JP5484346B2 - 空力抵抗を低減するデバイス - Google Patents

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Description

本発明は、宇宙往還機(space plane)などの宇宙機(spacecraft)のロケットエンジンがまだ使用されていないが、大気圏/非大気圏移行飛行フェーズおよびその後の非大気圏飛行フェーズでこれらのエンジンが動作可能となる、飛行フェーズにおいて、これらのロケットエンジンによって引き起こされる空力抵抗を低減するデバイスに関する。
詳細には、当該デバイスは、大気圏飛行用の従来の航空エンジンと、大気圏の外側で飛行するためのロケット推進とを含む、宇宙ビークルに適用される。
ビークルの後部セクションが原因で生じる、運動に対するビークルの抵抗力は、ベース抗力として知られている。
運動するビークルの後部プロファイルに従うのが困難な流体の流れは、ビークルの後方で乱流になり、その乱流が、ビークルの後部で圧力を低下させ、ビークルの前進運動に対する強い抵抗力を生み出す。
ビークルの後部抗力を低減する受動的な解決策が存在しており、特に、文献DE4101960に例えば記載されている可膨張式ブラダーを用いて、文献EP0273850に例えば記載されている流れ偏向プロファイルを追加することによって、文献US6297486のように1つまたは複数の環状付属物を追加することによって、文献US6926345のように側方デフレクタを追加することによって、ビークルの後部プロファイルが円錐体として実現される、解決策が知られている。
他の実現は、文献US4411399に記載されている可動スラットや、凹部を満たすためのビークル後部への流体の注入など、能動的な手段に基づく。
ジェットエンジンによって推進される航空ビークルは、ジェットパイプ推進ノズルをもたらしており、ジェットエンジンは、噴射されるガスのジェットがビークルの空気力学的プロファイルに役割を果たすので、小さな量の抗力しか生み出さない。
対照的に、使用されていないエンジンは、膨大な量の抗力(ビークルの全抗力の最大3分の1まで)を生み出す。
その理由から、例えば、現在就航しているアメリカのスペースシャトルが飛行機によって輸送されるときには、そのスペースシャトルは、そのロケットエンジンのノズルをマスクする円錐形の後部カバーを装備する。
他方で、ロケットエンジンに点火する前にこのカバーを投棄する必要があり、そのため、破片がシャトルまたはブースターに損傷を与えることがないように保証する面倒な放出デバイスの設計が必要となるので、このシャトルが打ち上げられるときにはこのカバーを使用することができない。
同様に、着脱可能な能動的デバイスは、重量が重く、それらを操作するデバイスを必要とするので、宇宙往還機に使用するのは困難である。
さらに、これらのシステムは、大気圏飛行中に行われるロケットエンジン点火時にそれら自体がさらなる抗力を生み出さずに展開されなければならないので、実装が複雑である。
同様に、能動的な流体注入デバイスを使用するには、流体をビークル内で運ぶ必要があり、そのビークルの有効搭載量を低減することになる。
この従来技術から始めて、本発明の目的は、軽量で、単純で、ロケットエンジンの始動を妨げず、展開の問題を引き起こさず、破片の突出(projections of debris)およびこの破片が地面に向かって落下する危険を回避する、ロケットエンジンノズルカウリングデバイスを実現することである。
この実現のために、本発明は、ビークルの胴体の後部を越えて突き出た、ビークルの胴体の後部から遠く離れるにつれて幅が広くなるジェットパイプ推進ノズルを備える、少なくとも1つのエンジンを装備した、ビークルの空力抵抗を低減するデバイスであって、ノズルの少なくとも一部分をマスクする、エンジンが点火された後にノズルの流れの中で除去されるように設計された吸収可能材料製の少なくとも1つの要素を含む、デバイスを提案する。
本発明の他の特徴および利点は、諸図面を参照して本発明の非限定的な実現例についての説明を読めば、よりよく理解される。
本発明によるデバイスを含む宇宙往還機の分解組立略図である。 本発明によるデバイスの実現例の片側断面図である。 エンジン点火後の本発明のデバイスのマスキング要素の燃焼による開放を、時間の関数として表す図である。 航空機胴体への本発明のデバイスの設置の概略断面図である。
本発明は、宇宙往還機や宇宙発射装置(space launcher)などのビークル1の空力抗力を低減するデバイスを提案する。
本発明の原理は、ロケットエンジンが点火されたときにそのロケットエンジン自体によって除去できる受動的デバイスを使用することである。受動的デバイスは、また、その設計を通じてその信頼性が得られる、非常に軽量な解決策を提供することができる。
本発明のデバイスは、破片が地面に落下する危険を回避するように、ロケットエンジンの適正な点火と、点火後のデバイスの完全な除去とを可能にするように設計される。
図1に描かれた例は、宇宙往還機の胴体4の後部を越えて突き出たジェットパイプ推進ノズル3を備える少なくとも1つのエンジン2を装備した、宇宙往還機である。
エンジンのジェットパイプ推進ノズルは、従来知られているように、ビークルの胴体の後部から遠く離れるにつれて幅が広くなる。
マスキングデバイスは、吸収可能材料、すなわち、エンジンが点火された後にノズルの流れの中で溶解または除去される(燃焼、昇華、液化、粉砕、または他の熱破壊現象によって)ように設計された、熱流にさらされたときに燃焼、融解、昇華、または分解によって除去される材料製の、少なくとも1つのマスキング要素5を含む。
マスキング要素は、ノズルの少なくとも一部分、すなわち、図2に描かれるようにノズル3の後部を覆う。
この例によれば、胴体は、エンジンの燃焼室10の周りを延び、前記エンジンのノズル(3)の少なくとも一部分の周りを延びる。
当該デバイスは、ビークルの胴体によってマスクされないノズルの部分を覆うように、また、大気圏飛行フェーズにおけるビークルの抗力を低減する円錐形によってこの胴体を延ばすように、ビークルの胴体の後端のところでこの胴体に取り付けられる。
図4は、航空機胴体4への本発明のデバイスの設置の概略断面図を与える。
マスキング要素は、着脱可能な固定手段11によってビークルの胴体4の後部にしっかり固定される。
着脱可能な固定手段11は、それらを再使用できるよう、取り外されるように設計されており、図4に描かれた例によれば、着脱可能な固定手段は、マスキング要素がその上に貼着またはオーバーモールドされるリング要素12と、1組のナットおよびボルト13とを含む。
胴体へのリングの固定は、また、図示していないトグルファスナのシステムによって達成することもできる。
着脱可能な固定手段11は、マスキング要素の燃焼後にビークルの胴体に固定されたままであり、それらの固定手段に新しいマスキング要素を再装備するために、またはそれらの固定手段を交換するために、宇宙往還機の帰還後に取り外される。
図2および図4に断面で示されたマスキング要素5は、ノズル3を越えて外部へとビークルの胴体を延長させる、胴体から遠く離れるにつれてその直径が小さくなる、全体的に円錐形のカバーである。
図1および図4の例によれば、胴体は、エンジンの燃焼室10と、ここでは前記エンジンのノズル3の少なくとも一部分との周りを延びており、マスキング要素は、胴体によってマスクされないノズルの部分を取り囲む。
本発明の状況では、エンジンおよびノズルの一部分を胴体によって取り囲まないことが決定された場合、より長いマスキング要素を提供することが明らかに可能である。
カバーは、ノズルの後方で閉じられるのではなく、エンジン点火の開始時に高温ガスを流出させ、出てくるエンジンのジェットを妨害しないようにするために、ノズル開口部とは反対側に遠位開口部7を含む。
図2に示したように、遠位開口部は、可能な最も効率的な空気力学的プロファイルを保持するために、また、エンジン点火後すぐに高温ガスがマスキング要素を燃やし始めるように、ノズルの開口部に対して小さな直径を有する。
その断面積は、エンジン点火のための要件と抗力との間の妥協である。
図1による変形形態では、遠位開口部は、エンジンがまだ点火されていないビークルの飛行の一部分の間にエンジンを換気させるように、またエンジンのジェットを作り出せるように設計された、カバーの軸内の直径の小さいチャンネル8の一部分である。
選択される吸収可能材料6は、好ましくは、低密度の、したがって非常に軽量であるが、空気力学的制約および航空機の飛行による振動に耐えるように十分に剛性の、発泡材料である。
カバーの吸収可能材料は、その材料が軽量であるように、また、その材料をノズルからのジェットの効果によって吸収できるように選択される。この材料は、発泡材料、特に、発泡ポリスチレン、メラミン発泡体、発泡PVC、ポリウレタン発泡体、または軽量で抵抗力のある他の吸収可能材料の中から選択することができる。
航空学の標準的な方法では、カバーの内部形状は、その剛性を高めるようにリブ構造(ribbing)14を含む。
材料は、保護された環境によってさらに利益を得るエンジンの点火が、カバーを非常に急速に融解させて気化させるような温度および流量のジェットを生み出すように選択される。実際には、このカバーは、好ましくは、安定な推進速度が達成される前にほぼ消失するように設計される。
胴体後部直径が2300mm、ノズルの直径15が1500mmで、宇宙往還機を操縦するためのノズルの変位に必要なマージンを見込む場合、カバーの内径15+16は、約2100mmである。良好な空気力学的効率のためには、その長さは、約20メートルの長さの宇宙往還機の場合、約3mである。
実現の一例は、成型された発泡ポリスチレン製の一部品カバーによって実現される。
ポリスチレンは、150℃〜170℃の低い融解温度を呈し、プロトタイプを低コストで切断できるような十分なサイズのブロックで入手可能であり、また、独立気泡(closed cell)材料と見なされるが、5分間で1000mBarから30mBarへの圧力低下に損傷することなく耐え、25kmの高度に適したものとなっているので、この用途には良好な材料である。
さらに、その機械的特徴は、カバーを実現できることを意味しており、前述したような現在の発泡体の中では、ポリスチレン発泡体が最も良好に融解する発泡体である。
さらに、ポリスチレン発泡体は、あまり高価ではなく、利用しやすく、無公害の材料である。
具体的には、商用基準「UNIMAT FM 24kg/m3」として知られるポリスチレンが選択されることになる。
この発泡体は、防炎材料であり、これは、破片が自己消火することを意味する。
場合によっては、エンジンが点火されるときに噴煙を作り出すために、発泡体に着色剤を加えることができる。
カバーの形状は、切断または成型され、発泡体のブロックは、接触面に構造を与える、有利にはアルミニウム製のリング上に糊付けされる。
リング12の保持を高めるために、場合によっては、筋(striations)または窪み(indentations)21が、カバー6との接触面のところでリング12上に設けられる。
デバイスは、再突入時にノズルを保護するように、マスキング要素が消失した後も胴体に固定されたまま留まるリングを用いて胴体に取り付けられる。
これまでに見たように、リングは、再利用するために着陸後に取り外される。
吸収可能材料6は、表面状態をより良好にするために、図2に描かれた被膜(skin)9によって覆われる。この外部被膜は、例えばエポキシで実現され、カバーの耐衝撃性を高め、マスキング要素を塗装可能にする。
航空学における標準値である約20000N/m3の側部荷重、200KPaの破壊荷重、および安全率2を考慮すると、発泡体/リング接触面のところの曲げモーメントに耐えるためには、厚さ200mmの発泡体を備えた被膜が必要である。この厚さは、固定部とは反対側のカバーの端部に向かって縮小される。
したがって、発泡体の質量は、約65kgである。
アルミニウムリングは、幅600mm、厚さ3mmと概算され、質量約35kgとなる。
ポリスチレンは、非晶質の性質であるので、融解潜熱をもたない材料である。他方で、ポリスチレンは、文献では1.3kJ/(kg・K)に近い比熱が与えられている。ポリスチレンは、約120℃で、こね粉のように柔らかく(doughy)なる。
ポリスチレンの融解温度は、150℃〜170℃の間である。ブロックを切断する熱線の温度は、必要とされる切断速度に応じて100℃〜200℃の間に設定される。特定の温度を上回ると、ポリスチレンは、熱線の直前で昇華し、したがってこの熱線の動きを妨げない。−50℃(高度10,000mの周囲温度)から170℃への温度上昇は、材料を融解または昇華させるのに十分と考えられている。
ジェットの研磨効果(abrasive effect)は、カバーの燃焼によるガス、滴、煤の排出以外については考慮されない。
図3のグラフは、考慮される用途に応じた、時間によるカバーの開口部の直径20の推定を与える。
したがって、材料の密度約24kg/m3を考慮すると、速度1m/sでポリスチレンを低減するためには、1300×24×220=6900kW/m2の流れが適用されなければならない。
さらに、ノズルからの出力部での炎の温度は、3000℃と推定される。この炎は、ポリスチレンと直接接触する。Stephensの法則によって、熱流5.67×10−8×30004=4600kW/m2を計算することができる。
したがって、これらのデータによれば、厚さが約10cmの場合、ノズルの直前でカバーを消失させるには0.2秒未満が必要となり、カバーをほぼ完全に消失させるには0.4秒が必要となる。実際には、ジェット効果を考慮すると、ポリスチレンが、こね粉のように柔らかくなってその粘着性を失う地点に到達するとすぐに、すなわち、約0.14秒後に、そのポリスチレンが排出される可能性がある。この時間の長さは、エンジン速度を達成するために必要な時間、例えばアリアン(Ariane)ロケットのヴァルカン(Vulcain)エンジンの7秒と比較されることになる。
ポリスチレン(C8H8)の燃焼は、汚染物質の放出を引き起こさないので、この材料が特に適切なものとなる。
さらに、カバーの存在は、ノズル内の航空学的乱流を低減し、エンジンの始動を促進することになる。
本発明は、ロケットタイプの推進力に切り替わる前にエンジン17が空気からの酸素およびフォイル(foils)18、19によって動作する、航空学的なタイプの推進力によって軌道の第1の部分が保証される、図1にその概略的な例が与えられた準軌道ビークルに特に適している。
本発明は、ビークルが2段式(空母搭載機(carrier plane)、次いで準軌道ロケットビークル)であるか単段式であるかにかかわらず、抗力の低減を通じて有用となり、その小さな質量および単純さを考慮に入れられるようになる。
本発明は、また、例えば、機内搭載されたミサイルの抗力を低減するために、多段式打上げビークルアセンブリに適用することもできる。
本発明は、ここに示された例だけに限定されず、特に、宇宙機が2つ以上のエンジンから構成される場合、カバー要素は、楕円形断面を有することができる。

Claims (15)

  1. ビークル(1)の胴体(4)の後部を越えて突き出た、前記ビークルの胴体の後部から伸びて遠く離れるにつれて幅が広くなるジェットパイプ推進ノズル(3)を備える、少なくとも1つのエンジン(2)を装備した、前記ビークル(1)の空力ベース抵抗を低減するデバイスであって、このデバイスは前記ノズルの少なくとも一部分のための少なくとも1つのマスキング要素(5)を含み、前記マスキング要素は、前記エンジンが点火された後に前記ノズルの流れの中で除去されるように設計された吸収可能材料(6)を含み、前記マスキング要素は、前記推進ノズル(3)を越えて外部へビークルの胴体を延長するカバーで、空力学的にビークルの空力抵抗を低減させる形状に成形されていることを特徴とするデバイス。
  2. 前記カバーは、全体的に円錐形であり、前記カバーが前記胴体から遠く離れて延びるにつれて、前記カバーの直径は減少する請求項1に記載のデバイス。
  3. 前記カバーが、前記ノズル開口部とは反対側に遠位開口部(7)を含み、前記遠位開口部はエンジンの点火の開始時にエンジンから出てくる高温ガスを流出されるのに適した形状である、請求項2に記載のデバイス。
  4. 前記遠位開口部が、前記ノズルの開口部に対して小さな直径を有する、請求項3に記載のデバイス。
  5. 前記遠位開口部は、減少した直径のチャンネルの一部で、前記カバーの軸と同軸で、前記チャンネルは前記エンジンがまだ点火されていない前記ビークルの飛行の一部分の間に前記エンジンを換気させるように、また前記エンジンのジェットを作り出せるように設計された、請求項3に記載のデバイス。
  6. 前記吸収可能材料(6)が発泡材料である、請求項1に記載のデバイス。
  7. 前記発泡材料が、発泡ポリスチレン、メラミン発泡体、発泡PVC、ポリウレタン発泡体の1つである、請求項6に記載のデバイス。
  8. 前記吸収可能材料(6)が、表面状態をより良好にするために被膜(9)によって覆われる、請求項1に記載のデバイス。
  9. 前記吸収可能材料(6)が防炎材料である、請求項1に記載のデバイス。
  10. 前記デバイスが前記胴体に取り付けられた、請求項1に記載のデバイスを含む宇宙機。
  11. 前記胴体が前記エンジンの燃焼室(10)の周りまで延びる、請求項10に記載の宇宙機。
  12. 前記胴体が前記エンジンの前記ノズル(3)の少なくとも一部分の周りまで延びる、請求項10に記載の宇宙機。
  13. 前記マスキング要素が着脱可能な固定手段(11)によって前記ビークルの前記胴体の後部にしっかり固定される、請求項10に記載の宇宙機。
  14. 前記着脱可能な固定手段がリング要素(12)を含む、請求項13に記載の宇宙機。
  15. 前記着脱可能な固定手段(11)が、取り外し可能に設計されており、前記着脱可能な固定手段が、前記マスキング要素の燃焼後に前記ビークルの胴体に固定されたままとなる、請求項13に記載の宇宙機。

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