JP5484255B2 - 電源回路及び照明装置 - Google Patents
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Description
照明器具は、投入電力がある程度を超えなければ、商用電源の電源歪みを抑制するため、高調波規制の対象に該当しない。よって、ある程度の電力を超えない照明器具は、必ずしも力率改善機能が必要ではない。しかし、多くの照明器具を同時に使用する環境(商業施設やオフィスビルなど)を想定すると、高調波規制に該当しなくとも、電気設備の負担を軽減するためにも高力率であることが望ましい。
従来、交流電源より供給を受け、LEDを駆動する回路として、力率が高く、電源効率に優れる、電源回路が提案されている。
この発明は、例えば上記のような課題を解決するためになされたものであり、LEDなどの負荷回路を駆動する電源回路において、電力損失を更に削減することを目的とする。
チョークコイルと平滑コンデンサとを直列に電気接続した直列回路と、
上記直列回路に対して直列に電気接続した第一スイッチング回路と、
上記直列回路に対して並列に電気接続し、上記第一スイッチング回路が導通状態である場合に遮断状態となる向きに電気接続した整流素子と、
上記チョークコイルを流れる電流により電圧を生成する検出回路と、
上記整流素子に対して並列に電気接続し、上記検出回路が生成した電圧に基づいて、上記整流素子の導通遮断に同期して導通遮断する第二スイッチング回路とを有することを特徴とする。
実施の形態1について、図1〜図5を用いて説明する。
照明装置800は、商用電源などの交流電源ACから電力を入力し、入力した電力により光源を点灯する。光源は、例えば発光ダイオード(以下「LED」と呼ぶ。)や有機エレクトロルミネッセンス(以下「有機EL」と呼ぶ。)などの発光素子であり、直流電力により発光する。
照明装置800は、電源回路100と、光源回路810とを有する。電源回路100は、交流電源ACから入力した交流電力を、光源回路810に供給する直流電力に変換する。光源回路810(負荷回路)は、電源回路100が変換した直流電力の供給を受けて、光源を点灯する。電源回路100は、例えば、直流で電流が所望の値である電力を光源回路810に供給する。
全波整流回路110(整流回路)は、交流電源ACから入力した電力を全波整流して、電圧波形を脈流に変換する。
降圧回路120は、全波整流回路110が変換した電圧波形が脈流の電力を、光源回路810に供給する直流電力に変換する。降圧回路120は、例えば、バックコンバータ回路(降圧コンバータ)である。
電流検出回路150は、降圧回路120から光源回路810に供給される電力の電流値を検出する。
力率改善回路とは、電源回路100が入力する電力の力率を1に近づけることを目的とした回路である。降圧回路120は、電源回路100が入力する電力の電流波形を、電圧波形に近似した波形にすることにより、電源回路100が入力する電力の力率を1に近づける。
また、降圧回路120は、定電流駆動回路として、光源回路810に供給する電力の電流値を所望の値にする。降圧回路120は、電流検出回路150が検出した電流値に基づいて、変換する電力の電圧値を調整し、光源回路810に供給する電力の電流値が所望の値になるように調整する。
光源回路810は、例えば、LEDや有機ELなど複数の光源811を直列に電気接続した回路である。以下の説明において、具体的数値例を用いる場合、順方向降下電圧が約3VのLEDを光源811とし、6個の光源811を直列に電気接続した光源回路810を例とする。この場合、LEDを点灯するためには、光源回路810の両端に18Vの電圧を印加する必要がある。
光源811の明るさは、光源回路810を流れる電流により変化する。光源811を所望の明るさで点灯するためには、光源回路810を流れる電流をその明るさに対応する値にする。光源811の温度特性や周囲温度によって、光源回路810を流れる電流と光源回路810の両端電圧との間の関係が変化する。また、各光源811の順方向降下電圧にはバラツキがある。このため、光源回路810は、定電圧駆動ではなく、定電流駆動により動作させる。
定電流駆動することで、入力電圧の変動、温度の変化などに対しても、安定して所望の明るさを得ることができる。また、定電流駆動することで、抵抗で電流を制限しながら定電圧駆動する場合に比べて、電源効率を高くできる。
光源回路810は、電源回路100に着脱可能に接続する構成であってもよいし、電源回路100に固定された構成であってもよい。
全波整流回路110は、例えば、ダイオードブリッジDBを有する。ダイオードブリッジDBは、ダイオードなど4つの整流素子をブリッジ接続した回路である。
なお、電流検出回路150は、電流検出抵抗R51に限らず、半導体素子やその他の電子部品を用いて構成した回路であってもよい。
また、電流検出回路150は、光源回路810を流れる電流を直接検出するのではなく、例えばチョークコイルL22から平滑コンデンサC26を充電する電流を検出する構成であってもよい。チョークコイルL22から平滑コンデンサC26を充電する電流は、全波整流回路110が全波整流した電力の電圧の瞬時値やスイッチング素子Q21のオンオフに伴って変動するが、交流電源ACの周期(例えば16ミリ秒〜20ミリ秒)より長い周期で平均することにより、光源回路810を流れる電流と同じ値を得ることができる。
直流直流変換回路122は、制御IC121による制御にしたがって、電圧波形が直流あるいは脈流の電力を、電圧波形が直流の電力に変換する。直流直流変換回路122は、変換する電力の電圧値を、入力した電力の電圧値(またはピーク値)より、低い電圧値にすることができる。
直流直流変換回路122は、例えば、バックコンバータ回路である。直流直流変換回路122は、例えば、第一スイッチング回路130、チョークコイルL22、整流素子D23、補助巻線L71、スイッチング素子Q25、平滑コンデンサC26を有する。
スイッチング素子Q21は、3つの端子を有する。3つの端子のうちの1つは、スイッチング素子Q21のオンオフを指示する制御信号を入力するための端子(以下「制御入力端子」と呼ぶ。)である。残りの2つの端子は、制御入力端子が入力した制御信号にしたがって、2つの端子の間が導通あるいは遮断する端子(以下「被制御端子」と呼ぶ。)である。スイッチング素子Q21の2つの被制御端子のうち1つは、全波整流回路110(ダイオードブリッジDB)の脈流側端子の一方に電気接続している。
スイッチング素子Q21は、例えばエンハンスメント型nMOS電界効果トランジスタ(以下「FET」と呼ぶ。)である。すなわち、FETのドレイン端子及びソース端子が被制御端子であり、ゲート端子が制御入力端子である。制御信号は、ゲート端子に印加される電圧により表わされる。制御信号の基準電位は、ソース端子の電位である。nMOSFETは、ドレイン端子の電位がソース端子の電位より高い電位になるように接続する。例えば、ダイオードブリッジDBの脈流側端子のうち負電圧側の端子に電気接続する場合であればnMOSFETのソース端子をダイオードブリッジDBに電気接続する。逆に、ダイオードブリッジDBの脈流側端子のうち正電圧側の端子に電気接続する場合であればnMOSFETのドレイン端子をダイオードブリッジDBに電気接続する。
なお、スイッチング素子Q21は、エンハンスメント型FETに限らずデプレッション型FETであってもよいし、nMOSFETに限らずpMOSFETであってもよい。また、スイッチング素子Q21は、MOSFETに限らずジャンクションFETなどその他のFETであってもよい。また、スイッチング素子Q21は、FETに限らずnpn型もしくはpnp型のバイポーラトランジスタであってよいし、その他の電子部品であってもよい。また、スイッチング素子Q21は、トランジスタなどの電子的スイッチに限らず、リレーやその他の機械的要素を含むスイッチであってもよい。
パルストランスT24(コイルL81,L82)は、制御IC121とスイッチング素子Q21の間に接続され、制御IC121からの制御信号をスイッチング素子Q21へ絶縁しながら伝達する。制御IC121が第一スイッチング回路130をオンさせる制御信号を出力すると、パルストランスT24は、制御信号のレベルを変換して、スイッチング素子Q21をオンさせる信号を生成し、スイッチング素子Q21のゲート端子に伝える。
補助巻線L71及び補助巻線L41は、チョークコイルL22と同じコア巻きつけられている。チョークコイルL22、補助巻線L71及び補助巻線L41は、1つのトランスT40を構成している。
平滑コンデンサC26の静電容量は、例えば数十〜数千マイクロファラド[μF]である。平滑コンデンサC26の静電容量を大きくすることで、より出力電圧が平滑されるので、商用電源の周波数50/60Hzの電圧変動による出力電圧の変動を小さくすることができる。
2つの整流端子のうちの1つは、チョークコイルL22のコイル端子の1つ(第一スイッチング回路130に電気接続しているほう)に電気接続している。もう1つの整流端子は、平滑コンデンサC26のコンデンサ端子の1つ(チョークコイルL22に電気接続していないほう)に電気接続している。これにより、整流素子D23は、チョークコイルL22と、平滑コンデンサC26とによって構成される直列回路と並列に電気接続される。
スイッチング素子Q25は、例えばエンハンスメント型nMOSFETである。スイッチング素子Q25の被制御端子間には、正電圧が加わる場合も負電圧が加わる場合もある。nMOSFETのソース端子は、整流素子D23のアノード端子に電気接続する。nMOSFETのドレイン端子は、整流素子D23のカソード端子に電気接続する。nMOSFETは、ソース端子の電位がドレイン端子の電位より高い場合、サブスレートのp領域とドレイン端子が接続されたn領域との境界に形成されたダイオードが導通して電流が流れる。また、この電流によりMOSFETが破壊するのを防ぐため、サブスレートのp領域とドレイン端子が接続されたn領域との境界に形成されたダイオードとは別に、ソース端子の電位がドレイン端子の電位より高い場合に導通する保護用のダイオードを内蔵している場合もある。そのため、ソース端子は、電位が高いときに導通させたい側に電気接続し、ドレイン端子は、電位が低いときに導通させたい側に電気接続する。
なお、スイッチング素子Q25は、nMOSFETではなく、pMOSFETであってもよい。また、整流素子D23は、スイッチング素子Q25と別部品のダイオードではなく、MOSFETが内蔵している保護用のダイオードであってもよい。
補助巻線L71(検出回路)は、チョークコイルL22と同じトランスT40に構成される巻線であり、チョークコイルL22と磁気結合されている。補助巻線L71の両端には、チョークコイルL22の両端電圧に比例する電圧が発生する。比例係数は、チョークコイルL22と補助巻線L71との巻数比によって定まる。
チョークコイルL22の両端電圧は、スイッチング素子Q21の状態によって定まる。このため、補助巻線L71の両端電圧は、スイッチング素子Q21の動作状態に同期して変化する。
なお、補助巻線L71及び補助巻線L41は、チョークコイルL22に対して、電圧の極性が逆向きになるように構成されている。すなわち、チョークコイルL22の2つのコイル端子のうち、平滑コンデンサC26に電気接続されているほうのコイル端子の電位が、もう一方のコイル端子の電位より高い場合に、スイッチング素子Q25をオンする電圧が、補助巻線L71に発生する。
これにより、スイッチング素子Q21がオフのときスイッチング素子Q25がオンになり、スイッチング素子Q21がオンのときスイッチング素子Q25がオフになる。補助巻線L71は、スイッチング素子Q25をこのように制御する信号を生成する。
スイッチング素子Q21がオンのとき整流素子D23はオフになり、スイッチング素子Q21がオフのとき整流素子D23はオンになるから、スイッチング素子Q25は、整流素子D23の動作に同期してオンオフする。
誤差増幅器A62は、電流検出回路150が生成した電流検出電圧と、基準電圧源V61が生成した基準電圧とを比較して、どちらが大きいかを表わす信号を生成する。帰還回路123は、誤差増幅器A62が生成した信号を、帰還信号として出力する。帰還回路123が出力する帰還信号は、光源回路810を流れる電流が所望の電流値より大きいか小さいかを表わす。
電流検出電圧が基準電圧より大きい場合、帰還回路123が生成した帰還信号に基づいて、制御IC121がスイッチング素子Q21のオン時間を短くするので、電源回路100の出力電圧が下がり、光源回路810を流れる電流が減って、電流検出回路150が生成する電流検出電圧が下がる。逆に、電流検出電圧が基準電圧より小さい場合、制御IC121がスイッチング素子Q21のオン時間を長くするので、電源回路100の出力電圧が上がり、光源回路810を流れる電流が増えて、電流検出回路150が生成する電流検出電圧が上がる。
このようにして、降圧回路120は、電流検出回路150が生成した電流検出電圧と、基準電圧源V61が生成した基準電圧とを一致させるように、スイッチング素子Q21のオン幅を変化させる。
コンデンサC63は、誤差増幅器A62の入出力端子間に電気接続している。これにより、誤差増幅器A62は、電流検出回路150が生成した電流検出電圧の瞬時値ではなく、電流検出回路150が生成した電流検出電圧を積分した平均値を、基準電圧と比較する。交流電源ACの一周期(例えば16ミリ秒〜20ミリ秒)の間に、電源回路100の出力電圧が変動するので、光源回路810を流れる電流が変化する。交流電源ACの一周期よりも長い期間について、電流検出回路150が生成した電流検出電圧を平均することにより、交流電源ACの一周期の間の電圧変動に関わらず、光源回路810に所望の電流を流すことができる。
制御IC121は、直流直流変換回路122に流入する電流の波形(入力電流検出信号の包絡線やスイッチング毎の電流ピーク値を結んだ線)が入力電圧の波形に近似した波形になるようスイッチング素子Q21をオンオフするタイミングを調整する。入力電圧の波形に近似した波形とは、高調波成分を除いた波形が入力電圧とほぼ一致するような波形をいう。入力電流の高調波成分は、(図示していないノイズフィルタ回路や)入力コンデンサC11が取り除いて、電源回路100の外には出ていかない。このため、直流直流変換回路122に流入する電流の波形(入力電流検出信号の包絡線やスイッチング毎の電流ピーク値を結んだ線)を入力電圧の波形に近似した波形にすれば、電源回路100が入力する電力の力率が1に近くなる。
チョークコイルL22を流れる電流が0になったと判定したのち、制御IC121は、スイッチング素子Q21をオンにする制御信号を生成する。制御IC121は、基本的にこれを繰り返す。
光源回路810に流れる電流は、直流直流変換回路122が変換した電力の電圧値によって決まる。光源回路810を流れる電流が所望の電流値より多い場合、制御IC121は、直流直流変換回路122に流入する電流の平均値を小さくすることにより、直流直流変換回路122が変換する電力の電圧値を下げる。例えば、制御IC121は、正弦波の瞬時値にあわせて電流のピーク値を少し下げることにより、直流直流変換回路122に流入する電流を小さくする。これにより、入力電圧と入力電流の波形を合わせながら、直流直流変換回路122に流入する電流の平均値が小さくなる。
光源回路810を流れる電流が所望の電流値より少ない場合、制御IC121は、逆に、直流直流変換回路122に流入する電流の平均値を大きくして、直流直流変換回路122が変換する電力の電圧値を上げる。例えば、制御IC121は、正弦波の瞬時値に合わせて電流のピーク値を少し大きくすることにより、直流直流変換回路122に流入する電流を大きくする。これにより、入力電圧と入力電流の波形を合わせながら、直流直流変換回路122に流入する電流の平均値が大きくなる。
横軸は、時刻を表わす。縦軸は、電圧または電流を表わす。なお、電圧711,712と、電圧721〜722及び電流731〜734とでは、横軸の縮尺が異なる。電圧721〜722及び電流731〜734は、電圧711,712よりも短い時間を拡大して表示している。これは、周波数が大きく異なるためである。
実線で示した電圧712は、入力コンデンサC11の両端電圧である。入力コンデンサC11は、全波整流回路110の出力に並列接続しているので、入力コンデンサC11の両端電圧712は、基本的には、電圧711の絶対値にほぼ等しい。すなわち、入力コンデンサC11の両端電圧712の波形は、脈流である。入力コンデンサC11の両端電圧712の最大値は、電圧711の最大値とほぼ等しく、例えば120V〜375Vである。なお、電圧712の最小値は、平滑コンデンサC26の両端電圧とほぼ等しい。これは、電圧711の絶対値が降圧回路120の出力電圧よりも低い区間において、平滑コンデンサC26から逆流した電流が入力コンデンサC11を充電するからである。このため、入力コンデンサC11の両端電圧712は、降圧回路120の出力電圧にクランプされる。すなわち、入力コンデンサC11の両端電圧712の最小値は、光源回路810に印加される電圧と等しい。例えば、光源回路810が、順方向降下電圧が約3VのLEDを6個直列に接続した回路である場合、入力コンデンサC11の両端電圧712の最小値は、約18Vである。
破線で示した電圧722a〜722cは、平滑コンデンサC26の両端電圧を表わす。なお、電圧722cは、電圧721cとほぼ一致している。
チョークコイルL22の両端電圧は、整流素子D23の両端電圧721a〜721cと、平滑コンデンサC26の両端電圧722a〜722cとの間の差である。また、補助巻線L71の両端電圧は、チョークコイルL22の両端電圧に所定の比例定数を乗じた電圧値である。スイッチング素子Q25がオンになるのは、電圧722a〜722cよりも電圧721a〜721cが低く、その差が所定の閾値を超えたときである。
実線で示した電流731a〜731cは、第一スイッチング回路130(スイッチング素子Q21)を流れる電流を表わす。
実線で示した電流732a〜732cは、整流素子D23及びスイッチング素子Q25を流れる電流の合計値を表わす。
実線で示した電流733a〜733cは、チョークコイルL22を流れる電流を表わす。チョークコイルL22を流れる電流は、第一スイッチング回路130を流れる電流731a〜731cと、整流素子D23及びスイッチング素子Q25を流れる合計電流732a〜732cとの和である。
実線で示した電流734a〜734cは、平滑コンデンサC26を流れる電流を表わす。平滑コンデンサC26を流れる電流は、チョークコイルL22を流れる電流733a〜733cから、光源回路810を流れる電流を差し引いた差である。
すなわち、時刻764において、制御IC121は、第一スイッチング回路130をオンにする制御信号を生成し、第一スイッチング回路130がオンになる。整流素子D23及びスイッチング素子Q25は、オフである。
入力コンデンサC11の両端電圧712が低い分、チョークコイルL22の両端電圧が小さくなるので、チョークコイルL22を流れる電流733bの増加割合(時間微分)は、小さくなる。その代わり、第一スイッチング回路130を流れる電流731bについて、制御IC121が算出する目標値も小さくなる。
時刻765において、第一スイッチング回路130を流れる電流731aが目標値に達したと判定し、制御IC121が第一スイッチング回路130をオフにすると、整流素子D23及びスイッチング素子Q25はオンになる。チョークコイルL22の両端電圧は、入力コンデンサC11の両端電圧が比較的高い場合とほとんど変わらず、平滑コンデンサC26の両端電圧とほぼ等しい。このため、チョークコイルL22を流れる電流の減少割合(時間微分)は、入力コンデンサC11の両端電圧が比較的高い場合とほぼ同じである。
時刻766において、チョークコイルL22を流れる電流733bが0になり、整流素子D23及びスイッチング素子Q25がオフになる。制御IC121は、第一スイッチング回路130をオンにする制御信号を生成する。
降圧回路120は、以上の動作を繰り返す。平滑コンデンサC26を流れる電流734aの平均値は0より小さいので、平滑コンデンサC26の両端電圧は、少しずつ下がっていく。
制御IC121が第一スイッチング回路130をオンにする制御信号を生成し、第一スイッチング回路130がオンになると、整流素子D23の両端電圧721cは、入力コンデンサC11の両端電圧712とほぼ等しくなる。入力コンデンサC11の両端電圧712は、平滑コンデンサC26の両端電圧722cとほぼ等しいので、チョークコイルL22の両端電圧はほぼ0になる。このため、チョークコイルL22には、ほとんど電流733cが流れない。整流素子D23の両端電圧が正なので、整流素子D23は、オフである。また、スイッチング素子Q25も、オフである。
制御IC121は、第一スイッチング回路130を流れる電流が、算出した目標値に達しないので、第一スイッチング回路130のオン状態を維持する。
もし、入力コンデンサC11の両端電圧712と、平滑コンデンサC26の両端電圧722cとが等しくなかったとすると、第一スイッチング回路130とチョークコイルL22とを介して電流が流れる。この電流により、入力コンデンサC11の両端電圧712と、平滑コンデンサC26の両端電圧722cとが等しくなる。
この間、平滑コンデンサC26は、光源回路810を流れる電流によって放電するだけなので、平滑コンデンサC26の両端電圧は、少しずつ下がっていく。
仮に、入力コンデンサC11がなかったとすると、全波整流回路110の出力電圧は、完全な脈流となり、ゼロクロス付近で、平滑コンデンサC26の両端電圧722cより低くなる。このとき、制御IC121が第一スイッチング回路130をオンにすると、整流素子D23の両端電圧721cが、平滑コンデンサC26の両端電圧722cよりも低くなるので、スイッチング素子Q25がオンになり、短絡電流が流れる。
これに対し、入力コンデンサC11があることにより、全波整流回路110の出力電圧は、平滑コンデンサC26の両端電圧722cより低くならない。したがって、第一スイッチング回路130がオンの間は、スイッチング素子Q25がオフになる。これにより、短絡電流が流れるのを防ぐ。
これに対し、入力コンデンサC11の電圧712が、平滑コンデンサC26の両端電圧722cとほぼ等しい区間では、第一スイッチング回路130がオンになっても、第一スイッチング回路130→チョークコイルL22→平滑コンデンサC26という経路で電流が流れないので、平滑コンデンサC26は充電されない。
平滑コンデンサC26を流れる電流は、チョークコイルL22を流れる電流から、光源回路810を流れる電流を差し引いた差にあたる電流である。チョークコイルL22を流れる電流のほうが、光源回路810を流れる電流より大きければ平滑コンデンサC26は充電される。光源回路810を流れる電流のほうが、スイッチング素子Q21を流れる電流より大きければ、平滑コンデンサC26は放電する。
入力コンデンサC11の両端電圧712が比較的高い区間では、平滑コンデンサC26が充電されて、平滑コンデンサC26の両端電圧722aが上昇する。入力コンデンサC11の両端電圧712が比較的低い区間では、平滑コンデンサC26を充電する電流よりも光源回路810を流れる電流のほうが大きいので、平滑コンデンサC26の両端電圧722bが下降する。入力コンデンサC11の両端電圧712が平滑コンデンサC26の両端電圧722cとほぼ等しい区間では、平滑コンデンサC26が充電されず放電するのみなので、平滑コンデンサC26の両端電圧722cが下降する。交流電源ACの半周期ごとにこれを繰り返す。平滑コンデンサC26の静電容量は、このときの電圧変動が十分小さくなるよう、十分大きな値に設定する。これにより、平滑コンデンサC26の両端電圧722は、全体として充電量と放電量とが釣り合う電圧に安定する。
電源回路100が交流電源ACから入力する電力の電圧の絶対値が、平滑コンデンサC26の両端電圧より低くなると、ダイオードブリッジDBのダイオードがすべてオフになるので、平滑コンデンサC26は充電されない。したがって、平滑コンデンサC26の両端電圧は、電源回路100が交流電源ACから入力する電力の電圧の最大値よりも低くなる。
平滑コンデンサC26の両端電圧がほぼ一定の電圧で安定するので、光源回路810には、スイッチング素子Q21のオン/オフに関係なく、平滑コンデンサC26→光源回路810→電流検出回路150の経路を通る電流が流れる。
例えば、所望の電流値の電流を流した場合の順方向降下電圧が約3VのLEDを光源811とし、光源回路810が6個の光源811を直列に接続したものである場合、電源回路100の出力電圧は、約18Vである。
交流電源ACの電圧の実効値が85Vの場合、最大値は約120Vであるから、降圧回路120は、正常に降圧動作をして、約18Vの直流電圧を生成する。また、交流電源ACの電圧の実効値が265Vの場合、最大値は約375Vであるから、やはり、降圧回路120は、正常に降圧動作をして、約18Vの直流電圧を生成する。
このため、電源回路100が交流電源ACから入力する電力の電圧瞬時値が、電源回路100の出力電圧よりも低い区間が短いほうが、電源回路100の力率は高くなる。すなわち、電源回路100の出力電圧が低く、交流電源ACから供給される電力の電圧が高いほど、電源回路100の力率は向上する。
例えば、交流電源ACの電圧実効値が200V、電源回路100の出力電圧が約72Vの場合、電源回路100の力率を0.9以上にすることができる。電源回路100の出力電圧が約72Vであれば、順方向降下電圧が約3VのLEDを光源811とし、24個の光源811を直列に電気接続した光源回路810を点灯可能である。
照明装置800の入力電源電圧範囲が実効値85V〜265Vである場合、交流電源ACの電圧実効値が最も低い85Vのとき、電源回路100の力率が最も低くなる。交流電源ACの電圧実効値が85Vの場合、電源回路100の出力電圧が約30Vであれば、電源回路100の力率を0.9以上にすることができる。すなわち、順方向降下電圧が約3VのLEDが光源811である場合、光源回路810が、10個以下の光源811を直列に電気接続したものであれば、力率を向上させることができる。
nMOSFETは、ゲート端子Gとソース端子Sとの間に接続したコンデンサと、ドレイン端子Dとソース端子Sとの間に並列に接続した可変抵抗とダイオードとによって形成される等価回路で表わすことができる。可変抵抗の抵抗値は、ゲート端子Gとソース端子Sとの間の電位差に基づいて変化する。
横軸は、ソース−ドレイン間電圧を表わす。縦軸は、ドレイン電流を表わす。
実線で示した特性741は、ゲート−ソース間にオフ電圧を印加した場合の電圧電流特性を表わす。破線で示した特性742は、ゲート−ソース間にオン電圧を印加した場合の電圧電流特性を表わす。
ドレイン電位がソース電位より高い領域において、オフ時の電圧電流特性は、ほぼ直線であり、その傾きがオフ抵抗である。オン時の電圧電流特性は、線形領域において直線743で近似でき、その傾きがオン抵抗である。オン抵抗は、例えば数ミリオーム[mΩ]〜数百mΩである。ドレイン電位がソース電位より低い場合、ソース−ドレイン間のダイオードがオンになる領域では、オン抵抗やオフ抵抗にかかわらず、ソース−ドレイン間の電位差は、ダイオードの順方向降下電圧によって定まる。これに対し、ドレイン電位がソース電位より低い場合でも、ソース−ドレイン間の電位差がダイオードの順方向降下電圧より低い場合は、ダイオードがオフになり、ドレイン電位がソース電位より高い領域とほぼ同じ特性を示す。
順方向降下電圧751は、ダイオードのpn接合のエネルギー準位差によって定まり、例えば0.6V〜1V程度である。これに対し、例えば、オン抵抗が50mΩで、ドレイン電流が例えば500ミリアンペア[mA]である場合、オン時のソース−ドレイン間電圧は25ミリボルト[mV]になる。
これに対し、スイッチング素子Q25をオンにすると、同じ電流500mAを流したときの両端電圧は25mVに下がるので、整流素子D23及びスイッチング素子Q25における電力損失の合計は、12.5ミリワット[mW]になる。
補助巻線L71は、チョークコイルL22と電磁誘導により結合している。補助巻線L71の両端には、チョークコイルL22の両端電圧に比例する電圧が発生する。電圧比は、巻数比によって定まる。電圧の極性は、巻線の巻き方向によって定まる。この例では、チョークコイルL22の両端電圧と逆極性の電圧が補助巻線L71の両端に発生する向きに、補助巻線L71を巻きつける。
これにより、図3の時刻762から時刻763まで(または時刻765から時刻766まで)の期間において、補助巻線L71の両端電圧は、平滑コンデンサC26の両端電圧に比例する正の電圧になる。すなわち、この期間において、補助巻線L71はスイッチング素子Q25をオンにする制御信号を生成する。これにより、スイッチング素子Q25は、整流素子D23がオンのときオンになる。
それ以外の期間では、補助巻線L71の両端電圧は、0または負の電圧である。すなわち、それ以外の期間において、補助巻線L71はスイッチング素子Q25をオフにする制御信号を生成する。これにより、スイッチング素子Q25は、整流素子D23がオフのときオフになる。
また、入力電圧が全波整流後の入力電圧<出力電圧(LED駆動電圧)の区間では、スイッチング素子Q21がオンしても、チョークコイルにコイル電流(入力コンデンサC11→スイッチング素子Q21→チョークコイルL22→平滑コンデンサC26の方向)が流れない。よって、整流素子D23に流れる還流電流がないので、チョークコイルL22に流れる電流がなく、補助巻線L71に発生する電圧がないことから、スイッチング素子Q25がオンすることはない。このとき、還流電流が流れないので、整流素子D23での電力損失はない。
入力コンデンサC11の両端電圧よりも、平滑コンデンサC26の両端電圧が大きい場合は、スイッチング素子Q21のオン/オフに関わらず、スイッチング素子Q21に内蔵されるダイオード(ボディダイオード)を通って電流が流れる。このとき、チョークコイルL22には、スイッチング素子Q21がオンの場合と逆向きの電流が流れるが、電圧が小さく、コイルのインダクタンス成分もあるため、急激な電流がながれることはない。よって、この電流により補助巻線L71に発生する電圧は小さく、この程度では、スイッチング素子Q25がオンすることはない。
チョークコイルL22に逆向きに流れる電流による電力損失は、チョークコイルL22の直流抵抗は小さく、電流は入力電圧<出力電圧の区間でしか流れないので、それほど大きくない。
逆流しても、入力コンデンサC11に充電されるため、電力的には、チョークコイルL22での損失を除けば、電力損失にならない。
このように、整流素子D23に同期してスイッチング素子Q25をオンオフすることにより、降圧回路120全体の動作を変えることなく電力損失を少なくすることができる。
第一スイッチング回路130(スイッチング素子Q21)は、上記直列回路に対して直列に電気接続している。
整流素子D23は、上記直列回路に対して並列に電気接続し、上記第一スイッチング回路130が導通状態である場合に遮断状態となる向きに電気接続している。
検出回路(補助巻線L71)は、上記チョークコイルL22を流れる電流により電圧を生成する。
第二スイッチング回路(スイッチング素子Q25)は、上記整流素子D23に対して並列に電気接続し、上記検出回路が生成した電圧に基づいて、上記整流素子D23の導通遮断に同期して導通遮断する。
第二スイッチング回路の電力損失(オン抵抗で発生する電力)が整流素子D23の電力損失より小さければ、電源回路100全体の電力損失を減らすことができる。
第二スイッチング回路(スイッチング素子Q25)は、上記第一スイッチング回路(スイッチング素子Q21)がオフの区間で上記チョークコイルL22に電流が流れている場合に、上記検出回路に発生する電圧が所定の閾値より大きい場合に、導通状態となる。
第二スイッチング回路(スイッチング素子Q25)は、上記補助巻線L71の両端電圧が所定の閾値より大きい場合に、導通状態となる。
チョークコイルL22には、第一スイッチング回路130(スイッチング素子Q21)が導通しているときに流れるコイル電流によってエネルギーが充電される。このとき、コイル電流は、チョークコイルL22に充電しながら、平滑コンデンサC26を流れる。また、同時に平滑コンデンサC26から光源回路810の駆動電流としても電流が流れる。
第一スイッチング回路130(スイッチング素子Q21)が遮断されると、チョークコイルL22が充電されたエネルギーを放出するため、そのエネルギーがコイル電流として還流する。還流するコイル電流は整流素子D23を通って平滑コンデンサC26を充電する。また、同時に平滑コンデンサC26から光源回路810の駆動電流として電流が流れる。
この補助巻線L71に発生する電圧を第二スイッチング回路(スイッチング素子Q25)に入力する。これにより、整流素子D23のオンオフに同期して、スイッチング素子Q25をオンオフすることができる。
これに対し、第一スイッチング回路130がオフ、整流素子D23及びスイッチング素子Q25がオンのときにおけるチョークコイルL22の両端電圧は、平滑コンデンサC26の両端電圧と(逆極性で)ほぼ等しく、電源回路100が交流電源ACから供給される交流電力の電圧の瞬時値に関わらず、ほぼ一定である。
補助巻線L71の両端電圧は、チョークコイルL22に流れる還流電流の大きさに比例する。したがって、交流電源ACから供給される交流電力の電圧の瞬時値によって変化する。
図5で説明したように、MOSFETの等価回路には、ゲート端子にコンデンサが接続している。MOSFETの状態をオフからオンに、あるいは、オンからオフに変化させるためには、このコンデンサを充電あるいは放電する必要があり、これがスイッチング遅延の原因となる。特に、オン状態におけるゲート電圧が必要以上に高いと、ゲート端子に大量の電荷が蓄積されるため、ターンオフするのに時間がかかる。
そこで、平滑コンデンサC26の両端電圧と、スイッチング素子Q25をオンする適正なゲート電圧とに基づいて、補助巻線L71とチョークコイルL22との巻数比を定める。これにより、スイッチング素子Q25のターンオフ時間を短くすることができる。
第二スイッチング回路(スイッチング素子Q25)は、補助巻線L71の両端に発生した電圧が所定の閾値電圧以上である場合にオンして、整流素子D23を流れるコイル電流を迂回させることにより、電力損失を削減する。
これにより、整流素子D23のオンオフに同期して、スイッチング素子Q25をオンオフすることができる。また、整流素子D23に流れる電流が多い区間で、スイッチング素子Q25が還流するコイル電流を迂回させることで、整流素子D23での電力損失を効果的に削減できる。
電源回路100が昇圧回路を有さない1段構成なので、整流回路と降圧回路との間に昇圧回路を有する2段構成の場合に比べて、電源回路100の電力効率が高くなる。
これにより、交流電源ACから入力する交流電力の電圧の絶対値が、平滑コンデンサC26の両端電圧より低い区間でも、スイッチング素子Q21がオンのとき、スイッチング素子Q25を確実にオフにすることができる。
制御回路は、上記第一スイッチング回路130を流れる電流のピーク値または平均値の包絡線が、上記整流回路(全波整流回路110)が全波整流した電圧波形に近似した波形となるよう、上記第一スイッチング回路130を制御する。
これにより、電源回路100の力率を1に近づけることができる。
これにより、降圧回路120は、入力電圧の瞬時値が商用周波数で変化するにも関わらず、平滑コンデンサC26に充電される出力電圧をほぼ一定に保つことができる。出力電圧をほぼ一定に保つことができるため、光源回路810に流れる電流をほぼ一定に保つことができる。
よって、光源回路810に所定の出力電流が流れるような出力電圧を生成することができ、電源回路100は定電流駆動回路として動作することができる。
これにより、降圧回路120は、臨界モード(連続モードと不連続モードの境目)で動作し、整流素子D23における逆回復電流などによる電力損失を減らすことができる。
光源回路810は、直流電力により点灯する光源811を有し、上記平滑コンデンサC26に対して並列に電気接続している。
これにより、降圧回路120の一段構成で、力率改善動作と電力変換(定電流駆動)と両方の役割を果たすことができる。電源回路100の回路構成が簡単になり、電源回路100の部品点数が減るので、照明装置800の製造コストが抑えられ、照明装置800の信頼性が高まる。また、電源回路100における電力損失が減るので、照明装置800のエネルギー効率が高くなる。
整流回路は、商用電源を整流して入力電圧を生成する。
トランスT40は、コイル(チョークコイルL22)と、補助巻線L71とを有する。
第一スイッチング回路130は、上記整流回路と上記コイルに直列接続され、上記制御回路により駆動され、オンの区間で上記コイルに上記入力電圧を印加する。
電流検出回路150は、上記負荷回路または上記コイルに流れる電流を検出して、上記制御回路へ電流情報を伝達する。
制御回路(制御IC121)は、上記入力電圧を分圧、または直接入力することにより、上記第一スイッチング回路130に流れる電流のピーク値または平均値の電流波形の包絡線が、上記入力電圧の電圧波形に近づけるように、上記第一スイッチング素子Q21のオン/オフ制御を行いながら、上記電流検出回路150が検出する電流情報を基に、負荷回路の電流を定電流制御する。
コイル(チョークコイルL22)は、上記第一スイッチング回路130がオンの区間で、電磁エネルギーを充電するようにコイル電流を流し、上記第一スイッチング回路130がオフの区間で、電磁エネルギーを放出するようにコイル電流を流すことで、上記第一スイッチング回路130のオン/オフにより、入力電圧から負荷回路側へ電力の伝達をおこなう。
ダイオード(整流素子D23)は、上記コイルと上記コンデンサに直列接続され、上記第一スイッチング回路130がオフの区間で、上記コイルから放出されるコイル電流を上記コンデンサに還流させる。
コンデンサ(平滑コンデンサC26)は、上記第一スイッチング回路130がオンの区間で、上記コイル電流により充電されながら、上記負荷回路に電流を供給し、上記第一スイッチング回路130がオフの区間に、上記コイル電流が還流することで充電される。
第二スイッチング回路(スイッチング素子Q25)は、上記ダイオードと並列に接続され、上記コイルから放出されるコイル電流が還流する区間にオンさせることで、上記ダイオードの同期整流をおこなう。
また、制御IC121は、入力電流検出抵抗R33を使って、スイッチング素子Q21を流れる電流の波形が、入力電圧と同じ全波整流された正弦波の形状に近づくように、スイッチング素子Q21に流れる電流のピーク値またはピーク値の平均値を制御する。
したがって、スイッチング素子Q21の動作周波数は、一定ではない。例えば、全波整流された正弦波電圧の低い所ほど周波数が低く(周期が長く)、正弦波電圧の高い所ほど周波数が高く(周期が短く)なる。
また、スイッチング素子Q21の動作周波数は、商用電源(交流電源AC)の電圧にも依存する。チョークコイルL22のインダクタンス値は固定値であるから、両端電圧が高いほど短時間で電流が増加する。このため、動作周波数が高く(周期が短く)なる。
このように、制御ICが電流の流れ終わりを判断してスイッチング素子の動作周波数を決めるような動作、つまり、電源回路自体の動作によって、動作周波数が変動するような電源回路を、一般的に自励発振という。
電源回路100は、自励発振の回路である。電源回路100は、補助巻線L41に発生する電圧によりコイル電流の還流が終了するタイミングを検出することで、スイッチング素子の動作周波数を定める。
トランスT40において、補助巻線L71は、補助巻線L41と同様、チョークコイルL22と逆極性になっている。このため、スイッチング素子Q21がオフの区間で、補助巻線L71に正の電圧が発生する。補助巻線L71に発生する電圧値は、チョークコイルL22に加わる電圧と、チョークコイルL22と補助巻線L71の巻数比によって決まる。
電源回路100に入力される入力電圧は、全波整流回路110が全波整流した正弦波電圧であるから、その周期の中でスイッチング素子Q21がオンしたタイミングによって、入力電圧値が変動する。例えば50Hzあるいは60Hzの周波数で、入力電圧値が周期的に変動する。
したがって、スイッチング素子Q21がオンするタイミングによって、チョークコイルL22に加わる電圧値が異なり、チョークコイルL22に流れる電流値も異なる。
全波整流された正弦波電圧が高い電圧値の区間では、チョークコイルL22に加わる電圧値および流れる電流値が増加する。正弦波電圧が低い電圧値の区間では、チョークコイルL22に加わる電圧値および流れる電流値が減少する。また、正弦波電圧のピーク付近では、チョークコイルL22に加わる電圧値と流れる電流値が最大になる。
全波整流された正弦波電圧が高い電圧値の区間では、補助巻線L71に発生する電圧値が増加する。正弦波電圧が低い電圧値の区間では、補助巻線L71に発生する電圧値が減少する。また、正弦波電圧のピーク付近で、補助巻線L71に発生する電圧値が最大になる。このように、補助巻線L71には、スイッチング素子Q21のオフの区間において、全波整流された正弦波電圧に応じて変化する電圧が発生する。
全波整流された正弦波電圧が高い電圧値の区間、つまり、チョークコイルL22に流れる電流が多い区間では、スイッチング素子Q25がオンになり、整流素子D23に流れる電流をバイパスする。全波整流された正弦波電圧が低い電圧値の区間、つまり、チョークコイルL22に流れる電流が少ない(またはほとんど流れない)区間では、スイッチング素子Q25がオフしたままになり、整流素子D23に流れる電流をバイパスしない。
これにより、全波整流された正弦波電圧が高く、チョークコイルL22に多くの電流が流れ、整流素子D23を流れる還流電流が多いときは、同期整流を行う。また、全波整流された正弦波電圧が低くチョークコイルL22に少ない電流が流れ、整流素子D23を流れる還流電流が少ないときには、同期整流を行わない。電流が多いときを狙って効果的に同期整流を行うことができる。
なお、ゲート電圧が高くなるとオフするのに要する時間が増えるので、必要以上に高くしないように巻数比を設定する。これにより、還流するコイル電流が終了するまでのタイミングでオフさせることができる。全波整流された正弦波電圧が低くなるにつれて、電流が減少するため、追従してゲート電圧が低くなる。このため、スイッチング素子Q25はオフしやすくなる。全波整流された正弦波電圧の低い区間では、更に電流が減少するので、ゲート電圧がさらに低くなる。ゲート閾電圧を超えないので、スイッチング素子Q25はオンしない。これにより、スイッチング素子Q25に必要以上のゲート電圧を加えることがなくなるため、オフするまでの時間を早めることができる。スイッチング素子Q25は、チョークコイルL22から放出されるコイル電流の還流が終了するタイミングでオフになり、還流ダイオードとして働くダイオードの本来の働きと同じ働きをする。
なお、スイッチング素子Q25がMOSFETの場合、整流素子D23はなくてもよい。MOSFET自身が持っているボディダイオードを利用できるからである。
これにより、降圧回路120は、全波整流後の入力電圧が出力電圧よりも大きい区間では、連続モードと不連続モードが切り替わる境目の状態である臨界モードで動作する。
全波整流された正弦波電圧が高い区間である場合、補助巻線L71に発生する電圧が高く、スイッチング素子Q25のゲート閾電圧を超える。このため、スイッチング素子Q25がONになる。整流素子D23に流れる還流するコイル電流が、スイッチング素子Q25の方にバイパスされるので、電気効率が向上する。
全波整流された正弦波電圧が低い区間である場合、補助巻線L71に発生する電圧が低く、スイッチング素子Q25のゲート閾電圧を超えない。このため、スイッチング素子Q25はオフしたままとなり、整流素子D23に還流するコイル電流が流れる。同期整流を止めておくことにより、平滑コンデンサC26からチョークコイルL22への電流の逆流を防ぐ。MOSFETよりも損失が大きい整流素子D23を還流するコイル電流が流れることになるが、正弦波電圧が低い区間で流れる電流が小さいので、電源回路100全体としてみれば、同期整流を行わなくても電気効率に影響を与えない。
補助巻線L71によりスイッチング素子Q25を駆動することで、全波整流された正弦波電圧の周期の中で、電圧が高い範囲の区間でのみ還流ダイオード(整流素子D23)の同期整流をおこなう。
チョークコイルL22に流れる電流は、全波整流された正弦波電圧の周期で追従して増減する。補助巻線L71に発生する電圧は、チョークコイルL22に流れる電流と、チョークコイルL22と補助巻線L71との巻数比によって決まり、全波整流された正弦波電圧が高い区間で高くなり、低い区間で低くなる。
補助巻線L71に発生する電圧で、スイッチング素子Q25を駆動することにより、全波整流された正弦波電圧の周期の中で電圧が高く流れる電流が多い区間のみ同期整流をおこない、全波整流された正弦波電圧の周期の中で電圧が低く流れる電流が少ない区間では同期整流をおこなわない。
スイッチング素子Q25を必要以上の電圧で駆動することなく、本来の還流ダイオードと同じ作用を果たすように、チョークコイルL22から放出されるコイル電流が還流し終わった時点で、スイッチング素子Q25をオフさせることができ、平滑コンデンサC26→チョークコイルL22→整流素子D23の方向に電流が流れることを防ぐことができる。これにより、電源回路100の電気効率を向上させることができる。
整流素子D23は、例えばダイオードである。ダイオードの電力損失は、順方向電圧×順方向電流である。例えば、順方向電圧が1.0V、順方向電流が0.5Aであれば、ダイオードの電力損失は0.5Wである。
MOSFETの電力損失は、オン抵抗×電流の二乗である。例えば、オン抵抗が0.05Ω、電流が0.5Aであれば、MOSFETの電力損失は0.0125Wである。
このため、ダイオードの代わりに、例えばMOSFETなど別の半導体素子を導通させて、チョークコイルL22に蓄えられたエネルギーを還流させることにより、電力損失を大幅に低減できる。この動作のことを一般に同期整流という。
実施の形態2について、図6〜図7を用いて説明する。
なお、実施の形態1と共通する部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
照明装置800の回路構成は、直流直流変換回路122を除いて、実施の形態1と同様である。
直流直流変換回路122は、制御信号生成回路125を有する。
コンデンサC72は、入力されるパルス状の電圧波形の交流成分のみを通過させる。分圧抵抗R74は、ゲートに流入する電流のピークを抑える。分圧抵抗R74を通過した交流成分の電流は、スイッチング素子Q25のゲート−ソース間の入力容量(図5で説明したゲート端子Gに接続したコンデンサ)を充電する。分圧抵抗R75や整流素子D73は、スイッチング素子Q25がオフする際にゲート電荷の引き抜きを早める。
制御信号生成回路125は、分圧抵抗R75の両端電圧を制御信号とする。スイッチング素子Q25は、分圧抵抗R75の両端電圧を制御信号として入力する。
補助巻線L71に発生する電圧が負の電圧の場合、整流素子D73が導通するため、スイッチング素子Q25の入力容量に充電された電荷を引き抜くことになり、分圧抵抗R75の両端電圧は低下するので、スイッチング素子Q25はオフになる。
横軸は、時刻を表わす。縦軸は、電圧を表わす。なお、図3と共通の部分は、説明を省略する。
実線で示した電圧723a〜723cは、補助巻線L71の両端電圧を表わす。実線で示した電圧724a〜724cは、分圧抵抗R75の両端電圧を表わす。
補助巻線L71の両端電圧が正の場合、整流素子D73がオフになるので、コンデンサC72を介して、交流成分の電流が流れて、スイッチング素子Q25の入力容量を充電する。スイッチング素子Q25は、入力容量を充電されて、ゲート電圧が閾電圧を超えるとオンする。その後、補助巻線L71に発生する電圧が、分圧抵抗R74と分圧抵抗R75で分圧するようになると、交流成分がなくなるため、コンデンサC72を通過できなくなる。
補助巻線L71の両端電圧が負の場合、整流素子D73がオンになり、コンデンサC72の両端が短絡される。コンデンサC72の両端電圧はほぼ0になり、分圧抵抗R75の両端電圧は、0になる。
0の電圧がゲート端子に加わるので、スイッチング素子Q25はオフする。
その後も、分圧抵抗R75の両端電圧は、スイッチング素子Q25の入力容量を充電しつづけ、補助巻線L71に発生する電圧を分圧抵抗R74と分圧抵抗R75で分圧した電圧になって止まる。
このように、スイッチング素子Q25のオンでは、分圧抵抗R74と分圧抵抗R75で分圧されるので、必要以上の電圧をゲートに加えないようにし、オフでは、整流素子D73が導通することで素早く、0の電圧を加えるようにしている。
こうすることで、スイッチング素子Q25を素早く、オフさせることができる。
例えば、制御信号生成回路125は、ツェナーダイオードなどの定電圧ダイオードを有し、スイッチング素子Q25のゲート端子に所定電圧値以上の電圧が印加されないよう、一定電圧をクランプする構成であってもよい。
あるいは、制御信号生成回路125は、補助巻線L71の両端に発生した電圧をパルストランスなどに通し、電気的に絶縁して、スイッチング素子Q25に印加する構成であってもよい。
補助巻線の一つ(補助巻線L41)は、上記制御回路(制御IC121)に接続され、上記コイルに流れる電流を検出する。
もう一つの補助巻線L71は、上記第二スイッチング回路(スイッチング素子Q25)に接続され、上記コイルに流れる電流に追従して変動する電圧を発生させる。
第二スイッチング回路(スイッチング素子Q25)は、上記ダイオード(整流素子D23)と並列に接続され、上記コイルから上記整流回路により整流された入力電圧の正弦波電圧が高い区間でのみ、放出されるコイル電流が還流する区間に、上記補助巻線に発生する電圧で駆動させることで上記ダイオードの同期整流をおこなう。
第二スイッチング回路(スイッチング素子Q25)は、上記抵抗の両端電圧が所定の閾値より大きい場合に、導通状態となる。
降圧回路120の構成は一例であり、降圧回路(降圧コンバータ)であれば、スイッチング素子Q21やチョークコイルL22の配置が異なる構成であってもよい。例えば、直流直流変換回路122は、スイッチング素子Q21やチョークコイルL22を全波整流後の入力電圧の低電位側に接続する構成であってもよい。その場合、パルストランスT24はなくてもよい。
Claims (9)
- チョークコイルと平滑コンデンサとを直列に電気接続した直列回路と、
上記直列回路に対して直列に電気接続した第一スイッチング回路と、
上記直列回路に対して並列に電気接続し、上記第一スイッチング回路が導通状態である場合に遮断状態となる向きに電気接続した整流素子と、
上記チョークコイルを流れる電流により電圧を生成し、上記チョークコイルと磁気結合した補助巻線と、コンデンサと、抵抗とによって形成された閉回路を有する検出回路と、
上記整流素子に対して並列に電気接続し、上記検出回路が生成した電圧に基づいて、上記整流素子の導通遮断に同期して導通遮断し、上記抵抗の両端電圧が、所定の閾値より大きい場合に、導通状態となる第二スイッチング回路とを有することを特徴とする電源回路。 - 上記第二スイッチング回路は、上記検出回路が生成した電圧が所定の閾値より大きい場合に、導通状態となることを特徴とする請求項1に記載の電源回路。
- 上記第二スイッチング回路は、上記補助巻線の両端電圧が所定の閾値より大きい場合に、導通状態となることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電源回路。
- 上記検出回路は、
上記コンデンサに対して並列に電気接続し、上記チョークコイルの両端電圧が上記平滑コンデンサの両端電圧と逆極性である場合に遮断状態となる向きに電気接続した第二整流素子を有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電源回路。 - 上記電源回路は、
交流電力を入力し、入力した交流電力の電圧波形を全波整流し、上記第一スイッチング回路を介して、全波整流した電力を上記直列回路に対して供給する整流回路を有することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の電源回路。 - 上記電源回路は、
上記整流回路の出力に並列に電気接続した入力コンデンサを有することを特徴とする請求項5に記載の電源回路。 - 上記電源回路は、
上記第一スイッチング回路の導通遮断を制御する制御回路を有し、
上記制御回路は、上記第一スイッチング回路を流れる電流のピーク値または平均値の包絡線が、上記整流回路が全波整流した電圧波形に近似した波形となるよう、上記第一スイッチング回路を制御することを特徴とする請求項5または請求項6に記載の電源回路。 - 上記電源回路は、
上記第一スイッチング回路の導通遮断を制御する制御回路を有し、
上記制御回路は、上記平滑コンデンサに対して並列に電気接続した負荷回路を流れる電流が所定の目標値になるよう、上記第一スイッチング回路を制御することを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の電源回路。 - 請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の電源回路と、
直流電力により点灯する光源を有し、上記平滑コンデンサに対して並列に電気接続した光源回路とを有することを特徴とする照明装置。
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