JP5481967B2 - 樹脂組成物、成形体、および樹脂組成物の製造方法 - Google Patents
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また、ポリ乳酸を主成分として含む樹脂と、充填剤としてのガラス繊維と、添加剤としてリン酸系難燃剤との混合物から構成され、前記樹脂としては前記主成分たるポリ乳酸以外にポリブチレンテレフタレートのみを含有する樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献2参照)。
更に、ポリ乳酸樹脂と、臭素系難燃剤、塩素系難燃剤、リン系難燃剤、窒素化合物系難燃剤、シリコーン系難燃剤およびその他の無機系難燃剤から選択される少なくとも2種の難燃剤と、を含有してなる樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献3参照)。
請求項1に係る発明は、
少なくとも、全固形分に対する含有量が50質量%以上である(A)ポリ乳酸と、(B)リン酸塩と、(C)融点が110℃以上200℃以下であるリン含有化合物と、を含む樹脂組成物である。
前記(C)融点が110℃以上200℃以下であるリン含有化合物が、縮合リン酸エステル系化合物およびホスファゼン化合物から選択される少なくとも1種である請求項1に記載の樹脂組成物である。
前記(B)リン酸塩が、ポリリン酸アンモニウムである請求項1または請求項2に記載の樹脂組成物である。
請求項4に係る発明は、
前記(B)リン酸塩の含有量が9.1質量%以上50質量%以下であり、前記(C)融点が110℃以上200℃以下であるリン含有化合物の含有量が0.6質量%以上40質量%以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の樹脂組成物である。
請求項5に係る発明は、
前記(B)リン酸塩の含有量が9.1質量%以上30.6質量%以下であり、前記(C)融点が110℃以上200℃以下であるリン含有化合物の含有量が0.6質量%以上18.3質量%以下である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の樹脂組成物である。
樹脂として前記(A)ポリ乳酸以外の樹脂を含まない請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の樹脂組成物である。
請求項7に係る発明は、
前記(A)ポリ乳酸の末端基と反応し得る官能基を2つ以上持つ(D)多官能化合物を0.1質量%以上3質量%以下含み、且つ(E)シロキサン系化合物を0.5質量%以上10質量%以下含む請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の樹脂組成物である。
請求項8に係る発明は、
少なくとも、全固形分に対する含有量が50質量%以上である(A)ポリ乳酸と(B)リン酸塩と(C)融点が110℃以上200℃以下であるリン含有化合物とを、前記(C)融点が110℃以上200℃以下であるリン含有化合物の該融点以上の温度で混練する樹脂組成物の製造方法である。
請求項9に係る発明は、
樹脂として前記(A)ポリ乳酸以外の樹脂を含まない請求項8に記載の樹脂組成物の製造方法である。
請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の樹脂組成物を成形して得られた成形体。
本実施形態に係る樹脂組成物は、少なくとも、全固形分に対する含有量が50質量%以上である(A)ポリ乳酸と、(B)リン酸塩と、(C)融点が110℃以上200℃以下であるリン含有化合物と、を含むことを特徴とする。
<(A)ポリ乳酸>
ポリ乳酸は、植物由来であり、環境負荷の低減、具体的にはCO2の排出量削減、石油使用量の削減効果がある。
ポリ乳酸としては、乳酸の縮合体であれば、特に限定されるものではなく、L乳酸であっても、D乳酸であっても、それらが共重合やブレンドにより交じり合ったものでもよい。
ポリ乳酸は、合成したものを用いてもよいし、市販品を用いてもよい。前記市販品としては、例えば、ユニチカ(株)製のテラマックTE4000、TE7000、TE8000、三井化学(株)製のレイシアH100等が挙げられる。
ポリ乳酸は1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
リン酸塩としては、特に制限はなく、有機リン酸塩、無機リン酸塩のいずれも挙げられる。
有機リン酸塩としては、リン酸アンモニウム、リン酸メラミン、リン酸グアジニン等が挙げられる。無機リン酸塩としては、リン酸アルミニウム、リン酸マグネシウム、リン酸マンガン等が挙げられる。これらの中でも、有機リン酸塩、特にポリリン酸アンモニウムが望ましい。
リン酸塩は1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
尚、上記分解温度の測定は以下の方法により行われ本明細書に記載の数値は該方法により行われたものである。乾燥したリン酸塩について、熱重量分析(TG)測定を行い、initial温度(15℃以上35℃以下)から600℃以上まで加熱し、initial温度におけるリン酸塩の質量に対し、1%の質量減少が見られる温度を1%分解温度として求める。
本実施形態に用いられるリン含有化合物は、融点が110℃以上200℃以下であることおよびリンを含有することを要件とする。
リン含有化合物の融点は、更に190℃以下が望ましい。
縮合リン酸エステル系化合物の具体例としては、PX202、CR741(以上、大八化学株式会社製)、SP−703、SP−670(以上、四国化成株式会社製)等が挙げられる。ホスファゼン化合物の具体例としては、FP−110、200(以上、伏見製薬工業株式会社製)、SPS−100、SPH−100(以上、大塚化学工業製)等が挙げられる。
リン含有化合物は1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
・繊維
本実施形態に係る樹脂組成物には、更に繊維を含んでもよい。
繊維としては、特に制限はないが、ガラス繊維が好適に用いられ、更に該ガラス繊維は表面がエポキシ系処理剤によって表面処理されてなるものがより望ましい。
このエポキシ系処理剤による処理量は、例えば、0.01%以上5%以下が望ましく、0.1%以上3%以下がより望ましい。
ガラス繊維の繊維長は、1mm以上4mm以下であることが望ましく、2mm以上3mm以下がより望ましい。
本実施形態に係る樹脂組成物には、更にポリ乳酸の末端基と反応し得る多官能化合物を含んでもよい。多官能化合物は、ポリ乳酸の末端基(例えば、カルボキシル基、水酸基等)と反応する官能基を2つ以上持つ化合物である。
カルボジイミド化合物としては、例えば、脂肪族モノカルボジイミド、脂肪族ジカルボジイミド、芳香族モノカルボジイミド、芳香族ジカルボジイミド等が挙げられる。
ジカルボン酸化合物としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等が挙げられる。
ジオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ビスフェノールA等が挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸化合物としては、例えば、乳酸、3−ヒドロキシ酪酸、6−ヒドロキシヘキサン酸等が挙げられる。
エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ、ノボラック型エポキシ等が挙げられる。
これらの中でも、多官能化合物としては、2官能化合物(2つの官能基を持つ多官能化合物)、特に、2官能のカルボジイミド化合物が望ましい。
多官能化合物は1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
本実施形態に係る樹脂組成物は、シロキサン構造を持つ化合物(シロキサン系化合物)を含有してもよい。
シロキサン構造を持つ化合物は、シロキサン構造(Si−0)を分子構造中に有する化合物であれば、特に制限はないが、例えば、ポリジメチルシロキサン、ジヒドロキシポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等が挙げられる。
本実施形態に係る樹脂組成物は、その他充填剤を含有してもよい。
その他充填剤としては、例えば、クレイ、タルク、マイカ、モンモリナイト等が挙げられる。また、その他充填剤としては、メラミン含有粒子、フォスフェート粒子、酸化チタン等も挙げられる。
その他充填剤は1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
クレイの市販品としては、ナノコア社製のナノクレイMX等が挙げられる。
タルクの市販品としては、日本タルク社製のマイクロエースP8等が挙げられる。
マイカの市販品としては、日本マイカ製作所製のマイカパウダー、山口雲母工業SJ−005、SYA21−RS、等が挙げられる。
モンモリナイトの市販品としては、クニミネ工業社のクニピアF等が挙げられる。
なお、例えば、その他充填剤は、ポリ乳酸の市販品に予め配合されているものを適用してもよい。
また、本実施形態に係る樹脂組成物には、その他難燃剤を含有してもよい。
その他難燃剤としては、シリコーン系難燃剤、窒素系難燃剤、無機水酸化物系難燃剤等が挙げられる。
その他難燃剤は1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
リン系難燃剤の市販品としては、大八化学製のPX−200、PX−202、ブーテンハイム製のTERRAJU C80、クラリアント製のEXOLIT AP422、EXOLIT OP930、等が挙げられる。
シリコーン系難燃剤の市販品としては、東レダウシリコーン製のDC4−7081等が挙げられる。
窒素系難燃剤の市販品としては、三和ケミカル製のアピノン901、下関三井化学製のピロリン酸メラミン、ADEKA製のFP2100、FP2200等が挙げられる。
無機水酸化物系難燃剤の市販品としては、堺化学工業製MGZ300、日本軽金属製B103ST、等が挙げられる。
本実施形態に係る樹脂組成物は、上記(A)乃至(C)の成分と、必要に応じてその他成分とを、混練して作製される。
前記混練は、例えば、2軸混練装置(東芝機械製、TEM58SS)、簡易ニーダー(東洋精機製、ラボプラストミル)等の公知の混練装置を用いて行う。
ここで、混練の温度条件(シリンダ温度条件)としては、リン含有化合物が確実に溶解することにより、得られる樹脂組成物の難燃性が向上する観点から、(C)リン含有化合物の融点以上の温度で行われることが望ましい。また、(B)リン酸塩の融点以上の温度であることが望ましい。具体的には、150℃以上190℃以下が望ましく、160℃以上180℃以下がより望ましい。
本実施形態の成形体は、上述した本実施形態の樹脂組成物を成形することにより得られる。例えば、射出成形、押し出し成形、ブロー成形、熱プレス成形などの成形方法により成形して、本実施形態に係る成形体が得られる。本実施形態においては、本実施形態の樹脂組成物を射出成形して得られたものであることが望ましい。
前記射出成形は、例えば、日精樹脂工業製NEX150、日精樹脂工業製NEX70000、東芝機械製SE50D等の市販の装置を用いて行う。
この際、シリンダ温度としては、160℃以上240℃以下とすることが望ましく、170℃以上210℃以下とすることがより望ましい。
また、金型温度としては、30℃以上120℃以下とすることが望ましく、30℃以上60℃以下とすることがより望ましい。
ここで、結晶化度は、密度勾配管法により測定した値を指す。具体的には、結晶化度100%と0%の標準試験片を、2種類のアルコールの混合系で作った密度勾配管中に浮遊させる。これら2種類の標準試験片の浮遊位置から密度が決められ、密度と結晶化度の検量線を作成する。次に、この密度勾配管中に、結晶化度を測定したいサンプルの試験片(標準試験片と同体積のもの)を浮遊させ、浮遊位置から密度を求め、検量線から結晶化度を求めた値を指す。
図1の画像形成装置100は、本体装置110の前面にフロントカバー120a,120bを備えている。これらのフロントカバー120a,120bは、操作者が装置内を操作するよう開閉自在となっている。これにより、操作者は、トナーが消耗したときにトナーを補充したり、消耗したプロセスカートリッジを交換したり、装置内で紙詰まりが発生したときに詰まった用紙を取り除いたりする。図1には、フロントカバー120a,120bが開かれた状態の装置が示されている。
<樹脂組成物の作製>
表1に示す材料および組成の原材料を2軸混練装置(TEM58SS、東芝機械社製)に投入し、シリンダ温度180℃で混練して樹脂組成物(コンパウンド)を得た。
次に、得られた樹脂組成物を用いて射出成形装置(NEX150E、日精樹脂社製)にて、下記表1に示す成形温度(シリンダ温度)、且つ金型温度120℃にて射出成形を行い、ISO多目的試験片(ISO527引張試験及びISO178曲げ試験に対応、試験部厚さ4mm、幅10mm)、及びUL94におけるVテスト用UL試験片(厚さ1.6mm)を得た。
(ポリ乳酸)
A1:テラマックTE7000/ユニチカ社製(重量平均分子量10万)
A2:テラマックTE4000/ユニチカ社製(重量平均分子量6万)
(リン酸塩)
B1:テラージュC80/ブーデンハイム社製(ポリリン酸アンモニウム)
B2:クラリアントAP422/クラリアント社製(ポリリン酸アンモニウム)
B3:テラージュC60/ブーデンハイム社製(ポリリン酸アンモニウム)
B4:クラリアントAP462/クラリアント社製(ポリリン酸アンモニウム)
B5:MPP−B/三和ケミカル社製(ポリリン酸メラミン)
(リン含有化合物)
C1:PX200/大八化学社製
(縮合リン酸エステル系化合物、融点95℃)
C2:SP−703/四国化成社製
(縮合リン酸エステル系化合物、融点180℃)
C3:ラビトルFP−110/伏見製薬株式会社製
(ホスファゼン化合物、融点110℃)
C4:アデカ・スタブPEP−4C/旭電化社製
(亜リン酸エステル系化合物、融点235℃)
(繊維) :GF/オーウェンスコーニング製
(多官能化合物) :カルボジイミド(LA1)/日清紡製
(シロキサン系化合物):SX005/三菱レイヨン製
(ドリップ防止剤) :PTFE/ダイキン工業製
得られた試験片を用いて、下記各測定・評価を行った。表2に結果を示す。
上記実施例および比較例で得られた樹脂組成物(コンパウンド)を、幅10mm、厚さ2mmのバーフロー状のキャビティをもつ金型を用いて射出成形装置(NEX150E、日精樹脂社製)にて、下記表1に示す成形温度(シリンダ温度)、且つ金型温度120℃、射出圧100MPaにて射出成形を行い、以下の基準により評価した。
○ : 長さが250mm以上
△ : 長さが100mm以上250mm未満
× : 長さが100mm未満
UL−94におけるVテスト用UL試験片(厚さ1.6mm)を用い、UL−94の方法でUL−Vテストを実施した。UL−Vテストの基準は以下のとおりである。
V−0 : 最も難燃性が高い
V−1 : V−0に次いで難燃性が高い
V−2 : V−1に次いで難燃性が高い
V−not: V−2よりも難燃性に劣る
ISO多目的ダンベル試験片(ISO527引張試験、ISO178曲げ試験に対応、試験部厚さ4mm、幅10mm)を加工して、ISO179に従い耐衝撃試験装置(東洋精機製、DG−5)にてシャルピー耐衝撃強度を測定した。
シャルピー耐衝撃強度は、数値が大きい程、耐衝撃性に優れていることを示す。
110 本体装置
120a、120b フロントカバー
136 用紙供給部
138 用紙排出部
142 プロセスカートリッジ
150、152 筐体
Claims (10)
- 少なくとも、全固形分に対する含有量が50質量%以上である(A)ポリ乳酸と、(B)リン酸塩と、(C)融点が110℃以上200℃以下であるリン含有化合物と、を含む樹脂組成物。
- 前記(C)融点が110℃以上200℃以下であるリン含有化合物が、縮合リン酸エステル系化合物およびホスファゼン化合物から選択される少なくとも1種である請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記(B)リン酸塩が、ポリリン酸アンモニウムである請求項1または請求項2に記載の樹脂組成物。
- 前記(B)リン酸塩の含有量が9.1質量%以上50質量%以下であり、前記(C)融点が110℃以上200℃以下であるリン含有化合物の含有量が0.6質量%以上40質量%以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 前記(B)リン酸塩の含有量が9.1質量%以上30.6質量%以下であり、前記(C)融点が110℃以上200℃以下であるリン含有化合物の含有量が0.6質量%以上18.3質量%以下である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 樹脂として前記(A)ポリ乳酸以外の樹脂を含まない請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 前記(A)ポリ乳酸の末端基と反応し得る官能基を2つ以上持つ(D)多官能化合物を0.1質量%以上3質量%以下含み、且つ(E)シロキサン系化合物を0.5質量%以上10質量%以下含む請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 少なくとも、全固形分に対する含有量が50質量%以上である(A)ポリ乳酸と(B)リン酸塩と(C)融点が110℃以上200℃以下であるリン含有化合物とを、前記(C)融点が110℃以上200℃以下であるリン含有化合物の該融点以上の温度で混練する樹脂組成物の製造方法。
- 樹脂として前記(A)ポリ乳酸以外の樹脂を含まない請求項8に記載の樹脂組成物の製造方法。
- 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の樹脂組成物を成形して得られた成形体。
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