JP5485602B2 - 冷凍システム - Google Patents

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Description

本発明は、凝縮用熱変換装置を用いた冷凍システムに関する。
従来、圧縮機から吐出する高温・高圧冷媒ガスを等圧変化により冷却する等圧冷却部と、等圧冷却部で一部液化した残りのガス冷媒を冷媒の加速現象によって減圧、及びエンタルピ減少を伴って液化する減圧液化部と、減圧液化部を経た冷媒を冷媒の加速現象によって減圧、及びエンタルピ減少を伴って冷却する減圧冷却部と、を含んで構成された、凝縮用熱変換装置を用いた冷凍システムが知られている(特許文献1参照。)。
この種の冷凍システムは、凝縮用熱変換装置の最終過程で、冷媒がPh線図で飽和液線に沿った状態で減圧して蒸発器に送られるため、従来のものに比して、仕事量が増して、冷却効率が格段に向上するという利点が得られる。
PCT/JP2006/318947
しかしながら、特許文献1には、凝縮用熱変換装置を構成する等圧冷却部、減圧液化部、及び減圧冷却部の配置構成に関する開示がなく、間違った配置構成が行われた場合、大きな冷却効率を期待できなくなる欠点がある。
そこで、本発明の目的は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、大きな冷却効率が期待できる配置構成を提供することにある。
本発明は、圧縮機、凝縮用熱変換装置、蒸発器を備え、前記凝縮用熱変換装置が、前記圧縮機から吐出する高温・高圧冷媒ガスを等圧変化により冷却する等圧冷却部と、前記等圧冷却部で一部液化した残りのガス冷媒を冷媒の加速現象によって減圧、及びエンタルピ減少を伴って液化する減圧液化部と、前記減圧液化部を経た冷媒を冷媒の加速現象によって減圧、及びエンタルピ減少を伴って冷却する減圧冷却部と、を含んで構成され、前記減圧冷却部が、前記蒸発器の入口近くに接続された、ことを特徴とする。
この発明では、凝縮用熱変換装置の減圧冷却部が、比較的低温部の蒸発器の入口近くに接続されているため、冷却効率が向上する。
前記減圧冷却部が、前記蒸発器の入口から1m以内に接続されていてもよい。
前記冷凍システムが車載の冷凍システムであって、前記蒸発器及び前記減圧冷却部が、車両のキャビン内に配置されていてもよい。
前記冷凍システムが室内を空調する冷凍システムであって、前記蒸発器及び前記減圧冷却部が、室内ユニットに配置されていてもよい。
前記冷凍システムが冷蔵庫、冷凍庫、或いはショーケースの庫内を冷却する冷凍システムであって、前記蒸発器及び前記減圧冷却部が、前記庫内に配置されていてもよい。
これらの発明では、減圧冷却部が、例えば外気温やエンジンの放熱などの熱的影響を受けにくい部位に配置されるため、減圧冷却部では、圧縮機の吸引作用等により、冷媒の加速現象が起きて、減圧、及びエンタルピ減少を伴って、液化冷媒が冷却され、従って、減圧冷却部出口では、減圧され、冷却されて低温の液体となり、減圧冷却部の冷媒は、例えば、飽和液線Lにほぼ沿った状態で変化し、大きな仕事量が得られる。
また、前記減圧液化部が、前記等圧冷却部に送風する送風機の投影面内に配置されていてもよい。これにより、冷却能力がさらに向上する。
本発明は、凝縮用熱変換装置の減圧冷却部が、比較的低温部の蒸発器の入口近くに接続されているため、冷却の効率が向上する。
また、減圧冷却部が、例えば外気温やエンジンの放熱などの熱的影響を受けにくい部位に配置されるため、減圧冷却部では、圧縮機の吸引作用等により、冷媒の加速現象が起きて、減圧、及びエンタルピ減少を伴って、液化冷媒が冷却され、従って、その出口では減圧され、冷却されて低温の液体となり、減圧冷却部の冷媒は、例えば、飽和液線Lにほぼ沿った状態で変化し、大きな仕事量が得られる。
本発明の一実施の形態を示す構成図である。 冷凍システムを車両に搭載した状態を示す図である。 本発明の一実施の形態による冷凍システムのP−h線図である。 a〜eは凝縮用熱変換装置を構成する主要構成要素の平面図である。 冷凍システムを空気調和機に搭載した状態を示す図である。 冷凍システムを冷蔵庫に搭載した状態を示す図である。 冷凍システムをショーケースに搭載した状態を示す図である。 螺旋状管の配置構成を示す図である。
以下、本発明の実施形態の好ましい例について添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施の形態に係る凝縮用熱変換装置30を用いた冷凍システムの冷凍サイクルの構成図である。ここで、「熱交換装置」と「熱変換装置」の用語は、区別して使用する。冷凍システムは圧縮機1とミニ熱交換装置(等圧冷却部)3と螺旋状管(減圧液化部)6と螺旋状細管(減圧冷却部)8と蒸発器11とを要素機器として備え、それらの機器を冷媒配管2、4A,4B、10、サクション管12、大短管(膨張部)5、分岐管(膨張部)7、集合管(膨張部)9によって接続し、冷媒を矢印21の方向に循環させる事によって冷凍機能が具現されている。なお、ミニ熱交換装置3、或いは後述するミニファン(送風機)3−1の「ミニ」は「小型」の意味であり、従来に比べて凝縮器が小さくできる本発明の特徴を明確にするために用いている。この冷凍システムでは、従来の冷凍システムにおける膨張弁が不要である。従来の凝縮器、及び膨張弁に相当する部分が、凝縮用熱変換装置30としてミニ熱交換装置3、冷媒配管4A,4B、大短管5、螺旋状管6、分岐管7、螺旋状細管8、及び集合管9で構成される。
圧縮機1、蒸発器11は、現行の冷凍システムに使用される物と構造・機能が基本的に変わらないので、ここでは詳細な説明を省略し、本実施の形態の特徴である凝縮用熱変換装置30について詳細に説明する。
この冷凍システムは、図2に示すように、車両23に搭載されて、車室内を空調する装置であり、車両のエンジンルーム23A内に、圧縮機1と、凝縮用熱変換装置30の一部、即ち、ミニ熱交換装置(等圧冷却部)3、螺旋状管(減圧液化部)6が配置され、外気温やエンジンの放熱などの熱的影響を受けにくい、車両のキャビン23B内に、凝縮用熱変換装置30の残りの一部、即ち、分岐管(膨張部)7、螺旋状細管(減圧冷却部)8、集合管(膨張部)9と、蒸発器11とが配置されている。
ここで、キャビン23B内とは、例えばエンジンルーム23Aを仕切る仕切り板23Cよりキャビン側に位置するすべての空間を含むものとする。
この実施の形態では、少なくとも螺旋状細管(減圧冷却部)8が、短い冷媒配管10を介して、蒸発器11の入口11Aの近くに接続されている。ここで、冷媒配管10の長さは、長くても概ね1m以内が望ましく、さらに望ましくは冷媒配管10の長さが30cm以内、或いは入口11Aの直近に接続すればなお好ましい。
図3は、本実施の形態に係る凝縮用熱変換装置30を用いた冷凍システムの冷凍サイクルのP−h線図である。破線は、従来の一般サイクルを示し、実線は、本実施の形態のサイクルを示している。従来の一般サイクルでは、圧縮機による断熱圧縮(点a〜点b)、凝縮器による等圧変化の放熱による凝縮(点b〜点c)、膨張弁の絞り現象による等エンタルピ変化(点c〜点d)、蒸発器による等圧、等温膨張の吸熱による蒸発(点d〜点a)によりサイクルが完了している。
本実施の形態では、圧縮機1から高温(40℃以上)・高圧(0.6MPa以上)ガス状の冷媒が吐出され(点h〜点i)、凝縮用熱変換装置30を構成するミニ熱交換装置3で冷媒の一部(5〜50重量%)が液化する(点i〜点j)。
図1ではミニ熱交換装置3は冷媒の通るパイプに放熱ファンを設けた通常の空冷タイプを示したが、ミニ熱交換装置3はこのタイプに限らず、水冷タイプその他でもよいことは言うまでもない。従来の冷凍システムの凝縮器では圧縮機から吐出される高温・高圧ガスをほぼ全部液化するが、それに比べて本発明の凝縮用熱変換装置30のミニ熱交換装置3は高温・高圧ガスの一部を液化するので、非常に小型にすることが可能である。同じタイプの熱交換装置(凝縮器)を有する同じ冷却能力の冷凍システムで比較して、本実施の形態のミニ熱交換装置は従来の凝縮器の1/10程度にすることが可能である。
なお、ミニ熱交換装置3にはミニファン3−1が備えられており、後述するように、所定の運転状態になった場合に稼働して、熱交換能力を高めることができる。
ミニ熱交換装置3で一部液化された冷媒は、冷媒配管4A、大短管5を経て螺旋状管6に入る。冷媒流路の断面積で見ると、ミニ熱交換装置3を基準にして、一旦、大短管5で大きくなり、螺旋状管6では、ミニ熱交換装置3の断面積よりも小さくなる。
図4は大短管5、螺旋状管6、分岐管7、螺旋状細管8、及び、集合管9の形状を示す平面図である。大短管5の寸法は図4(a)に示すように中央の太い部分の長さL1が10〜50mm、内径D1が8〜20mmの円筒状である。その両端は冷媒配管4Aと螺旋状管6に接続されるので、その形状はそれぞれ冷媒配管4Aと螺旋状管6を挿入して、接続できる寸法の円筒状になっている。中央の太い部分の内径D1は冷媒配管4Aと螺旋状管6のいずれの内径よりも大きく設定されるのが好ましい。
螺旋状管6は図4(b)に示すように細管を螺旋伏に巻いた形態である。その内径や巻き数は、冷凍システムの冷凍能力等、様々な仕様から決定されるが、内径で2〜150mmまで許容し、望ましくは内径2〜50mm、実質的に最も望ましくは内径3〜8mmである。例えば、フロン冷媒R134aを用いた2000cal/h程度の冷凍機の揚合、細管の内径5mm、巻き数は23巻き、螺旋の径30mmで、細管の長さは2.3mである。なお、冷媒配管2、4の内径は7.7mm、冷媒配管10およびサクション管12の内径は10.7mmである。
一部液化した冷媒が螺旋状管6に入ると、圧縮機1の吸引作用等により、冷媒が加速されて(冷媒の加速現象という)、減圧、及びエンタルピ減少を伴って、液化量を増してほぼ液化し、螺旋状管6の出口では中圧(0.4〜0.6MPa)液冷媒となる(図3の点j〜点k)。螺旋状管6内での温度低下の主因は、螺旋状管6内において熱エネルギである冷媒のエンタルピが速度エネルギへ変換し、冷媒のエンタルピが減少し、静温度低下の現象の生起に至ったものと判断される。すなわち螺旋状管6はエンタルピを速度エネルギに変換するエネルギ変換デバイスを構成する。
上記螺旋状管6内の冷媒の流速は、本冷凍システムの設計において、ミニ熱交換装置3内の流速の2倍以上の設定が望ましい。
本構成では、上記減圧液化部を、螺旋状に巻いた螺旋状管6としたが、図3に示すように、減圧、及びエンタルピ減少を伴って、ガス冷媒をほぼ液化できる構成であれば、螺旋状管に限定されず、蛇行管や直管等でもよい。この場合には、蛇行管や直管の入口、或いは管の途中の複数箇所等に適宜の絞り手段を介装することが望ましい。いずれも減圧液化部では、放熱以外の手段によって、すなわちエンタルピの速度エネルギへの変換により、ガス冷媒がほぼ液化される。
螺旋状管6で中圧液冷媒となった冷媒は、冷媒配管4B、分岐管7を経て螺旋状細管8に入る。分岐管7は、図4(c)に示すように、1本の冷媒配管4Bから出る冷媒を2本の螺旋状細管8に分岐させる。分岐管7の主要部(太い部分)の長さL2は10〜50mm、内径D2は10〜20mmのほぼ円筒状である。冷媒配管4B、螺旋状細管8に接続される両端はそれぞれ冷媒配管4B、螺旋状細管8を挿入して、接続できる寸法の円筒状になっている。本実施の形態では、螺旋状細管8は2本の細管から形成されているので、分岐管7の螺旋状細管8接続側は2本の接続孔を有しているが、接続孔の数は螺旋状細管8を構成する細管の本数と一致させる。
例えば、内径D2は冷媒配管4B(又は螺旋状管6)と螺旋状細管8のいずれの内径よりも大きく設定されるのが好ましい。
螺旋状細管8は、図4(d)に示すように、螺旋状管6と同様に細管を螺旋状に巻いた形態である。螺旋状細管8の内径は螺旋状管6の内径よりも細く設定される。例えば、螺旋状管6の内径が、3〜8mmに設定された場合、螺旋状細管8の内径は、1.2〜3mmが望ましい。本実施の形態では、螺旋状に巻いたものを2本並列に接続しているが、3本以上を並列に接続してもよいし、1本でも可能である。また、巻き方向が異なる螺旋状細管の2本の直列に接続したもの、あるいは、それを更に並列に接続した形態でもよい。螺旋状細管8の冷媒の通る部分の断面積(複数本が並列に接続されている揚合は、複数本の断面積の合計)が螺施状管6の断面積より小さいことが好ましい。断面積を小さくすることによって、後述のように、冷媒は螺旋状細管8中をスピン回転し加速され、圧力が下がるため、冷却効果が高くなる。
例えば、2000cal/h程度の冷凍機の場合、細管の内径2.5mm、巻き数は19巻き、螺旋の径は15mmで、細管の長さは0.72mのものを2本で並列に接続して構成される。
ほぼ液化した冷媒が螺旋状細管8に入ると、圧縮機1の吸引作用等により、冷媒が加速されて(冷媒の加速現象という)、減圧、及びエンタルピ減少を伴って、液化冷媒が冷却される。螺旋状細管8出口では、減圧され、冷却されて低温の液体となり、圧力も下がり低圧(0.4MPa以下)液となる(図3の点k〜点l)。
螺旋状細管8内の冷媒は、図3に示すように、飽和液線Lに沿った状態で変化する。
この螺旋状細管8内での温度低下の主因も、螺旋状管6内での温度低下と同様に、熱エネルギである冷媒のエンタルピが速度エネルギへ変換し、エンタルピが減少し、静温度低下の現象の生起に至ったものと判断される。
すなわち、螺旋状細管8も、螺旋状管6同様に、冷媒のエンタルピを速度エネルギに変換するエネルギ変換デバイスを構成している。
上記螺旋状細管8内の冷媒の流速は、本冷凍システムの設計において、ミニ熱交換装置3内の流速の2倍以上で、螺旋状管6内の流速以上であることが望ましい。
本構成では、螺旋状細管8としたが、減圧、及びエンタルピ減少を伴って、液冷媒を冷却できる構成であれば、螺旋状に限定されず、蛇行管や直管等でもよい。この場合、蛇行管や直管の入口、或いは管の途中の複数箇所等に適宜の絞り手段を介装することが望ましい。いずれも本構成では、放熱以外の手段によって、すなわちエンタルピの速度エネルギへの変換により、液冷媒が冷却される。
螺旋状細管8により低温液体となった冷媒は集合管9、冷媒配管10を通り蒸発器11に送られる。集合管9は、図4(e)に示すように、2本の螺旋状細管8から出る冷媒を1本の冷媒配管10に集積する。集合管9の主要部(太い部分)の長さL3は10〜50mm、内径D3が8〜20mmのほぼ円筒形である。螺旋状細管8、冷媒配管10に接続される両端はそれぞれ螺旋状細管8、冷媒配管10を挿入して、接続できる寸法の円筒状になっている。本実施の形態では、螺旋状細管8は2本の細管から形成されているので、集合管9の螺旋状細管8接続側は2本の接続孔を有しているが、接続孔の数は螺旋状細管8を構成する細管の本数と一致させる。
例えば、内径D3は螺旋状細管8と冷媒配管10のいずれの内径よりも大きく設定されるのが好ましい。大短管5、螺旋状管6、分岐管7、螺旋状細管8、及び、集合管9の材質は高熱伝導率の金属、例えば銅である。
冷媒は先にフロン134a(CHFCF)を用いる例を示したが、用いる冷媒に制限はなく、引火に対する安全対策を行えばイソブタン(CH(CH)等のノンフロン冷媒を用いることもできる。
蒸発器11では、等圧、等温膨張の吸熱により、冷媒が蒸発し(図3の点l〜点h)、これにより図3のサイクルが完了する。
本発明者らは、車載用の冷凍システムにおいて、螺旋状細管8の配置構成が、間違って行われると、本来の冷却効率を期待できないという知見を得た。
第一に、この冷凍システムでは、螺旋状細管(減圧冷却部)8が、蒸発器11の入口11Aの近くに接続されると高効率であった。螺旋状細管8を配置する位置は、低温部であることが望ましく、蒸発器11の近傍は比較的低温部である。
第二に、この冷凍システムが、図2に示すように、車両23に搭載された場合には、車両のエンジンルーム23A内は、外気温やエンジンの放熱などの熱的影響を受けて、極めて高温になる。仮に、高温のエンジンルーム23A内に、螺旋状細管8が配置された場合には、エンタルピの速度エネルギへの変換により、液冷媒が冷却されるべきところ、逆に、エンジンルーム23A内の熱的影響を受けて、螺旋状細管8内におけるエンタルピ減少が少なくなり、図3に一点鎖線(点k〜点l1)で示すように、飽和液線Lよりも内側に傾いた状態で変化し、図3の例えば点l1で終端する。こうなると、仕事量がQ1からQ2に減少し、本来の冷却効率を期待できない。
この実施の形態では、外気温やエンジン放熱などの熱的影響を受けにくい、キャビン23B内に、少なくとも螺旋状細管(減圧冷却部)8が配置されるため、螺旋状細管8内では、圧縮機1の吸引作用等により、冷媒の加速現象が起きて、減圧、及びエンタルピ減少を伴って、液化冷媒が冷却され、従って、螺旋状細管8出口では、減圧され、冷却されて低温の液体となり、螺旋状細管8内の冷媒は、飽和液線Lにほぼ沿った状態で変化し、大きな仕事量Q1が得られる。なお、飽和液線Lにほぼ沿った状態とは、図示のように、飽和液線Lに対し、完全に沿った状態や、内側又は外側に若干ずれた状態を含むことは言うまでもない。
本サイクル中の凝縮用熱変換装置30では、等圧冷却部(ミニ熱交換装置3)で、冷媒の一部(5〜50重量%)を液化し(点i〜点j)、減圧液化部(螺旋状管6)で、冷媒が加速されて、減圧、及び冷媒エンタルピ減少を伴って、一部液化した残りのガス冷媒がほぼ液化し(点j〜点k)、減圧冷却部(螺旋状細管8)で、冷媒が加速されて、減圧、及び冷媒エンタルピ減少を伴って、ほぼ液化した冷媒が過冷却(点k〜点l)するため、冷凍サイクルのCOPが向上する。また、凝縮用熱変換装置30で冷媒を減圧するため、従来のように、細管(一般的には、内径0.8mm程度のキャピラリチューブ)や、膨張弁等の減圧機構が不要になり、冷凍サイクルを簡素化できる。さらに、減圧液化部(螺旋状管6)、及び減圧冷却部(螺旋状細管8)では、熱エネルギである冷媒エンタルピを速度エネルギへ変換し、冷媒エンタルピを減少し、静温度低下の現象の生起に至らせるため、放熱による場合に比べ、熱交換装置の小型化が図られる。
本構成では、凝縮用熱変換装置30を、等圧冷却部(ミニ熱交換装置3)、減圧液化部(螺旋状管6)、及び減圧冷却部(螺旋状細管8)で構成したが、減圧液化部(螺旋状管6)は、複数の螺旋状の管を直列接続して構成してもよく、この場合、図3の点j〜点kでは、複数屈曲点を持つサイクル線となる。減圧冷却部(螺旋状細管8)も、複数の螺旋状の管を直列接続して構成してもよく、この場合、図3の点k〜点lでは、複数屈曲点を持つサイクル線となる。
上記集合管9、分岐管7、及び大短管5は、それぞれ冷媒配管よりも内径が大きく形成される。冷媒は、圧縮機1により吸引され、これら管を通過するたびに、脈動現象に似た作用を受ける。各管は、上流の冷媒を下流に引き込み、これにより、冷媒が加速されると云える。分岐管7により、螺旋状管6の冷媒が下流に引き込まれ、集合管9により、螺旋状細管8の冷媒が下流に引き込まれ、引き込み作用を受けて、冷媒にスピン回転が与えられる。螺旋状細管8は、本実施形態では分岐管7からの螺旋状細管8の内部を流れる冷媒液を加速させ、減圧機能を行わせることが出来る。冷媒は螺旋状細管8の出口からは、低温低圧冷媒液となり、蒸発器11で熱を奪い、低圧気液混合冷媒(或いは完全に気化してもよい)となり、サクション管12を経て低圧気液冷媒として圧縮機1に戻り、圧縮機1のステータの熱を奪うことが出来る。
本冷凍サイクルは細管を用いて冷媒を高速で循環させるため、冷媒量が同一規模の従来技術による装置より少なくてよいので、従来のレシーバタンクが不要である。
一般に冷媒として用いられている代替フロンは、オゾン層の破壊はないものの、地球温暖化の原因となる物質であり、その使用量を低減できることは地球環境の保全に有効である。また、圧縮機の動力も低減でき省エネの観点からも好ましい。
また、螺旋状管6、螺旋状細管8が圧力を制限するので、膨張弁も不要となる。
これまでに説明したように、本実施の形態の冷凍サイクルでは、螺旋状管6、及び、螺旋状細管8をどのように減圧して、高温・高圧冷媒ガスを効率よく低温冷媒液にするかが設計上重要である。
従って、本発明において重要な構成要素部材である大短管5、螺旋状管6、分岐管7、螺旋状細管8、集合管9、及び、冷媒配管2、4A,4B、10、12は、用いられる金属の材質、管の長さ及び径、ピッチ及び巻き方向の各条件は、想定される運転条件で数々の試験を重ね、冷媒サイクルの各部の冷媒の温度、圧力等を測定して設定する。
具体的な冷凍サイクルの各部の冷媒の温度、圧力の例を以下に示す。図1の(A)から(K)の各温度、圧力は以下の通りである。冷媒はフロンR134aを用いた。
(A)中温・高圧冷媒ガス、0.7MPa、40℃、(B)高圧気液冷媒(90%ガス・10%液)、0.7MPa、38℃、(C)(D)高圧気液冷媒、0.7MPa、38℃、(E)中圧冷媒液、0.5MPa、22℃、(F)中圧冷媒液、0.5MPa、21℃、(G)低圧冷媒液、0.3MPa、8℃、(H)低圧冷媒液、0.07MPa、−25℃、(I)低圧冷媒液、0.07MPa、−25℃、(J)低圧気液冷媒、0.07MPa、−25℃、(K)低圧気液冷媒、0.07MPa、−15℃となる。
この場合、図1の各部の寸法は以下の通りである。
冷媒配管2、4の内径は7.7mm(断面積は46.5mm)、大短管5の太い部分は長さ30mm、内径10.7mm(断面積は89.9mm)、螺旋状管6は内径5mm(断面積は19.6mm)、長さ2.3mの細管を30mm径の螺旋状に23巻きしたものであり、分岐管7の太い部分の長さは30mm、内径は13.8mm(断面積は149.5mm)であり、螺旋状細管8を構成する2本の細管の内径は2.5mm(1本の細管の断面積は4.9mmで、2本合計では9.8mm)、長さ71cmの細管を15mm径の螺旋状に19巻きしたものであり、集合管9の太い部分の長さは30mm、内径は13.8mm(断面積は149.5mm)、冷媒配管10、及び、サクション管12の内径は10.7mm(断面積は89.9mm)である。
等圧冷却部(冷媒配管2、4)の断面積を基準とした場合、減圧液化部(螺旋状管6)、減圧冷却部(螺旋状細管8)の順に各断面積は徐々に小さくして、減圧液化部(螺旋状管6)の断面積は40〜50%、減圧冷却部(螺旋状細管8)の断面積は20〜30%に設定することが望ましい。
大短管5、螺旋状管6、分岐管7、螺旋状細管8、及び、集合管9の材質は銅である。
また、本実施の形態の冷凍サイクルでは、螺旋状管6、及び、螺旋状細管8は圧縮機1の吸引により減圧される。
従って、冷凍システムに過負荷がかかると、圧縮機1に過負荷がかかる。圧縮機1に備えられた温度センサ、あるいは圧縮機1から吐出された冷媒ガスの温度を計る温度センサが所定の温度を超えた場合には、過負荷であると制御部(図示せず)で判断し、ミニファン3−1が稼働し、ミニ熱交換装置3の冷媒液化能力を増強する。
図5は、上述した構成による凝縮用熱変換装置30を、室内32の空調用の冷凍システムに適用した実施の形態を示す。なお、図5では説明の便宜上、本冷凍システムにおける主要構成要素のみを図示し、他の要素の図示を省略している。
31は壁掛け型の室内ユニット、33は室外ユニットを示し、室外ユニット33に、圧縮機1と、凝縮用熱変換装置30の一部、即ち、ミニ熱交換装置(等圧冷却部)3、螺旋状管(減圧液化部)6が配置される。また、外気温などの熱的影響を受けにくい、室内ユニット31には、凝縮用熱変換装置30の残りの一部、即ち、分岐管(膨張部)7、螺旋状細管(減圧冷却部)8、集合管(膨張部)9と、蒸発器11とが配置される。
この実施の形態では、少なくとも螺旋状細管(減圧冷却部)8が、冷媒配管10を介して、比較的低温部の蒸発器11の入口11A近くに接続される。ここで、冷媒配管10の長さは、長くても概ね1m以内が望ましく、さらに望ましくは30cm以内、或いは入口11Aの直近に接続すればなお好ましい。
この構成では、上記の実施の形態と同様に、螺旋状細管8内では、外気温などの熱的外乱の影響を受けず、圧縮機1の吸引作用等により、冷媒の加速現象が起き、減圧、及びエンタルピ減少を伴って、液化冷媒が冷却され、従って、螺旋状細管8出口では、減圧され、冷却されて低温の液体となり、螺旋状細管8内の冷媒は、図3の飽和液線Lに沿った状態で変化し、大きな仕事量Q1が得られる。
室内空調用の冷凍システムでは、図示は省略したが、例えば、一台の室外ユニット33に対し、複数台の室内ユニット31が、いわゆるマルチ接続される場合がある。この場合であっても、一台の室外ユニット33に対し、圧縮機1と、凝縮用熱変換装置30の一部、即ち、ミニ熱交換装置(等圧冷却部)3、螺旋状管(減圧液化部)6が配置され、各室内ユニット31の側に、凝縮用熱変換装置30の残りの一部、即ち、分岐管(膨張部)7、螺旋状細管(減圧冷却部)8、集合管(膨張部)9と、蒸発器11とが配置される。このとき、螺旋状細管(減圧冷却部)8は、冷媒配管10を介して、低温部の各蒸発器11の入口11A近くに接続される。
図6は、凝縮用熱変換装置30を、冷蔵庫(又は冷凍庫、或いはショーケースなど)の庫内を冷却する冷凍システムに適用した実施の形態を示す。
なお、図6では説明の便宜上、本冷凍システムにおける主要構成要素のみを図示し、他の要素の図示を省略している。
41は冷蔵庫、43はコンデンシングユニットを示し、コンデンシングユニット43に、圧縮機1と、凝縮用熱変換装置30の一部、即ち、ミニ熱交換装置(等圧冷却部)3、螺旋状管(減圧液化部)6が配置される。
また、冷蔵庫41の庫内41Aには、凝縮用熱変換装置30の残りの一部、即ち、分岐管(膨張部)7、螺旋状細管(減圧冷却部)8、集合管(膨張部)9と、蒸発器11とが配置される。ここで、冷蔵庫41の庫内41Aとは、食品貯蔵部に限らず、冷却室41Bも含んでおり、コンデンシングユニット43以外の比較低温となるすべての空間を指し示す。44は仕切り板、45は食品載置棚、46は前扉である。
この実施の形態では、少なくとも螺旋状細管(減圧冷却部)8が、冷媒配管10を介して、低温部の蒸発器11の入口11A近くに接続される。ここで、冷媒配管10の長さは、長くても概ね1m以内が望ましく、さらに望ましくは30cm以内、或いは入口11Aの直近に接続すればなお好ましい。
この構成でも、図5の場合とほぼ同様の効果が得られる。
ショーケースの冷凍システムでは、図7に示すように、一台のコンデンシングユニット53に対し、例えば、複数台のオープンショーケース51が、いわゆるマルチ接続される場合がある。この場合には、一台のコンデンシングユニット53に対し、圧縮機1と、凝縮用熱変換装置30の一部、即ち、ミニ熱交換装置(等圧冷却部)3、螺旋状管(減圧液化部)6が配置され、各ショーケース51の側に、凝縮用熱変換装置30の残りの一部、即ち、分岐管(膨張部)7、螺旋状細管(減圧冷却部)8、集合管(膨張部)9と、蒸発器11とが配置される。このとき、螺旋状細管(減圧冷却部)8は、冷媒配管10を介して、低温部の各蒸発器11の入口11A近くに接続される。
なお、図7では説明の便宜上、本冷凍システムにおける主要構成要素のみを図示し、他の要素の図示を省略している。
この構成でも、図5の場合とほぼ同様の効果が得られる。
本発明者らは、以上の知見の他に、螺旋状管(減圧液化部)6を冷却することで、さらに冷却能力が向上することの知見を得た。
この場合の形態としては、図2に示すように、車両23に搭載する場合、この螺旋状管6を、ラジエータとしてのミニ熱交換装置(等圧冷却部)3の近傍に配置すればよい。図8に示すように、ミニ熱交換装置3のミニファン3−1の投影面内であって、例えばミニ熱交換装置3よりも風上に、螺旋状管6を配置すれば、ミニファン3−1からの送風により、螺旋状管6が効率よく冷却され、さらに冷却能力が向上する。ここで、ミニファン3−1の投影面内とは、図8に示すように、送風面の投影面内を指し、この投影面内の一部に螺旋状管6が位置すれば、螺旋状管6を図示のように横配列しても、或いは縦配列(不図示)してもよく、さらには斜め配列してもよい。図5の場合には、室外ユニット33内において、また、図6の場合には、コンデンシングユニット43内において、さらに、図7の場合には、一台のコンデンシングユニット53内において、それぞれミニ熱交換装置3のミニファン3−1の投影面内であって、例えばミニ熱交換装置3よりも風上に、螺旋状管6を配置すれば、ミニファン3−1からの送風により、螺旋状管6が効率よく冷却され、冷却能力が向上する。
1 圧縮機
3 ミニ熱交換装置(等圧冷却部)
6 螺旋状管(減圧液化部)
8 螺旋状細管(減圧冷却部)
11 蒸発器
23 車両
23A エンジンルーム
23B キャビン
31 室内ユニット
33 室外ユニット
41 冷蔵庫
43 コンデンシングユニット
51 ショーケース
53 コンデンシングユニット

Claims (6)

  1. 圧縮機、凝縮用熱変換装置、蒸発器を備え、
    前記凝縮用熱変換装置が、
    前記圧縮機から吐出する高温・高圧冷媒ガスを等圧変化により冷却する等圧冷却部と、
    前記等圧冷却部で一部液化した残りのガス冷媒を冷媒の加速現象によって減圧、及びエンタルピ減少を伴って液化する減圧液化部と、
    前記減圧液化部を経た冷媒が螺旋状に回転しながら通過するように構成された配管を備え、前記配管を通過する冷媒を冷媒の加速現象によって減圧、及びエンタルピ減少を伴って冷却し、減圧に伴い液冷媒の一部がガス化する減圧冷却部と、を含んで構成され、
    前記減圧冷却部が、前記蒸発器の入口近くに接続され、前記減圧冷却部においてガス化した冷媒が前記蒸発器へ流入する
    ことを特徴とする冷凍システム。
  2. 前記減圧冷却部が、前記蒸発器の入口から1m以内に接続された、ことを特徴とする請求項1に記載の冷凍システム。
  3. 前記冷凍システムが車載の冷凍システムであって、
    前記蒸発器及び前記減圧冷却部が、車両のキャビン内に配置された、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の冷凍システム。
  4. 前記冷凍システムが室内を空調する冷凍システムであって、
    前記蒸発器及び前記減圧冷却部が、室内ユニットに配置された、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の冷凍システム。
  5. 前記冷凍システムが冷蔵庫、冷凍庫、或いはショーケースの庫内を冷却する冷凍システムであって、
    前記蒸発器及び前記減圧冷却部が、前記庫内に配置された、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の冷凍システム。
  6. 前記減圧液化部が、前記等圧冷却部に送風する送風機の投影面内に配置された、ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の冷凍システム。
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