JP5479059B2 - 歯科用色調確認装置 - Google Patents
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Description
明度確認方法としては、パソコンの画像編集ソフトを用いて、天然歯の修復しようとする部位の色彩を除くように画像処理する方法などが挙げられるが、そのための専用のソフトや装置などを導入する必要があり、コスト高となって現実的ではない。
また、天然歯の修復部位への歯科用コンポジットレジンの直接充填(ダイレクトボンディング)を行う場合には、瞬時に歯の明度を確認する必要があるため、パソコンなどによる画像処理では、時間的な制約があり、実用的ではない。
すなわち、色ガイドの各色見本と天然歯とを並べて比較し、例えば各色見本の中から天然歯の明度に最も近似した明度の色見本を選択することにより、歯冠修復材料の色調を確認して選定している。
例えば、天然歯の明度と近似した明度の色見本群を選択したつもりでも、実際には天然歯の明度よりも高い明度の色見本または低い明度の色見本を選択することがあり、正確な明度の選定が行い難い。
また、天然歯および各色見本は、明度が高く光の反射率が高いため、照明等の環境光によって色彩の見え方が異なることがあり、各色見本群と天然歯との色彩のみを比較して色見本を選択することも適当でない。
この色合わせフィルタには、色ガイドの各色見本と天然歯との明度のみを抽出する明度抽出フィルタと、色彩のみを抽出する色彩抽出フィルタとの2種類のフィルタがある。
この明度抽出フィルタは、歯冠修復材料として用いられる歯科用コンポジットレジンが黄色味および赤味を帯びた色調であるため、その補色は、透過スペクトルの波長が400nm〜500nmの青色から紫色の色調をもって、色相を濃くするとともに、所定の全光線透過率に応じた透過性を有する材料により形成されている。
そして、前記したような約5cm〜10cmの距離を隔てて口腔内の天然歯の表面を見る使用態様で、該天然歯の明度が明瞭に確認できるように、市販のものは全光線透過率が約42%の薄い色相のものに調整されている。
これらの二つのフィルタにより、天然歯の色の色見本を色ガイドから選択することにより、天然歯の色を正確に確認し、歯冠修復材料の色調を選定することができる。
しかし、手振れなどが生ずると、色合せフィルタの位置が不安定になり、天然歯の色の正確な明度または色彩の確認および選択を簡便かつ容易には行うことができない。
そのため、色合せフィルタと眼との間の焦点距離を調整するために、眼を拡大鏡と共に色合せフィルタに対して接近させたり、離間させたりする所作を繰返して調整する必要があることから、眼が非常に疲れるとともに、作業効率が悪いという問題があった。
(1) 欠損した天然歯を修復、または天然歯に代えて人口歯をもって修復する際に、天然歯の色調と調和する歯冠修復材料の色調を選定するために、天然歯の色調における明度を確認するための歯科用色調確認装置であって、明度確認用フィルタを、拡大鏡の前方に位置させて、拡大鏡に跳上げ式または着脱式で取付けるとともに、前記明度確認用フィルタの全光線透過率を、下限10%、上限30%の範囲内のものとする。
請求項1に記載の発明によれば、明度確認用フィルタを、拡大鏡の前方に位置させて、拡大鏡に跳上げ式または着脱式で取付けてあるため、明度確認用フィルタを、フリーハンドの状態でもって、検者の眼の前に保持することができるとともに、修復のために対比する天然歯の色の色調と調和した明度または色彩の確認による色見本の色の選択や、選択された色見本の色と調和した歯冠修復材料の色の色調の確認および選定を、安定して正確かつ迅速に行うことができる。
このため、作業効率を向上させることができる。
また、天然歯の色の明度の確認時に、検者が天然歯または色見本から眼を逸らせたり、明度確認用フィルタの拡大鏡の前面からの跳上げや脱着による不使用状態から、再び明度確認用フィルタを拡大鏡の前面に配置して使用する再使用時においても、拡大鏡の前面への明度確認用フィルタの位置決めによる焦点合せを即座に行えるため、眼の疲れを低減させることができる。
すなわち、上記市販の明度確認用フィルタにおける天然歯に近接(5cm〜10cm)した位置での使用であれば、その光線透過率は上記程度に大きく薄い色相であるのが好ましいが、本発明の如くに、検者の眼の前に装着する拡大鏡の前方に保持する態様であれば、このように薄い色相では補色効果が小さくなり、上記明度の確認は判別し難くなる。
これに対して、係る光線透過率を上記下限10%、上限30%の範囲にまで小さくして色相を濃くすれば、補色効果が大きくなり、天然歯の明度の確認がより容易になり、明度確認作業を一層円滑かつ容易に行うことができる。
これにより、作業効率を一層向上させることができる。
発明の具体的な内容は、次の通りである。
なお、歯科用色調確認装置に用いられる明度または色彩の確認用フィルタとして、実施形態においては、明度確認用フィルタを用いて説明する。
拡大鏡本体3の前面開口3aには、所定の倍率および焦点距離を有する拡大レンズ5が設けられている。
拡大鏡本体3を上下方向に回動させることによって、検者の眼Eが、拡大レンズ5の光軸O上に位置しうるように調節することができる。
左右の支持部7,7は、拡大鏡本体3における前面開口3aの上部中央に設けた、同じく小円筒状の取付基部8の左右に隣接し、かつ、各支持部7に設けた左右方向に貫通する軸孔7aと、前記取付基部8に設けた左右方向に貫通する軸孔8aとが整合しうるように配置されている。
これらの軸孔7a,8bには、図3に示すように、軸9が挿入されて、拡大鏡本体3における前面開口3aの上部に、明度確認用フィルタ2が跳上げ式に回動可能に軸着されて取付けられている。
この回動抵抗により、明度確認用フィルタ2は、図2に示すように、拡大鏡本体3の前面に平行に対面する垂下状態から、仮想線で示す上方に向けて任意の角度θに跳上げた状態の位置間を、任意の位置に無段階的に保持しうるようになっている。
色相や全光線透過率の調整は、プラスチック材料からなるフィルタであれば、顔料または染料を配合することで行ない、またガラス材料からなるフィルタであれば、遷移金属イオン、希土類イオン、コロイド状金属等を配合することにより行なえば良い。
前記したように明度確認用フィルタ2の色調は、青色から紫色であるため、上記プラスチック材料に配合する顔料としては、ジケトピロロピロール系レッド(例えば、C.I.ピグメントレッド254)、アンスラキノン系レッド(例えば、ピグメントレッド177)、アゾ系レッド(例えば、ピグメントレッド242)などの赤色顔料;フタロシアニンブルー(例えば、C.I.ピグメントブルー15:6)などの青色顔料;C.I.ピグメントバイオレット23などの紫色顔料が挙げられ、同染料としては、アンスラキノン系、モノアゾ系、複素環系等のものが挙げられ、これらを単独で又は混合して調整して用いれば良い。
明度確認用フィルタ2は、全光線透過率が下限10%、上限30%の範囲内のものとすることが必要であり、さらに下限15%、上限25%であることが好ましい。
全光線透過率が、下限10%未満では暗過ぎて天然歯の色を確認することができず、上限が30%を超過すると明度の差が不明確となり、確認し難くなる。換言すれば、全光線透過率が、上限30%、特に上限20%の場合には、明度の差の確認が容易となる。
なお、全光線透過率の測定方法は、JIS K−7361−1に準拠した方法によるものとする。
また、ヘーズ値は、JIS K−7136に準拠した方法によるものとする。
これらの方法により全光線透過率やヘーズ値を測定できる装置としては、例えば日本電色株式会社製ヘーズメーター(NDH−2000)が挙げられる。
また、明度確認用フィルタ2のヘーズ値を、下限0.1%、上限5%の範囲内のものであることが好ましく、特に上限3%であることが好ましい。上限が5%を超過すると、透過光がゆがみ、鮮明さに欠ける。例えば蛍光灯の下で見た場合、蛍光灯の輪郭が見え辛くなり、蛍光灯の光がぼやける傾向がある。
さらに、明度確認用フィルタ2の透過スペクトルの波長は、下限400nm、上限500nmの範囲内の色調を有するものが好適に用いられる。透過スペクトルの波長が400nm未満では、色調が薄くなり、500nmを超すと色調が濃くなり過ぎる傾向が見られる。
平板状基部11の前端には、明度確認用フィルタ2が垂下状態をもって吊持されている。
取付部12は、左右方向に沿って軸方向に延びる切欠溝13によって下部が開放されて、前記軸孔12aが弾性的に拡開可能になっている。
これら左右の支持杆14,14間には、支持軸15が架設されている。
この支持軸15には、前記ホルダ10の後端に設けた取付部12が、その軸孔12aを、切欠溝13を介して拡開させることにより、掴持状態をもって支持軸廻りに回動可能に弾性的に嵌合される。
これにより、明度確認用フィルタ2が、拡大鏡本体3の前端上部に、ホルダ10を介して、跳上げ式に着脱可能に取付けられている。
一方、支持軸15の外周面には、ローレット加工等により、複数の凹溝17が軸方向に沿って形成されており、この凹溝17と前記突起16とを圧接状態で弾性的に係合させることにより、明度確認用フィルタ2に回動抵抗が付与されている。
この回動抵抗により、明度確認用フィルタ2は、図5に示すように、拡大鏡本体3の前面に平行に対面する垂下状態から、仮想線で示す上方に向けて任意の角度θに跳上げた状態の位置間を、支持軸15の外周面に形成した隣接する凹溝17間の円周方向の間隔をもって、任意の位置に段階的に保持しうるようになっている。
左右の支持アーム20,20の前端には、明度確認用フィルタ2が垂下状態をもって吊持されている。
一方、拡大鏡本体3の前端上部における左右方向の中央部に固着され取付板22の上面には、S極からなるマグネット23が埋設されている。
このマグネット23に、前記ホルダ18に設けたマグネット21を吸着させることにより、拡大鏡本体3の前面に、明度確認用フィルタ2が着脱自在に取付けられるようになっている。
また、拡大鏡1に対する明度確認用フィルタ2の装着手段としては、跳上げ式やマグネット式の着脱構造の他に、例えばクリップ式の着脱構造を採用することもできる。
2 明度確認用フィルタ
2a 上端遠
3 拡大鏡本体
3a 前面開口
3b 後端部
4 ヘッドベルト
5 拡大レンズ
6 軸
7 支持部
7a 軸孔
8 取付基部
8a 軸孔
9 軸
10 ホルダ
11 平板状基部
12 取付部
12a 軸孔
13 切欠溝
14 支持杆
15 支持軸
16 突起
17 凹溝
18 ホルダ
19 平板状基部
20 支持アーム
21 マグネット
22 取付板
23 マグネット
E 検者の眼
f 拡大レンズの焦点
H 検者の頭部
O 拡大レンズの光軸
T 天然歯
θ 跳上げ角度
Claims (5)
- 欠損した天然歯を修復、または天然歯に代えて人口歯をもって修復する際に、天然歯の色調と調和する歯冠修復材料の色調を選定するために、天然歯の色調における明度を確認するための歯科用色調確認装置であって、
明度確認用フィルタを、拡大鏡の前方に位置させて、拡大鏡に跳上げ式または着脱式で取付けるとともに、前記明度確認用フィルタの全光線透過率を、下限10%、上限30%の範囲内のものとしたことを特徴とする歯科用色調確認装置。 - 明度確認用フィルタのヘーズ値を、下限0.1%、上限7%の範囲内のものとした請求項1記載の歯科用色調確認装置。
- 明度確認用フィルタを、拡大鏡の前方に位置させて、拡大鏡に跳上げ式または着脱式で取付けるとともに、明度確認用フィルタを、拡大鏡の前方に位置させた状態から跳ね上げた状態の位置間の任意の位置に無段階的または段階的に保持しうるようにした請求項1または2のいずれかに記載の歯科用色調確認装置。
- 明度確認用フィルタにおける軸孔を有する支持部を、拡大鏡における取付基部に取付けた軸をもって軸着することにより、前記明度確認用フィルタを拡大鏡に跳上げ可能に取付けるとともに、前記支持部の軸孔と前記軸との摺動面、または前記支持部と前記取付基部との間に弾性体を介在させて、回動抵抗を付与し、この回動抵抗により、明度確認用フィルタを、拡大鏡の前方に位置させた状態から跳ね上げた状態の位置間の任意の位置に無段階的に保持しうるようにした請求項3記載の歯科用色調確認装置。
- 拡大鏡の左右に離間して設けた支持杆間に、支持軸を架設し、この支持軸に、明度確認用フィルタのホルダに設けた、左右方向に沿って軸方向に延びる切欠溝を有する取付部を、前記支持軸に弾性的に嵌合させて回動可能とするとともに、前記支持軸の外周面には複数の軸方向の凹溝を形成し、かつ前記取付部における左右方向の軸孔の内周面に、複数の軸方向の突起を形成して、この突起を前記凹溝に弾性的に係合させることにより、明度確認用フィルタを、拡大鏡の前方に位置させた状態から跳ね上げた状態の位置間の任意の位置に段階的に保持しうるようにした請求項3記載の歯科用色調確認装置。
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