施例及び比較例で得られたポリアミド組成物ペレットを、射出成形機[PS−40E:日精樹脂株式会社製]を用いて、射出+保圧時間10秒、冷却時間15秒、金型温度を120℃、溶融樹脂温度を(A)ポリアミドのTm2+20℃に設定し、長さ128mm×巾12.8mm×厚さ0.7mmの短冊状成形片を成形した。
得られた試験片を用いて、スパン間距離28mm、圧縮速度5mm/minにて曲げ試験を行い、最大荷重時のたわみ量を測定した。
(8)スパイラルフロー長(cm)
実施例及び比較例で得られたポリアミド組成物ペレットを、射出成形機[IS−100GN:東芝機械株式会社製]を用いて、射出+保圧時間10秒、冷却時間15秒、金型温度を120℃、溶融樹脂温度を(A)ポリアミドのTm2+20℃に設定し、射出速度を100mm/s、射出圧力を100MPaにて、巾10mm、厚さ1.0mmのスパイラルフロー金型にて成形し、その流動長を測定した。
(9)白色度
実施例及び比較例で得られたポリアミド組成物ペレットを、射出成形機[PS−40E:日精樹脂株式会社製]を用いて、射出+保圧時間10秒、冷却時間15秒、金型温度を120℃、溶融樹脂温度を(A)ポリアミドのTm2+20℃に設定し、長さ60mm×巾60mm×厚さ2.0mmの成形片を成形した。
得られた成形片を、分光色差計[SE6000:日本電色工業株式会社製]を用いて、JIS Z8730に準拠し、ハンターの色差式による明度(L値)、赤色度(a値)、黄色度(b値)を求め、白色度(W)を算出した。
W=100−[(100−L)2+a2+b2]1/2
(10)熱処理後の白色度
上記により得られた長さ60mm×巾60mm×厚さ2.0mmの成形片を、160℃の熱風乾燥機中で24時間加熱処理した。処理後の試験片を上記と同様にして色差計により色調を測定し、白色度を算出した。
(11)押出加工性
実施例及び比較例で得られたポリアミド樹脂組成物ペレット3kgを金属バットに広げ、目視にて目やに起因の異物の数を測定した。
(12)加工時の発生ガス
実施例及び比較例にてポリアミド組成物を作成する際に、ダイスからの発生ガス量を目視で観察した。発生ガスがほとんどないものを○、若干ガスがでているものを△、多いものを×とした。
(13)フィルム加工性
実施例及び比較例で得られたポリアミド組成物ペレットを、シリンダーの温度、Tダイス(幅:40cm)の温度を(A)ポリアミドのTm2+20℃に設定したスクリュー径40mmの単軸押出機を用いて、スクリュー回転数30rpm、吐出量6kg/hで押出しシート成形を行った。このときシートが50μmの厚さになるようにTダイスのクリアランス、シートの引き取り速度を調整した。得られたシートを100mm×100mmに切り出し、縦横それぞれ20mm間隔で線を引き目印として、交点となる16箇所の厚みを測定し、厚みムラを測定した。厚みムラは、最大厚みと最小厚みの差(y)を、厚みの平均値(x)で除して求めた。
厚みムラ=y/x×100(%)
厚みムラが5%未満である場合を○、5%以上10%未満である場合を△、10%以上である場合を×とした。
(14)成形滞留安定性
実施例及び比較例で得られたポリアミド組成物ペレットを、射出成形機[PS−40E:日精樹脂株式会社製]を用いて、射出+保圧時間10秒、冷却時間15秒、金型温度を120℃、溶融樹脂温度を(A)ポリアミドのTm2+20℃に設定し、長さ128mm×巾12.8mm×厚さ0.7mmの短冊状成形片を成形した。20ショット連続的に射出成形した後、ノズルを金型から離して30秒間放置したときの、成形機ノズル先端からの樹脂垂れ量を測定した。
ポリアミド
[製造例1]
以下に述べる「熱溶融重合法」によりポリアミドの重合反応を実施した。
(a)CHDA896g(5.20モル)、及び(b)2MPD604g(5.20モル)を蒸留水1500gに溶解させ、原料モノマーの等モル50質量%の水混合液を作成した。
得られた水混合液と、溶融重合時の添加物である、2MPD21g(0.18モル)を内容積5.4Lのオートクレーブ(日東高圧製)に仕込み、液温(内温)が50℃になるまで保温して、オートクレーブ内を窒素置換した。オートクレーブの槽内の圧力が、ゲージ圧として(以下、槽内の圧力は全てゲージ圧として表記する。)、約2.5Kg/cm2になるまで加熱を続けた(このとき液温は約145℃までであった)。槽内の圧力を約2.5Kg/cm2に保つため水を系外に除去しながら、加熱を続けて、水溶液の濃度が約85%になるまで濃縮した。水の除去を止め、槽内の圧力が約30Kg/cm2になるまで加熱を続けた。槽内の圧力を約30Kg/cm2に保つため水を系外に除去しながら、最終温度−50℃になるまで加熱を続けた。さらに加熱は続けながら、槽内の圧力を60分間かけて大気圧(ゲージ圧は0Kg/cm2)になるまで降圧した。樹脂温度(液温)の最終温度が約345℃になるようにヒーター温度を調整した。樹脂温度はその状態のまま、槽内を真空装置で100torrの減圧下に10分維持した。その後、窒素で加圧し下部紡口(ノズル)からストランド状にし、水冷、カッティングを行いペレット状で排出して、ポリアミドを得た。得られたポリアミドを窒素気流中で乾燥し水分率を約0.2質量%未満に調整してから、上記測定方法に基づいて行った測定結果(融点Tm2、ガラス転移温度Tg、トランス異性体比率、25℃の硫酸相対粘度、環状アミノ末端量)を表1に示す。尚、重合は測定評価、実施例に必要な量を確保するように繰り返し同じ条件で行い、全てを混合して使用した。
[製造例2]
製造例1に記載の溶融重合を用いて得られたポリアミドについて、さらに以下に述べる「固相重合」を実施した。
溶融重合で得られたポリアミドペレット10Kgを円錐型リボン真空乾燥機(株式会社大川原製作所製、商品名リボコーンRM−10V)に入れ、十分に窒素置換を行った。1L/分で窒素を流したまま、攪拌を行いながら260℃で6時間の加熱を行った。その後、窒素を流通したまま温度を下げていき約50℃になったところでペレットのまま装置から取り出し、ポリアミドを得た。得られたポリアミドの上記測定方法に基づいて行った測定結果を表1に示す。
[製造例3及び6、比較製造例1及び2]
製造例1において、(a)ジカルボン酸、(b)ジアミンとして、表1に記載の化合物と量を用いたことと、樹脂温度の最終温度を表1に記載の温度にしたこと以外は、製造例1に記載した方法でポリアミドの重合を行った(「熱溶融重合法」)。
得られたポリアミドの上記測定方法に基づいて行った測定結果を表1に示す。
[製造例4及び5]
製造例1において、(a)ジカルボン酸、(b)ジアミンとして、表1に記載の化合物と量を用いたことと、樹脂温度の最終温度を表1に記載の温度にしたこと以外は、製造例1に記載した方法でポリアミドの溶融重合を行った後、固相重合温度、固相重合時間を表1に記載の条件にした以外は、製造例2と同様にして固相重合を行った。
得られたポリアミドの上記測定方法に基づいて行った測定結果を表1に示す。
[比較製造例3]
ポリアミド9T(以下、「PA9T」と略記する)を、特開平7−228689号公報の実施例1に記載された方法に従って製造した。その際、テレフタル酸単位をジカルボン酸単位とした。一方、1,9−ノナメチレンジアミン単位及び2−メチルオクタメチレンジアミン単位[1,9−ノナメチレンジアミン単位:2−メチルオクタメチレンジアミン単位=80:20(モル比)]をジアミン単位とした。
上記の原料を20リットル容のオートクレーブに入れ、窒素で置換した。100℃で30分間撹拌し、2時間かけて内部温度を210℃まで昇温した。その際、オートクレーブは22kg/cm2まで昇圧した。そのまま1時間反応を続けた後230℃に昇温し、その後2時間、230℃で恒温し、水蒸気を徐々に抜いて圧力を22kg/cm2に保ちながら反応させた。次に、30分かけて圧力を10kg/cm2まで下げ、さらに1時間反応させて、プレポリマーを得た。これを、100℃、減圧下で12時間乾燥し、2mm以下の大きさまで粉砕した。これを230℃、0.1mmHg下にて、10時間固相重合し、PA9Tを得た。ここで、ηrは2.59であった。
ポリアミド組成物
[実施例1〜6、比較例1〜3]
製造例又は比較製造例のポリアミドを窒素気流中で乾燥し水分率を約0.2質量%に調整して用いた。押出機上流側から1番目のバレルに上流側供給口を有し、9番目のバレルに下流側供給口を有した、L/D(押出機のシリンダーの長さ/押出機のシリンダー径)=48(バレル数:12)の二軸押出機[ZSK−26MC:コペリオン社製(ドイツ)]を用いて、上流側供給口からダイまでを製造例にて製造した(A)ポリアミドのTm2+20℃に設定し、スクリュー回転数250rpm、吐出量25kg/hで、表2記載の割合となるように、上流側供給口よりポリアミド、酸化チタン、アミン系光安定剤、フェノール系熱安定剤、リン化合物、核剤をドライブレンドした後に供給し、下流側供給口よりガラス繊維を供給して溶融混練しポリアミド組成物ペレットを作製した。
得られたポリアミド組成物を窒素気流中で乾燥し、水分を500ppm以下にした後、成形し、各種評価を実施した。物性値を組成と共に表2に示す。
表2の結果から、少なくとも50モル%の脂環族ジカルボン酸と少なくとも50モル%の主鎖が分岐構造のジアミンを含むポリアミドと酸化チタンを含む組成物は、曲げたわみ量が大きく靭性に優れ、スパイラルフロー長が長く流動性に優れることを確認した。また、白色度や熱処理後の白色度が高いことから、色調の熱安定性に優れ、押出加工時の異物や発生ガスが少ないことも確認した。さらに、成形時の滞留安定性も優れることを確認した。
[実施例7〜14、比較例4]
製造例のポリアミドを窒素気流中で乾燥し水分率を約0.2質量%に調整して用いた。押出機上流側から1番目のバレルに上流側供給口を有し、6番目のバレルに下流側第1供給口、9番目のバレルに下流側第2供給口を有した、L/D(押出機のシリンダーの長さ/押出機のシリンダー径)=48(バレル数:12)の二軸押出機[ZSK−26MC:コペリオン社製(ドイツ)]を用いて、上流側供給口からダイまでを製造例にて製造した(A)ポリアミドのTm2+20℃に設定し、スクリュー回転数250rpm、吐出量25kg/hで、表3記載の割合となるように、上流側供給口よりポリアミド、アミン系光安定剤、フェノール系熱安定剤、リン化合物、核剤をドライブレンドした後に供給し、下流側第1供給口より酸化チタン、下流側第2供給口よりガラス繊維を供給して溶融混練しポリアミド組成物ペレットを作製した。
得られたポリアミド組成物を窒素気流中で乾燥し、水分を500ppm以下にした後、成形し、各種評価を実施した。物性値を組成と共に表3に示す。
表3の結果から、酸化チタンとして、平均粒子径が0.1〜0.8μmのものを使用することで、色調の熱安定性に優れ、押出加工時の異物や発生ガスが少ないことも確認した。さらに、成形時の滞留安定性も優れることも確認した。
[実施例15〜19、比較例5及び6]
製造例のポリアミドを窒素気流中で乾燥し水分率を約0.2質量%に調整して用いた。押出機上流側から1番目のバレルに上流側供給口を有し、6番目のバレルに下流側供給口を有した、L/D(押出機のシリンダーの長さ/押出機のシリンダー径)=48(バレル数:12)の二軸押出機[ZSK−26MC:コペリオン社製(ドイツ)]を用いて、上流側供給口からダイまでを製造例にて製造した(A)ポリアミドのTm2+20℃に設定し、スクリュー回転数250rpm、吐出量25kg/hで、表4記載の割合となるように、上流側供給口よりポリアミド、フェノール系熱安定剤をドライブレンドした後に供給し、下流側供給口より酸化チタンを供給して溶融混練しポリアミド組成物ペレットを作製した。
得られたポリアミド組成物を窒素気流中で乾燥し、水分を500ppm以下にした後、成形し、各種評価を実施した。物性値を組成と共に表4に示す。
表4の結果から、少なくとも50モル%の脂環族ジカルボン酸と少なくとも50モル%の主鎖が分岐構造のジアミンを含むポリアミドと平均粒子径が0.1〜0.8μmの酸化チタンを含む組成物は、押出加工時の発生ガスが少なく、さらにフィルム加工性に優れることを確認した。
[実施例20〜23、比較例7〜9]
製造例のポリアミドを窒素気流中で乾燥し水分率を約0.2質量%に調整して用いた。押出機上流側から1番目のバレルに上流側供給口を有し、6番目のバレルに下流側第1供給口、9番目のバレルに下流側第2供給口を有した、L/D(押出機のシリンダーの長さ/押出機のシリンダー径)=48(バレル数:12)の二軸押出機[ZSK−26MC:コペリオン社製(ドイツ)]を用いて、上流側供給口からダイまでを製造例にて製造した(A)ポリアミドのTm2+20℃に設定し、スクリュー回転数250rpm、吐出量25kg/hで、表5記載の割合となるように、上流側供給口よりポリアミド、アミン系光安定剤、フェノール系熱安定剤、リン化合物、核剤をドライブレンドした後に供給し、下流側第1供給口より酸化チタン、下流側第2供給口よりウォラストナイトまたはタルクを供給して溶融混練しポリアミド組成物ペレットを作製した。
得られたポリアミド組成物を窒素気流中で乾燥し、水分を500ppm以下にした後、成形し、各種評価を実施した。物性値を組成と共に表5に示す。
表5の結果から、無機充填材として、ウォラストナイトやタルクを用いた場合においても、少なくとも50モル%の脂環族ジカルボン酸と少なくとも50モル%の主鎖が分岐構造のジアミンを含むポリアミドと酸化チタンを含む組成物は、曲げたわみ量が大きく靭性に優れ、スパイラルフロー長が長く流動性に優れることを確認した。また、押出加工時の異物が少ないことも確認した。