JP5481379B2 - 血液浄化器の製造方法及び血液浄化器 - Google Patents

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Description

本発明は、血液透析療法や血液透析濾過療法などに使用される血液浄化器の製造方法、及び、この製造方法により製造された血液浄化器に関する。
血液浄化療法では、半透膜や限外濾過膜を中空糸状に紡糸したもの(以下、中空糸膜という)を用い、5000本〜10000本程度の中空糸を束ねた中空糸束をケーシング内に装填して構成した血液浄化器を用いている。そして、血液浄化器における中空糸膜の内表面側に血液を流すことにより、尿毒症物質を濾別除去する。また、血液透析療法では、血液浄化器における中空糸膜の内表面側に血液を流すとともに外表面側に透析液を流し、中空糸膜を介して血液と透析液とを接触させ、拡散により尿毒症物質を除去するとともに体内の過剰な水分を除去する。また、血液透析濾過療法では、血液濾過療法と血液透析療法の両方の特性、即ち、濾過と拡散によって尿毒症物質と体内の過剰な水分を除去する。
このような血液浄化器には、血液浄化器内に予め充填水が封入されているものと、血液浄化器内に予め充填水が封入されていないもの(所謂ドライタイプ)とがある。後者のタイプは、前者のタイプと比較して充填水が封入されていない分、軽量で取り扱い易く、低温下においても充填水の凍結による膨張によって破損する虞が少ない等のメリットがあるため、このドライタイプの血液浄化器が好適に利用されている。
上記の血液浄化器に用いられる中空糸膜としては、種々のものが挙げられるが、例えば、ポリアリレート樹脂(PAR)とポリエーテルスルホン樹脂(PES)を主体としたポリエステル系ポリマーアロイ膜(以下、PEPA(登録商標)膜という)が実用化されている。このPEPA膜は、機械的強度、耐熱性、耐薬品性、さらには良好な生体適合性を有していることに加え、透析液中のエンドトキシン等の発熱物質の吸着性が高い性質を有することから、このPEPA膜を用いたドライタイプの血液浄化器の開発に対し強いニーズがあった。
上記PEPA膜は疎水性の素材であるため、そのままでは本来の透過能を直ちに発揮することが困難である。そのため、親水性高分子であるポリビニルピロリドン(PVP)を親水化剤として用いて中空糸膜を親水化し、実際の使用に際しては、本来の透過能を発揮させるために血液浄化器内に生理食塩液を充填する賦活処理(プライミング)を行っている。
ところで、上記血液浄化器の製造工程では、放射線、例えばγ線を照射することにより滅菌処理が行われることがある。この滅菌処理の際に中空糸膜に含有されている水分量が少ないと、即ち、中空糸膜の周囲に酸素が存在すると、放射線の照射により酸素ラジカルが生じる。そして、この酸素ラジカルによって、中空糸膜を構成している高分子や親水化剤として付与された親水性高分子が損傷される場合がある。その結果、中空糸膜の透過能が低下したり、賦活処理を行った際に高分子が溶出するという問題があった。一方で、上記の不具合を抑制する観点から、中空糸膜に水分を過剰に含有させると、賦活処理においてエアーロックが生じる。エアーロックとは、血液浄化器を使用する場合に、中空糸膜の一部に気泡が入り込み、この気泡の除去が困難な状態を言う。このエアーロックの状態では、気泡が血液の流れを阻害し、その結果、一部の血液が凝固して中空糸膜内に残留する「残血」を引き起こす虞があった。
このような問題に対し、例えば、水又は生体に無害な水溶性物質によって中空糸膜を飽和含水率以上の湿潤状態にして滅菌処理を行うことで、中空糸膜の劣化を防止する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、放射線の照射による中空糸膜の劣化を抑制する方法として、中空糸膜の自重に対して100%以上の水を含ませ、透析容器内を不活性ガス雰囲気とした状態で滅菌処理を行う方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、中空糸膜の含水率を最適化すると共に中空糸膜の内側に一定範囲の量の水を通液した際に排出される気体の体積が規定量以下となるようにすることでエアーロックを生じ難くした中空糸膜モジュールが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
また、エアーロックを防ぐ方法として、中空糸膜を多価アルコールやポリビニルピロリドン等により親水化する方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
そして、乾燥開始時の中空糸膜の中心部と外周部における含水率の差を一定範囲内となるようにする構成も開示されている(例えば、特許文献5参照)。

特公昭55−023620号公報 特開2001−170167号公報 特開2007−229096号公報 特許第3815505号公報 特許第3992185号公報
しかしながら、各特許文献には、放射線照射による滅菌処理時における中空糸膜へのダメージの抑制と、賦活処理時におけるエアーロックの発生の防止との両方を効果的に達成する構成についての開示がない。
本発明は、上記の問題に鑑み提案されたものであり、放射線照射による滅菌処理における中空糸膜へのダメージを抑制し、尚かつ、賦活処理時におけるエアーロックの発生を防止し、中空糸膜の透過能を効果的に発揮することが可能な血液浄化器の製造方法、及び、血液浄化器を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1に記載のものは、中空糸膜を束にした中空糸束をケーシング内に装填して成る血液浄化器の製造方法において、放射線照射による滅菌工程の前段階において中空糸膜の含水率の平均値を50重量%以上300重量%未満に調整する第1の含水率調整工程と、前記滅菌工程後、中空糸膜の含水率の平均値を50重量%未満に調整する第2の含水率調整工程と、を含み、前記第1の含水率調整工程は、マイクロ波の照射により行うとともに、前半は中空糸束を直立させた姿勢で行い、後半は上下を反転させた姿勢で行い、前記第1の含水率調整工程における中空糸膜の含水率について中空糸膜長手方向において複数点で測定した際の測定値の最大値と最小値との差が、最大値の50%以内であり、前記第2の含水率調整工程において、血液浄化器を包装する包装材に水分の透過が可能な素材を用い、該包装材を通じて中空糸膜に含まれる水分を透過させて包装材外に放出することにより、前記滅菌工程後の中空糸膜の含水率を減少させることを特徴とする血液浄化器の製造方法である。
請求項2に記載のものは、前記第1の含水率調整工程後の前記滅菌工程における中空糸膜周囲の酸素濃度が5%以下であることを特徴とする請求項1に記載の血液浄化器の製造方法である。
請求項に記載のものは、前記第2の含水率調整工程における中空糸膜の含水率について中空糸膜長手方向において複数点で測定した際の各測定値の最大値と最小値との差が、最大値の50%以内であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の血液浄化器の製造方法である。
請求項に記載のものは、前記第2の含水率調整工程において、血液浄化器を包装材で包装した状態で乾燥手段を用いて乾燥させることにより、前記滅菌工程後の中空糸膜の含水率を減少させることを特徴とする請求項1から請求項の何れか一項に記載の血液浄化器の製造方法である。
請求項に記載のものは、ポリアリレート樹脂とポリエーテルスルホン樹脂とからなるポリマーアロイ膜を前記中空糸膜の主たる膜素材としたことを特徴とする請求項1から請求項の何れか一項に記載の血液浄化器の製造方法である。
請求項に記載のものは、前記第1の含水率調整工程の前段階で行われ、親水性高分子を用いて中空糸膜の血液接触部を親水化する親水化工程において、前記親水性高分子としてポリビニルピロリドンを用いることを特徴とする請求項1から請求項の何れか一項に記載の血液浄化器の製造方法である。
請求項に記載のものは、請求項1から請求項の何れか一項に記載の製造方法によって製造されたことを特徴とする血液浄化器である。
本発明によれば、以下のような優れた効果を奏する。
すなわち、水を予め充填しないドライタイプの血液浄化器について、第1の含水率調整工程と第2の含水率調整工程とにおいて中空糸膜の含水率を最適化しているので、滅菌工程時における放射線照射による中空糸膜や親水化剤へのダメージを抑制して血液浄化器の使用時に血液に中空糸膜や親水化剤が溶出することが防止され、尚かつ、賦活処理時におけるエアーロックの発生が抑制されて気泡抜けを向上させることができる。その結果、血液浄化器が本来有する透過能をより効果的に発揮させることが可能となる。なお、第1の含水率調整工程後の滅菌工程における中空糸膜周囲の酸素濃度が5%以下であることがより好ましい。
長手方向の途中を部分的に切断して示した血液浄化器の断面図である。 ケーシングの端部における中空糸束の切断面の説明図である。 図2Aの部分拡大図である。 血液浄化器の製造工程を説明するフローチャートである。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、添付図面等を参照して説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
まず、図1及び図2A,図2Bに基づいて血液浄化器1の構成について説明する。例示した血液浄化器1は、ケース2の内部に中空糸束3を備えた構成である。
ケース2は、前記中空糸束3を収納可能な筒状のケーシング4と、このケーシング4の一端の開口部に螺合装着される排出側のキャップ部材5と、ケーシング4の他端の開口部に螺合装着される注入側のキャップ部材6とを備えている。ケーシング4は、筒長手方向の両端部に拡径部7を設けた円筒状部材であり、例えばポリカーボネイトにより構成されている。そして、筒長手方向の一端側に位置する拡径部7には、ケーシング4の内部空間に連通した透析液(浄化液)注入用のポート8を筒の側方に向けて突設し、他端側に位置する拡径部7には、ケーシング4の内部空間に連通した透析液排出用のポート9を筒の側方に向けて突設している。
このケーシング4における筒長手方向の両端部には封止部10を設けている。封止部10は、中空糸束3の端部をケーシング4に接着固定して封止するための部分であり、例えば、シーリング材によって構成される。このシーリング材としては樹脂組成物、例えばウレタン系の接着剤が用いられる。そして、シーリング材は、図2Aに示すように、中空糸束3とケーシング4との間、及び、中空糸束3を構成する中空糸膜12同士の間に充填されている。これにより、ケーシング4の両端面は、端部が開口した複数の中空糸膜12が密集した状態となるとともに、シーリング材が中空糸膜12同士の間隙を塞いだ封止状態となる。
そして、この封止部10は、透析液注入ポート8や透析液排出ポート9の開口位置よりも筒長手方向の端部側に設けられる(図1参照)。このため、中空糸膜12及び封止部10によってケーシング4の内部空間は、中空糸膜12の内側空間と外側空間とに区画される。さらに、中空糸膜12の外側空間は、透析液注入ポート8及び透析液排出ポート9を通じてケーシング4の外部に連通される。そして、中空糸膜12の内側空間は、血液などの被浄化液を通じるための第1通液空間として機能し、中空糸膜12の外側空間は、透析液などの浄化液を通じるための第2通液空間として機能する。
排出側キャップ部材5は、血液排出ポート13を有する略漏斗形状のキャップ部材であり、筒長手方向他端側に螺合装着される。そして、この排出側キャップ部材5には、封止部外表面の外周部分に密着可能なOリング14を配設している。このOリング14は、封止部外表面に密着することで、ケーシング4と排出側キャップ部材5との境界部分を液密にシールしている。また、注入側キャップ部材6は、排出側キャップ部材5と同様な構造であり、血液注入ポート15を設けた略漏斗形状のキャップ部材である。そして、この注入側キャップ部材6は、ケーシング4の筒長手方向一端側に螺合装着され、装着状態においてOリング16が封止部外表面に密着し、ケーシング4と注入側キャップ部材6との境界部分を液密にシールする。そして、キャップ部材5,6の装着状態において、排出側キャップ部材5の内部空間、及び、注入側キャップ部材6の内部空間は、各中空糸膜12の内側空間と共に血液が通る血液流路を構成する。
中空糸膜12は、図2Bに示すように、中空糸状の半透膜であり、膜基材の肉厚が5〜50マイクロメートル、内径が100〜500マイクロメートル程度の極めて細いものである。また、樹脂組成物で固定された両端部には、封止部10が形成されている。
そして、膜基材は、ポリアリレート樹脂(PAR)とポリエーテルスルホン樹脂(PES)とからなるポリマーアロイ膜を主たる膜素材とした疎水性高分子製の半透膜である。
次に、上記血液浄化器の製造工程を、図3に示すフローチャートに基づいて説明する。
この製造工程においては、最初に中空糸の紡糸を行う(ステップS1)。
この紡糸工程では、まず製膜原液の調製を行う。この疎水性膜基材を紡糸するための製膜原液は、ポリアリレート樹脂(A)とポリエーテルスルホン樹脂(B)との混合重量比(A/B)を0.1〜10の範囲で定めると共に、両樹脂の合計量(A+B)が10重量%〜25重量%の割合となるように有機溶媒に溶解することで調製される。本実施形態においては混合重量比を1(A:B=1:1)としている。
上記のように調製された製膜原液を、二重管紡糸口金を用いて芯液とともに凝固液中に吐出すると、ポリエステル系ポリマーアロイを膜素材とした中空糸状の膜基材、すなわち中空糸膜12が得られる。なお、芯液および凝固液としては、例えば、N−メチルピロリドンが用いられる。
中空糸膜12は、その内側表面側に緻密層(内側緻密層)が形成されていると共に、この緻密層の外側を覆うように多数の細孔を有する多孔質層が形成されており、PEPA膜の場合にあっては、多孔質層の外側に、更に緻密層(外側緻密層)が形成されている。内側緻密層は、この中空糸膜(膜基材)において、透過能、即ち、物質の選択透過性並びに透過速度を規定する部分であり、本実施形態においては、2〜80nmの平均孔径(ポアサイズ)を有する孔が形成されている。また、多孔質層は内側緻密層、外側緻密層を支持し、膜の強度を保つ支持層として機能しており、2〜10μm(2,000〜10,000nm)の範囲で各緻密層よりも粗い孔が形成される。外側緻密層は、PEPA膜に特徴的な構造であり、ポアサイズは5〜100nmの範囲である。各層におけるポアサイズに関しては、PEPA膜の形成時におけるポリアリレート樹脂とポリエーテルスルホン樹脂との混合重量比を変化させることで調整することができる。なお、各層におけるポアサイズに関し、内側緻密層では5〜50nm、外側緻密層では10〜70nmの範囲で、各々多孔質層におけるポアサイズよりも小さいことが好ましい。このように内側緻密層と外側緻密層のポアサイズを多孔質層のそれより小さく且つ一定の大きさに規定することにより、中空糸膜12である疎水性のPEPA膜への疎水性相互作用での吸着による発熱性物質の阻止だけでなく、膜の孔径による排除効果により発熱性物質の浸入を阻止することができる。
次に、このように紡糸した中空糸膜の束ね処理を行う(ステップS2)。この束ね処理では、この中空糸膜12は3000〜15000本程度を一単位としてバンドル化され、所定の長さに切断されて中空糸束3となる。なお、この中空糸束3は、ケーシング4の内径に応じた外径に調整され、本実施形態においては10,000本程度を束ねている。
中空糸束3を得たならば、続いて親水化処理(親水性高分子付着保持処理)を行う(ステップS3)。この親水化処理は、中空糸束3をケーシング4へ装填した状態で行うことも可能であるが、本実施形態においては、中空糸束3をケーシング4に装填する前の段階で行う例を説明する。
ここで、親水化処理に用いる親水性高分子(親水化剤)としては、ポリビニルピロリドン(PVP)を使用している。この親水化処理では、例えば、親水化剤の0.5%水溶液を中空糸膜内側の血液接触部側に流すことで中空糸膜を親水化する。この親水性高分子としては、高分子量(分子量70,000以上)のものを用いた場合には、親水化剤が中空糸膜12を透過しないため、親水化処理の際には血液接触面のみが親水化され、中空糸の外側表面は親水化剤が到達せず、疎水性のままとなる。従って、疎水性相互作用による発熱性物質の吸着を期待することができ、より発熱性物質阻止能を発揮することができるので好ましい。但し、高分子量の親水化剤のみを用いた場合には、中空糸膜の厚み方向には親水化剤が届かず、親水化されないため、残血等血液の凝固に関する問題が生じ易い。よって、低分子量(分子量70,000未満)の親水化剤も同時に用いることが好ましい場合もある。低分子量の親水化剤を用いた場合には、疎水性相互作用による発熱性物質の阻止能が弱まるが、外側緻密層が一定の大きさのポアサイズである場合は、十分に発熱性物質の阻止能を有しており、好適に使用することができることが確認できた。
なお、中空糸膜の膜基材を、例えばポリエーテルスルホン樹脂とPVPとN−メチルピロリドンとから作製する場合、親水化処理を省略することが出来る。
親水化処理が終了したならば、続いて、洗浄工程を行う(ステップS4)。この洗浄工程は、親水化が終了した中空糸束3中空糸膜12について、余剰な親水化剤を除去する。具体的には、上述した親水化処理における親水化剤の水溶液に替えて洗浄用の精製水(洗浄水)を中空糸膜内側の血液接触部側に通液する。この洗浄工程により、血液接触部に付着している親水化剤のうち、所定の吸着力よりも低い吸着力で吸着している余剰な親水化剤が洗浄除去される。
続いて、中空糸束3を乾燥させる第1乾燥工程を行う(ステップS5)。この第1乾燥工程は、滅菌工程の前段階において中空糸膜の含水率を調整する第1の含水率調整工程に相当する。乾燥方法としては、中空糸束3にマイクロ波を照射する方法と、中空糸束3に温風を流す方法とがあるが、本実施形態における第1乾燥工程では、前者のマイクロ波を利用する方法で乾燥を行う。この際、中空糸束3を直立させた姿勢、即ち、中空糸束3の長手方向を鉛直方向に沿わせた姿勢で一定時間マイクロ波の照射による前半の乾燥を行う。その後、中空糸束3の上下を反転させた姿勢で、前半と同じ時間だけマイクロ波を照射することで後半の乾燥を行う。このように、前半と後半で直立姿勢を反転させて同一時間をかけて乾燥を行うことで、中空糸膜長手方向における含水率を可及的に均一化することが可能となる。具体的には、中空糸膜長手方向に等間隔で設定された複数点において含水率を測定した際の測定値の最大値と最小値との差が、最大値の50%以内となるようにすることが望ましい。
この第1乾燥工程における処理条件(マイクロ波のパラメータ又は温風の温度、乾燥時間等)は、乾燥後の中空糸膜12における含水率(中空糸膜重量に対する水分重量の割合)に関連している。この中空糸膜12の含水率は、以下で説明する滅菌処理時における放射線照射による中空糸膜や親水性高分子へのダメージを抑制する観点で重要である。このため、この第1乾燥工程では、中空糸膜12の長手方向における複数点での含水率の平均値が、中空糸膜12の重量に対し50重量%以上300重量%未満の範囲内となるように処理条件を調整している。このように含水率を調整することにより、中空糸膜と周囲雰囲気との接触面積を減らしている。なお、含水率の平均値を300重量%未満としたのは、中空糸膜12等のダメージ抑制効果の向上がそれ以上では期待できないからである。即ち、中空糸膜12が含み得る水分量は300重量%未満までであり、これ以上では過飽和状態となる。したがって、含水率が300重量%以上では、中空糸膜12に含まれなかった水分が水滴となって中空糸膜表面に付着する。
第1乾燥工程が終了したならば、中空糸束3をケーシング4内に装填する(装填工程、ステップS6)。この装填工程では、血液注入ポート15及び血液排出ポート13が外れた状態のケーシング4内に、乾燥後の中空糸束3を装填する。中空糸束3が装填された状態においては、この中空糸束3の両端部は、ケーシング4の外部にはみ出した状態になっている。
次に、ポッティングを行う(ステップS7)。このポッティング処理では、ケーシング4の開口部をシーリング材としてのポリウレタン系樹脂により封止(シーリング)して封止部10を形成するともに、中空糸束3におけるケーシング4の外部にはみ出した部分を、ケーシング4の開口部と同一平面となるように切断する。これにより、ケーシング4内に中空糸束3が装填されたモジュールが作成される。本実施形態においては、膜面積が1.5mのモジュールを作成する。
なお、中空糸束3の切断面は、図2Aに示すように、端部が開口した状態の中空糸膜12が多数密集した状態となるとともに、封止部10としてのウレタン系樹脂が中空糸膜12同士の隙間を液密性を確保した状態で塞いだ結束状態となっており、尚且つ封止部10は、透析液用の注入ポート8及び排出ポート9を塞いでいないので、このモジュールにおいては、血液の流路(中空糸膜12の内表面側)と透析液の流路(中空糸膜12の外表面側)とが中空糸膜12により分離された状態になる。
次に、上記のようにして得られた血液浄化器1を、例えばポリエチレン製の包装材(滅菌バッグ)によって窒素雰囲気下で包装するなどして、中空糸膜周囲の酸素濃度が5%以下となるように調整した状態で滅菌工程を行う(ステップS8)。滅菌方法には、EOG(エチレンオキサイドガス)滅菌、蒸気滅菌、放射線滅菌などがあるが、EOG滅菌は滅菌後の残留ガスが問題となり、また、蒸気滅菌は高温となってモジュールへのダメージが大きいなどの理由により、本実施形態では、放射線、より具体的にはγ線照射や電子線照射による滅菌を行う。この滅菌工程においては、放射線照射による中空糸膜12や親水化剤へのダメージが問題となるが、本発明に係る血液浄化器1では、上記のように第1乾燥工程において中空糸膜12の含水率を最適化し、滅菌工程における中空糸膜周囲の酸素濃度が5%以下となるように調整しているので、放射線照射による酸素ラジカルの発生を抑えて中空糸膜12や親水化剤へのダメージを抑制することができる。これにより、血液浄化器1の使用時に血液に中空糸膜12や親水化剤が溶出することを防止して透過能の低下を抑制することが可能となる。
次に、滅菌工程が終了した血液浄化器1を乾燥させる第2乾燥工程を行う(ステップS9)。この第2乾燥工程は、滅菌工程の後段階において中空糸膜の含水率を調整する第2の含水率調整工程に相当する。この第2乾燥工程では、包装材によって包装された状態で温風乾燥機(本発明における乾燥手段の一種)によって一定時間加熱することで乾燥を行う。この第2乾燥工程後における中空糸膜12の含水率は、賦活処理時の気泡抜けを良好にする観点で重要である。このため、この第2乾燥工程では、中空糸膜12の長手方向における複数点での含水率の平均値が、中空糸膜12の重量に対し50重量%未満の範囲内となるように処理条件(温風の温度、乾燥時間等)を調整している。また、この第2乾燥工程においても、中空糸膜長手方向に等間隔で設定された複数点において含水率を測定した際の測定値の最大値と最小値との差が、最大値の50%以内となるように処理条件を調整することが望ましい。
このように、水を予め充填しないドライタイプの上記血液浄化器1について、上記のように第1乾燥工程と第2乾燥工程とにおいて中空糸膜12の含水率を最適化しているので、滅菌工程時における放射線照射による中空糸膜12や親水化剤へのダメージを抑制して血液浄化器1の使用時に中空糸膜12や親水化剤が血液に溶出することを防止することができ、尚かつ、賦活処理時におけるエアーロックの発生を抑制して気泡抜けを向上させることができる。その結果、血液浄化器1が本来有する透過能をより効果的に発揮させることが可能となる。
なお、本発明の有効性を確認すべく、以下のような条件で比較実験を行った。実験結果を以下の表1及び2に示す。これらの表における実施例1〜5は、滅菌前(第1乾燥工程後)の中空糸膜12の含水率、及び、使用前(第2乾燥工程後)の中空糸膜12の含水率の各条件を上記規定範囲内に設定した血液浄化器1についての実験結果であり、比較例1〜3は、各条件の少なくとも何れかが規定範囲外となる血液浄化器1についての実験結果である。
Figure 0005481379
Figure 0005481379
実施例1は、上記実施形態で説明した通りの手順で製造した血液浄化器1(膜面積1.5m)についての実験結果である。なお、製膜原液に関し、ポリアリレート樹脂として(株)ユニチカ製のUポリマー(登録商標)を、ポリエーテルスルホン樹脂として住友化学工業(株)製のスミカエクセルPES(登録商標)を、それぞれ使用し、これらの重量混合比を1:1とした。また、親水性高分子(親水化剤)としては、BASF社製のルビテックK90PH(登録商標)、ルビテックK30PH(登録商標)の0.5%混合水溶液(K90PH:K30PH=3:2)を使用した。この実施例1において、第1乾燥工程後、滅菌工程前の中空糸膜12について中空糸膜長手方向に等間隔で離れた5点で含水率を測定したところ、それぞれ、71重量%、71重量%、67重量%、59重量%、48重量%となり、平均が63重量%であった。また、最大値と最小値の差は最大値の32%であった。第2乾燥工程では、上記包装材で包装した状態の血液浄化器1を、温風乾燥機の温風温度を50℃に設定し72時間乾燥して中空糸膜12の含水率を減少させた。乾燥後の中空糸膜12について中空糸膜長手方向に等間隔で離れた5点で含水率を測定したところ、それぞれ、49重量%、48重量%、46重量%、44重量%、40重量%となり、平均が45重量%であった。また、最大値と最小値の差は最大値の18%であった。
実施例2は、上記実施形態で説明した紡糸工程(S1)及び束ね処理(S2)を経て得られた中空糸束3に対し、先に装填工程(S6)及びポッティング処理(S7)を行い、その後、親水化処理(S3)、洗浄工程(S4)、第1乾燥工程(S5)、滅菌工程(S8)、及び、第2乾燥工程(S9)の順で製造された血液浄化器1についての実験結果である。なお、第1乾燥工程においては、血液浄化器1を起立させた状態で、透析液注入用のポート8からモジュール内を真空ポンプで減圧しながら、前半と後半とで起立姿勢の上下を反転させて乾燥を行った。また、第2乾燥工程では、上記実施例1と同様に、包装材で包装した状態の血液浄化器1を、温風乾燥機の温風温度を50℃に設定して72時間乾燥し、中空糸膜12の含水率を減少させた。この実施例2において、第1乾燥工程後、滅菌工程前の中空糸膜12について中空糸膜長手方向に等間隔で離れた5点で含水率を測定したところ、それぞれ、66重量%、65重量%、56重量%、62重量%、50重量%となり、平均が60重量%であった。また、最大値と最小値の差は最大値の24%であった。第2乾燥工程後の中空糸膜12について中空糸膜長手方向に等間隔で離れた5点で含水率を測定したところ、それぞれ、46重量%、33重量%、32重量%、30重量%、28重量%となり、平均が34重量%であった。また、最大値と最小値の差は最大値の39%であった。
実施例3は、第1乾燥工程までは上記実施例2と同じ手順であり、滅菌工程以降では一部に水分の透過が可能な和紙を使用することにより当該部分の水分透過性を向上させた第2の包装材を用いた点が実施例2と異なる。また、滅菌工程が終了するまでは、上記第2の包装材で包装された血液浄化器1を水分透過性の低い第3の包装材で2重に包装することで、滅菌工程が終了するまでの含水率の低下を防止するようにした。滅菌工程後の第2乾燥工程では、第3の包装材を取り外して第2の包装材のみで血液浄化器1が包装された状態にし、この状態で室温で7日間放置して、中空糸膜12に含まれる水分を、包装材の一部を透過させて包装材外に放出することにより、中空糸膜12の含水率を減少させた。この実施例3において、滅菌工程前の中空糸膜12の5点での含水率、平均値、及び最大値と最小値の差は上記実施例2と同様である。また、第2乾燥工程後の中空糸膜12について中空糸膜長手方向に等間隔で離れた5点で含水率を測定したところ、それぞれ、48重量%、48重量%、45重量%、38重量%、34重量%となり、平均が43重量%であった。また、最大値と最小値の差は最大値の29%であった。
実施例4は、洗浄工程までは上記実施例2と同じ手順であり、第1乾燥工程において余分な水分をエアーブローにより除去した点が実施例2と異なる。この実施例4において、第1乾燥工程後、滅菌工程前の中空糸膜12について中空糸膜長手方向に等間隔で離れた5点で含水率を測定したところ、それぞれ、291重量%、285重量%、287重量%、285重量%、284重量%となり、平均が286重量%であった。また、最大値と最小値の差は最大値の2%であった。また、滅菌工程が終了するまでは、実施例3と同様に第2の包装材で包装された血液浄化器1を水分透過性の低い第3の包装材で2重に包装した。滅菌工程後の第2乾燥工程では、第3の包装材を取り除いて第2の包装材のみで血液浄化器1が包装された状態にし、この状態で温風乾燥機の温風温度を50℃に設定して720時間乾燥した。乾燥後の中空糸膜12について中空糸膜長手方向に等間隔で離れた5点で含水率を測定したところ、それぞれ、42重量%、39重量%、40重量%、37重量%、44重量%となり平均40重量%であった。また、最大値と最小値の差は最大値の16%であった。
実施例5では、紡糸処理においてポリエーテルスルホン樹脂(A)とポリビニルピロリドン(B)との混合重量比(A/B)を5とし、N−メチルピロリドンを用いてポリマー原液の調製を行った。その後の第2乾燥工程までの手順は上記実施例2と同じである。この実施例5において、第1乾燥工程後、滅菌工程前の中空糸膜12について中空糸膜長手方向に等間隔で離れた5点で含水率を測定したところ、それぞれ、71重量%、72重量%、68重量%、61重量%、54重量%となり、平均が65重量%であった。また、最大値と最小値の差は最大値の25%であった。また、第2乾燥工程後の中空糸膜12について中空糸膜長手方向に等間隔で離れた5点で含水率を測定したところ、それぞれ、42重量%、30重量%、30重量%、28重量%、25重量%となり、平均が31重量%であった。また、最大値と最小値の差は最大値の40%であった。
なお、上記各実施例1〜5について、第1乾燥工程後、滅菌工程前の包装材内の酸素濃度が何れも5%以下であることが確認できた。
比較例1は、第1乾燥工程以外は実施例2と同じ手順であるが、第1乾燥工程における処理条件のうち乾燥時間を実施例2よりも短縮している。この比較例1において、第1乾燥工程後、滅菌工程前の中空糸膜12について中空糸膜長手方向に等間隔で離れた5点で含水率を測定したところ、それぞれ、105重量%、102重量%、98重量%、95重量%、87重量%となり、平均が97重量%であった。また、最大値と最小値の差は最大値の17%であった。また、第2乾燥工程後の中空糸膜12について中空糸膜長手方向に等間隔で離れた5点で含水率を測定したところ、それぞれ、64重量%、60重量%、57重量%、51重量%、48重量%となり、平均が56重量%であった。また、最大値と最小値の差は最大値の25%であった。
比較例2は、第1乾燥工程以外は実施例2と同じ手順であるが、第1乾燥工程における処理条件のうち乾燥時間を実施例2よりも短縮すると共に、乾燥処理の前半と後半で血液浄化器1の上下を反転させずに乾燥を行った。この比較例2において、第1乾燥工程後、滅菌工程前の中空糸膜12について中空糸膜長手方向に等間隔で離れた5点で含水率を測定したところ、それぞれ、105重量%、99重量%、95重量%、82重量%、50重量%となり、平均が86重量%であった。また、最大値と最小値の差は最大値の52%であった。また、第2乾燥工程後の中空糸膜12について中空糸膜長手方向に等間隔で離れた5点で含水率を測定したところ、それぞれ、64重量%、62重量%、57重量%、30重量%、27重量%となり、平均が48重量%であった。また、最大値と最小値の差は最大値の58%であった。
比較例3は、第1乾燥工程以外は実施例2と同じ手順であるが、第1乾燥工程における処理条件のうち乾燥時間を実施例2よりも延長したケースである。この比較例3において、第1乾燥工程後、滅菌工程前の中空糸膜12について中空糸膜長手方向に等間隔で離れた5点で含水率を測定したところ、それぞれ、45重量%、44重量%、40重量%、38重量%、32重量%となり、平均が40重量%であった。また、最大値と最小値の差は最大値の29%であった。また、第2乾燥工程後の中空糸膜12について中空糸膜長手方向に等間隔で離れた5点で含水率を測定したところ、それぞれ、15重量%、12重量%、10重量%、9重量%、8重量%となり、平均が11重量%であった。また、最大値と最小値の差は最大値の47%であった。
そして、各実施例及び比較例の血液浄化器1に対し賦活処理を行い、エアーロックの発生及び溶出物についての測定を行った。なお、溶出物の測定及び合否の判定は、以下の手順に従って実施した。
まず、300mLのビーカーに中空糸膜12を約2cmの長さに切断したものを1.5g採り、煮沸後冷却した水を150mL加えた後、アルミホイルでビーカーに蓋をし、恒温振とう水槽にて70℃、1時間の条件で加温振とう後、水で冷却して試験液とした。同様に300mLのビーカーに煮沸後冷却した水を入れ、比較用の空試験液とした。試験液について、空試験液を比較対照として波長220nm〜350nmの紫外線に対する吸光度を測定した。そして、試験液についての吸光度が0.1以上である場合を合格、0.1未満である場合を不合格とした。
含水率等の全ての条件について規定範囲内となる実施例1〜5については、何れも、エアーロックの発生が見られず、また、溶出物についても合格となった。比較例1は、第2乾燥工程後の含水率の平均値が56%となり、規定範囲(50重量%未満)よりも僅かに超えたケースであるが、この場合、溶出物については合格であったが、賦活処理時にエアーロックが生じる結果となった。比較例2は、第1乾燥工程後及び第2乾燥工程後における含水率の最大値と最小値との差が最大値の52%、58%であり、何れも規定範囲(最大値の50%以内)よりも僅かに大きいケースであるが、この場合、賦活処理時のエアーロックは見られなかったものの、溶出物については不合格となった。比較例3は、第1乾燥工程後における含水率の平均値が40%であり、規定範囲(50重量%以上300重量%未満)を僅かに下回るケースであるが、この場合、賦活処理時のエアーロックは見られなかったものの、溶出物については不合格となった。
なお、本発明について詳細に説明したが、本発明の範囲は、上述に記載のものに限定されるものではない。
また、2008年7月17日に出願された特願2008−185598に開示された明細書の発明の詳細な説明、特許請求の範囲、図面および要約の記載すべてが、本願に組み込まれる。
本発明は、血液浄化用途に好適である。
1 血液浄化器、2 ケース、3 中空糸束、4 ケーシング、5 排出側のキャップ部材、6 注入側のキャップ部材、7 拡径部、8 透析液注入ポート、9 透析液排出ポート、10 封止部、12 中空糸膜、13 血液排出ポート、14 Oリング、15 血液注入ポート。

Claims (7)

  1. 中空糸膜を束にした中空糸束をケーシング内に装填して成る血液浄化器の製造方法において、
    放射線照射による滅菌工程の前段階において中空糸膜の含水率の平均値を50重量%以上300重量%未満に調整する第1の含水率調整工程と、
    前記滅菌工程後、中空糸膜の含水率の平均値を50重量%未満に調整する第2の含水率調整工程と、
    を含み、
    前記第1の含水率調整工程は、マイクロ波の照射により行うとともに、前半は中空糸束を直立させた姿勢で行い、後半は上下を反転させた姿勢で行い、
    前記第1の含水率調整工程における中空糸膜の含水率について中空糸膜長手方向において複数点で測定した際の測定値の最大値と最小値との差が、最大値の50%以内であり、
    前記第2の含水率調整工程において、血液浄化器を包装する包装材に水分の透過が可能な素材を用い、該包装材を通じて中空糸膜に含まれる水分を透過させて包装材外に放出することにより、前記滅菌工程後の中空糸膜の含水率を減少させることを特徴とする血液浄化器の製造方法。
  2. 前記第1の含水率調整工程後の前記滅菌工程における中空糸膜周囲の酸素濃度が5%以下であることを特徴とする請求項1に記載の血液浄化器の製造方法。
  3. 前記第2の含水率調整工程における中空糸膜の含水率について中空糸膜長手方向において複数点で測定した際の各測定値の最大値と最小値との差が、最大値の50%以内であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の血液浄化器の製造方法。
  4. 前記第2の含水率調整工程において、血液浄化器を包装材で包装した状態で乾燥手段を用いて乾燥させることにより、前記滅菌工程後の中空糸膜の含水率を減少させることを特徴とする請求項1から請求項の何れか一項に記載の血液浄化器の製造方法。
  5. ポリアリレート樹脂とポリエーテルスルホン樹脂とからなるポリマーアロイ膜を前記中空糸膜の主たる膜素材としたことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の血液浄化器の製造方法。
  6. 前記第1の含水率調整工程の前段階で行われ、親水性高分子を用いて中空糸膜の血液接触部を親水化する親水化工程において、前記親水性高分子としてポリビニルピロリドンを用いることを特徴とする請求項1から請求項の何れか一項に記載の血液浄化器の製造方法。
  7. 請求項1から請求項6の何れか一項に記載の製造方法によって製造されたことを特徴とする血液浄化器。
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